個人の過去を詮索するというのには興味はありませんが、フラ
ンスで博士号をとるということについてのより正確な情報を知
ってもらいたくてこれまでいくつ書き込みしました。
この件で気になるのは、20代後半から40代くらいの研究者でヨ
ーロッパの大学で博士号をとり、専門の主題についていえばヨ
ーロッパの学会誌に発表している人も今や少なくないということです。
自由競争の原理からいえばそういう人たちが、半分遊学のよう
なことをしていただけの人たちをキャリアの上で追い抜いても
おかしくないのですが、これまでの日本の大学制度はそのよう
になっていませんでした。
フランスの大学では、助教授になっても教授になるためには制
度上の関門があり、明示的に資格を得なければ万年助教授のま
まで、途中で気を緩めれば、自分の学生だった人間が自分を飛
び越え教授になっているというケースは珍しくありません。
先に、彼の文章はとぼけていて面白いと書きましたが、不当な
扱いを受けている人たちの立場にたった厳しい見方をすれば、
日本では学歴詐称してもマスコミで有名になりさえすれば、何
に守られているかわかりませんが、教授としのキャリアをまっ
とうし、その詐称の行為さえ面白くおかしくネタにしてマスコミの世界で商売で
きるのかという、印象はもたざるをえません。今ヨーロッパの
大学で苦労している人々にとって励みになる話ではありません。
そういう点からすれば文部省によるチェック機能があったのは
まだましといえます。
世代的なハンディへの同情の余地はありますが、そういう人間
が、きちんとヨーロッパの学会でわたりあうとしている若い人
たちの上にのしかかっているというような不健全な風が日本の
大学を支配していたのはたしかといえます。