★産廃物&盗作屋・田口ランディ監視スレ Part17★
101 【乱D文庫-98】【名前で“呪い殺し”ー2】
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00465/00468 NBG00773 田口ランディ 恋の結末
( 4) 98/08/23 21:03 コメント数:1
『アイの言霊』33
TEXT BY RANDY TAGUCHI
1998.8.23
「恋の結末」
最初にあたしの前に座ったのは、栗原祐一郎君だった。
栗原君は、端正な面立ちの賢そうな青年で、音楽関係の仕事をしてるらしか
った。いろいろ説明を聞いたんだけど、結局なにをしている人なのかあたしに
はわからなかった。あたしは以前に彼みたいな雰囲気の男の子とつきあったこ
とがあった。もう十数年も前の話だ。
その男の子はちょっと不思議な生い立ちの子だった。ユタカ君って言うんだ
けどね、彼のお父さんは早稲田の教授だったんだけど、ヤマギシ会っていうコ
ミューンに傾倒して、仕事も辞め、財産も放りだし、家族を引き連れて自給自
足の集団生活をするコミューンに入った。ユタカ君はそのコミューンで少年期
から青年期の頭までを過ごしたのだ。なんだか純粋培養された天才みたいな子
だった。
あたしが初めて会った頃、ユタカ君はそのコミューンを出て下界に帰って来
たばかりだった。恐ろしくIQが高くて、そのくせ妙に純粋で、ものすごく自立
してて。当時20歳だったあたしは猛烈に彼から影響を受けた。
あたしはその子に「あんたは自分ってものが全くない」って言われた。
思えば面と向かってその事実をあたしに伝えてくれたのは彼だけだ。
そのユタカ君の不思議な印象と、なぜか栗原裕一郎君は似てた。
どこがってわけじゃないんだけどさ、全体から醸し出されるムードみたいな
もんかな。
もちろんそんなこと話したわけじゃない。
そういうことゆっくりしゃべるようなムードじゃなかったんだ。そん時は。
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