【盗作猿】ランディの日記を先取り予想だ!【パクルな】2

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224無名草子さん
*神在月の
 出雲の
 神様たち

 十月のことを神無月と言う。神様がいなくなってしまうから、神の無い月なのだ。
しかし、ここ出雲の地では違う。十月はすべての神様がこの地に集まる。だから、
出雲でだけは、十月は神在月と呼ばれる。

 十月十二日。私は出雲の平田市に行った。神様たちと会うために。そして、いっ
しょにお酒を飲むために。

 平田市の松尾神社というところで、毎年、どぶろく祭りが行われている。昔々、
百八十の神様が集まって、なんと百八十日にもわたって酒盛りをなさったという、
出雲風土記に書かれている故事にちなんでのことだ。それにしても、ほぼ半年も
酒盛りを続けるなんて、日本の神様たちって、なんてアバンギャルドなんだろう。
 そして、どぶろく祭りでは、今年も無事に酒造りが出来ることを酒造りの神様に
お祈りし、松尾神社からふるまわれるどぶろくを飲む。どぶろく以外の地元の日本
酒を飲むこともできるし、肴に郷土料理も食べられるという。
 ううむ、なんてオイシそうな話なんだ。神様にも会えるし、酒も飲めるし、うま
いものも食べられる。これはもう、行くしかないではないか。そう、思った。

 さて、当日。まずは湯立神事がとり行われる。しめ縄で囲まれた聖なる空間の
中央には、湯がなみなみと注がれた大釜が置かれる。清めの舞が舞われ、釜の下に
つけられた火が白い煙りを出し、九字が切られる。神楽に合わせて、大酒桶の中の
どぶろくが、ひしゃくで椀に注がれ、神様に奉納される。
 なぜか、今年の春に行った、バリのお祭りとガムランの響きを、ふと思い出した。
神楽とガムランって、ちょっと似ている。
225無名草子さん:02/10/12 22:58
>>224続き)
 それから、夜宴だ。宮司さんのお話によると、米を食べたスズメがこぼした米が
水たまりにいって、そこからどぶろくが出来たんだって。それを神様たちが飲んで、
百八十日間におよぶ宴会になったと言うんだ。
 なぜか、どきりとした。私は19才の頃、自分のことをスズメと呼んでいたからだ。
当時仲良くしていたアパートの隣の部屋の男の子に、「私は自分の名前が好きじゃ
ない」と言ったら、「じゃあ、自分の好きな名前をつけてみれば」って言われて、
とっさに思いついたのが「スズメ」という名前だったんだ。
 どうしてスズメなのか、今だにわからない。もしかしたら、私の無意識は、自分
の口からこぼした米で出来た酒で、神様を酔わせるスズメになりたいと望んでいた
のだろうか。

 こんなこと書くと、また浮き世離れしているオカルトライターって言われちゃう
のかもしれないけど、私は、今回の旅で出会った神様たちのために書いていきたい
と、本気で思っている。

 夜宴の最中に、私はたくさんの神様に出会った。ふるまわれるどぶろくに、それっ
と飛びついている神様。どぶろくを飲みながら、今年の酒は甘さと酸味のバランスが
とれておいしいと言っている神様。昔はそこいらの農家で自由にどぶろくが造れたの
に、今は規制されていて残念だなあとぼやいてる神様。てんぷらやざる豆腐に群がる
神様。
 誰も彼もにこにことして楽しそうで、ああ神様たちがここにいらしゃると素直に
思えたんだ。もちろん、彼等は人間だ。でも、同時に、神様たちでもあったんだ。
神様と人間が混然一体となって、お酒と料理とおしゃべりを楽しんでいた。
226無名草子さん:02/10/12 22:59
>>225続き)
 実のところ、旅行に行く直前の私の精神状態は、あまりよくなかった。またしても、
知らない人にいろいろ評価されたり、周囲をかぎまわられたりで、多少めげていた。
でも私は、この出雲の地で、神様たちにパワーをもらえた。

 私が言葉を捧げるべき対象は、どこの誰なのか。人のあら探しばかりして、揚げ足
を取ってばかりいる人たちのために書いているのか。いや、絶対に違う。
 誰のために書いているのか。それを見失わないでさえいれれば、それでいいのだ。
わかっているはずだけど、すぐに忘れてしまう。だけど、忘れたって何度でも思い出
せばいい。
 そして、神様はいつも、忘れっぽい私に大切なことを思い出させてくれる存在なん
だろう。神様はそうやって、人を見守り、人を助けてくれるものなんだ。理由はない
けど、私はそう確信している。

参考資料: http://www.kaishun.co.jp/ivent/doburoku/d-1.htm
http://www.kaishun.co.jp/ivent/doburoku/d-2.htm
http://www.shimane-printing.co.jp/kyoudo/si_dob2.html
http://isweb34.infoseek.co.jp/gourmet/wankata/izumofudoki/heiseifudoki005.htm