Vol.19
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いくつかの三流・四流私大を受験した。「合格してもここには通いたくないよな」
という大学に合格した。嬉しかった。バイト先と喫茶店のマスターに報告をした。
たくさんの「おめでとう。」の言葉をもらった。
ゲーム三昧の日々が始まった。
Vol.20
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去年、補欠合格候補で落ちた大学から、補欠合格の通知が来た。通いたく
ない大学の入学金と前期分の学費は納入していたけれど、補欠合格の大学へ
行く事にした。
Vol.21
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受験した校舎がある東京へ僕は通うつもりだったのに、僕が合格した学部
は違う県にあるらしい。急遽部屋を探して契約して、引越費用等を稼ぐために、
集配物の夜間仕分のバイトをしばらくやった。
クールな集配物は数が少なく空き時間が多くて、いつも取り合いだった。
空き時間は何をしているのかと言うと、ベンチや床に横になって寝ている人が
多かったから、僕もそれに倣った。
一斉に休む休憩時間の休憩室の上半分は、タバコの煙で真っ白だった。
自動販売機で100円で買えるパンを頬張るよく見かけるおじさんに、
「いいもん食ってんなー。」と、別のよくみかけるおじさんが声をかける。
そんなやり取りを見ながら僕も、部屋の上半分を真っ白にする事に一役買っていた。
Vol.22
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部屋を借りた街は、日本人よりも外国人が多いような街だった。そういえば、
部屋の下見のために初めてその街に降り立ったとき、最初に見かけたのは
中東系の人だった。
バイト先と喫茶店のマスターに事情を簡単に説明して、僕の一人暮らしは始まった。
Vol.23
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理系の学科に進学したのだけれど元々数学は苦手で、隔週で行われる
実験にも全く興味がわかなかった。ただ、情報処理関係の講義は面白いと感じた。
徐々に知り合いができて、校内でも校外でも一緒にいる仲間ができた。
当時、仲間内での勉強上の僕の役割は、実験の時、オシロスコープに
表示される波形を方眼紙に写し取るプロッターとしてだった。面倒くさくて誰も
やりたがらないから、結構重宝がられた。僕としては、その波形を出してくれる
友人の方が重宝だったのだけれど。
女の子がいたって僕は蚊帳の外だけど、男ばかりの学校だった。
あっ、希少種だからという理由だけでもてはやされる女の子はいた。
彼女達は今、どのような境遇にいるのだろう。
Vol.24
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奨学金の申請をしながらバイトを探して、ご夫婦でやっている、小さなイタリア料理屋で
バイトを始めた。そばにある医大の学生が、そばにある女子大の学生を数人連れて車で乗り付けて、
「何でも好きなもの頼みなよ。」
「え〜いいの?安くないよ?」
なんて会話が繰り広げられる店だった。
わざと入れたスープスパゲッティの中の指は、とても我慢できる熱さじゃなくて、
「あっちぃ!」と言いながらそれを床にぶちまけてしまった事がある。
恐らく自分よりも年下の彼と彼女達から浴びせられた視線は、今も忘れられない。
Vol.25
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バイト先のみなさんは、ご夫婦を含めて、とてもきさくな人達だった。
僕の誕生日にバイト先のある女性が、みんなで買ったというガラスのテーブルを
届けてくれた事がある。
玄関先でテーブルを受け取りながら思わず、
「ありがとうございます。好きです。」
と言った。
「誕生日おめでとう。聞かなかった事にしておくよ。」
大学が忙しくて、ある夜、店の掃除が終わって部屋へ帰り、辞表を書いて、
店の玄関の下から中へ入れておいた。決して、その告白が原因で辞めたわけじゃない。
Vol.26
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一人暮らしと言っても実は、週末は実家へ帰っていた。金曜日の講義が
終わったら実家へ帰り、月曜日に実家から大学へ向かう。
夏休み、実家へ帰り、久しぶりに以前のバイト先に顔を出した。
ちょうど棚卸をするという事で、二日間、臨時のバイトをした。
この時「週末帰って来ているならバイトすれば?」と言われた。金も無いし
週末何をしているわけでもないし、という事で、土日のシフトで入るようになった。
Vol.27
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土日はそれぞれ、開店から閉店までフルに入っていた。夜の部のバイトでは
僕は最年長で、過去に足かけ二年間やっていたバイトだし、結構頼られた。
居心地が良かった。
夜のバイトの人達とはたびたび、飲んだり、カラオケへ行ったりするようになった。
週末が楽しくなった。
Vol.28
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大学生活はと言えば、何か特別な事があるわけでもなく、大学で時間を
潰して、夜は友達の家でモモデンやストツーといったゲーム三昧。
奨学金なんかゲーム代や飲み代に消えてしまうから、友達のおばあちゃんに
ご飯をせびったり、友達特製のキムチチャーハンをご馳走になったりしていた。
Vol.29
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お金に余裕がある時のこの頃の食生活は、大学のバスを待ちながら朝マック、
大学へ着いて一限が始まる前にカップやきそば(1.5倍)とイチゴミルク(250ml)、
昼は学食のハンバーグ定食大盛、夜はコンビニ弁当を二つ、だった。
食費が無くなると、友達の家でゲームをした。
体重は、維持されるどころか、着実に増えて行った。
Vol.30
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一人暮らしの街で、ビデオ屋でバイトをした。主に、返却されたビデオを
棚に戻す作業をしていたのだけれど、ジャンルの場所であったりとか、
そういった基本的な事の覚えが悪く、「おめぇ、どんだけ時間かけて棚戻し
やってるんだ。延滞料取るぞこのやろう!」と、いつも怒鳴られていた。
一ヶ月程で辞めた。というかバックレた。部屋のそばのビデオ屋だったから、
通学ルートを変えなければならないのが痛手だった。
Vol.31
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一人暮らしの街で、深夜のコンビニエンスストアのバイトをした。夜は
お客さんが少なくて、品出しをしている以外は、実験のレポートを書いていた。
朝になって寝ないで大学へ行ってこのレポートを提出し、その日、次の実験を
行う、という具合だった。
お菓子を運んでくるお兄ちゃんは無口な人なんだけれど、何度か会って
いるうちに、何となく暗黙的に、お互い仲良くなっていた。
お兄ちゃんは、僕が受領印を押し終わると、いつも同じ缶コーヒーを買って
行くんだけれど、袋に入れようとすると「シールでいい。」と言う人だった。
こっちも心得たもので、それを言われてからは袋に入れずシールを貼っていた。
ある時、お兄ちゃんは缶コーヒーを二本持ってきた。「めずらしいな」と思い
ながら、さすがに袋に入れようと袋を出したら、「シールでいい。」とお兄ちゃんは
言った。
二本目の缶コーヒーにシールを貼ろうとしたら、「そっちはいい。」と
お兄ちゃんは言った。続けて、
「それ飲んで。おつかれ。」
とお兄ちゃん。
「ありがとうございます!気を付けてください。」
と、僕はお兄ちゃんの背中に言った。
次のバイトの時、僕はいつもお兄ちゃんが買う缶コーヒーを二本買って
おいた。お兄ちゃんがレジに二本缶コーヒーを持ってきた時、
「これ、飲んでください。お疲れ様です。」
と、シールの貼ってある缶コーヒーを渡した。
「もう絶対、気ぃ使うなよ。これはありがとう。」
それからは、お兄ちゃんが入ってくると「お疲れ様っすー。」「おぅ、お疲れ」。
そして、二本の缶コーヒー。
Vol.32
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レジから雑誌コーナーが見えるように、雑誌コーナーの角には球形の
ミラーがぶら下がっている。ある夜いつものようにレポートを書いていると、
派手な格好の女性が入って来た。
「いらっしゃいませー。」女性はそのまま女性誌コーナーへ。しばらくして、
見るともなしにミラーへ目をやると、女性はしゃがみこんで雑誌を読んでいる。
またしばらくしてミラーへ目をやると、姿勢は変わらないけれど、女性は
ミラー越しにレジの方を見ている。
何回ミラーへ目をやったか覚えていないけれど、ミラーを見るたびに、
女性はやっぱりレジの方を見ている。
なんか気味悪くて、レポートを書くフリをしながら女性の動向を見ていた。
ミラー越しに目が合っていた、んだと思う、目が合ったまま時間が過ぎた。
女性は立ち上がって、ビールとかお菓子とかをカゴに突っ込んでレジに
ドンッと置いた。
「いっ、いらっしゃいませ。」
の言葉の後、ビクビクしながらバーコードを読み込ませる僕。いつもと同じ
なんだろうけれど、バーコードの読取精度が悪い。
「紙ある?」
「へっ?」
「書くものある!?」
「はっ、はい!」
と言って、ボールペンとレポート用紙を一枚差し出す。女性はカウンターで
何かを書き始める。
「ほにゃらら円です・・・。」
と告げる。彼女は紙を差し出して僕に言った。
「あなた達ここ、私ここ、待ってるから。」
そう言うと、女性は袋を持って出て行った。「おっ、お勘定・・・。」というのは
僕の心の中の言葉。
言っていた事と、紙に地図が書かれている事は分かったのだけれど、
状況が全く分からないし、怖いし、地図は全くアバウトだし、「私ここ」の「私」が
誰なのか分からないと「ここ」が特定出来ないだろうし、でも、悶々としながら
朝を迎えた。
やっぱり僕は大学へ行く事にした。
36 :
ohl ◆0n7FWv/c5g :2007/02/18(日) 00:32:49 ID:XIgUUSua
Vol.33
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ある時、黒人の二人組が入って来た事がある。全てにおいて自分より
デカイ二人組。店内を、徘徊するかのようにウロウロ、こっちをキョロキョロ。
「うぁ〜、嫌だなぁ」と思っていた。レジ横のショーケースの前でもウロウロ
キョロキョロ。もう本当、怖いっすよ。
片方がレジの前へ来て「チキン」と言った。えぇ、僕は今モーレツにチキンですよ。
とりあえず首をかしげながらはにかんでみた。
相方もレジの前へやって来る。「チキン、チキン」と連呼する彼ら。
「あっ、鶏が欲しいのか?」と理解し、ショーケースを指差しながら
「チキン、チキン」と言う僕。ちゃんと会計を済まして、レジの前でほおばる彼ら。
「オー、チキン。オー、チキン。」
僕はやっぱりはにかんでいた。
37 :
ohl ◆0n7FWv/c5g :2007/02/18(日) 00:33:32 ID:XIgUUSua
Vol.34
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コンビニエンスストアのバイトは素晴らしくて、シフトに入っていない時も
顔を出して、廃棄の弁当をもらっていた。食べる事に困らなくなったけれど、
これによって、体重増加に拍車がかかった。
素晴らしかったんだけれど、寝ないで長時間の実験へ行くのがやっぱり
キツくて、切りの良い所でバイトを辞めた。ちなみにこの間も、週末のバイトは
続けていた。
38 :
ohl ◆0n7FWv/c5g :2007/02/19(月) 05:06:42 ID:+HpIh2mV
Vol.35
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ある友達が、彼女に英文のレポートを頼んでいて、それをこれから取りに
行くから付き合って、と言う。日頃いろいろとお世話になっているし、
暇だしって事で付き合った。
夜の高速を車が飛ばす。
お洒落なマンションのエントランスでインターホンを押す彼。
「今開けるね。」という声と同時に自動ドアが開く。彼の彼女の部屋の前で
インターホンを押す彼。扉の向こうからパタパタと小走りの音。
ガチャッ
と扉が開き、キャミソールと短パンのかわいい女性が出てきた。
「あっ、一人じゃないんだ。」
(はい、すみません。今晩のおかずをいただきました。)
彼は本当にレポートを受け取って帰るだけだった。自分が付き合わされた
理由も分かった。
僕にはこんな事出来ない。いや、僕にはそんなシチュエーション、あり得ない。
39 :
ohl ◆0n7FWv/c5g :2007/02/19(月) 05:08:25 ID:+HpIh2mV
Vol.36
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週末のバイト先に、頭の良いかわいい女の子が入って来た。一言で言うと
“凛とした”感じの女の子。高嶺の花のような人だった。厳しいご両親で、
お酒を飲みに行ったりカラオケへ行くのも、原則禁止だった。
自然と好きになった。バイトをしている時は頼られるから、気分が良かった。
ある時、彼女をむりやり連れてみんなで飲みに行った事がある。彼女は
ひどく酔ってしまったから、肩を貸して家まで送り届けた。
すごい形相のお父さんが、むしり取るように彼女を僕から離して、
家の中へ消えていった。
40 :
ohl ◆0n7FWv/c5g :2007/02/19(月) 05:09:10 ID:+HpIh2mV
Vol.37
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「なんでそんなに私の事、良くしてくれるんですか?」
という言葉に
「バイト先のかわいい後輩だからだよ。」
と答えた。
彼女は確実に、僕の気持ちに気付いていたと思う。でも、「好きだから」と
言っても玉砕する事は分かっていたし、その言葉を言わなければ、
ずっと彼女と話をしていられると思った。
お父さんに言われたからなのか、彼女の辞める理由は、歯切れの
悪いものだった。
平日は大学、週末はバイト。この繰り返しが、しばらく続いた。
41 :
ohl ◆0n7FWv/c5g :2007/02/19(月) 05:11:13 ID:+HpIh2mV
>1
「三通の手紙」ってどんな著名な作家が書いた文学なんだろうって
思ってたけど作家になることすら諦めたワナビのオナニーだったんだね。
乙。
>>42 レスありがとうございます。
作家にはなれるとは思ってないです。
くらべた事はありませんが、創造力、構成力や文章力は、
それこそ、著名な作家に全くおよばないです(くらべる事自体が
失礼です)。
ただ、実際に自分にあった事を他人に話した際、失笑を
ともなった興味を得る事が多く、興味を得られる事柄を
ベースとして何か書いてみてはどうかと思い、今回
「三通の手紙」を書いてみました。
オナニーみたいにきもちよければ良いのですが、決して、
きもちよくなれる内容じゃないと思います。
何このスレ
ごめんなさい。カテゴリ雑談のセピアに移動しました。
46 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/24(土) 01:08:28 ID:nBGy6fN4
最近あまり更新されてませんな。
47 :
ohl ◆0n7FWv/c5g :2007/03/24(土) 07:06:21 ID:Q39Lzzuh
>>46 コメントありがとうございます!
セピアの方では書いていますです。でも先ほどみたらdat落ちです、と言われました。
3/6から書いていなかったこのスレッドが残っているのに不思議です。
ブログの方では、最後の四部まで話が進んでいます。これから今日の分を書きます!
48 :
ohl ◆0n7FWv/c5g :