http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20011212-00000077-mai-soci 東大の学生生活実態調査委員会(委員長、市川伸一・教育学部教授)は11日、昨年実施した読書調査結果を公表した。読書冊数は70年代以
降横ばいだが、二大愛読書は「漫画」と「教科書」だった。市川委員長は「狭い意味での勉強と、まるっきりの娯楽の漫画に分かれ、一般教養書を
読まなくなっていることが問題。教養崩壊と言われてもしかたない」と分析している。
読書調査は昨年11月に実施し、対象は学部学生全体の8分の1に当たる1917人。毎年実施されている生活実態調査の一環で、70年代以降
これまで8回行われた。
4月から11月までに読んだ冊数は平均78・2冊。全体の読書冊数に占めるジャンルごとの割合は、漫画が36・2%、教科書が24・2%で、この
二つで6割を超えた。一方、小説は18・6%、教養書は12・4%だった。
前回(89年)は同様の調査をしていないため、毎月の書籍購入額の平均で比べたところ、教科書は前回の6200円に比べ6893円とやや増え
たが、教養書は4100円から2987円と大きく落ち込んだという。
よく読む雑誌のベスト3は「東京ウォーカー」「少年マガジン」「少年ジャンプ」で、いずれも前回のベスト3には入っていなかった。前回3位だった「A
ERA」は9位に後退した。
調査結果を受け同委員会は「教える側が自分の著書を教科書として学生に買わせることを控え、専門にとどまらない幅広い知の領域に学生を誘
うような授業を工夫すべきだ」と提言した。
市川委員長も「受験勉強の気晴らしに漫画を読んでいた小中高までの問題もある。学生がいい成績をとり、いい企業に就職するという実利を求
めて勉強するようでは、大学は役割を果たしていない」と指摘している。 【吉川学】(毎日新聞)