泉鏡花

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232吾輩は名無しである
鏡花の家の近くに住んでて人的交流があった里見クによれば、
鏡花の文章は「詰屈晦渋」で鏡花宗を自認する明治の愛読者
も「さすがに音をあげて、わからない、と呟く場合や、正解
してゐるのか、独合点の曲解か、はたまた負惜みからさもわ
かつたやうな顔つきだけしてみせるのか、そのへんの詮議は
姑措き、かかる神秘感こそは我が鏡花の独壇場だ、とばかり、
更にまた渇仰の度を掲げる場合とがあつた」と述べてゐる。