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>>445続き)
友人に聞いてみたら、「アメリカも面倒なことは嫌だろうから、『人間の盾』を
避けて空爆をするかも知れないな」って言っていた。「それ以前に、フランスとか
イラク攻撃に反対している国もあるし、24日までにはまず爆撃は開始されない
だろう。そういう予測をもとに『人間の盾』の人たちもイラクに行ったんだろう」
と、おっしゃる。
「じゃあ、『人間の盾』ってどういう意味があるの?」
「マスコミなんかに報道してもらって、注目を集める意味があるんじゃないかな。
ランディだって、自分のメルマガに、そのことについて書いただろう?」
彼の意見によると、広く世間に自分の意見を知ってもらい、その主張を印象づける
ために自分の命を盾にするというのは、よくある手法であるが、それなりに効果的
である、ということだった。
「たとえは悪いけど、文化祭を中止しなければ自殺するぞと騒いだ学生がいたじゃ
ない? いい大人がそれにつきあって大騒ぎすることの是非はともかく、少なくとも
彼が『死んでやる』と周囲を脅さなければ、ニュース種にもならなかったわけだ」
「ちょっと、それはいくらなんでも、あんまりな例じゃない? 雨宮さんを、そんな
人といっしょにしないでよ」
「すまん、すまん。じゃあ、ハンガーストライキとかはどうだ? あれで本当に餓死
した奴がいるかどうかはわからないが、世間の耳目を集めるのには悪くないパフォー
マンスだ。普通にデモ行進するよりは、ずっと効果的だろう」
彼はこうも言った。
「アメリカかどっかの過激な団体ならいざ知らず、本当に命を投げ出すなんてことは、
自殺願望のある奴じゃないかぎり、そうそうめったにやらないさ。だから大丈夫。
君の友人だって、まず無事で帰ってくるさ」
しかし、「生き地獄天国」を読めばわかるが、雨宮さんは、かつてリストカットなど
による自殺未遂を繰り返してきた人なのだ……。今はリストカットはやらなくなって
いるだろうが、その代わりのように、北朝鮮にも行けば、イラクで人間の盾にもなる。
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>>446続き)
よく「死ぬ死ぬと言って自殺未遂を繰り返す奴に限って死なない」とか言う人がいる。
実はそれは間違いだ。死に魅せられた人は、最終的には死ぬことに成功してしまうこと
が多いのだ。
知識不足のせいもあって、最初は手首を軽く切るだけだったり、死ぬためには全然
足りない量の睡眠薬を飲むだけかもしれない。だが、回数を重ねていくことにより、
それだけ死ぬ確率も高くなる。少しずつ振り幅を増す振り子のように、死への距離は
どんどん近くなり、ある日本当に死んでしまうのだ。そういう人間を私は何人も目撃
してきた。
死にたがっている人をこの世にとどめておくことは本当に難しい。私は雨宮さんに
死んで欲しくはないし、危ないことはもう止めてくれと言いたくなる。これは単純に
私のエゴによるもので、もし雨宮さんが死んだら私が悲しい、それだけの理由だ。
そして、そんなことは、雨宮さんのように政治的にビィビィッドな思想信条を持つ
人に言ったとしても、まったく聞き入れてもらえないんじゃないかとも思う。
当然だ。太陽に向かおうとしているアトムを、あなたがいなくなると悲しいとか
寂しいとか、そんな言葉で止められるものだろうか。
それでも、私は敢えて言いたい。雨宮さん、死なないで、危険なことは止めて、と。
政治運動をするにしても、自分の命を盾にしたりしないで、より広くアピールする
方法がきっとあるはずだ。
その方法とはどういうものか? すぐには思いつかないけど、頑張って考えてみる。
だから、どうか雨宮さんも考えてみて。あなたも私も、文章を書くことによって、
自分の考えを世に問うことができる。
死ぬよりもずっとすごいことが出来るはずなんだ。絶対。
参考:
http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200302181830000000104973000