【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ Part66【変な女】

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1この名無しがすごい!
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・前スレ
【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ Part65【変な女】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1324574133/
・佐々木とくっくっ避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/8130/
・佐々木とくっくっ避難所(携帯用)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/movie/8130/

・佐々木SSの保管庫
Part1-10まで ttp://blog.goo.ne.jp/sasaki_ss
Part11以降  ttp://www10.atwiki.jp/sasaki_ss/

・涼宮ハルヒシリーズに登場するキャラクター、佐々木を愛でるスレです
 佐々木 = 例の変な女
 自称「キョンの親友」、中学時代はキョンの自転車に二人乗りで週二回、塾に行く間柄
 キョンとは学校内でつるむ回数がクラスメイトの誰よりも多かった
 キョンは否定するも傍からみるとどう考えても...
 古泉曰く「十人中八人が一見して目を惹かれる、実に魅力的な女性」
 恐るべきことに名実共にハルヒと対になる神的存在であることが明らかに!?

・次スレは>>970が立ててくれたまえ。立てられない時は遠慮せずに言うといい。
 このスレの住人は快くキミの代役に名乗り出てくれるだろう、くっくっ

・このスレは基本sage進行だ、間違えてageるならまだしも
 意図的にageるような行為は慎んでくれたまえ。
2この名無しがすごい!:2012/03/13(火) 18:37:15.55 ID:CJcJpjTq
・リンクを貼るときは直リンは禁止してくれると僕も助かるよ。
・スレタイは佐々木とくっつくではないのであしからず。
・荒らし、それに反応する人への対応は無視するのが一番と昔から決まっているんだ。
・キャラクターを貶めるような書き込みは、荒らし行為なので謹んでくれ。
・どうしてもそういった発言がしたい時は、専用のスレッドを立てて、そこで行うといい。
・妙な書き込みが多数あるときは、書き込み日時の右にあるIDを確認すれば、
同一人物による荒らしかどうかの判断の基準にできるだろう。

・次スレは立候補した人が責任を持って立ててくれたまえ。
 ただし、無理な場合はその所信表明を行い、次なる立候補者を集うべきだね。
・次スレへの誘導リンクが貼られるまでは今まで通り書き込みは控えるのが最良の手立てと僕は思う。

あと、SS保管庫の中の人からこんなコメントをいただいている。
判断はみんなに任せるよ。くれぐれもこれで争うことの無いようにしてくれたまえ。
201    wiki [ sage ]  2007/08/26(日) 09:33:29 ID:lc10YmQU
 どーもwikiの中の人です。
 タイトルにSSってつける件ですが、個人的にはなくても無問題です。
 SSかどうかはみればわかるし。
 今までどおりでOK。
 それよりも、SSにはタイトル(名前欄でも文中でも)と長編なら通し番号をつけてもらえるとありがたいです。
 あと、未完成ならそれがわかるようにしてもらえるとなおよし。
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
3この名無しがすごい!:2012/03/13(火) 18:54:45.15 ID:DnyyJwii
このスレの次スレは、文芸キャラ板です。
このスレを使い切ったら移動してください。

【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ Part66【変な女】
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/litechara/1331590545/
4 ◆RAXLFIwrP6 :2012/03/13(火) 21:08:47.70 ID:uuCWZ198
          |    / \,       ,|| .|| .|| .|| .|| .|| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ,, ,,, ,,,,   |     ̄ ̄~~  ,     || .|| .|| .|| .|| .||| そろそろ 思い出して
  ,,,  ,,,  ,,, |   _____ ,,  || .|| .|| .|| .|| .||| 喋る気になったかい?
    ,. -‐-ー.、..┃‖‖‖‖┃ , || .|| .|| .|| .|| .|| \__  _______
   〃   ヽヾ.┃‖‖‖‖┃,  || .|| .ii‐ii‐ii‐ii      \| _____
,,,,  ,,.i ハハバハ> ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   || .|| .ll .|| .|| .||          ヽ=@==ノ
   イ(! ─ ─|i,      ,,,     || .|| .|| .|| .|| .||        〃;' ト、 、.ヽ
  ..<ゞハ、 - ノフ   .,,,       || .|| .|| .|| .||=||D      〈从ソソ ヾ.i  i
 ,  .`ヾ}i´|iY|゙{ソ _____,,,,,,___||_,||_,||_,||_,||_,||_____________ !il┳ ┳ |l); l ______
     .レ{⌒.|⌒}    ,,  ,,  ,,  \|| .|| .|| .|| .||        ハ、'' ヮ''ノルiハ!
      ,..〈二)(二)          .,     \!!、|| .|| .||.         (i´l†il`(')
    / ,,                 ,,,   ,, \!!、|| .||.         .l´T `l
  /    ,,   ,,,       ,,,,      \!!、||        〈_,八__〉
/,,________|\________,\!!
     / ̄ ̄ ̄ ̄    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
    | んー 明日が何の日か だっけか? |
    | まあ >>1乙してから ぼちぼちな.   |
     \______________/
5この名無しがすごい!:2012/03/13(火) 21:59:09.19 ID:CJcJpjTq
>>3
強情だなキョンw

早くキョンの待つ板に行けるよう頑張ってスレを盛り上げましょうね佐々木さん
6この名無しがすごい!:2012/03/13(火) 22:32:04.62 ID:rGUdAMiS
>>1
なんだ前スレ>>980-以後の勝手な判断は。あれで移動すると思ってるなら荒しと同じだわ
7この名無しがすごい!:2012/03/13(火) 23:12:47.95 ID:6WnpL1DH
だからって乱立させてどうする
8この名無しがすごい!:2012/03/13(火) 23:49:07.11 ID:CJcJpjTq
もう面倒臭いから次スレから文芸キャラ板にするってことでいいんじゃね
9この名無しがすごい!:2012/03/13(火) 23:55:13.08 ID:esXYYsXv
ちょっとチョン!来なさいよ
10佐々木さんのごまかし1:2012/03/14(水) 00:12:21.43 ID:HULLP620
それはそれとして投下しよう

 あれは高校二年に進級する寸前、春休みの事だったと記憶している。
 僕は、告白された。

「佐々木さん!」
 実にストレートな告白だったと記憶している。
 後で「僕に告白するなんて、なかなか物好きなものだ」などと思ったものだが
 この時は不意打ちをくらったようなもので、とっさに返答する余裕がなく、ひとまず保留と言う事にしてもらった。

 一年前なら一蹴していた事だろう。
 恋愛なんて精神病の一種だと言うのが僕の持論だからだ。
 だが、この一年、僕を支えるこの価値観に揺らぎが生じているのを感じていた。

 キミのせいだよ? キョン。
 まぶたの裏の、元同級生に問いかける。

 ここしばらく、まぶたの裏に浮かぶのはダルそうな元同級生の顔と、彼と過ごした日々の事ばかりだった。
 彼の机に乗り出し、間近に見上げた彼の顔。机を並べて給食を食べるのはほぼ毎日の事で
 火木には彼の自転車で塾に行き、火木土が終われば肩を並べてバス停へ歩いた。

 それが終わったのが一年前。
 瞼に浮かびだしたのも一年前。
 会いに行こうかな、と考えを弄んでいる内に一年が過ぎた。
 瞼の裏を占領する彼は消えず、彼から年賀状が届いた日は半日潰れ、告白されてからは夢にまで出た。
 こんな有様で会いに行ってみたまえ。何を言うのか知れたものじゃない。

 そんなに私は「今」がつまらないのだろうか? そんなに「あの頃」が楽しかったのだろうか?
 なんらかの精神性疾患にかかっている事はもう否定できない。
 ただ、それが恋愛という感情かは断定できない。
 なら、確かめるにはどうすれば良いのか?

 やれやれ。
 何度目かの溜息を吐いたとき、家の電話が鳴っていたのに気付いた。
「同窓会?」
11佐々木さんのごまかし2:2012/03/14(水) 00:14:30.80 ID:HULLP620
 渡りに船というべきだろう。
 かかってきたのは、まさにそのキョンと話す機会を提供するものだった。
 やるじゃないか須藤。これが中学時代なら給食のゼリーくらいお礼に提供してあげたのに残念だったね。
 とりあえず北高組の窓口にキョンを推薦しようか。

 しかし須藤の返事には、北高組から得たと言う世間話が付いてきた。

「キョンが?」
 須藤の言葉は、何故か僕からあらゆるコメントを奪った。
 僕は日本語を初期化されたまま、入力されたコメントをただ脳内で反芻する。
 
 彼が、美少女だらけのグループで?
 え? なに? 涼宮さん?

 それからの事はよく憶えている。
 言葉を封じられた代わりに、僕は須藤の言葉を次から次に記憶していった。
 それは、キョンが今は北高で楽しくやっているという内容だった。
 あの太陽のような少女、涼宮さんと一緒に。

 須藤からの電話を終えたとき、また、彼から電話がかかってくるだろうな、等と考えていた。
「ちょっと、生返事すぎたろうか」

 それからの行動は早かった。
 予定は前倒したが、「時すでに遅し」と「冷静になれ。そのやり方は不味い」
 二つの忠告がどこかで聞こえた気がした。

 涼宮ハルヒ。小学生時代の僕のあこがれ。
 クラスを越えたグループを作り、休み時間ごとにみんなを遊びに引っ張り回した学校中の人気者。
 彼女は太陽のように明るく、太陽のような引力で誰でも引き付けた。
 あの笑顔が、今は彼に向けられている。
 そう思うと落ち着かなかった。
12佐々木さんのごまかし3:2012/03/14(水) 00:15:51.38 ID:HULLP620
 土曜日。いつもより早めに家を出る。
 こんな簡単に彼に会えたのか。コロンブスの卵とはよく言ったものだね。
 週2で見ていたせいなのか、彼の背中は一目で判った。
「やあ、キョン」
「うわ、なんだ佐々木か」

 彼の語尾は断定だった。?マークなんか付いちゃいない。それがなんとなく嬉しかった。
 四方山話に興じることしばし。

 彼は変わっていなかった。
 まるでこの一年なんかなかったように思えてくる。
 僕の価値観を揺るがす変容? そんなものはきっと幻だったのだ。僕も彼もこんなに変わっていないのだから……。

「遅刻とはいい度胸ね! あんだけ……!」

 えらい美人がそこにいた。

 良い気分が吹き飛ぶ。一目で解った。あの涼宮ハルヒは、まさに「美人」になっていた。
 キョンを完全に「身内」と捉えた彼女の声に、名状し難い感覚を憶える。
 ああ、「身構えていて」よかった。
 ここで真っ白にはなれない。

「それ、誰?」
「ああ、こいつは俺の……」

「親友」

 あ。反射的に言ってしまった。
 
「は?」
「と言っても中学時代の、それも三年のときだけどね……」
 いつも被ってる模範生の仮面が、すらすらと語を継いでゆく。


 これが恋愛感情なのだろうか。
 仮面の下で考える。彼に親しい、僕の知らない異性の存在。輝くような涼宮ハルヒ。

 僕とキョンは恋愛関係ではなかった。なら「嫉妬」というにはおこがましい。
 だけど僕は「恋愛」を申し込まれた時に彼が浮かんで、彼の傍らに異性が居ることに名状し難い反発を覚えた。
 これが、恋愛感情なのだろうか。

「失礼するよ。また連絡する。じゃあね」

 その場を辞して、駅へと向かう。
 連絡先も交換しなかったと気付いたのは、電車に乗ってからだった。
「しまったな」

「何がです?」
 呟きに返事があった。

「ああ失礼。私は橘京子と申します…………」

 僕は恋愛という感情を「認識」した上で「理解」していなかったのかもしれない。
 或いはごまかしていたのだろうか? 誰から?
 これはそれを確かめる2週間ほどの物語。
 僕と、キョンとの物語。

 終わり、或いは「涼宮ハルヒの分裂」へ続いているかもしれない。
13この名無しがすごい!:2012/03/14(水) 00:21:10.43 ID:HULLP620
佐々木が恋愛感情と理解したのは驚愕以降、橘が接触したのはキョンとの再会以後。
佐々木さんが「親友」って言っちゃったのはテンパってたから。
という想定で書いてみた。
14この名無しがすごい!:2012/03/14(水) 02:29:19.34 ID:DVjbOgdT
15この名無しがすごい!:2012/03/14(水) 08:17:32.15 ID:GEeNW9OE
>>1
削除依頼出して来いよ
16この名無しがすごい!:2012/03/14(水) 09:06:19.35 ID:chmSxKbV
こっちが本スレでいいんだよね

あの移転のやり方はないわ〜
17この名無しがすごい!:2012/03/14(水) 15:13:24.24 ID:eDg904jf
>>゚1乙
18この名無しがすごい!:2012/03/14(水) 15:55:31.03 ID:DVjbOgdT
>>16
次までに議論継続だよな
19この名無しがすごい!:2012/03/14(水) 18:58:27.18 ID:W0+zzody
>>13乙〜
ちょっと時間軸がズレてるかもしれない世界で、佐々木さんはどんな行動を起こすのか或は起こさないのか

>>16>>18
正直、楽しく佐々木さん語れるならどっちでも良い人が大半だと思う
20この名無しがすごい!:2012/03/14(水) 19:27:40.23 ID:KNEBDT23
佐々木さん今晩は
21この名無しがすごい!:2012/03/14(水) 23:31:25.50 ID:BAM7hlo2
>>15

削除する理由がない

複数の板に同じ趣旨のスレッドが存在することは
べつに削除対象にはならない
22この名無しがすごい!:2012/03/14(水) 23:48:44.92 ID:W0+zzody
佐々木さんはキョンからどんなお返しを貰ったんだろうね
23この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 00:11:41.39 ID:iy40C9Q/
「やぁ、キョン」
「なんでお前はいつも背後から現れるんだ」
 くっくっく。いつもの笑顔の佐々木が居た。

「さてなんでだろうね? どうも僕は中学時代からキミの背中に縁があるようだ」
「とか言いながら実は狙ってんじゃないだろうな?」
「何のことやら。それにしても今日はどうしたのかね?」
 3月14日水曜日。俺はいつものSOS団待ち合わせ場所こと駅前公園に居た。
 もちろん平日に用のある場所じゃない。
 という訳でもないが。

「なんとなく、な」
「なんとなく、ね」
 何故か一歩はなれて微笑みあう。
 それからまた一歩離れると、鏡合わせのようにそれぞれカバンに手を伸ばす。
「そら」
「ほら」
 互いに右手で差し出して、互いに左手で受け取った。
 くっくっく。楽しげな佐々木の声。

「なんでお前はホワイトデーにチョコ渡すんだよ」
「キミこそ何で貰ってもいないチョコのお返しを用意しているんだい?」
 笑いが重なった。
 なんでだろうな。お前がくれそうな気がしたんだよ。
「なら何でバレンタインデーに来てくれなかったんだい?」
 楽しげだけど毒が混ざった佐々木の声。

「決まってるだろ。あの日の俺はお前の学校で待ってたからだよ」
 はじけるように佐々木が笑った。

超即興。
24この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 00:21:09.88 ID:Z8Tunv64
25この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 00:42:36.09 ID:iy40C9Q/
「ところでキョン」
「いいから人の背中から離れなさい」
 高校卒業後、何故か俺は佐々木とルームシェアしていた。
 提案者は佐々木だ。

『おいおい何言ってんだ親友。俺は生物学上は男なんだぜ?』
『これは心外だな。キミは僕を性差的な意味合いで見たことはないと常々公言していたじゃないか』
 何故か橘がブチ切れてバット振り回したこともあったな。
『それとも何かい? 僕はキミを性別を越えた親友と認識していたのだがそれは僕の勘違いだったのかい?』
『あのな、それとこれとは話は別だ』
 それからの事はもう言うまでもないだろう。
 俺は完膚なきまでに言いくるめられ、気が付けば母親までセットで言いくるめられていた。

 部屋を2人でワリカンで借り、それぞれの部屋の区分を決める。
 家事も分担できるし確かに便利だ。

「気にしないでくれたまえ。ここは僕の指定席なのだからね」
 それともやっぱりキミは僕を親友として以下略。とはこいつの弁である。
 なんだか親友って言葉の意味が解らなくなってきたぞ。
「それよりキョン。今日は3月14日だったと記憶しているのだが」
「ああ。確か第一次大戦でドイツ海軍の巡洋艦「ドレスデン」がチリ沖でイギリス海軍の攻撃を受け沈没した日だったか」
「キミもなかなか韜晦がうまくなったね……」
 お前と四六時中一緒にいればな。

「キョン。四六時中とは言わないよ。僕とキミとはそもそも大学が違うじゃないか」
「そりゃそうなんだが」
「だからキミはその時間分だけ僕に優しくすべきなのさ」
 いやそのりくつはおかしい。

「ところでキョン」
 人の耳を噛むのはおよしなさい。
「佐々木。いいからお前の部屋に帰りなさい」
「やだね。この居間は共有スペースなんだ。僕がいちゃいけない理由は無い」
 何故か「ホワイトデーのプレゼントはな、お前の部屋に置いてんだよ」。
 と言い出せない俺であった。

即興2。お休み
26この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 01:10:41.56 ID:iy40C9Q/
「よう佐々木」
「やぁ、キョン。それは残像だよ」
 背後から方を叩かれる。何!? って佐々木と思ったらこれ九曜じゃねえか!
「――これ――――――物をさす言葉―――」
「……キョン、キミは女性に対する気遣いというものをもう少し学ぶべきだと思うよ」
「人をからかう奴が言う事か!」

「それよりほれ、ホワイトデーのプレゼントだ」
「ほう。まさかキミがこのイベントを忘れていなかったとは驚いたよ」
「ははは俺だっていつまでも昔の俺じゃねえさって」
 胸をそらして笑った俺を、ざわざわと九曜の髪が絡め取る。
「な」

「素晴らしいよキョン。これでバレンタインデーをすっぽかしてなければ完璧だったね」
27この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 01:45:06.44 ID:CfvY1Lig
>>1乙。
板移転の件はアニキャラ板にいた時とは違うし急かなくてもいいと思う。
欲を言えば荒らしとかの対応がよければ言うことないんだが、大して変わらんだろうしな。

>>4
早く吐いちまえ、キョンw

>>13
スレ立て早々に乙。
読んで思ったのは須藤は佐々木さんとそれなりに親しい方だったかもしれないなということ。
佐々木さんの男子の呼び方は基本「〜くん」らしいから(国木田に対しても)、
語弊はあるが、その他大勢とは違う可能性がある。

ひょっとしたらお互いの想い人をいい線で推測し合っているとか?

>>23-26
こっちも乙。
即興といいつついいホワイトデーネタだった。


それとwiki更新した人も遅くなったけど乙。
前スレ、前々スレってかなり豊作だったんだなと感激した。
28この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 06:31:40.56 ID:hGR+uT51
即興三作GJ、特に>>25が幸せ過ぎてうあぁぁぁ
29この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 12:20:54.26 ID:OQb3TcQX
即興乙!
そしてwikiの人の仕事が早くて濡れた!!

皆ありがとう!
30この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 20:24:12.12 ID:iy40C9Q/
反応ありがとうさん。やっぱ反応あるとなんか違うわ。ロマンティックが止まらない
あと>>25はなんかネタが溢れそうで困る。

>>27
そうなのよね。電話の話といい。
ただ、あの台詞は佐々木初登場ページだから「佐々木を男とミスリードさせる」展開にするうえで
違和感が出ないように、ってのも大きいんじゃないかと思うんだ(分裂P65)
31この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 21:51:24.53 ID:hGR+uT51
はむはむ佐々木さんは今迄に無いからなあw
気が付けば背後に忍び寄る佐々木さん、隙を見せた瞬間はむっと
32この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 22:12:25.21 ID:EHwPUpNm
>>26
33この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 23:03:16.11 ID:Em5KSzgV
佐々木さんはかわいい
34この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 23:10:10.54 ID:0yd60xC/
>>25
が色々ワクテカ過ぎる展開でもっとお願いします!
部屋に置いておくとはやるじゃないか。
35この名無しがすごい!:2012/03/15(木) 23:55:58.50 ID:iy40C9Q/
なんか私の中で佐々木さんは背後にいるイメージなんだ。
36佐々木さんの仮面と驚愕1:2012/03/16(金) 00:14:58.58 ID:6zVcZcpV
次いってみよう。>>10-13とリンクするけど読んでなくても問題ない。多分

〜かかしの足元、麦畑。
 あるときカラスがやってきて、たらふく麦を食べてった。

 ……僕は、かかしとしても役立たずなのか。

 でも、老いたカラスがなぐさめた。
 あんただって脳みそがあれば、誰にも負けない人間になれるさ。
 世の中には、あんたより愚かな人間がごまんといる。
 カラスも人間も、脳みそが一番大切なのさ……    〜〜〜〜〜〜

 はっきりとは憶えていない。
 ただ「オズの魔法使い」にそんな一節があったように憶えている。

 読み語り、わたしは何かを言ったはずだ。つたない言葉でとくいげに。
 見上げたお父さんは、面白そうに見ていてくれた。
 にっこり笑って、撫でてくれた。
 そこはわたしの特等席だった。

 いつしかお父さんが居なくなった。たんしんふにんという奴だ。特等席はなくなった。
 いつしかたくさん友達が出来た。輪になって踊る。真ん中なのはわたしじゃない。太陽みたいな女の子。
 男の子、女の子、誰もが彼女に憧れて、だけど彼女はこういった。
『恋愛なんて精神病よ!』
 
 涼宮ハルヒに憧れた、そんな小学生時代が終わる頃の話さ。
37佐々木さんの仮面と驚愕2:2012/03/16(金) 00:16:34.90 ID:6zVcZcpV
『お前は!』
『あなたが!』

 お父さんが帰ってきた。お母さんと揉めていた。
 子はかすがいというけれど、わたしはかすがいにも成れなかった。

 ……僕は、かかしとしても役立たずなのか。

 カラスも人間も、脳みそが一番大切なのさ……
 いつしか『僕』は仮面を被った。
 居場所を作るための仮面。

 やってみると、これが存外面白い。
 仮面、ペルソナという奴だ。日本的に言うなら『猫っかぶり』かな?
 仮面なら外せる。猫なら人より寿命が短い。
「どうとでもできるさ」

 僕は逃げ場を用意した。けれど、これが存外面白かった。
 女の集団に、優等生として溶け込めた。男の集団に、変人として認識された。
 長広舌でも距離を広げ、適度な距離感が出来た。本心まで覗こうなんて奴も居なくなった。
 おかげ様、恥ずかしいような本心も安心して抱えておけた。
 僕の仮面は完璧だった。


 さて中学も三年。だけど何故か、僕に入り込んでくる……いや違うね。
 僕が、入り込みたくなるような人が居た。
 いや違うね。違う。違う。

 彼はニコニコなんて笑っていない、僕の頭なんかきっと撫でない。
 彼はただ受け入れるだけだ。ただあるがままを、ただ、ただ普通に受け入れてくれるだけなんだ。
 ダルそうに、嫌そうに、困ったように、……面白そうに、おかしそうに、嬉しそうに。
 彼がニカッと笑ったとき、僕の価値観が揺らいだ気がした。
 
 だから、……何が「だから」かは解らない。
 いつか得たりと言ったものさ。
38佐々木さんの仮面と驚愕3:2012/03/16(金) 00:18:25.26 ID:6zVcZcpV
『キョン、恋愛なんて精神病さ』

 恋愛は思考のノイズ、家庭を作るのは種族の本能。
 生き物は外界に適応しないと生きていけない。人間は「人の間」で社会と折り合わなきゃ生きられない。
 とっくに僕への愛情なんて無くしてるはずの父親が、今も仕送りを続けているのも。
 それは、社会と折り合いをつける為の、生きていく為の本能だから……。

 いつしか僕は彼に語った。
 得意げに。受け売りの言葉は、いつしか僕に根を張っていた。
 そうさ、僕が語ったんだ。でも今になって思う。

 あれは誰の言葉だった?
 僕? 彼女? それともあれは、僕が被った僕の仮面?
 そもそもあれは「彼に向かって」言ったのか? 「僕が僕へと」言ったのか?
 なんとなくだが、あれは致命的な言葉だった気もした。ペキリと「何か」をうっかり折った気もした。
 何かに壁を作ったまま中学時代が終わった。

『またね、キョン』
39佐々木さんの仮面と驚愕4:2012/03/16(金) 00:20:41.08 ID:6zVcZcpV
 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。
 少年老い易く学成り難し。

 時間が加速する。
 中学時代、微笑んでいた十分が、高校時代では十秒に感じた。
 何かに意地を張ったままでもよかった。打ち込めるものがあった。
 ひたすらに打ち込み一年が経った頃、多分に学生的な事件が起きた僕は、コペルニクス的な発想転換を願った。
 その「鍵」はきっと彼だ。そうだ。あの得体も知れない「何か」に向き合ってみよう、と。
 そう、思った。

「やぁ、キョン」
「それ、誰?」
「ああ、こいつは俺の…「親友」」

「初めまして。私は橘京子といいます」
「信じてくださいとしか言えません。証拠なんてありません。でも、証人なら用意する事ができます」

 時間が、戻った。
 意図通りキョンと再会し、意図しなかった涼宮さんとの再会を果たし、想像もしなかった橘さん達との出会い。
 彼の傍にいる魅力的な異性に、何故か頭を真っ白にしながら捻り出した「親友」というポジション。
 その帰り、橘さんから聞いたのは、電波としか思えない話だった。
「佐々木さん。神様になりませんか?」
40佐々木さんの仮面と驚愕5:2012/03/16(金) 00:23:02.51 ID:6zVcZcpV
 超能力者。宇宙人。未来人。なんだか解らない。でも、うん。これはまるで……そう、涼宮さんみたいじゃないか?
 ゆっくりと流れる時を楽しもうと思ったが、意外にそれは急流だった。

「佐々木……そんな奴と付き合うのはやめろ。そいつは……」
「でも、僕の敵ではないみたいなのさ」

 橘さんの言葉は本気だった? キョンから初めて「異物」「信用ならないもの」としての視線を浴びた。
 くすくす笑いを顔に張り付け、終いには爆笑して見せた。
 そうだろう? 冗談なんだろう?
 これは、冗談なんだろう?

「でもキミの反応で解ったよ。彼女たちは本物なんだね」
 僕は笑う。キミが笑わない。


『連中につないでくれ。俺は奴らと話をしたい。俺は奴らに殴りこみたい。俺の仲間が傷付けられた』
 やがて彼の仲間が傷付けられた。彼の居場所が傷付けられた。柄にもないメールが届いた。
 彼が必死なのは僕にでもわかった。

 僕の中の「何か」を確かめる?
 そんな事態じゃない。さあ思考しろ。お前には「脳みそ」があるだろう? 何の為の脳みそだ?
 僕はもう「かかし」じゃないんだ。そうだろう?
41佐々木さんの仮面と驚愕6:2012/03/16(金) 00:25:28.10 ID:6zVcZcpV
 再び会談を取り持った。韜晦しつつも「力なんて要らない」ときっぱり言い渡す。
 僕の価値観がそれを否定していたからだ。
 まず結論が出て、理屈が後を追った。

「は――はは―――――ばかみたいだわ……はは―――」

 長広舌を終えた僕を、九曜さんは笑った。
 藤原くんも嘲弄し、懇切丁寧に……「力」について語るなんて結構うかつだ……嘲笑った。
 キョンが怒ってくれているのも解った。僕は正しい事をしたと思えた。が、ふと、ひとつ、怖いと思った。

 藤原くんは語ったが、九曜さんは語らなかった。
 もしかして彼女は、僕の価値観、行動原理、心の中の欲望まで見透かしたから笑ったんじゃないか?
 彼女は「人間の理屈」は解らないらしい。きっと建前も倫理もロクに見えない。「一番大切なもの」しか見えない。
 彼女はこう笑っていたのではないか?

『あなた、なぜ自分に素直にならないの?』と

 僕は心の中で「力が欲しい」と願わなかったか?
 ホントは欲しいと願いつつも「要らない」と格好をつけなかったか?
 僕は仮面を確認する。これは僕だ。キョンも知っている「佐々木」という存在だ。彼も知らない僕の仮面だ。
 僕は脳みそを疑う。うん。これは僕の考えだ。僕は「神の力」なんて要らない。
 だから、きっと大丈夫。

 次に仮面を疑ったのは、意を決して彼の家へ飛び込んだ後だった。
42佐々木さんの仮面と驚愕7:2012/03/16(金) 00:27:21.65 ID:6zVcZcpV
 いよいよ佳境だ。
 藤原くん達は僕の意思などどうでもいいらしい。僕の意思がどうなるか解らないなら、最後に彼に相談しておきたいと思った。
 僕に起きた「多分に学生的な事件」。ひいては中学時代から「彼に作っていた壁」の正体を
 僕はどうしても確かめたかった。

 でも、彼は彼の友達の事を心配し続けている。
 当たり前だ。切迫した事態だ。ならまずはそちらから片付けるべきだ。
 実行犯は「周防九曜」。その行動理念をつらつらと考え、レポートとして脳内にアップする。うん。大丈夫。
 何より大事なのは思考する事。そう、脳みそこそが大事なのさ。

 でも彼の家に飛び込んで、彼の妹さんに引っ張られて、彼の自室で彼の匂いに浸っていると、何か色々吹き飛んだ気がした。
 やがて彼が帰ってくる。驚いた顔を楽しみながら、僕の口は楽しげに滑った。
 どうでもいいような、とても大切なような事を。
 誰かに例えた自分の事も。

 いやダメだ。
 僕はキョンの心配事への可能な限りのアドバイスと、それにかこつけ、自分の相談をしに来たんじゃなかったのか。
 何を言ってるんだ僕は。なんだこれは。止まらないぞ。
 ブレーキだブレーキ。

「猫というものは、どうして新鮮な水よりも風呂に入った後の残り湯のようなものを飲みたがるんだろう」
「何の話だ」
 本当に何の話をしているんだと思ったが、それが丁度ブレーキになった。
 まったく。僕の脳みそは何をしている?
43佐々木さんの仮面と驚愕8:2012/03/16(金) 00:29:48.18 ID:6zVcZcpV
 それからつらつらと語り合った。
 やっぱり彼との議論、と定義すると彼から反論があるかもしれないが……は刺激的だった。
 また舌が滑り出すのを感じる。大丈夫だ。今度は滑らない。本音なんか滑らしてない。これは藤原くん達の話のはずだ。
 だけど気付いた。
 なんで、私は

「なんだ? 美顔効果でもあるのか?」

 なんで、私は、笑っているの?

 今は深刻な話をするときだ。深刻な顔の仮面は何処だ? 私の仮面は何をしている?
 我知らず両手で顔を、ぐりぐりと頬を捻っていた。
 ダメだ。私は、笑ってる。

 そこで唐突に気付いた。
 彼に見せていた私は「笑顔の仮面」じゃない。
 いつからだろう。ずっと「笑顔」だった。そうだ。ずっと、私は笑っていたんだ。
 彼と語り合っていた時も、彼と一緒に歩いた時も、自転車の荷台から彼を見ていたあの時も。
 私はずっと、笑っていたんだ。


 それからの事は、実は「認識」しつつも「理解」していなかった。
 続くキミの言葉は正直言って予測外だったしね。ついつい喋りすぎた言葉に、キミがぱっくり食いついてきた。
 認識する前に即答。それは年頃の男女が二人きりで話すには、いささか刺激的な言葉だったが
 彼はあっさりと聞き流し、矢継ぎ早に質問を投げる。
44佐々木さんの仮面と驚愕9:2012/03/16(金) 00:31:35.09 ID:6zVcZcpV
「そうだね。僕の存在意義は思考すること。そして思考し続けることさ」
 ちょっと待ちたまえキョン。ちょっとは締まれ私の顔よ。
 自然と早口になる。自然と本音が出る。ちょっと待て脳みそ仕事しろ。私の「思考」よ。仕事をするんだ。

「僕自身は矮小だけれど、僕の思考をとば口にして、全く新しい概念が生まれないとも限らない。
 いや、正直言うと僕が産み出し、育てた何かを残したい。DNA以外でね」
「壮大な野望だな」

 私の小恥ずかしい希望。現在進行形の夢。
 くっくっく。そうだね。まさに「壮大な野望」だよキョン。恥ずかしくて誰にも言えなかった、私自身の野望さ。
 思えばキミとはたくさん話したが、こんなに腹を割って話したのは初めてだ。
 それを察したのか、彼は疑問を投げかけてきた。

「佐々木。もしお前がハルヒのような力を自在に操れるようになれば、望みが叶うかもしれないんだぞ」

 くっく。まるで蛇の誘惑だね。
 誰だってそう思う。心の底から否定なんて出来ない。理屈をつけて逃げ回っても、自分の心からは逃げられない。
 だからちょっとばかり格好をつけるのさ。

 力なんて要らない。

 だって手に入れたら、まず無意識に望みを叶えてしまうだろう。
 私は絶対、何は無くとも欲しい人を手に入れる。
 でもそれじゃ彼が人形になるのと同じ。
 かかし以下の木偶人形さ。

 回避策ならあるよ? 小難しいセーフティを駆使した、誰も傷付けない完璧な願望実現。
 でも、それはきっと私みたいな人間には出来ない事なんだ。
 それはきっと、雪みたいに透き通った心にしか出来ない。
45佐々木さんの仮面と驚愕10:2012/03/16(金) 00:35:05.77 ID:6zVcZcpV
 だから私はすっとぼける。だから私は韜晦する。
 おやキョン、あからさまに「何かはぐらかされている気がするな」という顔をしているね。
 中学時代を思い出すよ。そうさ、キミのその表情。

 ずっとずっと、大好きだった。

 今になって自覚する。そうだ。あれもそれもこれも「恋愛」だったんだ。
 この感情が「恋愛感情」なんだ。
 キミが大好きだったんだ。

 まさに精神病だね?
 でも決してノイズじゃない。雑音じゃない。これはとてもとても快い感覚なんだ。
 キミ自身は相変わらずのようだがね? うん。できれば私に対して芽生えて欲しい事は否定はしないが。
 その鈍感、いや、甲殻類のように堅牢な価値観はどこから芽生えたものなのだろうね?

「涼宮さんは神のような存在らしい。そしてどうやら、僕もそう思われているようだ。
 彼女と僕、神モドキな二人に好意を寄せられているキミに、何も出来ないなんてことはない。
 そう、するとしたらキミがするんだよ。物語の幕を引き、次のステージの幕を上げるのはキミの役割だ。
 いい加減に自覚したまえ、キョン。扉を開ける鍵はキミ自身なんだ。キミが全てのマスターキーなんだよ」

 長広舌、大げさな身振りで冗談交じりのように言い切る。
 ああそうだね。確かに芽生えて欲しいが、こんな非常事態にそんな事を考えるなんて私も随分ヤキが回ったようだ。
 フェアじゃない。これは冗談で済ますべきなんだろうね。
 でも、これくらいなら許されるだろう?

「僕は全幅の信頼をキミに抱いている。なぜなら、キョン。キミは僕のたった一人の愛すべき親友なのだからね」
46佐々木さんの仮面と驚愕11:2012/03/16(金) 00:36:36.78 ID:6zVcZcpV
 くるりと彼の部屋を見回す。
 でもきっと、僕はここに来る事はないだろう。少なくとも年単位でだ。
 もう彼には彼の人間関係と絆がある。彼目当てに僕が割り込もうだなんて、おこがましいとは思わないかい?

「おいとまするよ」
 じっと彼に微笑みかける。
 できればこの「間」の意味を、彼が憶えていてくれたらいいけれど。

「実はね、キョン。僕が今日来たのは」
 ……忘れるところだった。僕も「相談」しにきたのだった。
 思い出したら反射的に口に出た。が、そのまま口をつぐむ事にする。
 彼は今きっと混乱している。僕が矢継ぎ早に投げかけた本音に、とっくの昔にエラーを起こしている真っ最中だろう。
 何より、この相談に「いつかの言葉」を言われたらきっと僕は立ち直れない。
 言葉はタイミング次第、受け取る側次第で意味を変えるからね。
 彼も、僕も、いま少しの時間が必要なのさ。

「でも。キミに会えて、話が出来てよかった。踏ん切りがついたよ」
 それだけ言って、とっておきのポーズで背を向ける。さあ「キミの知る佐々木」のまま退去しよう。
 でなきゃ、どんな顔をしてしまうか解らないから。

 キミの知っている僕を、僕の新しい仮面にしよう。
 キミが知っている、僕より素敵なその僕を。
47佐々木さんの仮面と驚愕12:2012/03/16(金) 00:38:22.45 ID:6zVcZcpV
〜オズの魔法使いはかかしに言いました。
 キミは、もう「知恵」を持っているじゃないか!
 そうです。老いたカラスが最初に言ったじゃありませんか。彼の中には知恵が既に備わっていたのです〜

 そうとも! 恋愛という精神病は、自覚もないまま、とっくの昔に宿っていたのだ。
 これが「脳みそ」、僕の思考という頑固者と、どの程度折り合いをつけてくれるのかが今から楽しみになってきた。

 今は「キミの知っている佐々木」の仮面を被っていよう。
 どこまで演じきれるかは解らない。今度は誰が外してくれるのかも解らない。
 でも、できればキミに外して欲しいな。

 そうとも。僕は無力さ。なら願うだけなら許されるだろう?
 いつか自分で叶える為ならばね。
 
 終わり、或いは「涼宮ハルヒの驚愕(下)」に続く。
48この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 00:40:27.42 ID:6zVcZcpV
うすうす思ってたけど長いよ!
ラブいのがだけでいい人は>>42くらいからどうぞだよ

分裂ってさ、冒頭の方で生徒会長絡みで「仮面」、演技の人格みたいな話をしてるのよね
そんで佐々木さんはよく言われるように「自分で型に嵌めている」とかそんな人。
彼女はアレを演じてて、それを止めるお話になる、みたいな想像をしてたのさ
閉鎖空間もそれっぽいしね。

という私の解釈に基いた話。おそまつ
49この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 00:42:34.99 ID:6zVcZcpV
忘れてた。>>42からが特にラブい話だけど、驚愕(上)のP265以降と思いねえ
13レスも占拠してすまんね。
50この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 00:47:34.36 ID:0DyCZVm+


なんか最近投下多くて嬉しいわ
51この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 02:36:49.20 ID:MaUXTyXC
>>49
よかですのう
52この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 03:59:25.94 ID:VnT/j9SP
>>49
これまた乙。
短期間でまた新作が読めるなんて感激だ。

定番だけど佐々木さんの一人称の切替の仕方は何気にセンスがいるなと思った。
とっておきの場面で使わないと効果が薄れてしまう。
(同性相手の会話なら問題ないけどね)

理性を保つことで自分を貫こうとする欺瞞と自己矛盾が見え隠れして危ういのが
佐々木さんの魅力の一つなんだと思う。
おそらくジェンダーには人並み以上に多感なんだろうし。

佐々木愛にあふれたSSをありがとう。
53この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 09:32:22.77 ID:uQPOcKjx
佐々木かわいいよ佐々木
54この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 14:58:45.78 ID:uQPOcKjx
佐々木とにゃんにゃん
55この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 19:27:23.14 ID:zjzbtiGd
おつー!
もどかしいよ佐々木さん、自分から踏み込んできてくるないキョンに八つ当たりしたくなるw
56この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 20:34:48.64 ID:I6krd4++
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
57この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 21:39:18.50 ID:JKvcIFFa
>>56,2
.              , -‐-ー .、
.             ,'    ヽヾ  , -‐- 、.
               i  .,ハハバゝ,'. /  ト、 ヽ.
.             i!i| ─ ─i! i. ((从ソ u从〉 
..         ';;.':    、. - ノ’ l. (| ー;;;;;ー i!l 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓ハNiヘ  ー ノハ!
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅卅]::゙';'゙':'’
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
58この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 22:22:17.59 ID:z4nx0teV
>>1
59この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 23:46:18.32 ID:/VH6PDOf
佐々木さんかわいいよ
60この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 23:47:44.37 ID:1IEzmQ5k
佐々木さんと旅行に行きたい
61この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 23:53:29.13 ID:6zVcZcpV
反応感謝。
キョンと佐々木の最後の会話だと「キョンは踏み込んでこない」のが好ましかった、が彼女の弁。
実際、佐々木のみならず、SOS団他超常現象人間全員にとってそうだと思う

でも恋愛感情に発展すると、これが途端に厄介な属性になるのよね
きっと彼女の台詞はそれら一切合財を飲み込んだ台詞だったんだと思うけれど。
谷川ホント続き頼むよ。佐々木さんが「諦めた(ように見える)」理由は、続刊にあると確信してるから
62この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 23:59:11.98 ID:2phGGEC6
>>49
すごいのキター!
これは原作を読み返したくなる良作。
63この名無しがすごい!:2012/03/16(金) 23:59:55.32 ID:zjzbtiGd
佐々木さんに対してアグレッシブなキョンを見ることが出来る日は来るのだろうか
64この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 00:04:54.37 ID:6zVcZcpV
そもそも谷川さんのやる気が復旧しないと色々無理なのがな。
もう驚愕から一年近いのに続刊の音沙汰すらないとは。
遂に漫画版も分裂に入ったよ……。
65この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 00:09:30.28 ID:7fWEAWhB
良いssがいっぱいあって幸せです
66この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 00:19:55.13 ID:r9ZFNsHj
.Rainy Daysは読みやすかったし、のびのび書けていそうな感じはしてたけどな。
新しい短篇集が欲しいところだな。
67ルームシェア佐々木さんと意思疎通1:2012/03/17(土) 00:23:58.56 ID:TDxZlgYK
>>25シリーズ。

「やぁキョン。僕はね、親友というのは何年も会わなくても勝手に自転車の荷台に座っていようとも許される関係だと思うんだ」
 お前と最後に会ったのは今朝だ。
「ところで今夜はハンバーグなんだが、何故一般にハンバーグステーキはハンバーグと略されるのだろう」
 いいからそのスーパーの袋を寄越せ。
 帰るぞ。
「ん」
 籠に荷物を。荷台に佐々木を。
 二人乗りは道交法上褒められたものではないが、我ながら手慣れたもんである。

 それは大学も引け、SOS団大学支部で一騒ぎしてからの事だ。
 ついでに本屋にも寄ったというのに、何故別の大学帰りの佐々木とばったり出くわすのだろうか。
「お前、まさか俺に発信機でも付けてないだろうな」
「そこは盗聴器と言って欲しいな」
 おいなんだ瓢箪から駒か。

「冗談だよ。それともキミは僕がキミの行動を予想できないとでも思っていたのかい?」
「それを言われると立場が弱いな」
 そもそも思考云々にかけては佐々木に一回りも二回りも敵わない。
「くっく。思考は僕の第一義とするところだと高校の頃に言ったはずだね」
「人のモノローグを読むんじゃねえよ」
「あいにくだが、僕はキミの表情検定じゃ一級保持者なのだよ」
 誰だそんなもん認定した奴は。
「長門さん」
 ああ。なるほど。
68ルームシェア佐々木さんと意思疎通2:2012/03/17(土) 00:25:05.06 ID:TDxZlgYK
 しかし自転車だぞ? 俺の表情なんかロクに見えないだろうに。
「はて男は背中で語るものじゃなかったかい?」
 お前も昔背中で語ってたけどな。
「気付いていてくれたとは光栄だよ。いつの背中の事だか聞いても良いかな?」
「高校二年。あの騒動の後だな」
 あの時のお前、まるで何年後に再会したって『やあ親友』を第一声に決めているって風情だったぜ。
「……僕とキミは親友だからね」
 ま、その先には、もうちょい勇気がいるな。

「え、なんだってキョン?」
「何がだ? それより飛ばすぞ。今日はひとしきり自転車で走りたくなった」
「まったく。キミの大学にはレポートというものはないのかい?」
 腰に佐々木の腕が回る。背中に暖かい感触が広がる。
 今日の講義にゃレポートはねえな。だが佐々木大学さんはそろそろ俺のレポートをお求めのようだ。

「何か言ったかい?」
「いいや、なんにも」
)終われ
69この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 00:28:25.21 ID:MUuViLQU
素晴らしい、ささきーの性格と口調をこうもよく把握しておられるとは
70この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 00:32:00.05 ID:jbFGY6zC
ニヤニヤが止まらんwww良い気分で眠れそうだよありがとう
71この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 01:39:07.81 ID:7fWEAWhB
>>68
乙です
72この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 07:12:43.66 ID:jbFGY6zC
おはよう

>>68のお陰か、花火大会の後にお菓子でコーティングされた遊具で遊ぶ夢を見たw
遊び放題食べ放題で楽しかったよ佐々木さん
73この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 11:42:04.79 ID:qyNhnO/M
面白かったです
74この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 14:27:32.29 ID:uVQ5ZaRH
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
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75この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 15:28:06.28 ID:QoydAiho
>>74
    ∧
     ||
     || 
  , -‐- 、、  
. ,'. /  ト、 ヽ  
.i. ((从ソ 从〉.           , -‐-ー .、
.l (|;:;:;:;:;;;;:i!i|.          ,'    ヽヾ
,ハNiヘ'' - ''ノ'iハ.           i  .,ハハバゝ
   〈i'∪∪) .           i!i| ─ ─i!
  ノ_/__l_jヽ..            、. - ノ
  `~しし~´.            /〈にづ┓___
     ||        =====ヽ ぐ___,/__||卅]
     ||         .ヾ⌒ヾ//゙> .> /ヾ⌒ヾ
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     ||.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
    ^^^
76この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 17:02:01.86 ID:uVQ5ZaRH
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
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..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
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.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
77この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 17:24:21.05 ID:QoydAiho
>>76
.                      , -‐- 、
                      ,'. /  ト、 ヽ.
   ,. ‐-ー- 、               i.(从ノノニニニ||=====l    ̄ ̄ ̄ ̄
 ノ /    ヽ             l (| 0;;;;;;0 i!l              ̄ ̄ ̄ ̄
 ノハハハハハ !            ハNヘ  ー ノハ!
. .!|─ ─ iリ)!              ./〈にづ┓___
  ’ 、一 ,ノル´ ww    =====ヽノUUZゝ__||卅]
   {!とス)           .ヾ⌒ヾ//゙> .> /ヾ⌒ヾ
    i´゙T`i           (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
   〈_.八_,>  .        ゞ/__彡' ¨゚¨    .ゞ/__彡'
78この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 19:29:21.40 ID:jbFGY6zC
寝坊したと焦ったが、今日はお休みだと気付いて安堵する佐々木さん
79この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 22:27:45.31 ID:MuEFW9Nr
>>68
全体的に素晴らしかったが、
キョン表情検定を開く長門とそれを受験する佐々木さんというのは
この二人の関係としてすごく納得が行った。GJ。
80この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 22:42:04.44 ID:TDxZlgYK
ありがとう。勝手に自転車の荷台に乗ってる佐々木さん、というネタをやりたかった
今も反省してない
81この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 22:59:43.23 ID:jbFGY6zC
反省など不要、ただ前だけを向いて突き進め!道は君の後に創られる
82この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 23:33:11.60 ID:NBKTBkJS
佐々木さん今晩は
83この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 23:47:37.48 ID:b6SWTYly
>>81
何だそれは
84この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 23:48:54.11 ID:qyNhnO/M
佐々木さんて花見したい
85この名無しがすごい!:2012/03/17(土) 23:55:14.68 ID:TDxZlgYK
>>83
これは推測だが、おそらくロードローラー的な何かではないかな?
86ルームシェア佐々木さんとハードル1:2012/03/18(日) 00:16:26.49 ID:MQm70Xyu
>>25>>67シリーズ

「……まさか、それほどとは」
 大学。古泉は眉間に当てるように中指を立て
「まるで本当に無邪気なバカップルの同棲生活の一ページのようではありませんか」
 何度も言うようだがな古泉。俺は確かに無邪気かもしれんがカップルではないしルームシェアだ。
 俺の母親もあちらさんも了解してくれた上に誓約書まで書かされたんだぞ。
「ええ、そうでしょうとも……どうも高校時代も似たような話をした覚えがありますが」
「奇遇だな。俺もだ」
 古泉はぐっとコーヒーを飲み干すと、空き缶をダストシュートへシュートする。

「確かに、涼宮さんの能力に復活の兆候は見えませんが……ああ、どうですあなたも。もう一本」
 ガコン! と小気味良い音を立て缶コーヒーを取り出す。
 おごりならありがたく受け取ってやろう。
「セカンドレイド!」
「うお!?」
 古泉が投擲したコーヒーをあわててカバンで受け止める。
「危ねえじゃねえか!」
「失礼。でも以前あなたも仰ったではないですか。言って解らないなら、叩きのめしてでも解らせると」
 そこまで言ってねえよ! 神人退治から解放されて運動不足だとでも言うつもりかお前は。

 それからしばらく。
 古泉に卍固めを食らわされた俺に向かい、ハルヒはあっさり言ったものだ。
87ルームシェア佐々木さんとハードル2:2012/03/18(日) 00:18:48.63 ID:MQm70Xyu
「言ってなかったけ? 佐々木さん真っ先にあたしのとこに挨拶に来たわよ」
「why? 何故?」
「何言ってんのよ」
 いつものように口をアヒル形にし、ついで口元を膨らませコーヒー牛乳パックを膨らませてゆく。
「あんたはSOS団の団員その1で雑用係よ。わかってんでしょ」
 俺に昇格の場は無いのか。

「僕が副団長であるように、与えられる側には、役職を変化させる権利はありません」
 任命権を握っている側の内的変化、或いは自ら現在の立場から脱却し、対等の立場へ再構成しないとね。
 と続けた古泉のにやけ顔は、いつものように楽しげで、いつものように偽悪的で、そしてどこか寂しげに見えた。
「本当に涼宮さんはあなたを信頼している、という事ですよ」
 ……そうかい。

「ま、なんにせよSOS団とあたしは常勝不敗なんだから、多少のハンディマッチくらい許すべきと思うわけ」
 今度は音高くコーヒー牛乳を思い切り搾ると、そのまま右手で握り潰す。
「向かってくるなら叩き潰すまでよ!」

「あ。それはそれとして古泉くん」
「はい。なんでしょう団長閣下」
「なんかムカついたからちゃんと最後までやっちゃってね」
 お前な、俺はとっくにボコボコだぞ。俺の頭が悪くなったらどうしてくれるんだ。
88ルームシェア佐々木さんとハードル3:2012/03/18(日) 00:21:32.25 ID:MQm70Xyu
「もう十分悪いじゃない」
 言うと思ったよ!
「では次からは蹴りにしましょう」
 お前はお前で高校時代よりフランクになったな古泉!
「過激でしょうか?」
 ちょっとしたスペクタクルだよ!
「協定違反を確認した」
 長門、なんだ協定って。やめてローキックはやめて。
「いいからどいてなさい!」
 だからってドロップキックもやめろハルヒ!

「……と、察するにこんな事があったのかな?」
「察しがいいどころじゃないぞ佐々木」
 ぎこちなく赤チンを塗りながら、くっくっと喉奥で佐々木が笑う。
「なに、風の便りだよ」
 お前が取り出したのは風じゃなくて携帯にしか見えんぞ。
「大事な団員をお預かりするのだからね。ちゃんと団長殿には話を通しておいたのさ」

 すっかり馴染んだ共用の居間に座り込み、俺は憮然と言ったものだ。

「そもそもルームシェアってのは、ひとつの住居を親族関係や恋愛関係にない他人同士が、
 シェア、つまり共同で借りたり、共有して居住することを指すもんだ。俺と佐々木は親友であってだな……」
 こらそこ、笑うな。
「くっく。その通りだね。だからこそ許可された」
 誰にだ。いや聞かんぞ。あまり穏やかじゃない名前が返ってきそうだ。
 あと赤チンが染みる。もうちょいマトモに塗ってくれ。
「善処しよう」
「あとな」

「何度も言うが俺の背中から離れなさい」
「前向きに善処しよう」
 俺の左肩に手をかけながら、佐々木は背後から俺を抱き、覗き込むようにして赤チンを塗ってくれていた。
 文句を言う筋合いはない訳だが、普通は前から塗るもんだろう。

「くっくっく。キミの膝はね、僕にはまだハードルが高いのさ」
 なんのこっちゃ。
)終わり
89この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 00:23:48.70 ID:MQm70Xyu
>>25の時点で>>86の古泉の台詞を入れたくて仕方がなかったんだ……
90この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 04:20:27.49 ID:fTAUdemJ
>>89乙!
今回は佐々木さん分ちょっと控え目なのね、後ろからぎゅっとする佐々木さんはそそるけど
言わせたかったのが古泉のどの台詞か気になるw
さてもっかい寝直そう、また良い夢が見られますように
91この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 12:05:18.54 ID:1jxxJnzB
 今度は キミの人生で遊びたいのだが

       ∧-‐'`.、        ,. ‐-ー- 、
      ,'. /  ト、 ヽ.      ノ /    ヽ
  .    i. ((从ソ.lll.从〉     ノハハハハハ !
      l (|┳ ┳i!l /ヽ   !|─ ─;iリ)!
  .   ハNヘ  ヮ ノハ/ヽ. |.   ’ 、 - ,ノル´
       ⊂)"ー'゙iつ  .|/    . {i'つ´{つ
        /ュュュュゞ .       / T. <
        〈__八_,〉 .      〈_,/.ヽ__〉
92この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 12:40:03.32 ID:9lEQGOui
>>91
        /ヽ
     ・”;/ヽ. |.・”
       , -|/' 、         ,. ‐-ー- 、
      ,'. / .λト、 ヽ.      ノ /    ヽ
  .    i. ((从ソ.lll.从〉     ノハハハハハ !
      l (|= ;;;;;; =i!l       !|へ へ;iリ)!
  .   ハNヘ  - ノハ.      ’ 、 - ,ノル´
       ⊂)"ー'゙iつ         .{i'つ´{つ
        /ュュュュゞ .       / T. <
        〈__八_,〉 .      〈_,/.ヽ__〉
93この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 20:04:14.90 ID:fTAUdemJ
ダーウィンを序盤10分くらい見逃しちゃったよ佐々木さん…
94この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 21:57:34.82 ID:tGFtUV5U
>>88
95この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 22:15:03.85 ID:i8zsICe9
>>93
ダーウィンか。あれはいい番組だね。
大草原や深山幽谷で生きる動物たちを見ていると、
浮き世のことを忘れてキョンと二人で自然の中に生きてみたら
どうなるだろうかと考えるよ。
96この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 23:18:31.88 ID:fTAUdemJ
>>95
かなり早い段階で、吊橋効果全開になりそうですね
97この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 23:48:41.26 ID:MQm70Xyu
ネックハンギングツリーと聞いて
98この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 23:53:31.51 ID:bNg6IMyv
佐々木さんをマスマス好きになった
佐々木さんは新婚ホヤホヤな家庭を築いて欲しい
99この名無しがすごい!:2012/03/18(日) 23:59:28.98 ID:1s6IsqZc
佐々木さん
ああ佐々木さん
100ルームシェア佐々木さんが止まらない1:2012/03/19(月) 00:17:59.96 ID:NEqri0dK
そんでしつこいようだが>>25>>86シリーズ

「キョン、ロマンチックが止まらないんだが」
 佐々木、言動が意味不明瞭だ。
「だからねキョン。ロマンチックが止まらないんだよ」
「だからな、佐々木。お前やっぱり酔ってるって」
「酔ってないよ!」
 酔ってるよ! 紛うことなく酔ってるよ!

『ところでキョン』
 スーパーにて。ビールと輸入物ワインを籠に入れてきたのは佐々木だった。
 曰く、近くゼミの新歓コンパがあるので、その「対策」としてアルコール耐性を見ておきたいとのこと。
 まあこいつらしいと言えばこいつらしい慎重さと言うべきだろう。
 だが俺達はまだ18歳だぞ? 日本国の法律を鑑みろ親友。

『だからと言って免除されるかな? 僕は半々、いや七割の確率で飲まされると思っている』
 ま、かくいう俺も、15の頃に某孤島の館で飲まされ……というか飲んでしまい
 泥酔した挙句もう酒は飲むまいと誓った記憶がある。
『くっくっく。キミは僕にもそんな醜態を晒して欲しいと願っているのかい?』
『誰が言うかよ。わかった、酌くらいはしてやる』
 そんで晩飯に酒席が設けられたという訳だ。
 はい、回想終わり。

「だいたいだね、ワインなんてのは気楽に飲む為にあるようなものなのだよ」
 一応キリスト様の血液なんだろ? それって気楽ってもんなのかね。
101ルームシェア佐々木さんが止まらない2:2012/03/19(月) 00:20:59.82 ID:NEqri0dK
「ふくく。紀元の偉大な神の子は2000年前、だがワインはその更に2000年前の石版に既に記録があり
 一説には紀元前8000年も前からの歴史があるとされるのだよ。こう言ってはなんだが、ジーザスの方が後付なのさ。
 それに知っているかいキョン? 飲用に適した軟水が多い日本人からするとピンと来がたい話だが
 ヨーロッパの水は硬水が主流の為に飲み難く、言ってみれば「味付け」の為に
 ワインが造られていた、なんて考え方もあるくらいなのさ」

 ワイングラスを空にして、にへらと笑って俺に突き出す。
 確かにいつも笑っていると言えばそうなのだが、今日の笑みはなんというか、

「悪くない気分さ。これが酔っているという状態なら、これは決して悪くないよ」

『いやーあんた最高! お礼にみくるちゃん置いていくからさ、ちゃんとしたメイドに教育してやってよ!』
 いつかワインをラッパ飲みしつつ、館の主をばんばん叩いていたハルヒがオーバーラップする。

 うむ。確かに佐々木は俺の中でもトップレベルに値する人格者であり、常識人ではあるのだが
 タイプこそ違えど、ハルヒと「変人」の共通項で括れる事を改めて思い出す。
 神様というのは変人でくくる代物なのかね?

「キョン?」
 と、ふと見ると佐々木が半目でこちらを睨んでいる。珍しいこともあるものだ。
 やっぱ酔ってるだろお前。
102ルームシェア佐々木さんが止まらない3:2012/03/19(月) 00:22:58.14 ID:NEqri0dK
「酔ってないよ。それよりね、せっかく僕と二人きりなんだから僕の事を見ておくれよ」
「見てるだろ。ほれ」
「見てない。涼宮さんを思い出してる」
 ぶすっと目をそらし、100均で買ったワイングラスを指でなぞる。
 おまけになんか目は潤うわ肌はぼぉっと上気してるわいつもより顔が

「佐々木、顔が近い」
「悪いかね親友? 古泉くんには許す癖に」
「好きでさせてる訳じゃねえよ」
「え、こ、古泉くんが、す、好きだったのかい!?」
「佐々木、顔が遠い!」
「キミはどっちがいいんだい!」
「お前はホントにどうしたいんだよ!」
「キミの隣が良いに決まっているじゃないか!」
「バカか! 離す訳ねえだろ!」
「え」
「え」

 ……勢いで不適当な台詞を口走った気もする。
 それきり、佐々木はにこにこと笑ったまま小刻みに揺れていた。 
 あぐらをかき、なんとなく頭をぽんぽんと軽く撫でてやると、されるがままに笑っている。
 あ。昔、こんなオモチャがなかったろうか。
103ルームシェア佐々木さんが止まらない4:2012/03/19(月) 00:26:35.32 ID:NEqri0dK
「……ところでキョン。ワインの神様ディオニューソス、そうバックス、バッカス神とも言うね……
 彼の事をかの哲学者フリードリヒ・ニーチェはこう評したそうだ」
「なんだよ。酒乱の神様か?」

「くく、近いよ………陶酔的・激情的な芸術を象徴する神様だと、さ」

「……だからね、キョン」
 親友。潤んだ瞳で見上げるんじゃありません。
「ロマンティックが、とまらないのさ・・・・・・・・・・」

 これまた何となくあぐらのまま後じさると、後を追うように、こてんと横倒しになって寝息を立てはじめた。
 やれやれ、コンパとやらは丁重にお断り願わせるか、或いは付き人として待機しておくか。
 とてもじゃないが一人にしておけそうにないね。

 と思う余裕はこの時にはなかった。
 なんせ俺のジョン・スミスを、佐々木さんの後頭部が強打してくれやがったのだから。
「……色々ぶちこわしだぞ親友」

「……それでも、ぼくはね、ここがいいんだ」
 呻く俺に、佐々木はにへらと寝言で返す。
「ここはね、ぼくのばしょなのさ」
)終われる

短編のつもりが段々長くなる法則
さ、ささっきーの長台詞のせいなんかじゃないんだからねッ!
104この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 01:39:28.67 ID:W+CNjaQt
もうやだお前ら俺が忙しい時に限って盛り上がってるんだもん…

うおー!!!今読めないのが悔しい!
落ち着いたら読ませて貰います!

105この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 01:41:05.74 ID:djrvVaeX
顔面ゆるゆるの佐々木さんというのもいいものだ
乙!
106この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 07:22:52.58 ID:bit9RxP7
思わず漏れ出でたキョンの本音に、佐々木さんならずとも顔が自然と笑顔になるなるなるなる〜
善哉、善哉
107この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 08:07:57.26 ID:1ukUdJZN
>>103
酔った佐々木さんも素敵です
108この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 11:14:55.78 ID:98Dj6Nqg
また投下されたのか
109この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 12:33:51.50 ID:NgXOB2sm
佐々木さんいいよな
アニメ3期来ないかな…佐々木さんの1/4バニーフィギュアが欲しい
佐々木さんは何色バニーかな?
110この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 14:59:04.39 ID:40Wx7OUg
回文スレで見た一文
「嘘多き佐々木を襲う」

なかなか情緒深いじゃないか。
111この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 18:36:36.54 ID:bit9RxP7
>>109
フォルダ漁ってみたら、当初のイメージカラーである紫バニーと、ハルヒと同じ黒バニーの2種類あった

>>110
佐々木さんは嘘を言うではなく、本当のことをなかなか言わないタイプだと思ってるからちょっと異議アリでございます
112この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 18:42:05.72 ID:aoDJXO7Z
>>111
up希望
113この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 19:20:15.93 ID:bit9RxP7
114この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 19:30:36.39 ID:4DsuaWMo
>>113
二枚目の照れ佐々木かわいすぎる
thx
115この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 20:12:19.31 ID:uLTKdsYY
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
116この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 20:25:05.77 ID:SPIpcBey
佐々木を花にたとえると?
117この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 20:27:21.75 ID:g1QqxN6y
ラフレシア
118この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 20:30:35.63 ID:kxysn3Bl
     , -‐- 、、
.    〃   ; ヽヾ
    ハミ((メノリ从))
    | i(| ┃ ┃ |!|
    | トリ、'' ヮ''ノl'!| もちろん橘なのです!
.   レ゙ {つ旦O リ
.    とく_/__l_j>
119この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 20:30:53.75 ID:bit9RxP7
>>116
紫陽花
地質により色が変わるから
120この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 21:31:31.86 ID:NEqri0dK
SSへの反応に感謝。とはいえ流石にそろそろストックが尽きそうだ
ところで漫画版最新刊(16)が遂に分裂編スタート、ってことで佐々木さん(漫画版)がようやくコミックスで読めたよ
月刊誌で言うところの「続く」の部分に初登場のシーンを割り振ってるから、最初から女性キャラ扱いで登場してるのね
121この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 21:40:34.52 ID:Hqkd2T9Q
>>115
         .lニl i|ヽ
       ..l|i_|__|>   ヽl|
        (__),   ー
        (_____)`ー    
        (__)    -
        (___)  __,.--
         | | l|i ̄
      ・   .| | ;
       .゚;・li|;|;。; ・
   .    〃;゚; ;;゚;ヽヾ, -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|○:::○i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ:::ー:::ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
                        
122この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 23:34:48.47 ID:1ukUdJZN
>>113
佐々木かわいよ佐々木
123この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 23:38:18.42 ID:L5bCrF7x
>>120
いつも乙です
卒業シーズンだから中学の別れの卒業式などやってくれるといいかも
124この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 23:45:28.19 ID:98Dj6Nqg
もうすぐ卒業式?
125この名無しがすごい!:2012/03/19(月) 23:46:38.17 ID:hYs3I+4t
佐々木さんと卒業旅行したい
126ルームシェア佐々木さんと春1:2012/03/20(火) 00:34:08.73 ID:zbdgXxNY
卒業式とかは既に数多く書かれてるから逆に難しい法則
>>25>>100シリーズ

「やぁ、キョン」
 ……できればもうちょいツンデレで素直になれない幼馴染みたいな調子で起こしてくれ。
「それは昨日やったじゃないか」
「す、すまん!」
 エプロン姿の佐々木の囁きに、一瞬で完璧に覚醒する。
 しまった。またコイツに甘えてしまった。

「すまんな、またお前に起こしてもらって」
「それは言わない約束だよ」
 くっくと笑いながら佐々木がカーテンを開ける。
「だがこれはこれで、ルームシェアし甲斐があったというものかもしれないね」
「まったく、俺は誰かに頼ってばっかだな」
 目覚まし時計を増やしてみるかね。

「なら、これはツケにしておくよ。いつかたっぷりと頼ってあげよう」
 カーテンから溢れた朝日に、静かな微笑みが浮かぶ。

 ――こいつは、ほんとに綺麗になったな――――

 思い浮かんで一瞬で消えた。覚醒が足りんようだ。ぶんぶんと頭を振る。
「悪い。掃除と晩飯は俺がやるからさ」
「期待しておくよ」
127ルームシェア佐々木さんと春2:2012/03/20(火) 00:36:11.42 ID:zbdgXxNY
 髭剃り、着替え、四方山話。こいつとの話は途切れることは無い。
 そんな日常を過ごす内、そろそろ四月も終わろうとしていた。
「春ってのは過ぎるのが早いな」
「おや? キョン、まるで惜しんでいるような口振りじゃないか」

「確かキミは夏が好きだったろう? 暑さに文句を言いつつも、そんな夏が好きなんじゃないのかい」
「よく覚えていやがるな」
 その記憶力をもう少し俺に分けてくれ。早くも色々くじけそうなんだ。
「否定はしねえよ。でも春って奴に俺は四季の最高評価を与えてやっていいとも思っているのさ」
「そうかい」
 なんだ。なにがそんなに楽しいんだ佐々木。

「ああそうだ。キョン、まことに言いにくいのだが」
 どこかばつが悪そうにこちらを見る。どうした珍しい。

「僕自身はやぶさかではないのだが、キミはね、やはり自分でちゃんと起きられるようになるべきだと思うよ」
 起こすにはキミの自室に入らなければならないからね。
 と、言われて気付いた。

 昨日買って、自室に置きっぱなしのアレを見られたらしい。
 そう、SOS団三周年記念プレゼントと、俺と佐々木の四周年記念プレゼントが置きっぱなしだったのだ。
)終わる
128この名無しがすごい!:2012/03/20(火) 08:30:39.62 ID:XZJxX4zz
今日も乙でし
>>127の途中まで、新婚さんが寝ボケて昔のことを思い出してるのかと思ったw

間違えて2度ほど書き込みクリックしちゃったから無事に書き込みされてるか不安(^_^;
129この名無しがすごい!:2012/03/20(火) 09:29:43.61 ID:pOwGZd3X
佐々木さんおはよう
130この名無しがすごい!:2012/03/20(火) 12:02:33.12 ID:Qpal9sNt
vip安価絵スレより

252 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2012/03/20(火) 10:47:04.60 ID:mpYdSqae0 Be:
照れてる佐々木

281 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2012/03/20(火) 11:50:38.97 ID:/1puSrbq0 Be:
>>252
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2768632.png
あんま似てないけど
131この名無しがすごい!:2012/03/20(火) 15:58:29.24 ID:caXu/IBV
>>130
長門に見える
132この名無しがすごい!:2012/03/20(火) 17:02:06.19 ID:XZJxX4zz
そうか違和感の正体は北高の制服か
133この名無しがすごい!:2012/03/20(火) 19:53:06.64 ID:J4WeSDlx
佐々木かわいいよ佐々木
134この名無しがすごい!:2012/03/20(火) 20:39:32.95 ID:UmHQWOtG
佐々木を亀甲縛りするキョン
135この名無しがすごい!:2012/03/20(火) 23:16:28.87 ID:XZJxX4zz
おやすみー
136この名無しがすごい!:2012/03/20(火) 23:42:09.99 ID:0p0tEr7w
おやすみ
137この名無しがすごい!:2012/03/20(火) 23:52:55.55 ID:F27hY4zc
原作の続きが早く出て欲しい
138この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 00:03:44.36 ID:HgN+R8My
まったく。でもハルヒ以外にもシリーズ持ってるけどそっちも止まったままらしいし
本当に参ってるんだろうな。頑張ってくださいとしか
139この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 00:05:10.50 ID:Ss0TrDNk
コンビニでハルヒのフィギュア付コヒーがまだあったので買ってきた

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2771310.jpg

佐々木さんもハルヒも可愛い
二人ともお尻の谷間が凄い。パンツは白ですね
佐々木さんもけっこう胸がある。ハルヒよりやや小ぶりなくらいの美乳

アニメ化とフィギュア化が待たれるね
140それは谷口との遭遇:2012/03/21(水) 00:16:31.71 ID:HgN+R8My
陰謀〜驚愕と話が繋がってるから難しいよね

「あ、キョン」
 前方からすっかり耳慣れた声が耳に届く。
 佐々木が立ち止まったのにつられて俺もそうし、九曜も倣った。
「こんなところで会うなんて珍しいなあ」
「国木田、それに谷口か」
 谷口、頼みがある。ダッシュで帰ってくれないか。

「そりゃねえだろキョン」
 谷口はしまりのないニヤニヤ笑いを浮かべ、俺と佐々木にぶしつけな視線を交互にぶつけつつ

「俺も紹介してくれよ、キョン。俺はお前の親友だぜ。なんでも腹を割ってェ!?」
 言いかけた谷口の腹に強烈なボディーブローが入った。
 おい佐々木?

「……親友。僕が鈍感なキョン相手にどれだけ勇気を出してその呼称を用いたか…………」
 さ、佐々木さん?

「その親友というポジションすらロクに固定されきれていないのにどれだけやきもきを」
 陰鬱なオーラのようなものが垣間見える。
 そのままくの字になって谷口が崩れ落ちると、はっと我に返ったように佐々木が笑った。

「す、すまないキョン。つい持病のボディーブローが」
 その意味不明な持病で倒れたのはお前じゃなくて谷口だけどな。 

「とりあえず「腹を割って」だったね。切開手術は不慣れなのだがやるしかないだろう」
 落ち着け佐々木。国木田、お前も、
「変わってないなあ佐々木さん」
 とか意味不明な言動はやめて救急車頼む。
141この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 00:21:39.03 ID:HgN+R8My
驚愕の谷口はとても青春男子高校生なキョンの悪友でいいキャラしてるが
このシーンだけはこんなリアクションを考えてしまった私だ。
142この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 00:22:08.44 ID:4aDoeTd2
凄いな
143この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 02:24:34.03 ID:FWmbZaN9
最近SSの投下が続いて本当に嬉しい。

>>116
キョンはソメイヨシノやアサガオといっていたな。

>>120
あの叙述トリックをやるにはそれなりにページの消費と手間がかかると割り切っている。
ミヨキチの正体みたいにそれが話のオチというわけではないからね。
佐々木さん可愛く描けているし。(オリジナルの私服とか)

こっちは早くも次巻の表紙に期待しているわけだが。
144この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 02:33:53.16 ID:FWmbZaN9
>>130
佐々木さんを照れさせる場面はおそらく思った以上に多いだろうけど、
赤面させるのは結構レアなのではと思う。(Rainy Dayのアレみたいな感じ?)

基本的に微笑顔かちょっとした困惑顔か真面目顔の3パターンが
キョン視点でよく見せている表情なんじゃないかな。
145この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 06:05:07.78 ID:tovXenhA
>>139
やっぱり頭のテカリは気になるけど、でもかわいいなあ
おっぱ(中略)嬉しい

>>140ワラタGJwww
佐々木さんの「親友」のという言葉に懸けた重さが良いですな
146この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 13:41:17.92 ID:DTqQYgsK
佐々木さん今日は
147この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 16:24:10.11 ID:zhbe5z8f
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
148この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 16:47:53.62 ID:XJAe5G5+
>>147
            , ----- 、
        ____/〃"  、、、 ヽ
      ∠> ` ̄ ̄`ヽ, --z _ i
     / ,>           ヽ  ̄\
    ./,∠.    人  、   ゛゛゛ ヽ゛、 ヽ
   / _ノ .  /  | /|人  ゛゛゛ |   i
   |  〉/ ./|  レ´ ̄`ヽ λ   | |i  |
   i ll 〈/|  |`ヽ  , ― 、 |ノ |    | |l  |
    |   |人|⌒ノ   、__・,   レ 、∧|   /
   ゞ、 ゛  | 、ヽ_________, メ ト、 | " /
     \゛、 | トー―--|  /__./ " /
      `‐ヽ ゝ, _____.ノ /レ'____/
          \_____    |  ζ
             |    .|  ∞
         ______.ノ     人 (⌒)
        //::::::::|-、 ,-/::::::ノ ~.レ-r┐
       / /:::::::::::|  /:::::ノ__ .| | ト、
       | /:::::::::::::::| 〈 ̄   `-Lλ_レ′
       レ::::::::::::::::::|/:: ̄`ー‐--|-‐′
                    |
                    |
                  , -‐- 、、  
.                 ,'. /  ト、 ヽ  
                 i. ((从ソ 从〉
                 l (|;:;:;:;:;;;;:i!i|
                ハNiヘ'' - ''ノ'iハ           , -‐-ー .、
.                  .{i'∪∪)            ,'    ヽヾ
                   ノ_/__l_jヽ.              i  .,ハハバゝ
                  `~しし~´            i!i| ─ ─i!
                                    、. - ノ
                     ;               /〈にづ┓_
                              =====ヽ ぐ___,/__||卅]
                     ;         .ヾ⌒ヾ//゙> .> /ヾ⌒ヾ
                              (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
                   -━━-       ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
149この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 18:26:36.28 ID:tovXenhA
春分も過ぎて、随分と日が長くなりましたね佐々木さん
150この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 19:11:26.59 ID:+Q/cHUyZ
昼間はポカポカしてきましたが、陽が沈むと冷え込みますね(ブルブル)
風邪ひかないようにね佐々木さん
151この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 20:59:59.38 ID:zhbe5z8f
 今度は キミの人生で遊びたいのだが

       ∧-‐'`.、        ,. ‐-ー- 、
      ,'. /  ト、 ヽ.      ノ /    ヽ
  .    i. ((从ソ.lll.从〉     ノハハハハハ !
      l (|┳ ┳i!l /ヽ   !|─ ─;iリ)!
  .   ハNヘ  ヮ ノハ/ヽ. |.   ’ 、 - ,ノル´
       ⊂)"ー'゙iつ  .|/    . {i'つ´{つ
        /ュュュュゞ .       / T. <
        〈__八_,〉 .      〈_,/.ヽ__〉
152この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 21:40:33.42 ID:yuWZC6Yq
>>151
        /ヽ
     ・”;/ヽ. |.・”
       ∧-|/'`.、
      ,'. / .λト、 ヽ.
  .    i. ((从ソ.lll.从〉      ,. ‐-ー- 、
      l (|0 ;;;;;; 0i!l      ノ /    ヽ
  .   ハNヘ  - ノハ.      ノハハハハハ !
         ”;         !|─ ─;iリ)!
                    ’ 、 o ノル´
       ⊂)"ー'゙iつ         .{i'つ´{つ
        /ュュュュゞ .       / T. <
        〈__八_,〉 .      〈_,/.ヽ__〉
153この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 22:20:51.37 ID:AWa0Qu9n
佐々木さんと卒業旅行したい
154この名無しがすごい!:2012/03/21(水) 23:49:49.06 ID:LPacelW+
佐々木かわいいよ佐々木
155ならこういうのもアリだね?by佐々木:2012/03/22(木) 00:29:46.68 ID:QjjR48bl
 さて俺の評価を述べよう。
 つまり「佐々木とは佐々木である」。
 これに尽きる。佐々木とは佐々木なのだ。
 俺と佐々木の関係を勘ぐる奴もいるが、そんな変な気を回す奴は頭がどうかしている。
 俺にとって佐々木とは佐々木であり、万倍も俺より人が出来た、俺には勿体無いくらいの親友なのだ……

「まったくだねキョン。変な勘ぐりなど笑い飛ばすべきなのさ」
「そうだな」
 うむ。まったくだぞ親友。

「……」
「……」
「…ふええ……」
「……ですが、ですねえ……」

「ところでキョン。そこ、計算間違ってるよ」
「おう。すまんな」
 さすが有名進学校。持つべきものは親友だな。

「…………あの、普通親友はそんな座り方は……その」
 おい古泉。俺の親友の希望にケチでもつける気か?

 俺の膝の上でニコニコ笑う佐々木に対し、ハルヒが長机を振り回し始めたのはそれから5秒後の事だった。

■後日談
「でもね、これだけやってもあの反応なんです……」
「それはそれでおかしいわよね……」
「なんらかの干渉を疑うレベル」
「ふええ」
 その数日後、何故かSOS団女子と佐々木が顔をつき合わせていた。

「お前らあれから何かあったのか?」
「もう、一度あなたにふんもっふ!すべきな気がしますよ」
156この名無しがすごい!:2012/03/22(木) 00:39:18.94 ID:QjjR48bl
長めの奴を弄ってるとこういう即興物が出来上がる法則。
ところで漫画版(16)分裂U表紙の私服が可愛いが、ヘッドホン好きなのかねツガノさん
157この名無しがすごい!:2012/03/22(木) 06:33:57.54 ID:cCqItCzb
>>155
158この名無しがすごい!:2012/03/22(木) 07:29:06.38 ID:3C4Zcko6
おはおつ
膝上&挑発に5秒とは、ハルヒにしちゃ耐えたほうだw
159この名無しがすごい!:2012/03/22(木) 22:17:20.18 ID:3C4Zcko6
おい留守にしてるときょこたんが忍び込んでくるぞ
160この名無しがすごい!:2012/03/22(木) 23:29:09.03 ID:3C4Zcko6
雨です佐々木さん
花粉の飛散が少ないのは良いことです
161この名無しがすごい!:2012/03/22(木) 23:45:27.33 ID:nR8Kwab2
>>155
おつです
162この名無しがすごい!:2012/03/22(木) 23:46:03.47 ID:xvpFtdz6
佐々木さん今晩は
163この名無しがすごい!:2012/03/22(木) 23:47:51.46 ID:ZEKz7Rwt
佐々木さんとスキーに行きたい
164火曜日と自転車の荷台1:2012/03/23(金) 00:20:24.68 ID:I1U1Cvvs
単体で成立する短編。でもなんとなく>>10>>36シリーズの一環みたいな。

 目覚ましのベルが鳴るより早く、僕は床を抜け出す。
 さて、今日は火曜日だ。

「いってきます!」
 暖かく輝く空の下、らしくないくらい足が軽い。いつもより薀蓄が冴える。
 それは火曜日の特徴だ。

「そうかい? 嘘は言っていないつもりだよ?」
「まったくキミという奴は」

 中学校。いつものように隣の机に肘をつき、乗り出すように覗き込む。
 キミの表情はいつも通りの困り顔さ。

 休み時間を楽しく過ごし、机を合わせて給食を食べる。
 食事中に喋るだなんてはしたない? くっく。そんな事を言うなら一度彼と話して見るべきさ。
 きっと誰でもこんな気分になるのだろうと僕は確信しているね。
 これは僕にとって何より貴重な時間なんだ。

 でも、火曜と木曜は特別さ。
 下校時間があるからね。

 二人で彼の家まで歩き、それから自転車に二人乗り。彼の荷台が僕の席。
 さて、どんな話をしよう。どんな顔をしてくれるかな?
165火曜日と自転車の荷台2:2012/03/23(金) 00:21:16.15 ID:I1U1Cvvs
「安心することだねキョン。キミの考えはきっと正しいさ」
「くっく。キミが思うならそれでいいよ」

 自転車だから顔は見えない。
 けれど、くく、きっと困った顔をしているのだろう。
 なんとなく額を預けてみる。体温が上がってゆく。そうだね。きっと困った顔だろう。

「くくっ」
 なんて素敵な空間だろう。
 そうとも、ここは僕の場所だ。僕の居場所なんだ。誰でもない僕の場所なんだ。

 限りある今を満喫するのは子供の特権だ。
 だから、僕は今、この心地良い空間をたっぷり楽しむべきなんだ。
 たった数十分の道のりだけど、十秒を、十分のように感じたい。もっともっと、あらゆる知覚を動員して。
 今を、もっと感じたい。

『佐々木さんらしいね』

 ふと思い出す。
 いつか国木田くんが僕をこう評した事を。
 旧交を温め、想い出を語る僕に向かって「佐々木さんらしいね」と。

 そうかもしれない。
 今が楽しくないはずはない。そんなに楽しいことが無かった訳じゃない。そんなはずなんか決してない。
 だけど、僕はいくつかの楽しい思い出を、繰り返し楽しむ事が多いのかもしれない。

 まるで、大きなパンに、ほんの小さなクリームを精一杯に広げて塗るように。
 オックスフォードホワイト。クリーム色をとことん希釈させたような、セピア調の明るいこの空間のように……。
166火曜日と自転車の荷台3:2012/03/23(金) 00:22:07.69 ID:I1U1Cvvs
『佐々木!』
「どうしたんだいキョン? 後ろを向いちゃ危ないよ?」

 あれ? なんでキョンに顔があるの?
 あれ? 何故? キョンはこんな顔だったかな?

「キョン。急がなくちゃ塾に遅れてしまうよ? それとも僕ともっと話したいとでも言うのかな?」
『冗談言ってる場合か! 一緒に戻るぞ!』
「戻る? 家にかい?」

『違う! 現実にだ!』

 急速に認識する。急速に理解する。
 あの日、彼の自室に押しかけた僕がした事。してしまった事。
 キョンの信頼を逆手にとって、口先三寸で丸め込み、理屈詰めで「強奪」して成り上がった「神様」の事……。

『同意しろ現地人』

 藤原くんは僕を「脅迫」なんてしなかった。
 僕の同意なんて不要だったんだ。僕の本心には心から「望むもの」があったから。「神様」になりたがっていたから。
 キョンを「脅迫」したのは彼が同意しないからだ。そう、彼はエンターテイメント症候群。
 彼が望むのは「非日常」なのだから。

 だからキョンは同意しなかった。
 なのに僕は彼を騙した。彼を「同意」させ、神様の力を奪ってしまった。

 ああ、なんて解り易いトリックスター。
 神や自然界の掟を破り、誰かを騙し、物語をひっかきまわす道化者。それがトリックスター。

 ああ、なんてズルい仕掛けだろう。
 一度奪ってしまえば、割と「逆」は難しいのだ。
 だって涼宮さんは、まだ「自覚」に至っていないのだから。
 彼女に「同意を得る」という事は、彼女に「神様になりたい」と強く自覚させなければならないのだから。
167火曜日と自転車の荷台4:2012/03/23(金) 00:22:45.83 ID:I1U1Cvvs
「キョン。何を言っているのかな? 塾に遅れてしまうよ」
『佐々木!』
 ああ、何を言っているんだ。

「それは確か北高の制服だろう? そんなもの着て、いったいどういうつもりだい? キョン? キミは何を」
『佐々木!』

 ああ、何を言っているんだ…………キミは。

 僕と塾に行くのだろう?
 さあ自転車の荷台に乗せてくれ。一緒に行こう。一緒にいこうよ?
 もう、私から先に降りたりなんかしないから、だから荷台から降ろさないでおくれ。

 キミと二人乗りするバランスを崩すのを、怖がったりなんかしないから。

 ……そうだよ、私が憧れたあなたなら、居場所なんて作れるでしょう?
 そうよ、彼の隣じゃなくても良いでしょう?
 お願いだから返してください。
 勝手だけど返してください。

 だから、キョン、私を憎まないで。キョン、キミだけでいい。身勝手だけど信じてください。
 お願いだから――――お願いだから、信じてください。
 お願いだから――

「……ああ。そうだな。一緒に行こうぜ」
「うん。急がないと時間がないよ」
「おう。急ぐぞ佐々木!」

「しかしそんな制服、どこで手に入れたんだい?」

 ブツリ、と何かが千切れた気がした。
 私たちを包む大きな何かが、もっともっと大きな何かから、切り離された気がした。

 でも、そんな事はどうでもいい。
 キョンが傍に居るのだから。これは僕とキミとの物語なのだから……。
)終わり……?
168この名無しがすごい!:2012/03/23(金) 00:28:08.25 ID:jJQjxo1o
乙です
169この名無しがすごい!:2012/03/23(金) 00:28:30.13 ID:I1U1Cvvs
最初はほのぼの短編のつもりが、驚愕(後)の佐々木との最後の会話思い出してこんなオチに。
でもここまでしなくても、もっと自分の私情を出して………しまうとハルヒのライバル、レギュラー的になっちゃうし
物語の軸がブレるから、潔いキャラのまま退場にもっていったんだろうなあとか。

変な言い方だけど「退場」とはちょっと違うとは思うのだけどね。
170この名無しがすごい!:2012/03/23(金) 08:07:02.66 ID:OX+fpCHY
読後感がなんだかちょっと(´・ω・`)です佐々木さん
ハルヒにとって、ゲスト参加枠にするには佐々木さんは強過ぎたのよ
171この名無しがすごい!:2012/03/23(金) 14:33:36.75 ID:jJQjxo1o
佐々木さん今日は
172この名無しがすごい!:2012/03/23(金) 21:03:09.74 ID:OX+fpCHY
物もらいができてしまった佐々木さん
173この名無しがすごい!:2012/03/23(金) 22:10:51.31 ID:zZhx4plV
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
174この名無しがすごい!:2012/03/23(金) 22:36:05.31 ID:OX+fpCHY
なんだか頭ふらふらするよ佐々木さん
175この名無しがすごい!:2012/03/23(金) 22:58:03.81 ID:sF9H1Xii
>>173
       ,. ‐-ー- 、
     ノ / .   ヽ 
.     ノハハハハハ !
     !|─ ─ ,iリ)! 
     ’ 、-  ノル              , -‐- 、
     ○┯○イ〉とエ)'〉          ,'. /  ト、 ヽ
     [柵]\〈`<=ヾ^ヾ゙ヽ        i. ((从ソ 从〉
     || /|= じ'l|ニゞニ>ニ)       .l. (|;;-;;;;-;;i!l
     ゝ.ノ    ̄.ゝ.ノ          .ハNiヘ;;;;-;;;ノハゝ
176この名無しがすごい!:2012/03/23(金) 23:41:24.48 ID:I9AscFAY
佐々木さんとプールに行きたい
177この名無しがすごい!:2012/03/23(金) 23:43:41.47 ID:c9aS+5sm
佐々木さんとシャミセンの会話が見たい
178佐々木さんのRainy Noise1:2012/03/24(土) 00:35:22.52 ID:jAi5c7vH
驚愕特典Rainy dayがベース。独立短編だけど、>>10>>36シリーズ内。

『一つ聞いていいかな? なんでキョンと今さら?』

 まどろみの中、脳裏に冷水をかけるような声が響いた。
 それはキョンと喫茶店から出た時、不意に再会した国木田くんの言葉。

『佐々木さんらしいね』

 画面暗転。旧交を温め、想い出に耽りたがる僕に向かい彼は言った。
 それは「佐々木さんらしいね」と。

 まあね。何故なら僕の夢は「思考」の先にあるからだ。
 だから僕の思考は「中立」でありたい。
 思考にノイズを入れたくないから。

 それに僕は欲求が希薄だから、何事も「いずれは終わる」と客観視してしまう。
 だから、やがて「思い出」になってから、くすくすと眺めて楽しむ方が性に合っていると言えるのだ。
 それをして国木田くんは言ったのだろう『佐々木さんらしいね』と。
 なかなかなの観察眼だ。

 全ては思考のノイズを減らす為に。
 僕の夢は「思考」の果てにこそあるのだから、僕は歩き続ける必要がある。

 女には女の、男には男の言葉と思考で。対等な立場を気取って、相手に深く立ち入らせない。
 情緒的な思考なんてノイズだ。特に恋愛感情なんて精神病の一種とさえ言っていい。
 誰かに好かれようとしたり、好意を振舞うなどもっての他なのだ……。

『お二人さん。これ、進路希望表。先生から預かってきたから書いて』
『この班で出してないの、あなたたちだけだから』

 また一つ声がする。
 中学時代、忘れもしない、キョンに恋愛は精神病だと豪語した日。そして「…の日」の事だ。
 クラスメート。とても可愛いオンナノコ。岡本さんの声だ。

 丁度その時、僕に「おまえ、回りくどくて理屈っぽい言葉遣いを直せばさぞかしモテるだろうに」とキョンは言った。
 僕は得たりと「モテるモテないに意味はない、恋愛なんて精神病」だと返した。
 そうさ、僕は誰かに好意を振舞ったりするつもりはない。
179佐々木さんのRainy Noise2:2012/03/24(土) 00:36:34.73 ID:jAi5c7vH
『なんだか二学期になってますます仲が良くなっているみたいだね』

 今度は中学校時代の国木田くんだ。
 また同じ日、あの……の日、プールサイドで交わした会話。何故こんなにあの日を思い出すのだろう。
 それはきっとあの日が僕らの分水嶺だったからだろう………。

 彼の言葉は「僕とキョンとが仲良くなった理由」を問うていた。
 そうだね。キョンは自覚していなかった。
 僕は答えを拒否した。

 彼は「それが模範解答だね」と笑った。

 そして僕らはキョンに語った。
 理解する必要なんて無いという事を。心地良い旋律……心地良い空間、心地良さに、理解を求める必要なんて無いのだと。
 それは、あの時の僕がキョンとの空間に感じていたものときっと同じだから。
 きっと国木田くんもまた、底知れぬ誰かを想っているのだろう。
 ……国木田くんも、また?
 思考にノイズが走る。

『参ったな。キミは雨男なのか?』

 遂に僕の声がした。中学時代、あの忘れえぬ雨の日の私。
 キミと歩いた通学路。「佐々木お姉ちゃん。遊びに来てくれたのーぉ?」と笑うキミの妹。食べかけのおせんべい。
 ああ、本当にこの日は分水嶺だったのだ。キミの家に遊びに行くという話。
 実現できたのは、一年半もしてからだったね。

 それは、本当は大切になっていたかもしれない一年半。
 僕が一年も……いや決して無為じゃない。無為なんかじゃない。僕は僕の夢の為の一年を過ごした。
 でもそれは傍らにキミがいない、そして「僕」を見てくれる人の居ない一年。
 また思考にノイズが走る。

 キミが自転車を引き出し、僕が荷台に乗る。走り出してしばらく経ってからの事だ。
 一天にわかに掻き曇り、まるで誰かの演出のようにゲリラ豪雨が降った。
 でも僕は、この時、まだ面白がっていた。
 まるで青春映画みたいだと。
180佐々木さんのRainy Noise3:2012/03/24(土) 00:37:55.54 ID:jAi5c7vH
『キョン、このままじゃパンツの中まで濡れ鼠だ。どこかで雨宿りしよう』

 勢いの余りまた口が滑ったのも覚えている。
 我ながらなんてはしたない台詞。……ああ、彼の前では何故か口が良く滑っていたのは……。
 いや、先を続けよう。

 雨の中の軒先。
 シャッターを下ろした何かの店舗の前で、僕らはイモリの類似品のように軒先に張り付いてた。
 内心、ちょっと嬉しかった。それは青春映画の一ページのようだったし、
 このちょっとした猶予期間、モラトリアム自体も嬉しかった。
 またキミとの時間を過ごせるのだと。

 とりとめもなく語り合う。まるで歌詞の意味も知らず洋楽を聴くように、意味も解らない、けれどとても大切な時間。
 だけど僕は気付いてしまった。
 思えばこれは分水嶺。

『ところでキョン。あまりこっちを見ないでくれないか』
『何でだ?』
『……やれやれ』

『キョン、キミは時々忘れるようだが、僕は遺伝子的に紛れもなく女なんだよ。さすがの僕でも、こんな姿……解りやすく言うと
 下着の下すら露になりかけているような、破廉恥な身体を人目にさらして平気な顔ができるほど無神経じゃないんだ』

 キョンは目を合わせるように喋る。それはとても好ましいことだ。
 だけど、下着の下すら露になりそうな破廉恥な姿を、いつもと同じ眼で見られていたのは……
 その目線と、今日、プールで岡本さんの水着姿を見ていた彼の目線を重ねる。それは決して同じ視線じゃなかった。

 キョンは、僕を「女」と見てはいないんだ。
181佐々木さんのRainy Noise4:2012/03/24(土) 00:39:24.31 ID:jAi5c7vH

『僕の貧相な胸部なんてマジマジと見たところで益にはならないだろう?
 岡本さんのならまだしもさ。まったく、本当にやれやれだよ。この雨に対しても、僕自身にもね』

 体温すら感じあえるような距離で、僕らは黙り込んだ。僕は黙り込んでしまった。
 ああ、本当にやれやれだよ。僕は気付いてしまった。

 僕は、キョンに「女」として見て欲しかったんだ。

 自嘲する。キョンは決して悪くない。
 むしろ僕は、こんな姿を見ても欲情しない、そんな人こそ「友達」として欲しかったはずだ。
 性別を越えた本当の友達。「僕」という仮面を見てくれる人。
 僕に干渉しない、心を分かち合わない人。
 中立を求める僕に最高の友達なんだ。

 なのに僕は、キミに性欲を求めてしまった。
 中立であるべき僕が「オンナノコ」として見て欲しがっているなんて。

 それきり僕らは、生返事をし合いながらただ空を見上げていた。
 ふと、キミがちらちらと僕を見ていると気付く。その視線が岡本さんを見るそれに、近付いたように思えてしまって……
182佐々木さんのRainy Noise5:2012/03/24(土) 00:40:08.33 ID:jAi5c7vH
『何か?』

 ことさら冷たく言ってしまう。
 ああ、私は、キミに女として見られたいのか? それとも見られたくないのか?
 自分で自分が解らない。だから、じっと雨を見ている。
 すると、彼が困ったように呟いた。

『やれやれ』

 どきりとした。それは僕の口癖の一つだったから。
 ぐさりとした。堪らなく嬉しかった自分自身の愚かしさに。
 覚えるべきことが山のようにあった中学時代。そのおぼろげで不確かな記憶の中に、ひっそりと眠る僕の分水嶺。

『どうも自覚がないようなので、この件は追求しない方がいいのかな?』

 プール際で国木田くんは「僕に」言った。
 それは、キョンの中にも「僕と仲良くなりたい理由」が眠っている事への示唆。そして「僕」への問いかけだった。
 それは問いかけ。「佐々木さんはどうしたいの?」という問いかけ。

 僕はキョンに「女」として見て貰いたいのか?
 僕は、築き上げた「僕」を放棄して、いまさら「女」になるべきなのか?
 それとも「僕」は「僕」であるべきなのか?
183佐々木さんのRainy Noise6:2012/03/24(土) 00:41:28.05 ID:jAi5c7vH
『『『一つ聞いていいかな? なんでキョンと今さら?』』』

 うるさい!

 それから僕は、進路希望表を提出した。
 キョンとは違う高校へ、己を高める進学校へ。
 僕が僕である為に、「思考」という僕の夢に高める為には「こんな感情」はノイズだと思いたかった。

『僕は誰かに好かれるような事はなにもしない。誰かに好意も振舞わない』

 僕は決意を新たにする。特にキョンには振舞わぬよう……。
 だからこれは封じた記憶。僕がキミの「荷台」から勝手に降りてしまった理由。
 中学三年のある日のメモリーズ…………。
)終わり
184この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 00:44:56.05 ID:jAi5c7vH
Rainy Day、分裂で描かれ数々の二次創作の元になった「キョンの中学時代の思い出」というか
あの恋愛は精神病云々や本能云々の日と同じなんですよねーというお話。

驚愕(前)で語ってた夢、それとRainy Dayを照らし合わせると
佐々木さんの心中はホントになーと思う
185この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 04:20:20.17 ID:t6Qhfeoh
>>178

合わせて読んで切なくなった
はあぁぁぁああ…
佐々木さん切ないよぉ
186この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 06:47:29.10 ID:fHRBLoHe
>>184
乙です
187この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 07:39:17.58 ID:8GZAUuwL
寂しいよお切ないよお(´;ω;`)

今日の雨が殊更胸に響いてくるうぅぅ...
188この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 20:11:01.76 ID:jAi5c7vH
原作を読み直して色々思うところあったので「>>178 佐々木さんのRainy Noise」は内容を若干訂正
>>10の「ごまかし」と「>>36 仮面と驚愕」と第二校書いて、もう少し一貫したシリーズに構成しなおしますわ
本文が結構被るからスレじゃなくてwikiオンリーでやりますんで

よく見たらrainy dayこそ「別高校&一年音信不通だった」に対する一番の解答じゃないか。私バカ
あの恋愛は精神病云々(分裂)が、佐々木の夢(驚愕前キョン自室)を経て、本当に本心からだったって解る訳だし
でもrainy dayで「女と見られたがってる」「その後別の高校へ」で、全部つながってるじゃないのコレ
189この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 20:20:15.54 ID:8GZAUuwL
>>188
修正完了したらば是非こちらにもご一報くださいまし
190この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 20:38:28.77 ID:jAi5c7vH
了解した。ところでrainyと分裂に出てくる中学キョンの独白って、アララト山とかコペルニクスとか
そういう「赤点寸前とか言う割に雑学的に博学すぎない?」みたいな部分が殆どないのね。
これが意図的なものなら面白いな、と思った
191この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 21:47:42.96 ID:9OC5yeGi
>>183
お疲れ様です
192この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 23:49:43.09 ID:Y3dv3mow
>>190
なるほど
193この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 23:54:43.16 ID:XKDxm6qK
>>190
よく読んでいるな
194この名無しがすごい!:2012/03/24(土) 23:56:15.43 ID:bcWsa+fZ
佐々木さん今晩は
195この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 00:31:08.47 ID:Ofy9sQ1Q
とりあえずwikiの>>178、66-178 佐々木さんのRainy Noiseを修正。
以下これの続編になるように>>10>>36の修正版を書く予定。

最初サラッと流し読みしただけだったけど、rainyって示唆的な部分が多い気がする
分裂、驚愕の佐々木の台詞と連動させると全く受け取り方が変わるのが面白い
196この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 06:10:46.89 ID:hY/Fd9lZ
おはよう

>>190乙です
読ませて貰いまふ


でも、今はもうちょっとだけ二度寝の至福に浸ってたいw
197この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 09:41:20.06 ID:1Kss+TyK
おはよう
198この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 12:51:56.11 ID:URpWqSxH
>>183
乙です
199この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 16:09:17.27 ID:hY/Fd9lZ
冷たく強い風が吹きすさぶ日ですね
200この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 17:56:34.05 ID:zQP9vACw
>>188 >>195
おお!
驚愕はかったるいばっかでもう二度と読まないぞゴルァと思ってたが
蒙を啓かれた思いがするのう
ありがと
201この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 21:15:44.91 ID:1Kss+TyK
>>183
佐々木かわいいよ佐々木
202この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 22:03:26.09 ID:Ofy9sQ1Q
>>200
驚愕は「大事な事なので二回言いました!」的なキョンのSOS団愛宣言の繰り返しと
本音を喋らない古泉、禁則で喋れない朝比奈さん(大)と藤原、そんで佐々木さんと韜晦トーク全開で解りにくいものねえ
そらっとぼけるのが得意技みたいなメンバーが揃って中心にいたのが大きいんじゃなかろうか。
203この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 22:28:20.90 ID:Ofy9sQ1Q
あとアレだ。例えば佐々木さんだと、須藤云々で「僕が男に好かれる訳ないだろ?(分裂P144」でも「実はそのちょっと前に告白されたんだ(驚愕後P252)」。
別にキョンに告白云々について相談する気がなかったからごまかしてたという訳でもない(驚愕後P252、驚愕前P289)。

このケースみたいに全般に本音が解り難い上、「観測」で「もう基本出ないよ」って言ってるから「答え合わせ」も出来ない
なので読後感がすっきりしないってのもちょっとある。私の場合ですけど
SF的要素なら「後で解説するだろう」って思えるから良いけど
204この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 23:42:24.56 ID:1Kss+TyK
>>203
驚愕で謎を残すなら、再登場させて欲しかったなー
205この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 23:44:23.24 ID:cjIoGyLw
佐々木さんと泳ぎに行きたい
206この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 23:45:30.32 ID:DOzO9P8p
佐々木さんが強力すぎるから退場なのかな?
207この名無しがすごい!:2012/03/25(日) 23:48:10.86 ID:1YZCmb3B
原作見ないでアニメしか見てないのにキャラクターの中で佐々木が一番好きだな

SSばっかり見てニタニタしてる俺きもい
208この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 00:24:05.84 ID:SieimnWQ
キョンの嫁は佐々木しかいない。佐々木SS大歓迎(もちろんキョンX佐々木)
209佐々木さんの戸惑い1:2012/03/26(月) 01:01:09.41 ID:zyamxRqP
>>178 Rainy Noise、中学佐々木さんへの解釈を踏まえた続編(>>10改訂版)。
周囲に「性別を超越している」と見られたいのに、雨の日、本当はキョンに女と見られたいのだと理解してしまった。
佐々木さんは自らを律するため、新学校に進んだのでした……

 見られている。
 高校に入ってから、ぶしつけな視線を感じることが増えた。
 それはそうだ。僕の通う進学校は元は男子校だから、女子が今も少ない。なので珍しいのだろう。
 注目を買うのは本意ではない。だから、僕は前よりもひっそりと過ごすようになった。

 やがて「視線慣れ」してくると、他人の視線の意味が察せられるようになる。
 これは「女」を見る視線。

『やれやれ』
 だから「僕」という仮面を使う。
 中学時代に大活躍した「僕」の仮面。男性に対し、男性的な言動と思考で語りかける。
 同様に女性には「私」。女性には女性として語りかける。
 性別を超越した風で、変人を装う僕の仮面さ。

『くくっ』
 ふと彼の顔を思い出して笑みがこぼれ、すかさず形を修正する。
 なんてことだ。いわば、彼から逃れる為に「僕」はここまで来たというのに。
 思考のノイズを修正する。僕は、今度こそ間違えない。
 もう、誰にも好意なんて振舞わない。

 僕は演じる。自分自身を枠にはめる。そして決してハミ出ない。
 誰かに深入りされない為に。常に中立である為に。本能を抑制し理性をクリアに保つ為に。
 僕の夢は「思考」の先にある。僕は思考し続けたい。僕は「僕が存在した証」をこの世に残したい………。
 だから、僕は思考をクリアに保つ。
210佐々木さんの戸惑い2:2012/03/26(月) 01:01:51.35 ID:zyamxRqP
 その決意から一年。

 僕はいささか気疲れしていた。
 誰も「僕」を見ない。誰もが「僕」という仮面をスルーして「女」を見ようとする。
 中学時代、特に中学三年時代に無敵を誇ったはずの「僕」の仮面を、誰も面白がってすらくれない。
 遠巻きにするか、或いはぶしつけに飛び込んでくるか。

 うんざりする。どの視線も「僕」を見ない。
 いや。稀に「僕」への視線を感じたこともある。
 目線を辿れば、それは旧友、同じ中学のメンバーが見せる目線だった。
 懐かしい……浮かびかけた誰かの顔を即座に消す。

『××ン、あまりこっちを見ないでくれないか』
『何でだ?』

 まったく、なんでキミばかり浮かぶのかね。
 キミは……ああキミは……なんでだろう。なんでなんだ。
 論理的じゃない、まるで土砂降りの雨のように思考が狂っていく。僕の第一義のはずの「思考」が狂っていく。

 それでもひたすら僕は「僕」でいた。
 ますます変人扱いされたが、それでもよかった。
 僕は誰にも好かれないよう、誰にも好意を振舞わないよう心がけた。

 これは「いじめ」なんかじゃない。
 ただの常識的な発想、常識の視線、「何故?」という疑問視、普通である上での当然の展開なのだ。
 僕は「変人」である事にむしろ喜びを感じる。
 だって「変人」なら女じゃない。

 僕は「僕」だ。そんな本能が引っ付いた目線で人を見ないでくれ。
211佐々木さんの戸惑い2:2012/03/26(月) 01:02:40.44 ID:zyamxRqP
 それでも「女」への視線は消えない。
 中学時代より、周囲の男性比率が高いからだろうか。
 中学時代より、彼らの「男の本能」が高まっている為だろうか。
 多数派は残酷だ。誰もが「女」と私を見て、誰もが「女だろう」と詮索する。
 僕はひたすら「僕」でいた。ますます変人扱いされて、意固地な自分を感じ始めた頃、僕は告白されてしまった。

『佐々木さん!』

 ああ、これぞ「女扱い」の極致。
 後で「僕に告白するなんて、なかなか物好きなものだ」などと思ったものだが
 この時は不意打ちをくらったようなもので、とっさに返答する余裕がなく、ひとまず保留と言う事にしてもらった。

 そうとも余裕なんてなかった。
 せっかく「変人」になれたと思ったら、やっぱり「女」と見られていた。

 余裕なんて無い。だって僕の価値観は揺らいでいたから。
 僕は僕でいて良いのだろうか、と。

 一年前なら一蹴していた事だろう。
 何故なら恋愛なんて精神病だというのが僕の「夢」に根差した持論だからだ。
 僕は情緒的、特に恋愛感情なんて本能に起因するノイズは要らない。常に理性を強く持ち思考し続ける存在でありたい。
 僕は考えるのを邪魔されたくない。それは僕を僕である事を阻害し、ただの動物的な生に変えてしまう。
 僕は「動物」ではなく「佐々木」で居たい。

 僕は「僕」だ。そんな本能が引っ付いた目線で人を見ないでくれ。

 そんな自分が異端だなんて、とっくの昔に知っていた。
 でも、中学時代は受け入れてくれた人も居た。
 だから僕は「僕」を信じられた。

 でも僕は…………。
212佐々木さんの戸惑い4:2012/03/26(月) 01:03:13.04 ID:zyamxRqP
 それからたったの一年。
 この一年、僕を支えるこの価値観に揺らぎが生じているのを感じていた。
 だけど誰にも相談できない。 僕はこれでも社交的な「性格」だと思っている。知人は多いほうだ。
 でも、こんな話を相談できる人など居ない。
 情緒なんて切り捨ててきたのだから……。

『佐々木』
 ふと、誰より「僕」を受け入れてくれた人の顔が思い浮かぶ。
 まぶたの裏の、元同級生。

 ここしばらく、何かの拍子に浮かぶ風景があった。
 それはダルそうな元同級生の顔と、彼と過ごした日々の事。
 彼の机に乗り出し、間近に見上げた彼の顔。机を並べて給食を食べるのはほぼ毎日の事で
 火木には彼の自転車で塾に行き、火木土が終われば肩を並べてバス停へ歩いた。

 そうやって誰より近くにいても、キミは「僕」を女扱いしなかった。
 誰より「佐々木」として見てくれた。
 そして……私が逆に惹かれた。

「キョン」

 僕の中の「女」が惹かれた。
 そう知ったとき、僕は「私」を、「女」である事を改めて否定した。
 それは、僕の夢を阻害する感情だから。僕は猶予期間<モラトリアム>を断ち切る事にした。
 僕は今の高校に進路を決めた。キョンとは別の、そしてあらゆる意味で己を鍛えられるだろうこの学校へと。
 それが僕らしい行動だろうから。

 結果、僕はもっと酷いノイズに見舞われた。

 だから僕は「今」から逃避し、モノクロームセピアの想い出に耽る。
 今はホラー映画みたいなものさ。この世に永遠の物はない。だからいずれは終わるだろう…………
 ふと、ここまで考えて愕然とした。
213佐々木さんの戸惑い5:2012/03/26(月) 01:03:54.49 ID:zyamxRqP
 中学三年の春、他ならぬキョンと初めて出会ったときも同じように考えてなかったか?
 上手くいかぬ日常、セピア色の想い出に馳せていた僕に、フルカラーの日常をくれたのも、他でもない……
 思考を一旦停止。記憶の底に封じ込める。
 これ以上の逃避はいけない……。

 やれやれ。
 何度目かの溜息を吐いたとき、家の電話が鳴っていたのに気付いた。

「同窓会?」

 これは、渡りに船というべきなのだろうか。
 かかってきたのは、まさにそのキョンと話す機会を提供するものだった。
 ふふ、須藤、これが中学時代なら給食のゼリーくらいお礼に提供してあげたのに残念だったね。
 とりあえず北高組の窓口にキョンを推薦しようか。
 急に心が浮き立つのを感じた。

 まったく。僕はキョンが怖いのではなかったか?
 それともそんなに彼に…………。

 しかし須藤の返事には、北高組から得たと言う世間話が付いてきた。

「キョンが?」
214佐々木さんの戸惑い6:2012/03/26(月) 01:04:21.51 ID:zyamxRqP
 須藤の言葉は、何故か僕からあらゆるコメントを奪った。
 僕は日本語を初期化されたまま、入力されたコメントをただ脳内で反芻する。
 
 彼が、美少女だらけのグループで?
 え? なに? 涼宮さん?

 それからの事はよく憶えている。
 言葉を封じられた代わりに、僕は須藤の言葉を次から次に記憶していった。
 それは、キョンが今は北高で楽しくやっているという内容だった。
 あの太陽のような少女、涼宮さんと一緒に。

 須藤からの電話を終えたとき、また、彼から電話がかかってくるだろうな、等と考えていた。
「ちょっと、生返事すぎたろうか」

 それからの行動は早かった。
 予定は前倒したが、「時すでに遅し」「冷静になれ」「大脳仕事しろ」「視床下部に反撃せよ」
 忠告がどこかで聞こえた気がした。

 涼宮ハルヒ。小学生時代の僕のあこがれ。
 他所のクラスの少女だったが、彼女のクラスはことのほか仲がよかった。その中心が彼女だった。
 彼女は太陽のように明るく、太陽のような引力で誰でも引き付けた。
 あの笑顔が、今は彼に向けられている。
 そう思うと落ち着かなかった。

 でも待ちたまえ。彼女はいわば「僕」の「原型」だ。
 ベクトルは違うが完成度も違う。そう、彼女こそ僕が憧れた「周囲の雑音も、性別も超越した人」だった。
 きっと今もそうさ、だから心配するんじゃない。

 ……心配?

 思考のノイズを修正する。
215佐々木さんの戸惑い7:2012/03/26(月) 01:05:13.20 ID:zyamxRqP
 土曜日。いつもより早めに家を出る。
 ああ、ホントはこんな簡単に彼に会えたのか。コロンブスの卵とはよく言ったものだね。
 たっぷり一年会ってないのに、なぜか彼の背中は一目で判った。

「やあ、キョン」
「うわ、なんだ佐々木か」

 彼の語尾は断定だった。?マークなんか付いちゃいない。それがなんとなく嬉しかった。
 さあ、彼の「友人」に会いに行こう。
 四方山話に興じることしばし。

 彼は変わっていなかった。
 まるでこの一年なんかなかったように思えてくる。
 僕の価値観を揺るがす変容? そんなものはきっと幻だったのだ。僕も彼もこんなに変わっていないのだから……。

「遅刻とはいい度胸ね! あんだけ……!」

 えらい美人がそこにいた。

 良い気分が吹き飛ぶ。一目で解った。あの涼宮ハルヒは、まさに「美人」になっていた。
 キョンを完全に「身内」と捉えた彼女の声に、名状し難い感覚を憶える。
 ああ、「身構えていて」よかった。
 ここで真っ白にはなれない。

「それ、誰?」
「ああ、こいつは俺の……」

「親友」

 あ。反射的に言ってしまった。
216佐々木さんの戸惑い8:2012/03/26(月) 01:05:35.79 ID:zyamxRqP
「は?」
「へ?」
「と言っても中学時代の、それも三年のときだけどね……」

 親友だなんておこがましい。
 だって、僕はキミに本心を打ち明けていない。
 僕は「僕」を守る為に、キミに心を隠し続けているのだから。

 なら「友達」「旧友」「元同級生」?
 どれも否定したかった。僕らはそんなに浅い付き合いじゃない。例え一年過ぎていようと、誰より知っているつもりだから。
 だから、ただの友達だなんて言いたくなかった。

 涼宮さんはチョコレートと間違えて碁石を口に含んだような顔をしていた。
 キョンもあっけに取られているのが解った。

 なんて勝手な感情だろう。
 誰かを想う癖に、誰かの都合なんか考えない、それが恋愛というものなのか?
 僕は「恋愛」を申し込まれた時に彼が浮かんだ。彼の傍らに異性が居ることに名状し難い反発を覚えた。
 あの雨の日と似たノイズ。これが、恋愛感情なのだろうか。

「失礼するよ。また連絡する。じゃあね」

 その場を辞して、駅へと向かう。
 連絡先も交換しなかったと気付いたのは、電車に乗ってからだった。
「しまったな」

「何がです?」
 呟きに返事があった。
「ああ失礼。私は橘京子と申します…………」
217佐々木さんの戸惑い9:2012/03/26(月) 01:06:07.16 ID:zyamxRqP
 中学時代、キョンは誰よりも「僕」を受け入れてくれた。だからキョンは誰よりも僕を「女」と見なかった。
 それが僕の理想のはずだったのに、結局「僕はキョンに女と見られたい」と願ってしまった。

 僕はキョンに惹かれた自分を否定した。
 自分を「女」にしようとする、思考、夢を阻害するノイズを否定した。
 キョンとの関係を固定させ、進路を分かち、連絡を絶ち、自ら彼方へ遠ざけた。

 結果、どうなったのか?
 キミを失った僕は、「女であれ」とさいなまれる羽目に陥った。

 だから僕はここにきた。
 モノクロームセピアの過去を見つめなおして、自分のあるべき道を見つける為に。
 そして僕はまた混乱した。彼の隣の異性に。
 また自分が「女」だと再確認した。
 だから僕は言うのさ。

『キョン、キミは僕の親友だ』

 僕は間違っていたのか? 僕は間違っているのか? 僕は何であるべきなのか?

 これはそれを確かめる二週間ほどの物語。
 僕と、キョンとの物語。

 終わり、或いは「涼宮ハルヒの分裂」へ続く。
218この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 01:17:24.45 ID:zyamxRqP
視線、あんまり注目されてないと佐々木さんは驚愕前P170で国木田に言ってますが
国木田との会話だと韜晦合戦の様相がある上、後編P257で色々と言ってらっしゃるので
rainy dayで感じた佐々木さんの葛藤と合わせてこんな感じに。

佐々木さんの色んな動機のお話
219この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 03:06:03.83 ID:VTipEICj
>>218
乙というしかないです。

うちも時折Rainyや驚愕前の後半あたりをよく読み返すけれども、
語られてないところで気になるところは自分なりの回答を作りたくなる。
そのうち折を見て語りたい所ではある。

>>195で修正したSSを読んでたら、佐々木は岡本に進路表求められるまでは
自分の進学する高校を決めかねていたのかもしれないと思った。
中学卒業か受験の頃にはめったに会うことがないことを受け入れて、
本能を抑えこんで理性に生きることを一旦は決意したのだろうな。
220この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 03:13:38.51 ID:VTipEICj
分裂、小説と漫画を並べて読んでて思った。

佐々木さんもチャイナ服似合うんでね?
ここ最近みた絵師様のバニーや晴れ着が大層いい感じだったのでつい。
221この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 08:01:01.69 ID:BL4AAVle
修正(というより加筆)乙です
まあ佐々木さんは道行く人の8割が一見して目を惹かれるほどの美貌の持ち主ですし注目を集めてないのは無理ってもんだね

>>220
ウェディングドレス姿をずっと待ってる
当然横にはキョンで
222この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 10:50:14.64 ID:4r72/KdR
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
223この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 11:40:42.56 ID:iJUFbYC2
>>222,57,75,77,121,148,175
224この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 14:11:46.25 ID:/Hi4vFs2
>>221
古泉の好みに合致しているから古泉の評価がやたら高いだけで
世間的には、ちょっとかわいいくらい、という説もあったけど(笑)
225この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 14:56:58.56 ID:4IegVcbv
すみません
最近涼宮ハルヒの憂鬱をライトノベルで読み始めて、先日驚愕まで読み終えたのですが、
この佐々木というキャラをすっかり気に入ってしまい詳細を色々知りたいと思っているのですが
佐々木についての描写があるのは分裂と驚愕と初回限定の小冊子だけなのですか?
具体的な好きな洋楽も知りたいのですが明確なミュージシャン名は別に設定されていないのですか?
226この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 16:21:09.62 ID:yLgohsHB
>>203
佐々木スレでこれを書いていいのか悩むけれど
ハルヒシリーズ全体が、SF要素はともかく
本音を言えなかった故に後悔を残すような人生(佐々木)との別れを経て
なかなか言えないけれど、なんとしても通じるような努力をする人生(ハルヒ)を掴み取る話
なんだろうなと思う

そう考えると驚愕ラストの未来への転位で時計台のある大学にSOS団の描写がなかったのもうなずける
朝比奈、長門、古泉は「本音を言えない」相手なんだし
なにより朝比奈さん(大)が憂鬱から登場してる事で
朝比奈さん(小)との青春は過去のものである事が示されてる
227この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 19:10:26.31 ID:zyamxRqP
同意する。

>>225
あいにくとその四冊だけ。漫画版16巻にも出ているが追加情報はない。
ただ「観測」ってファンブックで、ヤスミ共々今回限定のキャラって明言されている
228この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 19:17:18.76 ID:Xl21Uudn
佐々木はサリンジャー的
229この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 20:12:28.26 ID:zyamxRqP
もう一つ言えるのは、二次創作での各キャラが素直になるのはそういう事なんだ。
佐々木さんは「理性」って立場を貫いて、本音を隠して、その事でキョン自身の気持ちを守った
泣いて告白して彼を強引に奪い取ろうとしても良いのにだ。

その姿勢があるから彼女は評価が高いし、彼女が素直になる二次が書かれるのだと思う
あと驚いたことに分裂〜驚愕の四年間にも類する話が沢山見られるのは、彼女が素直になったらシリーズの軸がブレる
だから出来ないだろうってとっくに読者にも解っていたからなんだろうなと思う
230この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 20:22:41.03 ID:BL4AAVle
>>224
古泉はハルヒが基準ぽい、なんとなく

>>229
佐々木さん悲しい
認めたく(´;ω;`)ないよぅ
231この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 20:45:34.14 ID:4IegVcbv
>>227
そうなんですか
そういえば観測もありました。佐々木のイラストや挿絵がまとめられていてとても良かったです
しかし今回だけとか勿体なさすぎる…
漫画版はまだ読んでいなかったので、とりあえず16巻だけを買ってみようと思います
ありがとうございました
232この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 20:53:08.27 ID:VHzd2EYP
予定は変更されるもの
次号で抱きマグロにもなるし、編集側は佐々木さんは推してる

お星様になってなければ今後の活躍も期待できます
233この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 21:00:06.13 ID:yLgohsHB
はっ

消失の後書き、アニメ版に追加されたさまざまな描写(特に朝比奈さん(大)の公園での台詞)、ヒトメボレOVERのラスト
の意味が解ったぞ!!!
なんて青春への悔悟と愛惜に満ちた作品なんだろう。
陰謀のラストで朝比奈さん(大)がそっけない理由もだ
「あなたへの別れは済ませました。さようなら私の青春」なんだな
そうすると驚愕が4年間かかった理由も解る
ハルヒは夏休みへの別れ「俺の夏は、まだ終わってねえ〜〜〜〜!」が
言えないキョンの為に夏を15000回も繰り返す。
ながるんの青春の記憶であると同時に、その愛惜を断ち切る存在なんだ
驚愕を出すってことは、それに決着をつけてしまう
ヤスミの髪留め(中学時代のハルヒ自身の記憶)をハルヒが見出す=野球場事件のトラウマの解決だ
234この名無しがすごい!:2012/03/26(月) 23:21:14.57 ID:rNwLzPQk
>>232
あれだけはっきり言ってれば、変更はないのでは?
235この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 00:28:35.74 ID:2LGfs9VD
はっきり言うって事はこの先の構想があるって事でしょう?
それっきり他の連載含めてほぼ一年音沙汰なし、構想を練り直してる可能性は無い訳じゃない。
九割出ないとは思っているけれど。

藤原「好きに望め、好きに願え」
236佐々木さんの踏ん切り1:2012/03/27(火) 00:54:45.00 ID:2LGfs9VD
>>178 Rainy Noise、中学佐々木さんへの解釈を踏まえた>>209の続編(>>36改訂版)
高校生活では「僕」が上手く通じず、挙句に告白された佐々木さんは戸惑いに沈む。
自分を見つめ直す為、誰よりも自分を見てくれたキョンに会いに行くが、その隣に異性の姿を見てしまう。

 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。
 少年老い易く学成り難し。

 僕は勉強の為に勉強に励む。
 それが学生の本分。そも打ち込むことがあるのは幸せな事なのだと僕は思う。
 何故なら僕には夢がある。だから「何かに打ち込むこと」は幸せだと思うし、勉強は僕の夢の土台にもなる。
 ただ勉強の為の勉強が日常を単純化し、思考にまどろみを起こさせ、ノイズを発生させ易くしているのも事実だ。

 うん、ぶっちゃけると僕は「中学三年生の頃くらいが、僕には一番丁度よかったな」と思えていたのだ。

 だから僕はセピアの想い出に浸る。
 想い出に浸る僕に、つい最近だが多分に学生的な事件が起きた。
 勉強漬けで疲れた思考に、それは些か不意打ちだったし、僕はその事件に対する価値観の揺らぎを感じていた。
 僕はあの中学三年の雨の日、その「揺らぎ」と決別したつもりだった。
 だが高校になってもそれは付いて回っていた。
 もっと別の、もっとしつこい形で。

 僕はコペルニクス的転回な発想転換を願った。
 その「鍵」はきっと彼だ。そうだ。あの僕を揺るがした価値観の揺らぎともう一度向き合ってみよう。
 そう、思った。

「やぁ、キョン」
「それ、誰?」
「ああ、こいつは俺の…「親友」」

 僕はもっと混乱した。
 涼宮さんという、僕の憧れだった人が「とんでもない美人」となってキョンの隣に居た事に。
 あの誰でも引き付ける太陽がキミの隣にいた事に。
 僕の感情は噴出した。

 僕の中の「女」が叫ぶ。
「僕がキミに抱いている気持ちは、ただの友達なんかじゃない!」と。
 でも言い出せなかった。だから、形にした言葉は少々歪だった。
 キョンすら戸惑う歪な言葉。

『キョン、キミは僕の親友だ』
237佐々木さんの踏ん切り2:2012/03/27(火) 00:55:26.04 ID:2LGfs9VD
 そんな僕に、また一つの転機があった。

「初めまして。私は橘京子といいます。……佐々木さん、実は、あなたは神様なのです」
 秘密めかして打ち明けられた、到底信じられない話。

「信じてくださいとしか言えません。証拠なんてありません。でも、証人なら用意する事ができます」
「誰です?」
 橘さんは品良く笑う。

「キョンさん、って言えば解りますよね?」

 自称藤原くんという未来人と出会い、九曜さんという他称宇宙人と出会う。
 キョン、超能力者。未来人、宇宙人。なんだか解らない。でも、うん。これはまるで……そう、涼宮さんみたいじゃないか?
 唐突に訪れた非日常な話、ワクワクしてしまった事は否定しない。

 キョン、キミの持病、非日常を求める「エンターテイメント症候群」はどうしている?
 くく、彼らはキミに会いたいという。ならばセッティングをしてあげよう。
 僕はちょっとしたドッキリを仕掛けたつもりになった。
 
「佐々木……そんな奴と付き合うのはやめろ。そいつは……」
「でも、僕の敵ではないみたいなのさ」

 一年間近で過ごしたのだ。僕はキョンの内心ならある程度読める自信がある。
 明らかだった。初めて見る目線。
 それは「異物」への目線。

「でもキミの反応で解ったよ。彼女たちは本物なんだね」
238佐々木さんの踏ん切り3:2012/03/27(火) 00:55:58.99 ID:2LGfs9VD
 キョンの反応は今までにないもの。それは彼女達が「本物」であると端的に告げていた。
 橘さんの言葉は本気だった? キョンから初めて「異物」「信用ならないもの」としての視線を浴びた。
 くすくす笑いを顔に張り付け、終いには爆笑して見せた。
 そうだろう? 冗談なんだろう?
 これは、冗談なんだろう?

 僕は笑う。キミが笑わない。
 これは冗談ではなかった。

 僕は動揺した。

 それから電話、会談、幾度かの折衝を経た。
 要は「神様の力」「願望を実現する能力」が欲しくはないか? 僕への問いかけだった。
 そして「不安定な非日常でなく、安定した日常が欲しくはないのか?」これが彼への問いかけだった。
 僕ら二人が同意をすれば、その「力」は僕のものになるという。

 それは確かに。
 僕は彼の日常に騒動を起こしはしないし、困らせもしないだろう。
 でも彼を喜ばせるような突発的なイレギュラー、非日常もまた持てないだろう。
 それくらいは解った。

「佐々木、お前こんな話を信じたのか」
 キョン、残念だがキミのその反応が全てを肯定しているよ。

 僕もキョンもひたすらに否定した。
 特にキョンは、きっぱりと否定していた。
 彼は、今の絆を強く信じている。それだけは強く伝わった。
 だから、彼は焦った。

『連中につないでくれ。俺は奴らと話をしたい。俺は奴らに殴りこみたい。俺の仲間が傷付けられた』

 やがて彼の仲間が傷付けられた。彼の居場所が傷付けられた。彼らしくもない激情100%の電話。
 彼が必死なのは僕にでもわかった。
 彼らはキョンの敵なのだ。

 だけど僕は…………この奇妙な冒険を、ちょっとだけ楽しいと思ってしまっていた。
 彼が「僕はそんな力なんて欲しがらない奴だ」と信じてくれているのが、ちょっとだけ嬉しかった。
 僕はそんなに「凄い奴」なんだろうか。
239佐々木さんの踏ん切り4:2012/03/27(火) 00:56:36.61 ID:2LGfs9VD
 再び会談を取り持った。韜晦しつつも「力なんて要らない」ときっぱり言い渡す。
 僕の価値観がそれを否定していたからだ。
 まず結論が出て、理屈が後を追った。

 僕らはちょっとした冒険をする。
 ふてぶてしい未来人、理解不能な宇宙人、……おたおたしている超能力者はまあともかく。
 僕らは「三悪人」と対峙する。思考ゲームでもするように。
 強大な力を持つらしいが、常に僕らに選択を強いる。
 だから、これはゲームなのだ。

 キョンと二人なら負けはしないさ。
 僕ら二人の価値観は負けない。

 ただ、不思議なのは、こうやって「宇宙人達とは言葉で分かり合える」と彼が信じているらしい点だった。
 僕らが対峙している宇宙人、九曜さんはどう考えても「理解」するには難しい存在なのに
 彼は「話せば解る」と信じている。

 ならきっと、彼の傍らにはそういう異邦者たちがいるのだろう。
 彼は、まさにエンターテイメントの中に居るのだろう。

 とはいえ、そろそろ佳境だ。
 藤原くん達は僕の意思などどうでもいいらしい。僕の意思がどうなるか解らないなら、最後に彼に相談しておきたいと思った。
 そうとも、そもそも僕は「多分に学生的な事件」を、僕は「女」であるべきなのかを。
 それをどうしても確かめたかったのだ。

 でも、彼は彼の友達の事を心配し続けている。
 当たり前だ。切迫した事態だ。ならまずはそちらから片付けるべきだ。
 実行犯は「周防九曜」。その行動理念をつらつらと考え、レポートとして脳内にアップする。うん。大丈夫。
 何より大事なのは思考する事。それが僕の存在意義
240佐々木さんの踏ん切り5:2012/03/27(火) 00:57:13.46 ID:2LGfs9VD
 でも彼の家に飛び込んで、彼の妹さんに引っ張られて、彼の自室で彼の匂いに浸っていると、何か色々吹き飛んだ気がした。
 やがて彼が帰ってくる。驚いた顔を楽しみながら、僕の口は楽しげに滑った。
 どうでもいいような、とても大切なような事を。
 誰かに例えた自分の事も。

 いやダメだ。
 僕はキョンの心配事への可能な限りのアドバイスと、それにかこつけ、自分の相談をしに来たんじゃなかったのか。
 何を言ってるんだ僕は。なんだこれは。止まらないぞ。
 ブレーキだブレーキ。

「猫というものは、どうして新鮮な水よりも風呂に入った後の残り湯のようなものを飲みたがるんだろう」
「何の話だ」
 本当に何の話をしているんだと思ったが、それが丁度ブレーキになった。
 まったく。僕の「思考」は何をしている?

 それからつらつらと語り合った。
 やっぱり彼との議論、と定義すると彼から反論があるかもしれないが……は刺激的だった。
 また舌が滑り出すのを感じる。大丈夫だ。今度は滑らない。本音なんか滑らしてない。これは藤原くん達の話のはずだ。
 だけど気付いた。

「なんだ? 美顔効果でもあるのか?」

 私の笑みが、どうやったって止まらないという事に。
 今は深刻な話をするときだ。深刻な顔の仮面は何処だ? 私の仮面は何をしている?
 我知らず両手で顔を、ぐりぐりと頬を捻っていた。
 ダメだ。私は、笑ってる。

 そこで唐突に気付いた。
 あの雨の日、僕は「キョンに女と見てもらいたがっている自分」に気付いた。
 でも僕は「誰も好きになってはいけない」と思った。それは僕の思考にノイズを与える、動物的な思考だからだ。
 もう、決して好意を振舞うまいと決め「女」としての自分を否定した。
 だから彼と別の学校を選んだ。
241佐々木さんの踏ん切り6:2012/03/27(火) 00:57:34.33 ID:2LGfs9VD
 でも、そうだよ、それまでの日々だって、それからの日々だって、僕は、楽しかったのだ。
 キミと共に居る事が何よりも楽しかったのだ。
 今、何よりも楽しいのだ。

 キミと居る時、僕はいつだって笑っていたんだ。

 僕だの女だの関係ない。
 ずっと「笑顔」だった。そうだ。ずっと、私は笑っていたんだ。
 キミと語り合っていた時も、キミと一緒に歩いた時も、自転車の荷台から背中を見ていたあの時も。
 私はずっと、笑っていたんだ。

 僕は常に考えていた。
 僕は思考したい。だけど情緒的感情はノイズになる。本能はノイズになる。だから性別なんて超越すべきなのだと。

 でも見たまえ、僕は今、この上ない程に思考が走っている。
 そうさ、性別を超越しようとして、僕は誰よりも性別というものに振り回されてきたのだ。
 僕は誰よりも「理性」と「本能」に振り回されて
 思考を止めてしまっていたのだ。

 そりゃね、価値観は大事にすべきだ。
 だからといって意固地になる事なんか無い。
 もっと素直に、僕が感じた、僕が覚えようとし、そして覚えた価値観達をじっくりと考えてみれば良いのだ。

 男? 女? それがどうした。
 じっくりと思考する思考の求道者、僕は「佐々木」だ。
 それで良いのだ。

 ああ、なんてバカだったんだろうね。
 キョン?
242佐々木さんの踏ん切り7:2012/03/27(火) 00:57:55.64 ID:2LGfs9VD
 それからの事は、実は「認識」しつつも「理解」していなかった。
 続くキミの言葉は正直言って予測外だったしね。ついつい喋りすぎた言葉に、キミがぱっくり食いついてきた。
 認識する前に即答。それは年頃の男女が二人きりで話すには、いささか刺激的な言葉だったが
 彼はあっさりと聞き流し、矢継ぎ早に質問を投げる。

「そうだね。僕の存在意義は思考すること。そして思考し続けることさ。
 考える事を止めるのは僕が死んだ時だけであり、逆説的に、考えるのを止めたら死んだも同然と言える。
 僕と言う個は消え、ただ動物的な生が残るだけだろう」

 ちょっと待ちたまえキョン。ちょっとは締まれ私の顔よ。
 自然と早口になる。自然と本音が出る。ちょっと待て思考。留まれ思考。仕事をするんだ。しすぎるな!

「僕自身は矮小だけれど、僕の思考をとば口にして、全く新しい概念が生まれないとも限らない。
 いや、正直言うと僕が産み出し、育てた何かを残したい。DNA以外でね」
「壮大な野望だな」

 虎は死して皮を留め、人は死して名を残す。

 有名な故事だが、僕の結論はまさにこれだった。
 例えば僕は本が好きだから、様々な本を読んだものだ。そしてその本は「生きている」。
 作者はとうに亡くなっていても、作者が遺した本は、読む者が居る限り、新たな感動を生み出し続ける。
 人の心に中に「生き続ける」のだ。

 人は忘れ去られた時が本当の死だとも言う。
 ならば、永遠に読まれ続ける本は、ある意味で永遠の生を持っている。
 それは僕一人の生命を遥かに超えた存在だ。
243佐々木さんの踏ん切り7:2012/03/27(火) 00:58:59.97 ID:2LGfs9VD
 だから僕は野望を抱いた。
 個体数を増やす為という動物的な生ではなく、なんらかの「形」を残せる生き方をしてみたいと。
 僕の中から生まれた、僕だけのオリジナルの言葉や概念を残したいと。
 キミにさえずっと話せなかった、この僕の夢なのだ。

 僕の小恥ずかしい希望。現在進行形の夢。
 くっくっく。そうだね。まさに「壮大な野望」だよキョン。恥ずかしくて誰にも言えなかった、僕自身の野望さ。
 思えばキミとはたくさん話したが、こんなに腹を割って話したのは初めてだ。
 それを察したのか、彼は疑問を投げかけてきた。

「佐々木。もしお前がハルヒのような力を自在に操れるようになれば、望みが叶うかもしれないんだぞ」

 くっく。まるで蛇の誘惑だね。
 でもね、エンターテイメント症候群のキミは、今を何よりも楽しんでいるだろう?
 なら、それは涼宮さんが持っておくべきなのさ。

 だけど、キミ達がエンターテイメントな非日常から帰る時はきっと来る。
 今の事件が、関係者である僕とキミと涼宮さんが「もう嫌だ」と思ったから収束しつつあるように
 キミ達が「非日常よりも、日常が良い」と心から望む日が来れば良いのさ。
 涼宮さんの無意識が、日常が楽しい、と心から望めば良いのさ。
 だから、それは涼宮さんの無意識に任せてくれたまえ。

 僕の心はそんなに綺麗じゃないんだ。
 さっきも誰かさんを「死んじゃわないかな」だなんて誰かを思ったくらいにね。
 無意識ならまだしも自覚ありはハードルが高いね。
 蛇の誘惑は止めておくれ。
 
 だから私はすっとぼける。だから私は韜晦する。
 おやキョン、あからさまに「何かはぐらかされている気がするな」という顔をしているね。
 くく、中学時代を思い出すよ。そうさ、キミのその表情。

 ずっとずっと、大好きだった。

 もう「女」を閉じ込める必要なんてない。そうさ、思考を止める必要なんて無い。
 そうさ、僕はキミが好きだ。
 大好きだ。

 ああ、いつかも思ったが、これはまさに精神病だ。
 僕はキミに「神様」として選ばれるべきじゃない、なのに「私を選んで」というノイズを与えたくて仕方がないんだ。
 神様としてではない、でも「選んで欲しい」と言うノイズを与えたくて堪らないんだ。
244佐々木さんの踏ん切り9:2012/03/27(火) 00:59:53.55 ID:2LGfs9VD
「涼宮さんは神のような存在らしい。そしてどうやら、僕もそう思われているようだ。
 彼女と僕、神モドキな二人に好意を寄せられているキミに、何も出来ないなんてことはない。
 そう、するとしたらキミがするんだよ。物語の幕を引き、次のステージの幕を上げるのはキミの役割だ。
 いい加減に自覚したまえ、キョン。扉を開ける鍵はキミ自身なんだ。キミが全てのマスターキーなんだよ」

 長広舌、大げさな身振りで冗談交じりのように言い切る。
 ああそうだね。確かに芽生えて欲しいが、こんな非常事態にそんな事を考えるなんて私も随分ヤキが回ったようだ。
 だって、キミは僕と涼宮さんの「神様」の選択を強いられている。そこに「僕の好意」を告げるだなんて
 キミにノイズを与えるだけじゃないか。だからこれはフェアじゃない。
 冗談で済ますべきなんだろうね。
 
 でも、これくらいなら許されるだろう?

「僕は全幅の信頼をキミに抱いている。なぜなら、キョン。キミは僕のたった一人の愛すべき親友なのだからね」

 くるりと彼の部屋を見回す。
 おぼえているかい? あの雨の日にキミの妹さんと約束した、家に遊びにいく約束。
 ようやく果たせたね、キョン。

「おいとまするよ」
 じっと彼に微笑みかける。
 できればこの「間」の意味を、彼が憶えていてくれたらいいけれど。

『また、来てもいいかい?』

「実はね、キョン。僕が今日来たのは」
 ……忘れるところだった。僕も「恋愛相談」しにきたのだった。
 思い出したら反射的に口に出た。が、そのまま口をつぐむ事にする。

 だってそれを彼に相談するなんて、あまりに身勝手じゃないか。
 あの雨の日、僕は一度「彼を思う自分」を否定した。その彼に恋愛相談を持ちかけるだなんて虫のいい話だ。

 第一彼は混乱している。僕が矢継ぎ早に投げかけた本音に、とっくの昔にエラーを起こしている真っ最中だろう。
 何より、この相談に「いつかの言葉」を言われたらきっと僕は立ち直れない。
 言葉はタイミング次第、受け取る側次第で意味を変えるからね。
 彼も、僕も、いま少しの時間が必要なのさ。
245佐々木さんの踏ん切り10:2012/03/27(火) 01:02:31.12 ID:2LGfs9VD
「でも。キミに会えて、話が出来てよかった。踏ん切りがついたよ」

 それだけ言って、とっておきのポーズで背を向ける。
 さあ「キミの知る佐々木」のまま退去しよう。

 そうとも僕は佐々木だ。
 周囲に「女」と言われようが、
 周囲に「好きだ」と言われようが、どうでもよかったのだ。
 僕は好きにやればいい。全ては僕が決めれば良い。僕が本当に好きになれたのならそれで良かったのだ。

 そうさ、今、僕は「佐々木」という自分を何より気に入っている。
 そして、僕にはキョンという「基準」を得たのだ。
 大好きな人という基準を。

 だから今は「佐々木」として退去しよう。
 キミの選択に、僕の好意というノイズを与えてしまわないように。

 終わり、或いは「涼宮ハルヒの驚愕(下)」に続く。

キョン自室シーンの佐々木さんは好意が溢れすぎだと思います どっとはらい
246この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 01:17:07.65 ID:NbXQ+HKE
>>234
そもそも、続巻が出ない以上、全キャラでない
247この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 01:19:32.20 ID:NbXQ+HKE
しかし、漫画で佐々木さんがみれるのは楽しいな

なんというか静的ハルヒという感じの悪戯っぽい表情の数々が魅力的
248この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 02:40:20.82 ID:dWs/Gx+c
>>234
だよね
249この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 03:13:08.19 ID:kVCiUZBA
>>224
いや、古泉(というかSOS団男性陣)はあれで結構目が肥えている方だぜ。
ハルヒびいきなのを差引いたとしても、みくるの見た目を高評価していている以上、
それなりに信用は置ける。
ついでにいうと何気にちゃっかりしている一面がある。

谷口も遭遇したときは具体的なランクは不明ながらも、キョンに愚痴っていたあたりを考えると
Aマイナー以上はつけていたのではと思う。

しかし佐々木さん、口調は男そのものなんだが、あの顔立ちと私服見ている限りだと
どう見ても女だからな。アイデンティティも女と自覚しているし、女とみるなという訳ではないらしい。

異性には恋愛対象として見ないでくれという意思表示という推測をキョンはしていたが…。
(聞かなかった、沈黙したのが正解だったといえるんだが)
250この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 03:42:41.89 ID:kVCiUZBA
>>229
仮面を被ったキャラとして、古泉(ついでに生徒会長)もいるけど、
彼らの場合、その行為を今のところ楽しんでいるフシがあってそれなりに健全なんだと思う。

佐々木さんも仮面被りという意味では共通しているが、(ついでに解説役もできる)
かつては楽しんでいたのだろうけれども、自分の限界を知らないのではないかという意味で
危ういと感じている。

それに二次創作でやっているような展開はものすごく見てみたいんだが、それを下手にやると
佐々木というキャラが役割を放棄して佐々木さんじゃなくなるというジレンマがある。

驚愕が止まっていた頃に作者が(キョンを含めて)登場人物が勝手に動いてしまって難航していると
弁明していたと言ってたことがあったけど、暴走しかけていたのかね。

もし佐々木さん出てくるようなことがあったら、消失の長門並に悲痛なことになるかもね。
ブチギレるのかもしれないし、同時にヤスミがでてくるのかもしれないし。

個人的には観測で今回きりと言いながら、キョンに巻き込ませると言わせているのも気になる。
251この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 03:46:15.01 ID:kVCiUZBA
>>245
修正乙。

キョン部屋訪問もそうだけど、決着前の電話も佐々木フィルター漏れ漏れだと思うわ。
252この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 08:32:20.06 ID:AmeRSJ6Z
おはよう
253この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 13:52:08.22 ID:QeFCyyXP
キョンが佐々木眼中無しという設定なら
もう少し周囲がキョンの気持ちに気が付いても良かったと思う
254この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 17:28:45.24 ID:2LGfs9VD
>>250
>>それに二次創作でやっているような展開はものすごく見てみたいんだが、それを下手にやると
>>佐々木というキャラが役割を放棄して佐々木さんじゃなくなるというジレンマがある。

佐々木さんの場合「キャラ」は生徒会長で前振りした「仮面」だろうから、それを外す展開もあったんだろう
けれど分裂P218で「藤原と佐々木に二人で話させたのを、キョンは後で後悔した」辺りごとカットされたんだと思っている。
そして驚愕では、これからも仮面=佐々木で過ごして良いのか迷ったが、キョン部屋の会話で「これで良いのだ」と踏ん切りをつけたんだと解釈した
あれは彼女が自分の夢に向かうための仮面なんだから
255この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 22:38:48.14 ID:dWs/Gx+c
>>254
なるほど
256この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 23:31:43.85 ID:QeFCyyXP
おやすみ
257この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 23:43:57.66 ID:kVCiUZBA
>>254
そこは分裂での露骨な未回収の伏線だな。<藤原との謎の会話
驚愕の範囲内では藤原の出方を探りに行ったくらいしか推測できないが、
その程度であそこまで強調するのかというところがある。
(これがポンジー再登場の余地を残したというならアレだが)

佐々木さんが橘・九曜を紹介した時の
「僕には彼女たちしかいない」発言の真意と合わせて気になる。


あと藤原・九曜には自分の人生観を馬鹿にされた割には、
藤原にはそこそこ見透かされているフシがあるような気がする。
やはり実は結構テンパって自分の余計なこと喋ってしまっていたのだろうか。
258この名無しがすごい!:2012/03/27(火) 23:47:56.97 ID:scdWCzVk
>>257
藤原再登場はないでしょ
259佐々木とキョンと藤原とフロイト先生1:2012/03/28(水) 00:26:57.89 ID:Ukvr8Es/
ないだろうな。だからやっぱり「あの部分は何だったの?」になると。
ただ推測を言ったのは古泉だから、再登場が絶対にないとは言い切らんがね。

「よう」
「おやキョン。どうしたんだい?」
 放課後。いつものSOS団待ち合わせ場である駅前公園の、傍にある駐輪場での事である。

「んーなんとなくな。お前はこれから塾か?」
「そうだね。だがお茶を一杯頂くくらいの時間はあるよ」
「ならご同道しようか親友」
 と、あいつの台詞を真似ると、佐々木は鳩のように笑った。

「で、なんでこんなとこに居るんだいキミは」
「ちょいと夢を見てな」
「僕の夢を見てくれたとは幸甚だね」
「なんとなくだよ。気にすんな」

「で、なんとなく夢の通りに足を運んでみたと」
「そうだな」
 すると佐々木はちょっと考え込むように首を傾げた。

「なるほど。ジークムント・フロイトの言葉を思い出すね」
 古泉も俺も絶賛依存中のフロイト先生か。
「うん。似たような話がある。彼は、夢は過去について教えると言った」
「この場合、予知夢とかじゃないのか」
「相変わらずだねキョン」
 悪かったな。エンターテイメント症候群の病人で。
「彼は夢というのは過去に由来するものだが、予知夢というのも一理あると言ったんだ」
「どっちなんだ」
260佐々木とキョンと藤原とフロイト先生2:2012/03/28(水) 00:27:36.10 ID:Ukvr8Es/
「夢というのは過去、記憶から成り立っているとした。記憶の中には当然キミの願望などが含まれるね。
 その願望が「キミが望む未来」の形を取り、キミの夢に現れたらどうなる?」
「これは予知夢だ、きっと俺は自分が望む未来に行けるんだ、とか思っちまう訳か」
「そう。そしてキミはその夢に、未来へと導かれる訳だ」

「―――過去の模造として作り上げられた未来へと、ね」
 ブレンドコーヒーを口に含み、佐々木は偽悪的にニヤリと笑ってみせた。

「やはり幸甚だよキョン。それにしたって君が行動しなければ実現しない訳だからね」
「そんな持ち上げても何も出ねーぞ」
 くっくと笑うと、ふと佐々木は眉をひそめた。

「そういえば以前藤原くんも似たような事を言っていたね」
 あの未来人野郎か。あまり思い出したくないが。
「彼はいつかサービスタイムとか言って僕らにTPDDについて語ってくれたじゃないか。アレは興味深かったね」
「できれば聞き流して欲しかったがな」
 俺は流すつもりだったが、佐々木はやはり眉をひそめている。
 いつも笑ってるコイツからするとちと珍しいな。

「あの事件で、僕とキミはTPDDについてを知った。
 これを僕らがいずれ形にするか、或いは何かに活用する事こそが彼の望みだったんじゃないだろうか」
「あれはサービスタイム、予定外の台詞だったんだろ? なら関係ないんじゃねえの?」
「彼の言葉を鵜呑みにしていい保障はないよ。それにね」
 俺のほうに乗り出しながら、佐々木は続ける。
261佐々木とキョンと藤原とフロイト先生3:2012/03/28(水) 00:28:01.36 ID:Ukvr8Es/
「彼は、そうして僕らが未来の情報を知れば、その言葉に影響され、人生を左右されるだろう、と言ったろう」
「奴の言う未来人のアドバンテージか」
「そう。彼らは僕らをほんの少しの言葉でも誘導できる。好むと好まざるとね」
「だから禁則事項っつって言葉が制限されてる訳か」
「そしてキミの朝比奈さんが、何も知らない、という特性を持たされた理由でもある」
 なるほどね。

「確かにこの辺、さっきの言葉に似てるな」
「自分の願望を予知夢という体裁で見て、そちらに誘導されるというのは、自分の過去に誘導されるようなものだ」
「同じように、未来人が「望ましい未来像」を過去人に聞かせれば、過去人は左右される」
「めんどくさい連中だな」
「まったくだよ」

「そう言えばキミの場合は何かとTPDDに関わる機会が多いのだろう?」
「まあな。つってもそんなに多い訳じゃねえが」
「そのTPDDがどんな代物なのか、それを君に伝えることにはやはり意味があると思うよ」
 言って佐々木は唇の端だけを歪ませ笑う。コイツ流の合図だ。
「何だよ。俺はお前みたいに論文書いたりする予定はねえぞ」
「僕は思考。キミは行動だね」
 何がおかしいのか喉奥で笑う。

「キミは今までTPDDを使う未来人さんの言うなりになってきたんだろう?
 彼はきっとこう言いたかったのさ。少しは彼らを疑え、とね」
262佐々木とキョンと藤原とフロイト先生4:2012/03/28(水) 00:28:51.76 ID:Ukvr8Es/
「俺は朝比奈さん(大)を敵に回すつもりはないぞ」
 更に朝比奈さん(超)とか出てきたら判らんが。
「まあね。だが選択肢くらいには入れておきたまえ。藤原くんの遺言かもしれない」
 縁起でもない事言うなよ。確かに古泉は赤玉ぶっぱなしたが、アイツは人殺しなんかする奴じゃない。
「勿論そんな意味じゃないよ。ただどちらにせよ彼はもうこちらに来れないのだろう?」
「古泉はそう言ってたな。断層がどうとか」

「なら彼の台詞は、全てが彼の遺言、彼がキミと出会った証だよ」
 男の遺言なんか聞かされてもな。
「くっく。藤原くんが朝比奈さんの妹だったら良かったのにね」
「それは困る。アレは敵だったからな」
「ほう。なら僕も困ったかもしれない」
「ん?」
「ん?」

「つうか未来理論なんだろ。ならお前が論文なり何なりにして残してやれ」
「考えておくよ。ただやはりそれは蛇の誘惑だね」
 知恵の実ってか?
「千歩譲って書けたとしても、一足飛びの先達の知識を僕のオリジナルと発表するのは気が引けるね」
「要領良くやらなきゃ、人間の人生なんて短いもんだぜ」
 一応言ってやる。だがコイツの価値観を揺るがせはすまい。
 それを解っているのか、佐々木も笑って返した。

「以前話したように、僕はね、誰にも思考を邪魔されずオリジナルの言葉、概念を残したいと思っている」
「いつかの佐々木の野望か」
「くっく。笑ってくれていいよ?」
 笑うかよ。親友。
「ふふ、だから僕には躊躇われるね。魅力的ではあるけれど」
263佐々木とキョンと藤原とフロイト先生5:2012/03/28(水) 00:29:36.48 ID:Ukvr8Es/
「……その僕の野望からすると、改めてキミ達の不思議騒動からは身を遠ざけるべきなのかもしれないね」
「寂しい事言うなよ」
「ん?」
「いや悪い。俺の感傷だな」
 悪かったよ。って人が謝ってんのに何笑ってんだ佐々木。

「ところで親友。キミとの楽しい思考ゲームの結果、どうやら僕は塾に行けそうにないのだが」
 あ、悪い。思ったより長話になっちまったな。
「いやいや。それより責任をとってくれると嬉しい」
「なんだ。俺の自転車で市外の塾まで運べってか?」
「くっくっく。それも魅力的だが」

「せっかくだ。気晴らしに付き合ってくれないか? 親友」
「へいへい」
 つっても長話の大半を喋ってたのはお前だぞ。
「ならこれは僕の壮大なトラップという事にしてくれてもいいよ」
 片頬を歪め、にやりと笑う。

「現代人だって、言葉で他人を誘導する事くらいは出来るってことさ」
>終わり
264この名無しがすごい!:2012/03/28(水) 00:31:43.99 ID:Ukvr8Es/
なんとなく藤原話を書いてたらスレが藤原だった不思議
おそまつ
265この名無しがすごい!:2012/03/28(水) 08:12:03.73 ID:bve14lK2
乙乙
俺の頭じゃ寝起きに1回読んだだけじゃいまいち理解できてなさそうなので、みんなの感想でも見ながらかみ砕いてゆっくり消化しまス(^_^;
266この名無しがすごい!:2012/03/28(水) 08:27:14.19 ID:Ukvr8Es/
「キミは今までTPDDを使う未来人さんの言うなりになってきたんだろう?
 彼はきっとこう言いたかったのさ。少しは彼らを疑え、とね」


「彼の言葉がこれに尽きるとしたらどうだい? キミはそれまで信頼できる未来人しか会ってなかった。
 だからキミは未来人というものに対する疑いをなくし、彼らに従ってきた。
 でも藤原くんはどうだった?」
「俺の中でも嫌な奴トップスリーに入るな」
「そう、だから彼は嫌な奴を演じていたのかもしれないね」
 演じる?
「そうだよ。未来人にも悪い奴はいる。お前が知っている未来人もそうかもしれないぞ……」
 言ってコーヒーをひと啜り。
「つまり、少しは彼らを疑え、とね」

wikiに上げた追加部分。一応こっちにも追記。>>261-262、3と4の間ね
267この名無しがすごい!:2012/03/28(水) 18:01:25.25 ID:bve14lK2
今度の4月1日は久々に「月始め」「休日」「晴れ」が重なりそうなので、映画でも見に行きたいなと考えておりますよ佐々木さん
上映中で何かお勧めのタイトルはありますか?
268この名無しがすごい!:2012/03/28(水) 19:20:52.12 ID:nSUphhj2
乙です
後でゆっくり読みます
269この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 02:41:41.36 ID:bGRgtsUg
>>268
270この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 03:26:59.69 ID:Dbu0miid
>>267
乙。

古泉が良き解説役なのは必ずしも正確な推測をするわけではないところにあると思う。
藤原再登場の可能性は言われている通り低いのは認める所ではある。
それこそ佐々木・ヤスミ以上に。

藤原に関しては自分の時代を否定しているのに
過去人に誘導させる使命を負わされていると考えられる。

分裂が出た当時は佐々木を神にしたときの未来と思っていたけど、
上記のことを考慮するとそうでなくハルヒを神として
さらにどこかでみくる未来と分岐していると考えるべき。
ハルヒ(とハルヒを神と認める勢力)を憎むあるいは馬鹿にしている。
以上からおそらく独断で自分の未来に反逆したと思う。

佐々木の判断能力を認め、用が済めば勝手にいちゃついていろともいうあたり
頭のキレは決して悪くない一方、現代人と宇宙人を見下しているとなると、
佐々木さんのなりたくないといっていたわかりやすい悪役だな。
その点、朝倉とも九曜とも一線を画している。

あとこの佐々木さん意味深な発言おりまぜていて素敵だ。
キョンの発言もよかった。
271この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 03:44:30.46 ID:Dbu0miid
なんか最近のサンデー見てたら、
ボクっ娘や理知的な男みたいな口調の女出てきているんだけど…。

その手合いのキャラまだまだ下火になっていないみたいだな。
272この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 07:34:11.75 ID:/yYNXVjh
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
273ジョッキ猫やねんっ!:2012/03/29(木) 07:48:56.86 ID:6X3/X9+H
絶対読むな!
http://amba.to/GM10kj
274この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 09:11:31.42 ID:UTMtQfC4
>>272,57,75,77,121,148,175
275この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 12:58:22.29 ID:X2ElKnIo
佐々木のフィギュアが欲しくて近所のファミマを探し歩いたけど、
ハルヒとみくると長門はあったのに佐々木だけがなかった…
どうすればいいですか
276この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 18:12:49.03 ID:xKzBNrIX
>>271
僕っ娘は寿司のやつかな?理知的は誰だっけ

>>275
なけなしの金で買い占めようと意気込んでたきょこたんでさえ買えなかったらしい
277この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 20:07:44.49 ID:nyKZkHDi
今日ようやく漫画版読んだが、佐々木さんの私服が可愛いかった
ツガノ見直したよw
278この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 20:12:58.84 ID:nPucqUt0
発売が昨年の師走だから仕方あんめえ
279この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 20:16:07.11 ID:nPucqUt0
ツガノ漫画版の肝は私服もそうだが『親友』が端的で良いと思うわ。わざわざ白抜き文字なのが意味深
280この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 20:46:15.76 ID:X2ElKnIo
3ヶ月も前な上にきょこたんすら買えない状況じゃ仕方ないか…
281この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 21:10:10.37 ID:DytJv4V+
>>275
大分前だけどバーローとニート医者に最近出てきた人。
寿司のもそうだったのか。

>>276
周辺の店舗探してないなら、最後の手段としてファミマ.comの通販使うという手がある。

全種セットだから金が5倍近くかかってしまう。それでもいいならどうぞ。
282この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 21:11:31.03 ID:DytJv4V+
ごめん、安価逆だった。
283この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 22:03:50.57 ID:xKzBNrIX
>>281にゃるほど
コナン読んでないから知らんかった
284この名無しがすごい!:2012/03/29(木) 23:14:53.90 ID:nPucqUt0
アニメに出てないキャラはほぼ立体化されないもんな
アニメ登場組にしても三人娘に集中しとるし。まあ最近はさっぱりだが

ああコナンの73〜74巻で登場した新キャラだな。
例によって格闘系、コナンや服部に迫るらしい推理力の示唆、僕っ子で一見した性格はさっぱりしてる割に
背部組織に影があるミステリアスキャラとかそんな感じ。名前は世良真純
285この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 00:00:09.07 ID:sqH1dDWZ
今晩は
286この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 00:18:20.02 ID:OvKL4u0H
「ところでキョン、今度の親友旅行の件なんだが」
「なんだその新婚旅行みたいな呼び方は」
「おや? そちらの方がお好みかい?」
 右へ左へ聞き流す。

「それよりソレ旨そうだな。一口貰うぞ」
「酷いなキョン。なら僕もそちらを一口貰おう」
 佐々木のパフェを一口貰うと、お返しとばかりに俺のコーヒーゼリーが一口奪われた。
 珍しく人がデザート類を頼んだのに何しやがる佐々木。

「先に食べたのはキミだろう。まあ良い。僕はキミのそういう態度には慣れているからね」
「寛大な対応に痛み入るよ親友」
「くっくっく。まあパフェの方が内容量が多いのは否定しないがね。ほら」
「おう。あんがとよ」

「ってキミ、普通こう「あーん」とかされたらもっと赤くなるとか対応があるだろう?」
「はふいが、もとい、悪いが俺はお前に性差を感じたような事はないぞ親友」
「もっとあっさりスプーンを離してくれたら説得力があったね」
「何の事やら」
「まったく」

「そういうお前こそ人のコーヒーゼリーを人のスプーンで食ってるじゃねえか」
「悪いが僕もキミに性差を感じたような事はないからね。親友」
 そうかい。
「まあ視床下部が反応したことは否定しない」
 ししょう……なんだ?
「その名の通り脳の構造の一部だよ。本能を司る」
 ああそういえば習ったような。
「ん?」
「ん?」
287佐々木さんと奪い合い喫茶2:2012/03/30(金) 00:19:12.56 ID:OvKL4u0H
「ときにキョン、僕はそろそろお茶が怖いな」
「すいませーん、紅茶とコーヒーおかわりお願いします」
 あれ?
「くっくっく。悪いがこの店でおかわり自由なのはコーヒーだけなのだよ」
「水道水はタダで飲み放題じゃないのか?」
「そこは否定しない。というか何だねそのフレーズは」
「気にすんな」

「って人のコーヒー飲むなよ」
「キョン、声が大きいよ。そういう事は口に出すべきではない」
「……まあ確かにな」
 飲み放題だからってカップ一杯で二人が飲んだら店も困るよな。
 佐々木、解ってるならもっと素早く飲め。なんでそんなゆっくりじっくり口に含む。

「ん。まあこの店は僕の紹介なのだからね、長丁場を想定し、僕もコーヒーを頼むべきだった」
「お前にしちゃ珍しいな。そういう想定外とか」
「くっくっく。せっかくの親友との会合だからね。僕にだって舞い上がる時くらいある」
「そういう台詞は男に向かって言うなよ。洒落にならん」
「ふふ、まあね。こういう事を言えるのは僕の唯一の親友くらいさ」

「ふむ」
 どうした?
「時にキミには他には、その、親友というのは……」
「恥ずかしい質問だなそりゃ。……………………他人に言うなよ?」
「善処しよう」
 善処じゃ困るぞ。まあ口は堅い奴だからな。
288佐々木さんと奪い合い喫茶3:2012/03/30(金) 00:19:44.82 ID:OvKL4u0H
「……言ってみりゃSOS団は全員親友だ。性別差は感じているがな」
 ん。なんだガタガタと。
「気にする事は無い。この店は学生も多いからね、別に珍しい事じゃないよ」
「まあ確かにリーズナブルだしな。味も悪くねえし」
「気に入ってくれたなら幸甚だ。自分が良いと思ったものを他人にも気に入ってもらうのはとても嬉しい」
 ん。どうした?
「……いや、この場合の他人というのは言葉の綾というか」
 難しく考えんな、親友。
「うん。親友」
 だからあんまキラキラとこっち見んな。乗り出すな。
「おや? キミは僕に性別差を感じていないのではなかったのかい親友?」
 顔が近い!
「近づけているのさ」
 上手いこと言ったつもりか!

『……うーん。でもやっぱり自己申告は親友なんですよねえ……』
『……受諾されない』
『んっふ。僕も親友ですか』
『もがもがもが!』
289この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 00:21:09.59 ID:OvKL4u0H
>>「ときにキョン、僕はそろそろお茶が怖いな」
ぶっちゃけこの一言が書きたかった。反省はしていない。
290この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 00:24:14.04 ID:cgIPMBIk
イイネ!
291この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 18:19:03.23 ID:+SFPU/bm
>>281
ファミマ.comチェックしてみたけどセット売りオンリーでしかも\4,900とかひどすぎるwww

どこを探しても見つからなかったら最後の手段としてこれで買ってみます
ありがとう
292この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 18:22:25.59 ID:5gqyYmId
どう見ても頭にバの付くカップルですねごちそうさまですお二人さん


受諾されなかったとは、長門は何を申請したのだろう…
293この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 18:27:30.96 ID:46s9sFeJ
沖縄県那覇市の沖縄セルラースタジアム近くのファミマにはまだあったぞ
2個ほど
つい最近おれはそこで買った
294この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 21:00:24.46 ID:WOrb43B8
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
295この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 21:24:33.21 ID:EW0Oo+zX
>>294,57,75,77,121,148,175
296この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 23:43:03.73 ID:nHjRO6Xu
佐々木さんおやすみ
297この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 23:44:38.32 ID:7M6ito1u
>>288
298この名無しがすごい!:2012/03/30(金) 23:47:57.60 ID:sqH1dDWZ
またSS投下されていますね
そう、「また」なんだ。済まないね。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。じゃ、投下しようか。

「どうだいキョン」
「ほう」
 瞠目する。さっくりと揚がったドーナッツは、普段食べるそれとは一味違った。

「ここのドーナッツは揚げたてを供するんだ。おかげでちょっと待ち時間が必要だけどね」
「まあ喫茶店なんざ時間を潰すためにあるようなもんだ。問題ねえだろ」
「おや、僕のとの時間は暇つぶしに過ぎないというのかい?」
 別にそうは言ってねえよ。十分に楽しんでるさ。
「くく、では素直に喜んでおくとしよう」

「しかしお前は色んな店を知ってるな」
「そうでもないさ。単に趣味の一環というだけだよ」
 春の大騒ぎがひと段落してからしばらく。俺は佐々木に連れられ喫茶店に行く機会が増えた。
 そして各店の違いを楽しみつつ、SOS団の不思議事件や高校の話をダラりと語り合うのだ。

 まあ連れ出したのは俺なんだが、最近はどうも佐々木主導になりつつある。
 いつも持ち前の知識を語るのと同様、こうした自分の趣味を語るのも本当に楽しいのだろう。
 中学時代と同じ、キラキラした目がなんとなく眩しかった。
「熱いコーヒーと合わせるのも良いのだが」
 言ってカップを持ち上げる。
「今日は暑いからな。俺はアイスティーで十分だよ」
「くく、ではコーヒーはまたの機会に楽しみたまえ…………おや、その傷はどうしたんだい?」
「ん。いや大した事じゃねえよ。ちっと古泉とキャッチボールに失敗してな」
 まったくあの世話焼き似非スマイルは。

「……ねぇ、キョン」
「なんだ?」
「もしかして僕との友誼が問題なのではないのかい?」
「んな訳ねえだろ。いつかお前と会った時みたいに閉鎖空間がボコボコできてる訳じゃなし」
 でもね、と佐々木は顔を曇らせる。

「でもそうだろ。僕とキミはあの春の日に別れたはずだ……」
「バカ」

「ちょっとセンチメンタルな別れを演じた風で騙されるかよ。俺達は親友なんだろ」
「センチメンタル……?」
「あんな風に別れた奴をそのま」
 俺が言い終わらぬ内、佐々木が席を立つ。無言で。笑顔で。俺にも解るくらい空虚な笑顔で。
 いつか初めて出会った時のような、モノクロームセピアの笑顔で。

 ……しまった。俺は言わなくていい事を言った。

「そうか。……同情かい」
「佐々木、座れ」
「嬉しがった僕がバカだったよ。ホントにバカだ」
「座れ」
「じゃあね。話が出来て嬉しかっ」

「座れ!」

 思わず声が出た。周囲の注目が集まるがそれどころじゃない。
 そうともこんな奴を放っておけるか。
 今にも消え去りそうな佐々木を。
「座れ佐々木。でないとお前が俺を通報するまで追っかけまわすぞ。お前は親友を前科者にしたいのか?」
「親友か。そうだね」
 空ろに笑う。

「そう、僕らは親友だ。友達だ。対等だ。ならキミこそ僕に同情するな!」
「同情じゃねえ心配だ!」

 俺には言う権利があるはずだ。
 いや違う。俺は言わなきゃいけない。
 お互い腹に隠したまんまじゃなくて、俺は言わなくちゃいけない。だって俺は

「佐々木、お前は俺が、あからさまに悩んでる友達をほっといて身内でバカ騒ぎするような奴だと思ってたのか!?
 なら撤回を要求するぞ! 悩んでるなら話せ! 心配して何が悪い! お前は俺の親友だ!」

 一気呵成に言い切る。
 言い切って、ちょっとだけ後悔した。言い過ぎた。

「……佐々木、言いたくないなら言わんでいい。けど、せめてお前が腹の底から笑えるまで一緒にいさせろ
 お前は俺の考えくらい読めるんだろ? 俺だってそのくらいやってみせる。やらせろ」
 でねーと楽しみたくても腹のどっかが落ち着かないんだよ。
 嘆息する。そうとも、もう沢山だ。

「お前との間に壁を作るのは、あの雨の日だけで沢山だ」
 佐々木が目を見開く。ここまで驚愕したコイツを見たのは初めて見たかもしれない。
「……覚えていたのかい?」
「すまん。忘れてた」
 正直に言うと、こいつは呆れたように表情を崩し、するりと椅子に戻った。多分無意識だろう。
 そうだよ、せめてそっちの顔にしろ。
 さっきの顔はお前に似合わん。

「けど思い出した。何かに出会うと、誰かに出会うと、芋蔓式で記憶ってのは引っ張り起こされるもんなんだ。
 お前も何かの折にそんな事を言ってたろ?」
「言ったかな? あいにくと記憶にないな」
 笑うな。いや笑え。もっと笑え。

「俺はあの時、踏み込まなかった。お前が何かに悩んでいたのに踏み込まなかった。
 そうだ。俺にあんな格好見られたくらいでっつったら語弊があるが、あんなに動揺するような関係じゃなかったろ?
 俺にいつでも性差を感じさせないようにしてきたのはお前だ。むしろお前は『お前の中の何か』に驚いたんじゃないのか?
 俺は、そんな事すらロクに気付かなかった。お前は俺より万倍出来た奴だからで済ましてきた」

 それから半年で卒業して、それから一年空白になった。
 ああそうとも、お前は俺の友達だった。

「けど今は親友だ」
「だけど」
「だから踏み込むぞ。心配するぞ。お前が悩んでるなら俺は解決するまで傍に居たい。ちゃんと腹から笑えるまでな」

「大体だな、あの春の事件で誰より俺の選択を、俺の心を大事にしてくれたのは誰だ? お前だ。お前だよ。
 そのお前があんなセンチメンタルに去ってったのに、ほっぽっといて居られるか。
 俺がそんな奴だと思ってるなら、お前の脳に活版印刷で書き込んでやる。
 俺はこんな俺なんだってな」

「というかな、中学時代を思い出すにつれてなんか腹が立ってきたぞ。
 あの「やれやれ」もそうだが、俺が平凡な日常生活を望んでたのもお前に説得された覚えがあるし
 俺の赤点頭に何故かやたら沈んでる妙ちきりんな比喩やどうでもいい薀蓄も相当が佐々木産だったんじゃねえのか?
 お前たったの一年でどんだけ俺の思考パターンに影響与えまくってるんだよ、どんだけ俺に話しかけてたんだよ
 なんでそんなに近くにいたのに一年も連絡しなかった挙句ただの友達だったと言い切るんだよ
 どうなんだ俺!」
 俺はカーッと頭のどっかから湧き出した最低限の台詞を俺は噛みながら喋り終えた。息が荒い。
 が、達成感はない。俺の言葉は果たして伝わったろうか。
 そういやこいつは春先に言ってたな。言葉は

「……考えること、その考えを相手に伝えること、これは地球人類が生まれながらに持っている普遍的な能力……」
 まるで俺の考えを引き継いだかのように、佐々木はとつとつと呟き
「だったかな、キョン」
 にこりと、笑う。

「そうだ。お前が言った言葉だ」
「そうだね。僕が言った言葉だ」
 くっくっくといつもの声が喉奥から湧き出る。

「どうやら一本取られたようだ。
 そうだね。僕は言葉こそが大事なのだと言いつつも、キミとの別れに際し、どうしても幾つかを言葉に出来なかった。
 だからキミに気付かれる。だから僕に悔いが残る。結局、僕の気配に浮き出てしまう」

「やはり『僕』は役者に向いていないね。だからキミに気付かれる」
 笑ったまま、ぼろぼろと涙を流す。
 これも初めて見るものだ。

「でも、なんでだろうね……そうやって気づいてもらえたのが、私は、嬉しくて、嬉しくて…………」
 幸せそうに、ぼろぼろと涙を流す。

「……やっぱり、僕は酷い奴だ。こんなに嬉しくて堪らないなんて」
 佐々木、だいたいお前は自己評価が低すぎなんだよ。

「佐々木、お前を評価すんのは他人だ。こんなつまらねえ俺を『親友』ってお前が評価してくれたみたいにな」
「キョン、自己評価は大切だよ。誰よりも自分を知っているのはやはり自分だ」
 涙にぬれたままさらりと言い返す。なんだやっぱりコイツは佐々木だ。
「らしくねえぞ佐々木。
 視点は常にニュートラルに、多面的に持つべきじゃないのか?
 てめえの考えに逃げ込むなよ。人間は人の間に生きるもんだ。だから他人の視点も大事にするもんだろ。
 俺の視点のお前は、あんなトンデモ事件に巻き込まれても俺を第一にしてくれたお人よしだ。だから俺には言わせてくれ。
 お前は本当に良い奴だし、最低でも俺より30%増しで幸せになっていい。それだけは認めてくれ」
 そもそも、こいつは自分の幸せって奴を求めてないフシさえある。
 ホワイ? 何故? 俺が親友だってんなら話してくれよ。

「いつか言ったな? お前は全てを諦めているとかな。そんな諦観するほどお前はくだらない奴じゃない。
 お前を下らないって言う奴がいたら連れて来い、大統領だろうがブン殴ってやる」
 ああ佐々木、おまえ自身は別だ。チョップくらいで勘弁してやる。
 そうだ。お前はもっとお前自身に素直になったっていいんだ。
 ハルヒ程じゃなくてもいい、お前の望みを言ってみろ。

 それきり、春先を思い起こさせるような沈黙が場に落ちた。
 花吹雪の中、あいつが去っていった時を思い起こさせるような空気に、俺の脳内が何故かリプレイをかける。

『じゃあ、僕はこれから塾に行かなきゃいけないんでね。話が出来て、嬉しかったよ、キョン』
『じゃあな、親友! また同窓会で会おうぜ!』

 ああそうだ。我ながらなんて空気を読んでない台詞だ。
 だから俺は後で思ったんだ、

『ちょっとセンチメンタルな別れを演じた風で騙されるかよ』

 コイツを絶対に楽しくさせてやろうってな。
 忘れっぽい俺でも知ってんだぞ。お前が本当に幸せそうに笑える奴だって事くらいな。
「……ふふ、さよならなんて言わない、か。ジンクスなんてこじつけなんだろうけれど」
 現実の佐々木が、嘆息を付いた。
「言わなくて正解だったよ」
「なんのことだ?」

「なに、こちらのことさ」
「落ち着いたか?」
「ああ。心配をかけてしまったようだ。礼を言うよ」
「大したことはしてねーよ。むしろ何を言っちまったのか勢いがありすぎて思い出せねえくらいだ」
「ふふ、そうかい」

「で、どうだ? 話す気になったか? 自供するならカツ丼くらいは奢ってやろう」
「止めておくよ。僕はまだ、あの雨の日のペナルティが晴れていない」
「なんだまだそっちで悩んでたのか?」
「さあてね」

「とまれキミとの付き合いはまだまだ継続させてもらおう。どうやらもっと楽しく日々を過ごせそうだ」
「別に節目なんて設けなくて良いぞ。単なる目安みてえなもんだ」

「いいのかい? 甘えてしまうよ?」
「やれるもんならやってみろ。何気にお前、俺に弱みを見せてねえだろ」
「くく、では前向きに善処しよう」
 言って佐々木はいつもの片頬を歪めるスマイルで微笑み、やおら語を継いだ。

「ねぇ、キョン。早速だがキミのアイスティーを一口くれないか?」
「ん? いや構わねえが」
 コーヒーが切れたならお代わり呼ぶか? お代わり自由なんだろ?
「いや今は冷たいものを口にしたい気分でね」
「そうか? まあ暖かくなってきてるしな」
「いや、そうじゃないよ」
 若芽が照り返すような、爽やかな笑みが広がる。

「人はね、嬉しいと体温があがってしまうものなんだよ。キョン」
)終わり
306この名無しがすごい!:2012/03/31(土) 00:17:42.27 ID:N1WED6wu
■場外シーン
「あらまあ、あの子ったら『やらせろ』ですって」
「最近の高校生は進んでるわねえ」
「あんな大声で痴話話かしら」
「でも基礎体温がどうたらとかしっかりしてるわねえ」

 と、喫茶店内で曲解された噂話が、俺達のあずかり知らないうちにいつのまにかSOS団団長の耳に入り
 俺をきぐるみで(以下略)させたり古泉を過労死寸前に追いやったりした挙句、
 何故か古泉がぞろぞろ引き連れてきた各種部活の投手どもの手によって
 俺が軟球百発叩き込まれたのはちょっとした後日談である。

 そこ。というか佐々木、お前も笑ってないでちょっとは訂正しろ。お願いします。
)終われ

今読み直しても猫の目の日々シリーズとか最高だと思うさー
307この名無しがすごい!:2012/03/31(土) 00:57:41.69 ID:2aHzH2VG
乙です
308この名無しがすごい!:2012/03/31(土) 07:43:32.80 ID:kU12dIJ9
おはおつ
古泉に少々不快感あるなー、八つ当たりかつ不条理だもの

猫佐々木さんは良いやね、読んでると知らずニヤニヤしてる
309この名無しがすごい!:2012/03/31(土) 08:50:30.68 ID:N1WED6wu
いやその反応もちょっと困るので古泉関連を修正。
むしろ古泉は仮面キャラだから、八つ当たりとか本音をもっと出しても良いと思うんですよ。彼は彼で自制しすぎ
でも彼の場合、十分楽しんでますし、原作でこれから先にもっと本音を出して楽しくやれる機会があるのでしょうけれど
310この名無しがすごい!:2012/03/31(土) 17:28:47.09 ID:kU12dIJ9
まあたまに小言でちくちくと責めるくらいはしてそうではある
311この名無しがすごい!:2012/03/31(土) 22:53:50.25 ID:kU12dIJ9
大丈夫だろうとシャワーの設定温度変えずに風呂に入ったら寒いのなんの
ものぐさはダメですね佐々木さん
312この名無しがすごい!:2012/03/31(土) 23:26:34.01 ID:2aHzH2VG
おやすみ
313この名無しがすごい!:2012/03/31(土) 23:54:21.51 ID:cAVyUi+Z
佐々木と古泉のからみが見たい
314この名無しがすごい!:2012/03/31(土) 23:56:18.14 ID:zA4HxVEA
佐々木さんと遊園地に行きたい
315 【大吉】 :2012/04/01(日) 06:41:15.14 ID:We9KIsS4
佐々木さんに大吉を!
316この名無しがすごい!:2012/04/01(日) 07:05:07.25 ID:We9KIsS4
佐々木「ヒック…キョン……怖くて眠れないんだ……ズビッ…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333203181/
317 【小吉】 !kab!dama:2012/04/01(日) 09:57:54.05 ID:Q3uw4WMK
今日は4月馬鹿ですね
佐々木さん
318この名無しがすごい!:2012/04/01(日) 13:22:23.77 ID:GhqcL2Uq
>>289
乙。
最後の3人の野次馬ぶりは板に付いているのに、団長は乱入する気満々なのがらしい。

>>306
こっちも乙。
肝心なときに熱くなってくれるキョンはイケメンだ。
wikiの改変も乙でした。
319 【小吉】 :2012/04/01(日) 15:16:24.68 ID:BKeOknI4
今日はおみくじの日
320 【大吉】 :2012/04/01(日) 18:11:40.77 ID:Yum33UCu
佐々木さんの今日の運勢
321この名無しがすごい!:2012/04/01(日) 18:18:48.19 ID:ZDCa+Pc2
秋葉のイベントで
AGPの超大型ナイフ持ちの朝倉さんと
はさみ持ちの佐々木さんの妹がきた

佐々木さんがAGPに出るなら得物はなんだろ?
322この名無しがすごい!:2012/04/01(日) 20:39:03.91 ID:We9KIsS4
>>321
佐々木さんの妹って誰だと思っだが、キョンの妹なら(旧姓)佐々木さんの妹だわな

佐々木さんの武器は公平さの象徴である天秤でどうでしょ?
皿を盾にしたり回転ノコギリのような円盤として投げたり
323この名無しがすごい!:2012/04/01(日) 22:04:28.61 ID:stvypJtP
AGPってPCパーツ連想したが、あれかロボット外装少女みたいなアーマードガールズプロジェクトか
象徴的なアイテム、長門なら魔法の杖、キョン妹のハサミみたいなのは佐々木にはないから
ハルヒと同様に普通に外骨格&バニー仕様になるだけじゃないかい

ハルヒロボはこれ ttp://tamashii.jp/special/compositeverka/index04.html
AGPはこっちとか ttp://tamashii.jp/special/agp/musumeka/
324遠い空の下にいるあいつへ1:2012/04/01(日) 22:47:26.48 ID:stvypJtP
 過ぎた日の記憶に中に、眩しい笑顔がある。
 魂に響く言葉で、俺なんかに大きな夢を語ってくれたあいつの笑顔。
 それはこうやって時が過ぎても、記憶の彼方に色褪せないで欲しい、という願いだった気がしたからだ。

 あいつは強がりな背中を見せて、涙なんか見せなかった。
 性格はまるで違う。けれど、ハルヒとおかしいくらいに似ていた。
 あいつは「ハルヒに憧れたから」だと言った。でも、それだけじゃない。あいつはあいつなんだ。
 あいつの心が似てたから、だからハルヒに似ていたんだ。

 かけがえのない時代を一緒に過ごした。
 後になってようやく解った。だから心に刻み付けて、遠い空の下にいるあいつに呼びかけたい。
 できれば、俺の事もほんのちょっとでいいから覚えていて欲しいと。
 そんな身勝手な言葉を………。



 って痛ぇ!?

「何しやがる佐々木!?」
「誰が遠い空の下だね誰が!?」
 振り向くと、佐々木がハリセン代わりの本を手に仁王立ちしている。
325遠い空の下にいるあいつへ2:2012/04/01(日) 22:49:51.09 ID:stvypJtP
「うわコラこれはまだ書きあがってなくてだな………つーか何の事だ!?」
「はっきり『ハルヒ』だの何だの書いてれば丸解りだよ!」
「痛ぇ!?」

「大体だね、これは昔の楽曲の……ええとREQUIEM? 丸写しじゃないか。それに人を当てはめるんじゃないよ」
「ちょっとした落書きだよ。別にいいじゃねえか……」
「先にやることがあるだろう? 大体なんだねREQUIEM、鎮魂歌とは縁起が悪い」
「いいじゃん良い曲なんだぜコレ」
 オーケー解った。睨むな。

 トホホ。あの非日常を駆け抜けた日々が懐かしいぜ。
 いまや俺はしがない物書きの一人。自室に缶詰で、佐々木編集様にせっつかれるのが日課になっている。
 まったくどうやってオチをつけたものかね。

「それはキミが考えるものだろう?」
「少しは優しくしろよ」
「それは原稿が終わったらたっぷりとしてあげよう。そう、たっぷりと、ね」

 そっと俺の片頬に手を寄せると、蠱惑的な仕草で微笑む。
 うおう。まったく、あの性別を超越した佐々木様はどこいったんだ?

「ふふ。それはもちろん僕の中に居るよ」
「ホントかよ」
「ちょっと素直になっただけさ」

「でなきゃキミは私を女と見てくれなかったでしょう?」
 言って、佐々木はまるで十四歳の頃のように無邪気に微笑むのだった。
)終わり

編集者佐々木シリーズとは書いた奴含めてもちろん無関係。
ただなんとなく思いついたから形にしてみる。
326この名無しがすごい!:2012/04/01(日) 23:15:43.12 ID:Q3uw4WMK
おつ
327この名無しがすごい!:2012/04/01(日) 23:19:21.77 ID:We9KIsS4
ううう…SSにはなるだけ乙やGJだけじゃなく一言コメント添えるようにしてるが、
歌の元ネタ知らない上に、編集者佐々木をかなりリスペクトしてるからコメントできないスマン
328この名無しがすごい!:2012/04/01(日) 23:34:11.55 ID:Yum33UCu
おやすみなさい佐々木さん
329この名無しがすごい!:2012/04/01(日) 23:42:32.37 ID:Q4a8TOAA
佐々木かわいいよ佐々木
330この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 00:05:22.33 ID:BPdx1pqg
>>321-323
ぶっちゃけあのシリーズで得物的に一番イメージしやすいのが朝倉さんだしね。
あの3人の次に出すとしたら当然の人選だわな。
そうなると鶴屋さんと喜緑さんはどうなるんだか…。

つーかいつの間に全員バニーになったんだろう。ウェイトレスと悪い魔法使いの設定はボツか?

>佐々木さんの妹
義妹ですね、わかります。

佐々木ロボだったら、
・タブレットPCとHMDかなと思ったけど攻撃的に個性がなくなるからな…。
>>322の意見に便乗すると、味方用の盾・槍・剣などを渡してから
軽くなった自らはバズーカと機動力を生かした一撃離脱戦法を使う指揮官型ロボとか。
パクリだけどね。
・バニー縛りがなければ白衣着て注射器とか。

九曜ならステルス装備と連想してたんだけど、難しいね。
331この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 00:08:09.06 ID:BPdx1pqg
>>324-325
乙。
まあ元ネタはわからんけど、いなくなったみたいに扱われたら叩きたくもなるわね。

編集者佐々木シリーズはまた読みたくなる名作だ。
332ルームシェア佐々木さんと毛布1:2012/04/02(月) 00:17:51.46 ID:2L1biUC4
「おやキョン。今日も早いじゃないか」
「おう、おはよう」
「うん、おはよう」
 まあお前の方が早いのは変わらん訳だが。
 悪いな。どうも。

「構わないよ。代わりに夕食の支度はキミが分担してるだろう?」
 朝と弁当の方が色々と大変だろ。
「ならばもう一足早く起きることだね。僕もキミに揺り起こされる日を楽しみにしているよ」
「へいへい前向きに善処させて頂きますよ」

「おやおや諦観はいけないな」
「お前が言うか」
 昔、僕は全てを諦めている、とか言った奴の台詞かよ。
「おや覚えていてくれたかい?」
 なんとなくな。なんとなく。
「ふふ、つまりあの時と今の僕の違いはそういう事なのさ」
「そうかい」

「それより最近どうしたんだい? 朝が早いようだが」
 あー、どうも晩と朝で寒暖の差がなあ。
「夜はまださみーのにさ、朝は妙に布団っつーか毛布が暑くてなあ」
「ふむ、なるほど。毛布が暑くて目覚める訳か」
 何か受信したのか偽悪的に笑う。

「では毛布ではなく僕が添い寝して「あーあー聞こえん」」
333ルームシェア佐々木さんと毛布2:2012/04/02(月) 00:19:12.12 ID:2L1biUC4
「心外だな。画期的な解決手段だと思ったんだがね?」
「思ってる顔かそれが」
「思ってる顔さ。なんならもっと近くから」
 いいから飯だ飯!
「くく、そんなにがっついてくれるとは嬉しいね」
「何がだ」
「聞きたいかい?」
 OK、降参だ。お前に口で勝てる気はしねえよ。

「ふふ、たまにはキミの理性、脳の上部構造で僕を圧倒してくれたまえよ親友」
 うるせえ。あんまりからかうと脳の下部構造に任せるぞ親友。
「ほう、キミにも本能があったのかい?」
「あるに決まってるだろ」
「なら楽しみにしてるよ」
 何をだ何を。

「それよりキョン、せっかく早起きしたというのにもうこんな時間だ」
 げ。せっかく早く起きたってのに何つう無駄な時間を。
「ふくく、無駄という事はないよ」
「おいおい、どこに有益さがあったよ」
「決まってるじゃないか」
 悪戯でもするように、俺の顔を覗きこみ、

「キミとこうして交わす会話、その全てがそうなのさ」
 にっこりと、春の日差しのように笑った。


「……あとねキョン。添い寝は寒くなってから再度検討しよう」
「色々台無しだぞ親友」
)終わり

バニーガールなのはアレだろう。外骨格付ける訳だから、素体側はシンプルな方がいい
334この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 00:22:58.87 ID:CXIzLkf4
素晴らしい

こういうもうハルヒだとかそういう面倒事はとっぱらってただいちゃいちゃ掛け合う話はもっと量産されるべき。
335この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 01:20:54.51 ID:vQssi+Q1
336この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 02:54:50.72 ID:BPdx1pqg
あちらの方もSSで佐々木さん登場させるときは苦労しているみたいだからね。
お互い気を使っているべさ。

ところで佐々木さんは中3の時にキョンと関わらなかったら、
あの振る舞いを続けたとしても同級生に告白されていたのかな?
俺はその可能性は高いと思っている。

驚愕の告白された発言はおそらくハルヒと立場が逆になったことを強調する意味合いもあったと思う。
そうであると、佐々木さん本人はあの口調をすることで変わった女だと対象外視される(これは真相不明)
ことに効き目があったというのが思い込み・誤解だった可能性もあるということになるな。
それすらも実は自覚しているのかもだが。
337この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 02:56:48.18 ID:BPdx1pqg
>>332-333
乙。シリーズものができるのは純粋に嬉しい。
338この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 18:39:07.41 ID:I3d1L7fN
>>333
>>334と被るが言わせてくれ、素晴らしひ
佐々キョンいちゃらぶは別腹ですはい、満腹を知りませぬ

>>336
男口調は寄って来る男を遠ざけるのに一定の効果はあっただろうけど、佐々木さんの魅力の方を強く感じる奴らも居たっでだけじゃない?
339この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 20:54:51.19 ID:vwAyTULl
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
340この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 21:22:16.31 ID:71M+6a8f
>>339,57,75,77,121,148,175
341この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 21:35:33.60 ID:5gOYJi02
>>338
佐々木さんが変な女だとしてもそれで言い寄らない男が皆無にはならないと思うんだよね。
高校になって初めて告白を受けたって話だから、中学時代はどうだったんだろうなと思って。
素でスルーしていたか、あの時期特有の男女間の冷戦みたいな雰囲気だったとか?

3年の時はキョンと仲良かったから他の誰もアプローチかけなかったんだろうなと思うけど。
342この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 21:42:56.80 ID:vwAyTULl
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
343この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 22:53:32.24 ID:71M+6a8f
>>342,57,75,77,121,148,175
344この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 23:09:07.00 ID:I3d1L7fN
>>341
言われてみれば、中学時代で確実に付き合ってたの知ってる範囲では2組だけだわ
告白とか概念自体あんまり無かった気がするw
345この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 23:13:34.81 ID:2HSE3ilZ
実際ハルヒは中学時代から(多分佐々木さんよりも)変な女という評価だったにも関わらず、告白されまくったからな
そして高校に入ってからは常にキョンやSOS団と一緒にいて、多分だが頻繁に告白をされることは無くなっただろう
(むしろ中学時代よりも穏やかになっただろうに)

そう考えると、中3の時の佐々木さんはキョンが図らずも虫除けになってた可能性もある
クラスメートも二人がそういう関係だと疑ってたやつもいたんだし
346この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 23:35:07.31 ID:mpnjxv00
>>293
今日のぞいたら残り10個ほどで、みくると私服ハルヒだけになっていた……
347この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 23:48:10.09 ID:7eFVKGYs
>>345
疑ってたでなく、恋人だと確信していた奴もいたみたいだよ
348この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 23:50:18.51 ID:e1p5SY1K
 
349この名無しがすごい!:2012/04/02(月) 23:50:27.28 ID:jWreqz7l
>>345
高2になってから告白されたという事は、高1の時には虫除けがいたという理屈にならないか?
350この名無しがすごい!:2012/04/03(火) 00:29:59.13 ID:ok5aGN0v
>>349
キョンとの関係が虫除けになったのは、国木田以下の証言から推測できるから成立する
しかしそれ以外は描写が不足するのだから水掛け論にしかならんよ
351この名無しがすごい!:2012/04/03(火) 00:30:27.55 ID:n+kjnO1U
佐々木かわいいよ佐々木
352この名無しがすごい!:2012/04/03(火) 00:56:56.08 ID:QWtGKlXo
佐々木は可愛いからもうなんでもいいや
353この名無しがすごい!:2012/04/03(火) 06:17:41.12 ID:5+ziHUG2
ツガノは毎月良い仕事をしている
354この名無しがすごい!:2012/04/03(火) 13:25:57.80 ID:DaTN/sJr
こんにちは
355この名無しがすごい!:2012/04/03(火) 17:44:17.10 ID:wAmoJ7rr
ツガノは小冊子の汚名を雪げたなw
356この名無しがすごい!:2012/04/03(火) 19:23:00.14 ID:geR9ipF2
かっちりレインコートを着込んで、強風によるスカートのめくれを完全防備の佐々木さん
357この名無しがすごい!:2012/04/03(火) 23:56:46.34 ID:geR9ipF2
寒いね佐々木さん

おやすみなさい
358Rainy Day by?1:2012/04/04(水) 00:10:42.00 ID:49Mwln4r
驚愕初回特典「秘話」のRainy Dayベース、及び同日について書かれた分裂(P241)の会話より。

 いつものように彼の机に片肘をつき、覗き込むように語り掛ける。
 これは、もはや日課のような一幕。だが、今日はまた事のほか変わったことを彼が言ったからか
 或いは別の要因ゆえか、この一言を良く覚えている。

「佐々木。お前、回りくどくて理屈っぽい言葉遣いを改めりゃさぞかしモテることだろうに」
「面白い事を言うね」
 本当に、面白いことを言うね。
「キョン、モテるモテないとかがこの人生において問題視される理由が解らないね……。
 現実をあるがまま受け入れるには情緒的感情は障害に過ぎないよ。特に恋愛なんて精神病さ」

 これは僕の持論だ。特に気に入っている僕の持論だ。
 だから僕は滔々とキョンに語った。人と動物の境目の事、理性と本能の事を。

 僕は喋りを改めればモテる?
 キョン、キミは僕に男漁りに精を出せとでも言うつもりかい?
 僕に「僕」を曲げてまで異性を求めろと? そんな事よりこうして語り合う時間の方が僕には面白いね。
 キミはこうして話を聞いてくれるじゃないか。それを曲げてまで、見も知らぬ「誰か」にモテる必要なんてないんだ。
 誰かに好意を振りまいたり、誰かに好かれようとするより、僕は僕でいたいんだよ。

 そうやって楽しい時間を過ごしていると、僕らの傍らに影が差した。

「お二人さん」
「おわっ」
 彼がのけぞる。彼の顔の至近距離に、クラスでも評判の美人、岡本さんの顔があった。
 まったく困ったものだね。彼女は人懐っこい美人だが、目が悪いので常に顔を近づけるようにして喋る。
 パーソナルエリアというものが極端に狭いのだ。男子を惑わせるに充分だが、その様子に意図的なものはないから
 たしなめるにも気が引ける。まったく、困った人だよ。

「これ、進路希望表。まだ出してないのあなたたちだけだから」
「進路か」
 ……まったく困ったものだね。
 それは目下、僕を迷わせているものの一つだった。
359Rainy Day by?2:2012/04/04(水) 00:11:15.97 ID:49Mwln4r
「キョン、キミはどうするつもりなんだい?」
「ああ。どっか近いところにもぐりこめたらそれでいいや」
 うーん。やっぱり返事は変わらない。まあそういう奴だよキミは。

「お前はどうなんだ? 成績から言って、頭のよさげな進学校に進むんだろ?」
「その可能性も視野には入れているよ」
 キミも僕の事は決め付けて掛かっている風だった。
 ふん、そんなに簡単なら迷ってないよ、とは言わない。だから僕は韜晦する。

「そういえば国木田くんはとっくに志望校を決めているようだった」
「ほう、あいつも脳のめぐりのいい奴だし、きっと名の知れた高校に行くんだろうな…………」
 しばし語り合う。やっぱり彼は迷っちゃいない。迷っているのは僕だけだ。
 学力、経済、そして………選択できるのは僕だけだ。
 選択をしたいのも、きっと僕だけだ。

「うんざりだぜ。いつまでもこの中学のプールで膝を抱えていたいね」
 まったくモラトリアム人間だねキミは。確かにこの子供時代を長く楽しみたいのは確かだよ?
「そうもいくまいさ。キョン」
 時は止まらない。ならモラトリアムは短い方がいい。

「夢に向かって進むには、歩き続ける必要があるだろう?」
「夢ねえ。佐々木はどんな夢をもって今後の指標とするつもりだ?」
 直球だねえ。けれどそれはキミにも秘密さ。

「僕にだって叶えたい夢のひとつくらいはあるよ。けれど夢や希望は想うもの、語るものじゃない」
 そう。夢くらい僕にもある。けどそれはちっぽけな僕には壮大すぎる野望なんだ。
 だからキミにも語ってあげることは出来ないね。笑われちゃ敵わない。

 そう、とても壮大な野望だから。
 だから、僕は他の希望なんか全部捨ててでも、全てに諦めてでも、前に進まなきゃいけない……。
 そう考えた時、一瞬だけ視界がモノクロームセピアに染まる幻覚を見る。まるで僕の諦観そのもののような幻覚。
360Rainy Day by?3:2012/04/04(水) 00:11:42.23 ID:49Mwln4r
 僕の夢と希望、それは果たして両方得られるものなのかな。
 ねえ、キョン?

 キミなら答えてくれるかな?
 心の声がする。けれど、僕は問いかけられない。
 キミを信じられないから? だとしたら、やっぱり私は臆病者だ…………。

 それからまた色々あった。
 学校、放課後、彼の家、彼の妹さん、交わした小さな約束、「またね」と手を振る。食べかけのおせんべい。
 愛おしい思い出の一つ一つ。

 それから彼が自転車を引き出し、その荷台に乗せてもらって塾へと行った。
 定位置は自転車の荷台。そこに座って、彼の両肩に手をかける。
 いつもの日常風景。とても大切な日常風景。そして、

「キョン、このままじゃパンツの中まで濡れ鼠だ。どこかで雨宿りをしよう」
「と言っても庇を貸してくれる母屋はねえぞ」

 突然、激しい雨が降った。
 二人で殴打するような雨の中を自転車で走る。唐突に沸いた非日常。
 僕は楽しんでいた。まるで映画のワンシーンのようだと……そう、それは青春映画のワンシーンだった。

「キョン、こっちを見ないでくれないか」
「何でだ」
 それから雨宿りして、僕は驚愕した。

「キョン、キミは時々忘れるようだが、僕は遺伝子的に紛れもなく女なんだよ。さすがの僕でも、こんな姿……解りやすく言うと
 下着の下すら露になりかけているような、破廉恥な格好を人目にさらして平気な顔ができるほど無神経じゃないんだ」

 彼が僕を見る目が、びっくりするほど「友達」を見る目だった事に驚愕した。
 これでも遺伝子的には紛れもなく女なのだが、彼はまったく気にも留めていない風だったのだ。
 きっと彼は、僕が性別を超越した存在か何かだと思っているのだろう。

 いや彼は悪くない。そう受け取るよう仕向けたのは僕だし、それを誰より素直に受け止めてくれたのが彼だ。
 そうだろう? キョンの素直さが僕は何より嬉しかった。好ましかった。
 そうさ、これは喜ぶべき事なのに……。
361Rainy Day by?4:2012/04/04(水) 00:12:08.69 ID:49Mwln4r
「僕の貧相な胸部なんてマジマジと見たところで益にはならないだろう? 岡本さんのならまだしもさ
 まったく、本当にやれやれだよ。この雨に対しても、僕自身にもね」

 我ながらみっともない言葉が口をつく。
 体温すら感じあえるような距離で、僕らは黙り込んだ。僕は黙り込んでしまった。
 しばらくし、ほとんど無意識のように彼が呟く。

「夏でよかったな」
 それはどういう意味だい? 思わず彼を見上げる。
「服が早く乾く」
 ……ああ、そうかい。
 気遣い感謝するよ。

 僕の心の皮肉が聞こえたのか、背後でキョンが身じろぎする気配を感じた。
 なんだよ。彼を非難する資格がどこにあるんだ。
 自業自得だ。なのに僕は……

 やっぱりそうだ。結局こうなる。僕は臆病で身勝手だから。

 僕はキミにさえ素直になれない。
 こんなにキミに甘えているくせに素直になれない。もっと甘えたいくせに素直になれない。自業、自得だ。
 眩しいフリをして雨雲を見上げる。瞼にたまった雨露をごまかすために。
 けれど

「う」
 ほんの少しだけ声が出た。

 心でリフレインする。

『岡本さんのならまだしもさ』

「……別に人それぞれだろ」
「?」
 意を決したような声に、思わず再び彼を見上げた。

「なんのことかな」
「あー。なんつうか、今日言ったばっかだろ。お前は黙ってりゃモテるってな」
 またそれかい? 誰かにモテる為に「僕」を捨てろって言うのかい。

「ふん。僕の性格は嫌いかい?」
「嫌いだったらこんなに一緒にいねえよ」
「嬉しい事を言ってくれるね」
 ノックの音がする。
362Rainy Day by?5:2012/04/04(水) 00:12:30.63 ID:49Mwln4r
「でもね。モテるモテないに意味なんてないよ」
「情緒的感情はノイズってか?」

「なら、なんでそっち見ちゃダメなんだ。佐々木」
「僕は遺伝子的には紛れもなく女だ。だからさ」
「それは情緒的感情じゃないのか?」
 火照る。

「矛盾してるぞ。佐々木」
 してないよ。
「……僕は岡本さんみたいに目の保養になるタイプじゃない」
「ループだな。黙ってりゃお前は可愛い」
 しつこいね。キミは他人には干渉しない人じゃなかったのかい?

「……黙っ」
「ああもうなんだコレ誘導尋問じゃねえか完全に!」
 な、なにがだい。落ち着きたまえキョン。

 つまりキミは僕が岡本さんに負けない容姿だとフォローしてくれているんだよね?
 ああそうさ、考えてみればキョンは今日まさに僕の容姿を褒めてくれたばかりなんじゃないか。
 黙っていればモテると。けどキミは僕といつも喋ってくれている訳で
 ええとつまり

「キョン、だか」
「一般的に見てお前はモテる外見だ。それに俺は別にお前の性格は嫌いじゃねえ。つまりだ。俺にしてみりゃ」
 キョンは背中を向けたまま、遮るように言う。

「お前は喋ってても可愛い」
363Rainy Day by?6:2012/04/04(水) 00:12:54.82 ID:49Mwln4r
「……キョン、そんな精神病みたいな事を言うならキミとの友誼は…………」
「…………なんだ」
 気付く。キョンの耳というか首筋辺りまでものの見事に真っ赤っ赤だ。
 肩越しの視線、ちょっとばつの悪そうな目と目が合った。

「なら、なんでお前こそそんな顔してる」
 解ってる。僕もとっくに真っ赤だ。ああ、このまましばらくすれば制服もあっさり乾くのではないだろうか?
 ならこんなに熱くなるのも悪くない。そうこれは塗れた制服を乾かすための自然な反応であって

「佐々木、俺との友誼はどうする? 言うなら最後まで言っちまってくれ。正直もう身が持たん。人体発火しそうだ」
「……ズルいよ。僕が言いたくない事くらい解るだろう?」
「俺は解らん。解らんからこんな関係だったんだろ」
 キョンは背中を向けたまま嘆息する。
「ああクソ!」

「俺が精神病じゃダメか。佐々木」

「ああそうだな。国木田のバカも言ってやがった。自覚が無いとかなんとかな」
 畳み掛けられる。ノックが激しくなる。

『どうも自覚がないようなので、この件は追求しない方がいいのかな?』
 プールでの国木田くんの言葉がリフレインする。そう、キョンは「何故僕と仲がよいのか」の自覚が無い。
 けれど自覚が無いというのは、無自覚な何かがあるという事じゃないのか?

「ダメか佐々木。精神病患者じゃ、ダメか?」
 荒い息に、心が蹴破られた気がした。

「………………同病相哀れむというじゃないか」

 キョンは背中を向けている。だから勢い任せに背中に張り付く。
 いつも自転車で手をのせていた、彼のパーソナルエリア。そこに今度は全身で入り込む。顔を見られないように。
 私は、精一杯の勇気を出した。

「しょうがないね。同病同士、付き合おうじゃないか」
「なんだよ。完治させるまでってか?」
「いや」

「その、できれば…………ずっと一緒にいて欲しい」
「……おう」
364Rainy Day by?7:2012/04/04(水) 00:13:24.61 ID:49Mwln4r
 彼の背中に引っ付いて、腰に両手をぐるりと回したまま。
 淡いゼリーのような沈黙が落ちる。
「……見ないで」
「………ああ」

「……ねぇ、キョン」
「ん」
「でも、やっぱり僕は、進学校に進もうと思う」
「……そうかい」

「………止めないの?」
「お前には夢があるんだろ?」
 キョンは嘆息し、腰に回った僕の両手のひらをそっと引き剥がすと

「そら!」
「きゃっ!」
 ぱちん、と勢いよく鉢合わせる。なにすんだよキョン!

「うるせえ。告白が上手くいったんだかフラれたんだかよく解らん男の気持ちがわかったか!」
「わかんないよ!」
 ちゃんとOKしただろ!
「だからな、お前はモテる顔してるから心配なんだよ」
 さらっと恥ずかしい事言わないでよ!
「うるせえ、顔つき合わせて言えるか!」

「……だって僕はキミに甘えてばかりだ」
「そうか?」
「だって、その、告白だってキミからしてくれたじゃないか」
「思い出させるな。人体発火現象が起きそうだ」
 なら僕はとっくに燃え上がってるよ。

「普段だってそうさ。キミがああして「普通」にしてくれるから僕は僕でいられる」
「そうか? 他人の評判は知らんがお前のあれは聞いてて面白いぞ」
「くく、だからそれが甘やかしなんだよ、キョン」
 きっと僕は甘えてたんだ。
365Rainy Day by?8:2012/04/04(水) 00:14:02.55 ID:49Mwln4r
「同じ市街に住んでるし、携帯電話だってある。今、僕は僕を見直そうと思う」
「まったく。お前はいつも正しいことしか言わないな」
 背中に顔をうずめる。別にそんな事はないよ。こうやって甘えてしまう自分が怖いだけさ。
 このまま一緒の高校に行こうか、なんて思ってしまった自分もね。

 共に過ごす時間が短く、貴重な時間になってしまったっていい。
 その分、濃密な時間をすごせばいい。
 それに僕らはまだ若いのだ。

「くく、それに塾だってある」
「おいおい。卒業後も塾に通えってか?」
「おや、キミのご母堂も言ってらしたそうじゃないか」
 晴れ間が見えた。そうだよ、と告げて勢いよく彼から飛び離れる。
 そうさ、僕らはまだ若いんだよ。だから、ほんの少しだけ自分に素直になってみよう。
「くっくっく。もう一つ目標が出来たよ」

「キミに僕と一緒の大学に行って貰うという目標がね」
「やれやれ」

 翌日、私は進路希望表を提出した。
 そして、私の定位置は、彼の顔を覗き込む格好、或いは彼の背中に手をかける姿勢から、一歩だけ前進した。
 もちろん二人きりの時だけだけれど。
 なんというか物理的に。

 それから、私はほんの少しだけ貪欲になることにした。夢と希望の両立を試してみることにしたのだ。
 諦観なんてしなくていい、そんな日々が始まったからだろうか。
 モノクロームセピアの幻は、それから一度も見ていない。

「ねぇ、キョン」
「なんだ?」
 くくっ。

「なんでもないよ」

)終わり。
)涼宮ハルヒの憂鬱に続く?
366この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 00:20:24.42 ID:49Mwln4r
wiki 14-687 もしも。シリーズみたいな連作じゃないので続きません。あしからず。
もしもシリーズは良いよねアレ。本編じゃ「二人が組む事は絶対にない」と評してるけど気が合うタイプだよねと
同シリーズの「トライアド」の息の合いっぷりは見てて清清しい
367この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 03:11:15.71 ID:awzDnqqc
おつです
368この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 04:45:29.18 ID:qe1gDAkR
乙乙
369この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 04:56:50.33 ID:WCZX7qo8
最近はSS投下が多くて嬉しいですね
370この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 07:09:37.40 ID:5ZQfY9qq
乙乙
なんでこのルートにならなかったんや(´;ω;`)
371この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 08:18:21.21 ID:DTSuX+mg
乙ー。
ifものはやっぱいいいものだ。

「二人が組む事は絶対にない」っていうのは逆にとんでもない事件が起きたら、
ハルヒと佐々木さんが組めば(+キョンとSOS団)、何でも解決できそうな気がするね。

驚愕でも見方を変えたら、長門が動けなくなっている緊急事態に
示し合わせなくても無意識的に違う手段で問題解決に向けていたとも思えるし。

ヤスミ登場はハルヒの私的願望もあるけど、佐々木さんの影響も多分にあると思いたい。
372この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 21:02:25.35 ID:49Mwln4r
お前、回りくどくて〜がRainy Dayと同日なのはちょっとした意味があるように思えたというお話
キョンが「口に出した」台詞としては珍しく外見を褒める内容、ただし受け取り方次第、特に佐々木さんには反発を招くという

>>371
ヤスミは今度でないと明示されてるけど、実は佐々木さん絡みなら話が繋がるよね
ただ、単にヤスミ=ハルヒが無意識に力を振るう為の代行者と考えるなら、それが今後でないって明示されてるのも面白いと思う
373この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 22:10:56.30 ID:PlwN8JuW
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
374この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 22:40:15.72 ID:x1I7sdBV
>>373,57,75,77,121,148,175
375この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 23:08:56.80 ID:awzDnqqc
ささきかわいいよささき
376この名無しがすごい!:2012/04/04(水) 23:17:07.15 ID:QBbPZiN1
佐々木さんと海に行きたい
377「だから人のコーヒーを飲むな佐々木」1:2012/04/05(木) 00:20:04.55 ID:U7SWUDpS
「それでだキョン」
「だから人のコーヒーを飲むな佐々木」
 例によって佐々木が見つけた喫茶店で駄弁る俺達である。
 
「くく、いいじゃないか。代わりに僕のアイスティーを一口進呈するよ」
「まあ頂いてやろう。冷たいのも悪くないな」
「ふふ、どうだい僕のアイスティーの味は」
 妙な表現をするんじゃない。人聞きが悪い。
「こらこら、ストローで泡立てないでくれたまえ。小学生かキミは」
 すまん。どうも口で勝てないからか妙に気が抜けちまうな。って笑うな佐々木。

「というかどうしたね。またエキサイティングしているじゃないか」
「最近古泉とよくキャッチボールするんだが、なんか妙にあいつのコントロールが悪くてな」
「ほう。ぶつけられでもしているのかい?」
 身を乗り出すほど気にすんなよ。
 言ってみりゃ男同士の馴れ合いの一種だ。いい気晴らしだよ。
「ふむ。では」
 言っとくがお前とのキャッチボールは言葉のキャッチボールで十分だからな?
「うん? なんだねその曰く反応しがたい台詞は」
 知らんわ。

「最近は朝比奈さんのお茶も『健康に良いお茶』シリーズでどうも弱るし」
「ああ、不味い! もう一杯、とかそんな感じかね」
「なんだ。お前もテレビ見ることあるんだな」
「心外だな。これでも笑点は毎週欠かさずに見ているよ」
 なんとなく線香の香りがする気がした。
「いま、なんとなく不審な反応があった気がするのだが」
「ははは気にするな親友」
378「だから人のコーヒーを飲むな佐々木」2:2012/04/05(木) 00:22:56.49 ID:U7SWUDpS
「で、何だね。涼宮さんの行動が激化したり長門さんの目線が怖かったりするのかね」
「まあ定番だな」
「ほう。定番なのか」
「まあな。お前の台詞がなんとなく性的なのと同じくらい定番だ」
「ふん。それでもキミは女扱いなんてしてくれないんだろう」
「それな、正直、中学時代に聞きすぎて耐性が付いた感もあるな」
「なら別のアプローチが必要かな」
「ん?」
「ん?」

「ああ。と言っても昔ほどじゃないぞ。古泉も言ってたがハルヒは間違いなく安定してきてる」
 だから神の力を移す云々って騒動は色々と間違ってたのさ。
「ふん。正妻の余裕とでも言うつもりかな」
「ん?」
「ん?」

「というかこの『ん?』っていい加減なんとかしようぜ親友」
「いいのかい? これを外すと僕の本音が迸るよ?」
「…………参考までにどうなるんだ?」

「そうだね。僕の思考は止まり、あとは動物的な生だけが残るだろう。キミに対してね」
「俺は何も聞かなかった」
 俺が言うと、佐々木はそっぽを向いてアイスティーに口をつけた。

「そりゃ残念」
「おいおいストローで泡立てんなよ佐々木。小学生かお前は」

「ふん。親友に隙くらいみせてなにが悪い」
「そうかい」

佐々木さんと線香の話はpart65スレ辺りであったねというお話
379この名無しがすごい!:2012/04/05(木) 07:08:18.77 ID:S8UjK4Bl
380この名無しがすごい!:2012/04/05(木) 09:56:52.76 ID:w2XX4Xl0
ハルヒがいなければ買った。
381この名無しがすごい!:2012/04/05(木) 10:05:09.72 ID:M7e6yb1r
佐々木ってあれだな
かわいいな
382この名無しがすごい!:2012/04/05(木) 11:02:19.81 ID:WNwWzLdH
332 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 17:54:04.32 ID:ZY7z1DPxP [6/6]
のいぢ描き下ろしの佐々木抱き枕が出たら死ぬ
383この名無しがすごい!:2012/04/05(木) 18:17:22.28 ID:VJIjhZNB
>>378
嫉妬しながらもしっかりマーキングして牽制する佐々木さんかわいいw

>>382
骨を拾う際は手伝おう
384この名無しがすごい!:2012/04/05(木) 21:18:43.41 ID:WjVYSmYI
>>379
佐々木さん大PUSHだな

水面下で、アニメ・ハルヒ3期が進んでいると思いたいね

AGPやバニー佐々木さんもあるかも
385この名無しがすごい!:2012/04/05(木) 21:20:05.89 ID:U7SWUDpS
そのレスがさらっと発掘されるのが凄い
386この名無しがすごい!:2012/04/05(木) 22:03:12.99 ID:VJIjhZNB
公式佐々木さん画像もっと増えないかな
387ルームシェア佐々木さんと桜吹雪の日1:2012/04/06(金) 00:49:00.15 ID:QTeQrGkJ
>>332シリーズ

「春だねキョン」
「そうだな佐々木」
 帰り道、キョンの自転車の荷台で揺られながら桜を見上げ、桜並木に立ち止まる。

「生憎と先日の爆弾低気圧とやらで随分散ってしまったようだが……」
「まるで雪でも降ったみたいになってるな」
「おや、誌的な表現をするじゃないか」
 喉奥で笑ってみせる。……ふむ。

「ふむ。忘れめや都のたぎつ白河の名にふりつみし雪の明ぼの、だったかな」
「あー。どっかで聞いた事があるような」
「キョン。南北朝時代は知ってるね? 鎌倉幕府を倒した原動力の一つにして南朝の初代天皇、後醍醐天皇……」
「ああ後醍醐天皇の」
「その皇子、息子にあたる宗良親王の遺した歌さ」
「また随分だなそれ」
「そうかい?」

「後醍醐天皇の勢力は、鎌倉幕府打倒後、室町幕府と対立する勢力になったのは覚えているね?」
「さすがにそのくらいは覚えてるぞ」
「それが南北朝時代だね」

「その息子、宗良親王は元は僧だったんだが、父の為に還俗し、武将として戦いに明け暮れた」
「元お坊さんで天皇の息子か。そら風趣な趣味を持ってる訳だな」
「征夷大将軍に任じられたこともあるよ」
「すげえな。世が世なら将軍様か」
「まあね。ただ南朝側は常に劣勢にあった」
「武士勢力の室町幕府と北朝、貴族勢力の南朝って図式だもんな。おおざっぱに言えば」
「そこでさっきの歌という訳さ」

「忘れめや都のたぎつ白河の名にふりつみし雪の明ぼの」
 通釈、忘れたりするだろうか。都を奔り流れる白川の我が住まい――その名にふさわしく降り積もった雪の曙を。
「都が懐かしいなってか?」
「まあそんなとこさ。雪景色を見て彼は思いを馳せたんだね。同じように雪に染まったかつての自邸を」

「だから僕も思うのさ。この桜吹雪を、あの卒業式の想いを忘れたくないな、とね」
「……そうかい」
388ルームシェア佐々木さんと桜吹雪の日2:2012/04/06(金) 00:49:22.54 ID:QTeQrGkJ
「いつの卒業式の話か聞かないのかい?」
「俺は鈍重な感性の持ち主だからな」
 皮肉とは趣味が悪いね。
「自嘲だよ」
 そうかい。
「笑うな」
 やだね。

「ときにキョン、思ひきや手もふれざりし梓弓おきふし我が身なれむものとは、なら知ってるかい?」
 通釈、思いもしなかった。昔は手さえ触れなかった弓矢や武具を、起きても寝てもそばに置き、
 これほど我が身に馴らそうものとは。
「もう勘弁してくれ」
 やだね。聞いて考えたまえ。

「元が貴族でお坊様、それが軍人になってから転戦中に詠んだ歌だよ」
「人間の適応能力ってスゲーなってか?」
「ほう」
「昔は触る事さえなかった武具に、今はこんなに慣れ親しんでる、こんな自分になるなんてなって自嘲してんだろ」

「いい解釈だ。ではこれを僕に当てはめるとどうなるかな?」
「知るか。そろそろ脳のCPUが焼ききれそうだ」
「では空冷ファンを足さなきゃならないね」
「耳に息を吹きかけるんじゃありません!」
「そうかい?」

「いいから帰るぞ。日が暮れる」
「はいはい」
389ルームシェア佐々木さんと桜吹雪の日3:2012/04/06(金) 00:50:39.22 ID:QTeQrGkJ
 昔、僕は恋愛感情なんてノイズだと思っていた。
 けれど、キョンに出会って、今はこの感情に慣れ親しんでいるどころか楽しくて嬉しくてしょうがないんだよ。
 まったく。こんな自分になるなんてさ。中学二年以前の僕に伝えてあげたいね。
 中学三年の時、あの雨の日に変な意地で壁を作ってしまった僕にも
 中学卒業の時、意地っぱりのままキョンとの関係を断った僕にも
 高校二年以降の僕にもだ。

 ああ高校二年時代の僕は別かもしれないね。
 好きだ「った」とも、さよなら、とも伝えなかったのは、ちょっとした貪欲さだと思うから。

 諦観に沈むだけじゃなく、挑戦も必要なんだよ。
 何かの為に、誰かの為に諦めるより、自分に素直に行動してみたらどうだい? きっと思いもしない自分が見えるよ。
 苦しくても切なくても醜くても、そんなの蹴っ飛ばして自分に素直になってごらん。
 もう「すべてを諦める」事なんてないよってね。
 僕らの青春はこれからなのだから。

「さ、いくよキョン」
「佐々木、解ったから背中に張り付くな!」
 やぁだね。

「もうここから離れる気はないよ。ここは僕の特等席なのだからね」

 筆者注
 佐々木さんが「思ひきや手もふれざりし……」と語る同人誌の四コマに影響されたお話です。
 元ネタありとご了承下さい。なお同人誌「天勾践を空しゅうする莫れ」及び
 総集編「volunteers #19 異装奇歌学」に収録されています。

爆弾低気圧から思いついた話
390この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 07:31:48.35 ID:3EXck1xO
乙(´ω`)乙
佐々木さんてば幸せ滲み出るどころか溢れ出してますなあ、その空冷じゃ逆に温度上がっちゃいますってww
散った桜も綺麗ですよね佐々木さん、水面一杯に広がる花筏の情緒もまた良いものです
391この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 07:33:52.34 ID:n84gvHTk
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
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        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
392この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 09:38:22.73 ID:Og9m1KQo
>>391,57,75,77,121,148,175
393この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 20:06:04.75 ID:n84gvHTk
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
394この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 20:23:10.06 ID:3EXck1xO
まだちょっと風強いですね佐々木さん
こちらでは日曜あたり桜吹雪が舞いそうです
395この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 20:56:55.90 ID:8gd4Y0p0
>>393
鬱陶しいわ。ID変えて虐殺AA貼るんじゃないぞ
396この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 21:39:05.59 ID:Og9m1KQo
>>393,57,75,77,121,148,175
397この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 21:57:31.46 ID:O1+LAPPV
>>393
このシーンをアニメでみたい

絶対どーみても彼氏彼女だよね
398この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 22:41:04.65 ID:3EXck1xO
俺も見たい

実はけっこう好きw想像してほのぼのする
399この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 23:28:03.03 ID:4wcQqWuu
連鎖あぼーんを設定してるからいったい何の話をしているのかと思ったぜ
400この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 23:36:29.03 ID:dMRtE9qb
佐々木さんワンバンコ
401この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 23:49:37.09 ID:WUtxhSxY
佐々木さんと花見をしたい
402この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 23:52:45.36 ID:5arz9O9Q
>>397
二人乗りは萌える
403この名無しがすごい!:2012/04/06(金) 23:54:43.28 ID:b0PHcNU9
>>387
乙 くぐり抜けてアクティブな感じの佐々木さんは桜の陽気も似合いそう

既出だと思うけどこんな画あったな
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2836774.jpg

404この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 01:23:12.06 ID:RHleVSJb
畜生、保存した
405この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 12:25:35.69 ID:qNmpQtCH
今日佐々木が夢に出てきた
特定の人物が夢に出てくるとなんかわからないけど好きになるよね
406この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 14:01:30.95 ID:nMu+gocP
佐々木さんの声はささきのぞみかも
407この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 15:14:41.76 ID:RHleVSJb
んなあほな
408この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 15:17:41.57 ID:6Aeve89n
坂本真綾さんがいいな
409この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 15:23:31.93 ID:E3VUn8gF
白石涼子さん推しは少数派

>>405
羨ましい
410この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 15:25:19.66 ID:GM4X71M0
佐々木登場してまっさきに思いついたの俺もはCV白石だな。

最近は朴路美でもいいかもと思ってきたけど。
411この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 15:55:23.15 ID:rnWKJ0Hd
>>405
どんな声だったのか気になるな

坂本真綾さんはよく言われるようにイメージ合うな
ささきのぞみさんはらき☆すたで共演した平野さんと仲良いらしいよな
白石涼子さんは言われてみれば確かに、でもハヤテのハルヒネタが増えそうだ

ここはひとつAnotherで九官鳥のレーちゃん役を熱演した米澤円さんはどうだろう
412この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 21:07:08.91 ID:E3VUn8gF
大喜利でたくさん答えるものの、理解してもらえない佐々木さん
413この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 23:40:15.27 ID:CeQk0uyU
白石みのるは、キミドリさんの声優だったな
414この名無しがすごい!:2012/04/07(土) 23:52:43.29 ID:2OL2Hxwr
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
415この名無しがすごい!:2012/04/08(日) 00:05:30.21 ID:zjoj9awQ
おやすみなさい、良き夜を
416この名無しがすごい!:2012/04/08(日) 00:07:13.94 ID:oRyEdvXr
僕っ娘なら花澤さんだよね
417この名無しがすごい!:2012/04/08(日) 00:14:20.36 ID:hw3C9EIF
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
「ふむキミは紅茶か。では僕はコーヒーにしよう」
「で、また俺のを一口飲むつもりかお前は」
「くく、いいじゃないか」

「ところでキョン。紅茶かコーヒーかと言えばだ」
 なんだその嫌そうな顔は。
「キミは紅ヒーというものを飲んだことはあるかい?」
「コーヒーじゃなくてか」
「実はね。以前橘さんと喫茶店に行った時の話なのだが」


「という事があったのだよ」
「ほう」
「ってなんで省略されてるんですか!」
「いたのか橘京子」
 ウエイトレス姿とは新鮮だな。バイトか?

「うう……だから嫌だったんです。なのについ……」
「お前ってツッコミ似合いそうだもんな」
「そうですね。佐々木団じゃ常識人ポジションでしたから……って誰がツッコミですか!」
「ほれやっぱり」
 ん。どうした佐々木?

「キョン。もしかしてキミの中での僕は『ボケ』なのかい?」
「俺はむしろツッコミたいがな」
「ん?」
「ん?」

「佐々木は割と浮世離れした台詞が多いからな。常識人は常識人なんだが」
「それはまた微妙な評価だね。反応に困るよ」
「いや常識人は常識人だぞ。少なくとも俺の中ではトップレベルに常識人だ」
「やはり反応に困るよ。キミの周囲は奇人変人が多いのだろう?」
「無茶苦茶失礼だぞ佐々木。否定はせんが」
「しないんですね」
 いいから仕事に戻れそこのツインテール。
「あ、いいんですかそんな事言っちゃって? ポニりますよ? ポニーテールにしちゃいますよ?」
 俺は一向に構わん!
「橘さん?」
 おい佐々木。どうした佐々木? こっち見ろ佐々木?
「すまないねキョン。キミに笑顔以外を向けるのは僕の本意ではない」
「どんな顔をしてるんだ……」
「禁則事項だ」
 ああ橘京子が生まれたての子牛のように。

「子牛か。ふむ。ところでキョン。乳牛はまず子牛を産ませないと母乳を出さない訳だが
 その最初の分娩後5日間以内の乳、いわゆる初乳は、乳等省令によって人への食品利用は禁止されているそうだ。
 体細胞やたんぱく質が多く、食品としての規格を満たせないかららしいね」
「お前のそういうところがボケ気質なんだと思うぞ親友」
 あとどっかの百姓でノーブルに聞いた話だぞそれ。
「そうかい? ふふ、やはりキミとの会話は僕に新鮮な喜びを提供してくれるよ」
「そんな良い顔で言うシーンかコレ」

「ならなんでキミは僕との会話に付き合ってくれるんだい」
「お前と会話するとなんか気がほぐれるんだよ」
「そうかい」
 ……だからそんな良い顔するシーンじゃないぞ、佐々木。

「ところでキョン。コーヒーと言えばミルクが付き物だね。ここで先程の乳牛の話に立ち返るのだが、僕の」
「佐々木その先を言うなら、俺は紅ヒーの話で返すぞ」
「なんだい?」
 と、返した佐々木の片頬が歪む。

「曖昧にしたい、という事かな?」
「そうしてくれ」
「そうかい」

 橘も基本佐々木とセットだからこの先原作で出番ないのか、それとも閉鎖空間関連の語り部でもするのか
420この名無しがすごい!:2012/04/08(日) 06:09:52.98 ID:yrnk1MTk
>>418-419
乙。

橘キター。
確かに佐々木団で再登場の目がありそうなのは九曜なんだよな。
ハルヒ以外のトラブルメーカーという意味ではいい勝負になりそうだけど。

佐々木さんの怒り顔は森さんを超えるのか!?
2年分の怒りゲージ開放は伊達じゃなさそうだぜ。
421この名無しがすごい!:2012/04/08(日) 07:24:37.27 ID:zjoj9awQ
GJにございます
きょこたんが上手い具合に噛み合ってアクセントになってますね、ついでにキョンから佐々木さんに向けて初めて明確な(禁則事項)があって更にニヤニヤがwww
422この名無しがすごい!:2012/04/08(日) 09:57:22.26 ID:p/FR26Lk
枕カバーの付録付きのエースって26日発売なのか
買ったことないから発売日を忘れそうだ
423この名無しがすごい!:2012/04/08(日) 10:06:59.58 ID:jEQk/hcc
>>414,417
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       l (|;:;:;:;:;;;;:i!i|
      ハNiヘ'' - ''ノ'iハ           , -‐-ー .、
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         ノ_/__l_jヽ.              i  .,ハハバゝ
        `~しし~´            i!i| ─ ─i!
                          、. - ノ
           ;               /〈にづ┓_
                    =====ヽ ぐ___,/__||卅]
           ;         .ヾ⌒ヾ//゙> .> /ヾ⌒ヾ
                    (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
         -━━-       ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
424この名無しがすごい!:2012/04/08(日) 20:28:18.64 ID:p/FR26Lk
【分裂P.67】
「僕には話すことがあまりない。〜(中略)〜なかったからね」
【分裂P.135】
「僕には彼女たちしかいないんだ。〜(中略)〜楽しんでやるつもりだよ」
【驚愕(前)P.179】
「国木田くん、どこかで見かけたら遠慮なく声をかけてくれていい。
共通の思い出話に興じたり旧交を温めることは人生そのものの楽しみの一つだからね」
【驚愕(前)P.272】
「昨夜寝ないで待ち続けていたんだが、さっぱり音無しだったのは軽くショックだったぞ」
【驚愕(後)P.257】
「キミは着々と愉快な人脈を構築して〜(中略)〜唯一、キミだけなのさ」
「嫌々覚えたことは〜(中略)〜きっと今僕の中にある記憶も、三年後には失われているだろうね」
【その他】
佐々木「キョンは親友。親友。親友」
佐々木「他の2人は無理だけど橘さんとは友達になりたい」

もしかして、佐々木って高校ではぼっちなの……?(`・ω・`)
425この名無しがすごい!:2012/04/08(日) 20:39:37.35 ID:ZD3MoKD6
もうキョンレベルの理解者じゃないと満足できない体になっちゃったんだよ
426この名無しがすごい!:2012/04/08(日) 21:14:56.84 ID:sPa7RjnQ
というか(多分に演技的であれ)こちらを嫌っている藤原、理解しようがない九曜、普通の感性の橘
あの三人で橘とは友達になりたいねって台詞は別に普通の反応だろう

分裂でのキョンの語りといい基本的に人当たりは良くて友人は多いって言われてるじゃないか
本音オンリーで喋って周囲と衝突気味なハルヒと対称になってるんだろ
427ルームシェア佐々木さんと希薄な欲望1:2012/04/09(月) 00:34:14.17 ID:4qjEbkt5
「日が暮れるとまだ寒いな」
「先日は大分暖かかったものだがなかなか安定しないね。春らしいといえばらしいが」
 コタツでレポートを仕上げながら、佐々木は思いついたように付け足した。

「キョン、悪いが一本付けちゃくれないか」
「またか?」
 熱燗か。こいつは最近酒がマイブームらしく色々と試している。
 しかし朝と弁当は早起きな佐々木が担当しており、結果晩飯の支度は俺に一任されている。なのでこんな会話になる訳だ。

「良い眠りを得るには身体を温めるのが一番だ。熱燗とはなかなか適した選択だと思うのだが」
「親友。毎度繰り返すようだが俺達はまだ齢十八であってだな」
「酒は百薬の長だよキョン。それに飲酒はマイルーム限定という事にしたじゃないか。いいから頼むよ」
 言ってプラプラとシャーペンを振る。へいへい。

「まあ別に、何だね。キミが代わりに僕を温めてくれるというなら話は別だが」
「こないだも同じ話をしなかったか親友」
 いつもの「にやり」じゃなく「にへら」と笑ってこちらを見ている。

「くく、しかし僕は大抵の欲望は希薄なタチなんだ。その僕が重ねて要求するという事の意味は考えて欲しいね」
「そら解ってやりたいがな」
「ならなんで韜晦するんだい?」
「お前が思うほど俺は俺を信じ切れんでな」

「ほう。キミは僕達の間に性差を持ち込むつもりかい?」
「お前も前に言ったろ。人には本能があるし、俺は睡眠中の俺にまで理性を期待しない」
「僕らの関係は理性によるものだというのかい?」
「本能によるものかもしれん。だが本能であるとしてもだ、より強い本能の存在を否定できん」
 俺達は一個の人間としては紛れもなく親友だが、遺伝子上は俺は男でお前は女だ。
 しばらく見つめあい、やがて同時に肩をすくめた。

「「やれやれ」」
428ルームシェア佐々木さんと希薄な欲望2:2012/04/09(月) 00:38:10.70 ID:4qjEbkt5
「キョン。少なくとも僕は今キミを問い詰めてまでキミを失うつもりはないよ。ここは」
 言っていつもの飛び道具、佐々木得意の笑顔を見せる。
「大事にして貰っていると受け取っておこう」

「まったくお前も物好きだな。佐々木」
「くく、夢と理性だけじゃ楽しくなれないのは高校時代に実感させて貰ったからね。だから諦観は捨てたのさ」
「僕はすべてを諦めている、とか言ってた奴か」

 ふと佐々木の閉鎖空間……ただ四年間静かに存在し続けていた空間を思い出す。
 ストレスに対し突発的に暴れて解消するのがハルヒなら、こいつのストレス解消法とは何だったのだろうか。
 ストレスに対し、こいつは何を思って耐え、どう考えて処理してきたのだろうか。
 それがあの内面世界だったのなら。

「……佐々木、そういやお前の閉鎖空間はいつぞやの騒ぎでハルヒのそれと融合したんだったな」
「そうだね。もしかしたらその影響かもしれない」
 飛躍しすぎかもしれんが、あの時、お前の空間が砕けたのは事実だからな。
「涼宮さんの内面が、僕を変えたのかもしれない、か」

「お前の内面に四年も眠っていたものが何だったのか。俺には知りようも無いが」
「僕にだって知りようもないさ。自分自身の内面なんて、下手すれば他人のそれより遠いものだからね。けれど」
 そっと座り直し、俺を覗き込むように見上げる。
「仮にそうだとしても、涼宮さんに返してあげるつもりはないよ」

「イッツオールマイン……もう僕のものさ。今更返せと言われても無理ってものだからね」
 何処かで聞いたような事を言い、佐々木は偽悪的な笑みを浮かべるのだった。


 まあ結局、ほろ酔いの佐々木が忍び込んでくるのは止められなかった訳だが
 おかげで俺の理性は一段と強固に鍛えられたと言う訳だ。

「あれ? それじゃ結局佐々木さんの自爆なんじゃ」
「橘さん?」
「すいませんすいませんすいません」
 橘京子、お前はもう少し佐々木の精神を読めるようになるべきだと思うぞ。割とマジで。

そろそろ最低気温も上がって来たので。
429この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 06:01:02.05 ID:tpfkwneM
430この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 06:48:50.26 ID:2Bj9mPIY
ちくしょう(´;ω;`)そろそろ折れろキョン
431この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 13:50:13.85 ID:d4idYARu
まあほら、まだ18才。とりあえず成人してからさねw
432この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 18:11:16.86 ID:2Bj9mPIY
>>431
キョンのガードの固さは、鶴屋さんの指示のせいか…
433この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 21:02:25.98 ID:f0w1OTmo
鶴屋さんみたいな大金持ちはいそうにない
434この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 21:42:04.12 ID:4qjEbkt5
>>432
どうだろうねっ
しかし鶴屋さんは完結まで傍観者ポジション維持するのかなあ。新刊でないから詮無い話だが
435この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 22:14:44.31 ID:2Bj9mPIY
>>434
鶴屋さん、降って湧いたキョンの見合い話の相手をこっそりハルヒから佐々木さんにすり替えたりしてくれないかなあ
436この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 23:01:38.46 ID:GcgGql0G
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
437この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 23:07:54.80 ID:edvDlxTL
キョンくん、オイタならハルにゃんかササにゃんにやればいいっさ。
でも二股はダメにょろよ。


鶴屋さんなら基本中立ながら、たまに爆弾を投下しつつ佐々木さんの心の闇も消してくれそうだ。
きょこたんの立場が危うい。

2人がからんで一番テンパりそうなのは国木田だろうけどね。
438この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 23:22:39.24 ID:uClokMgO
>>436,57,75,77,121,148,175,423

439この名無しがすごい!:2012/04/09(月) 23:51:11.53 ID:rxgkxiWk
佐々木さんとハイキングに行きたい
440この名無しがすごい!:2012/04/10(火) 07:18:34.33 ID:KhyDOBCD
佐々木の声優はAKBかも
441この名無しがすごい!:2012/04/10(火) 17:12:21.78 ID:XADVmVVW
佐々木かわいいよ佐々木
442この名無しがすごい!:2012/04/10(火) 19:12:59.42 ID:hZT5NITT
>>440
ヤメロwww
443この名無しがすごい!:2012/04/10(火) 22:32:11.93 ID:hZT5NITT
今年初めて、風呂上がりに暑さを感じますですよ佐々木さん
444この名無しがすごい!:2012/04/10(火) 23:58:49.43 ID:2yvB9Tez
してみるとそろそろ寒いとか鍋とかその辺のネタは使えなくなってくるな
445星空の下で未来を語り合った話1:2012/04/11(水) 00:18:13.19 ID:Agac/KxY
「彼は、セワシ君だったのかもしれないね」
 ふと佐々木が言った。誰の事だ?
「藤原くんさ」
「面白いジョークだな」
 実際、喉奥で笑っている。ドラえもんだったか?

「そうだね。ところで彼は自称・朝比奈さんの弟であり、同時にキミの朝比奈さんの弟ではない、だったかな?」
「まあそうだな」
「つまり未来は並行し二つ以上ある。そして両者はいずれ収斂されるらしい。朝比奈さんが失われる未来へね」
 笑えん話だな。その部分だけなら藤原に協力してやってもよかったんだが。

「そうだね。涼宮さんに協力を仰げれば良かったのだが」
 あいつは力を自覚してないからな。色んな意味でハードルが高い。
「だから僕に移そうとした」
 それでお前が壊れちまったら意味はねえよ。お前の夢には障害になるしな。
「くっくっ。気遣い感謝するよ」

「話を戻そう。つまり並行する未来は二つ以上あり、そして藤原くんはより収斂に近い未来から来たのだろうね」
「そう言えば言ってたな。「あなたから見た未来は、他の観測者から見れば過去」だと」
 藤原のバカの時代は、朝比奈さんのそれよりも後なのか?

「ドラえもんとは、のび太くんの子孫であるセワシ君が、自身の環境を変える為に過去に干渉する話だ。
 そして「のび太くんとジャイ子が」「のび太くんとしずかちゃんが」どちらが結ばれても
 最後にはセワシ君が生まれてくる」

「でもジャイ子と結ばれた場合と、しずかちゃんと結ばれた場合とじゃ、その後の人生自体は変わるんだよな?」
「そう。しずかちゃんと結ばれたのび太くんは幸せになり、結果セワシ君も幸せな人生を得る」
「どちらにせよセワシ君が生まれる、という事自体は変わらないのか」
「それが、藤原くんが言う歴史の交差点なのだろうね」

「藤原くんと朝比奈さんが姉弟である世界、他人である世界、どちらも共存し、やがて交差・収斂される」
 朝比奈さんの死もか。

「くだらねえ話だな。もっと幸福な部分が収斂すりゃいいのに」
「きっと誰か他人にとっては幸福なんだよ」
「本気で言ってないだろ」
「さてね。ただどんな形であれ『彼らが知っている世界』である方が望ましいだろう」
「世界そのものがおかしくなるくらいなら、個人なんか無視か」

 未来人は、私情を捨てて世界そのものを維持する為に過去に干渉するんだろうな。
 結果、誰かが不幸になるとしても。
446星空の下で未来を語り合った話2:2012/04/11(水) 00:18:37.06 ID:Agac/KxY
「彼は、きっとそんな風に私情を捨てきれなかったのさ」
 なんせ失われるのは朝比奈さんだからな……おい佐々木、なんで人の腕をつねる。
「さあてね。だから彼は全てをゼロからやり直せる可能性を求めたんだろう」
「それがトンデモハルヒパワー様々って訳か……」
「そうだね」

「そして同じように世界に不満を持つ僕が「器」だったのも、きっと偶然ではないのだろう」
「佐々木?」
「独り言さ」

「彼ら未来人にとって、TPDDという技術は知恵の実だったのかもしれないね」
「なんだっけか。それ食って知恵を覚えたから」
「そう。余計な知恵をつけたアダムとイブは楽園から追放された」

「ところでキョン。現代における「葉っぱ」を脱ぎ捨て、アダムとイブごっこでもしないかい?」
「そこはさすがに聞き流すぞ親友」
「それは残念」

「知りすぎるというのは時として不幸だ。行動を縛ってしまうからね」

「TPDDを手にした彼らは、恐怖しただろうね」
「なんでだ。楽しそうじゃねえか」
「そうだね。初見のものは楽しい。だけど「過去」が歴史書の通りじゃなかったら?」
「歴史書とやらを疑えばいいだろう」

「質問を変えようか。過去に行ったらキミの父上が他人と結婚していたら?」
「俺が生まれねえじゃねえか」
「そうだね」

「でも、朝比奈さんと藤原くんが姉弟だった世界があるように、きっと無数の世界がある。
 それはいずれ収斂されるから、気にするほどのことはないんだ。
 でも、もし収斂されなかったらどうする?
 世界の根本と言えるものがだ」

「例えば、もし、キミのご両親が結婚する過去世界、その全て失われたどうなるだろう?」
「……どうなるんだろうな」
447星空の下で未来を語り合った話3:2012/04/11(水) 00:19:36.63 ID:Agac/KxY
「きっとそれが未来人にとっての恐怖なのさ。もしかしたら自分達は消えるのではないか。
 そして万一そうなった時、当事者はそれを知覚する事すらないんだ」
「だから「まともな歴史」をどっかに作りたがるのか」
「そう。彼らはそれを「起こり得る」と知り、過去は修正されるべきものになったのではないかな?」

 TPDDを知った事で、連中は新しい強迫観念を持っちまったって訳か。

「俺らにしたら迷惑な話だな。俺は藤原なんぞに人生をいじくられたくねえよ」
「きっと藤原くん自身もそう思っていたんじゃないかな?」

「それだけじゃない。自分の自由意志のつもりでも、それすら規定事項とやらだったら?」
「俺の行動も、実は気付かず誰かに強いられていたらって事か?」
 嫌だな。なんか気持ち悪ぃ。

「そしてその全てを破壊する可能性こそ、涼宮さんの力なんだ」

 藤原からみれば、過去も未来も「規定事項」って言葉であっちこっち引っくくられた雁字搦めの有様なら
 そんな鎖を一度全部ぶっ壊して、何もかもゼロから始められるような
 そんな可能性が欲しかったのかもしれない。

「まっさらな、自分の意思で歩ける世界か」
「人間はね、自分と言うもの対し絶対の権利を持つ小さな神様だという言葉がある。でも彼らはそれすら許されない」

 古泉も言ってたな。
 地球人は地球人で知恵を働かせていると。
 そして藤原も同意見だろうと。

 あのタクシーで佐々木は察した。
 藤原は何も知らない、上の命令に従って居たんだと。

 そうやって、誰かの言うなりに歴史を動かすのが嫌だったんだろうな。
 しかもそれは自分の姉が失われる道への道筋なんだ。そんなのバカらしいに決まってる。
 古泉が現代で奔走するように、きっと本当は藤原自身も未来、「アイツにとっての現代」で奔走したかったんだ。

 でもそれは、TPDD後の「規定事項」で雁字搦めの世界じゃどうにもならないんだ。
448星空の下で未来を語り合った話4:2012/04/11(水) 00:25:05.92 ID:Agac/KxY
「要は、彼は自由じゃなかったんだろうね。……だから彼は、自分の為に奔走しない人間がきっと嫌いなんだろう」 
 ハルヒとも意見が合うかもしれんな。
 まあ実際に会ったらハルヒ火山が大噴火するだけだろうが。

「キミは未来人の言う事に従い、歴史の固定化に協力してきたと聞いている。その事情も知らずにね」
 言って、背中合わせに俺に寄っかかる。

「だからキミは嫌われていたのさ。僕が嫌われていたようにね」
「俺は解った。だがお前は」

「藤原くんから見ればだが、僕も同類だよ」
 なんでだ。お前は逆に未来人に反抗していたじゃねえか。
「さてどうだろうね。ヒントは……そうだな。きっと僕はキミが思うほど立派じゃないという事かな?」
 お前が立派じゃないなら俺はゾウリムシか何かか。

「……あくまで想像の範疇だがな。俺はまだ朝比奈さん達を信じていてえよ」
「そうだね。これはあくまで僕の妄想にすぎない」

「でも状況に流されてはいけない。未来を変えうる以上、自分の責任は感じて欲しい」
「それは誰の言葉だ」
「さあてね」
 未来か。

「そうさ。まだ、僕らは人生の半分も生きていないのだからね」
 呟き、佐々木はじっと頭上の星を見上げていた。

一種のタイトル詐欺。藤原はメイン伏線が陰謀までさかのぼったり、分裂〜驚愕での伏線不足だったり
本当は良い奴的なキャラ掘り下げ、そもそも男キャラだと小恥ずかしさが一際増すなど、色々損な部分が多い気がする今日この頃
分裂刊行後の二次創作だと「実は良い奴?」にクローズアップした話が多かった人なのも印象的
449この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 00:37:41.10 ID:Agac/KxY
TPDD使ったら余計歴史が狂うってネタが抜けてるけどまあ深くは考えず
450この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 01:16:46.25 ID:H5C4QsHI
表面上、辻褄が合えばOKという事かも
451この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 03:20:53.22 ID:MhFYG9fq
セワシ君の新幹線も飛行機も同じ理論は、かなり納得できない
452この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 07:41:54.21 ID:2e2Ln8LB
乙乙、歴史の奴隷は誰だって拒むわな

ちなみに俺は驚愕で藤原=みくキョンの息子説を粉砕されたからちょっと凹んだ
453この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 13:49:11.86 ID:/jEz/UJ1
ここ最近、良作の佐々木SSがたくさん投稿されるようになって、佐々木派の自分
には、このスレを見るのが楽しみ。キョンにはハルヒより佐々木がふさわしい。
真面目に考えたら、ハルヒは彼女にするにも友人にするにも遠慮したい性格だし
454この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 16:05:36.41 ID:e3QHXHI8
>>453
俺は心が狭いから知り合いですらごめんだね
455この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 16:06:41.79 ID:O911QgSb
佐々木さんかわいいよ佐々木さん。
456この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 20:10:20.27 ID:H5C4QsHI
佐々木さんと代々木さん
457この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 20:12:10.32 ID:MhFYG9fq
佐々木さんと愛の巣を作りたい
458この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 20:18:25.31 ID:2e2Ln8LB
キョンだけの特権だよそれは
459この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 20:50:49.88 ID:UbtNndAd
佐々木さんと楽しく話がしたいので久しぶりに洋楽を色々漁って聴き始めました
460この名無しがすごい!:2012/04/11(水) 23:12:13.43 ID:Agac/KxY
ネタ抜け分はwiki投稿分を改訂。しかし>>259(66-259)の話よりとっ散らかったのは反省しきり
まあお察しの通りホントは「葉っぱ云々」ってネタやりたかっただけなんだからねっ!

>>451
まあ深く考えんと良いではないか
461「解ったから舌なめずりはやめろ佐々木」1:2012/04/12(木) 00:37:05.24 ID:YPMOBoWW
>>418と同シリーズ

「さ、頂こうか」
 今日はコーヒーに加えて一品軽くつまもう、という話になった。

「牛タンのサンドイッチか。初めて食ったけど旨いな」
「ワリカンなら一人頭四百円もしないからね。たまにはこういうのも良いだろう」
「牛タンってどこの部位だっけか?」
 すると佐々木はぺろりと舌なめずりをし、艶然と微笑んだ。

「タンとは舌の事だね。よく運動する部位ほど旨いというだろう?」
「後は骨に近いほど旨いんだっけか」
 なんとなく落ち着かない。
「そうだね。骨に近いほど肉はうまい、イギリスの格言だよ。よく知っていたね?」
「なんで知ってるんだか自分でも良く解らんが」
 そこ。なんで笑う。

「なんで旨いのかは解るかい?」
「ああ。骨を守る為に脂肪が多く入ってるから旨いとかそんなんだっけか」
「ブラボーだよ。けれどもう一歩踏み込んで考えてみようか」
 なんだよ。それにブラボーはフランス語経由で入ってきたイタリア原産の外来語だろ。イギリスと関係ないぞ。

「くく。骨を芯に置き換えてみたらどうだい?」
 芯に近いほど旨い?
「そう。人もね、その人の芯に近い部分ほど味わい深いという事さ」
「含蓄だな」
462「解ったから舌なめずりはやめろ佐々木」2:2012/04/12(木) 00:37:32.10 ID:YPMOBoWW
「くくっ。ところでキョン。キミは僕の芯というものは何処にあると思うかな?」
「佐々木。お前も年頃の女の子なら男の前で舌なめずりは止めろ」
 色々と持て余す。
「おや親友。性差……は、まあ置いておこう。キミは僕の弁舌を何より評価してくれているのだと思っていたのだが」
「弁舌ってんなら舌先って事だろ。なら芯、本質とはちょっと離れないか?」
 どっちかっていうとその根本、思考だろ。
「だが思考も言葉にしなければ伝わらないからね」
 佐々木は遠い目をする。

「言葉は人間普遍の能力だ、だったか?」
「くっくっ、そうだね。けれど言葉ほどノイズが混ざる伝達手段もない」
 言ってひらひらと右手を回す。
「ああ九曜さんも言っていただろう? 覚えていないかい」
「長門との意思疎通がどうとか言ってたな」

「そう。音声による接触は雑音だってね」
 直接の対話は不可能。端末を間接した音声接触は雑音。概念の相互伝達は過負荷。熱量の無駄。
 一瞬で終了しない事は無限と同じ――――九曜の声がフラッシュバックする。
「こんなまどろっこしいコミュニケーションは連中に取っちゃ埒外なんだろうな」
「そう。雑音だらけな上に時間の無駄。けどね」

「結局僕らはこうして言葉を交わす事でしか意思を伝える事は出来ないんだ。ならやるしかないさ」
 言って、ふと思い出したように喉奥で笑う。
「まあ肉体言語とも言うがね」
「プロレスでもする気か」
 何笑ってんだ。
463「解ったから舌なめずりはやめろ佐々木」3:2012/04/12(木) 00:38:29.26 ID:YPMOBoWW
「いやキミの鈍重なる感性には毎度楽しませて貰っているよ。うん」
「とか言いながらちょっと半目だぞ佐々木」
「そう。表情や空気でも語れるね」
 言ってサンドイッチを手に取り半分に割ると、一口だけ齧って残りを俺の口に押し込んだ。

「このように態度で示すことも出来るね」
 どんな意味だコレ。
「考えたまえ。思考もまた人類の能力だよ」
「相変わらず小難しい奴だな」

「そしてこうやってじゃれあう愉しみを得られるのも人間の強みさ。だから楽しもうよ」
「……ま、お前とこうやってやりあうのは嫌いじゃないぜ」
「そうかい」

「でもまあ」
 残り半分を齧りながら、ぽつりと佐々木は呟いた。
「ホントはもっと、シンプルに言葉にするのが一番なのだろうけどね」


■おまけ
「ところでキョン。僕の芯が舌だと仮定しよう」
「まだやるのかそれ」
 くく、もう終わりだよ。
「……味わってみる気はないかい?」
 もう一度だけ、笑みを深めながら舌なめずりをしてみせる。

「悪いが人食主義は勘弁だ」
「そうかい」
 ……にぶちん。

 特にネタを含むつもりがなかったはずが何故か九曜話になったというお話
464この名無しがすごい!:2012/04/12(木) 07:17:22.86 ID:7D4hsqvA
465この名無しがすごい!:2012/04/12(木) 07:55:58.51 ID:Ov/sOSDL
おはおつ
佐々木さんもどかしいなあ、たった一言で済む話なのに
キョンも絶対分かっててあの対応だよな、いざ引き裂かれるとなったら猛然と抵抗する癖に

まあ、だからこその二人なんだけどねw
466この名無しがすごい!:2012/04/12(木) 20:45:45.67 ID:3nmbXUU7
今気づいたけど佐々木さんの髪型ってハルヒの模倣か
ショートを真似て切ったというセリフはあったがよく見ると形もなんとなく似てる
467この名無しがすごい!:2012/04/12(木) 21:59:01.43 ID:YPMOBoWW
いや逆だよ。小学校時代は憧れてたから伸ばしてたけど、中学校時代の離別を機会に短く切った(驚愕後P254)。
実際中一の笹の葉ハルヒも憂鬱初期のハルヒだって髪は長かったろ?
短くしたのは佐々木が先だよ
468この名無しがすごい!:2012/04/12(木) 22:13:08.85 ID:0UUcszGH
>>463
469この名無しがすごい!:2012/04/12(木) 22:17:46.05 ID:nOFYMLQa
そのへんの会話、佐々木の本音がイマイチわからんがp.255ラストの台詞は佐々木自身の
「ねえ、気づいてよキョン」以外にも
作者自身の「もう回答は書いたよ。謎は解けてるはずだからもう書かない」が寓意されているようにも思えるな
それにしても
 判じ物なら間に合ってるぜ。佐々木。この哲学モドキ的会話はいつまで続くんだ?(p..257)
はいくらなんでもヒデー
470この名無しがすごい!:2012/04/12(木) 22:25:44.92 ID:YPMOBoWW
>>466
少なくとも、中一時点の笹の葉ハルヒ(及びアニメ一期の憂鬱Xに出てくる小六ハルヒ)は長髪なので
ハルヒの髪型を真似て短くしたという解釈は無理があると思う。と補足
作品上は偶然の一致、創作上には意図的だろうけれど
471この名無しがすごい!:2012/04/12(木) 23:55:39.63 ID:YPMOBoWW
>>469
鈍感相手に擦れ違っているだけなのか、高度に以心伝心で繋がっているのか、で解釈がまるで変わるしねえ。
472この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 01:04:34.61 ID:MXDlc5H7
壊れかけたワーゲンのボンネットに腰かけて
何か少し喋りなよ 静かすぎるから
海が見たいって言い出したのは君の方さ
降る雨は菫色 Tシャツも濡れたまま
ああ ウエンズデイ

哀しみにも慣れたね いつも隣りにいるから
君はクスッと笑い顔 とても綺麗だよ
さよならの風が君の心に吹き荒れても
ただぼくは知らん顔続けるさ
だって今日はウエンズデイ

昔話するなんて気の弱い証拠なのさ
傷つけあう言葉なら波より多い
海が見たいって言い出したのは君の方さ
降る雨は菫色 時を止めて抱きあったまま
ああ ウエンズデイ

松本隆「雨のウエンズデイ」 〜短編 RainyDayによせて〜
473この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 03:15:04.42 ID:cje7APr3
>>471
ああなるほど
判じ物なら間に合ってるぜ。佐々木。この哲学モドキ的会話はいつまで続くんだ?

そんなに言ってくれるなよ佐々木。わかってるさ。お前はお前の人生を生きてくれ。(酷いニブチンだとおもっててくれてもいい)
と取れるな
474この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 03:25:09.13 ID:cje7APr3
しかしこれ、アニメ化されるなら視線や表情の演技が重要だよな
俺だって2期EEの
「では、僕がやってみましょうか」「冗談ですよ」とか
「私の役目は観測だから」が
あんなになるなんて夢にも思わなかったしな
475この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 07:37:51.37 ID:nK9uVpdd
>>467>>470
そうだ、それって結局どういう意味なの?読解力のない俺に答を教えてくれ
『涼宮さんに憧れて長く伸ばしていた髪』を切った
なのか、
涼宮さんに憧れて『長く伸ばしていた髪を切った』なのか
一年ぶりに会ったキョンが「佐々木なんも変わってねー」って言ってるから
髪型も中学時代と変わっていないと思われるけど
だとしたら佐々木は中学時代からショートなわけで、
かたやハルヒは高校に入ってからショートにしたわけで、
そうだと考えるなら「高校でハルヒがショートにしたことを知ってそれを模倣して自分も切った」
とかそういう矛盾した考えになるわけで、そうならない結論を一つ出すなら
『涼宮さんに憧れて長く伸ばしていた髪』をハルヒがショートにしたこととは何の関係もなく
偶然にも同じショートにしただけとなるような気がするんだけどそういうことなの?
476この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 08:35:51.85 ID:lNPAnB6H
小学時代に髪伸ばしていたのはハルヒが理由の一つだろうけど、
中学になって髪切ったのはさすがにハルヒは関係ないやろ。

語られていないから予想にしかならないが、俺は名字が変わったついでなんじゃないかと思う。
おそらく今の口調も同時期かもしれない。
477この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 20:24:50.38 ID:nK9uVpdd
>>476
サンクス
やっぱり関係ないか
478この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 20:54:46.36 ID:qFbQCxok
ロングヘアの佐々木さんも、それはそれで見てみたい

あ、くーちゃんと髪交換した例のコラ禁止ね
479この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 22:19:04.99 ID:mhlutjTh
明言されてないから解らんよね
あの台詞で断言出来るのは「僕は小学校時代とは髪型変わったから涼宮さんも気付かないだろうね」って事だけだと思う

>>473
つうか佐々木の台詞はほぼ全部「判じ物」なんよ。判じ物でググれ
だから「まどろっこしい事はもういい。お前の本心を話してみろ」ってキョンデレ風に言ったんじゃないかな
それを受けた台詞だから、直後の佐々木の台詞は割とストレートだし、その上で「これは告白じゃないんだよ」って言っちゃったのは
佐々木の臆病さ、言いかえれば「ごめん今言えるのはこれだけだよ。今はこれで勘弁してくれ」って意味だと思うんだ
だからさよならも言わずに去って行っちゃったんじゃないかなってさ
480この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 22:28:56.47 ID:mhlutjTh
驚愕での佐々木の別れのシーンって、ほぼ毎回「おいとまするよ」とか「しばしの別れだよ」とか「うん。では明日」とか
ちゃんと別れの言葉を入れてるのよね、なんでラストシーンだけらしくないのには意味があると思ってる
481この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 22:33:23.38 ID:h+gR78if
>>480
もう会うことがないのが、わかっているからではないのかな?
482この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 23:16:40.08 ID:mhlutjTh
>>481
俺は逆に、また会いたいから、だと解釈してる
今回の件で自分自身は確かめたし、今回の件は夾雑物が多すぎる
自分を見直して、中学時代からやってきた大学受験まで頑張るって課題を終えて、また会おうってね
483この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 23:55:44.71 ID:kJIDN9As
wrong hairの佐々木
484この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 23:57:50.74 ID:h+gR78if
佐々木さんと旅行に行きたい
485この名無しがすごい!:2012/04/13(金) 23:59:43.65 ID:EWdx6VMJ
佐々木とキョンが恋人同士設定のSSってわりと希少種じゃね?2人が普通に恋人になってて幸せな感じの
ほのぼのSSが見たいのだがどうだろう。
486この名無しがすごい!:2012/04/14(土) 00:02:44.84 ID:xLF/k/49
>>485
自分で書くしかなかろう
何故ないかと言えば、書く側の人に書かないだけの理由があるからだと思うんだがどうかな?
487「今年のイースターは明日だぞ佐々木」:2012/04/14(土) 00:59:57.17 ID:xLF/k/49
「やぁ親友」
「今年のイースターは明日だぞ佐々木」
「くく、解っているさ」
 コイツに招かれ訪れた訳だが、イースターとやらに関しては俺もそれなりの知識がある。
 まあここに来て、正直それどころではない気分ではあるのだが。

 イースター、復活祭とはキリスト教の祝い日の一つで、イエス・キリストの「三日目の復活」を記念したものである。
 毎年「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝われるという、年によって日付が異なる移動祝日であり
 冒頭の言葉に繋がるという訳だ。説明終わり。
 
「意外だね。キミはこういうお祭り事には冷淡なイメージがあったのだが」
「SOS団はイベントを楽しむ団体と化しつつあるんでな。明日に向けて鋭意準備中だ」
「そうかい。なら僕の読みもまだ捨てたものじゃなかったようだ」
「どういう事だ?」
「そのままの意味だよ。キミは明日は忙しいだろうから今日招いたというだけさ。このくらいのフライングは許されるだろう」
「お気遣い感謝するよ」
 と言いつつ俺の視点はどうにも安定しない。

「くく、どこを見ているのかな?」
「いやどうせオチは読めてるってだけの話さ」
「くっくっく。判じ物なら間に合っているよキョン」
 言葉のパズルはお前の専売特許だからな。
 あの春の日から早くも二年、電話ではなく直接の対面は久々だが、内面はどうやら変わっていないようだ。

「さてキョン。ならキミはイースターの遊びをよく理解してくれていると思っていいのかな?」
「イースターエッグだろ?」
「くく、その通りさ」

「イースターエッグとは包装や彩色を施したゆで卵を出す習慣だね。
 これはヒナが卵から生まれることを、イエスが墓から出でて復活したという伝説に被せたとも
 冬が終わり草木に生命が宿る喜びを表したものだとも言われている。そして」
「そのイースターエッグをあちこちに隠して、子供たちに探させる」
 ニヤリと笑って言ってやる。
「そういう遊びをやろうってんだろ?」

「くっくっく、その通りさ。少々寂しさを感じないでもないが察しが良くなってくれて助かるよキョン」
「ふっふっふ、俺をいつまでも昔の俺だと思うなよ佐々木」
 ニヤリ笑いがぶつかり合う。
 ああオチは読めてるぞ。

「んで佐々木。お前が隠してるのはそこだな?」
 指差したのは、二年前と比して豊満すぎるまでに膨らんだバストだ。
 俺がお前に性差を感じていないからこそ出来る遊びだが、まったくお前は変わってないな佐々木。

「いや違うよ?」
 言って俺の手を取ると、親友は自らの胸部へと俺の手のひらを導いた。
 おいこらイースターエッグがそこに隠してあるなら……

「!?」

「おい親友」
「なんだい親友? ああ直接見てみたいというならこの書類にでもサインと判子が欲しいな」
「何の事だかよくわからんな」
「そうかい? まあ何にせよだが直接の対面を二年も我慢した甲斐はあったかな」
 言って佐々木は片頬を歪めてニヤリと笑う。
 今度は、俺を誘うような光を湛えて。

「幸甚だよ。ようやく僕の性別と肉体的変化をデジタル的に感じて頂けたようだからね」

ダメだ。どうやら私ではこの程度が限界のようだ。
488この名無しがすごい!:2012/04/14(土) 06:50:27.61 ID:V4TYJr+e
初めてイースターの意味知ったよー、ずっとモアイ、引いてはグラディウスしか思い浮かばなかった
最後のデジタル的にとか言葉選びが秀逸だねGJ!
489この名無しがすごい!:2012/04/14(土) 09:24:48.56 ID:WRuScADA
おはよう
490この名無しがすごい!:2012/04/14(土) 11:13:07.37 ID:7AO2hsG5
>>487
GJ
491この名無しがすごい!:2012/04/14(土) 11:30:09.72 ID:lPy7Et8s
>>480
また会う気はあるっしょ。
ただキョンが言っているように普通に「やあ、キョン」と平常心で会おうという意思表示じゃね。

逆に言うとそのときはそれがすぐできる自信がなくなったか。
もしくは別れ際の心境で真面目な顔を維持するのが限界だったか。
(いつもの微笑みが自然にできなくなっていた可能性もある)

>>485
夫婦ものは俺の覚えているので2つあるけど、2つとも離別系だったな。
気持ちは最後まで一緒だったというオチだけど。

子持ち系はもっと少なくてVIPにあったような気がするんだが、すぐに出てこない。

>>487
佐々木さん、キョンと会わない間にいろいろ努力したんだろうな…。
492この名無しがすごい!:2012/04/14(土) 19:30:00.41 ID:V4TYJr+e
恋人にしろ夫婦にしろ、佐々木さんの名前を呼んであげられないのが難点だよね
493この名無しがすごい!:2012/04/14(土) 19:51:21.12 ID:Mb7CJ1S0
>>486 なんつーの?「なかったら自分で書け」って言う人よくいるんだけどさ、実際自分で書いたの
自分で読んでて楽しい??そんな自己補完で満足できるならSS界にリクエスト制度は存在しないし、
こういう二次創作メインの板にコメントがくるのも言ってみれば自分たちのコメントで板そのものを
盛り上げることによって新たな二次創作の投稿をうながそうとしてる人がほとんどでしょ?それを
自分で書けで終わらせたらコメントする人激減するよ??いや自己補完が可能なら二次創作系の
サイトそのものの価値がなくなると言ってもいいね。まあようは何が言いたいのかと言うと僕はその
自分で書け発言がきらいなんだ以上。
494この名無しがすごい!:2012/04/14(土) 23:17:46.77 ID:DfzJZ3zW
>>487
これをGJと言わずしてなんという。
佐々木さん、よく頑張った!
495この名無しがすごい!:2012/04/14(土) 23:29:19.61 ID:xLF/k/49
近所の教会にイースターの看板があったのが元ネタで、ホントはルームシェアネタに使うつもりだったんだが
>>469->>482見ててこのオチに繋がったのだから世の中ワカランね。
496「橘さんって本当に超能力者なの?」:2012/04/15(日) 01:23:33.75 ID:jJFrIJQp
「ねえ橘さん。ちょっと思ったのだけれど」
「なんです佐々木さん?」
 コーヒーカップを傍らに置き、何故か難しい顔をしていた。

「橘さんって本当に超能力者なの?」
「え、そこからですか?」
 そりゃないですよ。
「SOS団の話なのだけれどね。あちらの超能力者の方は、涼宮さんの内面を的確に把握してらっしゃるそうじゃない」
「あ、もしかして」

「橘さんってあんまり私の事を知らないんじゃないかなって」
「うわそれ酷いです佐々木さん」
 佐々木さんの事なら以下略ですよ!
「あ、もしもし110番ですか?」
「それは勘弁してください!」
 テーブルから乗り出し、なんとか携帯から指を引き離す。

「だって私が願望実現能力を欲しがらない事もよく理解してなかったじゃない」
「それはその……佐々木さん、高校に入ってからなんだかつまらなそうだったじゃないですか」
「もしもし110」
「だからそれやめて下さい!」
「ふふ、冗談よ」
 ほんとですか。

「……そんなに顔に出てたかしら」
「はい。ばっちし」
 佐々木さんはこてんと突っ伏す。きっと彼だって知らない無造作な姿。
 あの事件に嬉しい誤算があったとすれば、佐々木さんとこんな関係になれた事でしょうか。

 春先の事件で「組織」は力不足を露呈し、最後の頼みの綱だった未来人、宇宙人との関係も断たれ解散しました。
 それからは「神」を争う舞台から降りてひっそりと暮らしているつもりなのですが
 これはこれで充足感があるように思えるのです。
 等身大の暮らしって奴だからでしょうか。
497「橘さんって本当に超能力者なの?」2:2012/04/15(日) 01:25:09.84 ID:jJFrIJQp
 いつか古泉さんは言っていました。
 自分たちの神様は、ホントは常識ある普通の女性なんだって。
 あたし達はそんなはずないって一蹴しましたけど、その対になる佐々木さんを見ていると何だか納得してしまいます。
 彼女だって、自制心って仮面を外したらただの普通の女の子だったんですもの。

 理性の権化だと思っていたあたしはバカだったんでしょうか。
 あの事件での彼女の行動は、口とは裏腹にきっと誰よりも感情的だったんですものね。
 
「……なにかしら橘さん」
「いや可愛いなって」
 首だけ持ち上げた彼女に言ってやると、ぷいっとそっぽを向かれた。
 そっぽを向いたまま、呟くように問いかけてくる。

「だった、って言うなら今の私はどうなのかしら」
「楽しそうですよ。それなりに」
「それなり?」
「はい」

「理由は解ってますよね」
「……訂正するわ。やっぱりあなたは超能力者よ。橘さん」
「はいはい」
 でも彼女はもう迷っていない。
 ずっと前に決めた目標、大学に入るまできっちり勉強して基礎知識を蓄えておくって暫定目標に向かってるから。
 レポートや論文を楽しめる日々、象牙の塔を目指し、勉強に勉強を重ねる姿に迷いは無い。
 一度決めたことなら、彼女はきっとやり通す。
 どんな甘い諫言にだって乗りはしない。

 彼女は子供の無力さをきっと誰より知っている。
 自分を平凡以下と認定し、早く成長して、早く大人になって、自分の望みを叶えてやりたいと思う人だから。 
 子供時代を「成長する為の時代」と位置付けて、「いつか」を楽しみに出来る人だから。
 だから、その姿に迷いは無い。

 けれど、それだけじゃ疲れてしまうから。
 あたしはその止まり木になった。だからかな、彼女は前より綺麗になった。
498「橘さんって本当に超能力者なの?」3:2012/04/15(日) 01:26:42.15 ID:jJFrIJQp
「ねえ、佐々木さん」
「行かないわよ」
 誰にとか何処にとか言う前に断言された。

「佐々木さん、あなたこそ実はあたし付きの超能力者なんじゃ……」
「そうかもしれないわね。ほら」
 口にスプーンを放り込まれた。クリームの甘い味が広がる。
「これ食べたかったんでしょう?」
「んん、もう、違いますよう」
 微笑を返す。

 佐々木さんはセンチメンタルな気配を漂わせたまま笑っている。
 ああもう、相変わらず四角四面な頑固者。だから疲れてしまうのだろうけれど、それも彼女のパーソナル。
 だから、あたしは今日も笑って話を聞くのだ。

「それよりこないだ言ってた話、聞かせてくださいよ。エンターテイメント症候群でしたっけ?」
「ごめんなさい。実はそれ私の造語なの」
 くすくすと笑いあう。

 あたしは橘京子。
 そうよ。あたしは橘だ。
 いつも変わらない常緑植物の橘のように、いつも笑っていてあげよう。
 このどうしようもなく鉄面皮で頑固で強情で四角四面で臆病で可愛いこの娘が、いつか素直になれますようにと。

「んん……、もうっ!」
 時には憤慨も織り交ぜながら、あたしは暫定の止まり木になろう。
 この頑固者が、いつか素直になれますようにと。

■おまけ
「あ、このマーマレードちょっと変わってるけど美味しいですね」
「そうね。酸味が強いほうがジャムには向くって言うものね」
「へえ」
「美味しいでしょ。橘の実のマーマレード」
 ぶふっ!

「台無しです佐々木さん!」
「くっくっく♪」

ほぼ男言葉モードしか出てない佐々木さんだったが
本編後に橘と気の置けない仲になってくれたら、こんな感じかなと思ってみた
499この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 03:12:20.09 ID:7h47C9kq
>>496きょこたんよいですのー
500この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 06:50:03.38 ID:doLqdV9X
おつー!

時に空回りして、時に弄られて、ごくごく偶に佐々木さんの役に立って
きょこたんて愛称付けた人天才だわ
501この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 13:57:21.99 ID:xdu1Vja0
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
502この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 14:23:31.92 ID:i9GbgQeA
>>501
.    ”;   , -‐- 、. , -‐-ー .、
.      ∵,'. /  ト、 ヽ.   ヽヾ
     ・・・i. ((从ソ.*.从〉,ハハバゝ
.     ∴l. (|l(。)(゚)i!i| ─ ─i! 
..   ・”  ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. 一 ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
503この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 15:59:56.23 ID:W/+NXeIC
コンビニでWANDAとハルヒのコラボ缶なるものを発見。
コーヒーにフィギュアが付いて(逆か?)で980円だった。
504この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 16:54:58.57 ID:Og5OK+lT
>>503
以前発売したのの売れ残りでは?
505この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 18:02:41.00 ID:doLqdV9X
花祭りみたいのに行ってきました
チューリップは逆光の方が綺麗ですね佐々木さん
506この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 20:20:17.60 ID:PDvXskRg
>>496
お疲れ様です
507この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 20:55:18.68 ID:jJFrIJQp
wikiの方で>>496をちまちまと訂正。

>>503
去年の12月末に出た奴だわな。今のところ佐々木さんと花束ハルヒの唯一の立体化だけど造形は雑誌のオマケ並み
ワンピースやチョロQ付きがよく投売りになってるのを見るし、フィギア付き飲料って微妙な印象なんだが
儲けが取れる程度には売れるんだろうな
508この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 21:51:32.17 ID:jJFrIJQp
ところで実は>>496はギャグにするつもりで書き出したんだがご覧の有様だよ!
ギャグ書ける人って凄いよホント。と改めて思った
509この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 22:04:36.46 ID:Leh8OPZv
>>508
ギャグで通すなら橘の心境・地の文はない方がいいかも
段落の最後ごとに突っ込み度が上がっていく感じでやればおk
510この名無しがすごい!:2012/04/15(日) 22:51:04.92 ID:cMpsw+ZW
佐々木さんと旅行に行きたい
511この名無しがすごい!:2012/04/16(月) 00:29:20.77 ID:zCQp3liM
512この名無しがすごい!:2012/04/16(月) 07:25:52.94 ID:ndXcfd2T
キャラメイクってやつだっけ
513この名無しがすごい!:2012/04/16(月) 19:22:05.83 ID:oGHDbL3H
佐々木さんとお花見をしたい
514この名無しがすごい!:2012/04/16(月) 19:59:55.00 ID:ndXcfd2T
きょこたんが妄想してるのだと自分に言い聞かせたら平気になった
515この名無しがすごい!:2012/04/16(月) 23:48:11.99 ID:ndXcfd2T
蚊の羽音にイラつく佐々木さん

おやすみなさい
516この名無しがすごい!:2012/04/16(月) 23:53:00.06 ID:qKBUgkvc
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
517この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 00:08:42.50 ID:g8qkyEl2
>>511
518「マティーニでもどうだい?」1:2012/04/17(火) 00:53:11.90 ID:i3teQHeR
 喉にカクテルを流し込む。
 甘い香りが疲れた身体に心地良かった、そんな時だ。とてもとても懐かしい声を聞いたのは

「なんだ佐々木か」
 ぬっとカウンター席に現れた人影に名前を呼ばれ、私は引っ張られるように言葉を返していた。
「やぁ、キョン」
 彼だった。

「? おう」
「くく、座るなら早く座りたまえ。周囲の邪魔になる」
 何事もなかったように促す。この十年近い日々などなかったかのように。
 キョンは何故か軽く首を傾げ、それから座った。

「マティーニでもどうだい?」
「ほう。じゃ、俺もそれお願いします」
 注文を告げると、寡黙なマスターは黙って頷きシェイクを続行する。
 私はこの雰囲気が好きだった。
 彼はどうだろうか。

「どうだい。あの春の別れからしばらく経ったが、つつがなく愉快な日々は送れているかい?」
「しばらくって程度か? まあぼちぼちってとこだな」
「そいつは良かった」
 変わらぬ苦笑。私もすらすらと言葉が出た。
 あの春の日以来、十年近くも使っていなかったはずの「僕」の言葉がすらすら出た。
 あれからは変人演技……「僕」は止め、私なりに生きてきた。けれど、彼の前では「僕」の方が相応しいだろう。
 くくっ。我ながら子供染みていると思うよ。けど、その方が僕ららしいだろう?

「お前は変わらんな」
「くっくっ、十六の小娘ではなくなったつもりだがね」
「そうだな」
 でも、キミはあの頃と同じ瞳で見つめてくる。
「おや? ここは、綺麗になったな、とか言ってくれる場面ではないのかい?」
「言って欲しいのか?」
「まさか」
 笑って返す。まさか。
519「マティーニでもどうだい?」2:2012/04/17(火) 00:55:55.02 ID:i3teQHeR
「就職したんだね」
「お前も就職したのか、なんて俺が聞くだけ野暮だな」
 むしろ俺の方がニート候補だったな、等と肩をすくめる。いやいや、キミは案外凄い奴だったぜ?
 あれからどう変わってしまったのかなんて知らないけどね。
「就職と言えばそうだね。しがない研究員さ」
「そうかい」
 言ってマティーニを含む。

 私は研究者の道を選んだ。
 大学進学後は予定通りレポートと論文三昧の楽しい日々を送り、やがて象牙の塔に末席を得た。
 論文を書け、さもなくば滅びよ、とはよく言ったものだ。高校までにがむしゃらに蓄積してきた知識を発展させて
 いつか夢見た「思索に耽る日々」を送っている。

 夢に一歩一歩近付く日々、「オリジナルの思考を残したい」という遠大な野望。
 学問に王道はなく、ローマの道も道路整備から始まるのだ。
 知識には経験、経験には時間が必要なのだから。
 けれど

「旨いな」
「ふふ。そう言って貰えると嬉しいね」
 韜晦を繰り返し、四方山話をしばらく続ける。
 本当に聞きたい事をすっとぼけ、「僕」は会話を続けた。

 彼は変わっていなかった。長い時間が過ぎたはずなのに、まるであの翌日にでも会ったかのように語り合った。
 あの頃と同じ等距離。心地良い距離感に、でも何故か物足りないものを感じてしまう。
 私は、あれからそんなに変わっていないのだろうか。

 そんな事はない。
 私は成長を是とする人間だ。だからひたすら前に進んだ。
 私は未熟で平凡だから、自分を鍛え、成長する事こそが喜びだったのだ。……だからキョンさえ振り切った。
 私は「私」に向き合った。甘えていた自分を振り切った。

 男子には男子の、女子には女子の口調と思考で。これは私なりに「対等・中立」を気取る為の姿勢のつもりだった。
 けれど気付いてしまったのだ。あれは「甘え」だ。変人として目立つ自分を楽しむ? そうじゃない。
 目立つことで「私はここにいる」と言いたかっただけなのだと気付いた。

 私は仮面、中立を気取ったつもりで、本当は誰より構ってもらいたがりだったのだと。

 私は仮面を被ったまま、キョンに「気付いて欲しい」「構って欲しい」って虫のいいアピールを繰り返してたのだ。
 あの高校二年の春、ようやくそれに気付いたから、私は演技をするのを止めた。
 私は「僕」を止め、新しい「私」を覚えていこうとした。
 あれは私の甘えだったのだから。

 けれどそうやって作り直した「私」は、もうとっくに着古して汚れているはずだった。
 でも彼の瞳はあの頃と変わらないままで、「僕」だって変わっていない。
 私は、あれからそんなに変わっていないのだろうか。
520「マティーニでもどうだい?」3:2012/04/17(火) 00:56:26.04 ID:i3teQHeR
「でな」
「そうかい」
 少なくともキョンは変わってないと思う。
 そう、人心観察にも磨きをかけた。恋愛感情を自覚した事でそれはより完璧になった。
 人心観察には自信があるなんて昔は言ったが、所詮異性の告白一発で吹っ飛んでしまうようなお粗末な代物だったから。
 あの一件を経て、老成した人格と自負していても、中身はただの少女だったと解ったから。
 だから、私は人心観察に磨きをかけた。

 後になって思う。「意図しない聞き上手」というのはなんて贅沢な人だったのかと。
 そうとも、自惚れじゃなしに言おう。私のように外見と内心がアンバランスな人間には特にそうなのだ。
 どうにも現代は恋愛感情とやらにエネルギッシュすぎやしないかい?

 石を投げれば恋人にあたる。そんな時代だ。
 別にゴリアテを倒したい訳じゃないが、現代でサムソンが石を投げれば、恋人たちの間を飛び石するだろう。
 そりゃ私だって恋をしたことがある。それはもうエネルギッシュな大恋愛だったさ。
 けれど、無限のスタミナを持つ人達の前に敗北した。
 つくづく自分には向いてないなと悟ったさ。
 私はどうにも控えめに過ぎたと。
 素直にさえなれなかった。

 このキョンにね!

「なんだ?」
「いや? どうかしたかい?」
「視線がツンドラ気候だった気がしたんだが」
「くっくっ。人間が唯一居住できる寒帯の事だね? 褒め言葉だと受け取っておこう」

 そうさ。その呆れ顔も、ダルそうな顔も、困った顔も、もちろん笑った顔も、大好きだったよ。
 けれどそうやって恋愛に現を抜かす自分が嫌で、僕はキミを遠ざけた。夢に近づけなくなると思ってしまったから。
 だから高校時代に再会した後も「罰」として甘んじて受けたよ。
 キミとの関係を遠ざけた、僕自身への罰だってね。
 あれは中学時代の関係なんだと振り切った。
521「マティーニでもどうだい?」4:2012/04/17(火) 00:56:50.21 ID:i3teQHeR
 ……本当に振り切ったのなら、またキミと友人として足しげく会っても良かったはずなのにね。
 キミは僕も巻き込もうと色々骨だっておってくれた。
 けれど友誼を遠ざけてしまったのは……。

 いいよ認める。やっぱり僕は素直じゃないのだな。
 そうさ。確かに「僕」は臆病なくせに構ってもらいたがりの私が作った虚像だったかもしれない。
 けれどキミと一緒に居た時間、キミと一緒に育んだ感情は幻じゃない。どんなに恥ずかしい代物だろうと僕のものだ。
 僕も私だ。作り物だろうと幻じゃない、誰にだろうと渡したくない
 この感情は私のものだ。

「そろそろお開きにするか。ろれつが怪しいぞ」
 そんな事ないよ。自分の酒量くらいはちゃんと弁えているつもりだ。
「タクシー呼んでやるからちょっと待ってろ」
 携帯に手をかける。待って、もっと話そうじゃないか。ほんのちょっとでいいから。
「すまないね。ちょっと持ち合わせが」
「なら貸してやる」
 ああもう

 空気読めバカキョン!
「空気読めバカキョン!」

「え?」
「え?」
 空気が熱帯モンスーン気候。おそらく今の僕の汗は年平均にして1,000mmを上回るのではないだろうか。
 久々に使うからだろうか、カクテルのせいだろうか、どうにも「僕」が安定しない。
 クールじゃないぞ、もっとクールにならなければ。
 あの春の日のように。
522「マティーニでもどうだい?」5:2012/04/17(火) 00:57:23.59 ID:i3teQHeR
「あー。僕はその……おっとっと、キミともう少し、いや、その」
「……そうか」
 言って、キョンは浮かしかけた腰を戻した。

 いやそうじゃなくて。
「いやそうじゃなくて」
「どうじゃないんだ」
 どうだろう?

「ここでじゃなくてね、どうだろう。僕の部屋にも酒なら蓄えが……」
「佐々木」
 キョンはぴしゃりと言った。
「年頃の女が男を部屋に誘うんじゃない」
「僕をそんなふしだらな女だと思っているなら訂正を求めるよキョン」
「訂正も何も今まさにそうしてるじゃないか」

「こうして酔っ払うまで酒を飲むのもそうだ。お前は無防備すぎやしないか?」
 なんだよ。人を十年近くほっといたくせにお説教かい。
「旧交を温めようとしてなにがいけない?」
「ならお前は、あー、そうだな。国木田にも同じようにするのか?」

「何が言いたい? キミは僕の特別だから、とでも言って欲しいのかい?」
「そうだ」
 言い切ったよこの男。
「でなきゃ心配でならないって言ってるんだ。俺の思い上がりにも程があるけどな」
 小娘のように頬が火照る。

「……キミは特別だよ。だから」
「けどお前は俺を「親友」って呼ばなかっただろ」
 だから心配なんだよ、と続ける。そうだった。再会の第一声は「やぁ、キョン」だった。けど意識した訳じゃない。
 それはきっと僕がキミに対する独占欲を失っていたから、だから、キョンと呼んだのだよ。
 そうか、だからキミはああして首を傾げていたのか。

『じゃあね、親友』
 いやそうか? 何故呼ばなかった? いや何時から僕はキミを「親友」と呼ばなくなった?
 くじびきという単語、電話を切るような音がフラッシュバックした。
 それは独占欲を失ったから?
 それとも?
 いや
523「マティーニでもどうだい?」6:2012/04/17(火) 00:57:45.56 ID:i3teQHeR
『じゃあな親友!』
 あの春の日、別れ際にキミが呼んでくれた声、あのとき浮かんだセンチメンタル、激しい感情を思い出す。
 それからの日々に埋没させてしまった感情の事を。
 とっくに忘れたはずの感情の事を。

 ……まったくね。
 何であれ、ちゃんと決着はつけておくべきだと思うよ。いや、自分では着けたつもりだったのだけれど。
 あの日、振り返って、ちゃんと『さよなら』って言っておけば良かったんだ。
 センチメンタル、情緒に耽った別れなんて最低なんだよ。
 
「キミは特別だ」
「そうかい」
「それだけじゃ駄目かい?」
「そうかい」
 混じりけなしの本音。

「なら忠告第二弾だ。俺が昔の鈍感男子高校生のまんまだと思うな」
「違うね。キミは変わっていないよ」
「そうやって他人を易々信じるような奴だったか?」
 キョンはニヤリと笑ってみせる。
「そうやって他人を信じ込ませるだけの女ったらしになっちまったのかもしれないぜ?
 男は狼なのよ♪ 気をつけなさい♪ってな」
「古い曲だねえ」
 苦笑を返す。

「ときにキョン、あなたも狼に変わりますか、あなたが狼なら怖くない♪ という曲もあってね」
「いやいや、それも古いぞ佐々木」
 苦笑が返ってくる。

「人心観察には自信があるって言ったろ。それにキミは他人じゃない」
「人は数年で構成するたんぱく質が入れ替わるって言うだろ? あの時の俺とはもう別人だ」
「ああ言えばこう言う」
「こう言えばああ言う」

 互いににらみ合い、ぷっと吹き出した。
 まるで小さな秘密を分かち合った子供のように。
524「マティーニでもどうだい?」7:2012/04/17(火) 01:02:11.74 ID:i3teQHeR
「お前はもうちょっと経験則を重視する奴だったろ」
 大きな手が、くりくりと頭を撫でる。
「ならもうちょっと俺を見てみろ。俺だって俺がどの程度変わったかなんて解らねえんだ」
「いやキョン、キミは変わったよ」
「どっちなんだ」
「頭を撫でるのが上手くなった」
「お前を撫でた記憶はないが」
 くく、覚えていたか。

「さてキョン。もうちょっと俺を見てみろ、だったかな?」
 帰り際、タクシーで彼に囁く。
「それは友誼を再開するという意味だと受け取っても構わないかな?」
「好きにしろ」
 彼は手馴れた仕草で肩をすくめる。
「くく、では好きにさせて貰うとしよう」
「じゃあな、佐々木」
「またね」
「おう」
 タクシーが振動を強める。

「またね、か……では好きにさせてもらうとするよ」
 それは「ちょっとした別れ」のあいさつ。すぐまた出会う為の別れの挨拶。
 彼の姿が遠ざかる。別れ際、あの「僕」と一緒にとっくに忘れてしまっていたはずの笑顔が浮かんだ。
 昔得意だった片頬を歪める笑顔。

「くくっ」
 車窓からみあげた桜はとっくに散ってしまっていた。
 けれどそれでもいいのだ、樹は相変わらずそこに立っている。桜という木は非常に長寿な木なのだから。
 無理に目を背けてしまった私がバカだったのさ。キミは何度も手を差し伸べていたのにね。

 次は、この十年の私の思い出を思い切り語ってやろう。楽しかったことも辛かったことも。
 勿論キミからも全部まるっと聞き出してやる。容赦なんてしてあげないよ。
 そうさ、全部まとめて笑い合おうよ。

 またキミと心おきなく笑いあって行きたいからね。
)終わり

しかし続刊は情報すらこんね。佐々木さんは今回まで=キョンの独白で触れる程度になるかならないか程度なんだろうけれど
525この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 01:13:19.32 ID:i3teQHeR
>>520、ゴリアテに石を投げたのはダビデだったのでwikiで修正。
サムソンはアレだよな、神の加護を受けた無敵の青年だったけど女に騙されて無力化されて酷い目にあって
それでも神様への信仰を取り戻して復讐かまして殉死したってアレだ。なんでかごっちゃになってた
526この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 03:50:26.27 ID:qDFEilZH
527この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 07:03:19.13 ID:+SHdYc5L
乙&GJ
「ああ言えばこう言う」 「こう言えばああ言う」
で吹いたwごくごく自然な掛け合いが楽しく、嬉しくもなる
このキョンは、後日最後の半歩を踏み出してくれたと信じよう
528この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 07:25:26.52 ID:ePwGJ9aT
マタニティーでもどうだい?に一瞬見えてびっくりした
529この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 08:48:24.57 ID:fOXqpqMP
乙。
2人の会話の真骨頂が出ていてよかった。

しかし、鈍感さがなくなったキョンにはいろいろ気になるところがあるのだが、
このスレ的には気にしない方がいいのかな。
530この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 10:22:21.42 ID:5w2Mkz/+
>>516
.    ”;   ・;`;:.,::.,:、. , -‐-ー .、
.      ∵,'. ::・’;";.;ヽ.   ヽヾ
     ・・・:'::゙';'゙':'’,.从〉,ハハバゝ
.     ∴・ ::・;;.;+:(゚)i!i| ─ ─i! 
..   ・” ,,':,・,゛ ',・ー.''ノiハ、. 一 ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
531この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 14:04:25.20 ID:pjv9qra9
         |::::::::::::::::::::::::::::|
        ノ:::::::::┌─┐::::i
        |::::::::::::|   .|::::::|
        l /二i ̄ ̄iミヽi
        iシ ̄ .i 涼 iヽヽi
.        /    ! 宮 | ヽi
         /      |   |  i
      丿     |   |   i
     r´        !   !   }
     ト-‐ '´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7
     ヽ________/
        <○√
         ‖  <僕の方がキョンとの付き合いは長いからねくつくつ
         くく

         |::::::::::::::::::::::::::::|
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     r´        !   !   }
     ト-‐ '´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7
     ヽ________/
        <○√ <キョンのことが好きなんだろう?分かってるくせに…
          くく

         |::::::::::::::::::::::::::::|
        ノ:::::::::┌─┐::::i
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        l /二i ̄ ̄iミヽi
        iシ ̄ .i 涼 iヽヽi
.        /    ! 宮 | ヽi
         /      |   |  i
      丿     |   |   i
     r´        !   !   }
     ト-‐ '´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7
     ヽ________/  <キョンとお幸せにッ!
532この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 16:42:20.64 ID:KTf8khud
>>531
何だそれは?
533この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 19:43:59.31 ID:A2wH9L2l
マティーニと、マタニティって、ちょっと似ていると思わないか?
534この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 20:47:37.90 ID:/jSlyB0t
>>507
とりあえず、佐々木は即買いした。
造形はともかく、佐々木フィギュアって無いからな。
んで、佐々木だけってのもアレだから、消失長門も買った。
535この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 21:06:38.82 ID:+SHdYc5L
>>533
全く似ていないとする人は、おそらくマイノリティだろうね
536この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 21:09:08.64 ID:i3teQHeR
wikiで冒頭&終盤バーテンダーさんに台詞追加と終盤追加で修正。
分裂時はクールなイメージが強かったけど、驚愕終わったら良い意味でイメージが変わった。
それだけに驚愕には思うところがありまくるから色々書いてる訳でもあるが、さてどうなっていくことやら。

>>534
今エースで色々やってるみたいだから、雑誌オマケフィギア化に期待したい
前に消失映画化でエースとザ・スニーカーにオマケが付いた時は割と可愛い出来だったから
537この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 23:41:38.25 ID:hTOP9+Af
>>536
フィギュア化期待
538この名無しがすごい!:2012/04/17(火) 23:53:25.59 ID:jPiNVs1d
佐々木さんと海に行きたい
539この名無しがすごい!:2012/04/18(水) 06:49:11.25 ID:wVxcNSwI
>>511
見えない
540この名無しがすごい!:2012/04/18(水) 19:47:36.57 ID:KTPgp4oQ
早く新刊が見たい
541この名無しがすごい!:2012/04/18(水) 20:47:32.83 ID:C6ldgxZp
佐々木さんの話によると
佐々木さんが憤激するほど怒り狂った出来事が2年前にあったというが何があったんだろうな
542この名無しがすごい!:2012/04/18(水) 21:10:01.65 ID:PvVH/kQz
ラブレター騒動みたいなことがあってたりして
激怒する佐々木さんは珍しい、でも絶対矛先向けられたくないw
543この名無しがすごい!:2012/04/18(水) 21:19:57.74 ID:VFNhHCw1
>>536
しかし佐々木のフィギュアは当分出ないんだろうな〜。
544この名無しがすごい!:2012/04/18(水) 21:39:29.75 ID:F26hqiK2
新刊は佐々木さんの息災がキョンから語られてくれれば満足です。
電話での会話があれば言うことなしだが…。

驚愕でいろいろ自分のこと語ってくれてたけど、話としては十分なのかもだけど
もと掘り下げて欲しいものだ。

>>542
あの話は驚愕前に投下されたものなのに今でも違和感ないからな。
中2〜中3と小6〜中1のころ何があったんだろう。
キョンもその場を目の当たりにしてない様子だし。

とりあえず佐々木主義夢見ながら今度のエースを待つとしよう。
545ルームシェア佐々木さんとキミの耳1:2012/04/19(木) 00:34:39.54 ID:8WvjoXcv
タイトル通り>>427シリーズの一環。例によって単体でも成り立ちますが

「なあ親友、そろそろ俺の背中から離れてくれんか」
「くく、お構いなく」
 ルームシェアにおける「居間」相当の部屋、
 俺の首元に両腕を、右肩に顎を預けるようにして佐々木は喉奥で笑っている。
 俺と佐々木は親友であり、性差と言うものは無い、だからこそ出来るというお気に入りのポーズらしいのだが

「ん、だからな」
「何かなキョン?」
 ここ最近は更に問題行動が増えやがった。
「佐々木、く、だから、お、俺の耳をくわえるんじゃない!」
「くくく、お構いなく」
「俺が構うわ!」
 すると背中に張り付いたまま、「解ってないなあキョンは」とでも言いたげな声で電波な話を切り出した。
 いつもの言葉の弾幕に備え俺はのんびり身構えたのだが

「僕はね、キミの耳というものをとても好ましく思っているんだ」
 さすが佐々木、余裕で俺のガードの上を行きやがった。

「妙な趣味を打ち明けるな。リアクションに困る」
「そうでもないよキョン、キミのこの器官は僕とのコミュニケーションにおいて非常に有益な役割を果たしている」
 俺の背中に張りつき、佐々木は俺の耳にやんわりと舌を這わせてくる。
 コラ中耳炎になったらどうしてくれる。
「無論、責任を取ろう」
 通院費でも払ってくれるのか。
 
「話を戻そう。僕の声をいの一番に受け取ってくれるのはこの器官だろう?
 特に僕は長広舌を振るうことも珍しくはないからね、ここ最近最もキミの耳を占有し疲労させているとも言えるだろう。
 だからこそ、僕の発声器官でキミの受信器官を癒したい、と、こういう訳さ」
「無理やりな理屈もここに極まってきてないか?」
 あと右手を俺のシャツの中に入れるな。
546ルームシェア佐々木さんとキミの耳2:2012/04/19(木) 00:35:07.23 ID:8WvjoXcv
「ふくく、ならば振りほどいてくれないか。今の僕にはこの甘美な行為を留めるだけの余力はない。
 本来、僕は常に理性的にありたい。が、しかしこの行為は視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を動員して僕を責めるのだ。
 全くなぜ僕はこんな行為に手を染めてしまったのだろうね? しかし一度覚えた以上は抜け出せないのだよ。
 これは僕の理性へのちょっとした拷問であり、キミは実に素敵な刑吏であると言わざるを得ない。
 キョン、キミは僕をどれだけ苦しめれば気が済むのかね?」
 おい俺が悪役か?

「耳元で長々と妙な理屈を囁くな佐々木」
「くく、僕としては実にまっとうな理屈のつもりだが? それともまさか」
 佐々木は俺の耳を軽く唇で甘噛みしつつ、吐息を漏らし、或いは軽く音を立て舌を這わせてくる。

「まさかキョン、キミの理性こそ本能に屈しそうだ何て言わないだろうね?
 いけない人だなあ。キミが屈してしまっては、僕の理性まで諸共に巻き添えになってしまうじゃないか」
 やめろ、変な声が漏れそうだ。

「くっくっく、それもまた僕の胸を満たしてくれる。ぜひお願いしたいね」
「男の変な声なんか聞いて嬉しいのか」
「違うね。キミのだから良いのさ」
 僕の唯一の親友だからね、と続けて囁く。
 中学時代、いや高校時代とも少し違った甘めな囁き。そういえば佐々木と囁きって何か似てるな。
 おそらくこれが違和感を作ってるんだな多分。

「まあ声を受信し処理するのは究極的には脳だ。しかし流石にキミの脳を労わってあげる事は出来ないしね」
「少なくとも今の状態から解放されれば俺の脳は非常に休まるぞ佐々木」
「いやいや、脳をアルティメットに休める手段といえば睡眠ではないかな?」
 こんな有様でも眠れるのはきっと長門くらいだ。
 と言ってやると、空気が変わった。

「ほう……いや、深読みするのはよそう。キミがそういう鈍重な感性である事は誰よりも理解しているつもりだ。
 だが中学時代からそうやってキミを甘やかしてきたのも僕である事は否定できない。
 しかるに僕はキミに対し責任を取るべき立場でもある訳だ」
「なんだその三段論法」
「そしてキミは、そうやって僕の心に負担をかけた責任を取るべき立場でもある」
 四段論法って何で言わないんだろうな?
「別に三段に限定されている訳ではないよ」
 左様か。

「まあキミの発声器官が僕を癒してくれているのも事実だが」
 こら佐々木、だから俺の耳をな。
「そうだよキョン、もっと僕の名前を呼んでくれ」
 俺の首に回った両腕が、ほんの少しだけ力を増した気がした。
547ルームシェア佐々木さんとキミの耳3:2012/04/19(木) 00:35:42.06 ID:8WvjoXcv
「キョン、僕はキミの名前を呼ぼう。だから僕の名前を呼んでくれ」
「そんなんで良いならいくらでも呼んでやる。だからな、佐々木」
「そうだよ、もっと呼んで」
 俺の背中に張り付いたまま佐々木は言う。
 ほんの少しだけ震えた声で。
「ねぇ、キョン」

「キミの名を呼んだら、キミが僕の名前を呼んでくれる」
 耳たぶを軽く甘噛みしてくる。
「手を伸ばせば、触れられるところにキミがいる」
 きゅっと俺の襟を掴む。

「くく、キョン、僕は実に単純な感性を持っているのだと痛感するよ。それだけでどこまでも僕の心は満たされてくれる。
 自分はとても強い人間だと錯覚できてしまうくらいに満たされてしまうのさ」
 ぽたぽたと右肩辺りに温かいしずくを感じる。
「佐々木」
「言わないでくれ」
 首を回そうとした俺を留める。
「けれど、そんな事すら出来なかった時間があった」

「別に僕は後悔なんてしなかったさ。『僕』はね。『僕は後悔なんてしなかった』」
 俺の肩に、佐々木が作った温かい染みが広がってゆく。
「だって僕が自分で決めた事だったから」
 俺は振り返らない。それを絶対「佐々木」は望まない。
「自分で決めた事だもの、どんな甘い言葉にも望みにも絶対に乗ったりしないって決めてたもの」
 代わりに手を握る。俺に出来るありったけの感情を込めて。
「だから二度と手に入らなくても構わないとさえ思った」

「けどね、キミは、僕を親友って呼んでくれた」
『僕は特別なんだって言ってくれた』

「キミは同窓会で会おうって言ってくれた。キミは同窓会まで僕に考える時間をくれた」
 しずくが止まり、佐々木はふうっと長く息を吐いた。
「だから、僕はここに居るんだ」
『とっくの昔に諦めていた僕に、キミは考える時間をくれたから』
『自分の望みを、例えチープでも自己満足でも迷惑でも、がむしゃらに求めて見たかったから』
 ……へっ、まったく俺の親友は困った奴だぜ。

「そんなご大層な事を言ったつもりはねえよ、佐々木」
 強いのはお前自身だ。俺なんかより万倍できた人間だからな。
「そうかい。なら僕が勝手に電波を受信したものだと思っていてくれたまえ」
「電波状況が悪いならアンテナでも増設しろ」
「くく、キミがそれを言うかな?」
 なんのことやら。
548ルームシェア佐々木さんとキミの耳4:2012/04/19(木) 00:36:11.99 ID:8WvjoXcv
「ならキミのアンテナを磨いてあげよう」
 佐々木の右手が再びシャツの中へと伸びてきて、俺の左胸をそうっと撫でた。
 こらやめろ佐々木、つうかアンテナってそこなのか佐々木。

「くく、循環する血液を電波に例えてみたまえ、ならばそれを動かす心臓は、人の心を受信するアンテナなのさ。
 心が心臓を動かし、心臓は血を走らせ、血はキミの身体を突き動かすだろう?
 そしてキミのアクションが、止まりかけた僕の心をまた動かす。
 そうやってループする、ちょっとした永久機関だね」
 笑声が俺の耳を震わせる。

「声を受信するのは耳、心を受信するのは心臓、さて」
 くそ振り向かなくても解る、解ってしまう。
 こいつは絶対に片頬を歪めて笑っているに違いない。いつもの佐々木スマイルが目に浮かぶ。
「では僕のとある受信、いや次世代への発信器官でもあるね。僕に遺伝子上装備された器官の話なんだが……」
 口内でたっぷりと温められた吐息が、そっと俺の耳元をなぞる。
 そのまま二人、無言のまま。

 やおら乗り出してきた佐々木の頬が、俺の頬をぐりぐりと押しやる。
 柔らかいな、つうか熱い。いや俺も熱い。めっちゃ熱い。
 俺の背中に張り付いたままで佐々木は笑う。

「まあアレだね」
 どれだ。
「正直これが限界だ。発火しそうだよ」
「人の背中で発火すんな。俺まで燃え上がるだろうが」
「できれば燃え上がって欲しい気もするよ? けど確かにそれは僕らのキャラじゃないね」
 燃え上がって炭になるより、当分は陽だまりで十分だ。
「くっくっく」
 何だよ。

「炭か。有機物を不完全燃焼させる事で出来る燃料だね。つまり単に燃え上がった残骸の『燃えカス』ではないと」
『そう言いたいのだね?』と、言いたげな気配が余韻を残す。
 お前の曲解は天下一品だな親友。
「くく、褒め言葉だと受け取っておこう」
「受けとるな。捨てちまえ」
「残念だが既に心のハードディスクに記録済みだよ」
 人の黒歴史を記録すんな。ハードディスクならクラッシュしちまえ。
549ルームシェア佐々木さんとキミの耳5:2012/04/19(木) 00:37:02.59 ID:8WvjoXcv
「それに今回、触れられる距離、キミの声、それだけで満たされると言ってしまったしね。ここは引き下がるとしよう。
 ううむ会話の組み立てに失敗してしまったかもしれないな、やはり僕は演技派とは言えない」
「でもな。その判じ物、パズルみてえな会話でこそ佐々木って気もするぜ」
 噛みあってるような噛み合ってないようなやり取りの方が俺ららしいさ。
 そうだろ親友。

「そうかな? でも僕自身はとてもキミ相手に演技なんか出来ないと思っている」
 佐々木は大きく伸び上がり、逆さまに俺の顔を覗き込む。
 昔と同じ輝く瞳と、昔よりもずっと甘い微笑みで。
「くく、実に困ったことなのだが」

「キミと一緒に居る時は、僕はどうしても素直になりたくなってしまうからね」
 そう言って、佐々木は自分こそが世界で一番幸せなのだ、とでも言いたげな顔で笑ってみせた。


「……キョン?」
 と、伸びてきた佐々木の顔、両耳辺りを両手で捕まえてやる。
「あのね、今、その」
「いやな、お前の泣き顔って結構レアだなと思ってな」
 心のSSDに書き込んでおこうと思った次第だ。ハードディスクじゃなくてな。
 と言うと、見る見るうちに再び茹でタコばりに真っ赤になってゆく。ふははザマをみるがいい佐々木。
 じったんばったんやろうとも、そう簡単には離してやらんぞ佐々木。
 俺が手を離さなければお前も離れられまい佐々木。

 すると佐々木は一旦腰を引き、両手を差し出し、思い切り前へと踏み込む。
 反射的に手を離すと、そのまま両手のひらを床につけながら腰を跳ね上げ、見事くるりと回転して見せた。
 すたんと見事極まりなさすぎる前転、佐々木的な転回。
 思わず俺の拍手がこぼれる。

「体操漫画の主人公か何かかお前は」
 呆れたような俺の声、親戚の小学生みたいに得意げな笑顔を浮かべて佐々木は返す。
「そうとも、今度の僕は主役なのさ」
「なんだ前に何かやってたのか?」
「さて何だろうね」
 そらっとぼけやがる。
550ルームシェア佐々木さんとキミの耳5:2012/04/19(木) 00:40:06.72 ID:8WvjoXcv
「そうだね、僕は解り易い敵役なんかしたくなかった。だから」
 ニッと弦月の微笑を漏らす。

『待っていた。キミの非日常が終わってしまうその時まで、僕の修学が終わるその時まで、ずっと我慢していたのさ』
「だから、今度は僕が主役になれる時を待っていたのさ。それが僕なりのコペルニクス的転回なのだよ」

「物好きな地動説もあったもんだな。イマヌエル・カントも大笑いだぜ」
「くく、解ってくれて嬉しいよ」
 座った俺といつもの判じ物めいた言い合いをしつつ、立ったまま佐々木は舞台挨拶でもするように腰を曲げ
 俺の耳にそっと唇を添えて囁く。
 
「さてキョン、今度は僕がキミを巻き込んであげよう」
 中学時代とも高校時代とも違う甘い囁きを吹き込み、それから俺を覗き込む。
 昔とちっとも変わらない楽しげな瞳で。
「僕とキミとの物語にね」

「さ、行こうじゃないか」
「おいおいどうした」
 手を引き、俺を立ち上がらせる。
 レポートの束を持ちながら、佐々木はニヤニヤと笑ってみせた。

「せっかくの休みだ、小さな部屋に留まっている事は無い。レポートでも書きに図書館に行こうよ」
「おいおい休みくらい満喫させろ親友」
 すると佐々木は喉奥で笑い、いたずらめいた瞳を見せる。
「くく、昔言ったろう? 僕は大学に入ったら死ぬほど楽しんでやるとね。その為に蓄積を重ねてきたのさ」
「それが楽しいのか? 俺とお前で『楽しい』のベクトルにえらい違いがあるな」
「そうだね」
 片頬を歪めてニヤリと笑う。

「だから一緒に居るのが楽しいのさ、新しい世界が広がる快感は君も知っているだろう?」
「へいへい、察するにレポート書いたら次は俺が楽しませる番って訳だな」
「そういう事さ。僕がキミに、キミが僕に、ってね」
 ガチャリを音を立て扉が開いていく。

「さあ、キョン」
「おうよ。佐々木」
 そんじゃ一緒に行くとするかね。俺と佐々木の物語って奴にな。
                                         <ルームシェア佐々木さんシリーズ 完>
という訳で終了。そろそろwikiのアレ的にも長くなりすぎたしネタ的に>>25と重なったし丁度良かろう。
大学生佐々木さん編としては扱い易いから勿体無いといえば勿体無いが
551この名無しがすごい!:2012/04/19(木) 07:07:48.56 ID:B4EBANi7
乙&GJ!
シリーズ終了は寂しいけど、扉を開けてってのは最後の締めとして相応しい
きっと今までとは違う、新たな一歩を踏み出して行くのだろうねこの二人は
552この名無しがすごい!:2012/04/19(木) 08:20:18.22 ID:o+fQ5r2D
終了だと、、、、、
今まで、ありがとうございました。
553この名無しがすごい!:2012/04/19(木) 08:49:50.95 ID:o+fQ5r2D
554この名無しがすごい!:2012/04/19(木) 23:25:25.63 ID:B4EBANi7
今日は少し気温低かったですね
おやすみなさい佐々木さん
555この名無しがすごい!:2012/04/19(木) 23:46:14.85 ID:f6AtlHEH
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
556この名無しがすごい!:2012/04/20(金) 00:07:13.56 ID:nttpEu2S
>>555,57,75,77,121,148,175,423,502,530
557この名無しがすごい!:2012/04/20(金) 03:11:35.06 ID:Nq95aSPA
>>550
読み返してみたらなかなかにエロいぜ、佐々木さん。
待つ女ポジションって精神的に強くないとなれないのになぁ。
報われた終わり方でよかった。

お疲れ様でした。ここ1月投下された職人様に感謝を。


ネタとヤマとなけなしの文章力集めて連休とれたらまたチャレンジしてみようかな…。
558この名無しがすごい!:2012/04/20(金) 06:38:02.29 ID:4eA9Nhh7
佐々木さんおはよう
559この名無しがすごい!:2012/04/20(金) 16:46:48.88 ID:KgZM71bJ
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
560この名無しがすごい!:2012/04/20(金) 18:43:22.75 ID:9eZDs1D1
平日雨で土日に晴れ
or
平日晴れで土日に雨

どっちが良いのでしょうか佐々木さん
561この名無しがすごい!:2012/04/20(金) 20:46:44.49 ID:FSAjLIQM
佐々木さん今晩は
562この名無しがすごい!:2012/04/20(金) 22:14:03.94 ID:Dd5FaT82
即興一発ネタからよく続いたもんだ
563この名無しがすごい!:2012/04/20(金) 23:46:32.84 ID:9eZDs1D1
かたつむりの漢字をど忘れした佐々木さん
564「ご馳走になったね、キョン」1:2012/04/20(金) 23:51:17.50 ID:Dd5FaT82
「どうだ佐々木、一本」
「くっくっ、そんな太い物を僕に食べさせてどうする気だい?」
 食わんならいいぞ別に。
「もちろん冗談さ。ありがとう、頂くよ」
 言って、コーンポタージュ味をひょいと手にとった。俺は残ったチーズ味。

 塾からの帰り道、スティック状の「美味い棒」を片手に俺達は歩く。
 ぴっと袋を半ばまで開いてかじりつくと、チープとも言える濃厚な味とさくさくした食感が楽しい。
 これで一本たったの10円、万年金欠の中坊にはなんとも心強い駄菓子と言えるだろう。
 佐々木も同じようにかじりついたが、齧り後はなんとも小さかった。
 こういうとこ、やっぱ俺と育ちの違いが出てるよな。
 まあ俺は一気に食った方が美味いと思うが。

「しかし買い食い、しかも歩きながらというのは感心しないなキョン」
「買い置きを持ってきただけだぜ? 人聞きの悪い」
「くく、屁理屈も屁理屈だね」
 屁理屈と聞いて、ふと思い浮かんだ。

「チーズ味ってさ、カールのチーズ味とほぼ同じ味だよな」
 俺のサクサク音交じりの呟きを聞き、佐々木は何故か目を丸くしていた。
「ふ、くっくっく。そういう事に関しては鋭いねキミは」
「褒めてないだろそれ」
 まあいつもの事だ。
565「ご馳走になったね、キョン」2:2012/04/20(金) 23:52:04.73 ID:Dd5FaT82
「ええと美味い棒は一本6gか、カールって一袋何gくらいだっけ」
「確か70g程度じゃなかったかな?」
 即答が返ってきた。
「何らかの限定タイプならともかく、定番のチーズ味ならそのくらいの内容量のはずだ」
「意外に詳しいな佐々木」
「くっくっ、キミの中の僕のイメージと合わなかったかな? そりゃ失礼をした」
 別に俺の中のイメージなんか実物のお前にゃ関係ないだろ。
「そうかい? 興味が無い訳じゃないがね」

「コンビニで買うなら一本10円、カール一袋120円くらいとするとだな……意外にあんま変わらんか」
「まあ内容量という事ではそうかもしれないね。けれど考えてみたまえ」
 最後のチーズ味を開く俺を見ながら、佐々木はいつもの瞳で言う。

「携帯性、手軽さ、これは重要な要素だよ。その為の個別包装コストによるロスはバカにならないだろうしね。
 その点で言えば美味い棒のメーカーの方が苦労していると言えるんじゃないかな。
 勿論、落ち着いた環境でならカールの方が食べ易いとも言えるが」
「何事も一長一短だよな」

「そうだね。極端な話、同日中であっても時間帯によって『どちらが良いか』なんて変わってしまうさ。それにね」
 言いつつ佐々木は手にしたコーンポタージュ味の袋を指で閉じ、残った部分を粉状に揉み潰す。
 それから袋を逆さにし、さらりと舌の上に乗せて飲み込んだ。
「食べ方によっても味なんて変わってしまうものだしね」
 なるほど、そういう食べ方もアリっちゃアリか。
「思ったより食べなれてんだな」
566「ご馳走になったね、キョン」3:2012/04/20(金) 23:53:56.03 ID:Dd5FaT82
「そうだね。駄菓子にも僕にも、キミの知らない一面があるかもしれないという事さ」
「まったく。お前は何でも小難しい方向に持っていくんだな」
 俺が最後の半欠けを口に押し込みながら生返事をすると

「ところでキョン、そんなにカールと味が似ているのかい? なら」
「ん?」
 不意に佐々木の顔が近づき、さくっと音がした。

「ふむ。確かに似ているね」
「おい佐々木」
 俺が言おうとするのを遮るように、いつの間にか来ていたバスが扉を開いていた。
 佐々木は、たん、たん、と軽快にステップに飛び乗ると、くるりとこちらを向いて偽悪的に微笑む。

「ご馳走になったね、いずれ礼をしよう。ではしばしの別れだよキョン」
 完璧な退場シーンで去って行く佐々木の姿を目で追いながら、俺は口の中に残ったチーズ味の残骸を飲み込んだ。
 いやチーズ味と言うかなんというか、なんとも言えない後味を感じながら自転車に飛び乗る。
 しかし佐々木よ、俺にも言っておきたい事があったんだぜ。
 せめて最後まで聞いていきやがれ。

「どんな一面があろうが、カールはカール、美味い棒は美味い棒だろ」ってな。
 夜空に呟きながら、なんとなく不完全燃焼なものを燃やし尽くすよう俺は全力で自転車を走らせたのだった。

うまい棒って素直に書くのは何かマズい気がして漢字にしたものの
カールはカールって普通に書いてた事に書き上げて気付いた。まあどうでもいい話であるがそもそもどうでもいいのがSSの身上であり以下略
567この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 07:33:35.62 ID:jDy+u3BM
あの太さで、しかも長さ半分でポッキーゲームやったら確実に接吻しますww
二つの意味でごちそうさまですね佐々木さん
568この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 07:45:24.87 ID:b6K+hF29
569この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 09:20:14.58 ID:MMXHQYGL
>>559,57,75,77,121,148,175,423,502,530
570この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 20:37:45.22 ID:m/xpRNTF
小説は読んでないけど、漫画で追っかけてる

佐々木さんは物凄く口が上手そうだな
古泉の女版みたいというか、ちょっと古泉より悪戯っぽい感じがいい

ハルヒも掌で佐々木さんに転がされそうだw
571この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 20:41:49.32 ID:m/xpRNTF
佐々木団が、橘、藤原なのは狙って付けたのかね?

橘さんも可愛いな〜今月の彼女はめっさ幸せそうだ
あと、佐々木さんも凄い人なんだな……
ハルヒと同格の神なのか、従属神なのか、ハルヒが生んだ何かなのか……
ハルヒが自分の力を知らないのに対して、佐々木さんは知っている
これが今後どうなるのか?
572この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 20:50:06.78 ID:gStFsBpC
573この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 21:16:46.16 ID:bJ894sb1
>>571
漫画で追っているなら楽しんでおくれ、と
今は分裂編だが、分裂はシリーズ初の「続く」で終わって驚愕に直接話が続く格好だった
んで4年原作者に放置プレイ、それでもスレが66続き1000程ものSSが書かれたところに共感が得られると嬉しい
574この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 21:32:43.03 ID:bJ894sb1
>>571
源平藤橘は藤原に名乗らせるシーンでもそれらしい事を言わせてたから狙ってると思う
驚愕後の九曜の扱いを考えるとある意味符合してるかもしれんし
575この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 21:54:13.58 ID:X8f/ee10
九曜は限苦労で源氏で、佐々木は佐々木どうよか?
576この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 22:41:28.14 ID:jDy+u3BM
佐々木さんと古泉の最大の違いは、ゲームの強さだろうなw
古泉は演技説もあるけどそれ込みでも佐々木さん圧勝のイメージ
577この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 23:17:18.02 ID:mUYx5a46
佐々木さん今晩は
578この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 23:33:59.97 ID:oyttxyUx
>>566
乙です
579この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 23:40:43.02 ID:iqqAzUhx
SS1000本もあったのか。
読み楽しんだもの数多だけど、さすがに数えてはなかったな。

たまにVIPやパー速とかでも良作できるのがアツいだよな。
580この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 23:44:25.31 ID:ONArR+Rp
SS多いな
581この名無しがすごい!:2012/04/21(土) 23:44:42.43 ID:jDy+u3BM
SS速報のまるもり佐々木さんスレは何処へゆくのか

おやすみ
582この名無しがすごい!:2012/04/22(日) 09:47:51.00 ID:ty2QDjkf
日ハム、更には稲葉選手も悔しいほど好調なようで
佐々キョン野球スレがあったら佐々木さん狂喜乱舞してそうだな〜
583この名無しがすごい!:2012/04/22(日) 17:15:30.76 ID:/cCbpK8D
今日は
584この名無しがすごい!:2012/04/22(日) 19:48:45.18 ID:i/UJ3sBQ
早く原作の続きが出ないと、ツガノが追い付く
585この名無しがすごい!:2012/04/22(日) 21:55:35.61 ID:QUJfYWPs
>>579
んにゃ1スレにつき短編15と仮定して15*66で大体1000って話
実際には1スレに短編2から短編60越えまで幅があるが長編区分もあるし、まあざっとそんなところじゃないかって概算
586この名無しがすごい!:2012/04/22(日) 23:42:54.18 ID:ty2QDjkf
1スレに1本を目標に投下してた頃が懐かしい

もうオチが思いつかないお(´・ω・`)
587この名無しがすごい!:2012/04/22(日) 23:49:52.97 ID:uXFOkEju
>>586
オチは投げ捨てるものだよ
キャラに突っ込み入れさせて終わったり、読者にまたドタバタの始まりかよ!ループかよ!と思わせるオチにしたり、
感謝とか愛情表現のつぶやきで終わったりいくらでもあるじゃないか
588この名無しがすごい!:2012/04/22(日) 23:56:20.96 ID:WykIesWt
さすがに記念日ネタとか季節ネタとか、
2周半したらネタ尽きました……
589この名無しがすごい!:2012/04/22(日) 23:58:59.42 ID:eKgElfE3
佐々木さん今晩は
590「不味いぞ佐々木」1:2012/04/23(月) 00:17:39.98 ID:aY8msiYr
なんかやりにくい気もするがまあよかんべ

「どうだいキョン」
「不味いぞ佐々木」
 俺は率直に言ってやったが、佐々木の笑顔は微動だにしなかった。
「だろうね。まったく、だから言ったじゃないか中河め」
「須藤もオマケで付けてやれ。やれやれ」
 不味い焼きそばを前に嘆息した。

「確かに僕は調理法なら知っている。けれどそれだけじゃこんなもんさ」
 中学校の家庭科室。給食当番の格好で佐々木は菜箸をひらひらさせ愚痴っている。
 来る文化祭では俺達のクラスは焼きそばでもやろうという事になり、まあ色々あって試作中とこういう訳だ。

「まったくね。確かに粉物は末端相場が跳ね上がるからこういう場面には向いているが」
「小麦粉をヤクザ屋さんの悪い粉みたいに言うんじゃねえ」
 俺達は別に粉から作ってる訳じゃねえしな。
「ふむ。確かに手打ち麺の製造法ならいくつか心当たりがあるが」
「やる気になるなよ?」
 既製麺で失敗したばっかだろうが。

「くっくっ。だが失敗だけで止めておいては進歩がないだろ?」
 佐々木は俺の食べ残しに箸をつけると、ふむ、と瞠目した。
 続いて皿の上の焼きそばを回収してそばと具を分別し、少量の水を加え具だけを手早く炒め直した。
「こんなもんでどうだい?」
「おう。具の調理がいかんかったって訳か」
 佐々木も同じ皿から啜りこみつつ、かもしれないね、と肩をすくめる。
 そりゃ俺も「オイスターソースを使って家庭でも美味しい焼きそばを」なんてのは聞いた事があったがな。

「まあ素人は素直に既成の焼きそばセットを使っとけって話じゃないか?」
「くく、そうだね」
 安く上げようとしたのが間違いなのさ。
 中河は運動部だから、こういう大量生産料理は大得意だし任せておけとか言っていやがったが。
「その中河があのザマじゃね。せめてレシピだけでも残してくれれば良かったのだが」
「まったく聞くも涙語るも涙とはこの事だぜ」
 もう触れたくもねえ。
591「不味いぞ佐々木」2:2012/04/23(月) 00:18:14.33 ID:aY8msiYr
「やはり知識だけではダメだね。痛感したよ」
「まあ知識すらない俺よりはマシだろ」
 慰めのつもりだったが、佐々木の変なスイッチを刺激してしまったようだ。
 いつもの笑みでこちらを覗き込んでくる。

「所詮は書物、メディアで聞きかじっただけの半可な知識でしかないのさ。やはり経験が伴わないと無意味だよ」
「こうやって形に出来てるだけマシだろ」
 焦げかけの麺を箸で指し示してやる。
「そうかな。ちゃんとした形に出来なければ無意味も同然だよ」
 焦げかけの麺を口にし、佐々木は苦い顔をする。

「僕は知識を得て『賢くなったつもり』の人間なんだって痛感するよ。
 汗も流さず、他人の経験を連ねた文言を頂いただけのね。だから実地ではこうロクでもない結果になる。
 他人の受け売りを自らの血肉とするには、トライアル&エラーが必要だよ。もちろん自分で一から得るより簡単だが
 やはり『経験』というのは欠かすことが出来ないね」

「学問に王道なし、ってか」
 なんとなく呟くと佐々木は何故か笑い出した。
「そんな笑うなよ。俺がお前ほど考えが深くねえのは知ってるだろ」
「あはは、いやいや違うよキョン」
 腹を抱えんばかりに笑う。

「違う違う。むしろ僕はそう続けたかったのさ。困るね、人の台詞を奪ってもらっては」
 いつもと若干違う、どこか緩んだような笑顔で佐々木は笑っている。
「困ったね、やはり僕もまだまだ修行が足りない」
「俺の適当な感想に反応するなよ」
 肩をすくめてやった。

「ま、そういう事さ。学問に王道なし。けれど物事に経験が必要なら、大成にはどれだけの時間が必要なのだろうね」
「そんな大層に考えるような事じゃねえだろ。どうせ人間、できる事はロクにねえよ」
「かもしれないね。けど、どうせやるなら有意義にやりたいじゃないか」
 俺はこの不味い焼きそばで十分だよ。
「くっくっ、そうかい?」
592「不味いぞ佐々木」3:2012/04/23(月) 00:18:35.62 ID:aY8msiYr
 佐々木は何故か嬉しそうに、そして、どこか寂しそうに俺が焼きそばを平らげるのを見届けると
 別に用意していた既製品の業務用焼きそばを調理した。可もなく不可もない。うん、これ大量に買っときゃいいだろ。
 若干コストは上がるだろうが、ま、そんなもんだ。
 俺達はまだ所詮中学生なんだから。

「そうだね。僕らは所詮まだ子供だよ」
 だからまだまだ時間はある、けれど時間は有限でしかない。だから一つに絞り込むのがベストなんだろうね……。
 そう哲学的に呟く佐々木を眺めながら、俺はありきたりな味の焼きそばを啜る。
「まったくな。佐々木、お前は何事も難しく考えすぎだぜ」
「くく、性分だから仕方ないよ」
 顔を傾け苦笑する。


「……もし、僕が天才肌ならもっと違ったのかもしれないけれどね」
 一を聞いて十を知る。断片から想像し、全体像を組み上げられるような思考能力。
「お前は十分天才だよ。お前みたいな奴は他にしらん」
「くっくっ、お褒め頂き嬉しいけれど面映いね」
 言ってやきそばに箸をつける。

「例えば、オイスターソースやきそば、という単語から適切な調味料・バランス・調理を組み上げて実現するには
 ソースや調味料が、分量によりどの程度の味を出せるものかを知っているかが大事だ。それが経験、或いは知識というものだよ」
「お前は料理経験が少ないから、単語から料理を再現できなかったってか?」
「そういうこと。だから経験と言うのは大事なのさ」
 実際にやってみた経験が生きてくるのだから。

「しかし経験や知識がなくとも、容易にやってしまう人もいる。そういう人こそ天才と呼ばれるべきなんだよ」
 どこか寂しげに、しかしきっぱりとした口調で言う。こいつはそれでもいいのだ。
 そう自覚しているから、だから知識で判断材料を増やしているのだろう。
 自分に出来る事で、自分の不足を埋めようとしているのだろう。
 それを全力でやってきたから、この知識量なのだろう。

「下手に褒めて悪かったな」
「いやいや、それより残りをやっつけてしまおう」
「けどな、そうやって自分を理解したうえで克服しようと出来るのは、俺に言わせりゃやっぱり才能だぜ」
 二人で皿の両端から残りの焼きそばを啜りながら、俺はひょいと箸を上げた。
593「不味いぞ佐々木」4:2012/04/23(月) 00:18:52.44 ID:aY8msiYr
「佐々木、お前は努力する才能があるって事だ」
 それって結構凄いことだぜ。少なくとも俺にはねえ。
 すると奴の口の端が持ち上がり、ニヤリと俺を見返してきた。
「くっくっく。……なかなか詩的な持ち上げ方をしてくれるじゃないかキョン」
 言われりゃそうだ。すまん忘れろ。

「やだね。座右の銘にさせてもらおう」
「んな珍しい言葉じゃないだろ。どっかの漫画にでも出そうなベタでありきたりな言葉だぜ」
「くっくっ、悪いが僕にとってはそうではないからね」
 どこに違いがあるってんだよ。
「決まってるよ」

「キョン、僕を知っているキミが言ってくれた言葉だという事さ」
「知らねえよ」
 佐々木の顔を遮るように皿を上げ、俺は残りをまとめて掻きこむ。
 きっとこいつはいつもの顔で笑っているのだろうから。
 見慣れた顔なら見る必要はない。
 そんだけの事さ。

「ねぇ、キョン」
「なんだ、佐々木」

「耳、赤いよ?」
 うるせえ、お前が紅しょうが入れすぎたってだけだ。そんだけだよ、そんだけだ。
594この名無しがすごい!:2012/04/23(月) 00:23:27.70 ID:aY8msiYr
ちょうどオチが弱い話だっただけにというお話
595この名無しがすごい!:2012/04/23(月) 08:23:20.09 ID:2+v4cuQP
596この名無しがすごい!:2012/04/23(月) 08:34:10.15 ID:GCQu/w6/
GJ
中学時代の話はやっぱりいいな。
佐々木さんのコンプレックスはかなり尾を引いている様子だけど、理解者がいれば救われるものだろうな。
597この名無しがすごい!:2012/04/23(月) 11:56:51.44 ID:M2SQAdnO
GJです
598この名無しがすごい!:2012/04/23(月) 16:17:28.14 ID:5kLOvg+Q
佐々木
かわいいよ
佐々木
599この名無しがすごい!:2012/04/23(月) 18:24:28.61 ID:3SvqjmzV
佐々木さんに電話をして小難しい話をしてくれるように頼んでその直後に電話を放り投げて
一生懸命喋り続けているのを延々と放置してみたい
600この名無しがすごい!:2012/04/23(月) 19:28:16.84 ID:7ysziTMP
>>594
乙(´ω`)乙
センスの要ることは苦手な佐々木さん、だからこそ知識と練習といった努力で補える分野は優等生なイメージ

>>599
セールスの電話に無視ならやったw全く反応しないでいたら20秒ほどで切れた
601この名無しがすごい!:2012/04/23(月) 21:43:15.48 ID:aY8msiYr
>>「くっくっ。だが失敗だけで止めておいては進歩がないだろ?」
いやセンス云々というか、この一語と>>591辺りが当方的な佐々木さんのイメージだというお話。
という訳でwiki上でちょいと修正を加えておくことにしよう。
602この名無しがすごい!:2012/04/24(火) 04:49:53.52 ID:2D6pR8j9
>>593
603この名無しがすごい!:2012/04/24(火) 08:27:07.21 ID:Mw3SMrQq
佐々木さんの目力
604この名無しがすごい!:2012/04/24(火) 13:21:05.81 ID:Sxe/6wUv
いやーSSって本当に良いものですね
それでは
サヨナラサヨナラ
605この名無しがすごい!:2012/04/24(火) 18:53:30.67 ID:odNVdKVp
ちょっと佐々木さん聞きました?まだ4月だというのにもう真夏日ですってよ
606この名無しがすごい!:2012/04/24(火) 23:35:44.82 ID:UVJrNGlf
「気温30度だそうだよキョン。ところで前にキミは僕の手のひらを冷たいと表現したことがあったね」
 あれは、塾の夏期講習が終わろうかって頃だったと思う。
 採点結果がボロボロで、この先大丈夫なのかとぐったりしていた俺に佐々木が言ったんだったろうか。
「キョン、気に病むことはないよ。そうだね、色即是空と言う言葉を知っているかい?」
「しきそくぜくう?」
 夜の闇、行き交う車のライトの中で佐々木の目が光る。
 自転車を押す俺にあいつは言った。

「色即是空。まあこの場合は『全ての存在は単体ではなく、互いに依存しあって存在している』と考えてくれ」
 顔を上げた俺に滔々と告げる。どっかで聞いた覚えはあるんだが。
「仏教の言葉だよ。聞いた事くらいあるだろう?」
「そういやあるかもしれん」
 俺はどこか違和感を感じたが、佐々木はいつもの調子で続けた。
 塾帰りの夜の闇で、どこか感覚が狂っているのか。

「例えば豊かな大地が植物を慈しみ、やがて朽ちた植物が大地を豊かにするように。誰もが誰かを支えているのさ。
 キミも誰かを支えている、だからキミは決して無力じゃないよ。そして誰かがキミを支えている。だから気に病むことは無い」
 それは佐々木らしくも無い、とても解りやすい平易な言葉。

「はん。俺なんかに支えられてる奴なんかいねえよ」
 なんとなく反抗的な事を言ってやると、くすくすと笑われた。
「そうでもないさ。そうだね、例えばあの可愛らしい妹さんだってそうだろう?」
「そうか? まあ確かにあいつのストレス発散くらいの役には立ってるかもしれんけどな」
 昔、泣き人形だった妹を思い出す。

「きっとご家族みんながそうさ。それに国木田くん、岡本さん、須藤に中河、クラスメートやクラス外にも仲間はいるよ。
 もし彼らがキミの失敗を喜ぶような連中だとでも思っているなら訂正しておいた方がいい」
「だからって俺が受験に落ちたら、きっと総出で袋叩きだぜ」
 夜の闇に、肩をすくめる姿が見えた。

 佐々木らしくもない、とても解釈が簡単な言葉。
 もしかしたら、こいつは俺を励まそうとしているのじゃないだろうか。
 それでもひどく遠回りではあるけれど、こいつが誰より遠回りで小難しい奴である事はとっくに先刻承知の上だ。
 まったく面倒くさい奴を友達に持ってしまったもんだと改めて思う。

「なあ佐々木」
「それに、僕もね」
 言葉を遮るように佐々木がポンと俺の肩を叩くと、ちょうど来ていたバスの扉が開いた。
 ちゃんとタイミングを計って会話を組み立てていたらしい。
 相変わらず無駄に聡いな。敵わねえ。

「じゃあまたね、キョン」
「おう、またな佐々木」
 ひらひらと手を振り別れた、夏の気だるい夜の出来事。
 しかし佐々木の言葉は、不純物が凍り落ちて澄み切った冬の空気のように、どこか心地良いものを俺に残していた。
 さっき言えなかったことを呟く。どうせ対面じゃ言えないだろうしな。
「……ありがとよ」
『それに、僕もね』
 ふと、いつかの夏の日を思い出す。
 触れた手の感触、夏の夜気よりなお暖かいキミの体温を。
 結局、僕はキョンに手のひら以外では触れなかった。それは僕が勝手に課したルール。

『何より、誰より、キミは僕を支えてくれているよ。だから自分を卑下しないで』
 だから飲み込んだホントの言葉。

 いや、ホントはもっと告げたかった。
 もし本当にあそこで寄り添い、キョンに本音を告げていたら、今、僕らはどうなっていたろうか。
 けど物事にifはない。だから考えるだけ無駄だ。
 
 いつからだろう。キミに好意を抱いたきっかけは特に思い出せない。
 ただ、いつの言葉をひっくり返しても、そこには好意が潜んでいたように思えるのは、精神病のせいだろうか?
 いずれにせよ、それが自覚に至り、やがて否定に達した時点で、僕はまた一つルールを課した。
 彼に依存してしまわぬよう、思い出だけは増やさぬように。

 僕と彼は友達だ。
 誰とだってそうしてきたし、彼は誰よりもそれを受け入れてくれた。
 そうさ、誰よりもそれを受けて入れてくれたからかな? 逆に彼に惹かれてしまったのは。
 だからあの九月の「雨の日」に、彼に女と見られなかった事に、私は激しい衝撃を受けてしまった。
 女と見てくれない彼に、本当は女と見られたかった私に。

 だから改めて思った。『僕は誰にも好かれようとすまい。好意を振舞うことはすまい』と。
 あれは、僕を貫徹できなかった私への罰なのだ、と。

『ねえ、キョン』
 僕は手のひらだけでキミに触れる。
 それ以上は殆ど無い。僕らは自分の過去も夢も話し合ったりしないし、キミの自宅へも玄関以上へ入ったりはしない。
 僕の自室どころか自宅に招くつもりもない、放課後一緒に遊びさえしない。休日デートなんてもっての他さ。
 ましてや抱擁、キスなんてした事もない。
 それが僕が課したルール。
『どうも自覚がないようなので、この件は追求しない方がいいのかな?』
『佐々木、お前その理屈っぽいところを直せばモテると思うぞ』
 僕とキミとは誰よりも仲が良かった。自惚れじゃなしに、きっと壁を壊せる余地はあったと思う。
 キミの言うように「僕」さえどうにかすれば良かったのかもしれない。

 けれど、キミと僕の道は別れてゆく。
 それは避けられない事で、あの雨の日には決定的になってしまった。
 だから止めた。だから大丈夫。「知らない」から大丈夫。キミとの関係はそれでよかった。
 キミに包まれる心地良さも、キミに寄りかかる贅沢も僕は知らない。
 過去も未来も知らなくていいんだ。

 もし知ってしまえば、失った時に耐えられなくなると思ったから。
 堪えられないくらいに幸せだと、絶対には失いたくないと我侭になってしまうだろうと、見当くらいはついたから。
 だから遠ざけた。そんなの絶対に知りたくないから。

『さてキョン、いよいよ受験シーズン到来だよ』
『やれやれ』
 先の見えない日々が近付いてくる。
 いや、僕には見えている。

 幸せな中学時代から、未知数な高校生活へ。
 僕らは無力な子供だから、そこに言い知れぬ不安を持っている。新しい人間関係への不安、進学校という競争社会への不安。
 けどきっとこれは受験生には珍しくない感情だ。まったくもって普通でありふれた感情だ。
 だから恐れることは無い。そうさ僕には「夢」がある。遠い未来が見えている。
 だから平気だ。いま怖いのは、たった一つの感情だけだ。

『さよなら、キョン』
『じゃあな、佐々木』
 そして僕らの道は別れた。そして僕らは関係を断った。
 怖くなんか無い。僕には夢が見えている……。


「……どしたん佐々木?」
「あ、ごめん。何か言った?」
 高校。しとど降る雨を見ながら、私はぼんやり考える。
 言葉の飾りをひとつひとつ剥ぎ取りながら、私の本当を考える。私はいつも言葉の飾りをまとっているから
 それから一年、彼と再会。
 それから二週間、彼との冒険。
 そしてまた、彼と離れて佇んでいる。
 何度も何度も振り切ろうとして、それでもまだ佇んでいる。
 つまるところ、僕が僕であるとする程、僕が「僕であろう」と望むほどに彼が遠ざかる日々を過ごしながら。
 僕は、そんなに「僕」でありたいのだろうか。

 キミは僕が「僕でありたい」という望みを誰よりも知っていてくれた。
 同じ目線を持ってくれる喜び。けれど、あなたが理解する程、私はあなたから遠ざかる。
 だって「僕」というのは、異性相手でも平然とし、全く自分の弱みを見せない、強い理想の私だから。
 僕の理想をあなたが知るほど、私はあなたから遠ざかる。
 
 そして「僕」を好きだと言ってくれる異性の出現。僕の壁をスルーし、自分の好意で僕の壁を踏み越えようとする人。
 僕がキョンにできなかった事を、僕に敢行してくる人。
 僕が後悔した事を、僕に敢行してくる人。

 キミの傍らに立つ輝く太陽のような異性の存在。
 彼女と張り合おうとすれば、非日常に巻き込まれ「自覚を持つ神様」なんて分不相応な立ち位置を求められる。
 彼女と張り合おうとすれば、否応なく解りやすい恋敵、横恋慕と捉えられ、きっと格下に過ぎない自分を再確認させられる。
 キミに「異性」を感じさせまいと努めてきた、「佐々木」自身が立ちはだかる。
 
 言葉の飾りが増えてゆく。
 そうして「しなくていい」「出来ない」が増えて、自分が雁字搦めになる。
 けれど、縛って縛って、ねじってよじって細く硬くしてゆく事で、ようやく通れる細い道もあるはずだから。
 そうあろうと努めてきたから……。


『色即是空。空即是色』
 けれどまた夏の日がフラッシュバックする。
 あの時、僕は「誰もが依存しあっているのだよ」と彼に言った。
 世界という存在が相互に依存しあい存在するのであれば、逆に言えば単体で存在するという事はないのだ。
 単体であろうとするのは、無理があるのだ。

『僕がこの世に異議を唱えるような不満はあまりないんだ。率直に言って僕はあきらめている。
 不条理な矛盾だらけの世界を作り上げたのは時の積み重ねだ。ちっぽけな誰かが作り変えられるものだと思わない』
 もちろん、今でも『世界』という大きな世界は、僕如き小さな存在に動かせるものとは思っていない。
 大地から草を一本引き抜いたところで、大地と植物のサイクルが変わらないように。
 強固で大きな因果は、小さな存在など気にしないのだ。
 僕はそんな強固で大きな存在になりたかった。理性に徹し、そういう存在に徹しきれると信じていた。
 けれど私という小さな世界は、そんなに強くも理性的でもないってとっくに知っていたんだよ。
 だから、僕は先んじてキミを遠ざけてしまったんだろう?
 そして痛い程に知ってしまった。

 たった一つの存在が欠けてしまっただけで、私の小さな世界は、こんなにセンチメンタルになってしまう。
 ただキミと一緒に居られるだけで、私の世界は、あんなにも笑顔が止められなくなってしまう。
 誰だか知らないが、鍵、だなんて本当に上手く言ったものだと思う。
 たった一つのしかない私の切り替えスイッチなのだから。

 中学時代、僕が勝手に定義した「ただの友達」をどこまでも徹してくれたあなた。
 一方的に言い募って小難しく自己完結して振り切ろうとした僕に、あなたがくれた「同窓会まで」の冷却期間。
 身勝手に「親友」と言い張った僕を、親友と呼んで送り出してくれた声。
 私の身勝手な定義を、どこまでも受け入れてくれるあなた。

 私は誰より我侭だから、誰より人が良いあなたに寄りかかりたい。
 私は誰より我侭だから、誰より人が良いあなたを支えられる、そんな強い私になりたい。

『判じ物なら間に合ってるぜ』
 ふと、キョンの声が聞こえた気がした。
 途端に判じ物、言葉のパズルの縛りが解ける。私のやりたい事、私が居たい場所、それは本当に相反するもの?
 私がやりたい事はもう解ってる。なら本当に私の居たい場所を考えよう。
 真っ先に浮かんだのは給食の時間。
 キミに悪友が居ても、周囲に可愛い子が居ても、それでも二人でいた給食時間。
 二人きりの自転車じゃない、周りにたくさん人が居て、それでもキミが一緒に居てくれたあの時間。

 世界に二人きりなんてありえない妄想は要らない。
 けれどどんなに沢山居ようと、私は一番そばがいいんだ。友達でも親友でも恋人でも家族でもいい。言葉の飾りなんて関係ない。
 ただ、キミの一番そばにいたい。


「……佐々木、おーい、佐々木ってば!」
「くく、なんだい?」
「へ?」
 そこは高校の教室。
 すとんとパズルが嵌った嬉しさに、思わず「僕」で返す私。
 彼女達が凍りつき、それから一斉に笑った。頬の火照りをごまかして、私は鉄の佐々木を演じる。

「んふふ、またドリーム?」
「ドリームって」
「まま、雨がわさわさ降ってて鬱陶しいしさ、今日もいつものとこ寄って帰らない?」
「あ、それよりあたしサーティーワンでアイス食べたいな。私学のくせに冷房ケチるとかどうよホント」
「もう、全国模試が近いのに息抜きばかりはよくないわよ?」
「ふふん、息は抜かなきゃ吸えないじゃない!」
 それを言うなら息を吐くでしょう。

「困難に立ち向かうには、まずは息抜きが必要なのよ!」
「慌てない慌てないっ、一休み一休みってね!」
「はいはい」
 私に息抜きなんかは必要ない。
 けれど、個人で動かせない事態というのはどうやっても存在するのだ。例えば彼が非日常に嵌り込んでいる様に。
 いま私が乗り込んでも、むやみに事態を引っ掻き回すだけであるように。
「けど糖分を取ったらちゃんと勉強が必要よ? 自分の成績は解ってるでしょ?」
「ぎゃー、もうそういう身も蓋もない事言うから佐々木さん大好きー」
 机に突っ伏す彼女に、追い打ちのような突っ込みが入る。

「あんたさ、普通それって「嫌いー」になるんじゃないの?」
「えー。だって耳が痛い事言ってくれる人が誰か一人くらい居ないとマジでダラけるしー」
「あんたって向上心がないんだか有るんだかマジで解んないわ……」
「やや、わたしはわたしよ」
「くく、トートロジーでごまかしてもね」
 大事なのは自分の立場と能力をよく把握する事だ。
 それが問題解決に繋がるのだから。

「向上心なかったらこんな学校居ないわよ。マジで」
「マジでマジで」
「はいはい」
 だから今は把握し、そして努力に努めよう。
 どのくらい、私が私であるのかどうか。涼宮さんに張り合うにはどのくらいの私になれば良いか。
 彼に逢えない時間があっても、私に出来る事がない訳じゃないのだ。
 もう彼と私は「友達」じゃないんだ。
 僕と彼だって特別なんだ。

 雨の中、下駄箱でパッと傘を差すと、校門に見慣れた傘が見えた。
「おお、佐々木の通い妻じゃん」
「誰が通い妻ですか」
「や、ダディアナさん」
「橘です」
「いきましょ橘さん」
 ぽんと橘さんの肩を叩いて歩き出す。
 そうさ、歩いていこう。もちろん後悔は山ほどある。
 けれど中坊時代の後悔を、またまた後悔の原因につなげたような、後悔の無限ループはもう止めよう。
 やりたいことに目を見据えて、やれるように自分を変えよう。人が科学を発展できるように、私は私を発展できる。
 キミと正反対へ歩いて行ったって、道はまた交差するさ。
 だって地球は丸いのだしね。

「色即是空、空即是色……」
「なにそれ?」
「般若心経?」
 思わず漏らした呟きに、周囲がまたまた反応する。
 さてどう返すかと思案するより、先に飛び出してきた言葉は

「ひゃー、また佐々木の厨二病が始まったぁ」
「その呼び方だけは止めて!」
 止みかけの雨の下、カラフルな傘が交差した。
 そうさ私はひとりじゃない。けれど、それでも一番そばにいたい人が私には居るのだ。
 それだけは譲れない私の本当。だから

「いやいや諦めなよ」
「それだけは止めてお願いだから」
 だから、私は諦めない。

)終わり

 分裂P135での「他にいない」発言は、九曜はダメ宇宙人→でも他に宇宙人は寄ってこなかったんだよ→他にいるのかい?
 という文脈だと思うし、キョンハルヒ共に評するように、彼女は社交性高いから普通に友達がいると思うし
 女性率が低い学校であるなら少数派同士で仲が良いんじゃないかなと。そんな話
615この名無しがすごい!:2012/04/25(水) 01:00:58.67 ID:1uJdCffI
乙。高校の同級生はレアだな。
この佐々木さんそのうち素数数え始めたりしないよな。

あと橘がフリーダムw
616この名無しがすごい!:2012/04/25(水) 07:24:55.41 ID:z0RAKrs3
乙〜
途中まで凄く切なかったから、最後あたり前向きな佐々木さんは救われる
周りの女子生徒達とも仲良さそうでなにより
617この名無しがすごい!:2012/04/25(水) 07:31:28.14 ID:5MMg5kWO
大学の工学部や理学部だと女子率が低い学部が多いんだよな
618この名無しがすごい!:2012/04/25(水) 17:49:05.03 ID:1X6VSDwI
乙 佐々木さんの内側ってこんななのかとしみじみした
619この名無しがすごい!:2012/04/25(水) 21:41:02.55 ID:1X6VSDwI
高校の同級生はそれとして友人関係を築くのはいいと思うんだけど
ハルヒと佐々木さんはきっかけさえあればこれ以上ないくらいの友になれるよねきっと
ハルヒにしても佐々木さんにしてもひょっとしたらキョンよりもお互いにとって大きな存在かも
620この名無しがすごい!:2012/04/25(水) 23:21:38.82 ID:z0RAKrs3
鏡像みたいなものだからね
文字通り正反対、なのにそっくりな二人
621この名無しがすごい!:2012/04/25(水) 23:58:25.43 ID:Jyk+VLYu
Part61で驚愕が出るまで「自己完結して身を引こうとする佐々木を、ライバルとして舞台に引っ張り上げるハルヒ」みたいな展開が
結構見られたのは、この二人が以心伝心して良い友達になれそうな雰囲気があったからってのもあるよね
長編22-723のアンダー・グラス・ラブソングみたいにさ
622この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 08:10:37.86 ID:VH8r1FBK
>>614
佐々木に友達いるというのは、原作の曲解だと思われ
623この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 18:12:27.95 ID:t4nu3ndP
枕今日?
624この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 18:58:09.19 ID:N/IZ0vcw
少年エース今日だね
625この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 19:40:55.11 ID:b0dUConH
⌒(`Д´)⌒<なぜ佐々木さんの裏があたしじゃないんDEATHかっ!
626この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 20:30:16.62 ID:FVqDqp49
エース発売?
627この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 20:32:27.83 ID:t4nu3ndP
明日買ってこよう
628この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 21:32:03.59 ID:8cmjV/vm
>>622
佐々木に女友達が居るとも居ないとも明言はない。答えが無い事への解釈は曲解とは言わない
629この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 22:36:49.68 ID:YYWgx1bz
とりあえずエース入手。

カバーはとっておくだけかな。

漫画はまずまずというところ。藤原が顔芸入っている?
630この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 23:10:05.73 ID:YYWgx1bz
分裂見た感じだと中学のときは輪に入れるくらいには女友達いたみたいだね。
高校ではどうなのかは想像しかできんわけだが。

同性と女口調で話す場面が少ないのが難しいところだ。
覚えている限りではハルヒとキョン妹くらいしかない。
しかもほとんど丁寧口調でくだけた感じだったのはハルヒに対しての進言のみ。

橘・九曜とは得体のしれない存在と相対するためなのか(キョンと藤原がいるせいもあるかもだが)
男口調で通していたしな。


ところでキョンの妹が佐々木のことをお姉ちゃん→お姉さんに変わったのはなんでやろうな。
妹も妹なりに成長しているということか佐々木が変わったことを感づいたからだろうか。
あんまり考えなくてもいいのかもしれないが。
631この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 23:11:47.47 ID:FVqDqp49
>>630
妹ちゃんにとって、お姉ちゃんはハルヒだよ
632この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 23:12:20.59 ID:2pTiLV4l
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
633この名無しがすごい!:2012/04/26(木) 23:41:59.52 ID:b0dUConH
>>630
そのうちお義姉さんになるよ
『じゃあな、親友! また同窓会で会おうぜ!』
 あれはいつかの公園の事。それから僕らは反対に歩いていった。
 僕はすいすいと、キミはきっと気だるげに。

 きっとキミの中の僕の想い出は、いつか彼女たちに塗り替えられていくのだろう。
 二人歩いた通学路、僕の肘跡が付いたキミの机、語り合った休み時間も、嫌がるキミへの個人補講も。
 僕の場所だった自転車の荷台も、二人で見上げた四季の夜空も。
 ペンキで上からなぞるように。

 でも、僕がここにいた事だけは憶えていて。
 それだけ憶えていてくれたなら、きっとペンキの地肌のように、或いは塗り残しのように、残滓だけでも残るだろうから。
 また出会えたその時に、キミの記憶を掘り起こせるから。
 僕の綺麗な部分が、そっとキミへと呟いた。

『は――はは―――――ばかみたいだわ……はは―――』
 いつかの九曜さんが脳裏に浮かぶ。そんな僕を嘲笑うように。

 彼と涼宮さんが歩いている。彼の勉強を涼宮さんが指導し、彼の自転車に涼宮さんが二人乗りする。
 彼の隣に彼女がいる。キミの隣に僕がいない。
 モザイクのように僕が消える―――

 ――止めてくれ! せめて思い出だけでも残してくれ!

 手放したのは僕だ。キミ達に割り込もうだなんて言わない、そんな見苦しいことなんて言わなかったでしょ!?
 思い出だけでもいいの、だから彼の思い出だけは塗りつぶさないで!
 せめて、思い出だけでも取らないで!
 身勝手な私が誰かに叫ぶ。
 私はそんなに綺麗じゃない。
 彼が思うほど、私は「佐々木」なんかじゃない。
 なのに私は肩肘張って、何を失ったのだろう。なんで泣き叫ばなかったのだろう。
 いつも彼を覗き込んでいたくせに、何で一度もまっすぐに見て「好きだ」と言えなかったんだろう。
 何回後悔を繰り返せば気が済むんだろう。

『なんだ、美顔効果でもあるのか?』
『いや、どうもキミと話している時はなんだか笑っているような顔に固定されているようでね』
 子供みたいな関係だって? それがどうしたんだよ。
 昔を懐かしんでるだけだろって? 知らないよ。
 ただ「好き」なだけじゃいけないの?

 いつも彼の顔を覗き込み、彼の背中に手を乗せていた。
 そうよ、たった一歩だけ彼のパーソナルエリアに踏み込む勇気を持てば、彼の胸の中にだって行けたのに。
 あの雨の日に感じた体温を、独り占めにだってできたはずなのに。

『二週間ほど前になる、僕は告白された』
『報道された出来事だけが事実かい? 想像力を働かせたまえ』
『世界で唯一、キミだけなのさ』
 回想する。そうさ、私は女の子なんだよって、私を理解してください、って何度も僕は叫んでた。

『キミの選択に余計なノイズを与えるのは得策ではなかっただろうしね』
『僕は解りやすい敵役になんかなりたくなかった。安請け合いするほど貧していないつもりなのでね』
『イヤだなあ、まるで告白しているみたいじゃないか』
 回想する。なら何で冷笑家ぶってごまかそうとするんだ、お前はいったいどっちなんだ?
 お前だ、お前だよ、なあ「佐々木」? なあ「私」?
 なんて中途半端な「私」なんだ。
 そんなだから―――


『やあ親友』
『それ、誰?』
 涼宮さんが私を指差す。
 その隣、キョンが、首を傾げて私に言うんだ。

『すまん、誰だっけ?』
 
『は――はは―――――ばかみたいだわ……はは―――』
 九曜さんはまるで壊れたレコードのように笑う。笑う。笑う。だから、その胸を強く……

「痛いぞ佐々木」
 ……キョン?
「…………キョン、ついたてがあったはずだろう? 乙女のパーソナルエリアに勝手に侵入するだなんて感心しないね」
 夢?

 夜明けは遠い、真っ暗闇の和室。
 ついたてで区切って、二組の布団が敷いてある。
 そうだここは旅館の一室、僕はキョンと大学合格記念に小旅行に来ていて…………。

「悪かったな」
「まったく。僕はキミを性差を越えた親友と認識していたのだが」
 暗闇でも、ばつの悪そうなキョンがはっきりと認識できた。急速に頭が目覚めていく。
 なんだろう。ひどく嫌な夢を見ていた気がする。
 ダメだ。「佐々木」を再起動しないと。

「それとも何かい? ついに僕はキミの三大欲求の餌食になってしまうのかな?」
「そうだな」
 唐突に視界が彼で埋まる。
 抱き寄せられたのだ、と理解したのは、彼の胸に顔が埋まってしまってからだった。
 むせかえるような彼の匂い、本能を刺激する彼の体温。
 そっと、彼の手のひらが頭を撫でる。

「睡眠欲に負けたんだよ。お前が泣いてちゃ俺が眠れん」
 ぶっきらぼうに言われて気付いた。
 寝ながら泣いてたらしく、みるみる彼の胸にしみが広がる。
「くっくっ。それは悪かったね、我ながら粗相をしてしまったようだ。謝罪するよ」
「要らねえよ」

「…………泣く位なら少しは頼れ」
「キョン、いつか言ったろう。僕に余計な詮索を入れない、それがキミの好ましいところだとね」
「そうだったな」
 我ながら強情だと思う。けれど身体を離すつもりにはなれない。
 ここはたまらなく温かいから。そっと頬を摺り寄せて、僕の匂いをこすり付ける。また一つ矛盾を重ねる。
「……でもな。俺も、この二年で新しいことを覚えたつもりだぞ」
「本当かい?」
 くっくっ。喉奥から自然と笑いがこぼれる。

「当たり前だ。第一、言い募って勝手に自己完結してセンチメンタルに別れて、察してくれと言わんばかりだったろ」
「キミは鈍重な感性が売りだと思っていたんだがなあ」
「茶化すなよ」
 体温が「佐々木」を誤作動させる。
「つうか鈍重な感性だって解ってるなら、理解する時間くらい俺にもくれ」
 確かにね。やっぱり僕は自分勝手なんだなと思う。
 いつも僕から勝手に関係を断ち切ってきた。

「……あげたからここに居てくれるんだろ」
「まあな」
 さっと立ち上がるキミの耳が、暗闇でも真っ赤に見えたのは気のせいかな?
 喉奥で笑っていると、向こう側に戻りながらキョンが言った。

「だが佐々木、やっぱ部屋は分けるべきだったんじゃねえかな」
 言われて気付いた。すっかり寝乱れた浴衣は、確かに少々刺激的だったかもしれないね、と。
 ついたての向うでそっぽを向く彼に、さらりと言い返してやる。

「くく、酷いな。僕は一人で泣き寝入っているべきだったというのかい?」
「そうは言わねえよ。けどな」
「添い寝してくれとまでは言わないよ」
「そりゃ言うなよ」
「けど傍には居てくれないかな」
 ほんの少し込めた真剣味に、視線が返ってくる。

「そうだね。僕がキミを押し倒したくなるかもしれないからね」
 ついたての向うで、彼が盛大に噴出すのが聞こえた。
)終わり
638この名無しがすごい!:2012/04/27(金) 01:34:32.49 ID:v66f9PkV
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
639この名無しがすごい!:2012/04/27(金) 07:41:31.20 ID:gUC4dSK/
>>637
おはおつ!最初の雰囲気に不安覚えたから、先に結末読んでしまいましたごめんなさい
はい、安心してニヤニヤしながら読みました
640この名無しがすごい!:2012/04/27(金) 10:40:06.46 ID:Zd2myXYM
>>632,57,75,77,121,148,175,423,502,530
>>638,57,75,77,121,148,175,423,502,530
641この名無しがすごい!:2012/04/27(金) 23:06:50.21 ID:gUC4dSK/
明日から連休ですね佐々木さん
佐々木さん達はやっぱり塾で集中講義とかなんだろうか…
642この名無しがすごい!:2012/04/27(金) 23:47:59.01 ID:V1Eoy7EC
今回もwikiで改訂。書いた後一旦寝かせて読み直してから投げるようしてるけど中々客観視しきれん
しかし今度の連休はどうも天気が怪しいんだよねえ
それはそれでネタになるが
643この名無しがすごい!:2012/04/27(金) 23:54:54.13 ID:Qyceqm0t
連休に旅行行く奴等はバカ
644この名無しがすごい!:2012/04/27(金) 23:59:01.66 ID:042RhI6v
645この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 00:24:54.00 ID:flLjzvyk
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
646この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 05:06:41.80 ID:0smf7flv
変な時間に目が覚めちゃったよ佐々木さん
でも気にせず二度寝お休み嬉しいです
647この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 06:00:32.24 ID:flLjzvyk
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
648この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 10:27:56.54 ID:0b840Pah
>>645,57,75,77,121,148,175,423,502,530
>>647,57,75,77,121,148,175,423,502,530
649この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 11:37:21.07 ID:NWL81XrV
少年エースの表紙の佐々木さん可愛い
650この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 20:05:52.98 ID:0smf7flv
稲葉2000本安打達成おめでと佐々木さん
651この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 21:18:07.83 ID:eN1+q0mb
「連休はどこも大渋滞だぜ。旅行なんざ正気の沙汰じゃねえよ」
「くく、確かにね。だが連続で休暇が取れるからこそ二泊三日と言った旅行が出来るんじゃないか」
 意外だな。佐々木は有給とってでも閑散とした平時に旅行するような奴だと思ったが。
「一人旅ならそうだね。けれど二人以上で旅をするなら、一律に休暇が取れたほうがいいだろ?」
「まあ有給って言っても仕事の兼ね合いがあるしな。理にかなってるか」

「とはいえ行楽地は騒がしくていけない。どうだい? 僕の母方の実家がちょっとした田舎なんだが……」
 そしてその年の黄金週間から半年後、俺は責任を取って佐々木と結婚した。
 いわゆる出来ちゃった結婚という奴であった。

>>643
こうですか? わかりますん!
652この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 21:37:25.37 ID:0smf7flv
>>651
キョンが賛同してくれるか、佐々木さんの体の周期は合うか、行為に至ったとして無事に着床するか等々作戦として穴が多過ぎるから、これは間違いなく佐々木さんの策ではない
つまりキョンは最初からやると決めて同行し、戻って来た後も実を結ぶに至るまで努力を続けた結果だな、うん
653この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 22:56:35.08 ID:raDnC/Hn
エースの佐々木さんはかわいい
654この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 23:43:11.70 ID:tSnU3rO2
佐々木ってキョンが眼中になかった負け犬なんだよね
655この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 23:46:20.49 ID:oJEx/4vp
佐々木さんと海に行きたい
656「キョン、思考は自由にあるべきだ」1:2012/04/28(土) 23:55:46.90 ID:eN1+q0mb
>>461シリーズ

「ところでキョン」
 佐々木はいつものシニカルな笑顔を浮かべて言った。
「いつか僕の笑みをシニカルと評した事があったね。シニカルとはどういう意味だったかな?」
「お前は俺の思考でも読めるのか」
「何のことかな」
 くつくつと喉奥で笑う。

 俺にとっては高校帰りの、あいつにとっては塾休みの。
 夕暮れの宵闇が夜の闇へと変わりきる、ほんの小さな間隙の時間。俺とこいつは喫茶店で語り合う。

「あー、皮肉屋っぽいとか否定的な、とか、そんな感じだろ」
「そうだね。ただそうなると僕は悲しむべきなのかな? キミにそんな目で見られている事に対してさ」
 佐々木は大げさに、それこそシニカルな笑顔と仕草で微笑んでくる。
「今まさに皮肉っぽく言ってるじゃないか」
「くくく、そうかもね」
 言ってクリームソーダをかき混ぜた。

「ところでシニカルの語源を知っているかい?」
 知っていると思ったか? と返してやると、ここぞとばかりに笑みの形が変わる。
「いやいや、キミの博学さは僕から見てもなかなかのものだよ。そう卑下することは無いと思うんだがね」
「今まさに知識のなさを晒してる俺への皮肉か?」
「気に障ったなら謝罪するよ」
 かき混ぜる手を止める。

「せんでいい。むしろ俺は適度に利口で適度にものを知らないから話しかけ易いんだろ?」
「おや、覚えていてくれたのかい?」
 今の今まで忘れてたよ。
「くく、そうかい」
 忘れてたって言ってるだろ。だからそんな顔でこっちを見上げてくるんじゃねえ。

「話を戻そう。これは古代ギリシアの哲学一派、キュニコス派=cynicからきているんだよ」
 なるほど、なんとなく佐々木が好きそうな話になってきた。
「禁欲を重んじ、かつそれを実践する集団だったそうだ」
「なんか宗教っぽいな」

「そうだね。この場合『人はどうあるべきか』という事を考えているという点ではよく似ている。
 ちなみにキュニコス派はシニシズム、キニク派、それに」
 言いかけて佐々木は手を止める。
 どうした?
657「キョン、思考は自由にあるべきだ」2:2012/04/28(土) 23:56:41.50 ID:eN1+q0mb
ああ勿論シリーズって言っても独立しとるよ念の為

「いや、何でもないよ。そして有名な人物と言えば、あー、樽のディオゲネスだね」
「ああ聞いた事あるぞ。樽で暮らしてたって変人だろ」
 変人。ふと佐々木を見つめてしまい、偽悪的に笑み返された。

「くく何かな? そんな目で見られたら穴が空いてしまうじゃないか」
「こんなんで空くなら服屋は大もうけだな」
「逆にポルノ業界は開店休業だろうね」
 年頃の娘が言う事じゃないだろ。とは思ったが、ニヤニヤ見つめてくるので返事を変えた。
 どうせそういう反応が欲しいのだろう。

「世の中健全になっていい事じゃねえか」
「そうかな? ともあれ今の話はディオゲネスとも符合するね。彼は裸も同然の格好で暮らしていたという逸話がある」
 ああそうだ。そんな話だったな。そんで酒樽に住んでたから「樽の」って呼ばれてるんだったか。
「樽に住んでる癖にやたら偉そうな奴だったんだよな」

 特に有名な逸話なら俺も知っている。
 かのアレクサンドロス大王が将軍として赴任してきた時でさえ、そいつは顔を出さなかった。
 アレクサンドロスが自ら訪れ、更には「何か欲しいものはないか」と問うても、「ならどいてくれ。日陰になる」と追い払う始末で
 その人を食った有様に、将軍は「私がもしアレクサンドロスでなかったらディオゲネスになりたい」と言ったという。

「そう。現代ではそうした逸話の方で有名な人物と言えるだろう」
 人を食った笑顔で笑う。裸も同然の格好か。裸も同然の格好……いや。
「ならキョン。ディオゲネスは道端で平然と自慰行為をしていた、という逸話は知っているかい?」
 思わず連想してしまい、コーヒーフロートを思い切り噴出してしまった。
 おいこらそれこそなんつうかだな、ってすまん!

「くく、コーヒーのおすそ分けとは痛み入るよ親友」
 言って顔にかかった液体をペロリと舐めとり、残りを紙ナプキンで丁寧に拭い取ると
 さすがに怒ったのか軽く朱が差した頬で一礼し、席を立つ。
「すまん佐々木」
「いやいや。しかし思ったより苦いものだね」
 言って頬をすぼめソーダを吸う。

「それに顔がベタベタするよ。悪いがちょっと顔を洗わせて貰ってくるね」
 お前はなんでそう人聞きの悪い言い方を……いや俺の方がおかしくなってきてるぞコレ。
 なんでだ。むしろ佐々木は俺に性差を感じさせない友人であってだな。

「なに一人で百面相してるんだいキョン」
「早いな!?」
「髪が短いからかな?」
 これっぽっちも関係ないだろ。
658「キョン、思考は自由にあるべきだ」3:2012/04/28(土) 23:57:09.03 ID:eN1+q0mb
「さて自慰の話だったか」
 今度は全力でコーヒーを口内にとどめる。
「おやおやそんな真っ赤な顔でこちらを見つめないでくれよ親友。勘違いしてしまうじゃないか」
「何の勘違いだか知らんが全力で困れ」
「くく、では困らせてもらおう」
 ええい人を食ったような奴め。

「そう、人を食ったような態度こそディオゲネスの真骨頂だったと言えるかもしれないね。
 彼は欲望から解放された、何事にも動じない心こそが大事だとした。だから力と富を持つアレクサンドロスにも動じなかったのさ。
 同様に彼は公衆道徳、知識と教養も蔑み、学者たちを嘲笑したという」

「前者はともかく、後者は真っ向からお前に反してるな」
「僕は決して後者を正しいとは言わないが、一定の理解はあるよ。空想や規約に拘り現実に目を背けるようでは本末転倒だ。
 そして前者もまた正しいとは言わない。心が木の葉のように揺れてこそ、人は人だと言えるかもしれない」
 言って本日最高にシニカル、皮肉屋じみた笑顔を浮かべる。
 どこか苦虫を噛み潰したようにも見える。

「それ、他人の言葉で自分を規定することはない。既存の何者かである必要などないのだから。
 例え憧れを抱いたって、当てはめなくようとしなくても良いのさ」
「相変わらずだな」
 正しいが、どこか茫洋と、見当もつかない事を言う。
 それはこいつ自身が答えを捜し求めている最中だからなのかもしれない。

 そういやこいつはよくシニカルに笑っている。
 けど俺には別に不愉快ではないのだ。不愉快だったらとうの昔に友達なんかやめているさ。
 コイツのシニカルさ、或いはシニカルを装ってる何かを、俺は決して嫌いじゃない。だから一緒に居たし一緒に居るのだ。


「まあ、僕は、あー、そうだ。自分が大切だと思う人に望まれた自分でありたいとは思うがね。
 その上で僕自身の望みと一致してくれれば言う事はないのだけれど」
 言って、アイスが溶けきったクリームソーダを一口に啜りこむ。
「ところでキミのコーヒーをもう一口くれないか?」
「ん。ああ」
 俺が指で押し出してやると、ストローを挿し軽く啜りこんだ。

「いやね。口の中が甘ったるくなった気がしていけない。さて自」
「今度はそれ以上言わさんぞ佐々木」
「それは残念」
 片頬を歪めてシニカルに笑う。
659「キョン、思考は自由にあるべきだ」4:2012/04/28(土) 23:57:35.36 ID:eN1+q0mb
「そうそうシニカルの語源であるキュニコス派だが、犬儒派とも訳される。これはディオゲネスが自然のままに生きた為
 犬のようだ、と揶揄された事に起因するとされている。だから彼は『犬の』ディオゲネスとも呼ばれる」
 言葉を切ると、くつくつと喉奥で笑った。

「犬か。そういえば涼宮さんは「神」だったね」
「なんだ藪から棒に」
「いやね。よく言うじゃないか」
 本当におかしげに笑う。

「神=Godの反対は、Dog=犬だってさ。なら彼女の反対である僕は「犬の佐々木」なのかな?」
 ついには腹を抱えて笑い出したが、俺はなんとなく気に入らなかった。

「海外は知らんが、犬っころ呼ばわりは俺は好かんぞ」
 それに日本の犬と言えば忠犬とかそんなんだろ。お前とは正反対だ。
 お前はどこまでも自由な奴だろ? それこそシニカルに笑って他人を振り回してる方が似合ってるぞ。
 俺なんかお前の弁舌に何回振り回されたか、自覚してるだけでも見当がつかん。
 そう言ってやると、また佐々木の笑みの形が変わった。
 そう、こいつはいつだって笑ってる。
 笑ってろ。

「くく、自由か。しかし皮肉屋ディオゲネスとはある意味で誰よりも自由だったのだよ。
 皮肉とは、同一の思考や常識化で硬直した集団に対し、一石を投げるという事だ。それはとても自由な思考なんだね。
 むろん誰かを傷つけるかもしれないし、排斥される覚悟がいる。それでも構わないという自由な精神。
 くっくっく、ある意味で涼宮さんに最も近い思考とも言えるじゃないか」
 なんとなくだが頭が痛い事を言われた気もした。

「かといって皮肉だけもいけない。不恰好でも懸命に走り出そうとする者を、冷笑するような事があってはいけない。
 ディオゲネスだけでは文明の進歩は覚束ないだろう。かといって不在であれば思考は硬直するだろう。
 多様性が大事なのは言うまでもないね。新しい空気を常に取り入れなければいけない。
 それは人間の呼吸そのものだ、実に良く出来た仕組みじゃないか」

「お前の思考の方が俺にはわからんよ」
「そうかな? しかしキミの一言が基点になったのは解って欲しいな」
 基点が俺でも爆発させたのはお前だ。俺は単に、お前に自分を犬っころ呼ばわりして欲しくないってだけだよ。
 遠大過ぎてそろそろ訳がわからなくなってきたから勘弁しろ。
「それは失礼。要はね」

「キョン、思考は自由にあるべきだ、という事だよ」
 実に当たり前の結論だった。
660「キョン、思考は自由にあるべきだ」5:2012/04/28(土) 23:57:58.24 ID:eN1+q0mb
「くっくっ、そうだね。僕は僕だよ。例えディオゲネスに憧れようが彼にはなれないし、なりようもないんだ。
 僕は演技や舞台なんか向いていないって事はとっくに自覚させられたしね」
「また話がループしてるぞ、これじゃ永遠に続きそうだ」
「おや、僕は悪くないと思っているんだがね」
 帰りが遅くなって怒られても知らんぞ。

「キミが送ってくれるんだろ?」
「まあな」
「それともキミの家で語り明かすかい?」
「それは丁重に辞退する」
「それは残念」
 そんな事になったら寝物語どころか朝まで話が続きそうだ。
 いや絶対続く。断言してもいいね。

 修学旅行のように布団を並べて横になりながら、ずっと俺に語りかけてくる姿が容易に想像できる。
 見たことがある訳じゃないが、きっと明かりもない闇の中でだって、こいつの瞳はやたら楽しげにきらきらしている事だろう。

「せっかくだから、犬らしくキミの布団にもぐりこんでやろうと思っていたのだけどな」
 色々連想し紅潮する俺を眺めながら、佐々木はシニカルに微笑むのだった。
)終わり


■オマケ
「犬らしく布団にもぐりこんだり思うさま撫でられたり膝に甘えたり尻尾で感情を表現したり死ぬまで一緒に居たりとかね」
「風で聞こえんぞ佐々木!」
 自転車で並走しながら佐々木が何かを言っている。言っている気がする。
「大体だな、俺達は今こうして並走してんだろ、つまり俺達は対等だ! お前が犬なら俺も犬だぞ!」
「くっくっく、ならそれはそれで素敵じゃないか」
 そんなに引っ張る話かコレ。

「そんなに犬がいいのか!?」
「だって犬同士なら、理屈抜きでキミに……」
 最後は聞こえなかった。流石に夜道で叫ぶには恥ずかしい台詞だったのだろう。多分。何を言うつもりだったのだか。
661この名無しがすごい!:2012/04/28(土) 23:58:41.04 ID:eN1+q0mb
語源とか面白いよねというお話
662この名無しがすごい!:2012/04/29(日) 08:11:08.25 ID:wHQywJvs
おは(´ω`)おつ
どちらかと言うと佐々木さんは猫っぽいイメージがあるが、やること同じならどっちでも良いやw
しかし博識やね
663この名無しがすごい!:2012/04/29(日) 12:27:08.02 ID:iPiDH8OB
佐々木さん今日は
664この名無しがすごい!:2012/04/29(日) 18:19:00.83 ID:KmOlOD5Z
長門有希の100冊に魍魎の匣という本があったから読んでみたら、
そこに出てくるキャラの柚木加菜子と中禅寺秋彦がやたら佐々木さんっぽくてワロタ
多分谷川はここから佐々木なるキャラ設定のヒントを見つけたんだろうな
665この名無しがすごい!:2012/04/29(日) 22:25:04.65 ID:en6dEkgC
長門も、笹本祐一の「妖精作戦」のキャラのオマージュだって同書の巻末解説で谷川が自らぶっちゃたしな
悪く言いたい訳じゃないけどキャラの芽生えって大概そういうものだよな
着想から再構成する部分が作家の腕の見せ所なんだろう
666この名無しがすごい!:2012/04/29(日) 22:32:14.57 ID:wHQywJvs
明日は雨ですね佐々木さん
しっかり休んで、連休後半へ向けて英気を養いましょう
667この名無しがすごい!:2012/04/29(日) 23:54:27.36 ID:7Xhtt66Y
乙です
668この名無しがすごい!:2012/04/29(日) 23:54:48.89 ID:iPiDH8OB
こんばんは佐々木さん
669この名無しがすごい!:2012/04/29(日) 23:55:45.64 ID:jy6EE+9N
エースのヤスミの表紙は良かった
670この名無しがすごい!:2012/04/30(月) 00:10:12.51 ID:03l4aTiN
犬猫のように本能を解き放った佐々木さんは佐々木さんなのか。
ヤンデレになって解釈した人もいるけど、個人的にはまたそれは違うような気もする。

理性だけじゃ面白みもないし、やはり理性と本能の間で悩んでいるだろう佐々木さんが素敵だ。
その結果が素直クールの成り損ないみたいな態度なんだと思う。
671この名無しがすごい!:2012/04/30(月) 07:36:43.85 ID:jIfCqY6C
佐々木さんを真っ当な手段で素直にさせるには、論理で攻めるしかないな
数人の汗の臭い嗅がせて良い臭いと感じる人のがDNA的に相性が良い証拠とか
672この名無しがすごい!:2012/04/30(月) 13:06:35.19 ID:E6yS8i3U
おはよう
673この名無しがすごい!:2012/04/30(月) 16:26:49.88 ID:tBVsggTP
佐々木よりヤスミを表紙にすべきだった
674この名無しがすごい!:2012/04/30(月) 21:48:00.79 ID:jIfCqY6C
連休の谷間は佐々木さんでも憂鬱になります
たぶん
675この名無しがすごい!:2012/04/30(月) 21:56:19.29 ID:3DyMkLRt
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
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        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
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.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
676この名無しがすごい!:2012/04/30(月) 23:50:31.55 ID:vmimJ60q
佐々木さんとデートしたい
677「報道された出来事だけが事実となるかい?」1:2012/04/30(月) 23:56:57.90 ID:I/ztvvMq
「春だね、キョン」
 夕暮れ時、二人それぞれ自転車を押して歩きながら
 佐々木は綿毛になったタンポポを摘むと、ふっと息を吹きかけた。
 小学校低学年がよくやるような、子供っぽい、ふだん必要以上に大人びた佐々木らしくない仕草。
 その瞳のまま、こちらをくるりと覗き込んでくる。

「おや、何か言いたそうじゃないか親友」
 お前が何か言いたいからそう見えるんじゃないか、佐々木。
「くくっ、それは当てはまらないね。今まで僕がキミに語りかける時、そんなきっかけを必要としていたかい?」
「まあそうだな。お前はいつも聞いてもないのにベラベラ喋る奴だよ」
「嫌なら留めてくれたまえ。僕はどうも空気というのを読むのが苦手でね」
 お前で苦手レベルなら俺はどうなる。
「鈍重な感性だとは思っているよ」
「わざわざ引き伸ばすな」
 鈍感で二文字だろ。
 
「くく、悪いね。どうも気分が高揚しているのかもしれない」
「佐々木、そんなにお前って春が好きだったか?」
 言ってふと気付いたが、先に指摘された。
「それ以前にね、僕はキミと共に春を過ごした経験そのものが殆どないだろう?」
「そういやそうかもしれんな」

 佐々木と出会ったのは中学三年進級後、俺が塾に放り込まれてからだ。
 佐々木と別れたのは中学三年を終えた三月の頃。佐々木と再会した高二の春はそれどころではなかった。
 出会ってすぐに意気投合したという訳じゃなし、中学三年の春休みにはもう親交は途絶えていたし
 再会した時はそれどころじゃなかった、つまるところ

「こうしてキミとゆったり過ごす春は、僕には初めてなのだからね」
「つっても別にいつもと変わったもんでもないがな」
 高校三年の春は一生に一度しかない。このフレーズは「××生の×年の×は一生に一度しかない」に変換することで
 小学校〜大学卒業まで、あらゆる年次と季節、イベントに変換される陳腐な一言だ。
 けれど、まあ。

「でもまあ、確かにそうかもしれん」
 高校入学時にハルヒと出会って早二年経った。
 あらゆるイベントを猛烈に楽しもうとするアイツに感化された事は否定しない。否定しようもない。
 だからといって、俺が率先してイベントに切り込むようなファイティングスピリッツを得たという訳でもないが
 それでも、変わってしまった事だけは、否定しようもない事だ。
678「報道された出来事だけが事実となるかい?」2:2012/04/30(月) 23:58:21.67 ID:I/ztvvMq
 だから、こいつの気持ちだって理解できるはずだ。

 きっとこいつは、俺が思っているよりも更に一回りは楽しんでいるのだ。
 この一生に一度しかない、高校三年生の春を。

「こら佐々木」
「おや何か問題でもあったかな?」
 歩きながら、佐々木は俺の左胸辺りにぐりぐりと後頭部を押し当ててきた。何しやがる親友。
「なんでもないよ。ただ何となくさ。何となく」
「まったく。お前らしくもねえな」
「そうでもないさ」
 綿毛のなくなったタンポポをくるくると回しながら

「誰だって、自分と話をしている時には自分の事だけを考えて欲しいものだろ」
「相変わらず無駄に勘がいいな。お前は」
「くく、キミこそ随分察しがよくなったじゃないか」
 口元に親指と人差し指を添えて笑う。

「一年前なら、なんのことだか、ってとぼけていたろうにさ」
「一年前にな、報道された出来事だけが事実じゃない、想像力を働かせろ。なんて言ったのは誰だ?」
 そうさ確かに俺は変わって行ってる。ハルヒに佐々木、どいつからも影響を受けまくって変化してるのさ。
 なら俺は誰かに影響を与えているのかね?

「くく、そんなキミも悪くないね。キョン」
「くく、そうなれよ、って言ったのはお前だろ佐々木」
 互いに顔を見合わせ、くつくつと喉奥で笑いあってみせる。
 う、意外にキツいなコレ。

「キョン、喉の鍛え方が足りないね」
「うるせえ。どんな喉してやがるんだお前は」
「くく、見たいかい?」
 言ってこちらを覗き込み、いつもより心持ち大きめに口を開いてみせる。ピンク色の舌が見えた。
 からかわれている気がしたので

「くふっ!?」
 唐突に両手で佐々木の頭を挟み込み、じいっと口元に目をやって見せた。
「佐々木、もう少し口をあけろ。中まで見えないぞ」
「キョ、」
「見せてくれるんだろ?」
 タンポポが落ちる。

 と、俺の自転車が倒れる音で気付いた。
 夕暮れ時に二人で向き合い、両手を添えて佐々木の顔を覗き込む俺の図。

「うむ。暗くて見えんな」
「ああ、そうだね」
 わざとらしくないように手を離し、再び帰途を続行する。
 確かに報道された出来事だけが事実じゃねえな。傍からみたら、あれじゃあまるで……。

「何か言いたそうじゃないか親友」
「お前が何か言いたいからそう見えるんじゃないか、佐々木」
 後は同時だった。弦月の月を見上げるように

「「やれやれ」」
 二人で肩をすくめる俺達であった。
)終わり

綿毛飛ばしとかいつからやらなくなったか自分でも思いだせん
679この名無しがすごい!:2012/05/01(火) 00:02:24.18 ID:HjkgPbs8
鼓膜に入ると耳が聞こえなくなる、と脅されてからだな。
乙乙
680この名無しがすごい!:2012/05/01(火) 00:44:58.95 ID:SEH0z+Yg
宅地開発が進んでからだな。
乙です。可愛い
681この名無しがすごい!:2012/05/01(火) 10:13:39.57 ID:Oj97NjZj
>>675,57,75,77,121,148,175,423,502,530
682この名無しがすごい!:2012/05/01(火) 18:13:28.08 ID:lgpMMi9s
>>678GJ
きょこたんにこっそり撮影させといて、後でその時の写真見ながら笑顔が治まらない佐々木さんを幻視したw
ところで
>口元に親指と人差し指を添えて笑う
がちょっとわからない
誰か解説してはくれまいか
683この名無しがすごい!:2012/05/01(火) 18:24:21.80 ID:SEH0z+Yg
鼻の下と唇の下を少し摘む感じで想像したが。
684この名無しがすごい!:2012/05/01(火) 21:00:55.37 ID:VUj1UNgI
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
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.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
685 【大吉】 :2012/05/01(火) 21:12:23.62 ID:lgpMMi9s
佐々木さんに大吉を!

>>683
やってみたけど喋れないじゃん!また読み直して、カッコつけて顎を支えるような感じかなとも思ったが真実は何処
686この名無しがすごい!:2012/05/01(火) 23:14:43.57 ID:f2V6L45H
>>685
そうそのソレだよ多分。
右手で握りこぶしを作って、人差し指と親指だけ若干浮かせて、それを下唇のやや下に当ててる感じ
ああそうか下唇って書いた方が解り易いわ修正してくる
687この名無しがすごい!:2012/05/01(火) 23:24:00.09 ID:lgpMMi9s
おーその口ぶりは日付でID変わってるけど作者さんですね、当たったてましたか
良い気分で寝られそうですおやすみなさい
688 【ぴょん吉】 :2012/05/01(火) 23:44:00.63 ID:AI4s0hdp
おみくじの日だと?
689 【豚】 :2012/05/01(火) 23:46:23.64 ID:K7CfGux8
佐々木さんの今日の運勢
690この名無しがすごい!:2012/05/01(火) 23:57:32.10 ID:f2V6L45H
後14分の運勢とは幸いだなオイ
691この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 00:35:41.83 ID:NkWDyXqj
佐々木風に洋楽和訳シリーズ

Just before our love got lost you said     恋の終わる前に君は言った
"I am as constant as a northern star"     “俺は北極星のように変わらずにいるさ”
And I said "Constantly in the darkness     ぼくは言った “暗闇の中で変わらずに? 
Where's that at? If you want me I'll be in the bar"  それって何処なんだい? ぼくに会いたいならバーにおいでよ“って
On the back of a cartoon coaster        漫画のついたコースターの裏側
In the blue TV screen light          テレビの碧い灯りのもとで
I drew a map of Canada, Oh Canada     そこにカナダの地図を描いた そうカナダ…
With your face sketched on it twice      そして重ねて君の顔を描いたんだ

Oh you're in my blood like holy wine      あぁ聖なるワインのように君は僕の血の中にいる
You taste so bitter and so sweet        君は苦いけどとても甘い
Oh I could drink a case of you darling     ぼくならひと箱分の君を飲み干してみせる
Still I'd be on my feet            それでも自分の脚で立っていられるよ
oh I would still be on my feet         ふらついたりするものか

Oh I am a lonely painter               ぼくはさみしげな画家
I live in a box of paints. I'm frightened by the devil  絵具箱の中で悪魔に怯えている
And I'm drawn to those ones that ain't afraid      だから怖気づかない人に憧れるんだろう
I remember that time you told me you said      君がこう言った時を思い出す
"Love is touching souls"               “愛ってのは心に触れるようなものさ”
Surely you touched mine              確かに君はぼくの心に触れた
'Cause part of you pours out of me       ぼくからあふれ出すのは君の一部だもの
In these lines from time to time          いつも話すぼくの言葉の中にも君がいる

Oh you're in my blood like holy wine      あぁ聖なるワインのように君は僕の血の中にいる
You taste so bitter and so sweet      君は苦いけどとても甘い
Oh I could drink a case of you darling     ぼくならひと箱分の君を飲み干してみせるさ
Still I'd be on my feet            それでも自分の脚で立ってみせるよ
oh I would still be on my feet         ふらついたりするものか

“A Case of You “   by Joni Mitchell
(COVER) http://www.youtube.com/watch?v=MWT5BVpxDDQ&feature=related
692この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 00:59:42.18 ID:rW9YiDs5
>>684,57,75,77,121,148,175,423,502,530
693この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 01:18:20.08 ID:kimSz98J
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
694この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 03:03:07.80 ID:8DW9YbHu
歌というのも面白いですね
695この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 07:48:20.18 ID:XjNfDsc/
ダメだ…カナダと聞くと真っ先に朝倉さんが思い浮かんでしまうw
ホンジュラスだとコンピ研部長ではなく長門になってしまうのは何故だろう?
696この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 10:51:55.19 ID:rW9YiDs5
>>693,57,75,77,121,148,175,423,502,530
697この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 17:53:26.55 ID:d46fo6aR
ラーブレターフロムカナーダー
698この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 19:14:18.17 ID:jSV0C/4G
佐々木はいらない子
699この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 21:07:47.75 ID:ltoC4U20
>>691
北極星とバーの辺りで直裁になっちゃう言葉や、全部受け入れた上で意地を張って立ってる姿がすごく佐々木のイメージに合うな
あと誰かの中に、自分が与えた影響を見るのは嬉しいとよく言うけど、自分の中に、近しい人の影響を見つけてしまうのもくるものがある
それは忘れてないって事なんだもんな
700この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 23:57:43.38 ID:XjNfDsc/
明日の降水確率40%…遊びに行くべきか、行かざるべきか
どうしたら良いでしょう佐々木さん
701この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 23:57:56.89 ID:8DW9YbHu
佐々木さんとしりとりをしたい
702この名無しがすごい!:2012/05/02(水) 23:58:57.03 ID:wM7B0ms0
>>695
朝倉カナダ涼子
703この名無しがすごい!:2012/05/03(木) 07:02:06.01 ID:8hKDGk0t
佐々木さんの尻に触りたい
704この名無しがすごい!:2012/05/03(木) 07:10:55.65 ID:Y9/x85/b
私服の佐々木さんってスカート短すぎじゃね?
705この名無しがすごい!:2012/05/03(木) 07:16:16.45 ID:n+GxJT5s
制服の時だって短いよ…ほぼ全ての女性キャラに当てはまりそうだけど
706この名無しがすごい!:2012/05/03(木) 16:44:12.52 ID:n+GxJT5s
ごめんね佐々木さん、日ハム3タテしちゃってごめんね
707この名無しがすごい!:2012/05/03(木) 16:51:44.48 ID:L+nec/XI
>>705
制服はお上が決めたものだからしょうがない
708この名無しがすごい!:2012/05/03(木) 23:42:16.20 ID:2gkiMb69
佐々木さんとピクニックに行きたい
709この名無しがすごい!:2012/05/03(木) 23:50:29.14 ID:UjstrMnf
キョンは佐々木眼中無し
「で、キョン。どう責任をとってくれるのかな?」
 俺の部屋のベッドの上。かけ布団だけ羽織り、裸の背中同士を向けあったまま佐々木は言った。言われてしまった。
 まさに台詞通りの場面であった。

『よっかかるな佐々木』
『くく、手を貸してやろうというんじゃないか親友』
 今年は「永遠の八月」を避けるべく、宿題を片付けようと「面倒見のいい」「勉強の出来る」佐々木に声をかけた。
 そこまでは問題なかった。あの春以来のぎくしゃくした関係は俺としても気になるところだったしな。
 俺はこれでも交遊録、特に「親友」等と呼び合う奴は気にかける人間のつもりだ。
 しかしだ。

 あの春の事件で改めて「俺はお前を性差なんかで見ない」と強調したのを気に入ったのか
 まあなんというかだな、夏の薄着のまま、以前以上に、やたらと「近い」態度で寄ってきた佐々木に…………今度は限界を越えてしまった。
 中学時代よりも肉体的に成長し、中学時代よりも近くなった関係に、中学時代より露骨になった俺の欲望に
 そうだ、佐々木が悪いんじゃない。俺を信じてくれたからこそあんな態度だっただろうに。
 俺は、俺は…………。

「だんまりかい? まあいいさ」
 脱力の余り何一つまとわぬままの俺の背中に、背中を寄せてくる。
「キミが無責任でない事はよく知っている。それに僕が高値こそ付けてないとはいえ貧してはいない事はキミも」
「佐々木」
 言葉を遮り俺はベッドを降りる。視線だけこちらに向けて佐々木が硬直し

「すまん」
 俺は自室の床に深々と土下座した。
 全く無意味な行為でも、致さずにはおれなかった。
 やれやれ、等と思考を停滞させるつもりは毛頭ない。俺は俺を信じてくれた親友にとんでもない事をしでかしてしまったのだから。

 口の中は粘つき、舌はなめくじのようだ。
 それでも俺は言った。お前を傷つけたのは俺の意思なのだ。だから俺を罰して欲しい、と。
「ところでキョン、面白いと思わないかい?」
 ゼリーのような沈黙を破り、場違いな声で言ったのは佐々木だ。
 俺が返事を返せないでいるのも気にせず、いつもの調子で滔々と語り続ける。
「僕らは親友だ。僕がキミをそう任じているだけでなく、先日からはキミも僕をそう任じてくれるようになった」
 一旦、言葉を切る。
「僕らは親友だ」

「けれど、やはりキミはオスという本能から逃れられなかった」
 ああやはりダメだ。佐々木は俺に逃げ出したくなるような言葉を投げかけ
「……僕がメスの本能から逃れられなかったようにね」
 一拍の間を置いて爆弾を落とした。

「キョン、気に病む事はないよ。キミは健康なオスなのだ。そこに健康なメスが密室で寄り添ったのだから」
「それは聞けんぞ佐々木、俺達は」
「黙りたまえ」
 黙るかバカと言おうとした俺に、佐々木は無言でシーツを指差す。
 シーツの朱色の染みの前に俺は沈黙するしかなかった。
 全裸で。

「まったく相変わらずだなキミは。そう、キミは誰かが変化しようとするのを嫌うね。好ましいところでもあるが」
 言って掛け布団を羽織ったままぽんぽんとベッドの上を叩き、促す。
 躊躇する俺に目線で命令する。来たまえ、と。


「例えば春先、僕が僕であろうとするのを肯定したように。或いは、長門さんが長門さんであるのを否定した時のように。
 そしてあの中学三年の雨の日、僕がいつもの僕でなくなってしまった時のように」
 掛け布団一枚の格好のまま、くつくつと喉奥を鳴らして笑っている。
「あの雨の日以来、関係の進展を止めてしまった時のようにだ」

「キミは変わったようで変わってないね。
 あの雨の日以来キミは「やれやれ」が口癖になり、やや思考が停滞気味になった。
 しかし再会したキミは「やれやれ」等と思考を停滞はしなくなった。僕が「告白された」等と、再び女の子アピールをした時もね。
 あの雨の日とほぼ同じ状況でも、今度こそキミは思考を止めず何かを言おうとしてくれた。
 それを僕が更なる追い打ちで木っ端微塵にしてしまったのは謝罪するが」
 ペラペラとよく回る舌だな、とは思ったが口には出さない。
 いや別に全裸だからじゃないぞ。

『キョン、キョン、ああ!!』
 先刻の上ずった佐々木の声とは、まるで別人のようだ………身体の一部に血液が集中するのを感じる。
「そんな事は無い。俺は変わったぞ」
 俺はあの雨の日、難儀に際し「やれやれ」と思考停止することを覚えた。
 しかし、やがてSOS団が一致団結するにつれ、「やれやれ」と思考停止する事を止めた。
 何故なら今の俺には他人行儀に途方に暮れている暇など無い、一朝ことあれば動き回らなきゃダメだと学んだからだ。
 でなきゃ、トラブルは手に負えない事態にまで発展してしまう。
 俺は変わった。変わったはずだ。

「そうかな? あの雨の日とは状況が違うよ?」
 しかし佐々木は容赦なく俺に言葉を投げつけてくる。

「あの雨の日、僕は自分が女である事を強調した。あそこで思考停止しなければ僕らの関係は変わっていたのさ。
 翻って今はどうだい? キミは緊迫感ある非日常の中に居る。思考停止してしまえば、今の関係が容易に壊れかねない状況にね」
「どちらも一緒なのだと言いたいのか?」
「さて、どうだろうね」

「結局のところ、キミは他人が急に変化しようとするのは必死に押し留めてくれるのさ。
 それが当人の望むところであろうとなかろうとだ。けどそれはキミなりの優しさなのだろうと思うよ。
 だってその為にキミ自身が『役得』を失うケースでも、キミ自身が傷付くケースでも、キミはそれを恐れないからね」

「昨年、涼宮さんと二人で世界改変を迎えようとした時だって、そうだったんだろう?」
 世界を塗り替え、二人で新しい世界を迎えようとしたハルヒを俺は拒絶した。
 もし受け入れていたら、俺とハルヒはどんな関係になっていたのだろう。

 でも、俺はただ、あいつに今あいつを取り巻く環境を知ってほしかったのだ。
 今お前が居る世界は捨てたものじゃない、今お前を取り巻いている環境は捨てたものじゃないのだと……。
 ああ、そうかもしれんな。俺はいつも「今」は捨てたものじゃないのだと思っているのかもしれん。けどな佐々木よ。

「……そんなご大層なもんじゃねえ。俺はいつでも、あー、そうだ必死なだけだ」
 ベッドの上で背中を向ける俺に、佐々木は背中を預けてくる。
「なら尚更だ。本質かトラウマかどっちかなのかい?」
「尚更知るか。本質もトラウマも本人には解らん」
 古泉じゃあるまいに勝手に人を分析すんな。

「キミが悪いよ。そうだね」
 一旦言葉を切ると、佐々木は躊躇いがちに言う。
「例の、急にブラジル蝶になって遠くに行ってしまったというキミの憧れの女性、それが原因ではないか、な」
「そんなもんとっくに俺の心の倉庫の肥やしだぞ」
 きっぱり言ってやると、再び沈黙が落ちた。
「ま、何にせよだ。気に病む事は無い」
「!?」
 佐々木が俺の背中に抱きつき、布団で二人を包む。お互いに全裸のまま。
 先端に特記事項を持つ柔らかいものが俺の背中に当たる。当たって当たって当たりまくる。

「遠因はキミだが、直接的な原因は僕だと言ったろ。だから気に病む事は無い。それに強姦罪は親告罪だ」
 親告罪、つまり佐々木が俺を訴えなければ成立しない類なのだ。しかしだ。
「僕もキミへの距離感というものが解らなくなってきてたんだ。共犯だよ」
 人の背中と言うか耳元でくつくつ笑うんじゃねえ。
「済まないね。なんなら訴えてくれて構わないよ」
 手が後ろに回るのは俺だ。

「大体ね、キミも悪いんだよ。中学時代より肉体的数値は変化しているし、内的にも変化を加えたつもりだ。
 これでも結構自信があったのだよ? あの春、なかなか大胆な格好をしていたつもりなのだが覚えていてくれてないかい?
 それでもキミの視線は変わらなかったのだから、僕は僕なりにショックでもあったのだが」
 人の肩に顎を乗せるな。あごを。

「オマケに見せ付けられたのはキミと涼宮さん、SOS団とやらの絆だ。僕が二週間足らずで諦めモードに入った事くらい想像してくれ。
 ただでさえ一年のブランク、というか、キミを振り切る為にこそ一年も間をおいていたというのに
 何なんだろうね僕は。いちいち矛盾していると思わないかい?」
 腹を、いやこら、ああもうあちこち触るな!


「ええいそんなん言われたって、言われなきゃ解らん! 俺は鈍重な感性なんだろ!」
「くっくっ、まさにその通りだよ。鈍感なキミにはやや早道だった。けど、それすら解らないくらい近視眼に陥りきっていたのさ」
 なんだ、人生はクローズアップで見れば悲劇。 ロングショットで見れば喜劇、だっけか?
「そう、チャップリンの格言だね。特に若い内は誰であれ視野狭窄に陥り易いものさ」
「特にお前みたいに、秀才気取ってる奴なら尚更だな」
「くっくっ、その通りだ。上手い事言うね」
 皮肉だぞ皮肉。

「だ、だからな、言ったろ、判じ物は沢山だってな」
「くくく、言葉のパズルはもう沢山だってね。キミの言葉はたまにド直球ストレートだ。好意に値するよ」
 こ、行為の間違いじゃないのか佐々木。
「ふくく何の事かな」

 ああそうだ。春の事件の終わりがけを思い出す。
 判じ物、言葉のパズルなんてもう沢山だと俺は言った。
 それからあいつは言った。「これは告白じゃない」つまり「これは友達としての言葉」だと。
 だから俺は言ってやったんだ。「あばよ親友!」と。そう「友達は友達でも、お前は特別な友達なんだろ」ってな。

「ふふ、それがどれだけ嬉しかったか」
 だから言わなきゃ解らん。
「それこそ、言葉に出来ないような気持ちだったのさ」
 どないやねん。
「そうさ、キミはいつだって他人の有り様を尊重する。
 涼宮さんが世界ごと変えようとした時も、長門さんが世界と自分とキミの仲間達を変えた時も、僕が僕をさらけ出した時も
 僕が僕をさらけ出せなかった時も、いつもキミは『僕たちが僕たちである事』を何より尊重するのだね。
 そして、キミ自身を取り巻く環境が『そのままに保たれる』ことを望んでいるように思える」

「キミの感性は鈍重と言うより、そうしたベクトルを重視するからこその有り様なのかもしれない」
「んな無茶な理屈があるか。それなら今『佐々木』のままでこうしてるお前は、って」
 佐々木はなんというか俺のアレをコレしつつ首筋に舌を這わせる。

「おやおや。今の僕は『キミの知っている佐々木』かい? 違うだろ?」
 く、肉食獣が耳元で囁いている気がする。
「それでいて僕は僕。これも僕だよ」

「そんな哲学会話なんだからな、佐々木」
「おやおや僕はただキミの器官に手と指で刺激を与えているだけだよ? どの器官とは言わないが」
 言ってるも同然だ! というか言わんでも俺には解るわ!
「僕の存在を感じて頂けているとは幸甚だなあ」
 耳元で囁くな!

 俺は佐々木、いや他人との関係を壊したくなかったのだ、と佐々木は指摘する。
 その態度が「鈍感」と周囲に見え、それに甘えた佐々木は色々と「少女らしからぬ言葉」を投げてきたのだと。
 それは中学時代からあった関係だったから、あいつの行動に躊躇いはなかった。
 むしろ春先の経験から加速していた。

 しかし中学時代と違っていたのは、俺もようやく人並みに思春期を迎え始めていたという事。
 その俺に、中学時代よりも更に加速した言動と行動、更に佐々木自身の肉体的な成長、久しぶりという機会ゆえに着飾った格好。
 それらの複合的要員が、なんというかアレしてコレしたのだ、と………。
 
「まったく鈍重な感性だよ、キミは」
 さっきと同じ声が、今度は朗らかに響く。
「キミがそんなだから、そうだと知ってるから、僕は距離感が解らなくなるのさ。その行く末がこれなのだと理解して欲しいね」
「他人のせいにすんじゃねえ。お前こそなんつうかアレなんじゃないのか」
「くく、明確に言葉にしたまえ。言葉にしなければ伝わらないよ?」
 するりと背中から抜け出し、俺の前にしゃがみこむ。

「さあ存分に語り合おうじゃないか。なんなら肉体言語でも構わないよ」
 生まれたままの姿のまましゃがみこんだ佐々木が、じわりと俺の頭を両腕を捉え
「キミも健康なオスなのだからね……」
 視界が、佐々木で埋まった。


「くく、実に不思議じゃないか」
「何がだ、佐々木」
 再び俺に組み敷かれつつ、今度は甘い声で語り続ける。
「僕らは精神的には親友であり、誰よりも対等の関係のはずだ。なのにこうして望んで組み敷き、敷かれている」
 一心不乱に舌を使う俺の頭をかき抱きながら、それでも語り続ける。

「ああ実に不思議だよ。僕の肉体はキミに征服される事を望んでいる」
「佐々木、肉体だけなのか?」
 声は甘く、脳髄をとろかすようで。
「いや違うね、精神もだ。ん、これが本能なのかなキョン」
 たまに漏らす、不規則な吐息が劣情を煽る。
「わ、いや、僕は知識欲には貪欲なんだ、だから、教えておくれ」
「俺だって解らねえよ、だから……」
「なら、さがして」
 一際高まった声が耳をくすぐる。
「わたしの、なかを、思う存分さがして……」

 俺と佐々木の肉体的討論会は本格化し、俺の家族の不在もあって「猿の様に」と言われるその通りに続いた。
 どれだけのめり込んだかもはや思い出せないくらい、まさに快楽そのものな体験だったのだ。
 やがて、ゴム製のアレを手にした佐々木がふと思い出したような声で

「で、キョン。どう責任をとってくれるのかな?」
 と言い出すまでそれは続いたのだった。
「それはその、アレだな」
「ああ、言っておくが彼氏彼女の関係なら却下させていただく」
 俺の機先を制するように佐々木は言う。
「それともキミは『一度抱いたんだから俺のものだ』とか前時代的な台詞を言うつもりかい? 感心しないね」
 再び全身を布団で覆い、睨むように見つめてくる。

「今回はいわば成り行き、あー、その余禄ともいえる行為だったと言えるだろう。だからこれっきりにしよう」
「佐々木、お前は俺の事をなんだと思ってるんだ」
「僕の鈍感な親友かな」
 とぼけるように言ってから、ニヤリと舌なめずりをする。
 思春期の乙女、という魔性そのものの笑みで。

「それとも何かい? 僕にキミのセックスフレンドにでもなれというのかい?」
「せ」
 佐々木、その台詞はあまりに。
「冗談だよ、まあ」
 そっぽを向く。

「まあ以前『キミの望みであるなら、なんでも言う事を聞く』と約束した弱みはある。キミが強く望むなら否定しないよ」
「あんまり刺激的な事は言わんでくれ。俺にも限界があるのは解ったんだろ」
「くく、限界? そうだねキミの限界まで搾り取ったつもりではある」
 おいこら親友。

「ああ親友、今度は「やれやれ」だなんて言わせないよ?」
「人の機先を制すな」
「くっくっく」
 笑い、布団で巻き寿司状態のまま部屋を出て行く。

「シャワーを借りるよ」
「ああ」
「よく考えておくれよ?」
「ああ」
「僕を惚れさせたのだ。面倒な相手に引っかかったと思って後悔してくれると嬉しい」
「ああ、あ?」

「ああそうだね言い忘れていた」
 佐々木は振り返ると、いつもの片頬を歪める笑みで笑う。
「僕はキミにステディな関係となる事で責任を取って欲しくない、とは言った。
 けどそれはキミが嫌いって訳じゃない。ただ単に既成事実とやらでキミを縛り付けるのはしたくない、それだけの事なのさ」

「キミが好きであるという事。それだけは紛れもない事実だよ、キョン」
 俺が鈍感だと最大限に理解した一撃に、俺の理性が再び屈したのは言うまでもないだろう。
 くつくつと笑う声はどこまでも愛しく響いていた。
)終わり

>>710がまず頭に浮かんで、結果何故か思想的な話に。
717この名無しがすごい!:2012/05/04(金) 05:49:28.30 ID:GqAtTlLW
GJ!
よくやったキョンと褒めるべきか、やっとかよ遅過ぎるぞ馬鹿と罵るべきかw
とにかくおめでとうキョン&佐々木さん
718この名無しがすごい!:2012/05/04(金) 08:46:58.36 ID:m16p+7Iv
おはよう佐々木さん
719この名無しがすごい!:2012/05/04(金) 12:22:33.54 ID:6CEYzb3h
>>716
GJ
720この名無しがすごい!:2012/05/04(金) 16:17:49.16 ID:GqAtTlLW
ファミリーマート福岡東浜店にて佐々木さん発見、されど救助すること能わず
有志よ誰か代わりに救助してさしあげてくれ
721この名無しがすごい!:2012/05/04(金) 23:14:50.53 ID:hXxEMK9/
場所がわからないから救助できないよ
722この名無しがすごい!:2012/05/04(金) 23:42:01.60 ID:4QIH6sTC
鈍重な感性、略して鈍感か。
佐々木さんの台詞は大抵こんな感じだよな
723この名無しがすごい!:2012/05/04(金) 23:51:36.13 ID:OhAJqxeU
佐々木はいらない子
724この名無しがすごい!:2012/05/05(土) 01:30:42.46 ID:3VyoLdXB
>>720
東浜店って…
箱崎宮正面口そばにある太陽家具の向かいの店かな?
でもあそこ前に行った時はなかったけどなぁ
725この名無しがすごい!:2012/05/05(土) 01:33:08.06 ID:3VyoLdXB
おっと、久々でsageるの忘れてた
すんません
726この名無しがすごい!:2012/05/05(土) 13:43:30.95 ID:BJ/Ioo5L
こんにちは、佐々木さん
727この名無しがすごい!:2012/05/05(土) 21:38:51.73 ID:8BNkF9r/
佐々木はヤリマン
728この名無しがすごい!:2012/05/05(土) 22:03:00.67 ID:TBzE1lVu
明日はついに連休最終日ですね佐々木さん


昨日の疲れがちっともとれないよう
729この名無しがすごい!:2012/05/05(土) 23:22:20.05 ID:vNEUwdt1
佐々木さんと対戦ゲームをしたい
730この名無しがすごい!:2012/05/05(土) 23:27:43.41 ID:1K73slRc
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
7315月5日の小さな言葉1:2012/05/05(土) 23:58:02.31 ID:zoLyFXml
「よう佐々木」
「やあ親友」
 駅前で不意に出会ったその人影は、振り向き、にっこりと笑う。
 自転車を押し、いつか見た制服姿でたおやかに笑った。

「なんだ、今日も学校だったのか?」
「まあね」
 やれやれと肩をすくめた。
「キョンこそ休日に外でキミを見かけるなど……ああ、例の団活とやらかい」
「その帰りだ。ほれ」
 土産代わりにちまきと柏餅をいくつか見繕って渡してやる。
「ウチの連中の手作りだ。旨いぞ」
「おやおやこれは有り難いね」
 大げさだな。
「そうでもないさ。手作りって事はオンリーワンって事だろ? なかなか嬉しいものだよ」
 言って、佐々木は自転車を再び駐輪場に差し戻した。


「さ、遠慮なく頂いてくれ」
「俺は海老で鯛を釣る気はないぜ。このくらい自分で払うさ」
「そうかい? まあ帰りまで覚えていたなら考えておこう」
 夕暮れ時の喫茶店でコーヒー片手に向かい合う。

「しかし今日は黄金週間だぜ。こんな日までか」
「こんな日もそんな日もないさ。全ては積み重ねなのだから」
 くつくつと変わらない笑みにどこか安堵する。

「というかキョン、キミも僕も高校三年生だ。これからが受験本番なのだよ? ここからが問題なのさ」
「そうとも、俺達は高校三年生。まだガキなんだ、だからこどもの日くらい羽根を伸ばすさ」
「くく、変わらんねキミは」
 言って、ふと笑みの形が変わる。そらきた。

「そうか、今日は五月五日か」
「端午の節句だな」
「ちなみに端午の節句とは……」
 佐々木は言いかけ、傍らのかしわもちに目をやってニヤリと笑った。
「どうだい?」
「ふむ」
7325月5日の小さな言葉2:2012/05/05(土) 23:58:46.56 ID:zoLyFXml
 日本における端午の節句とは、そも中国から伝わったものと、日本の風習とかが結びついたものである。
 特に「男の子の節句」となっているのは、節句に用いられる菖蒲の葉が、鎌倉時代の武家社会と結びついたことによるものとされる。
 武道や武勇を重んじる「尚武」と、「菖蒲」の読み、そして葉の形が刀を想起させるものである事から男子の日となった。
 ちなみにちまきは中国由来のものであるが、柏餅は日本独自の縁起物らしい。
 
「くく、語呂合わせ、形からの連想、実に日本人らしい、いい加減で楽しげな生まれを持つと言えるのではないだろうか」
 俺の説明に解釈を加え、佐々木は実に楽しそうに笑っている。
 そうとも、こいつはこんな奴なのだ。

「SOS団のイベントとやらで聞いたのかい?」
「まあな。っていうか、昔お前から聞いた話でもあるぞ、確か」
「おや、そうだったかな」
 笑みの形は変わらない。


「では更にもう一つ追加といこう。五月五日と言えば思想家セーレン・キェルケゴール誕生の日でもあるね」
「佐々木、もう少し判り易いところで頼む」
 即座に降参した俺に、ほんの僅かだが呆れたような目線が飛ぶ。
「ヘーゲル哲学と対立し、実存主義のさきがけとなった人物だよ。覚えておいて損は無い」
 そうだったか?

「『死に至る病とは絶望のことである』という哲学書の作者でもあるね」
「ああ何となく聞いた事があるな」
 漫画的な意味でな、とは勿論言わない。
「ふむ」

「まず前提条件として、キリスト教において肉体的な死は死ではない。これは解るね?」
「死んだら天国や地獄に行くんだもんな」
 そんで天国に行った奴は、最後の審判の日にめでたくご復活。
 だから敬虔にお生きなさいってな訳だ。
7335月5日の小さな言葉3:2012/05/05(土) 23:59:18.16 ID:zoLyFXml

「そう、だから肉の死など本質的な死ではない。では本当の意味での死、死を招くものとは何か?」
「ああ、だから「死に至る病とは絶望のことである」って訳か」
 肉体と精神の死を分けて考えたって訳だな。
「噛み砕くとそういう事さ」
 漫画的な知識が変な風にまとまって形になる、面白いもんだ。

「しかし実存主義、要するに現実とか実在とかそんなノリの人なんだろ? の割にはなんか精神的な話だな」
「くっくっく、いいところを突くね」
 なんだ何がそんなに面白いんだ。


「絶望である事を知らない絶望。言いかえれば、人が自己を、しかも永遠的な自己を持っているという事についての絶望的な無知」
「おいおい何だ急に早口言葉みたいな」
「これも彼の言葉だよ」
 絶望である事を知らないという絶望?

「言い換えれば、人はちゃんと自分自身を持っているのに、それを知らないという無知。それが絶望なのだ」
「自我なんて誰もが持ってるものだろ? それを知らない?」
「多くの人はそんなもの持ってない、という考え方かな」

「自分の選択を誰かに託し、自分の思考を放棄する。そういう事への批判とされるね。
 本当は人はなんだって自分で決められる。けれど大抵、人は自分の判断基準を多数派や指導者に委ね、自分の思考を放棄する。
 それは、精神の死、本当の死であり絶望なのだ。なのに人はそちらに向かっていることを嘆いた」
 解るような、解らんような。

「自分で考えろ、他人の価値観に乗せられるな、自分の判断基準を持て! って訳か」
「そう。自分の思考・判断を捨てるなど精神的な死だ。そこに誘導するものこそが絶望であるのだと」
 なるほど、現実的な話になってきた。


「ま、とはいえ自分の選択を他人に委ねる事を理解しているならそれもアリだと僕は思う。
 信頼する人に自分を委ねるという事ならね」
「信頼ねえ」
「リスクを共有する自覚があるという事さ」
7345月5日の小さな言葉4:2012/05/05(土) 23:59:37.43 ID:zoLyFXml
「仮に失敗しても、そのリスクに文句を言わない覚悟か」
 それがあるからこそ委ねられる。そして選択を委ねるというのは、二人が一つの意識として団結するという事でもあるのだ。
 二つ分の肉体に一つの意思、だからこそ強い。困難だって乗り越えられる強さを得るのだ。
 その強さを支えるのは覚悟であるのだ。

「古来から人は団結し、大きな物事を成し遂げてきた。そうだろ?」
 くつくつと喉奥で笑いながら、たおやかな笑みで繋げる。
「人一人で出来る事なんて、限られているのだからね」
 本当に嬉しそうに、佐々木は笑う。

 唐突に思った。
 古泉、長門、朝比奈さん、ハルヒ、SOS団の連中は俺に選択を委ねてくる事が多い。いつも面倒でプレッシャーだ。
 けどそれはとてつもない事なのではないかと。

 どいつもこいつもとんでもないスペックを持っている、或いは強制力のある組織に属している、それでも俺に選択を委ねてくれる。
 その上で、もし佐々木の言うように「リスクを共有する覚悟」の上での事であるなら
 それは本当に、とてつもないものを俺に委ねてくれているという事なのだ。
 俺に、とてつもないものを預けてくれているという事なのだ。

「なんだいキョン?」
 そして佐々木もまたそうだった。そうであるのだ。
 こいつこそ、何の背部組織も打算もない、本当に純粋に自分の為に動いてよかったはずなのに。
 それでも俺に下駄を預けてくれた、こいつは俺なんかをどれだけ信じてくれたのだ。そう思うと何かがこみ上げてきてならなかった。

「佐々木、俺」
「ストップだよキョン」
 腿の上に置いた拳を固めて堪え、ただ頭を下げようとした俺の鼻先を、佐々木が指で弾いた。
7355月5日の小さな言葉5:2012/05/06(日) 00:00:12.02 ID:zoLyFXml
「何か言いたいんだろ? でもきっとそれは僕にとって気恥ずかしい事だ。だから保留しておいてくれると嬉しい」
 テーブルの上に両肘をつき、組んだ両手のひらの上に顎をのせて覗き込んでくる。
 昔のように笑って。ああそうだいつだってこいつは笑っているんだ。
 笑ってくれているんだ。

「それに、僕の言葉はまだ終わってないよ」
 くすくすと笑い、そっと首を傾げてこちらを見る。
「信頼の上で判断を委ねるという事は、当然リスク以上のメリットがある。絶対「出来る奴だ」と信じているって事。
 だから気に負う事などないのさ。そんな凄い奴だと信じているのだからね」

 感極まって俯いた俺の頭に、そっと柔らかいものが触れた。
 どうしようもないほど小さくて、細くて、躊躇いがちな柔らかいものが、俺の頭を撫でてゆく。
 俺はしばらく俯いてされるがままになっていた。こいつが俺に見せたくないように、俺にだって見せたくない顔があるのだから。


「ところでキョン」
 喫茶店を出掛けにくるりと佐々木が振り向いた。
「先ほど、一人で出来る事は限られている、と言ったのを覚えているかい?」
「さすがにさっきの会話くらいは覚えてるぞ」
「英単語はすぐ忘れるくせに?」
 言ってろ。笑うな。

「僕もあれから少々思うところがあってね。できればまたこういう機会があると嬉しい」
「こんなんで良いならいつでもいいぞ」
 まあ団長のご機嫌次第の部分もあるが。

「くっくっ、やはり良い聞き手がいると話をするにも張りが出るからね」
「その言い分だと、俺はお前の「張りがある会話」しか知らんから何とも言いかねるがな」
「いけないねキョン。報道された事件だけが事実じゃないよ。想像力というものを働かせてくれたまえ」
 お前のつまらなそうな顔を想像しろってか? 御免こうむるね。

「しかしややこしい話だったな」
「ふふ、死に至る病、か。まあ僕は自分の判断基準と言うものは持っているつもりだよ。
 たまに誰かさんに選択を託すこともあるさ。けれどやっぱり自分の事を決めるのは自分なんだよね」
「そりゃそうさ。俺は俺、お前はお前だ」
 佐々木は、佐々木だ。

「そうさ、自分の事を決めるのはいつだって自分さ。だから……」
 何故か同じ言葉を繰り返し、喉奥でくつくつと笑いを溢す。

「だから、何だ?」
「くっくっく、さてね?」
 いつものきらきらした目がこちらを覗きこむ。その瞳に映った俺が、間抜けな顔で見返していた。
)終わり
736この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 00:08:13.29 ID:KXE1JIaH
ああいかん。>>732の哲学書タイトルでは「死に至る病」だ。言葉としては語尾がつく。
せっかくだから五月五日に間に合わせようとして焦った。
737この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 00:21:35.56 ID:qwDZSY3L
>>735
乙です
738この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 06:43:50.01 ID:2qxu3NV9
おはおつ
キリスト教の「苦難はみんな神の与えた試練だから耐えろ」って完璧に思考の放棄だよね
キェルケゴールがいつの時代の人かは知らんが、相当迫害されたりしてないんかな
739この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 07:11:10.87 ID:STY1iDpy
>>735
乙。

最近の某アニメで先に踏み出せない保留がキーワードになっていたけど、
あの作風のビターさ加減と佐々木さんはマッチしている気がした。
740この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 08:13:19.48 ID:qwDZSY3L
>>738
キリスト教は迫害の歴史らしいからな
741この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 09:33:51.65 ID:YW81PgI9
>>730
                , -‐-ー .、
               ,'    ヽヾ
                i  .,ハハバゝ
               i!i| ─ ─i! 
            ';;.':   、. - ノ’ 
  , -‐- 、.     〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓
,'. /  ト、 ヽ.    _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
i. ((从ソ u从〉   ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
l. (|;;-;;;;-;;i!l    (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
ハNiヘ;;;;-;;;ノハゝ   ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
742この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 14:16:40.91 ID:qwDZSY3L
今日は佐々木さん
743この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 18:12:42.08 ID:eKJ8lgvk
明日も佐々木さん
744この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 18:50:34.18 ID:2qxu3NV9
明後日も佐々木さん
745この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 21:05:19.78 ID:KXE1JIaH
明々後日もやのあさっても佐々木さん

>>738
確かに煽ってる他人に言われる(例えば十字軍的な意味合い)場合はその言う通りだと思うけれど
自分の中で「苦難なんかに負けてたまるか!」って「思考し続けるための根性を引き出す掛け声」として、良いことだとは思うのよ
ぶっちゃけ聖書って「頑張ってより良く生きるための掛け声集」みたいな書物でもあるんだから。問題はそれを利用して押し付けてくる連中なのよね
まあスレ違いだが
746この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 21:22:12.53 ID:WV/2zQ9E
キルケゴールは1813-1855年だから19世紀の人。
なんか親父さんが色々あって教会への憎しみや、無人教会に勝手に住み着いて極貧生活送ったり
したせいで、「いつか罰あたって、俺の子供らは36歳までに死んでしまう」
とかの強迫観念に襲われて、実際兄弟姉妹がバタバタ死んだり、自分も色々さんざんな目にあった、
割と苦難の人。
本人がまとまった著作をたくさん残しているわけではないのだけれど、
とにかく実存主義を始めた旗手として、後の多くの思想家に影響を与えている。

実存の(=この唯一の存在であるちっぽけな私)苦悩とは何なのか、
ということを考え続け、その苦悩を、どうやって世界へ統合させるか、
つまり、キリスト教的な世界観の中でどのように意味づけするかを短い生涯の中で真摯に悩み続けた、
どはずれて信仰深い、苦悩の哲学者です。

思考停止のまさに逆なんだ。実存の苦悩について、ギリギリまで悩み抜いた人なんだ
747この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 21:44:58.24 ID:2qxu3NV9
でも何年か後、キョンと同じ苗字になった(元)佐々木さん

>>745
その点日本は鬼でも悪霊でもはたまた貧乏神でも、奉り上げて機嫌をとり大事にする代わりに悪さしないで下さいだからね
……て、まんま機関だわな

>>746詳しくありがとう
いやはや凄い人だ、頭が下がります
748この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 21:58:35.77 ID:D6PYDts5
>>735
749この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 23:22:16.04 ID:KXE1JIaH
さあ次は荒魂と和魂の話に行こうか的な展開。いややらんけど
750この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 23:43:23.62 ID:zxpf0T8A
佐々木は肉便器
751この名無しがすごい!:2012/05/06(日) 23:45:18.20 ID:OwFURR5x
佐々木さんと遠足に行きたい
752この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 00:07:30.76 ID:D6PYDts5
>>735
おつです
753この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 00:23:39.99 ID:2snln8uQ
即興なんだけど小ネタを投下してみます。
佐々木さんじゃないオリキャラが出てくる独自解釈なのでダメな人スルー推奨。
754昔日:2012/05/07(月) 00:24:44.53 ID:2snln8uQ
「昔話をしよう。動物の本能に抗おうとして勝てなかった愚かな女の話だ。
 彼女は自分の欲しい知識を思うがまま取り入れていった。自分が望めばなんでもできる。
 そう思い上がっていた。
 ところが世間はそう甘いものではない。どうしても手に入らないものもあることを知った。
 最初のうちは他のことに取り組むことで紛らせることはできた。
 でもある時を境にして、彼女は限界を迎えた。
 どうしても欲しい物が手に入らなかったからか、自分の手に入らない物の多さに失望したからかは今となってはわからない。
 君が感じるにはまだ早い感覚なのだが、早い話彼女はとうとうすべてを諦めていた。
 ある日、彼女は一番の男友達と出かけて、そこでちょっとしたヒス、いや騒ぎを起こしてしまった。
 計画的犯行だった。巻き込む形になって悪いなと思った。でもそうせざるを得なかったんだ。
 しかし、彼女の男友達は何を思ったのかそんな彼女を救い出した。
 思えばずいぶん悪趣味なことをしたにも関わらずにだよ。
 しかしながら、そのせい、いやおかげでぼ…、おっと彼女は社会的に生き伸びることを決めた。」


 彼女の話は大変興味深い。学校では教わることのない面白い話をしてくれるので好きだった。
でも今回の話は何か違う。いつもの哲学の話のようなそうでないようなお話。
そのようなことを言うと彼女はうふんと笑い、話を続けた。

「君はなかなかに聡明だよ。今までの僕の話を適度に理解し、聞いてくれる。」

君の御母堂の教育がよかったのかな、と言いながら話を続ける。
 
「しかしながら、今回の話は確かに君にとって難しすぎたかもしれないね。
 でも覚えておくといい。恋愛感情というのは精神的な病の一種なのさ。
 そして…」





彼から思わぬコメントを貰い(本当は嬉しかったのだと思う)、
恥ずかしい思いをしたあの日の夜、夢を見た。
もう気軽に会うことは難しいだろう僕の叔母の夢だ。

恋愛感情は精神的な病の一種。そんなものは論理的ではない、余計なノイズだ。
僕のささやかな夢が揺れているは気のせいだ。
今日も変わらず彼と接していこう。
あの後叔母が何を言ったのか、思い出せない。思い出さない。


(おわり)
755この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 20:21:32.09 ID:a2Ca7enw
>>754
756この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 21:35:43.48 ID:L1web/dx
よく、わからなかった…
757この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 23:00:59.14 ID:2snln8uQ
正直反省している。
これだと解説抜きではわからない。

恥の上塗り:
(1)佐々木さんの旧姓
(2)例の持論の最初の持ち主
(3)男言葉の元になった人

これらの回答をでっち上げるためにMW号に出てきた某人らしき人を親戚にしてみたらこのザマだよ。
あの人、メタ発言で哲学的すぎて比喩的に考えないと苦しい。

ちなみに(2)は実際のところ違う人だろうなとは思うけど。
758この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 23:45:56.38 ID:6dA/PXfs
佐々木はいらない子
759この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 23:46:50.35 ID:L1web/dx
おやすみー
760この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 23:48:45.98 ID:mGYvX/t+
>>757
761この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 23:50:47.43 ID:sG0qmNW5
よくわからんが
ハルヒの口調がオバサンの説教っぽいところからして
ハルヒの口調は母親のそれのまるまるコピーなんだろう
ってことは味覚オンチだとか言ってるけど、家に帰れば親子の仲は良好なんだろうな
さて、「恋愛は精神病」は母親の口癖なのか、だとしても実際はダンナに対しての照れ隠しなんじゃねえの

ハル母「はあ、あんなのと結婚したのは一時の気の迷いかねえ。やっぱり恋愛なんて精神病の一種なんだね」
ハルヒ(小)「ねえおかあさん。あたしを産んだのもキノマヨイなの?パパと結婚したのを後悔してる?」
ハル母「そんなわけないじゃない。子供はそんなこと気にしないの」

みたいに
762この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 23:56:37.39 ID:sG0qmNW5
いかん!

× パパ
○ 親父

だった。(憂鬱Y参照) 母親を「おかあさん」と呼ぶのは驚愕前編p.23参照
763この名無しがすごい!:2012/05/07(月) 23:59:42.91 ID:IfuTs64B
>>757
例の佐々木の原型らしい人って奴ね
それがハルヒ世界では佐々木の親戚になっていると仮定して、彼女が佐々木に影響を与えたと
しかし最後を聞き逃したのがキモに一つか
764この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 00:00:08.29 ID:N0bjHxp/
いや聞き逃したというより意図的に封じたのか
765この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 08:00:16.33 ID:Jc/betUB
おはよう
766この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 08:55:15.28 ID:lVYCpVBJ
>>757
MW号っていうのを知らない上に頭悪いんで確認と質問

>>754の前半の文章は佐々木さんの夢の中で、最初に話しているのが叔母さんで聞き手が佐々木さん
でいいんだよね。 寝起きで読んでて混乱したもんで。
で、質問
『彼から思わぬコメントを貰い』っていつのどんな話?
叔母に気軽に会えない理由は?
『思い出せない』のはともかく、『思い出さない』ようにしているのは何故? 
767この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 15:47:03.78 ID:T4mzeCng
>>766
MW号は船が沈む話だよ
768この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 20:14:08.09 ID:QVH3YfzV
百識の佐々木さん
769この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 20:18:57.70 ID:o1Dm18QE
佐々木百式
770JPP(Japan Peropero Party) 日本ペロペロ党2ch担当:2012/05/08(火) 22:14:23.37 ID:2976AVSo
佐々木さんのおっぱいをペロペロ(^ω^)
771この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 22:19:23.81 ID:QVH3YfzV
みくるスレ鶴屋さんスレに続きペロリストがここまで来おったか
だがいつも思うんだが、ペロり方がおざなりなんだよな
772この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 22:28:55.36 ID:Q3G3DcW0
おっぱいしかペロペロしないとか紳士として失礼。
773この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 22:33:11.32 ID:N0bjHxp/
>>766
書いた方ではないが、Rainy dayと分裂P241の「お前モテるぞ」と「恋愛は精神病」が起きた雨の日だと思う
けど別に気にする事はないほどの事じゃないと思うぞ、叔母にあえない理由含めて。
単に佐々木の「キャラ作りの元ネタ」になった話ってのがキモだろうから

最後の部分は、佐々木の「誰にも好意を振舞うつもりはない」ってキャラから着てる台詞だろう
774この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 22:43:49.36 ID:N0bjHxp/
叔母としては「恋愛は精神病」、けど話の前半から解る様に「だけど有益な精神病、それで自分は救われた」と思ってる
だから、たぶん最後に「恋愛を忌避する事はないよ」的にまとめてくれたんだろうけど、佐々木は意図的に聞き流して、思い出さないようにした。
そうしなきゃ恋愛する自分を肯定して、キョンへの態度を変えたくなってしまうから、だから「恋愛は精神病」だけ覚えて、後は忘れることにしたって話じゃないかね
775この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 23:30:43.01 ID:QVH3YfzV
ペロリストのおざなりさにキョン口調で抗議しつつ、佐々木さんにツッコミ入れさせたら面白いかな?と書いてみようとしたが、風呂入って歯磨きしたらなんかどうでもよくなってきた

てことでおやすみなさい
776この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 23:32:14.56 ID:5VeL0wTV
http://www.nicovideo.jp/watch/1335621259
佐々木に似てないか?
777この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 23:52:41.14 ID:ppZHj2eE
佐々木はいらないキャラクター
778この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 23:55:42.93 ID:kVrKkpMq
佐々木さんおやすみ
779「キョン、自分自身こそ厳しく律すべきだよ」1:2012/05/08(火) 23:56:59.89 ID:N0bjHxp/
ややネタ被りというか同じ佐々木さんネタだから被るのも仕方ないのか。

「やれやれ」
「こらキョン、そうダレていてはやれる事も出来なくなるよ?」
 中学三年の一月、寒空、粉雪の降る中をそれでもやっぱり僕らは自転車で二人乗りをしていた。
 これはそんなある日の出来事。

「と言ってもそろそろ受験だ。俺だってナイーブになったっていいだろ?」
「くく、ナイーブ? 繊細って柄じゃないだろ」
「ほっとけ」
 他愛もないじゃれあい。
 でもこんな時間が、いま僕は何よりも好きだった。

 期限付きのじゃれあい。
 そうとも、もうすぐ受験の時だ。僕らのこの馴れ合いが終わる時間、タイムリミットは刻々と近付いている。
 けれど僕らは変わらない。変えるつもりなんかない、好意を彼に振舞うつもりなんかないんだ。
 だって、期限付きの関係なのだから。

 あの雨の日、それでいいんだって決めたのだから。

 これ以上踏み込んだら戻れない。
 もっと好きになったら、きっと「佐々木」に戻れない。
 あの雨の日みたいに「佐々木」じゃなくて「私」を見てって叫びだしたくなってしまう。
 きっと、昔の弱い「私」に戻って、彼に依存してしまう。

 きっと今よりも頼ってしまう。キョンと離れただけで「寂しい」とか思う弱い私になってしまう。
 寄りかかるんじゃない、急かすんじゃない、例え向かう先が違ったっていい、彼と何時出会っても並んで歩ける僕でありたい。
 キョンに迷惑をかけるような弱い「私」にはなりたくない。
 並んで歩ける僕でありたい。

「キョン、そろそろ受験なんだ。むしろ自分に厳しくすべきだよ」
「お前そんなに正しい事ばっかり言って疲れないか?」
 まるで内心を見透かしたような言葉。
 ふふ、これだから面白いんだね。

「言われっぱなしの俺はそろそろ限界だぜ」
「くっくっ、他人には優しくしてもいいだろう。けれど自分自身はむしろ厳しく律すべきだよ、でなきゃ人間ダメになるというものだからね。
 他人に厳しい者は得てして自分にも厳しい、他人に優しいものは自分にも優しい、でもそれでは上手くいかないものさ」
 我ながら可愛くない物言いだ。けれどこれも僕の本質なんだよ。

「こういうのを自厳他寛と言う。儒学者である佐藤一斎が『言志四録』のなかで残した言葉だよ」
 そうさ、この強い強い「佐々木」である事も僕の喜びの一つなのだ。
 強くあろうとしなければ、すぐ私は感情に流されるから。
 僕は理性的であるべきなのさ。
780「キョン、自分自身こそ厳しく律すべきだよ」2:2012/05/08(火) 23:57:32.86 ID:N0bjHxp/
「その理屈だと、佐々木は他人、つまり俺には優しくすべきじゃないのか?」
 キョンが屁理屈を返す。そうさキョンはちゃんと聞いてるから、だから理屈を返してくれる。
 それも一度や二度じゃない、いつも、いつでも、いつだって、意地っ張りな僕にちゃんと向き合ってくれる。
 だから僕は

「悲しいことを言わないでくれよ、キョン、キミにとっての僕は友達じゃなくて他人なのかい?」
「そりゃ言葉の綾だ、別にそんな意味じゃねえよ」
 ちょっとだけ動揺した声が嬉しかった。

 そうさ、僕らは他人なんかじゃない。
 そうだよね、キョン。

「なら急ごうキョン。今日は塾が、すぐには受験が、残酷なる未来が僕らを待ってるよ」
「やれやれ。俺にはナイーブになる暇さえないのか」
「くっくっく」

 そんな、クールを装った僕の時間。
 けど別に今の関係が嫌いという訳でもないのだ。例えどこかフィルターを通した関係であったとしても、僕らは楽しい。
 せっかく生まれたこの空気を、彼との世界を壊したくなんかない。
 この世界は、あー、そうだ、とても好ましいのだから。
781この名無しがすごい!:2012/05/08(火) 23:57:44.69 ID:mvjrby+f
>>766
遅くなって申し訳ない。そしてわかりにくて申し訳ない。

確認としては平たく言えばその理解でOKです。

質問の回答としては、
>『彼から思わぬコメントを貰い』っていつのどんな話?
上の方が言っている通り、キョンに「お前、それ相応に振舞ったらモテるんじゃね?」
と言われたコトです。
そしてその時の出来事とRainy Dayの出来事は同じ日にあったことです。

>叔母に気軽に会えない理由は?
前提として佐々木は家庭の事情で名字が変わった。
ここからこの話の設定だけど、叔母=佐々木父の妹。
佐々木の旧姓があの名字としたときの名残であの人らしき人を叔母にしてみた。
ただMW号の命題の出来事はリアリティに欠けるんで、もう少し穏やかな事件があったことにして欲しい。
(そこらへんは力量不足で書けなかった)
ちなみにその人の名字が変わったかどうかは想像におまかせ。
単純に考えて父親と離れたとしたら、父方の叔母と疎遠になっても仕方ない。

>『思い出せない』のはともかく、『思い出さない』ようにしているのは何故?
佐々木さんの心情は想像するしかないんだけど、うちの解釈としては
話した内容は具体的に決めてないけど、分裂・驚愕で語っていた
佐々木さんのポリシーに反する内容だったから。
自己矛盾に立ち向かえるほど彼女は強くはないと思う。
何よりおそらく恋愛感情を否定する強烈な例が身近にいると思われる。


個人的にはハルヒは意地っ張りなのに対して佐々木さんは頑固なのだと思う。
782「キョン、自分自身こそ厳しく律すべきだよ」3:2012/05/08(火) 23:59:02.87 ID:N0bjHxp/
「(ナイーブか)」
 雪がちらつく窓の外、ふと思い出した冬の記憶。
 今は高校二年の冬の空。ナイーブ、それは繊細で傷付き易い様、或いは素朴で素直な様を示す和製英語。

 けれどキョン、キミはその語源を知っているかい?
 それはとあるフランス語の女性形。ナイーヴ、素直や無邪気という意味だけじゃなく、鈍感って意味もあるんだよ?
 キミがもし意図して言ったのだとしたら、僕はどうリアクションすれば良かったのだろうね。
 まったく、彼の鈍重な感性にはいつも気を揉ませられるよ。

「くくっ」
 ま、ナイーヴには「お人よし」や「バカ正直」って意味もあるんだけどね。
 そっと取り出す携帯電話、さっき電話が鳴らしたのは、キョンからを意味する個別着信メールの音。
 メールを見て、下校後の予定を組み立てる。

 クールを気取る僕だけど、うきうきしているのは認めるよ。
 だって今は離れているのから、だから「佐々木」じゃなくたって構わないもの。彼に会うまでに再起動してやればいい。
 それまでは、ただの一人の女の子でいたっていいじゃないか。

 自厳他寛。自分に厳しく他人に優しく。
 だけど厳しくあるだけじゃ、理想だけじゃ疲れてしまう、意地を張り続けちゃ、逆に彼を心配させてしまう。
 それじゃあ逆効果なんだって、たまには「私」でもいいんだって

『じゃあ、僕はこれから塾に行かなきゃいけないんでね。話が出来て、嬉しかったよ、キョン』
『じゃあな、親友! また同窓会で会おうぜ』
 それは、僕があの春の別れで見せてしまったセンチメンタルな感情。

『え、キョン?』
『センチメンタルな別れなんかで騙されるとでも思ったか?』
 それは、あの春のセンチメンタルな別れが、彼に心配をさせてしまったから起きた事件。

 僕は知った。
 自分に厳しくあるだけじゃ、硬い硬い枝でいちゃ、しなれず折れてしまうこと。
 そんな危うい姿じゃ、逆に彼に心配させてしまうって事。

 何事もバランスさ、だから今は「私」でいい。
 彼に会うとき「佐々木」であるため、今は「私」でいたっていい。
 そしていつか、彼の前でも「私」でいたっていいんじゃないかなって、私は思い始めていたりもするのだ。

)終わり
最後は高校二年の冬。春〜冬の事件は想像しとくれ。
783この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 00:01:55.71 ID:LWQSSySY
乙。
割り込んでしまってすまん。
784人をなめた話・1:2012/05/09(水) 00:36:00.52 ID:9O1Xf0Md
人間ってどんな味がするんだろうな。
「君にカニバリストとしての素質があったとは意外だよ。
 少々、友達付き合いを考えさせてもらおうかな」
いや、別に蟹は好きだがなんでそれでお前に全力引かれないといかんのだ。
「カニバリズムというのはつまり食人、人が人を食うことだよ」
ぐえ。
「その様子を見る限り、その不穏当な台詞はどうやら違う意図のようだね。
 何やら人を食った話だけど、聞かせてもらえるかな」
うまいこと言ったつもりかよ。
さっき中河と成績の話をしていたんだが、その、なんだ、つまり点数の比較をしていたわけだ。
「ふむ、君がそうやってクラスメイトと張り合いをできるとは、
 中間テストの前日に泊まり込みで一緒に勉強した甲斐があったというものだよ。
それについてはもちろん感謝してるぞ。神様仏様佐々木様。
で、中河のやつが少々気分を害してしまってな。
「自分と同様と思っていた君があれだけの成績を取ったのが信じがたかったと」
期末のときはほとんどどっこいどっこいだったからな。
で、あいつが捨て台詞を吐きつつ泣いてどこかへ行ったんだが、
その台詞が「俺を舐めてんなよー!」だったわけだ。
「その台詞から人間の味を考察する君の思考回路がどうなっているのかニューロンを見てみたいね」
そもそもなんで、舐める、なんだろうなと思ったら疑問が深まってしまってな。
「確か、舌で舐めるのとは語源が違ったはずだよ。
 古語で平仮名で「なめし」というと「無礼である」という意味があってね。
 そこから転じて、なめる、が見くびるとか、ないがしろにするという意味を持つようになったはずだ」
少なくともお前をなめるのは無理だということがよくわかった。
「おや、舐めるつもりはないのかい?」
今お前、漢字の方の意図で喋っただろう。
「なかなか勘が鋭いね、キョン。そもそも人間の味ってどうなのかと考えたのは君じゃないか」
それはそうだが。
「基本的には塩味になるだろうね。人間は塩化ナトリウムで浸透圧を利用して生体を調整している。
 汗をかいた後で放っておくと塩を吹いた憶えはないかい?」
じゃあ舐めると塩味になるのか。汗をかいた後でなくても?
「人間は普段から汗をかいているんだよ。はっきりとは見えないけどね」
そうなのか?実感がわかないが。
「試してみるかい?」
誰でだ。俺は妹をぺろぺろする変態にはならんぞ。
「君の目の前にいるのも同じホモ・サピエンスの生体なんだけどね」
785人をなめた話・2:2012/05/09(水) 00:37:07.67 ID:9O1Xf0Md
同じ変態じゃないか。
「なぜ変態なのかな?
 君と僕は同じホモ・サピエンスの雄と雌でありかつ近親関係にはないのだから
 身体的接触を行うことは自然ななりゆきであって変態的なものではないと思うよ。
 変態というのは異常な性癖や性欲のことであり、生物として当然のことは変態とはいわない」
なんだか騙されたような気がするが、変態じゃないなら試してみるか。
「そうそう、知的好奇心を試すのは悪いことではないよ、キョン」
どこを舐めたらいいんだ?
「露出しているところで汗の味がわかりやすいところというと、そうだね、首筋ではどうだろうか」
なるほど。じゃあ舐めてみるぞ。ちょっと固定のために肩に手を掛けるぞ。
「ご自由に」
ぺろぺろぺろ……
「ん……っ」
なるほど、確かに塩味だな。くどくなくてあっさりしているというか……
「……ふぅ。美味しかったのか不味かったのか聞いておきたいね」
ああ。お前の身体、美味しかったぞ、ごちそうさま。
「くっくっく、君に喰われたような心境はなかなかよいものだね」
それを人を食った態度というんだ。
「ここでそう言い返してくるとはやるじゃないかキョン。
 じゃあ僕も君を喰う、もとい舐めてみようか。甘くないといいのだけどね。
甘いとどうなるんだ?
「糖尿病だと汗に糖分が混じるんだよ」
やめてくれ。この歳で糖尿病になるほど不摂生はしていないはずだ。確認しろ。
「ではお言葉に甘えて、甘くないか確かめてみよう」
む……これは、……くすぐったいな。
「ふぅ……、ごちそうさまキョン。安心したまえ、ちゃんと美味しい塩味だったよ」
ふう、健康を確認できたところでそろそろ帰るか。
「そうだね。みんなが先に帰ってくれていて幸いだったよ」
ところで佐々木よ、人間が塩味なのになんで唾は塩味がせんのだろうな。



ペロペロをSS化しようとしたら変な話になった。おしまい。
786この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 07:39:52.43 ID:eAMOQ8pa
>>781>>782>>785も乙ー

>>781
やっと理解出来たw解説ありがとう

>>782
ナイーブって、いろんな意味があるのね
Wiki見たらキョンに当て嵌まりそうな意味は悪い意味で〜となってるのは、日本とあちらの感性の違いなんですかね

>>785
異性体に興味を持つのは変態ではないにしても、舐めプレイはTPOを弁えなくてはなりませぬ
佐々木さんもキョンも躊躇してないところを見ると、おそらくはどちらかの部屋の中
果して二人は、舐めるだけで済んだのでしょうか!と妄想が広がります〜
787この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 07:43:06.41 ID:IvV2gzm/
>>773 >>781
解説ありがとう すっきりした
788この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 07:44:24.47 ID:eAMOQ8pa



>>785最後、「みんなが先に帰ってくれていて〜」とあった…やっぱ起き抜けはダメだな(^_^;
789この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 07:57:52.25 ID:QX+C1gPs
>>785
乙です
790この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 08:37:25.96 ID:Iiu5Wwld
>>782
乙。782の佐々木像が何となく伺える。

>>785
こっちも乙。まさかprprでここまでネタが膨らむとは…。
佐々木さんはどこをペロったんだw 2人ともやった後に賢者化しているしw
791この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 19:57:51.31 ID:Iiu5Wwld
雨がすごい…。

佐々木さんのスカートのポケットに手を入れて佇んでいる姿はサマになって
とても絵になると思う。
792この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 20:09:07.94 ID:UoLQ1xhf
雨と佐々木さんは相性抜群だね
ブラチラ的な意味で
793この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 21:16:18.77 ID:eAMOQ8pa
ハルヒに対応しつつ雨に関係する名前候補って何かないかな?
794この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 23:30:26.29 ID:Nu1W+bO/
>>784
ビミョーな意思疎通がほほえましいな
795この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 23:45:33.94 ID:KyWia7IX
ヤリマン佐々木
796この名無しがすごい!:2012/05/09(水) 23:59:19.02 ID:exqJ3MKw
佐々木さんこんばんは
797この名無しがすごい!:2012/05/10(木) 07:05:34.76 ID:URuIhqtg
>>793
ユキ
798この名無しがすごい!:2012/05/10(木) 07:19:48.83 ID:cpWkn3rY
>>797
雪??
799この名無しがすごい!:2012/05/10(木) 08:27:20.82 ID:/kgosv/E
>>793
> ハルヒに対応しつつ雨に関係する名前候補って何かないかな?

春雨
800この名無しがすごい!:2012/05/10(木) 08:27:30.65 ID:eMPqYG4F
>>793
ハルヒに対応するならてっきり春←→秋の関係だとばかり思っていた。

秋で対応させるなら、アキナ、アキラとか?
個人的にはアキラの方がぽい。

雨に対応させるなら雫とかちょっとひねって当て字でレインとか?

>>797
それだと残念ながら長門とかぶっちまうわな…。
801この名無しがすごい!:2012/05/10(木) 11:06:48.92 ID:/A6+cRez
【話題】 「男女の友情」は幻想だった! 米大学が発表・・・大半の「男女の友人」は、相手を異性として意識している!

1 :影の大門軍団φ ★:2012/05/10(木) 10:21:08.01 ID:???0
男女間の友情は成立するのか? という古典的なお題に挑んだのは、ウィスコンシン大学オークレール校の心理学研究班。
カナダのナショナル・ポスト紙の報道によると、同校では18歳から52歳の男女400人を調査した結果、
「男女間の友情を成立させるのは難しい」という結論に至ったようです。

実際の「男女の友人」ペアに対して意識調査を行った結果、大半のペアが多かれ少なかれ、
相手に対して「異性としての魅力」を感じていることが明らかになったとか。

これは人間の交配本能によるもので、それゆえに「自分たちはプラトニックだから!」と主張するペアほど、
内心ではジレンマに陥っているそうです。
802この名無しがすごい!:2012/05/10(木) 18:44:56.31 ID:3ixzK6Py
秋 雨 言葉 でぐぐってみた

時雨(しぐれ)・・・秋の末から冬の初めにかけて、ぱらぱらと通り雨のように降る雨。[季語]冬。

冬か…惜しい


>>801
スレ住民なら二人とも仮面で隠してるって分かってるでしょw
803この名無しがすごい!:2012/05/10(木) 23:09:55.85 ID:cahDzeDY
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
804この名無しがすごい!:2012/05/10(木) 23:21:11.52 ID:zr6rcMBW
>>ウィスコンシン大学(略)同校では18歳から52歳の男女400人を調査した結果
というよりサンプルがめちゃくちゃ少ない上に地域限定され、精神性に限定しても国毎に大きく違う
三丁目のファミマじゃヨーグルトがバカウケ=ファミマのヨーグルトは全国で大人気! みたいに言ってるようなもの。アメリカンジョークだろ
805この名無しがすごい!:2012/05/10(木) 23:52:56.29 ID:H2H+WIA/
佐々木かわいいよ佐々木
806この名無しがすごい!:2012/05/10(木) 23:57:13.13 ID:C+LIMubY
佐々木は肉便器
807この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 00:51:45.67 ID:7VXZCgQQ
ジャンプの銀魂で、佐々木というキャラの部下に、信女という重要なキャラがいて、中の人がハルヒって、洒落かなんかな?
808この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 01:40:36.94 ID:YpAsHKJu
>>807
銀魂の佐々木の中の人が、ハルヒで佐々木役やるわけではないから
809この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 11:30:12.89 ID:iSASgv2K
>>808
> >>807
> 銀魂の佐々木の中の人が、ハルヒで佐々木役やるわけではないから

可能性を否定してはつまらない
810この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 15:38:06.56 ID:cq5fyvIq
>>803,57,75,77,121,148,175,423,502,530,741
811この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 19:21:47.35 ID:mjbv9TUH
佐々木さん、ナウシカは何回目の放送になるのでしょうか
812この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 19:38:12.52 ID:L++iFUgg
>>804
心理学の調査は
まずは学者が勤めてる大学の学生からっつーか自分の教室の生徒からだろうフツー
そんな事いったら心理学の否定じゃよ
常識のある人は「そんなこともあるのかな」と言いながら
五大湖畔と日本ではどう違うんだろうかとか考えるものさ
813この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 21:11:34.87 ID:YpAsHKJu
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
814この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 21:15:05.91 ID:yxz4gXPU
>>>801みたいにインパクト重視の見出しをつくっちゃう輩がいるから面倒な事になるって話
815JPP(Japan Peropero Party) 日本ペロペロ党2ch担当:2012/05/11(金) 21:37:50.04 ID:ILyHHlUG
佐々木さんのマ●コをペロペロ(^ω^)
816この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 23:16:57.63 ID:YqojKqtm
>>813,57,75,77,121,148,175,423,502,530,741
817この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 23:37:46.10 ID:tBZl24wl
佐々木さんこんばんは
818この名無しがすごい!:2012/05/11(金) 23:40:17.01 ID:mjbv9TUH
>>815
キョン「これでも喰らえ!」
つ大魔神
つ戦国武将
つレスラー

佐々木さんドコー(?ω?)

キョン「佐々木、あいつが戸惑ってるうちに役所に行くぞ!」
819この名無しがすごい!:2012/05/12(土) 00:53:05.25 ID:vvGrQs3D
「こらキョン、起きたまえ」
 対面で眠る彼からの返事はない。
 まったく、模試で解らなかったことがあると聞いてきたのはキミではないか。
 なのにキミが寝てしまっては話にならないだろう……?

『迷惑かけて悪いな』
『くっくっく、別に構わないよキョン』
 それは土曜日の塾が終わった後、塾の実習室、パーティションで区切られた一室での事だ。
 珍しく勉強についてキョンから自主的な質問があり、僕が答え、それを実際の問題へと反映させるというサイクルが行われた。
 が、三サイクルほどでキョンが居眠りして途切れてしまった、とまあこういう訳さ。
 まったく我ながら困った友人を持ったものだよ。

「こーら!」
 強めに呼びかけてもピクリともしない。
 そういえば、日頃から朝は妹さんの暴力的行為で叩き起こされているとか言っていたな。
 もしやよほどの衝撃でなければ目覚めさせるのは困難なのかい? しかし暴力は僕の望むところではない。
 まずは頬を軽くはたいてみようか。

「キョン、キョン、起きたまえ」
 ぺちぺちべちべちぱちばちばちと徐々に強くしていったが起きない。
 そういえば今日は土曜か。週休二日ゆえ塾に入るまでは休みの日だった曜日だ、キョンには厳しい日取りなのかもしれないな。
 しかしだ、それでもこの場はタイムイズマネーの法則を適用しよう。
 僕もキミの友として心を鬼にしなければなるまい。

 かくなる上はと参考書を振り上げる。
 さて、丸めてはたくか、威力重視で角で行くか、そこが問題だよキョン。さあ

「ん……」
「ん」
 ふと。そういえば、こんな風にキョンの顔を見下ろすのも久しぶりかもしれないな。
 塾に通い始めた当初は寝てばかりだったが、やがて春が過ぎ、夏が来て、秋を越えた辺りからは流石に身が入ってきた。
 そうとも、このようにわざわざ自習するくらい身が入ってきたのだ。
 だからこんな風に寝こける彼を見るのは久しぶりであり……。

 うん。だからだ。
 だから私は手を止めたのだ。だからこうして見つめているのだ。そこに他意はない。
 それにね、適度な休息は心と身体を休めるというものだろ。
 だからこの行為を僕は友人として許すべきなのだ。

「ねぇ、キョン」
 返事は無い。ただ安らかな寝息が返ってくるばかりだ。
 漫画とかならここで僕の名前でも呼んでくれるのだろうけれど、キョンのような鈍重な感性の持ち主にそこまで期待はしない。
 鈍重な感性の……けれど彼は決して無情でも愚鈍でもない。

 むしろ、彼は冷めて斜に構えたような人だ。
 世の中の無情さを、さっさと先回りして知ってふりして諦めてしまうような、そんな人だ。
 他人に対しても、どこかそんな先回りを利かせている節がある。

 そんな彼が、今、私の目の前で眠っている。
 決して格好良くも可愛い訳でもない、どちらかといえば「間抜けな」とでも呼ぶべき寝顔。
 けれど、二人きりの時にそんな寝顔を見せてくれるのが、私へのほんのちょっとの信頼感の表れであるのなら……。
 私の前でなら無防備でいても良いと、無意識にでも思っていてくれるという事ならば……。
「うん?」
 そんな暖房のよく効いた暑い部屋でじっと見つめていると、キョンの口元に異変が生じた。いかんヨダレがノートに落ちそうだ。
 すぐさまハンカチを取り出し、起こさぬようそっと彼の口元を拭ってやる。
 そんな二人きりの自習室で彼の口元に手を添えた僕の図。

 ……って私、今、何かすごく恥ずかしい事をしているのではないだろうか……?

 思わず周囲を見渡したが、当然ながら周囲には区切られた小部屋の壁があるだけだ。
 というかこの行為こそむしろ「恥ずかしい行為」だよね。
 うん、落ち着け私。

 キョン、まったくキミという奴は。
 さすが我が友というべきか? 意識がないというのにこの僕に恥をかかせるとはなんて奴なんだ。
 くく、だが僕とてただ辱しめられているだけの小さな人間ではないよ。
 目には目を歯に歯を、ここはハンムラビ法典に従おうじゃないか。

 では彼に恥をかかせてやるにはどうすればいいだろう。
 そうだね、今この場には僕ら以外に誰も居ない、なら「外に出てから有効になる」ような行為が望ましいはずだ。
 例えば、そうだね、確かカバンに母からもらった口紅が潜めてあったはずだ。
 くっくっく、僕も遺伝子的には女性なのだからね。

 あったあった。
 そう、僕は遺伝子的には女性なのだよキョン。
 だから遺伝子的に男性であるキミを辱しめる行為をだね、この口紅を使って、そう……。



「ささき、おい、ささき?」
 何だい、起こすならもっと素直になれないぶっきらぼうで大人ぶったしかし心根は優しいツンデレ少年風に頼むよ。
「……今のアホな台詞は聞き流してやるからさっさと起きろ」
「おや、おはようキョン」
 何で人の部屋にいるんだい?
「ここは俺の部屋だ」
「おやそれは失礼」
 そうそう、そうだったね。
 ここはキミの部屋、そして今は中学ではなく高校の三年だ。

「まあ自分の受験勉強で疲れてるだろうに、俺なんかの勉強まで見てくれてるんだから」
「ストップだよキョン」
「む」
 ぴっと人差し指をつきつけ軽くカサついた彼の唇を塞いでやる。

「何度も言うが僕にとっては決して迷惑なんかではない。それに誘ったのは僕だ。
 これは僕にとっても見直しとして非常に重要だと言ってるだろう? それに現在試行している勉学の体制をキミに転用・適用する事で
 僕自身のやりかたも見直せるのだ。これは決して迷惑なんかではない。そうとも何度も言うようだが僕はキミに迷惑など……」
「わかった降参だ」
 両手なんかあげて大げさだねキミも。
 くっくっく。

「いいから顔でも洗ってこいよ。可愛い顔が台無しだぜ?」
「含みのある言い方だねえ、まあ僕とて従うにはやぶさかではないけれど」
 にしてもキミのジョークは毎度ながら面白みに欠けるねキョン。
 が、確かに顔がちょっとベタベタするのは確かだ。
「では洗面台をお借りするよ」
「おう。ちゃんと返せよ」
「くく善処する」

 善処ってなんだよ、という声を背に受けて階段を下り洗面室を覗き込んだ僕だが、鏡を見て
「……やられた」と声を上げてしまった。

「まったく、いつかの仕返しかい?」
 思わず人差し指で唇をさする僕の頬には、透明なリップクリームでテカテカした花丸が描き込んであったのだった。
)終わり

佐々木さん流の「他人を話で煙に巻く」が自分自身にもタマに適用されてたりすると可愛いよねというお話
822この名無しがすごい!:2012/05/12(土) 03:32:48.53 ID:rGeYKDnu
823この名無しがすごい!:2012/05/12(土) 07:00:33.78 ID:/FXARbKc
おはおつ
最初は額に肉かと思ったけど落書きアイテムが口紅で\(^o^)/だったのに、キョンからはほっぺに花丸で(?_?)
あれはキョンの照れで、脳内ではピンクの唇と知らずに佐々木さんと二人乗りしたキョンで固定しまっス
824この名無しがすごい!:2012/05/12(土) 12:59:34.56 ID:UctFaPaB
乙。

佐々木さんが中学のときに仕掛けたコトは各自の想像力次第だな。
チューマークをつけた後に我に帰って落書きでごまかしたに一票。
825JPP(Japan Peropero Party) 日本ペロペロ党2ch担当:2012/05/12(土) 16:54:15.50 ID:1amLt36Q
佐々木さんの乳首をペロペロ(^ω^)
826この名無しがすごい!:2012/05/12(土) 19:52:05.48 ID:/FXARbKc
キョンの枕に自分の抜け毛を数本絡めておく佐々木さん
827この名無しがすごい!:2012/05/12(土) 22:34:59.39 ID:/FXARbKc
今日はちょっと寒いですね佐々木さん
828この名無しがすごい!:2012/05/12(土) 23:20:05.27 ID:URj2RpeN
佐々木さん、かわいいです
829この名無しがすごい!:2012/05/12(土) 23:45:33.47 ID:vMB9ScJs
キョンは佐々木眼中無し
830この名無しがすごい!:2012/05/12(土) 23:57:50.60 ID:/FXARbKc
ちょい風邪気味だからあったかくしておやすみ
831この名無しがすごい!:2012/05/13(日) 04:06:16.79 ID:n/xzgXEF
wikiの加筆乙。
わかりやすくなった。
832この名無しがすごい!:2012/05/13(日) 12:25:13.95 ID:5bOwFBaw
佐々木さん、今日は
833この名無しがすごい!:2012/05/13(日) 19:53:26.14 ID:y6/6ezpH
.        , -‐- 、. , -‐-ー .、
.       ,'. /  ト、 ヽ   ヽヾ
        i. ((从ソ 从〉,ハハバゝ
.       l. (|┳ ┳i!i| ─ ─i! 
..      ,ハNiヘ'' ー.''ノiハ、. - ノ’ 
.         〈ヾ/゙ノi  /〈にづ┓___
        _.ノUUZゝぐ___,/__||卅]
        ~,'(_,(ソ__//゙> .> /ヾ⌒ヾ
        (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
.        ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'
834この名無しがすごい!:2012/05/13(日) 19:58:06.56 ID:Xe7Iozmx
ラブコメ好きな佐々木さん
835この名無しがすごい!:2012/05/13(日) 21:09:47.00 ID:JdHG6q+g
>>833
ID変えて鬱陶しい虐殺AA貼るんじゃないぞカス
836この名無しがすごい!:2012/05/13(日) 22:56:06.71 ID:Xe7Iozmx
知らないうちに蚊に食われてたよ痒いです佐々木さん(´;ω;`)
837この名無しがすごい!:2012/05/13(日) 23:46:50.85 ID:QpS01jRV
佐々木さんかわいいよ佐々木
838この名無しがすごい!:2012/05/13(日) 23:58:08.11 ID:63zu78/w
part65のささきと!シリーズはやっぱ面白いな。
元ネタのよつばと!のまんまなのに国木田の台詞に違和感なさすぎて吹く。
839この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 01:00:23.95 ID:8IvFDmIp
佐々木「最後はハッピーエンドにしてくれ。そういう決まりなんだ」

編集者佐々木シリーズより抜粋
840「佐々木さん、大事なのは言葉ですよ」1:2012/05/14(月) 01:08:02.77 ID:eBanR9n6
『藤原くんから見れば、そう、私にはキョンを北高へ連れていく役割くらいしかなかったのよ』
 佐々木さんの言葉はあたしの心をあの閉鎖空間へと連れ戻す。
 あの日見た、混ざり合い混沌とした空間へと。

『彼の望みは力によってお姉さんを救うこと。だから本来は力の所持者なんて誰でもいいの。
 けれど涼宮さんにそれをさせるのは不可能に近い。だから、私に移すという第二の可能性に賭けたでしょうね』

『でも私は与えられた役割を演じなかった。
 力の争奪戦において与えられた『涼宮さんに対する解り易い敵役』という役割をね。
 きっと藤原くんは未来人の知識によってそれを知っていたんじゃないかしら。だから私を憎んだのだと思う。
 私が本気で役割を演じていたなら、もしかしたら藤原くんは『お姉さんを救う』という大望を果たせたのかもしれないのだから……』

 あたしは言わなくちゃいけない。
 あたしが知っていて、佐々木さんも彼も知らない事がある。特に「彼」にだけは知りようも無いことがあるのだから。



 五月、桜の葉の緑がいよいよ濃くなる季節。
 節くれだった幹、青々と生命に満ちた緑の葉を見ていると、あの四月の儚げな桜とは別の植物であるかのように錯覚させられる。
 それを見つめる佐々木さんの姿が、一層儚げに見えてしまうような、そんな気がした。
 だから、あたしは

「葉桜、ですね。佐々木さん」
「そうね橘さん」
 見返す笑顔はいつもと同じ
「そうそう桜と言えばですね、桜餅が美味しいお店があるんですよ」
 そうしてあたし達は葉桜の桜並木を連れ立って歩いた。
 本音を葉っぱで包むように。


 桜葉で包まれた独特の感触のもち米を頬張り、お茶を頂く。
 ほのかな桜の葉の香りとお茶の味わいがさっぱりと餡を口内で溶かしてゆく様は、少し早い初夏の香りを思わせる。
「美味しいですね。さすが話題のお店なのですよ」

「ちなみに、このようにもち米を加工した道明寺粉を使う『道明寺』がいわゆる京風、中部以西の西日本側、及び東北日本海側と北海道に
 小麦粉ベースの生地を延して焼いた『長命寺』が江戸風、関東甲信から東北太平洋側に
 おおざっぱに言えばこんな感じで分布しているらしいわね」
「へえ、二種類あるんですか」
 相変わらずの博識さです。

「ねえ、佐々木さん」
「あら橘さん、葉っぱは食べないの?」
 いえあたしはどうも……って話をそらさないで下さい。

「ですから」
「あ、店員さん。桜餅もう一ついただけます? それとお茶もお願いします」
「はーい」
 二人で対面しているのに、あたし達は本音で喋っていない。
 でも果たして韜晦して、本音をごまかそうとしているのはどちらなのだろう。
841「佐々木さん、大事なのは言葉ですよ」2:2012/05/14(月) 01:08:25.68 ID:eBanR9n6
「ねえ、佐々木さん」
「……行かないわよ」
 何処へとも誰にとも言う前に断言された。いつものパターンだ。
 佐々木さんはどこか寂しげな、センチメンタルな気配を漂わせたまま。それでも彼女の頑固さはちっとも変わらない。

 もういっそ「彼」を頼るべきなのだろうか。
 けれど、彼と彼女を接触させることは「神の力の簒奪」に否応なしに繋がる。他組織は鉄壁のガードを敷くだろう。
 現代では「機関」が、宇宙からは情報体が、そして未来からも強力に干渉されている。
 あたし達は彼の前に姿を現すことすら容易ではない。

 だからこそ「組織」は誘拐なんて強行でバカな真似をしてしまったのだ。
 強力な干渉に焦っていたし、それにあたし達は「あたし達が異能者である」と彼に認識をさせなければいけなかった。
 そうしなければ、彼を通じて佐々木さんを納得させることも出来ない。
 あたし達が超能力者である、と、彼女を納得させられない。
 我ながら短期的な見方。けれど焦っていたのだ。

 そうだ。「力を持たない、けど神らしきもの」を信奉するだけでは「力を持つ神らしきもの」を持つ者達に対抗できない。
 誰だって後者を信頼するに決まっている。物だって人だって金だって全部後者に集まるんだ。
 あたしたちは良く言えば「対抗馬」、悪く言えば「かませ犬」でしかない。
 あたし達の神様こそが、佐々木さんこそが本来の神様なのに。
 アイデンティティの崩壊を防ぎたかった。……だから失敗した。

 あたし達は、あたし達であろうとして失敗した。
 佐々木さんを道連れにして。

「気に病む事は無いわ橘さん。それだけ未来人の言葉が大きかったという事でしょう?」
 え。もしかして口に出して言ってました?
「さあてね?」
「もう」
 佐々木さんの笑みは変わらない。


「キョンに『暴走する可能性の無い、平穏な世界』を望んで欲しかったのでしょう? けれどそれには遅すぎたのよ」
 佐々木さんは滔々と語る。当然だというように。
「その為には、キョンが鍵となり、なおかつ彼が『現在の世界は嫌だ』と思っている時期である必要があった」
「ええ。実際あたし達は今もそうなのだと思っていました」
 けれど彼はそうは思わなかった。
「涼宮さんは、彼女の身内から見ればとうに安定しているのよ」
 それに考えても御覧なさい、と彼女は笑う。
842「佐々木さん、大事なのは言葉ですよ」3:2012/05/14(月) 01:08:45.23 ID:eBanR9n6
「それに彼女の力の為にSOS団は集まっているのでしょう? なら失われたらどうなると思うかしら?」
「そりゃ古泉さんは肩の重荷が取れてですね」
「SOS団が、よ」
 言われて見れば当たり前の結論。
 現代人の古泉さんはまだしも、未来人と宇宙人は本来あるべき場所へ帰る事になるのが普通だろう。
 あたし達のところに九曜さんが姿を見せなくなったように。

「彼がどんなにSOS団を大事にしているかくらい、「長門さん」の為に必死の形相で現れたキョンを見れば解るでしょう?」
 彼は九曜さんの手による病気に倒れた「長門さん」の為に必死になっていた。
 けれど仮に力が佐々木さんに移れば、結果どうなっていたのか。
 天秤に乗っていたものは思ったよりも多いのだ。

「ならもっと早い時期なら良かったって事ですか?」
 佐々木さんは細い指を振り
「それはノーね。今度は私が問題になるもの」
 言って自分自身を指差した。
「キョンと別れて間もない頃なら、私が彼を求めなかった。求めるつもりなら卒業当初から連絡でも取り合っているわ」

「私はこの一年で弱ってしまった。だからキョンを求めた。でしょう?」
「そんなことないです、佐々木さんは」
「なにより必要な状況は」
 きっぱりと遮るように言う。

「私がキョンの迷惑を顧みず、かつ涼宮さんと張り合うくらいに強く彼を求めなければ成立しないわ。そんなのはありえないのよ」
 あってはならない。言い直しながらくつくつと喉奥で笑った。


「だから藤原くんは私を憎んでいたのでしょうね」
「なんで藤原の奴なんです」
「せめてさん付けしたら?」
 なんか嫌なんです。
「でも彼に協力を願ったのはあなた達。ならそのリスクも共に負うものよ」
843「佐々木さん、大事なのは言葉ですよ」4:2012/05/14(月) 01:09:04.67 ID:eBanR9n6
「彼の目的は『力』で『お姉さんが生存する世界』を固定すること。前後の歴史の乱れはさておき、それだけを確定させたかった」
「ええと確かそうでしたね」
 藤原……さんと、朝比奈さんとやらの言い争い。
 あたしが録音しておいたテープレコーダーにも残っているから、佐々木さんだって知っている。
 けれど、あたし達はそんな理由だったことすら最後まで知らなかった。

「仕方ないわよ」
 あっけらかんとしたものだ。
「未来人は話せる言葉が制限されているんでしょ? 禁則事項だったかしら」
「待ってください、ならなんで」
 佐々木さんはちっちっちと偽悪的に指を振る。
「だから彼は言ったでしょ? 『既定事項を外れた? 僕よりも先に禁則を外したものがいただと?』ってね」
 佐々木さんの空間へ入った先、あのしょぼくれた部室で「世界が融合した」時だ。
 確かに藤原さんは驚愕を浮かべていた。

「藤原くんはそれまで『歴史のあるべき姿』を辿っていた。だから乗りたくも無いタクシーに乗ったし
 それまでにキョンを説得することが無理なのも、私が力が欲しいと言い出さない事だって、なにもかも知っていたのよ」

「けれどあの時の部室でだけは、既定事項も、禁則事項も外し、制限の無い行動と発言を得られたんでしょうね」
「ちょっと待ってください。既定事項も禁則も自分で外せるなら」
「多分だけど意図的には外せないのよ」
 まるで見てきたように言う。

「意図的に外せるなら『朝比奈さんが失われる』事を伝えてキョンを仲間に引き込めたはずでしょ?」 
「ちょっと待ってください」
 それはそれで辻褄が合いません。
「なら禁則が外れたときに、真っ先に彼に相談すればよかったじゃないですか」
 すると佐々木さんは「あらあら」と言いたげに笑った。

「部室に入った後、一体何が起きたのかはあなたの方が良く知っているのでしょう?」

 そうだった。藤原さんにはそんな余裕なんてなかったんだ。
 藤原さんに連れられ部室に入った時、待っていたのは「もう一人の彼」と見知らぬ女の子。
 出会った瞬間に「もう一人の彼」とその子は消えてしまい、後には混乱する藤原さん、彼、あたしが残された。
 しかし考えをまとめる間もなく九曜さんが現れ、古泉さんと未来人の女性が現れ、更に窓の外は見知らぬ奇妙な空間に変貌していた。
 後は急流のように物事が進行し、あたしだけではなく、藤原さんさえもが混乱のきわみにあったのだ。

 いや、むしろあらかじめ「予定表」を持っていた藤原さんこそ混乱していたはずだ。
 佐々木さんの空間で、藤原さんは涼宮さんを人質にしようとしていた。
 けれど、それはあくまで混乱した状況下での事だ。
 思えば藤原さんは何と言っていた?
844「佐々木さん、大事なのは言葉ですよ」5:2012/05/14(月) 01:09:26.99 ID:eBanR9n6
『僕がバカだった。最初からこうしてやればよかったんだよ』
 彼は自嘲していた。あくまで仮定の話にすぎないが、もしかしたら最後まで彼と話し合おうとしていたのかもしれない。
 禁則事項を取っ払って、今度こそ腹を割って。

「事実はわからない。ただ、藤原くんは普段「発言が大きく制限される」。
 しかも未来人は過去には直接干渉できず、言葉だけで過去人に折衝して目的を達成しなければならない。よく出来たルールね」
 だからこそ組織的な関与が可能になるって事でしょうか。

「くく、彼が混乱してくれたのは傍聴人には好都合だったけどね。
 禁則が外れ、想い人、朝比奈さんだったかな? と出会った藤原くんは、彼自身の思いをようやく吐露してくれたのだから」
「笑い方が悪趣味ですよ佐々木さん」
 けど本気でたしなめるつもりなんかない。
 彼女には権利がある。誰より藤原さんに振り回された彼女には権利がある。

 あたし達が巻き込んだせいで、彼女は彼女が誰よりも鈍感だと知っている彼に、たった二週間の再会と選択を強いられたのだから。
 一年ものブランク、たった二週間という期間、周りを固める「彼の敵」。いま思えば完全に無理ゲーだ。
 そして佐々木さんが彼を思うという事は「神の力の簒奪」として疎まれるという事で……。


「彼の望みは力によってお姉さんを救うこと。だから本来は力の所持者なんて誰でもいいの。
 けれど涼宮さんにそれをさせるのは不可能に近い。だから、私に移すという第二の可能性に賭けたでしょうね」
「確かにそのように言っていましたね」
「けれど問題は」
 佐々木さんはくつくつと喉奥で笑う。

「私に移すために、私とキョンの同意が必要だという事。
 その為には私がキョンを説得するのが一番の早道な事くらい誰にでもわかるわ。彼を説き伏せるのなら自信があるしね」
 中学時代からそうだったもの。と楽しそうに笑っている。
 そう、これまでで一番楽しそうに笑っている。

「けれど私はそれをしなかった。私は選択が終わるまで出来るだけキョンにノイズを与えないよう努めた。
 今回の事件からすれば、むしろ私は居ても居なくても同じなくらいなのよ。ただ、キョンを舞台に引っ張り上げる役くらいかしら。
 そう、藤原くんから見れば、私にはキョンを北高へ連れていく役割くらいしかなかったのよ」

 彼女は舞台に上がることを放棄した。
 佐々木さんが「私を選んで」と彼に望んだなら、彼にとって「佐々木さんを選ぶ」という選択肢が生まれる。
 けれど彼女はあくまで「キミが決めてくれ」と選択を彼に委ね、役割を放棄した。
 力の奪い合い、という舞台において、彼女は影響力を自ら放棄した。

 彼女は自分の弱みすら見せようとせず、全てが終わってからようやく明かした。
 同情も友情も愛情も、彼に訴える要素はいくらでもあった。
 けれど彼女は「彼にとってノイズ」だと断じた。
 
「私は与えられた役割を演じなかった。
 力の争奪戦において与えられた『涼宮さんに対する解り易い敵役』という役割をね。
 きっと藤原くんは未来人の知識によってそれを知っていたんじゃないかしら。だから私を憎んだのだと思う。
 私が本気で役割を演じていたなら、もしかしたら藤原くんは『お姉さんを救う』という大望を果たせたのかもしれないのだから……」
845「佐々木さん、大事なのは言葉ですよ」6:2012/05/14(月) 01:10:11.75 ID:eBanR9n6
「けれど私が現在の私であるのは私が望んだこと。私はキョンに迷惑をかけてまで私を放棄したくない。するべきじゃないのよ」
 お茶を一口。それから、申し訳なさげに付け足した。
「もし藤原くんから『理由』について聞いていたなら、また事は変わったかもしれないけれどね」

『ふん、禁則だ』
 彼がいつも言っていた言葉を思い出す。

 藤原さんはいつも苛立っていた。
 彼はあたし達に話したかったのだろうか、話せなかったのだろうか。
 あたし達は、仲間を気取って、結局仲間になりきれなかった。禁則事項? どんな理由だったって、それが「敗因」なのは間違いない。
 意思疎通、当たり前だけどとても大切なんだって、今更ながら解った気がした。
 言葉は力なのだ。
 だから。

「……でも、そんなのないです」
「何がかしら?」
 彼女は片手で頬杖を突いている。
「藤原さんにも言い分がある事くらいは解りました。けど、その為に佐々木さんが不幸になっていいはずないです」
「だから私は不幸なん」
「嘘です」
 あたしは言ってやる。

「ノイズを与えたくなかった? なに言ってるんです、佐々木さんはすごく楽しそうだったじゃないですか」
 言わなければいけない。

「そうです、佐々木さんご自身も「キョンさんと一緒に居ない佐々木さん」を知らない彼にだって知らないことです。
 知りようも無い事です。けれど、とてもとても大事な事です。大事な事じゃないですか。
 彼と一緒に居る時のあなたは、誰よりも幸せそうだったじゃないですか」


 藤原さんがいつも雰囲気で語っていたように、人は言葉以外でも語れる。
 けれど、本当の形で伝えるにはやはり言葉しかない。
 ならあなた達はもっと語り合うべきなんです。

「彼に重荷を背負わせろというのかい?」
 彼女の言葉遣いが変わったのは、果たして意識してなのだろうか。
「僕はキョンに迷惑なんかかけたくないんだ。そんな関係になんてなりたくないんだよ」
 彼女は理性的にあろうとしている。
 誰よりも、誰よりも。

 けれど今回の件で、彼女の行動は誰よりも雄弁で情動的だった。
 彼といる時の彼女は、言葉はともかくいつだって行動が情動的だった。
 だからあたしは力になりたいんだ。
846「佐々木さん、大事なのは言葉ですよ」7:2012/05/14(月) 01:10:31.84 ID:eBanR9n6
「佐々木さん」
 だから言いたい。
「佐々木さん。彼が本当に迷惑だと思ってるなら、そもそも迷ったりなんかしないんですよ」
 言わなきゃいけない。
「彼が本当にあなたを心配していないなら、涼宮さんの命がかかった時点で、あなたに力を移せばよかったじゃないですか」
 彼が本当に心配していないなら、そもそもあたし達の会合にだって顔を出したりなんかしません。
 そんな事さえ気付かないフリをし続けるんですか?

「涼宮さんを殺せ。
 そう藤原さんが九曜さんへ命じた時に彼はどうしました?
 彼は自分があなたへの人質になったり、あなたに苦労さたりするくらいならと意気込んでいたじゃないですか。
 そうです。彼が何よりも涼宮さんが大事で、あなたが心配じゃないのなら、そこで力を移せば終わっていたことじゃないですか」

「あなたも彼も、お互いに大事にしすぎなんです。
 ああそうですよ、あなたも彼も互いに互いの選択をすごく尊重してるんです。
 例えば「選択」が終わるまで、あなたは彼に「告白された」って伝えなかった。伝えたら選択のノイズになってしまうでしょうから。
 だから彼も聞いても何も言えなかった。言ったらあなたの選択のノイズになってしまうでしょうから。
 けどそれでも、彼は必死に答えを探していたんじゃないんですか!」

「んん、もう!」
 口元がこわばっているのが解った。食いしばっているのが解った。
 あたしは涙を必死に堪えようとしているのだと、他人事のように捉えながら理解していた。

「お互いに迷惑なんかかけられても構わないと思ってるくせに、お互いに迷惑なんかかけたくないと思ってる。
 なんであなた達は、あなた達は、あなた達はなんでそんなに頑固なんですか!」

 いつもいつも判じ物でパズルみたいに喋ってないで、たまには本音を出してみましょうよ。
 彼が本当のあなたの意思を理解しているかなんて解らないじゃないですか。
 本音で喋ってみましょう? 彼は迷惑だなんて言いませんよ。
 あたしが保障します。だって……
847「佐々木さん、大事なのは言葉ですよ」8:2012/05/14(月) 01:11:34.77 ID:eBanR9n6
「あなたが、あなたがあなたであろうとする程、彼から遠ざかっていくなんて、それこそ貧乏くじじゃないですか…………」

 言う事をいって放心するあたしの頭を、佐々木さんの手がやさしく撫でていた。
 何やってんですか。それこそ彼にして欲しい事でしょうに。
 いえ、だからこそあたしにしてくれるんでしょうか。

 いつか聞いた事があります。
 人の行為は、隠された願望によるものだと。
 自分にとって嬉しい行為だから、だから、人にしてあげる。そういう事もあるのだと。
 佐々木さんの驚くほど小さな手の感触。こんなに小さな手のひらに、あたしが全てを託そうとしていたという愚かしさ。
 けれどこんなにも温かい人だから、だから、あたしはこの人に託したかったのかもしれない。

 世界に不満を持たない神様、ではなく。
 本当に欲しかったのは、ただ世界を「全てを肯定してくれる」神様だったのかもしれないと。
 あたし達は、いつでも自分自身のちっぽけさに悩むような、そんなアイデンティティに悩まされっぱなしの存在なのですから……。
 

「ありがとうございましたぁ」
 それからしばらく。カランカラン、と小気味よい音を背にあたし達は店外に歩き出す。
 二人とも無言のまま。そう、あれだけ威勢の良い事を言ったとはいえ、あたしに出来る事はとりあえず思いつかない。

 佐々木さんが彼に近付こうとすれば他の組織は黙ってはいないだろう。
 古泉さんの「機関」は「そのつもりはない」とは言っている。けれど莫大なスポンサーを持つ以上、一枚岩はありえない。
 あたし達の組織は解体してしまったし、下手すれば、また藤原さんのような人が現れるかもしれない。
 あたしに出来る事は、とりあえず思いつかない。
 だからと言って誘拐事件の二の舞もない。

 佐々木さんに「力」がないように、あたし達はどうにも無力だった。
 けれど唯一の道があるとしたら。

『少しずつですが、僕にも解ってきましたよ。エイリアンな方々がこれほど大騒ぎしてくれているおかげでね』
 古泉さんが読み解いた言葉。

 涼宮さんの力も恒久的なものじゃない。
 もし恒久的にあるものなら、特に藤原さんは焦ったりしなかったはずだ。
 彼は時間渡航できる時代から来た未来人だから「変えたい未来」は、ずっとずっと未来にある。涼宮さんの寿命よりきっと遠くにある。
 その上「他人に移せる」ならなおの事だ。今回よりももっと適切なタイミングなんていくらでもあるはずだ。
 あんな風に不機嫌でいるような、困難なタイミングで実施する必要なんてないのだ。
 きっと「力」の寿命はすごく短いのではないだろうか。


「葉桜、もう先端が黄色くなってるのもありますね」
「……そうね」
 青々としている気がした葉桜も、よくみるとほんの少し黄ばんでいた。
 あの桜の季節、葉桜、そうして季節が過ぎ去っていく。
848「佐々木さん、大事なのは言葉ですよ」8:2012/05/14(月) 01:13:25.83 ID:eBanR9n6
 あたしはせめて橘でいよう。
 常緑樹の橘の樹のように、彼女の傍らにいよう。
 この頑固者の彼女が、今度こそ素直になれる日が来るにしても、どこか別の誰かを好きになるにしても。
 誰よりも貧乏くじな生き方をしている彼女の、ほんの少しでもいい、力になって生きてみたい。
 彼女の誰よりも幸せそうな笑みを、もう一度見てみたい。

「桜餅、美味しかったですね。でも葉っぱなのに年中食べられるって不思議です」
「あれは塩漬けを使っているからね……」
 佐々木さんの口が回りだす。

 彼にようには行かないし、彼のようにある必要はない。
 彼がSOS団の代替を求めなかったように、代替なんか彼女は求めていないのだから。代わりなんてどこにもない。
 だからあたしは、そう、橘としてここにいよう。
)終わり

■「に、しても」
「なんでキョンとの最後の会話まで知ってるのかしら橘さん?」
「あ、いえ、え、その」
 あたしが思い切りしばかれた事は言うまでもない。
 だって心配だったんですよう……。

橘の組織に金が無いのはある意味すごく自然。ただ古泉の機関は機関でどうやってスポンサー集めたのか
まあ色々想像できるから逆に書かれないような気もするけれど。
849この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 06:56:46.65 ID:6upVZzDD
850この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 08:48:03.50 ID:8IvFDmIp
乙。
古泉の機関にスポンサーがついたのは言ってしまえば運というかハルヒの力の導きだろうな。
九曜(天蓋領域)はまた何かやらかすかもしれんが、橘はサポート要員になるのかな。

しかし、自分の事情を知っている友人に腹を割って話すのはそれなりに勇気がいることもあるしれないな…。
851この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 09:27:33.09 ID:d56deur+
>>803
            , ----- 、
        ____/〃"  、、、 ヽ
      ∠> ` ̄ ̄`ヽ, --z _ i
     / ,>           ヽ  ̄\
    ./,∠.    人  、   ゛゛゛ ヽ゛、 ヽ
   / _ノ .  /  | /|人  ゛゛゛ |   i
   |  〉/ ./|  レ´ ̄`ヽ λ   | |i  |
   i ll 〈/|  |`ヽ  , ― 、 |ノ |    | |l  |
    |   |人|⌒ノ   、__・,   レ 、∧|   /
   ゞ、 ゛  | 、ヽ_________, メ ト、 | " /
     \゛、 | トー―--|  /__./ " /
      `‐ヽ ゝ, _____.ノ /レ'____/
          \_____    |  ζ
             |    .|  ∞
         ______.ノ     人 (⌒)
        //::::::::|-、 ,-/::::::ノ ~.レ-r┐
       / /:::::::::::|  /:::::ノ__ .| | ト、
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       レ::::::::::::::::::|/:: ̄`ー‐--|-‐′
                    |
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                  , -‐- 、、  
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                 i. ((从ソ 从〉
                 l (|;:;:;:;:;;;;:i!i|
                ハNiヘ'' - ''ノ'iハ           , -‐-ー .、
.                  .{i'∪∪)            ,'    ヽヾ
                   ノ_/__l_jヽ.              i  .,ハハバゝ
                  `~しし~´            i!i| ─ ─i!
                                    、. - ノ
                     ;               /〈にづ┓_
                              =====ヽ ぐ___,/__||卅]
                     ;         .ヾ⌒ヾ//゙> .> /ヾ⌒ヾ
                              (--(ニ二__(ン゙/.(--○<)
                   -━━-       ゞ/__彡' ¨゚¨    ゞ/__彡'

852この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 18:17:30.98 ID:Il4BHRyO
>>848
やっと読めたよGJ
ほんとに佐々木さんてば意地っぱりだよなあ、後押しするきょこたんカッコイイぞ頑張れw
853この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 20:24:02.40 ID:d56deur+
>>833,57,75,77,121,148,175,423,502,530,741
854この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 21:29:46.60 ID:8IvFDmIp
佐々木は朝倉とは行動理念が真逆だと思う。

「やらずに後悔するならやって後悔する」の朝倉と
「やっても後悔するだろうから自分の中で整理つける」佐々木

今となっては長門の鏡みたいな立ち位置だけど、当初はハルヒと対応させてもいたようだし。
実は本質的はこの2人似たところもあるわけで。

ヤスミもそうだけど朝倉とも絡ませたら面白そうだなと思うんだけど、
実際のところただ事では済まないこと必至だから非常に難しい。
条件をつけないと絶対キョンが平静でいないからな。
855この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 21:29:47.06 ID:eBanR9n6
正直言って橘の樹=常緑樹オチは前のと被るが、桜の樹の変化が今回の話の基点だったんでどうしても入れたかったというお話
近所にはえてる桜の樹といいイチョウの樹といい今の季節めっちゃ力強く茂ってるんだ。
春、秋の儚さの代表例みたいな樹なのにこの季節の力強さは異常。
あと桜餅美味しいです
856この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 22:22:08.82 ID:5z6jU5Aw
>>854
朝倉の精神はハルヒに似ている、とする説があったな
857この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 22:57:30.63 ID:j2Q4YFWU
佐々木は笹だから、パンダの好物って事?
858この名無しがすごい!:2012/05/14(月) 23:10:19.50 ID:Il4BHRyO
>>856初耳だわ
でもハルヒの場合、成功も失敗も予定調和だから後悔する結果にはならないんだよな
859この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 07:32:58.90 ID:ctsDMpTO
>>856>>858
キャラソンの「あなたと私はどこか似ている」ってやつかな
860この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 13:02:02.82 ID:0TkooU7m
>>858
「やらずに後悔するならやって後悔する」は春日も言いそうかも
861この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 19:12:04.89 ID:3IwZTUvZ
>>859
なるほど
グッズに絶対金遣わない俺には知りようがなかった

>>860
一見してピンクベストのあいつかと思ったわw
862この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 21:41:57.35 ID:2e5WhqWD
朝倉さんのキャラソンは曲の雰囲気からキョンが「あなた」と呼びかけられてるのかと勝手に思い込んでたけど
似てるかどうかだと確かにハルヒだな

>>855
あんたみたいに自然をまっさらな眼で観察してる人好きだ
あと「世界を肯定してくれる」神様ってすごく共感した
「誰よりも貧乏くじ」ってとこも、その勁い優しさゆえに地味に耐えている佐々木さんに対する橘さんの友人としての複雑な思いを感じた
863この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 22:01:31.94 ID:glpB4bGD
>>857
パンダが笹を好きというのは大いなる勘違い
パンダは熊の仲間で、本当は熊みたいな食事をしたい
パンダの国は笹しかないので、仕方なく笹を食べている
864この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 22:31:07.98 ID:/H2kBsy0
>>863
衝撃の真実
865この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 22:41:21.40 ID:DNXLglG3
>>863
生存の手段として選んだのであって、仕方なく、というのも恣意的な表現かと。
パンダの腸は、肉食〜雑食である熊とほぼ同じなので、
植物である竹を消化・栄養吸収しているのに適して無く、
トゲトゲのまま腸を通るので、腸の粘膜が傷つき、定期的に粘膜を排出して、新しいものに切り替えている。

これを本来は肉食で仕方なく食べている、と見るのもアリ。
実際動物園では竹以外のパンダ団子やらミルクやらを栄養バランスのために与えている。

一方で、この竹食べて腸の粘膜壊して排出、を定期的にやらないと、
パンダの体調が悪くなるケースも観測されており、
どこの動物園でも、竹を全く食べさせないケースはない。

また、パンダの異常に短い発情期(3〜5日)、冬眠する習性、子どもを産む時期なども、
すべて竹を食べる山林での生活を前提としたものである。

肉食動物が草食に適応するため、進化し続けている途上の生物という意味でも、
非常に中途半端であり興味深い生き物なので、そのあたり慎重に見守っていくべきというか、
赤ちゃんパンダモフモフかわいい
866この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 23:49:11.76 ID:DkHnb/zk
>>862
鶴屋さんのキャラソンで「貧乏くじを引いた人を慰めよう」というのは「古泉を慰めよう」という事?
867この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 23:49:58.10 ID:ctsDMpTO
佐々木はいらないキャラ?
868「くっくっく。無理はいけないよキョン」1:2012/05/15(火) 23:51:44.20 ID:pNNqXCNb
「キョン、無理をする必要はないのだよ?」
「くくくこの俺をナメるなよ佐々木」
 自転車をこぎつつ滝のように汗を流す彼から、どこか漫画じみた返答が返ってくる。
 まったく意地っ張りな友達を持ってしまったものだ。

 塾に向かう二人乗りの自転車。まあその道交法上の問題点は一旦置こう。
 問題はこぎ手である彼と今の時候についてだ。

 暦の上では五月も半ば。
 ウチの中学では六月に夏服への衣替えをすることになっており、残すところもう半月程度まで迫ってきた。
 そして衣替えとは気温の変化に適応するための行事である事は言うを待たない。要するに

「冬服で過ごすにはいささか温かすぎる陽気だよ。しかも人間二人分の重量だ、無理をする事は無い」
「くくく、この程度で俺が根を上げると思ったら大間違いだ」
 まったく。それとその笑い方は僕の専売特許だよ。
 こう言ってはなんだがキミは喉の鍛え方が足りないね、キョン。
「く、ぐ、悪かったな」
「そらみたことか」
「うっせえ」

「くっくっく。無理はいけないよキョン」
 せめてもう少し速度を落としてくれたら僕から降りてもよいのだが、この強情っ張りは速度をことさら落とそうとしない。
 そうとも。友達付き合いをはじめてまだ二月と経ってはいないがそれでも解ることがある。
 彼はこれでいて、そう、意地っ張りでもあるのだ。

 彼を知る人は誰もが言うだろう。
 彼は、どこか怠惰そうな、それでいて斜に構えた大人ぶった少年であると。
 そんな壁を感じさせる評価をさせる割に、僕の知る限り彼の周りには人が絶えたことが無い。
 中心人物になるようなアグレッシブさはないものの、気がつけば誰かがいるし、放課後だってよく数人と連れ立って遊んでいる。
 それは怠惰で斜に構えた「キャラ」ながら、どうにも情動的で少年らしい部分が垣間見えるからかもしれない。
 一度話してみればこれでなかなか付き合いがよいのだ。
869「くっくっく。無理はいけないよキョン」2:2012/05/15(火) 23:52:35.17 ID:pNNqXCNb
 と言っても、キョンは別に「キャラを作っている」訳ではない。
 むしろ自然にそうしたキャラだからこそ、そのギャップに余計に人間性と親しみを感じてしまうのかもしれないね。

「何か言ったか佐々木?」
「ああキョン、何という事だ。ついに幻聴を聞くにまで至ってしまったのかい?」
「ええい何という言い草をしやがる」
 ふふふ、酷い友を持ったものだろキョン?
 太陽がダメなら北風といこう。

「なら降ろしてくれたまえ。幸いここまで来れば」
「うるせえ。めんどくせえが一度やりはじめたならやり遂げさせろ」
 喉奥から自然に笑いが零れてくるのを感じた。
 解っているのかい? いないのかい?

 僕は今、キミの自転車から降りたいと思っている。
 そうしたほうがキミに負担をかけずにすむ、そう理性と道徳は言っている。
 けれど理性と道徳の奥にいる本意は言う。
 できればここから降りたくない。

 ああ、そう、こうしていると楽だからね。そう楽なんだよ。
 そんな僕の怠惰さなど考慮すべきじゃない、降りるべきなのは解っている。
 だから機会を狙っているし言葉だって弄してみる。ただ、どちらかといえば降りたくないのも事実なんだ。
 
 そんな矛盾をしているから、キミに委ねるべくこうしてキミを誘導しようとする。
 けれどキミは意地を張って降ろそうとしない。
 さて解っているのかいないのか。

「勉強もそのくらい真面目ならいいんだけどねえ」
「ちくしょう言いたい放題言いやがって」
 彼の背中で、酷い奴が皮肉げに笑う。
 けれど彼は速度を緩めない。
 降りろとも言わない。
 埒があかない。

 だから僕は精一杯首を伸ばして言ってみる。
「意地っ張り」
「うっせえ」
「くくっ」

 触れ合う体温が僕の本能を誤動作させているのを感じる。
 そうして自転車の後部座席で笑う僕に向け、ふと、彼のほうから偽悪的な何かが伝わってきた。
「ところで佐々木、俺は何回『うるせえ』って言ったと思う?」
「ほう、そうきたかキョン」


「そうこうしている内に塾についてしまう、そんな関係だったね」
870「くっくっく。無理はいけないよキョン」3:2012/05/15(火) 23:54:06.26 ID:pNNqXCNb
 って橘さん、今の話のどこにそんなニヤニヤするような要素があったのかしら?
 その締まりの無い顔はおやめなさい。
「いーえー別になにもー」

「うっふっふ」
「だからどうしたのよ」
 電車に並んで座ったまま、ゆるんだ口元を押さえるようにして橘さんは笑う。
 人の昔話を聞きだしておいてそれはないでしょ。

「いえいえ強情っぱりはどっちなのかなあと言いますか」
 え? だからキョンが意地っ張りだって話で。
「にしてもアレですねえ」
「どれなのよ」

「彼のお話をする時は必ず『僕モード』の佐々木さんなんですねえ」
 ああそれはそうよ、キョンとの記憶を手繰るからどうしようもないというか。
「深読みしても意味はないわよ?」
「ですかねえ」

「ねえ佐々木さん」
「なにかしら橘さん」
「今度、彼に会いに行きませんか?」
 別にいいわよ。というか住んでる場所もそう遠い訳でなし、携帯電話だってあるのだし、そう構える事もないわ。
 そう言ってやると、橘さんは「やれやれ」と言わんばかりの仕草をした。

「佐々木さん、無理をする必要はないのだよゥ?」
「うっせえ橘さん」
 言って二人してくすくすと笑う。
 そんな衣替えを間近に控えたある日の出来事。
 さてキョン、キミは今頃どんな風に汗を流しているんだい? くっくっく。
)終わり

そんな衣替えネタ。
871この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 23:55:05.83 ID:pNNqXCNb
何時の間にパンダスレに
872この名無しがすごい!:2012/05/15(火) 23:58:18.13 ID:ygob9hiO
パンダは白虎のモデルかな?
873この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 07:16:44.82 ID:PE8tfbW7
パンダってタケノコは食べるのかな?比較的消化は楽そうだけど

>>866
むしろキョンの方が(ry

>>870
佐々木さんをからかうきょこたんてのは珍しいねGJ!
結論:佐々木さんもキョンも二人とも意地っぱり
874この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 07:54:32.20 ID:SjPpsu/j
>>873
パンダは筍食べるらしいよ
875この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 08:08:04.75 ID:DWXTUH92
パジャマはパンダの着ぐるみな佐々木さん
876この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 10:07:26.97 ID:FfNyr23r
パンダはなんだかんだ言いながら笹を持ちやすいように長年かけて手の形まで変えたんだよ
個体数が減った原因の一つに笹不足が挙げられるくらいだし、やっぱ、好きで食べてるんじゃ?

因みに
パンダは1歳で人間を叩き殺せるほどの筋力を持つ動物
動物園では飼育員が怪我させられる率が象に次いで第二位
どんなに可愛くてもやっぱりケ・ダ・モ・ノ(はぁと
877この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 13:44:54.00 ID:4nd7czhl
中国で檻に背を向けて座ってた男が背負ってたリュック思いっきり引っ張られたのテレビで見たな
大人しそうで暴れるときは暴れる、まるでキョンだw
878この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 20:03:41.10 ID:PE8tfbW7
>>874
やっぱり柔らかい方がおいしいのだろうね

>>875
長門しか無かった
カエルスーツみくるのコラのカエルスーツ佐々木さんの更にコラはよ
879この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 20:17:14.47 ID:Crp3YH07
パンダが満足に繁殖しているのは中国の動物園くらいだっけ?
結構繁殖が難しいらしい
880この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 20:39:50.60 ID:yZqCIapE
それじゃあ佐々木で繁殖活動してくる
881この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 21:42:23.44 ID:PE8tfbW7
つ大魔神
つ戦国武将
つレスラー
882この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 21:54:02.77 ID:Eryi2OPK
「ひとりぼっちの地球侵略」の大鳥希が、
ハルヒの強引わけわからなさ行動力と佐々木の静かで知的でユーモアさを持ってて
不思議でよかった
883この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 23:15:37.73 ID:SjPpsu/j
ハルヒと佐々木でバビル二世みないな展開を予想していた
884この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 23:42:25.39 ID:u3KqD+q+
佐々木さんってジュブナイル小説読むとかあったような気がするんだが記述が見つからない。

小説の登場人物の鈍感さに憤慨し、他の人物の意地っ張りさ加減にヤキモキする佐々木さんだけど。
885この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 23:43:36.32 ID:u3KqD+q+
エラリー・クイーンの小説読んでいるって話なら見つけたけど、
何だそれと調べてみたら探偵小説なのな…。
886この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 23:44:58.33 ID:Bpe9JNkQ
探偵小説はホームズが一番科学的な嘘が少ない
887この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 23:46:43.91 ID:x730yJbd
佐々木の百冊には何が入るだろうか?
888この名無しがすごい!:2012/05/16(水) 23:56:04.79 ID:u3KqD+q+
そこは100曲かもしれないな。
889この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 00:00:20.11 ID:/ARRLWuZ
佐々木さん歌詞を重要視しないって言ってたな
そこだけは趣味が合わない
まぁ谷川さんの趣味だろうから気にしないけど
890この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 00:04:54.04 ID:u3KqD+q+
佐々木さん、文化祭には必ず来るって言ってたな。

もしゲームの追想の世界に介入できたらどんな事起きてたのだろう…。
891この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 00:31:32.32 ID:PTcl3UZ1
佐々木の100盤は俺に決めさせろ。
ニック・ドレイクやアズテック・カメラあたりがいい
892この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 02:21:35.58 ID:RdnVCbGn
マグマとか聞いてそう
893この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 06:59:29.70 ID:sYdq/0Hz
スティングとか絶対聴いてそう
894この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 07:08:34.45 ID:jdKdBQ8u
いっそド演歌
895この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 07:28:56.69 ID:XHN+xAVb
>>889
小説を原語で読む人なのに
洋楽の歌詞がわからないのか?
896この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 15:31:27.47 ID:mgoLxxdY
佐々木「ハードロック、ヘビーメタルというのはね、ある意味、70年代以降の演歌なんだよ。くっくっ」
897この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 16:34:27.24 ID:I5sUJ2jd
キョン「それはハードロックやらヘビメタやらを聞いてる連中の遠回しな自画自賛だな。悪いが特定世代の連中にだって演歌ほどの認知度も市民権も得られてねえよ」
898この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 17:07:37.13 ID:OeuGrxfy
>>893
なんと。自分も佐々木の場面を読んでる時はシンクロニシティーのB面がなぜか耳にうかんだ。

見つめていたい http://www.youtube.com/watch?v=y0Qz0wZSzZc&feature=related
キング・オブ・ペイン http://www.youtube.com/watch?v=0mgSCKXSp9M


899この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 19:03:29.66 ID:IjWWsjYA
今日は持って行った傘が無駄になったよ佐々木さん
900この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 20:31:34.89 ID:sYdq/0Hz
>>898
やはり同志がいたか
901この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 21:09:13.27 ID:EEUqkLRS
洋楽の歌詞が二の次っていっていたのは洋楽に明るくない人へのちょっとした講座みたいなもんやろ。
メロディーがいいと思って覚えた後に歌詞が気になって覚えようとするものなんじゃね?

それはそうと>>898の2曲目は好みだね。
902この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 21:43:01.61 ID:1+OXviaP
洋楽もだが邦楽もなんじゃね>歌詞が二の次
903この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 22:26:13.94 ID:jdKdBQ8u
歌詞が二の次なら、演歌はポップスより遥かに聴いてる可能性低いね
904この名無しがすごい!:2012/05/17(木) 23:57:21.97 ID:UldTR5RJ
問題は耳に心地良いかどうか(驚愕小冊子)と言ってるから、そこに垣根はないだろう
905「解らないからこそさ」1:2012/05/17(木) 23:58:42.71 ID:UldTR5RJ
「なあ佐々木」
「なんだい親友」
「お前さ、正直、国木田みたいな奴の方が付き合いやすいんじゃないのか?」
 すると佐々木は「わかってないなあ」という顔で言った。

「なんでそう思うのだい?」
「いやな」
 俺からみれば正直お前の言葉は難解だ。
 ああ別に面白くないとかそういう事じゃないぞ、文字通り難解なんだよ。
 お前が判じ物、そう、言葉のパズルが好きなのは解ってるし、普段からそうやってるのもなんとなく解る。
 けどな、俺はあくまで「なんとなく」なんだ。

 ほれ前にも言ったろ? 『判じ物なら間に合ってるぜ』ってな。
 そうやってお前に本音を聞こうとしたろ。
 
「僕の喋りは嫌いかい?」
「嫌いなら一年も一緒にいねえし、また一緒になったりもしねえよ」
 当たり前の事を聞くなよ。
「泣かせる事をいうね。けれど、なら何であの時はああ言ったのかな?」
「俺は頭が悪い上に鈍重な感性だそうだからな」
 他の時はいい、けどあの時、お前が大事な事を言ってくれてる事くらいは理解してたんだよ。
 お前が俺に何かを想像させたがってる事くらいは解ったんだよ。
 けどな、俺は頭が悪いんだ。

「間違った形で受け止めたくなかったんだよ」
 間違った形で受け止めたくないんだよ。
「だから国木田くんって訳かい?」
「まあそうだ」
 視線は外さない。

「国木田のお前評は正直的確だと思う。いつか一年ぶりに会った時も当意即妙の受け答えをしてたろ?」
 俺たちが九曜を連れて、国木田はあの谷口のアホと連れ立っていたアレだ。
「まあそうだね」
 佐々木は否定しない。

「彼とのやり取りは知的だと思う。彼は僕が表現しようとする意図も、時にはその奥にある本意すら看破しているようだね。
 その一切には無駄がない。或いは意図的に無駄を生み出す事で僕を傷つけまいとしている節もある」
 後から思えば国木田の佐々木評はいつも正しかったし、あの再会であっさり佐々木の長文を翻訳してのけたように
 独特で難解な言葉に対する分析能力も俺より遥かに高い。
 そうとも、こいつらのシンクロニティは高い。

「だからこそ僕と彼は合わないし、僕はキミが好ましいのさ」
「前者も後者も結論としておかしくないか?」
「くく、そうでもないのさ」
 いつものように笑い出した。
 振動が伝わる。

「キミも磁石くらいは知っているだろ? 人間もそう、似たような感性を持っている程むしろ反発しやすいものさ」
 どっかで聞いた話だな。つうかお前ら別に仲が悪かったようには見えんぞ?
 むしろCD貸し借りしたり仲良くなかったか?
906「解らないからこそさ」2:2012/05/17(木) 23:59:04.78 ID:UldTR5RJ
「それは僕らが人間だからさ。付かず離れず、どちらにも都合のよい距離感、それを為せるのは人間の理性ってものだよ」
「ますますおかしいな。理性ある関係、相手に対する理解力、どちらもお前らしい関係じゃないか?」
 するとますます可笑しそうに笑い出した。
「都合がよいからこそ面倒なのさ」
 まあぶっちゃけようか、と前置きして
「要するにね、僕らじゃ化かしあいになっちゃうんだよ」

「僕らのタイプじゃままある事さ。
 確かに彼は僕をよく理解してくれている。そして本音を探り、探り返す。するといつしか守りを固め、結局化かしあいになる。
 都合のよい距離感を保ったままならともかく、近付こうとすると面倒になるタイプなんだよ」
「そんなもんかね」
 ホントお前のいう事は解らん。

「そうだね。けど僕だってキミの考える事が解るわけじゃないよ?」
「そりゃ初耳だな。俺の考えなんて全部筒抜けだと思ったぜ」
 だからいっつも煙にまかれるんだろってな。
「まあ僕はキミの事を割と見てるからね。観察の心を以ってキミを見ている事もある。
 少なくとも中学三年時代に限定するならば誰よりもキミを見ていたし、誰よりもキミを知っていたと思うよ」
 なんだその犯罪臭をどことなく感じさせる発言は。
「くくく、ストーカーだとでも言うつもりかい?」
「冗談だ」

「何、ただの興味だよ。キミが解らないからこそ見ている。それだけの話さ」
「また煙に巻かれた気がするんだが」
「そう、キミの考えが解らないから僕の考えに誘導しようとする。それがキミからすれば『煙にまかれた』と感じるんだろうね」
「おいコラ誘導してたのは認めるのか?」
「黙秘権を発動しよう」
 裁判官はどこだ!
907「解らないからこそさ」3:2012/05/17(木) 23:59:26.11 ID:UldTR5RJ
「それにね。そうして『自分の考えに誘導する』という事は、明確に自分の考えを持ってなきゃ出来ない訳だろ?
 つまりキミと話すと僕は自分の考えを、思考を、僕というものを再確認できるのさ。
 くっくっく、そうだね、これほどの喜びはないよ」
「俺の立場的にはコメントしがたいな」
 まあ俺がお前の役に立ってるなら結構なことだ。

「む。いや別にキミに負担をかけたいって訳じゃないんだよ」
「解ってる。まあ別にかけられようがどうってことない。それにお前には俺だって迷惑かけっぱなしだからな」
 お前には勉強といい妙な雑学といい受験知識といい色々と教えて貰ってばかりだからな。
 俺に出来ることならしてやるさ。むしろさせろ。

「させろ、とは穏やかじゃないなあ」
「いやそういうのは勘弁しろ」
「くく、どういうのだい?」
 ええいこいつは。健全な男子高校生ナメとらんか。
「くく、こうやって触れ合う感覚が、そう、好きなんだよ」
 好きなんだよ、そう繰り返す。

「キミと触れ合っていると僕はどこまでも僕を再発見できる。
 どこまでも僕であれる気がするし、どこまでも新しい僕を再構成できていく気がするんだよ。
 僕はキミが解らない、だからキミの中にキミを探したい、そうやって探す内に僕はまた新しい僕の価値観を見つけてゆくのさ」
「なんとも解るような解らんような」
 すると例によってくつくつと喉奥で笑い返した。
908「解らないからこそさ」4:2012/05/18(金) 00:00:12.92 ID:4ZkqwIz7
「大事なのは変化、例えば視点、アングルを変えて見る事だ。
 一旦落ち着いて辺りを見回してみる、すると存外に自分が視野狭窄である事や、世界にも優しさと単純さがあると気付くものだよ。
 例えば、そうだね。今まさにしているように、視点を縦から横に変えてみるだけでもいいのさ。
 そしてその変化を与えてくれるのがキミとの接触なのさ」
「また確かに視点は変わってるかもしれんが」
 そんな大層なもんか?

「そうだね、少なくとも僕は国木田くんよりもキミが好ましい。それは解ってくれたかい?」
「なんか国木田に失礼な気もせんではないが理解はした」
「そうかい」
 だからその顔は止めろ佐々木。
「そうとも。俺は国木田でなけりゃ古泉でも橘でもない、お前の考えてる事なんてそれこそホントに解らんのだ」
 けどな佐々木、だからってお前を解りたくない訳じゃないんだ。
 お前の事だからちゃんと理解したいんだよ。
 だからな。

「まあたまにはな、素直になって話してみろよ?」
「くっくっく、善処しよう」
 俺の固い膝なんぞで嬉しそうに膝枕をしながら、佐々木はくつくつと微笑むのだった。
)終わり
909この名無しがすごい!:2012/05/18(金) 00:02:43.41 ID:ZHjDJ7Zp
乙です
910この名無しがすごい!:2012/05/18(金) 01:39:35.90 ID:lOL5E7uI
乙。

佐々木さんが出てきてから国木田のキャラが立ってきたよな。
異能を避けている古泉という印象になったんだけど。

キョンも古泉と佐々木が話が合いそうだと評していたけど、
おそらく国木田と似たようなケースに該当しそうだな。
表面的な趣味や議論には面白い相手だろうけど、お互い腹のさぐり合いをしてしまうわけだから、
安らげるわけではないということか。
911この名無しがすごい!:2012/05/18(金) 08:56:53.28 ID:zAVuWrrJ
でも、面白い会話になりそう
小泉的には崇拝しているだろうハルヒにとって、非常に危険な存在になりかねないのが佐々木
佐々木も事情を知ってるからね
佐々木はハルヒと同じ能力を持っていると推測されると同時に、ほぼ全ての裏面の事情も知ってるという非常にキーとなる存在だから
912この名無しがすごい!:2012/05/18(金) 09:15:52.11 ID:N+8plTKp
例えるなら、ハルヒはバビル2世。三つの僕もいる
佐々木さんはヨミ

朝倉さんがいれば、佐々木さんをどう扱うか?
913この名無しがすごい!:2012/05/18(金) 18:28:43.73 ID:mSUYxjgY
おつー
佐々木さんも古泉もスピーカー、だから聞き上手のキョンならともかく、二人は相性悪くて合わないって説を聞いたのは遥か昔のこのスレだったかな?

>>912
「進化とは環境への適応だから、全く不自由が無いと進化もしない。ということは、自立進化を目指すなら神的力を奪っても意味が無い。でも、涼宮ハルヒの力を何割かをもう一人のサンプルに移植し、互いに干渉させたどうなるかしら?」
朝倉さんになりきって台詞考えてみた
914この名無しがすごい!:2012/05/18(金) 19:19:55.80 ID:3okDhXct
>>912
バビル→バルビ→ハルヒ
915この名無しがすごい!:2012/05/18(金) 21:15:52.69 ID:lOL5E7uI
>>912
個人的には興味深い組み合わせだと思う。<佐々木+朝倉

ものの考え方が対照的なのと、
朝倉って消失以降はどうも興味の対象がハルヒよりもむしろ長門とキョンな気がしてならん。
長門の方は置いておくとして、キョンに対してはリアクションを楽しんでいるフシがある。

キョンいじりついでに任務をこなせれば一石二鳥ってことで、
意図や手段次第では遊び感覚と観察目的で佐々木をキョンに焚きつけるという展開は面白そうだと考えたことがある。
ひょっとしたらきょこたんよりも面白いポジションになれるかもしれない。

当のキョンにとってはトラウマになっているくらいはた迷惑だけど。
(一方で九曜と比べて朝倉を褒めているかのような一定の評価もしている。)
916この名無しがすごい!:2012/05/18(金) 22:45:46.66 ID:mSUYxjgY
佐々木さんはまず間違いなく協力はしないだろう、かといって精神操るのは些か問題がある
ということで、佐々木さんにちょっかいかけるぞ、とキョンに仄めかすのが一番効率的に反応を観察できそう
917この名無しがすごい!:2012/05/19(土) 00:27:47.76 ID:t/VjsBm+
>>912
3つの僕はヨミの命令も聞くんだよ
918この名無しがすごい!:2012/05/19(土) 09:45:20.43 ID:ymQxu1Dy
>>915
キョンの虎馬
919この名無しがすごい!:2012/05/19(土) 20:03:15.88 ID:MmFJNUqP
佐々木さんは七夕で短冊に何を願うのだろう…
920この名無しがすごい!:2012/05/19(土) 20:33:39.20 ID:KEOoJSri
「カチューシャ女が乳がんになりますように」
921この名無しがすごい!:2012/05/19(土) 22:16:15.86 ID:KTEVgE5B
相手が誰であれ、直接的な不幸は望まないと思うが…
922「フリーダムとリバティは違うぞ佐々木」1:2012/05/19(土) 23:55:43.34 ID:L4PxgDj/
>>655>>299を踏まえていると言えばそうだがまあ気にするなレベルの話

「くく、思考は自由であるべきだと言うじゃないかキョン」
「くく、フリーダムとリバティは違うんだぜ佐々木よ」
 意味不明な事を言いつつじりじりとにじりよる佐々木に対し、俺もまた何故かなんとなくじりじりと後退していた。
 というかなんで俺はせっかくの休日の自室でまでこんな妙な問答をしているんだろうね?

「ほほう、どう違うんだったかな親友?」
「フリーダムとは人が元から持ってる自由そのもの、リバティは束縛からの自由、お前が昔言ってたろうが」
 どうも最近のお前は「リバティにあろうとする」為の考え方というより、やたらフリーダムな方に突っ走ってないか?
 そんなんじゃいつかどっかの団長みたいになるぞ。

「くっくっく。親友になら迷惑をかけても構わない、そうあるよう僕の思考から枠を取っ払ったのはキミだよキョン」
「まあ確かに[[66-299 「ちょっとセンチメンタルな別れを演じた風で騙されるかよ」]]とか、そんな事を言った覚えはあるがな親友」
 ええい、なんてリベラルな奴だ。

『キョン、リベラルというのはラテン語のliber、つまり現代で言うところのリバティ、自由と同じ語源を持つ言葉だ。
 その意味合いは時代や地域により異なるが、要は人は自分の意思を持つ、だから何者かに縛られることは無いという考え方だね。
 権威主義や全体主義、社会主義と対応する言葉、そうした何者かに『束縛されることはない』という事。
 それは束縛の存在を前提にし、そこからの解放を願う思考法と言えるんじゃないかな」
 中学時代の佐々木の言葉がいいタイミングでフラッシュバックする。
 我ながら器用な記憶力に敬服するぜ。

 その言葉に佐々木はじりじりとにじりよりつつじりじりと笑う。
「くく、その通りだよキョン。そしてキミのその記憶力は僕の中にあるfreeの語源、この場合、古ドイツ語のfrijazを刺激するね」
「あいにくだが古語なら国産モノだろうが俺の範疇外だ。ましてや古ドイツ語なんざ知るわけもねえぞ」
「無論そうだろう。だがエンターテイメント症候群のキミなら心当たりがあるのではないかな?」
 ねえよ、ねえ。

「古ドイツ語、そう北欧の神話に出てくる『愛』を司る女神フレイヤもまたfrijazが語源なのだよ」
 ああ確かに北欧神話ならゲームやらで出てくるな。しかし何の関係があるんだ。
「くくやはり婉曲に過ぎたか」
「なんか知らんが判じ物なら間に合ってるぞ」
 するといよいよ佐々木がじわりと近寄りってきて
「ならばここは実力行使と」


「実力行使と聞いて!」
 すぱん、気持ちよい音を立てて窓が開いた。
923「フリーダムとリバティは違うぞ佐々木」2:2012/05/19(土) 23:56:22.79 ID:L4PxgDj/
 そこに居たのはもう二度と見たくもないと俺が思ってやまない立派な眉毛の
「誰が眉毛よこのキョロ介!」
「誰がキョロ介だこの眉毛!」
 誰がどう見ても元1年5組学級委員長朝倉涼子であった。
 あとそのアダ名をいつ鶴屋さんから聞いたんだ。

「……ええとキョン? ここは二階だったはずだが?」
 ああそうか初見の佐々木は見ても判らんか。こいつはな。
「説明しようかと思ったが面倒だから帰れ朝倉」
「酷っ!」
 瞬時に目と同じ幅の涙をたらたらと流す朝倉。
 さすが宇宙人、器用な奴だ。というか前より感情表現の起伏がランクアップしてないか?

「ふむこの器用さと容姿と行動力、そしてキミとの気安さから鑑みて彼女も涼宮さん絡みの眷族なのかなキョン?」
 お前の器用な推察力も十分その域だぞ佐々木。
「くく、賞賛と受け取っておくよ」
 言いつつ佐々木は値踏みでもするように朝倉を見ている。
 いや待て。朝倉がここに居るってことは。

「おい朝倉! まさか長門に何か」
「ええそうよ、エマージェンシーモード」
 なんだと!?
「ああ心配しなくていいわよ」
「何言ってやがる。お前みたいな殺人鬼を呼び出すような緊急事態に」
 しかし「失礼ねえ」と言いつつ、朝倉は某コンコルド社が開発した旅客機も真っ青な勢いの俺を制止する。

「乱入したい状況、けれどここで割り込むのは自分の役柄じゃない、その点では以前と同じなのだけれど」
 歯切れの悪い事を言い、朝倉は言葉を捜すように中空を見やる。
「今回は、言ってみれば心のエマージェンシーなのよ」
 なんか知らんエマージェンシー、緊急事態なら
「ああ成るほど。だいたい解った」
「佐々木?」
924この名無しがすごい!:2012/05/19(土) 23:58:29.18 ID:L4PxgDj/
「つまり長門さんのジレンマ、葛藤する心が『自由に活動できるあなた』を彼女の代替として呼び出した、そういう訳かしら?」
「あら、随分察しがいいのね? 聞いていた以上だわ」
 お前ら俺を放っておいて分かり合うな。
 アイコンタクトするな。
 説明しろ説明を。

「いや十分に説明したつもりなのだが」
 佐々木はどこか困ったような顔をしている。
「なんなら長門さんに今すぐ電話してみたまえ。きっと笑って対応してくれるだろう」
「長門さんは笑ったりするような子じゃないけどねえ」
「あらそうなの?」
「そうよ」
 なんでお前ら分かり合ってるんだ。
 仮面優等生つながりとでも言うつもりかお前ら。

「さてね?」
「困った人が相手だからじゃないかしら?」
「ホント困った人ですね」
 それから同時に「うふふ」と三人揃って笑い会う。
 三人?

「けれど今回の行動も例によって独断専行よ。有益だったのは認めますが、これだけ行動すれば十分でしょう?」
「あら出やがったわね穏健派」
 いつの間にやらそこに居たのは「穏健派宇宙人」こと生徒会の喜緑さんであった。
 彼女はむんずとばかりに背中側から朝倉の襟をつかむと

「ではごゆっくり」
 そのまま朝倉を引きずり窓の外へとすっと姿を消した。
 俺と佐々木は窓に駆け寄ったものの、当然ながらその先にはただの日常風景が広がるばかりであった。
 なんだったんだあいつら。

「場を乱したかったのではないかな?」
「確かに思い切りかき乱していきやがったのは事実であるが」
 なんだヒマなのか宇宙人。そう言った俺をみやり、佐々木は「やれやれ」とばかりに肩をすくめる。

「キミはキミでもう少しでいいから思考の枠を外すべきだと思うよ」
 そう言って、佐々木はご馳走を食べ損ねた子供のように憮然とした顔のまま苦笑するのであった。
)終わり

驚愕に出てきた「長門のエマージェンシーで朝倉が出てくる」「朝倉は長門の鏡」に重ねてのお話
925この名無しがすごい!:2012/05/19(土) 23:59:54.53 ID:IGMiQbqE
おつ
926この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 01:31:21.95 ID:AMVRuoSM
>>922
状況がイマイチ分からん
佐々木さんがキョンに言い寄ってるのか?
927この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 08:06:15.26 ID:8VqxnQg1
釣られて「うふふ」と笑いたくなるよGJ

>>926
キョンの部屋でにじり寄る佐々木さんてとこでしょ
まあ場所含めそこらへんの解釈はフランク(適当という意味の自由)で良いと思うよ
928この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 10:46:04.22 ID:eeHT11hd
>>925
乙です
929この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 15:03:11.53 ID:/L6umwOt
>>925
乙。
ああなるほど。言い方を変えたら朝倉ってもし長門がハルヒ佐々木と同等の立ち位置だったら
古泉や橘と同じ立場になっていたのかもしれないという解釈なのな。

行動は大分過激だから、まっとうに働いてくれるためにはブレーキ役が必須と。
930この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 16:12:12.92 ID:XQR/vFUW
             -‐ '´ ̄ ̄`ヽ
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        !  !.トノ  リ  `ヽ ! !ノ、i !
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931この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 20:33:36.85 ID:9Oj1A6/x
佐々木って6頭身なんだな
932この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 20:50:17.00 ID:8VqxnQg1
6頭身が高いのか低いのかよくわかりません

ミロってなんであんなに良く冷たい牛乳に溶けるのでしょう佐々木さん
あの溶解速度をココアも見習ってほしいものです
933この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 23:37:41.25 ID:eeHT11hd
>>931
二次元では頭身が変な事多い
934この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 23:43:21.43 ID:dWyyGgyC
原作者が佐々木を出したのは何故なんだろうか?
935この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 23:49:23.72 ID:I2IuyM1u
>>934
パクった谷川が自分のキャラを入れたかったからさ
936この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 23:52:38.94 ID:BcfB4CMY
場所→キョン自室、状況→キョン曰く「なんとなく佐々木がじわじわとにじりよってくるんだがどうすればいい?」
読者=キョン視点、ただなんとなく佐々木がじわじわ寄ってくるのでなんとなく後退する、くらいを想像してもらえればと思った次第
937この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 23:54:55.63 ID:AHXvGC8B
キョン視点はハルヒシリーズの特徴だよね
938この名無しがすごい!:2012/05/20(日) 23:59:21.25 ID:GKA5pkXz
>>930

             -‐ '´ ̄ ̄`ヽ
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939この名無しがすごい!:2012/05/21(月) 07:18:59.57 ID:SwQGbFvm
おはよう佐々木さん
こっちは満天の曇り空です日食見れそにありません(´;ω;`)
940この名無しがすごい!:2012/05/21(月) 09:04:31.84 ID:qfASxR3O
知的な佐々木さんには、高貴な紫が似合う

フリーイングの1/4バニーが早くでないかな
941この名無しがすごい!:2012/05/21(月) 12:41:00.39 ID:zQ1dhats
日食みれなかった
942この名無しがすごい!:2012/05/21(月) 17:28:11.71 ID:+rZdey4d
佐々木はいらない子
943この名無しがすごい!:2012/05/21(月) 19:23:34.03 ID:SwQGbFvm
>>940
前々から佐々木さんのイメージカラーは紫って話あったね
分裂見開きの服から紫だし

>>941
ニュースでやってたね見れた人が羨ましい
佐々木さんが住む地方は市内にハルヒが居る限り雲間から見れるだろうね
944この名無しがすごい!:2012/05/21(月) 19:23:44.01 ID:zQ1dhats
             -‐ '´ ̄ ̄`ヽ
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        ,' ! -/7'Y /|' "´ヽ|. !!i '
        !  !.トノ  リ  `ヽ ! !ノ、i !
        ,'' l l l ●    ● l丿 ! リ くつくつ
           !;!l|ヘ⊃ 、_,、_,⊂⊃j l丿i/
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          ||  l        彡,
945この名無しがすごい!:2012/05/21(月) 21:52:58.97 ID:4vMDEpAC
どっちがというと赤紫って感じだわな。

紫というと高貴なのもそうだけど、そことなくエロいイメージもあるw
946この名無しがすごい!:2012/05/21(月) 23:49:21.56 ID:v3BQsOcl
佐々木さんとデートしたい
947『―――違い―が―解らない』1
分類別は>>299「喫茶店」シリーズな話

「ところでキョン、宇宙人と言えばだが」
 放課後の喫茶店にて。佐々木が口にしたのは俺達二人が知っているとある宇宙人の名前だった。
 周防九曜、春先の一件で敵対した「天蓋領域」に属する宇宙製アンドロイドか。
 あいつならあれから接触してこないが。

「そうか。それは重畳」
「そこまで言うか。まあ実際、あんな出来損ない宇宙人とはあまり会いたくないがな」
 今度会ったらドイツ風にグリナス・ヘッドとでも呼んでやろうか。
「他人を出来損ないなどと呼ぶのは良くないよ親友」
 言って佐々木はマテ茶をストローで啜りこむ。

「そうだね、たとえば彼女の言語機能が単にこちらに不慣れなだけかもしれないだろう?」
「不慣れってレベルかあれは」
 あと何でこちらにマテ茶を回すんだ。
 俺はいらんぞ。

「くく、キョン。マテ茶というのは一つの茶器で複数人で回し飲みする習慣があるのだよ。それに倣っているだけさ」
 それともキミは僕の茶器を使うのに何かの抵抗でもあるのかい? とでも言いたげに首を傾げる。
 まあ佐々木がそれでいいなら俺のほうに異論は無いし、他意もないぞ。
 と、ストローから茶を啜りこむ。

「まあ回し飲みと言っても、受け取った客は全て飲んでからホストに返し、ホストがまた次の客へ……と回すものらしいがね」
「おいこら。ならこのやり方は間違ってるんじゃないのか?」
「その通りだね。けどキミなそれに気付けなかった」
 言って俺が戻したストローに口をつける。

「九曜さんもきっとそこは同じなのさ。こちらの、現地の流儀を知らないだけなのではないかな?」
「まあ随分こっちとは違うらしい、ってのは俺にも解るがな」
 言語レベルで一応通じていたのは確かだ。

「そう。彼女はこちらの言葉を理解していた。まあ単語については不明瞭な点もあったようだがね」
 しかし佐々木は軽く腕を組むと、ぴっと人差し指を立ててみせる。
「しかしそこはそれ、外国人みたいなものかもしれない」
「言葉が通じないってとこか?」

 例えば。マテ茶と言われても、その単語に対する知識がなければどんなものなのか解らない。
 思えば九曜はやたらと問い返してきていたが、それは奴が知らなかったから、そして知りたがったから、なのだろうか。
 確かにこちらを小バカにしているような返しではあったが、それが奴の意図なのかは解らん。
 単に知らない言葉を聞き、その意味を聞き返しただけだったとでも言うのか。

 そして「どう表現していいかわからない」から、こちらからすれば意味不明瞭な「出来損ないのような」会話になってしまったのか。
 あいつはああ見えて、知識と表現力が足りないだけの奴だったんじゃないのか?

「……という考え方も出来るという事だよ」
「まあ俺は殺されかけたけどな」
 せめてそこは赤ペンで強調しとくぞ佐々木。
 だからそんな「わかってないなあ」って顔で笑うな。
「だから言ったろ親友。彼女は知らないだけなんじゃないのかってね?」
 言われてピンと来た言葉がある。
 ない訳でもない。