【盗作猿】ランディの日記を先取り予想だ!【パクルな】2

このエントリーをはてなブックマークに追加
27無名草子さん
*大きなのっぽの
 古時計が刻む
 私の時

 8月30日に朝日カルチセンターで、天才編集者安原顕さんとのトークセッション
があった。

 会場が超満員でびっくりしてしまった。ここまでぎっしりと人がつまっている
会場でのトークショーって始めてかも知れないなあ。単に人が多いだけではない。
お客さんの熱気が真夏のかげろうのようなオーラとなって立ち上ってくるようで、
とにかくすごかったのだ。

「さすがランディさん、すごいですよ」
「いやあ、これはヤスケンさん効果だと思うよ。他の人と組んで出たトーク
ショーでは、こんなことなかったもん」

 やっぱり相性ってもんかな。きっと私とヤスケンさんとは、最強コンビ、無敵な
二人なのだ。ぎゃはははは。

 なんと、トークショーを聴けなかった皆さんのために京王プラザホテルの樹林の
間まで用意されていて、私たちはそっちにも行った。

 京王プラザホテルと言えば、17歳の私が寺山さんと待ち合わせした場所だ。

 17歳の私が、めっちゃ緊張した顔でロビーにたたずんでいるのが見える。ダサい
田舎娘だったけど、未来への希望と不安ではちきれそうだった。あの頃の私に、
「25年後のあなたは、このホテルでたくさんのお客さんの前で話をすることになる
んだよ」なんて言ったら、どう答えるんだろう。
28無名草子さん:02/09/03 08:42
>>27続き)

 そんなことを考えていたせいなのかどうかわからない。皆と別れて一人になった
帰り道、私は「大きなのっぽの古時計」をくちすさんでいた。

 私は、屋久島の森をひとりで歩きながら、繰り返しこの歌を歌ったことがある。
屋久島に行った時は会社をやめたばかりで、自分の書きたいものを書いて生きて
いきたいと考えていた。

 再び、このの歌が私に舞い降りてきたのは、いったい何を私に教えようとして
いるのだろうか。

 翌朝、ワイドショーを見たら、この「大きなのっぽの古時計」がヒットチャート
の一位になってるとやってた。へえ、そうだったのか。なんだかいろんなことが
共鳴して大きなうねりになっているようでうれしくなった。

 126年前に作られた古い曲が、みずみずしいしずる感をともなって現代に再生
する。そうなんだ。どんなに時が流れ過ぎても失われるものなどいっさいない。
それはフリーズドライされているだけで、解凍さえすれば生き生きと立ち現われて
くるもんだ。

 解凍して一般の人にも見えるようにする魔法使いが、この世界には何人もいる。
「大きなのっぽの古時計」を歌っている平井堅さんもそうだ。

 彼はね、小学四年生の頃に自分で描いた時計の絵を、ジャケットに使っている。
わあ、いいなあと私は思った。子供の頃から大好きだった歌に、子供の頃書いた
自分の絵。
29無名草子さん:02/09/03 08:43
>>28続き)
 子供の頃の心を忘れない――言葉にするとめっちゃ平凡だけど、でもとっても
大切なことなんだ。このオリコン一位は、それを教えてくれる。

 私は今、子供になろうと思っている。世界が輝いていた頃の自分に戻るんだ。

 言うほど簡単なことではないことはわかっている。私は子供の頃、今の自分の
気持を覚えておこうと決心したので、他人より記憶の引き出しにしまわれている
子供時代の思い出は多いほうだと思う。

 その私にしても、子供になるってことは難しい。時計が刻んだ時は、私の顔に
しわとして刻まれ、私の心の中にはいろんな記憶がたい積している。

 あるがままに子供であるモモのような本当の子供と、40歳を過ぎたオバさん
の私が意識的になろうとする「子供」。その両者の溝は果たして埋められるもん
なんだろうか。

 わからない。でも、私は希望を手放したくない。

 だから今日も私は、掃除機の音をバックグラウンドに、大きなのっぽの古時計
を歌っているのかもしれない。