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58辻エッセイ風
その日の朝は何かいつもと違っていた。奇妙な夢にうなされていた僕は
目が覚めると自分が得たいの知れない毒虫になっていることに気づいた。
首を上げると褐色の腹部が少し見えた。
 もう元には戻れない。そう思うと僕の目頭は熱くなった。人間だった
あの頃、僕らは青春まっただなかだった。虫になんかなりたくない。もう
少し、人間のままでいたい。
 S先輩も同じ気持ちだったに違いない。バンドの練習が終わると、僕らは
いつも星空を見上げながらいっしょに帰った。あの頃、僕らには僕らの時間
が流れていたのだ。
 虫なんかじゃなかった。僕はたしかに、あの時ひとりの人間として、あの場所に
いたのである。