はーい、ここにいま〜す。
伝奇集の中でも、隠れた奇跡を推したい。一度も名前挙がってなくてさみしいが。
ボルヘスの詩は、パスなんかに比べると多少物足りないところもあるが、
「文人」の詩としては非常に優れていると思う。
ボルヘスがやたら褒めてたからチェスタトンのブラウン神父シリーズを
読んでるのだけれど、滅茶苦茶面白いなこれ。訳者さんの文章もとても
上手で、まさしく至福の読書。まじでお勧め。
詩人と狂人たち、なんかも面白いでっせ。
309 :
吾輩は名無しである:04/11/10 23:04:23
age
310 :
吾輩は名無しである:04/11/10 23:29:51
今日、ブクオフでボルヘス5冊見つけたのでみんな買ってきたが、
北アメリカとイギリスの文学講義が非常につまらない。
どういうわけか、ひどく月並み。
まだ読んでないが、神曲の講義はましだといいのだが・・・
皆さんはどう読んでる? ボルヘスの講義集などは?
学校の授業なんだからそんなもんだろ。英文学講義なのに延々トレーンの文学に
ついて語られても困るし。
312 :
310:04/11/11 02:44:08
>>311 そっか、そうだよなあ。
まあ、しゃあないか。
ただ、国書のボルヘスコレクション、装丁だけは
ものすごくかっこいいな。
313 :
吾輩は名無しである:04/11/17 22:55:24
バベルの図書館のこと?
近くの図書館にずら〜〜〜っと並んでて感動した。
ボルヘスの本で鏡の関係の小説本ってあります?
一冊丸ごと鏡ってのは無いと思うけど。
鏡といえば、ミヒャエル・エンデの「鏡のなかの鏡」ってボルヘスっぽくない?
317 :
吾輩は名無しである:04/11/30 12:42:09
国書のボルヘスコレクションだったら、序文つき序文集が面白い。
鏡で始まるのは『トレーン(以下略』だな。
「鏡と父性はいまわしい(ミラーズ・アンド・フアザーフツド・アー・アボミナブル)、
宇宙を増殖し、拡散させるからである」
――『伝奇集』中「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」
これ、『汚辱の世界史』中「仮面の染物師 メルヴのハキム」からの自己引用なんだよね。
さて問題です。「鏡」が「宇宙を増殖し、拡散させる」のはわかるとして、
なぜ「父性」も? あるいは増殖ならむしろ母性ではないか?
解答わかるかな。
させるから。
父方の姓が残って増殖していくから?
>>323も不正解。それとも釣りですか。わかるでしょ、こんなの。
ヒント、これは「異端の教義」の言葉です。
お父さんは精子をいっぱい出すから?
それでギャグのつもりか? つまんねえよ。
ボルヘス5に 命をかけ〜て〜
や〜るぞ〜 力〜の〜 つきるまで〜
せっかく学識を自慢しようと言うときに、肝心の引用を間違うのはイクナイ!
早く答えを書き込んでくれよ、マルケス!
>>328-329 いいや、引用は正確だ。鼓直訳の岩波文庫版『伝奇集』15頁と全く一緒だよ。
篠田一士訳でも見てるの?
日本語ではそうなのか
>>330 ヒントを貰ったんだから、自分で頭をひねってごらんよ。「グノーシス派」だよ?
「ボルヘス 鏡 父性」でgoogle検索しろ。
「父性」の意味の解釈を記したページがあるぞ。
篠田一士訳『伝奇集』だと
「鏡と父とは、その宇宙を繁殖させ、拡散させるがゆえに忌わしいものである」
つか、『汚辱の世界史』(篠田一士訳)からの自己引用だって書いてあるやん。
そこ見ればわかるっしょ。
同じ本を別題で邦訳した『悪党列伝』(中村健二訳)でもいいけど。
>>332 ……は? スペイン語では違ってるとでも?
>しかも、なんで引用がたどたどしい英語なんだろうか。
原文見てないな? 岩波文庫版では邦文に英語ヨミがルビで振ってあるんだよ。
原書でも横に(たどたどしくはないが)英語で付記してあるよ。
(Mirrors and fatherhood are hateful)だった気がするが、abominableだった
気もする。
googleで検索したら両方あった。なんでじゃ。
英訳ではどうしてるんだろね?
ぺんぎんの奴は
Mirrors and fatherhood are hateful because they multiply and proclaim it.
なんでproclaimなのかは不明。
ひどいな。
ボルヘスって、邦訳だけでなく英訳でも訳者に恵まれないんだねえ。
>>343
英訳版では横に異言語で附記してないわけやね。つまんないの。
みなさん、「父性」の意味もわからず読み飛ばしてたんですね。
>>346 ボルヘスの小説に出てくる全単語の正しい解釈が分かるんですか!
うらやましいですね。私もそれくらい博識になりたいものです。
ごくわかりやすい方の「鏡と父性……」すら解釈できんのなら、
まして他の部分は全然理解できぬはずで、衒学趣味のボルヘスなんてまるで読めないわな。
頭の中にアレフをお持ちの方がいらっしゃるようですね。
だが、わたしは気にしません。アドロゲーのホテルで静か
な日々を送りながら……
350 :
>>343:04/12/17 17:00:54
引用の箇所が違うよ。今頃だけどさ。
まあ、知識を自慢したい人は自慢するがいいよ。ボルヘススレだし。
知識の問題ではない。
知性の問題。
ボルヘスに知識なんか必要ない。
355 :
吾輩は名無しである:04/12/18 02:49:00
嘘知識を生み出す知性
356 :
吾輩は名無しである:04/12/18 15:54:56
>>351 失礼。ペンギンの版と書いてあったので、てっきりLabyrinthsから引用したのかと
思って確かめたら違ってたので。ペンギンでもHurley訳のものから引用したのかな?
たしかに手元のHurley訳(VikingのCollected Fictions)ではそうなってました。
ちなみにペンギンのLabyrinthsでは、
Mirrors and fatherhood are abominable
because they multiply and disseminate that universe.
です。becauseの前は原文にも英語があるはずなのに、abominableと
hatefulと両方あるのは謎。
ボルヘスに知性は無い、知識あるのみ。
ここは衒学的なインターネッツですね。
結果としてスレも盛り上がってるしいいんじゃない?
360 :
吾輩は名無しである:04/12/19 14:43:45
若島正「乱視読者の新冒険」にボルヘスがいっぱい出てきて
読みたくなってきた
361 :
吾輩は名無しである:04/12/19 16:31:16
「その迷宮を作るために援用される伝説的な博識なるものは、視点をずらしてみれば、
博識でも何でもない。それはいわゆる大文字の思想や文学とは少し外れた場所から、
ディレッタント風に拾い集められた知識の集積以上のものではない。ただ、そこでは、
その知識の〈オカルト〉的な性質のゆえに、刻印された知識の言い落とされた部分の
巨大さの幻影を演出しているというだけのことである。」
富山太佳夫「言い落としたこと」『ユリイカ』1989年3月号「特集 ボルヘス」
「僕がボルヘスをつまらないと思うのは、ボルヘスよりうまくボルヘス的な短編を
書けちゃうからなんです。」
蓮實重彦『闘争のエチカ』
「実際、ボルヘスという作家は適当な博識と発想があれば、簡単に、二、三作の模倣
なら可能な作家であるという印象を残す人である。」
「寧ろ、認めてしまおう、ボルヘスは誰にでも模倣可能な作家である。或いは、模倣
せざるを得ない作家である、と。」
丹生谷貴志「出来事・切り株・砂・館」」『ユリイカ』1989年3月号「特集 ボルヘス」
ボルヘスって、「自分と地続きの」かつ「理想の存在」だよね。
勉強すれば、ボルヘスに近づいていける、って気がする。
蓮見って、本当にむかつくな。
大学で会ったら、友人と取り囲んで、笑い者にしてやろうっと。
読者に優越感を与えることができるほどサーヴィス過剰の文学
ってことだな。蓮見何とかという人、知らないけど。
368 :
sage:04/12/24 23:26:39
蓮實ってそんなばかなこといってたのか。
模倣は可能かもしれないが、蓮實の書いた「ボルヘス的な短編」なんて誰も一生懸命
読まないっしょ? 蓮實板なんてできないだろうし、蓮實の(虚構的)テクストを持ってきて
誰も一生懸命この版ではこうなってるなんて話はしない。
てかそんなに激烈に反応するようなことか?
蓮実がボルヘス的な短編をボルヘスより上手に書いてみせたところで
(それが可能かどうかは知らんが)ボルヘスの価値が減ずるわけでは
ないし。
「私は、『これは自分には書けない!』と思わせるような作品が
好きです」と言ってるだけで「俺はボルヘスより偉大だ」
と言ってるわけじゃないんじゃね?
とは言うものの、他の事も総合的に考えて蓮実ムカツク。ってのは同意。
まったくだ。
最初にコンパスで円を描くことを考えたやつは偉いんだ。
そのあとでボクは上手にコンパスで円が描けますって威張るなら
サル並の知能でもできる。
蓮実は確かに新しかった。だからも今はもう古い。
多分漏れはデュシャンより上手にモナリザにヒゲを描ける。
俺はもっと丁寧に便器を置けると思う。
俺ならもっとしずかにピアノのいすに座る。
?
?
ほしゅ
ブストス=ドメックのクロニクルを読みました。
今まで後回しにしていたのだけれども、
以外に面白かったー
かなり下がってきたなー。
380 :
吾輩は名無しである:05/03/02 05:10:19
鼓直の訳ってクソなんですか?
382 :
吾輩は名無しである:05/03/03 15:09:37
ボルヘスの邦訳作品リストみたいなものはありますか?
はじめてボルヘスの小説を読んだ。
白水社から出てる「不死の人」ってやつ。
だいたい面白く読めたんだけど、
最後の「アレフ」って作品だけがいまいちよくわからなかった。
アレフの性質自体はわかってると思うけど、
それが偽物であると主人公が感じている理由がさっぱり。
あれはアレフというのがどんなものであるかを描いただけの小説ではないだろうし、
そこがわからないだけでなんか全てが腑に落ちなくなる。
誰か助けて。
むしろ長いだけの「不死の人」の方がさっぱり。
「不死の人」は言いたい事は大体わかったよ。
あれはもし不死の人間がいたとしたらどういう考え方をするか、
っていうのを描いた作品でしょ。
何世代にも渡って読み継がれている作品の著者=不死っていう意味もあるだろうけど。
だからあれは特別意味を読み取らなくてもいい作品だと思うけど、
「アレフ」の方は根っこの一部分がさっぱりっす。
>>383 リチャード・バートンその他の文献から、もっと他にアレフがあったことがわかるからでしょ。
語り手は、ダネリの野郎なんかが本物のアレフを持ってたなんて信じたくないわけだし。
それより「不死の人」が最後に「私はホメーロスであった」と述べる方がわけわからん。
>>386 それはわかるんだけど、それだけじゃあ偽物であると思う理由にならない気がするんだよね。
「寺院の柱の中にある(と感じている)」っていう行がキーみたいに思えるんだけど、よくわかんない。
それと「私はホメーロスであった」と主人公が言う意味は、
実在していたホメーロス(生命を持っている者)と
創作物であるオイディプス(生命を持っていない者)って感じで区別して言ったんだと思う。
確証はないけど。
オイディプスじゃねえ。
オデュッセウスだったよスマソ。
あのさ、別に十分な理由無しでも、悪意を持ってる相手の持ち物ならけなすでしょ。
それより、過去に自分がホメロス(の成れの果ての不死人)に会っておきながら、
後になって「私はホメーロスであった」って、何だそりゃ。
ごめん、一行目の意味がよくわからないんだけど。
そのセリフのことだけど、「不死の人」の主人公は一応ボルヘスでしょ。
ボルヘスもホメーロスも作家として、
創作物によって後世まで名を残せる可能性を持ってる。
だから、同じ不死性の存在って意味で「私はホメーロスであった」って言ってるんだと思うよ。
だから不死っていうよりは、どっちかっていうと不滅の方が合ってるんだよね。
原文がどうなってるのかは知らないけど。
悪意を持ってる相手=カルロス・アルヘンティーノ・ダネリ
持ち物=アレフ
>「不死の人」の主人公は一応ボルヘスでしょ。
へ? 主人公?
「不死の人」の枠を除いた書き出しはこれだよ(篠田一士訳)。
「わたしの記憶しているかぎりでは、わたしの人生試練はテーベのヘーカトンピュロスの庭園ではじまる。」
ボルヘスが、どうやって古代ローマの護民官としてエジプトに従軍するのかね。
別の作品と間違ってない? カサーレスとの合作「不死の人びと」(1966)とかと。
ごめん。どう考えてもボルヘスちゃうね。
あの短編集に出てくる一人称の主人公が大体みんなボルヘスだったから混同してたよ。
まあでも語り手が創作者であることには変わりはないし、そういうこと。
アレフって結局そういうことなのかな。
柱の中に存在を感じるっていう辺りで、信仰心に関わるすごく深い問題だと思ってたよ。
だとしたらあの小説ただのアレフの紹介話じゃん・・・。
393 :
吾輩は名無しである:05/03/14 09:50:45
篠田一士訳「不死の人」は、本邦初訳で、大筋では間違っていないにしても、
細かい点でいろいろ問題がある。
たとえば、手記冒頭の「テーベのヘーカトンピロスの庭園」というところも、
ヘーカトンピロス(ヘカトンピュロス)は「百の門をもつ大都」といった意味で、
「庭園」の名ではなく、「テーベ」の常套的形容語で、すでにホメーロスが使っている。
短篇集『不死の人』については、つねに、
あとでできた土岐恒二訳も、参照したほうが良いと思うよ。
>>392 >まあでも語り手が創作者であることには変わりはないし、そういうこと。
「そういうこと」って?
過去にホメロスその人に会ったと述べた語り手が、
後になって「私はホメーロスであった」って、一体どげんことですか、そりゃ。
395 :
吾輩は名無しである:05/03/14 11:19:26
>>394 「わたしが語り終えた物語はそのなかに二人の異なった人物の事件が混じりあっているので非現実的なものに見える」(「不死の人」Xの後半冒頭 土岐恒二訳 元訳文ではこの全体に傍点を付して強調されている)
396 :
吾輩は名無しである:05/03/14 16:13:10
「アシテリオーンの家」が面白かった。
開いているのに閉じ込めている、不思議な牢獄。
確かにそのとおりだった。
>>395 だから、どうして(如何にして)混ざり合ってるのかが不可解なのよ。
398 :
吾輩は名無しである:05/03/16 08:15:47
今度のエッセイタイトル。なにか意見ある人頼む。
"Borges’s fictions are ‘think-pieces’:
they are stories about ideas instead of people." (Sturrock).
Discuss this evaluation with reference to ONE story from Ficciones.
とりあえずこのSturrockの意見には反対。
登場人物にはきちんとした感情があって、個人も尊重されている。
(八岐の園の主人公とか。)
ボルヘスの話の全てが哲学とか宇宙観念について、ってわけじゃないと思う。
メインポイントはそこなんだろうけど。
「今度の」って……?
それに登場人物の「感情」や性格ですら、観念(ideas)のうちでしょ。
エンマ・ツンツとか。
400 :
吾輩は名無しである:05/03/16 14:42:02
ボルヘスは相反する命題を止揚して作品を構築するので常識では理解出来ません。