小谷野氏には下村満子『男たちの意識革命』(朝日文庫)を参照してほしいと思う。
たとえばこういう部分を読んでどんな感想をもつのか聞いてみたい。
「フレッドが、「女性運動はニセモノだ」と感じ、フェミニストたちに怒りを感じるようになったのは、
同棲していたガールフレンドとの口論の末、別れることになってからだ
<<ぼくたちは、そろそろ子供がほしいいと感じていました。そして、われわれの関係を永続的
なものにしたいと考えはじめました。彼女は、ぼくが大学院を出ているのだから、自分も
同じ教育を受ける必要があると、大学院に通っていました。そして「子供がほしいなら、今の
仕事をやめて、もっと稼いでもらわなくちゃ。でないと産んであげない」というのです。
自分の学費のほかに、子供の育児費が増えるからだというのです。私はムッとなって、
「それなら、ぼくが家にいて子供を育てるからキミは働きに出ればいい」といったのです。
彼女はそれがいやだというのです。キャリアは持ちたいけれど、それは生活を支えるためではなく、
生きがいのためで、子供を育てる費用は男が稼ぐべきだ、というのです。
ぼくたちはそのことで折り合いがつかず、結局別れたのです。>>(P.161)
長いので引用はしませんが、P162-164のフレッドのスピーチにも共感した。
「女性運動は、確かにこれまでの伝統的な女性の生き方を変えたかもしれない。だが、そうした「解放された女たち」も男に対してはこれまでどおりの伝統的生き方を強いるのです。」(P.163)
これは高学歴高収入の男が自分の階層以下の女とも恋愛したり結婚したりするのに、女は自分の階層以下の男は恋愛の対象外にする傾向につながる。
自分に女の役割を求められると「差別だ」というくせに相手には男としての役割を期待して相手を選択している欺瞞。そうじゃないそうじゃないと言い張り続けるが本当にそうか。
すごく疑わしい。
こういうところも小谷野氏にどんどんつっこんでフェミニストの欺瞞を糺してほしいです。
(類書に下村満子訳『正しいオトコのやり方 ぼくらの男性解放宣言』がある。編著なので、論者によってはおかしな論文もある)