★産廃物&盗作屋・田口ランディ監視スレ Part 23★

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65【乱D文庫-199】 ……悪事がばれて遁走したい盗作猿のぼやき……の巻【3】

畜魔書房 田口ランディの日記 http://www.chikumashobo.co.jp/web/taguchi/index.html
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4月7日(日)
*私は
 占い師に
 転職したい

 税理士さんがやってくる。
 あまりに細かい収入が多くて、いろんな計算がめんどうで、結局、修正申告を
することになったのだ。ようやく、税金の全容が見えてきたが、それを知った
私はひっくり返りそうになった。
 私はいったい、昨年は何をしてこんなに働いたのだろうと思うくらいの、収入で
あった。まったく予想外だったのでぼう然としてしまった。
 私の収入の50%が税金であり、それをこれから払うということであった。
 まったく、どうしてこんな恐ろしいことになってしまったのであろうか……と、
昨年から私はこればっかり繰り返している。アホみたい。
 税理士さんは「まあ、税金というのは収入以上かかることはないので、働かない
よりは働いたほうがよいかもしれません」という、なんだか妙なことを口走っていた。
 つまり世の中は「働かないよりは働いたほうがいい」くらいに働いておけばちょうど
いいということなのだろう。
 家族のために家を建ててしまったので、税金を払うとほとんど現金が消える。
 しかも25年ローンが残っている。
 あー、あたしって貧乏だったのだ、わははははは。
 あたしは家なんか欲しくなかったんだけどな。免許ももってないから車もいらないん
だけどな。でも長男の嫁だし、将来両親を引き取ることも考えて家を建てちゃったんだ
よなあ。ふう。
 お金って不思議だなあ。印税なんかいくら入っても、いつも税金のことを考えて
なくちゃならなくて、ちっとも裕福な感じがしない。来年の分の税金も予納しなくちゃ
ならないから、現金なんてほとんど残らない。
 夫婦でしみじみ共働きをしていた時のほうが、ずっと余裕があって、心配事がなくて
楽しかったなあ。食事だって、昔も今もいつも納豆と豆腐だし。でもそれが好きなんだもん。
 作家って、もっとお気楽で自由で楽しい仕事だとばかり思っていたのに、ぜんぜんそう
じゃないんだなあ。やたらと評価されちゃうし、人間として正義を突きつけられるし、
失敗するとバカにされるし、会ったこともない人から好かれたり嫌われたりうっとおしいし、
税金と、著作権と、編集者との人間関係の心配ばかりで、ちっとも仕事ができないし。
 つまんない職業だなあ。小説を書くのは好きだけど、作家という職業はもうイヤだ。

 久しぶりに転職したいなあと思った。次に自分が何をやりたいか考えてみた。
 占い師なんかいいなと思った。
 台湾に行ったときに、台湾の首狩り族の末裔の有名な占い師に「あなたは占い師に向いて
いる。その気になって終業すれば3年で台湾一の占い師になれるけど、やってみないか?」
とすすめられたのだ。
 自分でも占い師は相当向いているんじゃないかという気がする。
 バリ島に行って、真剣に考えてみようと思う。ずいぶんいろんな人生を経験したし、
きっと私はすごくいい占い師になれるだろうな、うん。
 占いはカウンセリングとも似ているし、霊能力者の友人もいっぱいいるから、占いを
して、さらに不安だったらお祓いも紹介できるし。湯河原の我が家もいかにも占い師の
家っぽくてなかなかいいな。

 なんにしても、預貯金もリセットされて、まったく私は身も心もすっからかんだ。
 人生はうまく出来ている。

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【以上がエッセイの全文です】