>>170 >甲高く鳴き喚きながら現れたのは、四本の節足をもつ蜘蛛に似た生き物だった。
生き物、と明確にはいえないかもしれない。何しろ空の向こう側から現れたのだ。
後ろ二本の足が異様に長く、前の二本が短い。丸い胴体に頭部らしい球体がくっついた姿はどこか昆虫に似ている。
それはおもむろに後ろ足で立ち上がった。そうすると、あたかも木の枝と野球ボールで作った人型のようになった。体長は広彦の倍以上ある。
「これがフシノイ?」
ナナが跳んだ。卵型のつるんとした頭部めがけて、拳をふりおろす。
目も口も鼻も耳もないが、相手にはそれが分かったらしい。その巨体からは想像もつかない速さで横へ跳び、四足で着地。不快な鳴き声を上げて、四つん這いのままナナのほうへ走り出す。
「剣舞焔剛」
ナナの呼びかけに応じ、揺れる鬼火が手足に絡みついた。両手のそれは鋭い切っ先をもつ赤い双剣になり、両足のそれはごつごつした溶岩じみた塊と化した。
同時にフシノイが突っ込み、ナナは踊るように剣を振るった。二つの姿が一瞬の間に交差し、そして止まった。
蜘蛛に似た生き物、に加えてもっと特徴を書くべき。描写を省きすぎ