★産廃物&盗作屋・田口ランディ監視スレ Part47★

このエントリーをはてなブックマークに追加
577無名草子さん
■■■田口ランディのコラムマガジン■■■ 2003.4.01
----------------------------------------------------------------------------
「アルタイのギフト」
----------------------------------------------------------------------------


 アルジャンさんさんは『体育大の鈴木君』という雰囲気の青年だった。

 シベリア最大の都市であるノボシビルスクの空港に着いたのは朝の6時だった。簡
素な空港の外に出たら、ロシア人やアルタイ人の出迎えの人込みでごったがえしてい
た。その中に、ボロットさんとアルジャンさんが立ってにこにこ笑っていた。

 ボロットさんはアルタイ共和国で最も人気のある歌い手だ。アルタイの英雄叙事詩
『カイ』を現代に蘇らせた。そのボロットさんが直々に出迎えに来てくれたのは、私
の道連れが巻上公一さんだったからだ。

 音楽家・巻上公一さんは私の家の近所に住んでいる。作家であり美術評論家の布施
英利さんもご近所に住んでいる。年齢が近いこともあり、三家族でのご近所づきあい
が始まった。まったく活動分野が違うのだけれど、なぜか共通点もあったりして、旅
行やキャンプにも誘いあって出かけるようになった。

 初めて布施さんの家で、巻上さんにお会いしたとき、巻上さんは「夏にアルタイに
行く」と言う。「アルタイってどこですか?」「シベリアのアルタイ共和国だよ。ア
ルタイはいいよ〜。日本人のルーツとも言われている国だよ」

 「アルタイ」そのエキゾチックな言葉の響きに、まず魅かれたのだ。どんなところ
だろう。「アルタイ」って。