★産廃物&盗作屋・田口ランディ監視スレ Part 27★
350 :
無名草子さん:
ランディの言葉を信じるなら、兄が亡くなったのは85年夏。
それから1年後にこういうことが書けるって、いったい……。
01065/01067 RANDY 【日々の旅の記憶】vol.46
( 6) 96/08/26 23:31 01061へのコメント
「嘘の恋人」
夕方、ソファでうたた寝をしていたら、なぜか死んだ兄の夢を見た。
夢の中で私は兄の恋人のふりをしている。
兄の新しいアパートに行く。
きっかけは思い出せないけど、私はそこで妹ではなく別の女のふりをするの
だ。別に変装しているわけでもないのに、兄は私が妹じゃなく別の女性だと思
い込む。そして私に恋をする。暗い木造のアパートに、私は兄を訊ねている。
私は兄とすごく親しげに恋人同士の会話をしている。
「隆雄さんって、変わってる」
と言って、私はうふふと笑う。それはいかにもフェロモンを出している女の
擬態で、私は完全に態度で兄を誘惑している。
兄はそんな私の前で、うれしいような照れ臭いようなうつむき方をする。
(ちょろいもんだ)
って私は思っている。
351 :
無名草子さん:02/05/23 23:54
350つづき(抜粋)。
部屋の外で、兄が他の住人に私のことを自慢げにしゃべっているのが聞こえ
る。
「知りあったってわけでもないけど、こうして来てもらったら悪い気はしな
いやね。自分もいろいろ考えてることもあるし……」
兄の話しは相変らず一方的でちぐはぐだったけど、恋人ができたことを喜ん
でいるのだけはありありとわかった。
私と兄と腕を組み、これ見よがしに仲よさそうに、気取ってしなを作って階
段を降りていく。それなのに私は心の中ではすごくいぢわるだ。
(なんだって兄は、私が妹だってことに気がつかないんだろう。やっぱりこの
人はどこか異常なんだ。こんな男に恋人なんかできるわけがないしなあ。も
し、私が他人だったらこの人を好きになることはない)
そんな風に心の中で確信している。
(こんなしんき臭い男、絶対に嫌だわ)
って。
兄は私の肩の方に頭を寄せて甘えてくる。
べたべたとした髪の感触が頬につく。
子供のような甘え方に、あたしは全身に鳥膚が立つほど嫌悪する。
どうしてこの人は私を妹だと気がつかないのだろう。それともわかってはい
るけど、認めるのを拒否しているのだろうか。
私は途方に暮れてしまう。
今、私が妹だと兄に言ったら兄がどんなに怒るかと思うと恐ろしくなってく
る。だますつもりはなかったのにだましてしまった。
あたしはひどく後悔する。とんでもないことをしてしまったと思う。
「ごめん、あたし、疲れたから寝るね」
と私は兄をそれとなく拒否する。
352 :
無名草子さん:02/05/23 23:54
351つづき(抜粋)。
兄の絶望と怒りが空気を通して伝わってくるのだ。
そして、ふと気がつくと、兄の体がどんどん小さくなっていく。どんどん小
さくなって、どんどん縮んでいく。1メートルになって、50センチになっ
て、とうとうしまいには10センチほどになって、手に乗るくらいに小さくな
ってしまう。
なんてことだ、どうしたことだ。
わたしは小さくなった兄を手の平に乗せる。兄はあたしの手の平でぐったり
している。もしかしたら死ぬかもしれない、ってあたしは思う。
兄は私の手の平でぐったりしている。どうしよう。病院に連れていかなけれ
ば。精神科に連れて行こうと思う。もう私ではどうすることもできない。小松
崎病院はどうだろう、と思う。しかし場所がよくわからないし、もう夕方で診
療は終わっているかもしれない。やはり救急車で運んでもらうのが一番いいと
思う。もう一度、別の公衆電話から電話をかける。
今なら、まだ間に合う。
もう一度、大切に大切に、たくさん優しくして育てれば、きっと元の大きさ
に戻るはずだって、あたしはなぜか確信している。
(おわり)
353 :
無名草子さん:02/05/24 00:17
猿スレッドが上がるたびに、他のスレッドに不自然なレスがつくのは気のせい?
354 :
無名草子さん:02/05/24 00:18
351と352の間。順番がめちゃくちゃでスマソ。
場面が変わる。
兄と二人で散歩してる。兄はだんだん私を疑いはじめている。
「どうして、いつもの人たちからキャンプの誘いが来なかったんだい?」
兄が私に話しかけてくる。声に曇りがあって少し震えていた。
実は誘いは来ているのだ。恋人ではなく妹の私に。
私は妹でありながら恋人のふりをしている。同じ顔、同じ姿なのに兄は気が
つかないなんて変だ。最初は兄が喜ぶと思って恋人のふりをしてたけど、まさ
か本当にこんなことになるなんて思いもしなかったのだ。今はバレたらどうな
るのだろうと不安でたまらない。
でも、しゃべっているとだんだんボロが出てくる。
兄はしだいに無口になってしまう。
もうほとんどこの事実をわかりはじめているくせに、認めようとしていない
のだ。私が妹だと知ったら、兄は私を殺すかもしれない。怖かった。なるべく
人通りの多い道を歩こうと思った。
私たちは故郷の道、それも昔の家があった方の道を駅に向かって歩いてい
る。
私は兄にいっしょうけんめい話しかける。
「ねえ。隆雄さんは、子供の時はどんな子供だったの?」
兄はあまり答えない。怒っているみたいだ。
「かわいい子供だったよ。おとなしくてね」
それから何か言葉をかわして、私はますますボロを出してしまう。知ってい
るはずのないことを私は知っている。だって妹なんだもん。
私は恐ろしくて、兄の方を見ることができない。
355 :
無名草子さん:02/05/24 00:22
350で間違い一つ。ランディのお兄さんが亡くなったのは「95年」でした。すんまそん。