ふる〜い本の探し方、買い方、保存の仕方

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1:01/09/24 16:19
長い間、探していた18〜19世紀の本が意外に安く手に入ることがわかりました。
イギリスの古本検索システムで、既に何冊か入手してみました。
届いたのは本当に!ぼろぼろの本で、嬉しいのは嬉しいのですが、いい買い物をしてるんだか
よくわかりません。どうやって保存したらいいかも心肺機能低下。
ふるーい本の探し方、買い方、保存の仕方に詳しい方、いらっしゃいませんか?
2:01/09/24 16:24
ちなみに僕が使ったのはabebooks.comというところで、
19世紀(1872)のフランスの歴史資料(といっても通俗歴史本)を購入しました。
届いたのは一応全ページ揃ってはいそうなもののボロボロの本で、一部補修がしてあるものの
ページがガタガタで怖くて読めそうにもありません。(コピーを取るのも怖い)
補強、というほど大げさなものでなくても、本がこれ以上傷まないようにする手段、ありませんかね?
3無名草子さん:01/09/24 18:43
当時の製紙方法から言って中和作業を行わなければ、
傷む一方だと思われ。
・・・ゴメン、対処方の詳細は知らん。
つか、オイラの持ってる今世紀初頭の本ですら、
頁を捲りたくないよん。
43:01/09/24 18:44
うわっ!しもた。
前世紀の話やんけ!
5古本屋店員A:01/09/25 00:19
洋書は信じられないほど湿気に弱いので、エアコン必須、乾燥剤必須。
酸性紙の中和方法についてはいろいろあるらしいが、詳細不明。
中性紙で包んでおけば破壊の進行はある程度止まるらしい。
一部の近代文学系の古書店で箱に入れてあるのはそれ。
あと、中和させるためのスプレーがあるはず。

補修については、専門の業者もあるが、たかだか数万円の本に
金かけて直すのもしんどいわな。
ここ100年ぐらいの本なら、木工用ボンドでいけるはず。

低コストで綺麗に直したいなら、製本教室で学べば本の構造について
詳しくなるはずだから、まずはそこからかな。
6:01/09/25 00:59
>1 保存について.
 グラシン紙(パラフィンに似た半透明の薄紙)で包むのが先ず第一.
 汚破損の進行を軽減できます.

 [ぼろぼろ]というのが、表紙だけなのか本文頁なのかで違いますが、
 表紙も革装など種類によって対策は千差が在ります.
 紙の別にも因りますが19c後半の本で本文頁が繰るのも憚られる状態ということは、
 ハズレだったのかもしれません。

>3に連関して、
酸性紙の経年劣化のことを≪スロー・ファイア(ゆっくりな火事)≫と云います.

>5
>ここ100年ぐらいの本なら、木工用ボンドでいけるはず。
 和糊(デンプンのり)で充分です.
 部位によってビニダインと割って使用しましょう.

>低コストで綺麗に直したいなら、製本教室で学べば本の構造について
 詳しくなるはずだから、まずはそこからかな。
#激しく同意です. 面白いですヨ.
7:01/09/25 17:00
ありがとございまする 参考にいたしまする。
古本の(稀有本、といったほうがいいのか?)リスト眺めていたらいろいろいろいろと。。。
ベーコン初版本、300万円。17世紀ノストラダムス(購入者書き込みつき)、64万円。
Gazette d'Amsterdam、一部欠落あり、700万円。
こういうマーケットってあるんですね。いくら損傷が多くても、当時の本ってのは汚れすら香しく思える。
危険な世界なのかな?
8古本屋店員A:01/09/28 16:23
>>6
いろいろ参考になった。
ちょい質問いいかな。

>和糊(デンプンのり)で充分です.
>部位によってビニダインと割って使用しましょう.

和糊の強度ってどのくらい?
背割れの酷いものになると、背の糊を半分以上削って修復している
んだけど、以後の読書に堪えられるぐらい?
あと、ビニダインって何?

70年代のマンガは糊が脆弱で困るよ(汗
9無名草子さん:01/09/28 17:41
>>7
最近、アメリカの古本コレクター夫妻の話が文庫で出てますよね。
(今正式タイトル失念)
今も新本で読める本でも、その当時の装丁とか、その当時から
本そのものが背負ってきた歴史に触れるとかに価値があるのかなと
自分は思いました。 スレ違いか?失敬。
10古本屋店員A:01/09/28 18:50
11:01/09/29 00:08
>8
和糊(デンプンのり)
 :乾いてからも水に溶けるので修正が可能.世人のイメイジよりも実は強力.
  本文頁に有効なのはこれのみ.跡がほとんど残らないのが好い.食べられる(^^.
ビニダイン
 :水溶性だが乾くと水に溶けない.和糊より強力.乾くと透明だが光沢がでる.速乾性.
  木工用ボンドににた色・におい.成分などはよく知りません.背近辺にはコレ.食べたことない.
混合のり
 :上の2つを混ぜたもの.双方の濃度と水との割合であらゆる部位に対応(させる).

>背の糊を半分以上削って... この部分がよく判りません;
 ホローバックの背なら、表紙と本文をひっぺがして
(両面のきき紙にのどから1-2Cm(寒冷紗のはみ出し具合による)の切込みを入れ丁寧に剥がす)、
 表・背・裏を切り分けて新しい芯紙を入れてクロスで包み、
 表・裏表紙を覆う様に接着(つまり新しく「ひらの出」が出来る).
 本来の背を表面だけ剥がして元の標題を整形して接着.
 前後の見返しの遊びと本文にわけ、ボロボロになった寒冷紗(網みたいな布)を取り除き
 「裏打ちキャラコ」という布に替えてウマイ具合に接着(かなり端折って居ます;;).
 プレス+乾燥させて完成.
って全然意味不明ですね.よいWEBペイジが在れば、どなたか教えてください.

>9-10
 知らなかったです.ありがとう存じます.
#鹿島茂『子供より古書が大事と思いたい』文春文庫1999
 はいかがでしょう?                     長文失礼.
12古本屋店員A:01/09/29 09:56
>>11
いろいろありがと。
参考になった。
とりあえず、買いそろえてみるよ。

>>背の糊を半分以上削って
>... この部分がよく判りません;

ソフトカバーの本で、本そのものから表紙だけが外れるときがあるんだ。
この場合に、そのまま糊を付ければ、糊の厚みの分だけ形が歪むだろ。
だから、糊をカッターナイフで削るのよ。
ホントは捨てた方がいいんだけどね。

オレは売り物を修理しているから、できるだけ元の形に見えるように
しないといけない。表紙をひっぺがすなんて出来ないのよ。
13:01/09/29 10:45
>12
 アイ.売り物の話しなんですね。
 委細承知しました。

カターナイフだと難儀しそうですね。凸凹しそう.

#この場合削らずに、
1.背の部分に和糊やや多めの混合のりを薄く塗って背を下にして立てて乾燥.
2.両方のノドの部分に5o幅で和糊を引いてプレス.
 するのが最良かと考えます.厚みは殆どでないと想います.

逆にいえば製本時、2.にあたるノドの部分の糊の利きが甘かった為に、
表紙の乖離がおこったと想定できるようにおもえましたが、如何デショ.
14:01/09/29 10:53
>13捕捉:
のりを塗る筆・刷毛の選定にも注意が必要です。
コシの加減で作業のし易さ・仕上りが全ッ然、変わります.
15:01/10/06 13:23
≪古書店めぐりは夫婦で≫
  R&N.ゴールドストーン (著), その他 文庫 (1999/09/01) 早川書房 価格(税別)¥680
上の続刊
≪旅に出ても古書店めぐり≫
  R&N.ゴールドストーン (著), その他 文庫 (2001/02/01) 早川書房 価格(税別)¥720

購入して一気に読了しました.面白かったです.

再掲#鹿島茂『子供より古書が大事と思いたい』文春文庫1999
 フランスの古書についてです.こちらも楽しく読めますよ.
16古本屋店員A:01/10/06 17:07
>>13
遅レス失礼。
まだその剥離本が出てきてないので試せないが、
次の本でやってみるつもり。
糊は筆で塗るんだな。
木工用ボンドの口から直接出していたよ。
和糊はそういうもんか。

表紙の剥離がどうして起こるのかはまだ判らないけど、
指摘してくれたノドの糊も関係していると思う。
あとは、糊の劣化だな。
やっぱり70年代の本がよく剥がれる感じがする。
あと、表紙の紙質も関係しているよう。

>鹿島茂『子供より古書が大事と思いたい』文春文庫1999

これも読んでみるよ。
17無名草子さん:01/10/17 09:14
カビ防止には電子レンジがよいと習いました。
エアコンもいいけど、菌を殺しとかないと
海外ものは、おそろしいことになります。
酸性紙の処理は、手間もかかるし個人では難しいでしょう。
18さがりすぎ:01/11/03 16:26
セロハンテープ・ガムテで補修したつもりなってる奴は逝ってよし。
19無名草子さん:01/11/03 16:32
>>17 だけど電子レンジは用心したほうがいいよ。昨今の炭疽菌騒動
で、米国では郵便物を電子レンジにかけて“殺菌”しようとする人が
いるらしい。しかし電子レンジは急速に水分を蒸発させてしまい、その
結果、紙類だと急激に温度が上昇して発火する危険があるとのこと。
まして金属製のもの(金属箔やピンなど)が製本で使われていれば、
そこから放電して発火するので、電子レンジは危険ですよ。やっぱり
陰干しがいいのでは……。
20:01/11/03 16:42
>17&19
まだいらっしゃったんですね!よかった。
お聞きしたかったのですが、
どちらで「習った」のですか?

やっぱ曝書・曝涼が基本ですかね。
21無名草子さん:01/11/03 16:45
みなさん詳しいですねえ、図書館の人みたい。
すごいなあ。
22詳しくは都立図書館へ:01/11/03 19:47
先週くらいだっけ?
新たに、酸性紙を中和させるシステムが出来たような話があったけど・・・。

有料でもい〜から、サービスを公開して欲しい・・・。
23:01/11/04 04:58
1箇月位前にも東農大の教授が技術開発して、
どこかの企業が図書館向けにウンタラカンタラという記事を日経で観ました。

探しに逝ってきます。
24:01/11/04 06:17
>>22-23 ありました。
 都立図も出ているので同じ話題でしょうか?
__________________________________________
01/10/2001 日経朝刊
≪日本ファイリング、本の寿命3―5倍に、
       化学処理で酸性紙を中和――図書館など対象≫
 書庫システム大手の日本ファイリングは、図書館などの蔵書の劣化を防ぐサービスを始めた。
一九九〇年以前の出版物の多くは酸性の印刷用紙を使っていたため、
出版後五十年程度経過すると紙の水分が蒸発して本が崩れやすかった。
化学処理を施し酸性紙を中和することで、本の寿命を従来の三―五倍に延ばす。

 新技術は東京農工大学の大江礼三郎名誉教授らと開発した。
アンモニアガスと酸化エチレンガスを使って紙に含まれる酸性物質を中和し、
保湿効果を持たせると、本の寿命が百五十―二百年になるという。
まず東京都立図書館から一万三千冊の処理を受託した。
 欧米で主流の本を液体中に浸す方法はページごとにばらす手間がかかっていた。
日本ファイリングは専用プラントの中にガスを送り込むため、
一度に四十冊程度の本を内部まで均一に処理できる。
料金は一冊当たり八百円程度。二〇〇三年三月期に二十万冊の受託処理を目指している。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
25詳しくは都立図書館へ:01/11/04 09:28
22です。

24さん、どうもありがとう。です。
26:01/11/04 13:37
>>24日付は2001年10月01日です。
27無名草子さん:01/11/13 20:20
あげます。
28無名草子さん:01/11/13 22:05
>27 某スレの504さんですか?
29無名草子さん:01/11/13 22:13
うわお、すごいディープな方々が集っておられる…面白い、勉強になります
ねー。
荒俣宏さんや鹿島茂さんはどうしてらっしゃるんでしょうかね。
日比谷図書館は3月くらいまで建物の補修のあいまに、児童書とかの
酸化、傷みの対策もやっちゃうそうですが。
30:01/11/13 22:30
≪資料保存協議会≫というサイトが在ります。

そのなかに過去に専門誌等に掲載された、
論文・記事が転載されて居るペイジがなかなか勉強になります。
御覧なってはいかがでしょう。

<CON-CON LIB>
http://www.con-con.org/conconlib.htm
3127:01/11/13 23:23
>>28
はい、そうです。
でも、私は20年くらい前で困ってたので、ちょっと場違いかも。
と思いました(笑)
32>31:01/11/14 00:57
どんなことでお困りダータのですか?
3317:01/11/14 05:42
>>20
ずいぶん遅くなりました。
電子レンジの話は、3-4年前に保存科学の実習をやってた頃聞いたもので、
紙(書籍)の実習は、パリの国立自然史博物館内の研究所でありました。
古書(紙)と羊皮紙の保存についての講義で、酸性紙対策、
害虫・害獣対策、湿度管理が 主な話題。
トラウマになるくらい被害状況のスライドをみせられました。

なお、そこで使ってる電子レンジは特注のものですが、
サイズが大きいほかは、市販のものとどう違うのかは失念しました。
蚤の市等、明らかにやばそうな所で本を買うことが多いため、
あとで質問してみたところ、まだカビが出てなくても、
日本に持って帰るつもりなら、市販のレンジでもいいから
絶対やっとけ、という回答。
酸性紙の処理は大がかりすぎるのであきらめました。
34無名草子さん:01/11/14 06:28
>>33
>日本に持って帰るつもりなら、市販のレンジでもいいから
>絶対やっとけ、という回答。

 ひょっとすると日本の蒸し暑さが過大評価されているかも……。京都のような
糞暑い土地でも御物の紙類は千年以上持っているわけだから――紙質は西欧の
ものとは違うけど――マイクロウェイブ・オーヴンを使わなくても、紙を傷めない
保存法はあるのでは……。「電子レンジで焼却」という事態を憂えます。
35:01/11/14 07:07
>33
レスありがとうございます。
そのような権威在る(!?)ところでのお話だったとは...
正直、侮って居ました。ごめんなさい。

して、<チンっ!>されたのですか?/w

>34

有名な話しですが、
正倉院の校倉(造り)が温度・湿度を調節云々というのは眉唾だそうで、
文書に関して云えば納められている桐箱にこそ、そのチカラがあるようです。

レンチンするにしても、程度が気になりますね。
#牛乳みたいに<百数十度で3秒>といったような基準はないのかしらん/w。
3631:01/11/14 07:59
>>32
いや、結構な冊数古本を並べていると、本の匂いが酷いので
その対策法なんかが載っていないかな?と思ったのです。
一応炭を置いてみたりしてるんですが……。
あと、本のしみや焼け、研磨の話なんかがあるかと思ったんですが…。
でも、100年以上前の本の話も、面白いです。
3733:01/11/15 11:46
戻ってきたらレスがついててびっくりしました。

>>35
>して、<チンっ!>されたのですか?/w
はい。小物だけ。
絵入り本集めてるので、ほんとに大事なやつは、
家庭用レンジなんかに入んないです。
特に乾燥が進んだという感じはないですけど、
革背の本なんかはさすがにやめときました。
効果も目に見えないから、特に何かが変わった気もせず、
はたで聞いてると「えせ科学」のようかもしれない。

とりあえずカビ胞子だけ殺して持ち帰り、
和紙での補修なんかは現役図書館員のおかんに頼もうかと。。
その前に、他の本から再感染してしまいそうでこわいです。
38無名草子さん:01/11/15 12:08
補修といえばNHKのおしゃれ工房で製本を紹介してたよ。
ハードカバーの結構しっかりした本を作ってた。
39無名草子さん:01/11/15 15:41
amazonで、The Booklover's Repair Kitなる商品を衝動買いしてしまいました。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0375411194/ref=sr_aps_d_1_1/250-7394826-6955413

古本のお掃除&修理キットに、解説本がついているという代物。使い物になるかっていうと〜まだちっとしか使ってないから何とも言えない。
とゆーか、よく考えたらそれほど補修を必要としている本が手元になかった
(^_^;)。
ただ、表紙の掃除用とかいう、おがくずみたいなものが詰まった布袋(針
刺し風。袋ごと擦る)の中身がヒジョーに気になる今日このごろ。
40無名草子さん:01/11/15 17:13
製本道具だと東急ハンズで売ってるよ。
41無名草子さん:01/11/15 18:06
虫干しって日陰に本を並べるだけで良いのでしょうか?
42:01/11/15 21:52
>41 あまり参考にならないかもしれませんが...
原爆死没者名簿の曝書の様子をテレビ映像で観たことがあります。

長崎では毎年のことのようで、和祈念像のすぐ前に白く大きな布を敷き、
ずらーっと名簿を一冊ずつ並べ、
市職員の方々が1ペイジ1ペイジ丁寧にめくって日の光に当て、風を通して居ました。

屋根も無い7月のことですから、炎天下直射日光ガンガンでしたが、
短時間であるなれば、むしろ日光に曝したほうが好いのでしょうか。

蛇足です#この名簿には最高品質の和紙が使われていたと思います。
43:01/11/23 14:48
新聞の切抜きを整理していたら、2001/03/04付けの朝日新聞に短評が…。

R&N.ゴールドストーン≪旅に出ても古書店めぐり≫早川文庫NF¥720

ファイリング&メモライズがきちんと出来ていなかった。反省。
このスレで教えてもらえて感謝。
でもレス観て気のつかない自分には可也.欝。
44無名草子さん
原爆死没者名簿って、文字部分は印刷、それとも墨?
カラー印刷ほど直射日光に気を遣わなくていいと思うけど、
ちょいと気になった。