【盗作猿】ランディの日記を先取り予想だ!【パクルな】2

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11無名草子さん
*音楽は
 いつだって
 まっすぐに届く

 アルタイから帰ってきてから、音楽が私の中で鳴りやまない。
 
 帰国してから、ヒロシマに行ったり記事を書いたり、一応は社会復帰している
けど、実は今だに少々ぼうっとしている。いや、ぼうっとしているというのとは、
少し違うな。でも、旅によってヴァージョンアップした私が、微細な振動を世界
にふりまいていることは感じる。

 アルタイへの旅はとても楽しかった。メンバーもよかった。咽歌のプロの巻上
さんに、天才写真家の川内さんに、編集者の丹治くんだ。アテンドしてくれた人
もとってもいい人で、私は自分がとっても大切にされている気分になれたんだ。
川内さんも「とても楽しかったです」と言ってくださって、本当によかった。

 やはり、旅はこうでなくちゃいけない。去年の私は、旅行すればするほど、な
んだかとてもつらくなっていた。へび玉みたいな灰色の雲がどっかりと私の心の
中心線に居座っていて、それでも何とか雑誌の連載の原稿は書いていたけど、
メルマガや日記に文章を書くことができなくなっていた。自分でも信じられない
んだけど、一カ月以上もお休みしたりしてたもんなあ。

 去年、私は巻上さんの紹介でいらっしゃったトゥバな方々を自宅に泊めた。
彼らはホーメイを歌ってくれて、私はそのかそけき不安定な音、微細で精妙な
音にえらく感動した。
 今回訪れたアルタイのお隣が、そのトゥバ共和国だ。
 トゥバの咽歌がホーメイと呼ばれるのに対し、アルタイの咽歌はカイという。

 アルタイというのはね、黄金の山々という意味なんだ。ロシアとカザフスタン
とモンゴルと中国が交差する点。なんと70以上の民族がこの国に暮らしている。
山も川も湖もとっても美しくて、奇跡みたいな国。
12無名草子さん:02/08/18 23:51
 アルタイの喉歌のカイは、弦が二つの、茶色い三味線みたいな楽器を伴奏に使
う。トプショールっていうんだそうだ。張っている皮はラクダとか山羊とかなん
だって。この土地では手近な動物なんだろうな。

 私はドキドキしながら、カイを聞かせてもらった。
 これがもう、すごいとしか言いようがない。
 何て言うんだろう、地響きみたいなものすごぉぉい低音で大地を揺らしたかと
思うと、せつなく絞り出すような高音で水面を波立たせ、私の心にとまっすぐに
届くような感じ。

 そうなんだ。言葉はしばしば曲がって届くけど、音楽はいつもまっすぐに届く。
 黄金の山脈の稜線。美しい湖のさざ波。それらのフラクタルと相似形な自然が、
この演奏にはぎゅっと詰まっている。私は変幻自在な音楽に心地よく翻弄される
木の葉となって、川や湖の上をくるくると舞い、震えながら大地に着地する。

 これは祈りだ。理由もなく私はそう確信した。

 なぜかっていうと、そのとき私が思い出したのがアイヌのシャーマンである
アシリ・レラさんだからだ。大地に根付いた神様への祈り。北海道とアルタイ
という地理的には遠くの二点が、こんな近しい固有の振動をもつのは不思議だ。

 そう言えば、アルタイの人たちって日本人みたいな顔をしてるな。遠くの親戚
に久しぶりに会ったという感じ。だから、神様も日本の神様と似ているのかも
しれない。そんな気がした。

参考資料: http://www.12kai.com/altai/aboutaltai.html
http://www.12kai.com/altai/personnel.html