1 :
この名無しがすごい!:
続きを考えるとしたらどんな感じ?
2 :
この名無しがすごい!:2008/02/06(水) 00:20:58 ID:aktIHC8M
おれは知りないから逝くわ。
3 :
この名無しがすごい!:2008/02/06(水) 09:55:13 ID:xvAFgm6n
まぁハッピーエンドじゃないだろうね。奪い奪われ野垂れ死にでは?ギャングスターみたいになったらすごいけど。
逆に、善心溢れる乞食に出会って更生、とかも面白いかも?
とりあえず老婆は一夜の内に凍死。
知らないって今の教科書は羅生門も載ってないのか
山月記もないお
6 :
この名無しがすごい!:2008/02/06(水) 23:39:12 ID:7W0OvBdh
巡り巡って老婆に逆襲されるなんてのはどう?
下人が再就職を決意→
ある老人ホームに採用される→
その老人ホームにはあの老婆そっくりの人がいた→
本物か分からないけど、意識し始める下人→
普通の恋愛ドラマへと続く
とりあえず、老婆と下人は再会して欲しい
8 :
この名無しがすごい!:2008/02/07(木) 05:27:14 ID:26Q+2ydS
知てり…
9 :
この名無しがすごい!:2008/02/07(木) 09:02:47 ID:WPqwb/eJ
リチャード三世ばりに老婆の亡霊が登場して苦しめられたり。
10 :
この名無しがすごい!:2008/02/07(木) 12:21:06 ID:Wbedtjby
高校の宿題で羅生門のつづきを書けってのがあったなぁ
俺は下人野垂れ死にさせた
11 :
この名無しがすごい!:2008/02/08(金) 17:51:15 ID:F+neANKZ
羅生門も山月記もやったおby北海道自称進学校3年
後、こころ、舞姫、赤い繭とかもやった。
12 :
この名無しがすごい!:2008/02/09(土) 02:45:40 ID:H6ofUfwl
私の通ってた高校でも、羅生門の続き書けっていう宿題出たな…。
私は、下人もまた、誰かに殺されるみたいなこと書いた。
13 :
夢魔:2008/02/09(土) 10:10:33 ID:HCjYEYMe
おれは尻が割れてる
14 :
この名無しがすごい!:2008/02/09(土) 11:05:03 ID:vZDKrsxT
羅生門は都と外界の境界線、と同時に下人にとって善と悪の境界線なんだそうな
センチメンタリズムなんて単語が使われているのは
この話のテーマを普遍化させるため
つまり、遠い昔の話じゃなくて、現代にも通じるテーマということらしい
羅生門の続き書くって面白そうだな。
私の高校でも羅生門習ったけど、そんな事しなかった。
私なら、下人を殺すかな。
老婆ではない他人に殺され、身ぐるみを剥がされる。
犯人が去った後の下人の姿は、あの時の老婆のそれの様だった…って感じのオチ。
それで、書かないけどその犯人もまた誰かに殺され身ぐるみを剥がされ、その犯人も…っていう裏設定をつくる。
有名な「下人のゆくえは、誰も知らない」ってフレーズは発表当初は無かったらしいね
書籍化した時に追加されたと、昔聞いた
>>11 舞姫は高校の教科書に載ってたが、文章に酔いしれたなあ。
真面目にストーリーを追うと、『人間の屑?』って感じだったが。
今思ったんだが、このスレは
>>1の宿題のヒントを与えるスレになっていないか?
>>11 関係ないけど、魯迅の「故郷」は今はある?
非常に長らく教科書に載っていたそうだから、世代を通じてよく知られた作品らしい。
21 :
この名無しがすごい!:2008/02/13(水) 21:41:08 ID:BJCONLXf
>>4-5 芥川の児童小説は文が平易だし
内容も平明だから
子供に読ませたいなぁ
22 :
この名無しがすごい!:2008/02/14(木) 09:57:23 ID:Qxmq0eoG
芥川は羅生門、太宰は富嶽百景が載るよね、教科書に。
蜘蛛の糸とかもいいと思うんだけど。
蜘蛛の糸は、小学生の道徳の教科書にのってたなぁ。
さすがに原文そのままではなかったが。
当時小学生ながらにその話が結構好きだったのを覚えてる。
>>17 俺も高校の教科書で舞姫読んだ。
現国の先生が女で,この主人公を毛嫌いしていた覚えがある。
>>22 俺のときは確か杜子春が教科書にのっていた。
25 :
この名無しがすごい!:2008/02/17(日) 01:05:01 ID:6pA63QHN
かかってみたが老婆が意外に強く凹凹にされ
老婆「俺の弟子にならぬか」「まずは理不尽な皇室貴族らを襲撃するのだ」
と言う展開がいい
26 :
この名無しがすごい!:2008/02/17(日) 01:27:40 ID:6pA63QHN
下人「何をしている?」
老婆「うるせーばか。おまえにはわけて・・・・やろう。俺の手下になれ」
下人が従った場合→「まずは理不尽な皇室貴族らを襲撃するのだ」
脅しやなぐりかかった場合 たちまち返り討ち「俺は京老婆でも1,2を争う
兵だぞ。昔は山賊はもちろん皇室の兵士鬼や山姥土地の神異形のものまでしとめたことがあるワイばかたれっ」
27 :
この名無しがすごい!:2008/02/17(日) 01:29:11 ID:6pA63QHN
下人の行方は・・・実は闇で見えなかっただけですぐそこでこけてた。
28 :
この名無しがすごい!:2008/02/17(日) 22:27:11 ID:jYfVr0Ge
>>5 山月記ないのっ!? じゃあ利休の死とかも載ってないのかなー。
>>20 それはよかった。翻訳文学は平均点が高いし(駄作は翻訳されないだろうし)、翻訳家の幾人か(たとえば神西清とか)は日本文としても磨きがかかっているから、一つくらいは教科書に載せてもいいと思います。いや、単に中島敦を好んでいるだけなんですけれども。
31 :
売国企業マル半:2008/03/06(木) 16:15:13 ID:1/WeRSqR
続き書くとしたら
とりあえず下人は生かしておいて、またどこかで善か悪、どちらを取るか選択をさせるかな
33 :
この名無しがすごい!:2008/03/30(日) 17:28:09 ID:bxPQhO3B
刀を奪われると思う
つかこの話におけるにきびはいったい何を示してるの?
34 :
この名無しがすごい!:2008/03/30(日) 19:35:28 ID:4jTzJDPR
>>33 なにがしかのコンプレックス?
いや、単に下人がまだ年若いってことを示してるだけかも。
35 :
この名無しがすごい!:2008/04/04(金) 23:36:48 ID:RD/3wryU
きっとそうか!
下人の行方は誰もしらない
36 :
この名無しがすごい!:2008/05/05(月) 08:59:57 ID:gsX/kc8j
着物を奪った下人の鼻は、みるみる唇まで垂れさがり…………………
37 :
pala:2008/05/05(月) 15:13:30 ID:7w7Jm5/p
ナンセンス
38 :
この名無しがすごい!:2008/05/05(月) 18:26:56 ID:E82LerT3
盗賊になった下人は梁山泊へ…
39 :
この名無しがすごい!:2008/05/06(火) 23:08:54 ID:fw/xUNBH
40 :
この名無しがすごい!:2008/05/07(水) 23:21:19 ID:xQweRTdw
老婆はその後、死体の着物を着る
レッド羅生門知ってりペッパーズ
42 :
この名無しがすごい!:2008/05/17(土) 06:07:26 ID:i1AGIvPT
羅生門の続き書けって授業であったな
俺は老婆の着物を町で売ろうとしたが、チンピラ達に着物をカツアゲされてしまう
下人は少し考えてから羅生門に戻って老婆を殺した、って感じのを書いた
>>42 あんた凄いな。
俺のとこにそんな授業はなかったが、
その話聞くと大体が因果応報に走り
下人もなんだかんだで殺された、
というオチばかりだ
44 :
この名無しがすごい!:2008/05/21(水) 19:04:49 ID:2iG7VE/v
似たような授業で、
下人は売った着物で都にうどん屋を開店、大繁盛になった、
そこに羅生門で会った婆が訪れる、
下人が婆にうどんを出して、和解、
じつは婆はうどん作りの名人で、下人と二人で店を切り盛りしてさらに大繁盛、
店の名前は羅生門、
ってのを書いたら、国語の教師にえらく怒られた覚えがある、
なんでもかんでも悲劇をありがたがる風潮はいかがなもんだろうか。
潜在した罪悪感で、病死
ゴーゴリとかをくっつけた感じかな?
アンちゃんになる→時代が建て直し→尚も悪行を人知れず重ねる
→罪悪感からの非日常→発狂死
陳腐?
いや、剥ぎ取ってものの三十秒後にはババァに追い抜かれる
下人は何とか生き、のちに作家となる。
羅生門の体験や昔かじった物語を換骨奪胎した作品を書き、人気作家に。
しかし、病気や不幸に襲われ、最後は自殺。
遺稿は「或阿呆の一生」。
48 :
この名無しがすごい!:2008/06/26(木) 16:28:03 ID:Uewfy2lM
雨の中を走ってた下人は石につまづいて転倒し打ち所が悪くて死ぬ。
その下人の死体から着物を引き剥がし老婆の着物ともども持ち去る孤児。
数年たって、 下人も老いた…
そんな時 一人の子供に出会う… その子が口ずさむ唄を聞いて耳を疑う下人!
それは 捨てていった老婆が常に口ずさんでいた唄…その子は老婆が産んだ子供だったのだ。
老婆の死を知り砂浜に倒れ号泣する下人の姿にニーノ・ロータ作曲の哀愁のメロディーが重なる。
fin
>>44 むしろ、そのほうがいい話じゃなないか!
その教師は日教組か?叱り飛ばすなんて間違ってるよ
ごんぎつねんの続きは授業で書かされたが、羅生門でそれやらせる学校があるんだ。
女と逃げましたと本当のことを書いたら先生はどうするつもりなんだよ。
国語の授業の内容としてはどうかと思うが、まんざらでたらめでもないので怒るわけにもいかず・・・・・・
羅生門の続きの作品が「偸盗」だろうがJK
それはない
作者が自分で書いてたみたいだぞ
偸盗ー続羅生門ーて
羅生門の下人も最初は交野の平六(偸盗に出てくる盗賊)と同じ名前がついてた
ちなみに羅生門は3部作
羅生門→偸盗→藪の中
藪の中の悪名高い盗人が下人ですよ〜
57 :
この名無しがすごい!:2008/08/21(木) 17:47:03 ID:W/IIZVnT
下人も老婆にしたようなことをまたエゴイズムにまみれた人間に
されて最後は羅生門で死亡w
58 :
この名無しがすごい!:2008/08/21(木) 17:51:51 ID:W/IIZVnT
下人と老婆が結婚。ヤリまくる→子供生まれる→その子供の名前→芥川龍之介
59 :
この名無しがすごい!:2008/10/11(土) 20:13:57 ID:xTc23Hs9
宿題で羅生門の続きをかかなきゃいけないのですが。
正直のところ授業適当にやっててわからないです。
よかったら続きかいてください。
お願いします。
60 :
この名無しがすごい!:2008/10/19(日) 21:51:55 ID:D4xx4XWa
>>59 君は今とんでもなく馬鹿なことをしようとしている
61 :
この名無しがすごい!:2008/10/19(日) 21:58:31 ID:D4xx4XWa
うわ!なんだ1週間も前のレスやないか!やられた!
世にも奇妙な物語のホラー部門みたいなエンドだろうな
63 :
この名無しがすごい!:2008/10/20(月) 06:11:00 ID:W7XDvT6b
>>59 続き
と、ここでネタばらし。老婆に近寄り看板を見せる。
照れ笑いしながらレポーターを叩く老婆。それをにこやかに見守る下人。
老婆「もう羅生門には二度と来たくないわ」
64 :
この名無しがすごい!:2008/11/11(火) 22:28:33 ID:WUOTtNS5
65 :
この名無しがすごい!:2008/11/14(金) 20:59:22 ID:+oQTlM1K
羅生門の続きを考えなさいなんて言ってる時点でその国語教師はドアフォ。
羅生門のテーマが全く解って無い証拠。
下人のその後はさて置き、黒澤明の羅生門のストーリーがなぜ主に「藪の中」だったのか云々…
とか適当に書いておく。
67 :
この名無しがすごい!:2008/11/19(水) 18:08:07 ID:6PMWO1h1
やっぱリレー形式で次々と剥ぎ取り剥ぎ取られて行くんじゃないのかな
68 :
この名無しがすごい!:2008/11/20(木) 12:08:27 ID:vNjpYJvB
老女が実は美少女だったってのはどうよ?
タイトルは「ラブラブ恋の羅生門〜優しく脱がして〜」
69 :
この名無しがすごい!:2008/11/21(金) 05:57:17 ID:wSiUTbvL
スレタイの中に斜視を治した朝番組でお馴染みの辛口コメンテーターが隠れています。探してみてね(^-^)/
70 :
この名無しがすごい!:2008/11/21(金) 21:43:58 ID:E4M2zEOi
老婆「下人はわしが育てた」
下人「!?」
最後の一行が蛇足
72 :
この名無しがすごい!:2008/11/30(日) 18:29:36 ID:4sxTq+b3
下人が酒呑童子に殺されて喰われる
そのまま棲み着いて、嵯峨源氏の流れを汲む渡辺綱が鬼退治をする
そして桶屋がもうかると
下人のゆくえは誰も知らないってオチだからいいのさ
76 :
この名無しがすごい!:2008/12/29(月) 02:45:00 ID:kFhlDz0v
77 :
この名無しがすごい!:2009/01/09(金) 10:33:34 ID:NCl8+g3K
あれは後の想像力をはたらかせる終わり方だよね。
あとはあなたが決めることよ・・・
79 :
この名無しがすごい!:2009/02/18(水) 16:06:57 ID:cYKzQo0u
羅生門はあれで終わって良いんだよ
それより、邪宗門の続きが読みたい!!
∧,,∧
(;`・ω・) 。・゚・⌒) チャーハン作るよ!!
/ o━ヽニニフ))
しー-J
レイジングストーム
デッドリーレイブ
羅生門
82 :
この名無しがすごい!:2009/03/01(日) 01:46:04 ID:NtdmM1UE
下人は死んだから誰も知らないのさ
結局人にしたことは自分に返ってくる
同じように下人も盗賊か何かに殺されたんだろう
目を覚ますと下人は汗をかいていた。
夢か、と胸をなでおろすと、同時に今までみていたはずの夢を忘れてしまった。
みたいな夢オチにしようそうしよう
そんで心にトゲが刺さったみたいに、片隅に引っ掛かり続ける
それがなんなのかは分からない
仕事も順調だが、それだけが気掛かり
ふと羅生門の側を通るとふいに悪寒が
何かが見つめている気がする
暗闇の奥に二つの目を見つける
下人は恐ろしくなって背を向けて逃げ出す
家に帰っても視線は感じ続ける
次の日も次の日も
そのまた次の日も
張り裂けそうな緊張感の中でどうする事もなく、何も起こらずに毎日が過ぎていく
下人が死ぬまで
おわり
84 :
この名無しがすごい!:2009/03/01(日) 19:34:43 ID:IdVQFTGI
目を覚ますと自分が依然として侍である事に安堵した。
隣で妻がいびきをかいている。
彼はまた一眠りする事にした。
85 :
この名無しがすごい!:2009/04/01(水) 09:28:46 ID:YY9V2jmc
86 :
85:2009/04/09(木) 10:12:10 ID:EZnyurg1
保守ついでに、コピペします。
漆黒の空間。
叩きつける雨。
雨。
豪雨。
地に濁流。
河の如く。
その水を足で弾く、男が一人。
右手には聖柄の太刀。
左手には檜皮色の布。
両手に携えて、息も絶え絶えに、この朱雀大路を羅生門から走り抜けてきた。傘も無く、だ。
そう。彼は先程まで羅生門に居た。
そこでの彼は、仕事を失った下人であり、明日の生も掴めぬ饑じさがあり、
頬にできた赤く大きな皰をやたらに気に掛け、雨を避けるつもりで羅生門に居たはずの男である。
だが、今の彼は違う。
「フフフ…」
全てを流してしまいそうな雨に打たれても、全く動じない。
「フフフフフフッ!」
全ての雨水を弾いてしまう程に脂ぎった皰も、全く気にしない。
「フハハハハハハハハッ、アハハハハハハハッ!」
先程までの饑じさは微塵も感じてないし、自分がかつて下人であった事も忘れている
―――いや、思っていない。
「アーハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァァァッ!!」
高らかに、嗤う男。
すぐ様雨音がそれを掻き消す。
無音の如き嗤い。
それでも、この男の心は満ちていた。
それは、あの羅生門で、ある物を手に入れたから。
87 :
85:2009/04/09(木) 10:12:53 ID:EZnyurg1
それは、羅生門の老婆から奪った、檜皮色の布なのか。
確かにこれは、彼が剥ぎ取った物。
それは下人だった男が、饑じさを解消する為に、骸から髪を抜き取っていた老婆が纏っていた服を、無理矢理奪った。
だが、こんな品の無い布ならば、まだ死体が身に付けていた服の方がましである。
しかも、豪雨の為に水浸し。これでは、一銭の価値も無い。
では、鈍く光る聖柄の太刀なのか。
いや、これは元々から男が持っていたもの。
ましてやこれは彼が下人だった頃に、主から渡された太刀。さして良い刀とは言い難い。
しかも、この雨の元、鞘にも納めず刄が雨曝しである。
長持ちしそうもなく、これまた人の欲しがる価値は無い。
その他、彼を大きく変えるに相応しい物など、見当たる処は有りはしない。
有る筈も無い。
見る限りでは。
この男が得たのは、精神的な要因。
羅生門では、彼は強かった。死人に老婆。負ける訳が無かった。
それが変えた。彼の心を。
「ハハハ…。ヒヒヒヒヒヒ…」
次は俯き加減に躰を傾け、嗤い続ける。
此処は朱雀大路。普段の昼間なら、都の中心へ繋がる路として、人や馬車も多く通過する。
否、それも嘗ての話。都の繁栄は右に移り、只の地面に成り下がった。
二八丈の道幅を誇った朱雀大路も、今や浮浪者が家とも言えぬ小屋を勝手に建てて住んでいる為、年々狭くなっている。
「ヒヒヒヒヒヒ…ヒャヒャヒャヒャヒャハハハハハ……アハ、アハ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
それでも、男は構わずに嗤う。彼には、この路が二八丈あった頃の朱雀大路の如く、もしかしたらそれ以上の広さに思えていた。
丸で、広大な大地で唄うかの様に。
嗤う。
だが、そんな心配はいらない。
雨粒が地面に中る度、全ての音は無に帰す。
嗤っている彼ですら、自分の嗤い声が解らない。心置き無く、存分に、嗤えたのだ。
だからだろう、近付く存在に気付く筈も無かった。
88 :
85:2009/04/09(木) 10:14:13 ID:EZnyurg1
「何者ぞ?其処に居るのは何奴ぞ!」
「…………………………」
皰が痒い。
凝視する。
豪雨の中に、確かに、人影らしき物が見える。
皰が痒い。
考察する。
此の時間にこんな場所、検非違使庁の役人か。
皰が痒い。
予想する。
今し方、羅生門で盗みを為出来したばかり。
よって見えるのは、死。
皰が痒い。
刑によって罰する死か。
御霊による怨み死にか。
いや、今や都は死体の一つや二つで動じない。
役人の腹癒せで打首は、そんなに珍しい話ではない。
朱雀大路の治安の悪化が、男の心を揺らす。
皰が痒い。
皰が痒い。
皰が痒い。
皰が痒い。
89 :
88:2009/04/09(木) 10:17:02 ID:EZnyurg1
男の左手から、檜皮色の布がスルリと抜け落ちる。落ちた布に、汚れた雨が打ち付ける。
其れは丸で、羅生門で男が得た筈の物全てが、堕ちてしまう様だった。
思考する。
どうする?
どうすればいい?
「何奴ぞ!此れ程の刻に、朱雀大路で何をしているのだ?」
声の重圧とは、此れ程までに重いのか。冷静に考える隙等与えぬ重圧。
否。此処で冷静な判断が出来無ければ、何時に或るのだろうか。
左手の爪で皰を引っ掻く。痒みが無くなった。
「―――っ!」
代わりに痛みが奔る。
もしかすると、皰が潰れたのかもしれない。
ならば、出血も伴ったか。だが、今は都合が良い。
集中力を持続するには、痒みよりも痛みの方が耐え易い。
そして、再び思考する。
今、役人に男の姿は見えていない筈。それは、こちらとて同じ事。
だが、大声を発した分、相手は不利。
―――ならば。
柄を両手で持つ。草鞋は意外に聢りしている。
此の雨の中、廃れた朱雀大路を奔ったのに、善くぞ此処まで耐えてくれた。
右足を少し前に出し、少しだけ屈んで直ぐ様右足で、跳ねる。
否、飛ぶ。
相手までの距離、三尺程度。其の区間に太刀を振り上げ―――――下ろす。
太刀筋は見事に、役人の躰を縦に二分する。
90 :
89:2009/04/09(木) 10:18:33 ID:EZnyurg1
何かを叫んだかもしれない。
大量の血飛沫が出たかもしれない。
泥となった地面へ倒れたかもしれない。
着地で踏み込んだ為に、草鞋は潰れてしまった。
人一人斬り倒した太刀は、使い物にならなくなった。
地に堕ちた檜皮色の布は、泥と汚らしい雨に塗れて布としての価値すら無くなった。
だがそんな事が、今此の男に、何の意味があるのか。
「ハ、ハハ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!」
高らかに。
何かを宣言するかの様に。
嗤う。
前途した様に、今此の男が失った物は余りに大きい。それこそ、彼が生きていく上で、妨げになりかねない損失と言える。
だが、人間という生き物は、其の時迄得られなかった自信を得た時は、計り知れない強さを伴う。
人間に許される限界を、越える理。精神から分泌される力の源。
「アーーーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!」
精神が肉体を凌駕する。
今この時程、彼が強い時は無いだろう。
そして、この時程、―――
「――――――――――――――――――――――――。」
91 :
90:2009/04/09(木) 10:19:23 ID:EZnyurg1
『斬』という、音がする。
空間が、横にずれていく。
躰の軸が、不安定に動く。
「―――――ッ!」
痛みが、激痛が奔る。
痛い。
だが、声が出ない。出る筈がない。
首を、斬られたのだ。
冷静に考えれば、見回りをする役人が、一人である事は考え難い。
更に、今の都は荒れ果てているというのに、大雨と暗闇の空間が広がっているのに、誰がこの朱雀大路に一人で来ようか。
死にに行く様なものである。否、現に今し方斬り殺された者が出たばかりである。
確かに、一刻前までは強かった筈の男。
だが同時に、普段ではありえないまでに無防備になる。
92 :
91:2009/04/09(木) 10:20:29 ID:EZnyurg1
強さが生み出す傲慢。
達成感が生み出す不注意。
ゴロン、と男の首が地面に転がる。
力を失った躰は、そのまま倒れる。
虚しく空いた口に、雨水が溜まる。
漆黒の空間。
叩きつける雨。
雨。
豪雨。
地に濁流。
河の如く。
朱雀路に倒れた男の、目から流れた液体が、雨水と共に地面へ消えていく。
下人の行方は、誰も知らない。
〈了〉
93 :
86-92:2009/04/09(木) 10:21:32 ID:EZnyurg1
長文、スマソ。
メロスの続き書かされたな
95 :
この名無しがすごい!:2009/07/31(金) 06:32:17 ID:hvw9gJXC
オレ昔「河童」の限定本もらったんだけど、こういうのって
どこに売れば高く買ってくれんだろうか
>>95 国文学に力を入れてる古本屋が近くにないならヤフオクでいいじゃね?
97 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 09:32:37 ID:EENJbcYa
しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。
老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、梯子の口まで、這って行った。
そうして、そこから、短い白髪(しらが)を倒(さかさま)にして、門の下を覗きこんだ。
外には、ただ、黒洞々(こくとうとう)たる夜があるばかりである。
下人の行方(ゆくえ)は、誰も知らない。
(大正四年九月)
98 :
この名無しがすごい!:2009/09/19(土) 02:22:51 ID:67gCp7Hx
確か初版(もっと後かも)では最後の文が教科書に載ってるのとは違ってた。
下人がその後どうなったか書いてあったような覚えがある。
99 :
この名無しがすごい!:2009/10/20(火) 17:53:07 ID:MUFHjkT1
羅生門は過去を舞台とすることで、作者と作品の距離を取り、客観性を高めていると思うんだが、それにどんな意味があるんだ?
そしてぼくは100をゲットする
俺も高校生の時に羅生門の続きを考えて来る
って宿題あったな。
下人も誰かに襲われて しかも死ぬって考えの人が
多いみたいですね。
実際、俺のクラスのほとんどの奴がそれだった。
まぁ、確かに秀逸な模範解答だと思う。
でも俺はそこに至るまでにワンクッション必要だと考えた。
まず「ニキビ」を触るくだりは下人の若さを
強調してると思われる。
そこで考えられることは2つ。
・老婆の着物だけでは金にならない
・下人は若いのでそうそう襲われる対象にならない
ということ。
そこで俺が考えたストーリーは下人の次なる犯罪。
おそらく盗みを繰り返すだろう。
しかし、時代背景から考えて盗みでは食えなくなる。
物が不足しているために・・・
いよいよ「殺し」をしなくては食っていけない。
老婆から着物を剥いだ時のような葛藤があるだろう。
そして下人は生きるために「人殺し」をする。
追い剥ぎは人殺しになるまでの入り口に過ぎない。
こんな感じのことを書いたと思う。
先生に苦笑いされた記憶がある。
盗みでは食えなくなるから殺しってピンと来ないな
盗みをくり返すうちに、抵抗されて殺しをしないといけない状態になる、ならわかるけど
かなり突発的な事態だと思うから葛藤よりも、後悔に近い心情になるんじゃなかろうか