国枝史郎について語ろう

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1ixion
『神州纐纈城』『八ヶ嶽の魔神』『蔦葛木曾桟』…
その他様々な名作でのスピード感溢れる(て言うか飛ばし過ぎの)
国枝節。
漢字が出ないものもありますが、国枝作品について語りませんか?
(あえて一般書籍じゃなくこっちで立ててみました)
2吾輩は名無しである:2001/05/11(金) 00:06
仮面の城主。いい感じですよね。
未完で終わったのが、なんとも残念<『神州纐纈城』
三島が国枝の小説を好きだったらしいけど、
なんかわかる気がします。
3ixion:2001/05/11(金) 00:23
うん、ただ三島が執拗に形容を続けそうなところを、國枝は
「さて翌日」
なんて飛ばしてしまうところが良いと思うのです>2さん
長編になると、後半が必ず三つ巴四つ巴になる、その力技も
大好き。ところどころ笑えるし。

この作家読むと、ちまちました描写を読んでいるのが本当に
かったるくなりますね。
4吾輩は名無しである:2001/05/11(金) 00:31
時代小説好きで半村良経由で入ったもので文学板的な話題は苦手ですが、
山田風太郎に近いものを感じます。
5吾輩は名無しである:2001/05/11(金) 01:08
禿げしく復刊を希望する作家の一人。埋もれさせておくには惜しすぎる。
6吾輩は名無しである:2001/05/11(金) 01:18
『神州纐纈城』の続編を誰か(作家)に書いてもらいたい。
高橋克彦・荒俣宏・京極夏彦あたりでどうか…
7>6:2001/05/11(金) 01:23
いや、是非、半村良に…>続編
そしてフォックスウーマンのように未完のまま…
8:2001/05/11(金) 02:28
>>3
笑いました。そうですね、たしかに、さっぱりしてるというか。
>>4
山田風太郎、わたしも好きです。「幻燈辻馬車」あたりの
荒唐無稽の中ににじむ哀感は、国枝に通じるかと。

あと、続編について。
読者である私のイメージする
「オリジナルの作家によって書かれるはずであったろうもの」、
曖昧でいて強固なバイアスによって、
「続」を普通に読むことができないよう。
で、結局、未完作品は、永遠だなあ。という感想でした。

9ixion:2001/05/11(金) 04:50
番町書房から出ているカラー版・日本伝奇名作全集の國枝史郎集、
巻末に國枝すえ(奥さん)との対談が載っています。そこから幾つか
國枝情報:

1.執筆中は奥さんや女中さんは足音を忍んで歩いたが、特に
『纐纈城』の時はピリピリしていた。
2.病気については、バセドー氏病だったのは有名だが、大阪では
それに加えてギョウチュウさんに悩まされたらしい。ダンスホール
でのモボぶりと合わせて想像しましょう。
3.國枝自身は『十二神貝十郎手柄話』、「京丸」が好きだった。
4.『纐纈城』の未完については、すえさんに言わせると「あれは
無理だったでしょう。私はもう書けないと思っていました。いずれ
筆をあらためて書くつもりだとはいっていましたけれども、死ぬ少し
前に、あれも書かなければ、これも書かなければといっていました
けれども、『神州纐纈城』とはいいませんでした」とのことです。

『纐纈城』って、未完だからこそ恐ろしい。じゃなければ、『八ヶ嶽』
や『木曾桟』みたいに、まるでデウス・エクス・マキナじみた作者の
力でどうにかまとめるしかなかったはず。でも『纐纈城』は陶器師、
ト伝、纐纈城主、奔馬性疾患、教団、光明優婆塞、そして囚われた
庄三郎、と確かに半村良の言う通り「自己増殖」する要素を内に抱え
て爆発した。してそのまま膨張していく感じであり、あれは「未完」
と言うよりも「契機」としての終わり方なんだろうな、と思う。
10吾輩は名無しである:2001/05/13(日) 00:08
奔馬性らいというのは国枝自身の病気とかんけいあるのかアゲ
11吾輩は名無しである:2001/05/13(日) 01:29
誰かメール出してみた人いるかい?
12初心者:2001/05/13(日) 14:25
お話聞いてると面白そうなのでぜひ読んでみたいのですが、文庫版は・・・ないですよね・・・
13吾輩は名無しである:2001/05/13(日) 14:35
「纐纈城」ありますよ。
講談社文庫コレクション・大衆文学館シリーズです。
兎に角、書き出しから美しくて、あたしゃ思わず涙してしまいましたよ。
14初心者:2001/05/13(日) 14:39
>>13
あ、どうもすいません。でも・・そのタイトル・・えっとなんて読むんでしょう?
15吾輩は名無しである:2001/05/13(日) 14:45
「しんしゅうこうけつじょう」ですよ。
16吾輩は名無しである:2001/05/13(日) 14:48
どうもです!! 本屋さんへ逝ってきまっす
17ixion:2001/05/13(日) 23:45
あー、大衆文学館では神州纐纈城と蔦葛木曾桟(つたかずらきそのかけはし)、
あと八ヶ嶽の魔神がでてましたが、残念ながらいずれも新刊ではもう手に
入らないかと…>初心者さん

あと国枝が手に入るのは、短編なら春陽文庫の怪奇・伝奇時代小説選集に少し、
それと未知谷の国枝史郎伝奇全集などですかね。

古本屋で探すなら、昭和1桁の頃に出た平凡社の現代大衆文学全集とか、あとは
桃源社の諸作などですね。

つーか、売れない作品なんて良い作品じゃないとか言う奴にちょっと読んで
欲しいね。こんなに面白い作品たちが気軽に手に入らないのは馬鹿げてる。
18吾輩は名無しである:2001/05/14(月) 00:03
なに? 大衆文学館、もう手に入らないのかい。
そのわりにゃ、自社のサイトで紹介してるんだよな。
なにやってんだか>講談社
19初心者:2001/05/14(月) 00:12
そうなんすか・・・ 残念。でも少し古い奴であるのなら、とりあえず近所の図書館で探してみるッす。サンキュっした。
20吾輩は名無しである:2001/05/14(月) 00:21
スーパー源氏で検索すると結構出てくるぞ>19
ま、値段も結構なもんだが・・・
21JPB:2001/05/14(月) 23:43
国枝、本気で読みたくなってきた。
でも、状況をみると、本があんまないみたいなのね・・・
ゆっくり、本がよみたいなあ。
age
22吾輩は名無しである:2001/05/15(火) 02:07
今年の夏休みは、八ヶ岳か小諸あたりで
国枝史郎の本でも読みながら
マタ〜リとしたいな…
23ixion:2001/05/15(火) 06:15
「薄月夜の墨田堤、桜群葉に蔽われて、はっきり姿は見えなかったが、
間違いのない純白の髪、そっくりそのままのしゃがれ声。あの時の
曲者に相違ないが、修験者とは意外だな。とにかく顔を見てやろう?」
(『剣侠受難』)

五七の講談、この口調こそ、丁々発止の渡り合い、深山幽谷秘された
村落、一つの秘宝を巡る争い、もしくは三つ巴入り乱れての仇討ち、
などの国枝文学の勢いの底にある!
ちょっと変わった出来事を身辺雑記風に書いたり、暴力的な衝動を
だらだらと書いたりする神経症のへなちょこ文学に飽きたら、国枝
のような空想の爆発に晒されてみるのも良し。

伝奇・時代小説を読まずに、深刻な作品のみが文学だと気取っている
輩も多いが、こうしたズバズバ切れるような作品を読まずに、一寸
顔を俯けて「文学は死んだ」などと口に出して恥じらいもしない…。

>22さん 同意
24初心者 :2001/05/15(火) 23:54
図書館行ったら、古い文学全集に国枝史郎入ってました。角田喜久雄 国枝史郎 集 って奴っす。神州纐纈城、入ってて一安心す。これでいつでも読めるッす。

でもこの全集、なぜか解説、井上光晴が書いてるんすよね。なんかふしーぎな取り合わせっす。
25ixion:2001/05/16(水) 00:57
読んだら是非感想を聞かせてくださいな>初心者さん

井上光晴の解説とは、確かに面白いですね。あと角田喜久雄も面白いですよ。
その全集に何が入ってるのか分からないけど、妖棋伝とか怪異雛人形、あと
探偵モノの下水道とかは面白いと思いますよ。
26吾輩は名無しである:2001/05/16(水) 01:17
角田喜久雄も巧いね。
良くできすぎてて、たまに興がそがれるときあるけど。
27吾輩は名無しである:2001/05/30(水) 01:06
夏休みは3日間の読書三昧休暇を取ります!
出社したら席がないかも(藁
さぁ〜、本は何を持って行こうかな〜。
何処で読むかも重要だな。
28吾輩は名無しである:2001/05/30(水) 01:53
そんな関係ない話しかないのに、それでも上げたかったのね>27
そんな貴方にカンパイ!あげ
29ixion:2001/05/30(水) 02:33
あ、まだ生きてた(苦笑)。久生や小栗、夢野になると盛り上がる
のに、なぜか国枝史郎とかは盛り上がらないんだな、と思っており
ました。読めるものが少ないから仕方ないのか…勿体無い。
読めない本は詰まらない本、なんて馬鹿げた意見は聞き入れず、
探して読んでみるに値する作家だと思うんだけど。

小酒井不木は国枝のことを「雪に蔽われて剣のように尖っている
信州の連山」と評したそうですが、信州なぞは如何ですか?
>27さん
3027:2001/05/30(水) 23:27
>28
ご丁寧にどうも。ご返盃サゲ。

ixionさん、信州案ありがとうございます。
国枝本を携えて、松本・木曽あたりを彷徨
するつもりです。
31吾輩は名無しである:2001/06/01(金) 16:06
あら。こんなスレがあったんだ。うれしいわ。
絶版になっても、10年くらいしたらどこかが出版しているような気がする。
神州纐纈城は、昭和57年くらいに出た六興出版のを持っている。この出版社はつぶれた。
しかし、その後未知谷とか講談社文庫でも出た。はず。
32吾輩は名無しである:2001/06/04(月) 00:36
名前で損してない?
的確な比較の対象が思い浮かばないけど、
例えば、泉鏡花と聞くと、それだけで普遍的な光彩を
放ってそうじゃないですか。
同様に大佛次郎なんかも、あんまり読まれて
いないような気がする。

そういえば、城山三郎なんて、お陰で全く読んでない。
33吾輩は名無しである:2001/06/21(木) 23:04

国枝史郎、どうやら学研が文庫でセレクション、出すみたいですね。
「伝奇M」って雑誌に広告載ってました。
34ixion:2001/06/21(木) 23:20
うそ、マジ???<学研

えらい。
35吾輩は名無しである
6月って聞いたのに、ちっとも出ねーじゃねーか>学研
http://www.gakken.co.jp/m-bunko/list/list0107.html