電撃角川富士見えんため/SDガガガ/MF/HJ/GA/徳間/他
()内は 2006受賞数/応募数 2007 2008
・電撃小説大賞
http://asciimw.jp/award/taisyo/ 売上A 育成A 難易A (4/2931 5/2943 7/3541)――難点は競争率のみ
名実共に業界の中心。上遠野耕平、時雨沢恵一、高橋弥七郎、有川浩ほか
最終候補に残らなかった作品からでもデビューさせ、看板作品になった例もある。
作家の面倒見がよいレーベルで、4回以降銀賞以上の受賞者は必ず3冊は上梓しているうえ、
故・中里融司、増子二郎など、数年のブランクがあっても出版するケースも。
ゆえにトップクラスから中堅層まで多士済々。あえて難をいうなら、金賞作家の活躍が比較的地味なのと、
11回以降でビッグネームになったのが支倉ぐらいなところ。
短編の入賞はほとんどなかったが、08年度より新受賞枠を設立した。
09年度も新受賞枠を創設し、有川浩のような一般文芸でも通用する人材を発掘するようだ。
年々応募数が増え、受賞は狭き門となっているうえ、人材の多さからデビュー後頭角を現すのが難しい面があり、
11&14回組にヒット作がないことがそれを物語っている。
・ファンタジア大賞
http://www.fujimishobo.co.jp/novel/award.php 売上A− 育成C+ 難易B+ (3/非公開 3/685 未確定)――神坂、秋田の再来を
ライトノベル界の老舗。神坂一、秋田禎信、榊一郎らを輩出。
90年代の黄金期に比べ、ここ数年は電撃に水を開けられた。
数年前は新人をすぐ見限り、気象精霊事件のトラブル等中堅冷遇のイメージもあったが、
新人をすぐ見切るのは改善傾向にあり、人気作家も出ている。
上記の理由と、読者層が若いせいか、2chワナビには受けがよくない。
投稿数は全盛期の三分の二。大賞受賞者よりも準入選者がビッグになっている傾向。
また、ネクストファンタジア大賞の公募があったが、一回だけの特別企画か。
・スニーカー大賞 ・学園小説大賞
http://www.kadokawa.co.jp/event/oubo.html 売上B+ 育成C 難易A ――久しぶりに両賞に大賞出たが
歴史は長いが、レーベル創設と同時に公募は実行しなかった。
かつては「ザ・スニーカー」創刊時に短編小説コンテストがあったが、
五年近く行って輩出したのは花田一三六のみ。
スニーカー大賞(2/782 2/643 5/612)には当初、選考委員に天野嘉孝や当事社長だった角川歴彦もいた。
大賞作家は少ないが、必ず看板作家になっている一方、
奨励賞の刊行がないことも多く、落選作品の刊行はない。
ハルヒ効果で上がった応募数も二年連続下落。危機感を抱いたのか08年度の最終候補は全員入選、
09年度から新受賞枠創設など梃入れに乗り出した。
学園小説大賞(2/617 2/652 1/638)は締切日の変更が毎年のようにある。それでも650程度の応募があるのは、
レーベルの底力だろうか。スニーカー大賞に比べ小粒な印象があるが、
滝本竜彦、米澤穂信のように一般文芸で活躍している作家もいる。
今年から20歳以下限定で受賞枠を新設したが、この賞は当初30歳未満限定の賞だった。
久しぶりに両賞に大賞が出たが、プロパー育成はあまりうまくいってないレーベルで、
今年受賞した6人が伸び悩むようだと業界No3の座は危うい。
・MF文庫Jライトノベル新人賞
http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/rookie/index.html 売上B 育成A 難易B (5/756 7/957 未確定)――萌え路線とどこまで?
メディアファクトリーはリクルート傘下。西野かつみ、三浦勇雄らが活躍中。
一年に四期募集、他に先駆けて評価シートを導入などを積極的に行い、
応募を増やしてきた。萌えがないと駄目と言う噂が強いが、受賞作に萌え偏重の傾向はない。
ただ五代ゆうは「女の子をなるべく出すように」言われたとか。
一期毎に佳作を選出してデビュー内定させ、最終選考で大賞を決定する方式。
ただ第4回まで大賞が出ず、第5回からは一番優秀な作品に大賞授与の方針となった。
ここでMF的でない作品が出て、人気になれば傾向は大きく変わる可能性も。
最近、毎回3次通過止まりの常連が4、5回目辺りで佳作になる傾向がある。
・エンターブレインえんため大賞
http://www.enterbrain.co.jp/entertainment/ 売上B− 育成D 難易C+ (4/327 5/384 4/591)――受賞後の活躍は両極端
角川グループで08年メディアワークスと合併。桜庭一樹はこの賞の出身。
他に田口仙年堂、野村美月、井上堅二ら。
応募数が327→384→591と激増した。それ以前は200台。応募数を公表しているレーベルでもっとも一次通過率が高い。
難易度は低かったが、過去には佳作受賞で出版されなかったケースも。
一冊目で増刷が入らないとすぐ見切られ、面倒見が悪いことで知られる。
07年度から編集部員のみで選出。また東方学園賞という、その専門学校生限定の賞もある。
・スーパーダッシュ小説新人賞
http://dash.shueisha.co.jp/sinjin/index.html 売上C+ 育成B 難易B+ (3/515 3/590 2/811)――隠れた老舗
旧称集英社スーパーファンタジー文庫。桜坂洋、海原零、片山憲太郎、アサウラら。
規定枚数が400字詰で200〜700枚までと幅広く、応募を集める。
選考委員が新井素子、堀井雄二ら一般人でも名が知れている人が務めるのも特徴。
落選作の出版もあったが、最近はデビューを絞っている印象。
毎年注目作を出すも、メディアミックスで失敗→失速というケースが多い。
とくに紅騒動は記憶に新しい。下手をすればこれがターニングポイントだったと数年後言われるかも。
また編集長の個性が強く、放言癖がある。惑わされないように。
・小学館ライトノベル大賞(ガガガ文庫部門)
http://www.gagaga-lululu.jp/ 売上C+ 育成B 難易B (9/1275 5/976 5/606)――ロミオ・犬村・ラボに追いつく者は?
神崎紫電、山川進、桜こう等がこの賞の受賞者。
08年度から長編のみの応募となり、応募が約400減った。
レーベル創設前に、大規模な宣伝を行ったが空振りに終わった。ノベライズに人気作が多く、
オリジナル小説は苦戦していたが、田中ロミオに続き犬村小六が台頭。移籍した浅井ラボと3本柱に。
まだ賞出身者から注目される作家はいないが、作風はなんでもありなので、
旋風を巻き起こす新人がいきなり出てきても不思議ではない。
面倒見はいいと思うが、第1回期待賞組は2冊目で止まっている者も。
・GA文庫大賞
http://ga.sbcr.jp/novel/taisyo/index.html 売上C+ 育成B? 難易C (―― ―― 18/870)――ポリフォ文庫とは言わせまい
ソフトバンクパブリッシュが抱えるレーベル。あわむら赤光、速水秋水、逢空万太、鳥羽徹がデビュー
二期二部門制だったが、もう一部門のテーマ大賞は中止。
第一回長編部門は前期283作品で受賞7。後期328で受賞4。
前期で他賞の常連予選通過者を入選にした結果か。
当初は文庫創設と同時に随時募集をかけていた。そこからのデビュー組では一冊切りはない。
GA文庫と言えば、ポリフォニカシリーズが有名で、オリジナル小説の存在は失礼ながら薄かったが、
早見祐司『メイド刑事』がテレビドラマ化。売上で頭ひとつ抜けてる織田兄第『EX!』
好評を博した逢空万太のデビュー作『這いよれ! ニャル子さん』らで躍進の糸口をつかみたい。
いまのところ速筆ならばどんどん出版されている。
・ノベルジャパン大賞
http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/prize.php 売上C 育成A 難易C (5/222 5/202 7/335)――なるか弱小レーベル返上
HJ文庫のホビージャパンが母体。冬樹忍、空埜一樹、すえばしけん等。
去年に続き選考委員は非公開。賞出身者8人は順調に作品を出し、富士見出身が多いレーベルから徐々に脱却。
08年はライトノベル誌「きゃらの!(旧ノベルジャパン)」廃刊があった。
最近お色気路線で結果を出している作品が目立つも、流通が弱く大きめの店でも置いてないことがある。
日販の繋がりが弱いとの憶測がでたが、損益分岐点を低めにしているためかもしれない。
「このラノ2009」で60位以内にランクインしたものはなく、業界代表級の作品が出るのは厳しいか。
・C★NOVELS大賞
http://www.tokuma.co.jp/edge/09shinjin.html 売上C+ 育成B 難易B− (2/227 3/190 2/254)――出るか第二の茅田砂胡
中央公論社のレーベル。多崎礼、海原育人らを輩出。
やや女性向けで新書での出版。ここの特記事項は編集部選考で、以下の発言があった。
”やっぱり、C★NOVELSというレーベル名を冠した賞なのだから、
うちのレーベルにふさわしいのが一番ですよ。”
http://www.c-novels.com/grand_prix/report/15.html ゆえに、萌え系は好まれない。SF・異世界ファンタジーを書いたなら投稿先として一考。
・徳間エッジdeデュアル新人賞
http://www.tokuma.co.jp/edge/09shinjin.html 売上D 育成B− 難易C (一昨年まで応募期間変則的。4/236)――いでよエース
第5回からマイナーチェンジで年二回の応募。麻木未穂、夏寿司、一の倉裕一ら
基本は新書での出版だが、ハードカバーや文庫での出版も
「プロ作家として翌日からどんどん書けるような作家を発掘したい」
http://www.tokuma.co.jp/edge/09shinjin06_2.html との発言により、即戦力が欲しいようだが、名物ワナビだった一の倉裕一は二冊で切られたようだ。
SD・ジャンプ・スクエニでデビューした作家の投稿があり、元プロの草刈場の一面も。
宮部みゆきの上梓もあったが反響はそれほどなく、
『大賞野球娘。』のアニメ化でどれだけレーベル知名度が上がるか。
・メガミノベル大賞
http://www.e-animedia.net/megaminovel.html 売上D 育成? 難易C (―― ―― 7/267)――とにかく『萌え』だ
母体は学習研究社。SOWがデビュー決定。
ここの目玉は駒都えーじ自ら選考、イラスト担当になる賞で、
この受賞作品次第で評価が決まるといっても過言ではない。
萌えが少ないとマイナス評価だが、プロレス小説が編集部特別賞を受賞など、
出版は別として落選させることはなさそうだ。レーベルカラーから読者層は限られそう。
・スクウェア・エニックスライトノベル大賞
http://www.square-nix.co.jp/magazine/prize_novel/ 売上D 育成E 難易B (5/410? 5/349 2/391?)――いままでがいままでだけに
旧スクウェア・エニックス小説大賞。応募数の推移がこのレーベルに対する失望を表現している。
(第一回)1584通→487→410?(@2ちゃん)→349→391?(@公募ガイド)→非公開(一次通過223名)
リニューアルで竜騎士07を迎えて選考するが、小説出版に意欲があるのか疑問。
いちおう長編部門の佳作以上は出版すると明言しているが。
電子メール投稿可、長編賞の上限はなしの前身の特徴を残したまま、
コミック化、声優の朗読配信を謳っている。