文体模写 スレッド 2

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286ディア ダディ ロング レグ
 わたしは朝目が覚めました。昨夜ベッドで6時間眠りました。とても奇妙な胸がむかむ
かするような夢を見ました。だってわたしは今までこんな変な夢を見たことがなかったん
です。
 毒虫って、とっても大きくって、とってもまごついています。――わたしは朝起きたら
毒虫になっていたんです。もっと気が落ち着いてから体の様子をお知らせするつもりです。
 知らない人に手紙を書くなんて変な気がします。第一手紙を書いてること自体変です。
わたしは蟲になってから、体の両側にむやみやたらと脚が生えています。ですけど、ペン
を持てないのですから、字が書けるわけないですね。
 おう!!!
 こう悲鳴を上げたつもりだったんですが、ひどく具合の悪いことに声にさえならないの
でした。それはこの図のような虫の体のせいです。
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 それはひどく恐ろしいことに、ちょうど目が覚めて仰向けから体を起こしたときに――
ひょいと――頭をあげるとそれが目に入ったのです。わたしは倒れる直前に小さく膨れた
茶色の節がたくさん並んでいるのを見てしまいました。わたしはいきなりベッドに背中を
打ちつけて――そのとき硬い背中の丸みで二度ほど揺り返しました――体の後ろ半分は見
えましたが、残りの半分も50本の脚がわさわさとわたしの意志と関わりなく逃げようと
しているのでした。
 お粗末さまでした。
                               グレゴール・ザムザ