「国家の品格」藤原正彦

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7無名草子さん
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藤原正彦の恥ずかしい過去

藤原正彦といえばなんと言っても『若き数学者のアメリカ』(新潮文庫)である。著者がミシガン大学の研究員として渡米したときの米国体験記。
初めて読んだのは十数年前だが、その面白さに驚き、さすが新田次郎の息子、と感心した。専門である数学ではいざ知らず、一般向けの著作としてはいまだに藤原はこれを上回る作品を書いていない。
続編である英国体験記『遥かなるケンブリッジ』(新潮文庫)もなかなかの佳作だが、前作には及ばない。

 ところで藤原といえば、夫人の藤原美子と共同でリーバー『月の魔力』(東京書籍)という本を訳した過去もある。月の満ち欠けが人体に影響を及ぼし、たとえば「満月には殺人事件が増える」などと主張したくだらないオカルト本。
夫人の頭があまり良くないのは無論だが、藤原自身も実は脇が甘いのではないか。ここから「Y染色体が天皇の証」などといった疑似科学右翼への転落はあと一歩である。

冒頭に詩が引用されていた形而上詩人、J・ダンの名を「ドンヌ」と訳して口の悪い呉智英に『馬鹿につける薬』かどこかで馬鹿にされていた。呉智英本人は忘れているかもしれないが、一読者である私は忘れていないのである。