387 :
モ=リノー=イエスキー:
まあいいや。投下。
深夜、仕事を終えた男がマンションに帰ってきたときのこと。
エレベーターが一階に止まり、乗り込もうとすると、
中から深々と帽子をかぶった男が急いだ様子で降りてきて、肩がぶつかった。
詫びの言葉もなく不快に思ったが、
疲れていたので大して気にも留めず、その夜は眠りについた。
翌朝、ニュースを見て男は驚いた。
なんと、自分の住んでいるマンションで殺人事件が起こったというのだ。
ふと昨日の男が脳裏をよぎる。
その時、チャイムが鳴った。
「すみません。警察ですが。」
覗き穴から見ると、警官が一人立っている。
「何でしょう?」
「昨日このマンションで殺人事件が起こったのはご存知ですか?」
「ええ。今しがたニュースで。」
「昨日の夜、不審な人物を目撃されませんでしたか?」
「・・・いえ、何も。」
「そうですか、何か思い出しましたら署までご連絡ください。」
「わかりました。」
男は面倒だったので、昨日のエレベーターでのことは言わなかった。
その夜、帰宅した男の目に飛び込んできたニュースは、男を驚愕させた。
このマンションで怒った殺人事件の容疑者として逮捕された男の顔は、
今朝訪ねてきた警官だったのだ。
「今朝、もしエレベーターの男のことを言っていたら・・・。」