★産廃物&盗作屋・田口ランディ監視スレ Part40★

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16背伸びメルマガ
■■■田口ランディのコラムマガジン■■■ 2002.11.07
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「ひめゆりの塔で教わったこと」
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 2002年夏、はじめて沖縄の「ひめゆり平和祈念資料館」を訪れた。

 子供の頃から「ひめゆりの塔」の話は知っていた。映画にもなっていたし、沖縄の
女子学生のみなさんが戦争に巻き込まれて亡くなったことは、折りにふれ繰り返しメ
ディアに流れていたから。

 でも、私はなんとなくこのことに触れるのがイヤだったのだ。戦争で犠牲になった
人たちを紹介するときに流れる音楽、映像、そのステレオタイプなうさん臭さが思春
期の頃からイヤだった。

 イヤ……という積極的な感情というよりも、「なんかなあ……」というとても消極
的などんよりした不愉快さ。たとえば、広島の平和資料館では「原爆乙女」という呼
び方で被爆した女性達を称した写真が展示されている。

 私は「乙女」と「原爆」をセットにする、そのセンスがうんざりと重苦しいのだ。
「ひめゆり部隊」という呼び名も、「ひめゆり」という花の名前が戦争と結びつくこ
とで、何かを美化しているような気がして、その時点で「なんかなあ……」という気
持になってしまったのだった。

 絶対的な権力のようなものが「女性的な表現」を使用するときの、そのいけすかな
さ、というのが匂い取れる。表現における無意識的な女性蔑視に私は不愉快さを覚え
るのかもしれない。特に思春期、青春期のころは、その何かを嗅ぎ取ってしまったと
き、それに理性で対応することができなくて、私はいろんなものから逃げていた。
17同志社大学主催講演会のお知らせ(再掲):02/11/08 04:11
http://www.doshisha.ac.jp/zaigaku/kagai/assembly/yotei.html
*田口ランディさん講演*
講演題 『私というリアリティ』
講 師 田口ランディ(コラムニスト、作家)
日 時 11月13日(水)15時 14時30分 開場
場 所 神学館礼拝堂(今出川校地)
入場無料、どなたでもご自由にご来場くだ さい

〜あなたは、今の<自分>に心から満足していますか?〜

特別悪いことがあるわけではないけれど、特別素敵なことがあるわけでもない。
でも、何か物足りない気がする・・・
そんなそれなり≠フ今からかけがえのない″。へ―
圧倒的なまでのリアリティをもって言葉を綴る田口ランディからの鮮烈メッセージ!

(講師紹介)
東京生まれ。
広告代理店、編集プロダクションなどを経て、'98年から独自のメール
マガジンを発行し、注目される。ネットコラムニストとして絶大な人気を
誇り、 現在11万人を超える読者に配信している。
初の長編小説『コンセント』が話題になりベストセラーに。その後、同書の
続編となる『アンテナ』『モザイク』を三部作として発表。他にも、短編集
『ミッ ドナイトコール』『昨晩お会いしましょう』などや近刊エッセイ
『いつか森で会 う日まで』『ハーモニーの幸せ』『神様はいますか』など著書多数。
昨年、エッセイ集『できればムカつかずに生きたい』で第1回婦人公論文芸賞を受賞。
最新長編小説『7デイズ・イン・バリ』も好評発売中。

アッセンブリーアワー委員会 学生課(今出川):075(251)3270
e-mail [email protected]
18背伸びメルマガ2:02/11/08 04:12

 で、沖縄戦の「ひめゆり部隊」のことも避けていた。映画も観なかった。資料館に
足を運んだのは四十才も過ぎてからだ。私は四十を境にして、ようやく自分が感受し
てしまう不愉快さを越えて、現実、あるいは過去と向きあうようになった。

 たぶん、人間にはそれぞれの熟する時間というものがり、受け入れがたいことはど
んなに他人からとやかく言われても受け入れることはできないのだと思う。

 この文章も「あ、こういうの苦手……」と思う人がいるだろうし、考えただけで苦
しくなってしまう人もおられるだろう。それもまた自然なことだと思う。

 ひめゆり平和祈念館の展示室には、ひめゆり部隊の方達が隠れ、集団で亡くなられ
た壕のレプリカがある。本当に狭くて暗い穴。

 その前に立って話をしている女性がいらした。その方が、ひめゆり部隊の生存者、
宮良ルリさんだった。

 宮良さんは戦争が始まって、実家に戻っていた学生たちが学校に呼び戻され、そこ
で軍事活動に従事していく様子を語る。

 その後、日本政府は沖縄戦を長引かせて本土を守る作戦を強行、そのなかで沖縄は
日本の捨て石になり、激しい戦場と化した。

 宮良さんたちは「アメリカの捕虜になるくらいなら自決せよ」「アメリカの捕虜と
なることは国の恥、家族の恥」と、徹底的な軍部による洗脳を受けていく。
19背伸びメルマガ3:02/11/08 04:12
暗い壕に隠れているとき、アメリカ軍がやって来て「出てくれば何もしない、助か
るから出てきなさい」と呼びかけても、誰も出て行こうとはしない。捕虜になること
は子孫代々までの恥であると教え込まれ、信じ込まされているからだった。

「そうして、みな微動だにせず、誰も壕から外へ出ようとするものはありませんでし
た」その後、壕の中に爆弾が投げ込まれ、宮良さんは気絶するが、奇跡的に三日後に
目を覚ます。壕の中は死体で埋まっており、暑さのために放置された死体からは無数
の蛆が湧いていた。

 ひめゆりの生存者、宮良ルリさんの証言は本にもなっているのでここでは詳しくは
書かない。もし機会があったらぜひ、沖縄のひめゆり平和記念資料館に足を運んでく
ださい。

 なぜ、いまこのことを書くかというと、ひめゆりの生存者、宮良さんの証言の中に、
今現在を生きている私にとってとても大切な内容が含まれていたからなのだ。

 宮良さんは私たちにこう語った。「だからみなさん、本当に恐ろしいことはね、思
い込まされてしまうことなんです。思い込まされて信じ込まされてしまうことなんで
す。自分の頭で考えられなくなることなんです。自分の心で感じられなくなることな
んです。それが本当に恐ろしいことなんですよ。だからみなさんはどうか、どんな状
況にあっても自分で考えることをしてくださいね」

 宮良さんは繰り返し繰り返し、そのことを語り続けている。

 いま、北朝鮮の拉致の問題が連日テレビで報道されている。それを毎日のように観
ている。でも、こんなにたくさんのテレビ局、マスコミ関係者が存在するのに、流れ
てくる内容はとても似通っている。
20背伸びメルマガ4:02/11/08 04:14
今日(11月1日)初めて、朝のニュース番組で「マスコミの報道が均一すぎる」
というマスコミ側からのマスコミ批判を聞いた。そして、その番組では在日朝鮮人の
方々の苦悩や意見を取り上げていた。

 日本には多くの在日韓国人・朝鮮人の方々がいらっしゃる。それはなぜか?。日本
が軍国体制だったころに強制労働という名目で日本にたくさんの韓国、朝鮮の方達を
連れて来て働かせたからだ。

 日本が軍国主義だった時代がかつてあった。日本は植民地政策をとって近隣の国を
武力で植民地化していった。つまり日本の領土としていったのだ。そのときに他国の
文化や言葉を奪い、強制的に日本語を教えたりした。

 それはその時代の日本の政治システムの問題であって、日本人の本性が悪人であっ
たわけではない。他の先進国がアジアに領土を広げていく歴史的状況のなか、日本は
植民地支配が正しいことだと思い込んだ。

 北朝鮮も独裁的な政治システムが問題なのであって、北朝鮮の人たちの本性が悪人
なのではない。あまりにもあたりまえのこと。なのに、それがわからなくなってしま
う。

 以前に韓国へ旅行したときのこと。

「日本人旅行者の若い人は、日本語の堪能な韓国人の老人に会うと、なぜそんなに韓
国語が上手なんですか?と質問するんだよ。無神経にもほどがある」

 と韓国人の方に怒られたことがあった。

 やはり夏に、広島に取材旅行に行ったときにこんな話も聞いた。

「アメリカ人の青年がやってきて広島平和記念資料館の被爆者の人形を見て、ロシア
はなんてひどいことをするんだ、と言ったんですよ」
21背伸びメルマガ5:02/11/08 04:15
 日本であれ、アメリカであれ、北朝鮮であれ、政治システムの行った罪を一般個人
が償うことはできない。でも、事実を知らなければ、被害者への想像力は生まれない。

 私は北朝鮮の飢餓状況を思うと苦しい。私が見てきたわけではないが、北朝鮮の農
村地帯の人たちの生活が危機的状況であることを取材を通して知った。

 飢餓状態にある人たちに適切に食糧が届く方法はないものかと悩む。国の体制、政
治システムが暴走するとき、苦しみ死んでいくのは一般の人たちだ。そしてその苦し
みのなかで、時には憎しみの心が育っていく。

 政治というシステムのなかで、人民は自分の考えを奪われてしまう。そのことを、
私たちも56年前に経験しているのだから、過去の経験をいま、こういう時代だから
こそ大事にし、他国への想像力をもちたいと思う。

 そのうえで厳しい決断をするにしても、想像力だけはもちたいと思う。

 想像力をもつことは、相手に丸め込まれることでもないし、組み敷かれることでも
ない。想像力は自分で考えるための翼だ。そのための材料となる多角的な報道がほし
い。

 私が知りたいのは、システムのこと。なぜ社会主義は崩壊していくのか。万人が平
等であるという思想はどのように壊れたのか。なぜテロが頻発するのか。なぜ日本の
経済は破綻しそうなのか。実はこれらの異なった事象の根底にある問題点は同じなの
ではないか。

 ひとつの価値を絶対と思い、信じ込んでしまうこと。圧倒的なアンバランス。非対
称。権力をもった人たちが陥る想像力の欠如……。

 もっと自由に考えたい。もっといろいろ考えたい。自分なりに。
22無名草子さん:02/11/08 04:15
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■7日から広島に行っています。そのあと直島で内藤礼さんの作品と会います。内藤
礼さんはいま、私がとても関心を寄せているアーティストです。

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 大好きなアントニオ・タブッキの「インド夜想曲」へのオマージュです。