【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ Part59【変な女】
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この名無しがすごい!:
「――ねえキョン、あんたさっき古泉君と何を話してたの?」
駅の近くで他の三人と別れ、二人っきりになった所で、ハルヒは俺にそう聞いてきた。
「さっきって……部室でか?」
「そう。何だかこっち見てた気がするんだけど」
別に、どうでもいい事さ。
例えるなら、古泉の名前を故泉と間違えるくらいどうでもいい話だ。
「どうでもいいなら教えなさいよ」
隣を歩く俺の顔を見上げながら、ハルヒは口先を尖らせている。
ふむ……アヒル口ってのも意外と悪くないな。じゃなくて、
「最近、お前が大人しいからどうかしたのかって話してたんだよ」
「あ、あたしが?」
そう、お前だ。
「……どんな風に変わったの?」
妙に緊張した面持ちで、ハルヒはそう聞いてきた。
どんなって言われてもなぁ……。
大人しくなったって正直に言ってしまえば、こいつの事だから反発して「ここ暫くの分を取
り戻すわよ!」とか言い出しかねないよな。
となればここはやはり、穏便な線で行くべきだろう。
330 :ss リレー:2010/12/30(木) 00:17:19 ID:WSjr/qb50
「……」
じっと返事を待ちつつ、隣を歩いているハルヒ。
「ま、俺は今のハルヒの方がいいと思うぜ」
俺が返した返答はそんな曖昧な内容だった。
言い終えた所でちょうど自転車置き場に辿り着き、俺はハルヒの顔を見ないまま自転車を駐
輪場の外へと運び出した。
俺達は二人、自転車は一台。
俺がエンジン兼ドライバーで、ハルヒは乗客……これが団長命令なのは言うまでも無い。
やれやれ、いい加減自分の自転車を買って欲しいんだがねぇ。
冷たく冷えたサドルに座り、
「さ、帰るぞ」
「……」
そう言いながら振り向いた時、ハルヒは何故か俯いていた。前髪に隠れたその顔は、今は見
ることが出来ない。
俯いたまま荷台に座り、俺の腰にしがみつく。続いて、背中に当たる額の感触。
「ハルヒ、もしかして体の調子が悪いのか?」
だったら歩いて帰ってもいいが。
背中に触れたハルヒの額が横に振られる、大丈夫だって事か? これは。
「止まって欲しかったら言えよ?」
頷く感触を背中に感じた後、俺はそっと自転車をこぎ始めた。
――今日はやけに強くしがみついてくるハルヒの体を、背中に感じながら。