今世紀の思想家としての小林秀雄

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119吾輩は名無しである
これですか?
小林秀雄「青年と老年」(全集第一二巻「考えるヒント」所収。この全集は
今発売中のものではない)。現代仮名遣いで引用。
(前略)あるいはまたこんな風に聞かれる。「君の青年時代に照らして、今
日の青年をどう考えるか」。どう答えたらいいのかしらん。私は、自分の失
われた若さを、時として痛切に想(ママ)うことはあるが、若い時代に生き
た環境はうまく思い出せない。(中略)どうやらはっきり言えることは、私
としては十分に不安時代であったということだけだ。どいつもこいつも、の
ん気に構えているなら、おれは不安になってやる、きっとそんな気だったの
だろうと思う。不安がなければ不安を発明してやる、これが青年の特権である。
(中略)私がこの青年の特権をできるがぎりて行使したことは先ず確かなことら
しい。(後略)