>>963 抜き出してみたよ。『僕は友達が少ない』ではないが
「ここまでで何か質問あるか? わかる範囲で答えるけど」
そんな次から次へと苛立ちを増幅させてくれる男子生徒の物言いに、けれど一桜は軽く首を横に振るだけで応えた。
気に入らないことの全てに噛みついていた入学当時と比べて、この二年間で色々と学習したというか、なにもかも億劫になっていたから。
「そっか、よかった。じゃ――」
「ふぅ――」
「――次は書類の書き方説明するな。まずこっちのジャージの購入申込書だけど」
「……………」
なのに、目の前の厚かましい男子と来たら、一桜のありがたい譲歩をあまりにも言葉通りの『問題ない』と受け止めてしまっていた。
「――どうした?」
「……ぃ」
「ん?」
「ウザい」
とても、ウザかった。
せっかく他人に負の感情をぶつけるのをここ最近やめていたのに。
たとえ『揉めるのめんどくさい』という後ろ向き一直線の理由だったとしても、ここしばらくはそのお陰で周囲との軋轢を回避できていたのに。
「よく言われるけど、これは必要なことなんだ。俺がウザいなら一回で覚えたほうがお得だと思うぞ」
なのに、なのに……。
目の前の、まるで空気を読まない無遠慮で横暴で傲慢な彼は、一体何様のつもりなんだろうか。