【盗作猿】ランディの日記を先取り予想だ!【パクルなよ】

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36新作書いてみました〜
■懐かしい
 ミサンガを見て
 バリで憂いて。

 すっかりバリで新しい自分になって気持ちよく過ごしてた4日目。
欧米の金持ちや、日本のパラサイトOLが寝そべるビーチで、アタシも
女王になった気分で、ビーチチェアに横になっていた。
 もう日本になんて帰りたくないなー、でもモモやダンナが待ってるし
なー、なんて、贅沢な悩みブランコで夢うつつだった。そんなアタシの
手首をいきなり、ギュッとダイコンを引き抜くみたいにつかんだ誰かがいた。

 まさか、異国の地でナンパ!?と嬉しくなったアタシは、カッコつけて
かけていたサングラスを上げて、その腕を見た。いい男であることを
期待して。
 するとどうだろう。掴んだ主は、現地の土地のみすぼらしい衣装を
まとった老女だったのだ。おまけに、勝手にアタシの腕に老女が作ったで
あろうミサンガを、いくつもいくつも固く結び付けているのだ。
 バカみたいに口をポカーンと開けたアタシを、周囲の人は誰も助けようと
しない。というかさ、なんでアタシだけ? アタシに何か老女が感じたのか?
 艶やかなミサンガは、ビックリしている間にゆうに10本は、腕に
巻き付けられた。これは祝福? それともビーチでのサービス?
 なんかこう、凄く嬉しくなってしまったのだ。うまく言えないけど。
バリとアタシを繋ぐ運命の手綱のような気がしたのだ。老女はアタシを
選んで、民族模様の入ったミサンガを結んでいるのだ。よく聞き取れないが、
呪文のような、気持ちよくなるフレーズを繰り返している。
 まるで子守唄のようだ。

 アタシは老女の気の済むまで、やらせようと思ったんだ。
この出会いも運命なのだろう。名も知らぬ老女と、心が通じ合った気がしたんだ。
 だけど。
同行してたMさんが、怒声を発しながら近寄ってきた。老女を手で追い払う
仕種までしている。猛烈に腹がたった。
「何すんのよ!Mさん!アタシがやらせてんだから、いいじゃない!」
そう叩き付けるように言うと、ちょっとMさんは面喰らっていた。
「本当ですか?」
呆れたようにアタシを見下ろしている。
「ランディさん、じゃあ、早くお金払ってやんなきゃ」
「どういうこと?」
「さっきから、この婆さん、1本1000ルピアって言ってるから」

 そうなのだ。アタシが子守唄と思って聞いていたのは、老女の売り文句だったのだ。
その時のアタシは、きっと、バリの夕日より真っ赤だったに違いない。ちくしょー。
「払ってやるわよ!」
 脇に置いてたバッグから財布を取り出し、老女に10000ルピアの紙幣を投げつけた。
怒りの羞恥でわけわかんなくなってたと思う。一瞬にして、アタシの幻想は
打ち砕かれたわけだ。Mさんは苦笑してるし、老女は金を掴むと猛然と消えていった。
 こんなものに大金をはたいたアタシ。まさにおバカ丸出しなんだろう。
その場で引きちぎろうとしたが、なんでだろう、なぜかできなかった。
 老女は悪くないのだ。金を持ってそうに見えた日本人に狙いをつけただけなんだろう。
ならば、アタシは喜んで払ったのだから、それでいいじゃないか。
 そう考えたら、スーッと怒りが静まり、晴れ晴れとした気分になった。

 この原稿を書きながら、改めてまだ腕に巻きついてるミサンガに目をやる。
またいつかバリを訪れる日までの、アタシとバリの運命の糸のような。
そんなくすぐったい設定を思いついたりして、乙女気分を味わっている。
37無名草子さん:02/04/18 14:24
あと可能性としては、ウブドゥが芸術の村だということで、例によって自分は
書くことに選ばれし人間でこの地には縁があって、
とかなんとか尻がもぞがゆくなりそうな
話をからめてくるか、ウブドゥのライステラス(棚田)、田園地帯ならではの
あの湿気を、濃密な空気がどうのこうので――とかそんな感じが考えられますかな?