6年ぶりに読んだんですが、めちゃめちゃ泣いてしまいました。
作者は、あの話で何を伝えたかったんでしょうか?
「かわいそう」ということだけじゃないと思うんだけど・・・
みなさんはどうおもいます?
ごん、おまえだったのか・・・。
青空文庫で無料でテキスト手に入るね。
アドレス忘れたけど
私の家のすぐ近くに南吉のお墓があります。
南吉の生家や養家があるあたりは今でも静かなところですが
昔(私が小学生のころ)はもっとほんとに田舎っぽいところでした。
兵十やごんが出てきそうな。
「ごんぎつね」を読んでいると、お互いの思いがすれ違う哀しさ
切なさ、恐ろしさを感じます。
それは南吉の他の作品にも通底するもののように思います。
余談ですが、南吉ゆかりの地のインターチェンジの料金所には
ごんが「びく」を覗いている像がありますよ。
「狐」
「百姓の足、坊さんの足」
「牛をつないだ椿の木」
「おじいさんのランプ」
南吉の作品は切ない…
中学校以降の現代文教科書をもっと大切にすべきだった・・・。
俺の思うに、作者の言いたかったことは
「人生は
いたずら心、改心、思いやる心、すれ違い、離別
の順で推移する」
ということだろう。
10 :
無名草子さん:01/10/18 05:41
本棚探したら文庫があった。
こういうの弱い・・・。
11 :
無名草子さん:01/10/18 21:56
切ない
12 :
無名草子さん:01/10/18 22:38
たまに、ふとラストを思い出して泣きそうになる…。
小学生の時から何回見てもNHKの人形劇で泣しまう。
どうしても忘れたくない話なので、絵本を買いました。
13 :
無名草子さん:01/10/18 23:06
幼稚園のとき、影絵で見た。
影絵といっても、結構大きい市民館でやる大掛りなもの。
人形劇の劇団がやってたんだと思います。
号泣した思い出が…
でも、このお話の悲しさ、切なさがよく幼稚園児にわかるもんだと思います。
まわりの子みんな泣いてた。
理屈じゃないんだなあ。
14 :
無名草子さん:01/10/18 23:28
小5の時、授業研究会かなんかのせいで全文書き取りやらされた。
以来あんまり接したくなくなってしまった。いい話には違いないんだが。
中山勝○先生、あなたのせいです。
15 :
無名草子さん:01/10/18 23:36
16 :
無名草子さん:01/10/18 23:58
雑誌MOEより〜
兵十に撃たれて倒れたごんの描写のところで、絵本は
「ごんは/ぐったりと目をつぶったまま/うなずきました」
とあるのが、草稿では
「ごんは/ぐったりと目をつぶったまま/うれしくなりました」
と書かれているのを見つけたのです。
兵十の気持ちは、ごんに通じていたのです。
…不覚にもまた泣けてしまったよ。
17 :
無名草子さん:01/10/19 00:38
私の先生はごんのしたことはとても傲慢なことだという解釈をしていた。
兵十としては撃つまではごんのいたずらに困っていると思ってたわけだし、
そんなごんが実はいろいろ持って来てくれていたのだと、撃ってから知って、兵十は一生その苦しみを背負わなければならない。
草稿で「うれしくなりました」とあるのも、ごんの自己満足のあらわれだ。みたいな。
まあこれは先生の解釈なので…
やっぱり泣けますよね。私は泣けます。本屋で立ち読みしてて泣きたくなる。
18 :
無名草子さん:01/10/19 01:11
19 :
無名草子さん:01/10/19 02:07
20 :
無名草子さん:01/10/19 12:43
高橋源一郎の元・奥さんが書いた小説で、主人公が『ごんぎつね』の世界に入り込む話があって、これはマニアにはオススメなんだけど、元・奥さんの名前もタイトルも忘れちゃった。たぶん朝日出版社から出てたはず。
馬鹿野郎!!!!!!泣いてしまったじゃないか!!!!!!
>ネト上小説アプした奴
22 :
無名草子さん:01/10/19 13:36
ゴンお前だったのかぁ〜
23 :
無名草子さん:01/10/19 13:54
新美南吉の話は切なすぎる。久助三部作が痛くて痛くてしょうがない。
卑怯者であることを気づきながらそれを肯定することで自分を保とうとする久助君がやっぱり痛い。
上で出てる青空文庫に載ってるので是非。
「うた時計」も好きだなぁ…
“花ノ木村と盗人たち”の盗人たちの間抜け具合も好きだけど。
南吉なら「てぶくろを買いに」かわいらしくて良いよ。
彼に珍しくハッピーエンド、小学校1年の頃からの愛読書。
もう暗唱できるくらい読んだ。
25 :
無名草子さん:01/10/19 16:14
「人間、取り返しがつかない時まで分かり合えないこともある」ってことかな・・・ごんはキツネだけど。
漏れは「ごんぎつね」と聞いただけで条件反射で涙が出てしまう。
今も涙で滲んでモニタが見づらい。
あと、
「かわいそうな象さん」「火垂るの墓」「フランダースの犬」なんかも駄目だ。
子供の頃からの刷り込みだから仕方ない。
27 :
nanashi:01/10/19 20:21
17
それは高校の先生?
まあ、評論家は大衆と異なる角度からものを見て語って
なんぼの世界だから。
28 :
無名草子さん:01/10/19 20:23
いっそのこと、ここに全文転載してみる?
29 :
無名草子さん:01/10/19 21:54
リンク張れば済む。
絵が幻想的なやつ あれ欲しいな。
≫2 その台詞忘れられない。
私は絵本ではなく、影絵のお芝居で知りました。
幼稚園の時、園からみんなで映画館みたいな所に観に行った記憶が
あります。その頃誰と仲良しだったのかはハッキリ覚えてないのですが、
胸が締め付けられる程悲しい話だった事、シートが朱色だった事はハッキリ
と覚えています。
33 :
ミステリ板住人:01/10/20 20:41
私も、ごんぎつねは大好きな話しです
読書好きな一般書籍板住人の方に、とても読みやすい、ごんぎつねの研究書を
紹介します。
「ごんぎつね」をめぐる謎 府川源一郎 教育出版
また、新美南吉の作品を、たくさん読みたい人には、
新美南吉童話大全 講談社スーパー文庫
34 :
無名草子さん:01/10/20 23:02
>24
「おててがちんちんする」っていうのが
レベルの低い小学生の笑いのツボをヒットして
しばらくクラスで流行しました。
35 :
無名草子さん:01/10/22 01:44
ごん…
36 :
無名草子さん:01/10/22 13:54
新美南吉スレは宮沢賢治にやっぱり勝てないなぁ。
泣けるよね。
あと、こないだ本屋で「泣いた赤鬼」立読みしてて泣いた。
38 :
無名草子さん:01/10/25 22:03
こどもアニメ鑑賞会とかでやってた日本昔ばなしの長編アニメは号泣
したなあ。
たしか最初にごんぎつねの母狐が猟師に撃ち殺されるシーンが追加
されていて更に切ない内容に。
39 :
無名草子さん:01/10/26 12:31
>38
>最初にごんぎつねの母狐が猟師に撃ち殺されるシーンが追加
実際にアニメを見ないでいうのも何だが、それは改悪だと思うぞ。
40 :
無名草子さん:01/10/26 15:27
41 :
無名草子さん:01/10/27 02:31
42 :
無名草子さん:01/10/28 21:42
age
43 :
無名草子さん:01/11/02 22:37
新美南吉の話でみんなどれが好きよ?
「アボジのくに」好きだなぁ。漏れ。
44 :
無名草子さん:01/11/02 22:42
これは、私(わたし)が小さいときに、村の茂平(もへい)というおじいさんからきいたお話です。
むかしは、私たちの村のちかくの、中山(なかやま)というところに小さなお城があって、中山さまというおとのさまが、おられたそうです。
その中山から、少しはなれた山の中に、「ごん狐(ぎつね)」という狐がいました。ごんは、一人(ひとり)ぼっちの小狐で、
しだの一ぱいしげった森の中に穴をほって住んでいました。
そして、夜でも昼でも、あたりの村へ出てきて、いたずらばかりしました。
はたけへ入って芋をほりちらしたり、菜種(なたね)がらの、ほしてあるのへ火をつけたり、
百姓家(ひゃくしょうや)の裏手につるしてあるとんがらしをむしりとって、いったり、いろんなことをしました。
或秋(あるあき)のことでした。二、三日雨がふりつづいたその間(あいだ)、
ごんは、外へも出られなくて穴の中にしゃがんでいました。
雨があがると、ごんは、ほっとして穴からはい出ました。空はからっと晴れていて、
百舌鳥(もず)の声がきんきん、ひびいていました。
ごんは、村の小川(おがわ)の堤(つつみ)まで出て来ました。あたりの、すすきの穂には、まだ雨のしずくが光っていました。
川は、いつもは水が少(すくな)いのですが、三日もの雨で、水が、どっとましていました。
ただのときは水につかることのない、川べりのすすきや、萩(はぎ)の株が、黄いろくにごった水に横だおしになって、もまれています。
ごんは川下(かわしも)の方へと、ぬかるみみちを歩いていきました。
ふと見ると、川の中に人がいて、何かやっています。
ごんは、見つからないように、そうっと草の深いところへ歩きよって、そこからじっとのぞいてみました。
「兵十(ひょうじゅう)だな」と、ごんは思いました。
兵十はぼろぼろの黒いきものをまくし上げて、腰のところまで水にひたりながら、
魚をとる、はりきりという、網をゆすぶっていました。
はちまきをした顔の横っちょうに、まるい萩の葉が一まい、大きな黒子(ほくろ)みたいにへばりついていました。
しばらくすると、兵十は、はりきり網の一ばんうしろの、袋のようになったところを、水の中からもちあげました。
その中には、芝の根や、草の葉や、くさった木ぎれなどが、ごちゃごちゃはいっていましたが、
でもところどころ、白いものがきらきら光っています。それは、ふというなぎの腹や、大きなきすの腹でした。
兵十は、びくの中へ、そのうなぎやきすを、ごみと一しょにぶちこみました。
そして、また、袋の口をしばって、水の中へ入れました。
兵十はそれから、びくをもって川から上(あが)りびくを土手(どて)においといて、何をさがしにか、
川上(かわかみ)の方へかけていきました。
兵十がいなくなると、ごんは、ぴょいと草の中からとび出して、びくのそばへかけつけました。
ちょいと、いたずらがしたくなったのです。ごんはびくの中の魚をつかみ出しては、
はりきり網のかかっているところより下手(しもて)の川の中を目がけて、ぽんぽんなげこみました。
どの魚も、「とぼん」と音を立てながら、にごった水の中へもぐりこみました。
一ばんしまいに、太いうなぎをつかみにかかりましたが、何しろぬるぬるとすべりぬけるので、手ではつかめません。
ごんはじれったくなって、頭をびくの中につッこんで、うなぎの頭を口にくわえました。
うなぎは、キュッと言ってごんの首へまきつきました。そのとたんに兵十が、向うから、
「うわアぬすと狐め」と、どなりたてました。ごんは、びっくりしてとびあがりました。
うなぎをふりすててにげようとしましたが、うなぎは、ごんの首にまきついたままはなれません。
ごんはそのまま横っとびにとび出して一しょうけんめいに、にげていきました。
ほら穴の近くの、はんの木の下でふりかえって見ましたが、兵十は追っかけては来ませんでした。
ごんは、ほっとして、うなぎの頭をかみくだき、やっとはずして穴のそとの、草の葉の上にのせておきました。
45 :
無名草子さん:01/11/02 22:45
十日(とおか)ほどたって、ごんが、弥助(やすけ)というお百姓の家の裏を通りかかりますと、
そこの、いちじくの木のかげで、弥助の家内(かない)が、おはぐろをつけていました。
鍛冶屋(かじや)の新兵衛(しんべえ)の家のうらを通ると、新兵衛の家内が髪をすいていました。
ごんは、
「ふふん、村に何かあるんだな」と、思いました。
「何(なん)だろう、秋祭かな。祭なら、太鼓や笛の音がしそうなものだ。
それに第一、お宮にのぼりが立つはずだが」
こんなことを考えながらやって来ますと、いつの間(ま)にか、表に赤い井戸のある、兵十の家の前へ来ました。
その小さな、こわれかけた家の中には、大勢(おおぜい)の人があつまっていました。
よそいきの着物を着て、腰に手拭(てぬぐい)をさげたりした女たちが、表のかまどで火をたいています。
大きな鍋(なべ)の中では、何かぐずぐず煮えていました。
「ああ、葬式だ」と、ごんは思いました。
「兵十の家のだれが死んだんだろう」
お午(ひる)がすぎると、ごんは、村の墓地へ行って、六地蔵(ろくじぞう)さんのかげにかくれていました。
いいお天気で、遠く向うには、お城の屋根瓦(やねがわら)が光っています。
墓地には、ひがん花(ばな)が、赤い布(きれ)のようにさきつづいていました。
と、村の方から、カーン、カーン、と、鐘(かね)が鳴って来ました。葬式の出る合図(あいず)です。
やがて、白い着物を着た葬列のものたちがやって来るのがちらちら見えはじめました。
話声(はなしごえ)も近くなりました。葬列は墓地へはいって来ました。
人々が通ったあとには、ひがん花が、ふみおられていました。
ごんはのびあがって見ました。兵十が、白いかみしもをつけて、位牌(いはい)をささげています。
いつもは、赤いさつま芋(いも)みたいな元気のいい顔が、きょうは何だかしおれていました。
「ははん、死んだのは兵十のおっ母(かあ)だ」
ごんはそう思いながら、頭をひっこめました。
その晩、ごんは、穴の中で考えました。
「兵十のおっ母は、床(とこ)についていて、うなぎが食べたいと言ったにちがいない。
それで兵十がはりきり網をもち出したんだ。ところが、わしがいたずらをして、うなぎをとって来てしまった。
だから兵十は、おっ母にうなぎを食べさせることができなかった。
そのままおっ母は、死んじゃったにちがいない。
ああ、うなぎが食べたい、うなぎが食べたいとおもいながら、死んだんだろう。
ちょッ、あんないたずらをしなけりゃよかった。」
46 :
無名草子さん:01/11/02 22:46
兵十が、赤い井戸のところで、麦をといでいました。
兵十は今まで、おっ母と二人(ふたり)きりで、貧しいくらしをしていたもので、
おっ母が死んでしまっては、もう一人ぼっちでした。
「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」
こちらの物置(ものおき)の後(うしろ)から見ていたごんは、そう思いました。
ごんは物置のそばをはなれて、向うへいきかけますと、どこかで、いわしを売る声がします。
「いわしのやすうりだアい。いきのいいいわしだアい」
ごんは、その、いせいのいい声のする方へ走っていきました。
と、弥助(やすけ)のおかみさんが、裏戸口から、
「いわしをおくれ。」と言いました。いわし売(うり)は、いわしのかごをつんだ車を、
道ばたにおいて、ぴかぴか光るいわしを両手でつかんで、弥助の家の中へもってはいりました。
ごんはそのすきまに、かごの中から、五、六ぴきのいわしをつかみ出して、もと来た方へかけだしました。
そして、兵十の家の裏口から、家の中へいわしを投げこんで、穴へ向(むか)ってかけもどりました。
途中の坂の上でふりかえって見ますと、兵十がまだ、井戸のところで麦をといでいるのが小さく見えました。
ごんは、うなぎのつぐないに、まず一つ、いいことをしたと思いました。
つぎの日には、ごんは山で栗(くり)をどっさりひろって、それをかかえて、兵十の家へいきました。
裏口からのぞいて見ますと、兵十は、午飯(ひるめし)をたべかけて、茶椀(ちゃわん)をもったまま、
ぼんやりと考えこんでいました。へんなことには兵十の頬(ほっ)ぺたに、かすり傷がついています。
どうしたんだろうと、ごんが思っていますと、兵十がひとりごとをいいました。
「一たいだれが、いわしなんかをおれの家へほうりこんでいったんだろう。
おかげでおれは、盗人(ぬすびと)と思われて、いわし屋のやつに、ひどい目にあわされた」と、
ぶつぶつ言っています。
ごんは、これはしまったと思いました。
かわいそうに兵十は、いわし屋にぶんなぐられて、あんな傷までつけられたのか。
ごんはこうおもいながら、そっと物置の方へまわってその入口に、栗をおいてかえりました。
つぎの日も、そのつぎの日もごんは、栗をひろっては、兵十の家へもって来てやりました。
そのつぎの日には、栗ばかりでなく、まつたけも二、三ぼんもっていきました。
47 :
無名草子さん:01/11/02 22:48
月のいい晩でした。ごんは、ぶらぶらあそびに出かけました。
中山さまのお城の下を通ってすこしいくと、細い道の向うから、だれか来るようです。
話声が聞えます。チンチロリン、チンチロリンと松虫が鳴いています。
ごんは、道の片がわにかくれて、じっとしていました。話声はだんだん近くなりました。
それは、兵十と加助(かすけ)というお百姓でした。
「そうそう、なあ加助」と、兵十がいいました。
「ああん?」
「おれあ、このごろ、とてもふしぎなことがあるんだ」
「何が?」
「おっ母が死んでからは、だれだか知らんが、おれに栗やまつたけなんかを、まいにちまいにちくれるんだよ」
「ふうん、だれが?」
「それがわからんのだよ。おれの知らんうちに、おいていくんだ」
ごんは、ふたりのあとをつけていきました。
「ほんとかい?」
「ほんとだとも。うそと思うなら、あした見に来(こ)いよ。その栗を見せてやるよ」
「へえ、へんなこともあるもんだなア」
それなり、二人はだまって歩いていきました。
加助がひょいと、後(うしろ)を見ました。ごんはびくっとして、小さくなってたちどまりました。
加助は、ごんには気がつかないで、そのままさっさとあるきました。
吉兵衛(きちべえ)というお百姓の家まで来ると、二人はそこへはいっていきました。
ポンポンポンポンと木魚(もくぎょ)の音がしています。
窓の障子(しょうじ)にあかりがさしていて、大きな坊主頭(ぼうずあたま)がうつって動いていました。
ごんは、
「おねんぶつがあるんだな」と思いながら井戸のそばにしゃがんでいました。
しばらくすると、また三人ほど、人がつれだって吉兵衛の家へはいっていきました。
お経を読む声がきこえて来ました。
48 :
無名草子さん:01/11/02 22:49
ごんは、おねんぶつがすむまで、井戸のそばにしゃがんでいました。
兵十と加助は、また一しょにかえっていきます。
ごんは、二人の話をきこうと思って、ついていきました。
兵十の影法師(かげぼうし)をふみふみいきました。
お城の前まで来たとき、加助が言い出しました。
「さっきの話は、きっと、そりゃあ、神さまのしわざだぞ」
「えっ?」と、兵十はびっくりして、加助の顔を見ました。
「おれは、あれからずっと考えていたが、どうも、そりゃ、人間じゃない、
神さまだ、神さまが、お前がたった一人になったのをあわれに思わっしゃって、
いろんなものをめぐんで下さるんだよ」
「そうかなあ」
「そうだとも。だから、まいにち神さまにお礼を言うがいいよ」
「うん」
ごんは、へえ、こいつはつまらないなと思いました。
おれが、栗や松たけを持っていってやるのに、そのおれにはお礼をいわないで、
神さまにお礼をいうんじゃア、おれは、引き合わないなあ。
49 :
無名草子さん:01/11/02 22:49
そのあくる日もごんは、栗をもって、兵十の家へ出かけました。
兵十は物置で縄(なわ)をなっていました。それでごんは家の裏口から、こっそり中へはいりました。
そのとき兵十は、ふと顔をあげました。と狐が家の中へはいったではありませんか。
こないだうなぎをぬすみやがったあのごん狐めが、またいたずらをしに来たな。
「ようし。」
兵十は立ちあがって、納屋(なや)にかけてある火縄銃(ひなわじゅう)をとって、火薬をつめました。
そして足音をしのばせてちかよって、今戸口を出ようとするごんを、ドンと、うちました。
ごんは、ばたりとたおれました。兵十はかけよって来ました。
家の中を見ると、土間(どま)に栗が、かためておいてあるのが目につきました。
「おや」と兵十は、びっくりしてごんに目を落しました。
「ごん、お前(まい)だったのか。いつも栗をくれたのは」
ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。
兵十は火縄銃をばたりと、とり落しました。
青い煙が、まだ筒口(つつぐち)から細く出ていました。
50 :
無名草子さん:01/11/02 22:50
51 :
無名草子さん:01/11/15 00:17
age
53 :
無名草子さん:01/11/15 02:15
南吉がこの話を書いたのが俺と同じ十八。
………………何ともシナリオライター(ゲームだけど)を目指す自分としては鬱になる話だな。
54 :
無名草子さん:01/11/15 07:37
>>53 君が、新美南吉になることはない。
君は君自身になればいいんだ。
若いんだから頑張れ!
55 :
無名草子さん:01/11/15 08:48
>>54 ありがとうございます。
いや、十八でここまでの構成力があるというかこれだけ書けたんだから頑張らなきゃ、
と言う自戒も込めて鬱と。普通に確かに鬱になりますが。
手前勝手にラインを引いて勉強まだまだ足りないとか逃げてないで取りあえずパワーで押し切ろうと思いました。
強引でもごり押ししようと。
南吉が十八であれだけ書いた、俺も負けんと言うぐらいの気概を持って。
56 :
無名草子さん:01/11/15 08:51
本当に、短いけれどもいい話だなぁ…。
まぁ、新美南吉は昔の人なので、今だったら20代半ばぐらいに考えていればいいのでは。
それにしても若いか。
57 :
無名草子さん:01/11/15 13:19
読みました。うまいですね。余計なこと書いてないし。
58 :
無名草子さん:
age