●追悼・田久保英夫●

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1吾輩は名無しである
実存主義を経由した激しさをさりげない文体に隠して、宝石のような
作品を沢山残してくれたね。
哀しいけれど、ここはパーっと語っちゃいましょう。
2遠藤周作:2001/04/16(月) 20:18
君が先に「深い河」書いちゃったもんだから僕は「the deep liver」
なんてベタな副題をつけなくちゃいけなかったんだよ。
まぁ、あの世でゆっくりネスカフェでも飲もう。
3吾輩は名無しである:2001/04/16(月) 20:22
若いときは色男だったんじゃないかなあ。
作家にしてはいい顔してるジイサンだったと思う。
4吾輩は名無しである:2001/04/16(月) 20:27
死ぬ直前まで文芸誌に作品を発表して、
現役作家として死ぬことができる人はなかなかいないんで、
ある意味シアワセだったんじゃないかなあ。
書けなくなってボケ老人のように晩年を送ることなくね。

ま、いまの文壇つーのは、ある程度位置確保しちゃうと、
だらだらやり続けることは可能だけど。

とりあえず、挫折した「しらぬい」を読むよ。
合掌。
5吾輩は名無しである:2001/04/17(火) 00:06
誰かおすすめ本教えて。
年譜も希望。
6偽イタロ・カルヴィーノ:2001/04/17(火) 00:48
代表作だけど、「髪の環」と「水中花」
やっぱりこの二冊だな、田久保さんの真髄。
7吾輩は名無しである:2001/04/17(火) 01:29
「しらぬい」じゃなくて「しらぬひ」だったゴメン。
学生時代の読書ノート(卒業するまでつけてた)見たら、
ダカーポの読書特集の切り抜きを発見。
93年のベストワンに富岡幸一郎が選んでる。

「で、一位が田久保英夫の「しらぬひ」ですが?」
……一種の恋愛小説ですが、女主人公の官能性とか情念を
非常に抑えた形で描いている。その言葉の見事さというか、
それをいちばん感じましたね。日本の中にある古典的なも
の、『源氏物語』なんかにつながるもののけというかな、
そういう情念を現代の中で書いてるわけです。
 テーマ感性とかはそれほど肯定するわけじゃないけど、
言葉が選びぬかれています……
「優れた文学の第一の条件は言葉ですか?」
……ストーリーとかテーマよりもやはり言葉ですよ。言葉
の強さというか、描写力ね……

まんま転載。
これを読んで、「しらぬひ」上下巻に挑戦したんだけど、
なにせまだ青かったんで、理解できなかった。
再チャレンジをここに誓わせていただきます。

「水中花」も読んでみたいです。
偽イタロカルヴィーノさんこと>>6
8ふ、深い肝臓???:2001/04/17(火) 01:51
>>2
ひょっとしてthe deep riverと書きたかったのか?

9吾輩は名無しである:2001/04/17(火) 17:41
田久保さんの新刊本ってどこに行けば手に入るの?
神保町で探したんだけど、文庫はおろかハードカバーも
見当たらなかったんだけど。
10名無しさん@1周年:2001/04/17(火) 21:39
もし「作家の値打ち」に田久保氏の作品が取り上げられていたら
福田は何点をつけていただろうか?それがメッチャ気になる今日この頃。
11ixion:2001/04/17(火) 23:46
『海図』は講談社文芸に入ってたとおもう>9さん

俺も『水中花』。ただこの「文学」的な真面目さについては、
好みの分かれるところだと思う。例えば、永遠。例えば、生きる。
こういう言葉はいま口に出すが早いか、恥ずかしげな沈黙に伴わ
れるか、口端の嘲笑に弾かれるか、とにかく素直に響いてこない。
しかし文学とは、生死を片目に、言葉を片目に、その両方の映像を
合わせようとするところに生まれる「問い直し」の営為であって、
田久保英夫は(作品にもよるが)巧く両方を合わせられる作家だった。
またこの人が「観察」から「書きつける」巧さは『蝕の光景』とか
からも見て取れる。
古井由吉の手触りと共振するような(「老い」を取り込んだ古井の
ほうがよりドロドロとしているような気はするが)作品を書いた
『海図』あたりの作品もいいけど、兄の死を扱った作品のほうが
なぜか印象に残っている。

「そうだ、と私は思った。一つの行為を始めよう。言葉による行為を。
それによって、この《私》を存在させよう。自分が今見届けてきた
ものを、言葉に書きとめておこう。兄の死を。この八月の朝の一つの
死を……」
(田久保英夫「水中花」)
129:2001/04/18(水) 22:31
>>11さん
ありがとうございます、探して読んでみます!
13吾輩は名無しである:2001/04/18(水) 23:28
全集でるかなあ……
14 :2001/04/19(木) 03:31
世田谷文学館あたりで田久保英夫展をやりそうだな。
15吾輩は名無しである
追悼あげ