辺見庸

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332無名草子さん
よくこんなキチガイじみた理不尽な文章が書けるものだな

英米系NGOイラク・ボディ・カウントの集計によると、2003年3月の開戦以来
イラクではこれまでに最大で約30,600人の民間人が爆撃や戦闘などに巻き込まれて
殺されているという。 あまりと言えば理不尽である。 しかしながら、
思えばこの数字、このところの日本の年間自殺者数と大差ない。 
日本では自殺者が2004年まで連続7年間30,000人を超えた。戦争犠牲者と群れなす自殺者−
両者は一見、何の関係もなさそうだ。だが、彼方の死もこちら側の死も、ともに21世紀世界の
不条理を刻んでいるのであり、もっともっと考察されていい。
まず、戦争と平和の通念を考え直す必要がある たとえば、1日に80人もの人々が自死する(未遂者を含めると
推定で毎日800人が何らかの形で自死を試みるという)ような日本が果たして平和と言えるのかどうか。
死者数だけで見るなら、これはもう戦争規模である。 国家が自己の意志を貫徹するために他国との間に行う武力闘争を
戦争と言うならば、日本は確かにいま戦時にはない。 が、 これはあくまでも狭義の判定であり、広義に解釈すれば、
日本は目下「精神の内戦」もしくは「内面の戦時下」にあると言えるかもしれない。
( 『自分自身への審問』 辺見庸 毎日新聞社)