孤高のノンフィク作家、佐野眞一  

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318無名草子さん
>>314
区民の感想(まちBBSとのマルチポスト失敬)

文芸春秋のルポざっと読んでみた。
ある程度は説得力はある。ただし半分程度に割り引いて解釈したほうが無難。
闇金看板の類の話や売春絡みの話はあきらかにミスリード。
あんなのは郊外の駅前にはどこにでもある。
明らかに筆者の思い込みによる事実誤認やプロパガンダ色が強いな。
流しのタクシーなんてうちの近所なら1-2分でつかまるし
西新井駅に常にあふれているタクシーはどう説明するのだろうか。
大体タクシーは供給過剰なのだし、区内のタクシーの台数は
東京でも有数のはずなのだが。
ただ小泉竹中路線を推進する政府および区の行政の怠慢に対する
劇薬としては有効かもしれないが、特定の地域に対して悪意とも
取れる表現は著名なルポライターとしてはいかがなものかと思う。
319無名草子さん:2006/03/30(木) 04:07:00
>>318
佐野さんの取材の強引さ・思い込みの強さはよく批判される。まあ他の
ライターも似たようなものか。

以下は佐野さんとは無関係だが、あのルポ自体を読むと、完全に現在の
構造改革路線が間違っていることは明白だし、実際に間違っている。
ただ、隣にくっついている座談会(宮崎・世耕・本田・山田)は良くない。
格差拡大の最大の要因であるデフレ政策について曖昧にしてしまい、教育制度や
労働市場、若年層の価値観の話ばかりしている。所詮は文芸春秋の限界。
320314:2006/03/30(木) 04:15:35
>>318
レスサンクス。
足立区民がどう思ってるのか興味あったんだ。
あんまり好きな作家じゃないから、話半分で読んでたんだけど、
街金やタクシーに関しては、今の日本の都市ならほとんど同じ状態だと思う。
俺自身、東京都民じゃなく、関東に住んでる訳じゃないから足立区のことは知らないんだけど、
読んでるうちに違和感と言うか、ことさら足立区を強調してる気がした。
売春に関しても、そう言う人たちを探して取材してるんなら、出会うのは当たり前だしw
先に結論があって、それに筆者が沿うように書いてる印象を持ったので。
321318:2006/03/30(木) 22:26:48
長文失敬。
>>319-320そう、確かに思い込みの激しさは、宝島社御用達あたりの若手ライターならともなく
佐野氏のようなある程度の地位を獲得したライターの大媒体・文芸春秋掲載作としてはいただけないね。
筆者の視点が常に被取材者側より優位に立ち、なにやら海外の町のレポートを読んでいるような違和感を覚えた。
被取材者側と意思疎通することを避け、絶対的安全圏からいかに醜い町かと述べ、少し極端に言えば、
バスに乗ってサファリパークの中を見学するような物見遊山的なスタンスが反発を引き起こしていると思う。
自分の一族は足立が郡部だった頃からの原住人だが、当然ながら首都圏でここだけそれほど雰囲気が
違うということはない。
大学時代は神奈川まで往復していたけど、通学先周辺地域や友人と生活レベルの差があったとも
思えなかったし、30年近く暮らしていて地元で犯罪にあったということもない。
ただし足立区の行政には完全に欠陥がある。田中康夫・浅田彰の対談本『ニッポン解散』(ダイヤモンド社)
の田中氏の発言にある江戸川区のような方向性がまったく欠け、財政危機の中でいまだに箱物行政を続けている。
このままでは本レポートで指摘された問題が顕在化しかねない。第二東京タワー構想(幸い誘致合戦に負けたが)
が好例。
以下同書から引用→「東京の江戸川区ってかつては工場と倉庫と集団暴走行為の
イメージだったけど、今や若い夫婦にアンケートを取ると都内で一番住みたい街
になっているでしょ。なぜかといえば、小学校に上がるまでの医療費が無料とか
保育園も延長保育が無料とか、充実している。更に、15分で大手町まで行けて、
銀座やディズニーランドにも近い。賃貸や社宅に住んでいる層は、そこの自治を
見て選択するようになってきている。こうした形でいい意味の自治体の競争を
しないといけないんだ」

文芸春秋といえば、約10年前の連載『規制緩和という悪夢』(内橋克人とグループ2001・同名の
文春文庫に収録)が今の格差社会を完全に予見しており、同作のアメリカ航空業界の関係者や
旧国鉄を解雇された人たちへの取材は古典ともいえる非常に優れた先例といえるし、斉藤貴男の
『機会不平等』も秀作だと思う。しかし今回の佐野氏のルポは残念ながらそれらには遠く及ばない。