【ラノベ】自作を晒して感想をもらうスレvol.35

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190 [―{}@{}@{}-] この名無しがすごい!
>>170
>「そうかなー」
 広彦はズボンにしまっていた財布からあの紙切れを取り出し、都津へ向けた。
「おばさん、俺の母親と仲良かっただろ。このメモの相手のこと知らないかな」
 シワだらけの紙へ向いた都津の目が丸くなる。
「秋さんの見知らぬ友人? えー。なにこれ怖い」
「引っ越す前に渡されたと思うんだけど、誰だか分からないんだ」
「ふぅん。この人のこと知りたいの? 一応、お母さんに聞いてみる」
「頼む」
 紙をしまい歩き出そうとすると、都津が慌てて呼び止めた。
「ヒ……あ、えっと。連絡先教えて」
 すでに日は傾き、鮮やかな夕日が空を染めている。退屈そうに寝そべったダックスフントが大きなあくびをした。
 番号とメールアドレスを交換すると、都津は嬉しそうに携帯を抱きしめて言った。
「良かったら、今度うちにご飯食べに来てね」
「ああ」
 都津の家は昔の家のすぐ近くだ。そのことを思い出したのだろう、都津はハッとなった。
「あ、無理しなくてもいいから」
「飯がなくても行くよ。おばさんにはいろいろお礼も言わなきゃいけないし」
「そう? じゃあ、来れる日に連絡して」
 おもむろに、ダックスフントが起き上がった。リードを引っぱられながら、都津はぶんぶん携帯を握った手を振った。
「ばいばーい」
 小学校の時というより、幼稚園の時から都津は変わっていない。広彦はちょっと笑って手を振り返し、アパートへと踵を返した。
 歩きながら手に持った携帯を見つめる。あの紙切れの差出人。誰か確かめるには電話をかけてしまえばいいのに。広彦はそれをためらっていた。そうしなきゃならないと思っていても、両親のことと関わるのがまだ怖いのだ。
 
無駄な会話が多い