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30春樹
目が覚めると、右のこめかみがちくちくと痛んだ。それはまるで小人が針を突き刺しているような感覚だった。
口の中はからからに乾いていて、何とも言えない不快感があった。
何となく、自分の身体が、自分のモノではないような、そんな感触だった。ぼくはゆっくりと手をのばして、自分の存在をひとつひとつ確かめようとしたが、うまく身体に触れることができない。かろうじてわかったのは、それは人間の肌ではなく、つるつるとした、大理石の床のような感触だった。
おかしいな、と僕は思った。いくらなんでもそれはないだろう。
たぶん、いつものように顔を洗って、丁寧にひげを剃れば、そんな不快感はきれいさっぱり忘れられるんじゃないかと思った。
しかし、そうはいかなかった。