筒井康隆の逆襲

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344ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE
基本的には短篇の名手かと思う。
初心者も多いようだが、最近の筒井作品に馴染めない若人には、
以下の作品を、是非手に取って見て欲しい。

1 時をかける少女(ジュブナイル)
  今でもラベンダーの香りを嗅ぐと、美少女のイメージとタイムトラベルの感覚が
  蘇って来る。
  ラベンダーがあるガーデンを覗き込んで、不審者扱いされてこそ、
  真の筒井ヲタといえるであろう。
2 ベトナム観光公社
  時代を感じさせる部分はあるが、べッ観光には笑った。
  ベトナム戦争を題材にした過激なパロディ。
  あの時代だからこそ書けた、書くことが許された作品。
  ある意味「無人警察」より問題を孕んでいる作品である。
3 最高級有機質肥料
  全盛期の筒井氏の筆力の凄さを感じさせる佳作。
  まさに「糞そのもの」である(w 一読すれば、この意味がわかるかと思う。
4 末世法華経
  個人的にはとても好きな作品。ポリニチレン(w
  創価学会と日蓮の思想性の違いをシニカルに描いている。
5 母子像
  なんとも不気味なホラーで、忘れ難い印象を残す。
  SF出身の作家の手になる作品(短篇)では、小松左京「隠居所の碁打ち」と
   並ぶ傑作。
345ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE :04/02/04 21:33
6 老境のターザン
  ターザン映画というか、ヒーローというものの実態をパロディ的に描いて間断する
  ところがない。チーター(*水前寺清子ではない)は既に剥製。
7 乗越駅の刑罰
  後半、エスカレートするサディスティックな展開がたまらない。
  筒井作品では地味な印象があるが、不条理を描いてカミュ作品に劣らない出来栄え。
8 睡魔のいる夏
  小品ながら、日本SF史上に残る傑作。テーストはニューウエーブそのもの。
  行きずりの少女と共に死を迎える主人公は2ちゃんねらー好みかも(w
9 顔面崩壊
  まあ、これは面白くて凄いとしか形容しようがない。
10 12人の浮かれる男(戯曲)
   裁判員制度導入にあたり是非読んでおきたい一編。
   (描かれているのは、陪審員制度だが、法に関するアマチュアの裁判参加の問題点
    を考える場合のテクスト足り得る)
   勿論、シドニー・ルメット監督による名作映画のパロディとして秀逸なのは言うまで
   もない。