「塩狩峠」読書感想文を書いて下さい    

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63吾輩は名無しである
他者のために自己犠牲するという行為は人間にのみ見られるものである。
動物行動学の知見では,動物の利他行動は,利他行動の担い手と受け手の間に
遺伝子の共有が必要であるか、または高次の認知能力をもつ個体同士の
利他的行動のやりとりによって集団全体が利を得る時である。
つまり,自己の遺伝子を受け継いでもらうことや,行動としての
見返りを求めない利他行動は,なりたたないのである。
翻って人間は,どうか。その答えの一端がここにある。
信夫(?)は,信仰心に裏打ちされた信念によって,自己犠牲をすることで
多くの他者を救った。
ここには他者への思いやりのみがあり,何の見返りも求めないその行動は
人間であるゆえの行為なのである。
動物と人間の連続性を仮定して様々な学問が発展していたことは事実であるが,
血縁関係になく,見返りも期待しない利他行動をとり得るのは人間だけであり
塩狩峠に,私は,宗教を超えた人間性を観たと思う。