★産廃物&盗作屋・田口ランディ監視スレ Part46★

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321無名草子さん

 国家は厳然としてあるから。これを想像力でないと思うことはこの国に生きている
私にはうまくできない。じゃあどうしたらいいんだろう……と、いつも堂々巡りだ。

 できることなら、この閉所恐怖症の原因を言葉によって自己分析し、解明して、私
がまず国家という妄想の拘束から逃れてみたい。冷徹に理詰めで、自分の本能とも言
える縄張り意識や帰属意識を無意識から照らし出したい。そんなことを思う。

「人間の盾」も、生身の人間が爆弾の盾になるために攻撃される国に行く……という、
その行為に「大義」を感じてしまって、そんなものを感じて不安になる自分にとまどっ
ているのだ。大きなものの前に自分を捧げることは、ひっくり返れば同じことを他人
にも要求できる。そのひっくり返るのが怖いのだ。

 私はたやすくひっくり返る。ずっと生きてきて自分がひっくり返るのを体験してき
た。

 9.11から1年後の平和集会のとき、飛行機テロのあった時間に多くの人とロウ
ソクを灯して黙祷した。私のロウソクが消えてしまったので隣の友人から火をわけて
もらっていた。そうしたら目の前の白人女性が振り返って「しっ!」と睨んだのだ。
そのときに、瞬間感じた自分のなかの敵意に自分でショックだった。

 小さいことがひっくり返ってもさほど影響はない。大義がひっくり返るとかなり怖
い。

 人類がこんなに国家を形成し、戦いを繰り返すなら、その因子は私の中にもきっと
ある。私が例外だという確率は少ない。新幹線で相手の肘が自分の側にはみ出すだけ
で、私は不愉快だったりする。

 けっきょく私は、愛で行動するのが恐ろしいのかもしれない。私は自分の限界を知っ
ている。私の愛は簡単に憎しみにひっくり返ってしまう。私が憎しみを越えるのは、
憎しみについて冷徹に言葉にできたときなのだった。