>>40 >その昔は、著者とのトラブルにはどう対処していましたか?
>裁判に発展したケースもあったんですか?
著者とのトラブルはまだ少なかったと思います。
当時の編集部員は皆しっかりとフォローをしておりましたので、
裁判にまで発展したケースは確かなかったのでは? と思います。
ただ月額3万円で契約していた顧問弁護士先生は当時からおりました。
>お客に提示する価格はその当時から、200万円前後だったんですか。
>その価格はどういう決め方だったんですか。
活字ものB6単行本(ソフトカバー4色、写真使わず)の原価明細は以下の通りでした。
・本文組版代 @900円×ページ数
・カバー4色(カバー刷版込み) 一律72,000円
・表紙製版(ネガ出し) 一律2,500円
・ 本文面付刷 @1,600円×台数(ページ数によりますが192ページで60,000円程度です)
・用紙(こはく)代 ページ数にもよりますが192ページ500部で40,000円程度です
・製本代 ページ数にもよりますが192ページ500部で30,000円程度です
・スリップ代 一律7,000円
・腰オビ代 一律5,600円
・表紙の写植バラ打と紙焼き 一律3,300円
・諸経費(校正郵送・梱包発想等) 一律2,000円
・ブックカバーデザイン代 30,000円
よって、オーソドックスな500部192ページものの単行本の制作原価は422,700円です。
今は年間に2,500点も刊行しているのですから、原価はもっと下がっていることでしょう。
しかもカバーデザインも、松崎は専門学校の学生に声をかけて
「作品と名前を出せるチャンス」とタダで(!)やらせることも多々ありましたw
本の原価以外に発生する直接原価は販促コストですが、
販促といっても新刊案内を新聞全国紙と文芸四誌に出すことと、
書店リクエストで依頼された書店数店舗に対し「本を置いてください」と
書店営業が電話するぐらい、そして同報FAXを流すぐらい、たったのそれだけですw
新聞や雑誌広告がまた安く、同じ活字を扱う出版社の広告は、全国紙でも信じられない位安い。
具体的には、5段1/2のスペースで朝日が百万円、讀賣が60万円、毎日が50万円でした。
これを30点程度を一括で広告するのですから、1点あたりの原価は朝日でも33,000円。
しかも刊行案内よりも「原稿募集」の文字とスペースの方が大きいこと大きいこと。w
実質的には「原稿募集」の広告なのですから、著者にチャージする理由すら見当たりません。
あと文芸四誌の広告が6万円。1点あたりは2,000円です。
以上のように、本の原価422,700円+朝日と文芸四誌広告代35,000円+電話FAX代、
=約46万円が、販促もふくめた共同出版の最終原価構成なのです。
出版企画書の見積価格は、この3倍以上の150万円程で当時は提示しておりました。
つまり共同出版といいながら、直接原価は完全に回収しているばかりか
100万円以上もぼったくっていたわけです。
なぜこんな見積が可能なのかというと、見積は競合があってのことですので、
文芸社が棚買いなどというこれも悪偽なことをしていて見積価格が高い分、
新風舎はそれより若干下回った見積金額を提示すればよかっただけだからです。
当たり前ですが、共同出版も協力出版も共存共栄の、しょせん同じ穴の狢なのです。