776 :
吾輩は名無しである:2008/11/06(木) 15:16:29
伸三が福島を訪ねた本、どうですかね。
読んだ方います?
自分の親の実家が福島で、親父が失業して福島に移住しようとしたことあったらしいので
伸三にシンクロしそう。
死の棘ほどでないがカテイノジジョウをみせられて妹が失語症になってた…
777 :
吾輩は名無しである:2008/11/08(土) 00:47:55
カテイノジジョウっておいおい大丈夫か。。。
778 :
219:2008/11/09(日) 18:38:50
>>776 ミホへの辛辣な批判が書かれていたような・・・
779 :
吾輩は名無しである:2008/11/11(火) 11:16:55
ミホの若い頃って榮倉奈々に似てるよね
780 :
あ:2008/11/12(水) 10:11:50
今日は
781 :
あ:2008/11/12(水) 10:13:22
今日命日!
23回忌ですね。
合掌。
782 :
吾輩は名無しである:2008/11/26(水) 22:20:59
【文学】「何でも未完成。恋愛も完成したら退屈」 島尾敏雄の大学生時代の日記・習作など4編発見…亡くなったミホ夫人の遺品から発見
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1227703798/ 「死の棘」島尾敏雄の日記・習作など4編発見
「死の棘(とげ)」などで知られる作家、島尾敏雄(1917〜86)の大学生時代の
日記や習作の断片など4編が、昨年亡くなったミホ夫人の遺品の中から見つかった。
いずれも全集未収録の原稿で、島尾文学の成り立ちを考える上で、貴重な資料だ。
「地行日記」は、その内容から、島尾が魚雷艇学生になる4年前、九州帝大に入学した
40年の執筆と見られる。〈何でも未完成。恋愛も完成したら退屈〉など、青春時代ならではの
心境がつづられる一方、〈私には未だ死の讃美ができない〉と、開戦が近づく時代の空気を
反映したような記述もある。また、日記は日記帳やノートでなく原稿用紙に書かれており、
鈴木直子・青山女子短大准教授(日本近現代文学)は「自立した作品としてどこかに掲載する
意図があった可能性が少なくない」と指摘。島尾は77年、日記形式の作品「日の移ろい」で
谷崎賞を受賞しており、島尾文学の原型としても注目されそうだ。
さらに「憂愁の街」「無題」の2編は、36年から3年間の長崎高商時代に、
白系ロシア人と交流した体験が元になったと見られる。
これら未発表原稿は、来月6日発売の「新潮」新年号に掲載される。
(2008年11月26日20時53分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20081126-OYT1T00608.htm?from=main5
783 :
吾輩は名無しである:2008/12/28(日) 22:25:24
みんなウイークエンドシャッフル聴いてるかい
番組スレでまほちゃんが叩かれてるので反抗してます
784 :
吾輩は名無しである:2009/02/22(日) 20:32:04
「死の棘」読了。
文学的な崇高な読み方なんてできないんで、ひたすら
子供たちが可愛そうだった…。
結局ミホの病名は何だったんだろう。
気になってググってもでてこないや。
>>784 自分も考えたことがあります、正式な診断名はあったような気がしますが、
結局、過剰な自己愛からくる単なる甘えじゃねーのと、今では思っています。
>>785 レスありがとうございます。
うん、「精神病」というより「ナントカ障害」かなという感じはしました。
周りに人がいると症状がでないとかの所で。
まぁ最後のほうは(中盤からか?)電車の中や駅なんかでもグドゥマになってたようですが…。
ボーダーかとも思っていたんですが、10年何にもなかった、というのがあるので
当てはまらないような気がして。
独り言ですが
これが「究極の愛なのか」って所で、読み終えてからずっと考え込んでいるけど
どうなんだろ。
787 :
武陽隠士 ◆UCfK2Lx59s :2009/02/23(月) 23:42:43
>>784 私は愛人がかわいそうだった。
なんか主人公の男が卑怯に見えて仕方ない。
ただ作者はそういうのも含めて(主人公の軟弱さ)
見せてるつもりなんだろう。
気をつけなくてはいけないのはあの主人公を島尾敏雄と
同一視することだと思うな。
まあ言わずもがなの当当たり前の前提だが。
敏雄の愛人となった経緯やその関係の具体性は殆ど語られていず、家庭を壊したミホ
の敵として登場させられている。まるで奄美時代の対米戦争・戦闘を漫画的に反復し
ているかのようで、滑稽ではあるけれど、愛人の側にたてば一方的でひどい描かれよ
うだと言われても仕方がない。私小説とはいえ、その内容は実生活と完全に重なる
わけではないのだけれど、二人の子供はひどい状況に置かれていて、その責任は敏雄
だけでなく、ミホも負わなければならないものだと、私は思っている。
私はこれを初めて読んだ時は哄笑しましたね。
ベケット読んで笑うみたいに。
後に、ある評論家の批評を読んだ時に私と同じように笑ったと書いてあったので、それがスタンダードだと思ってたんですが・・・
皆さんは笑わなかったんですか?
あと島尾は贋学生もいいよね!
>>789 つかこうへい、もそう発言していた(対談の席上、本人の前で)。
『贋学生』も傑作だよね。読了したときなスゴく舌巻いたことを覚えている。
ああそれとどうでもいいことだけど
島尾敏雄って二枚目だよね。
>>790 私が読んだのは渡辺直己です。
つかこうへいが本人の前でそう云った時、島尾さんが何とおっしゃてたのか気になります。
「死の棘」を笑いながら読んだというのは、おそらくスタンダードじゃなかろうか。
島尾ファンの作家や批評家の感想でもしばしば目にする。上記の方以外でも、柄谷行人
とか石牟礼道子とか。たしかに、笑ってしまうところが随所にある。島尾本人が
ヒュウーモア小説として書いたんだから、あたりまえのことなんだろうけど。なによりも
まずミホに読ませ、そのことでミホの心が癒えることを願って書いたと島尾は言って
いるけど、果たして、ミホは本当に笑って読んだのだろうか。
>>792 本が手元にないので記憶を呼び起こすと…
「そう読んでもらうと嬉しい」という意味のことをつかに対して、島尾敏雄は言っていたと思います。
肯定的な印象を受けました。
>>794 そうなんですね。
なんか俄かに島尾氏への興味が沸いて来ました。
他の作品も渉猟してみます。
死の棘で描かれる狂乱に対しての最初の感想は「芝居じみたまねはよせ」でしたね
(『その夏の今は』で私=隊長が、敗戦が公けになってヤケを起こした兵曹に放った冷たい一言としての)
ブルーノ・ガンツに似てる
誰?
>>786 ボーダーは主人公
ミホはターゲット
この二人の関係は典型的な共依存カップル
子供がかわいそう、とか、愛人がかわいそう、なんていうのは、
はっきりいって小学生レベルの感想だと思うな。
それから、シリアスに受け取るのも笑うのも、本筋から離れてる感じ。
内容よりも形式がすごいよ。死の棘は。
なんで誰もそこを言わないのか不思議でならない。
>>800 どうせ書くならきちんと自分の意見を書いてよ。
800ではないが死の棘の文体形式に関しては
一見単純なリアリズム描写のようであるけれども
冒頭からの畳み掛ける現在形と完了助動詞の多様が語り手の脱主体性を強調しており、
日常性の極度に欠けた、悪夢の持つ性格に近い不確かさ、流動性、飛躍性などの特徴が認められる
みたいなことを磯貝英夫が指摘してたらしい
〜それは島尾の文章がどれも他の言葉による要約めいたものをまったくといってよいほど峻拒していることについて〜
〜そういう島尾の他への還元を許さぬ文章の位相を〜
〜「単に正確で抽象的であるような(ちょっとうまく言えないが)そういう作品を積重ね」ること〜
805 :
吾輩は名無しである:2009/08/26(水) 12:30:41
>>761 三島由紀夫:英訳する作品は何がいいかというアンケートがきたときに、ぼくはすぐに島尾さんの「死の棘」を
挙げたのですけれども、あれは西洋人のヒューマニズムを震撼させますよ。
伊藤整:切腹みたいなものです。
三島由紀夫:一見実にヒューマニスティックであるかのごとくで、日本人及び日本の芸術家の中にある地獄篇的なものです。
三島由紀夫
伊藤整、本多秋五との対談「戦後の日本文学」より
806 :
吾輩は名無しである:2009/08/26(水) 12:35:54
>>761 安部公房との対談「二十世紀の文学」でも、島尾敏雄について三島は、
「とてもおもしろくて新しい」「すごいよ。あれはやはりアウトローだな」等々、言及してます。
「The Sting of Death and Other Stories」Univ of Michigan Center for (1985/09)
ペーパーバック: 190ページ
190ページ・・・?22.6x14.7cm版で190ページって、61年版の死の棘かその中の短篇いくつかってことかぁ
昔の文芸時評を眺めていたら、
>そういえば数年前、島尾敏雄が「自分は作家などと思っていない、ただ苦しまぎれに書いているだけだ」と
>酔ってからんだ中上健次に「お前、あれぐらいの作品で、自分を作家だと思っているのか」と鋭く批判したことを思い出す。
って一行を見つけた。後の言葉を島尾が放ったのだとしたら意外な感じがする。
自分は作家などと思っていない云々のくだりはよく言ったり書いたりしてるけども。
ところで『あれぐらいの作品』とは何を指してるのだろう
おそらく、中上健次は、しばしば劇的な状況に巻き込まれてしまう作家としての
島尾敏雄の存在の在り様に憧れと嫉妬があったんだと思う。元特攻隊長島尾からすれば、
中上など、才走って、鼻っぱしが強い、小生意気な小僧にしか見えなかったのかもね。
>>808 批判というか自虐だな
大方中上が「あなたも作家なら云々」みたいなこと言って暑苦しい調子で絡んだんだろ
『あれぐらいの作品』=島尾の残した全作品
811 :
吾輩は名無しである:2010/01/17(日) 17:19:41
「鏡台の前で倒れている祖母島尾ミホは白雪姫のように、きれいだった。孫だけ
が描き得た最期の肖像。そして、遺されたもの」
「奄美のマンマーの家で」 しまおまほ 新潮2月号
この作家も露伴などと同じく「子孫」が評価を下げておる印象を受けますが(笑)おやはや(笑)さて果て(笑)
「子孫」の影響を受けなくなった時代こそがこの作家が正当な評価を受ける時なのでは(笑)おやはや(笑)さて果て(笑)
813 :
吾輩は名無しである:2010/03/21(日) 14:54:05
「兆」に出てくる評論家・井戸川輝正って花田清輝?吉本隆明?それとも他の誰かがモデル?
蛙の眼玉ってくらいだし「輝」の字からして花田かな。
とにかく「お前の態度は眼をつぶってオンニャマーク」のところで必ず噴く
花田清輝、そんで「井伊くん」が井上光晴
島尾敏雄の『死の棘』は、家庭という穴の底へ落ちこんでいる男の悪戦苦闘のドキュメントだ。
そういう意味ではこの作品は安部公房の作品の終わったところからはじまっているといえばいえよう。
じつをいうと、わたしは、これまで、島尾敏雄の一連のこの種の作品を、わざと一篇も読まなかった。
アヴァンギャルド芸術のチャンピオンが、なにを好んで私小説などにすばらしい才能を浪費しているのだ、
といったような気がしてならなかったのである。(略)
しかし、ひるがえって考えてみるならば、この世には、戦術的な退却というものもあるのである。
すくなくとも『死の棘』をささえている正確な文体と、数年の歳月をかけておこなわれた適度な抽象化と、
トラジ・コミックな現実をみごとにとらえている成熟した眼とは、依然として島尾敏雄の健在を物語っている。
816 :
スミソニアン博物館:2010/05/25(火) 22:57:21
島尾敏雄は超をつけてもいいほど素晴らしい作家だけど
『死の棘』の作品としての質は並だと思うんだよな。
後半だれるよね。
818 :
吾輩は名無しである:2010/06/15(火) 23:28:18
>>808 >多摩美術大学の教授で評論家でもあった奥野健男とわたしと三人で東京の夜を徘徊することも屡々で、あるとき新宿の地下にある酒場で、
>中上健次とあわや立ち廻りかと思わせる場面があった。シャツの袖を巻くりあげ「外に出てやるかー」と島尾さんのきれのよい啖呵は長い交際の中でも珍しいことで、
>酔ったはずみで島尾さんにからんだ中上健次は島尾さんのこの啖呵に顔色を変え、そそくさと立ち去っていった。
「検証 島尾敏雄の世界」(2010/5/24) 島尾伸三・志村有弘 編
書いたのは庄野潤三の後輩の詩人のひと。島尾寄りの証言だから最後の行はどうかとも思うが
>>808の裏は取れた感じはする
奥野健男は文芸時評持ってたし、こりゃまあ間違いなく奥野の文章だと思って良いでしょうな。次の土日に借りてきて見つけ出すか。。。
819 :
吾輩は名無しである:2010/06/16(水) 06:32:17
まめだなw
>>818 おれが読んだ話は、「カラのビール瓶を逆さに持って」という下りがあったな、
特攻くずれの迫力が迸るとかなんとか、
まあ、吉本が、ノーベル賞に推薦するなら島尾、というぐらい惚れてたのが印象的だったな。
小島、島尾この二人は外国から見えない作家なんだろうなあ。
大江、春樹は目にとまるか。
821 :
吾輩は名無しである:2010/08/03(火) 06:19:49
age
島尾敏雄日記―『死の棘』までの日々―
海軍特攻隊の隊長として奄美群島加計呂麻島で敗戦を迎えた島尾敏雄は、神戸に復員し、島の娘ミホとの結婚の困難を乗り越えて、作家となるべく一歩を踏み出した――。極限状態での夫婦の絆を描いた小説『死の棘』が書かれるまでの波瀾の日々を綴った貴重な記録。
発売日 : 2010/08/31
敗戦日記が単行本化されたわけね。
タイトルに“死の棘”を入れなければいいのに…
昭和二十二年
二月二十二日
むしやくしやして美穂を叱る。お前少し低能ぢやないのか?
三月十四日
何をするのも嫌だ、ああ嫌だ嫌だ。今朝美穂は寝せて置く。(略)
冷たい気持で美穂が咳こんで苦しむざまを見ている面。
おまえはだらしのない女やな。ああいやだいやだ。
あたしが病気するとあなたは怒る。あなたが怒るのは私が病気をするからでせう。
あたしが病気して弱いから損したと思っているんでせう。
病気すると家の人にいやがられるし、あなたも気兼ねなさるし。大体あたしは気に入られない嫁なのだから、あたしのような人を貰ったあなたは不幸なんだわ。
あたしが死んだらあなたは幸福になれるでせふ。
うん、その通りだ。
さうしたらもつと丈夫な人を貰いなさい。
うん、うんと丈夫なひとを貰うよ。
あなたのことを考へるとさう思う。ああ、もう早く死にたい。
おう、早く死ね、死ね。
隊長さま(神さま)と島娘(巫女)という神話が終戦によって幕を閉じると
帝大出の神経質な生活無能力者と無学な田舎娘による
ありふれた人間ドラマが繰り広げられたわけだ。
まあ、“異人王”として死ぬべきだったんだろうけど
死ねなかった男の悲劇だね。