ーー1875年夏 アリゾナ州ツーソン トゥムストン
「旅芸人の座長が泊まってる部屋はどこだ」
砂煙にまみれた町の宿に立ち入るや否や、俺は主人を睨みつけた。
主人は揉め事はごめんだとばかりに、黙って吹き抜け越しに二階の一部屋を示す。
俺はカウンターに一ドル紙幣を置き、階段を登った。
ドアに鍵はかかっていない。不用心にもほどがあるが、俺にはありがたかった。
できるだけ音を立てないように、俺は部屋に立ち入る。ベッドはひとつ、毛布が盛り上がっている。これが座長だろう。
俺は買ったばかりのコルト拳銃を抜き、撃鉄を起こして一瞬後悔する。シリンダーが回る音すら夜の静寂には大きな物音だ。
だがもう遅い。俺は覚悟を決め、毛布に向けて引き金を引いた。
一発、二発、三発……。全六発を撃ち終えても、まだ足りない。こんなもので俺の恨みは晴れない。
人を殺したことはなかった。これがはじめてだ。
だが、そこには何の感動も後悔もなかった。
「オーケイ、満足したか?」
背中に固いものを押し付けられている感触とは反面、気楽そうな声が聞こえた。
ああ、殺すことばかり考えていて、逃げ方を考えていなかったっけ。
だが、もういい。復讐は済んだのだ。
過去に一次通過まで行った西部劇ものを思い出しながら書いた。
批判は受け入れるが、過去に書いたものだし、所詮二次落ち。
本命は晒しても得がないのでこの程度で頼む。
彼と違うのは、設定を説明する場にはしてないってこと。