【須クシナトスベシ】呉智英スレ4【漫画狂犬儒派】

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119外吉
 筆者は私費で徂徠の刊本を買い集めていた同社の小尾俊人であろう。
名編集者の評判にたがわぬ至言である。まさに『論語』は、儒家にとっ
てだけでなく、儒教的価値観を否定しようとする者にとっても、これを
嘲弄しようとする者にとってさえも、スタンダードとして踏まえておく
べき一冊であった。その伝統がなくなることは、もし痕跡をとどめない
ほどになくなるのならば、いっそ清々しくさえ思える。しかし、伝統が
途絶えた今、人生のオマモリのように『論語』は求められ、俗流解説書
は手を変え品を変え書店に並ぶ。伝統の不在、伝統への渇望、疑似伝統
の跋扈。かくて二十世紀は終わらんとしている。
(引用の『論語』の章立ては岩波文庫版による。ただし、解釈は必ずし
もこれに拠っていない)
               (『発言者』2000年3月号収録)

あー、疲れた。