1 :
吾輩は名無しである:
文章がすごく巧いっていうわけじゃないと思うんだけど。
絶賛というよりはじんわり好きになる作家。
どうでしょう?
2 :
吾輩は名無しである:2001/04/07(土) 21:22
「秘戯」が好き。この人の小説って構造的には結構ミステリーっぽくない?
最初に謎が提示されて、謎がどんどん膨らみながら、結末の辺りで一気に
開示される。途中で止められないよね。
3 :
吾輩は名無しである:2001/04/07(土) 22:58
「闇」が好きでした。
でも第三国とか「あの人たち」とかそのへんの社会事情がよく分からなかったけど。
最後の部分がとても良い。
4 :
吾輩は名無しである:2001/04/08(日) 00:26
「笛吹川」って「百年の孤独」っぽくないですか。
あの上手くない文章だからこそ、凡百の名文なんかよりずっと心に響く
ような気が。
5 :
吾輩は名無しである:2001/04/08(日) 13:15
そうそう素朴な感じの文章ですよね。
庶民の生活を技巧をこらした文で書かれるよりもずっといい。
6 :
吾輩は名無しである:2001/04/08(日) 18:29
>4 あんまり言われないけど、確かに南米モノに通じるとこはある。
噂話が展開を広げていくとことか。ってか、南米飛び越してフォークナーまで行っちゃうかもね。
7 :
吾輩は名無しである:2001/04/08(日) 19:30
人柄と文体が一体となって醸し出す作品の豊饒感は希有のもの。
8 :
吾輩は名無しである:2001/04/08(日) 21:04
>2 『闇』ってどんなの?恥ずかしながら未読なもんで。
全集に入ってた?単行本化されてた?この作家はかなり読み
込んでるんで、まだ未読のものがあるとすればかなり嬉しい
んだけど。後は『風流夢タン』漢字出ないな・・・。
>>8 確か、「極楽まくら落とし図」って短編集に入ってました。
図書館に行けばあると思います。
ええと、男同士でキスをした云々ではじめはびっくりしたけど
全然そういう方面(笑)ではなくて、泣けるお話です。
あんまり有名な作品ではないようですね。大好きだんだけどな。
10 :
吾輩は名無しである:2001/04/08(日) 21:41
>9 素早いレス有難うございます。その短編集持ってないです。
早速探してみます。
この前古本屋で『千秋楽』っていう文庫を見つけて小躍りしてたん
だけど、まだまだありそうだなー。
11 :
吾輩は名無しである:2001/04/09(月) 00:40
ちくま文庫から出てる対談集面白かった。
山下清との対談なんて、本物のボケと
立場上ツッコミをやらざるを得ないボケの漫才。
12 :
吾輩は名無しである:2001/04/09(月) 00:42
>>11 やじゃん、それ(笑)
でも読みたいな。書名おしえてほしいです。
13 :
吾輩は名無しである:2001/04/09(月) 00:53
>>12 『深沢七郎の滅亡対談』です。
ウンコやションベンのハナシを延々と繰り広げる、
永六輔、竹中労、野坂昭如との座談会もかなり笑えます。
14 :
吾輩は名無しである:2001/04/09(月) 00:58
>>13 サンクス。
なんかすごくおもしろそうだなあ。
早速明日にでも探してみます。
ところでラブミー農場ってどんな感じだったのでしょうか?
15 :
吾輩は名無しである:2001/04/09(月) 12:58
>14
ラブミー農場は深沢のお気に入りの人達が出入りした
牧歌的な空間だったみたいよ。礼儀がなっていないと追い出されたのは
確か芸術家のクマさん。
色川武大、赤瀬川源平、野坂昭如なんかも出入りしてたみたい。
16 :
吾輩は名無しである:2001/04/09(月) 13:39
>15
結構いろんな人と交友があったんですね。
高橋源一郎は初耳だわ。
そういえば昔澁澤龍彦も何かのエッセイで深沢さんのこと書いてたような。
ところでクマさんとは???
17 :
吾輩は名無しである:2001/04/09(月) 13:48
>16
高橋源一郎???赤瀬川原平を勘違いしたのかな?
クマさんは、名前何ていったかなぁ?鉄を使った作品を作る人です。
テレビにも結構出てるから、それで通じると思ったんだけど・・・。
スキンヘッドの大きな人です。
18 :
吾輩は名無しである:2001/04/09(月) 13:59
>17
うわ、寝起きでぼけてました(藁
赤瀬川原平かあ。
クマさん、やっぱりあの人でしたか。
たぶんそうじゃないかと思ったんですけどあまりに深沢さんと
結びつかなくて。礼儀がなってないかァ。
今では偉い感じの人に見えるんですけどね。
19 :
吾輩は名無しである:2001/04/09(月) 14:05
まぁ、深沢自身がかなり偏屈な一面を持っていたようなんで、
世間一般の礼儀とはちょっと意味合いが違うのかもね。
他にも出入り禁止になった編集者多数って話。
大江をぼろくそに言ってるのが面白かった。
20 :
吾輩は名無しである:2001/04/11(水) 22:30
ジイさまになってからの目つき、めちゃくちゃ陰険そうだもんね。
嫌われたらとても近寄れないねえ。
21 :
吾輩は名無しである:2001/04/11(水) 22:38
やわらかい感じのする方なんですけどねえ
22 :
吾輩は名無しである:2001/04/11(水) 22:38
写真でみても結構恐い。でも文章はやさしい。
23 :
吾輩は名無しである:2001/04/11(水) 22:41
今生きてたら平野なんかもぼろくそに言われたかもね。
それはそれで見たかったかも。
24 :
吾輩は名無しである:2001/04/11(水) 22:45
>>14 ユリイカでの赤瀬川、篠原、嵐山の鼎談に詳しく載ってます。
25 :
吾輩は名無しである:2001/04/11(水) 23:31
「百姓志願」ってエッセイ集もあったね。
26 :
吾輩は名無しである:2001/04/12(木) 20:41
百姓の知性の両極が深沢七郎と宮沢喜一である。
評価はすでに逆転している。
美少女の両極が沢口靖子と斉藤由貴である。
評価はすでに逆転している。
しいていえば、宮沢喜一よりも沢口靖子の方が日本経済にとって無害である。
そして、文学の可能性は大江健三郎よりも深沢七郎にある。
死せる七郎はいける健三郎に勝る。
27 :
吾輩は名無しである:2001/04/12(木) 20:49
>26 言い逃げは、やーよ。深沢の可能性の中心を
ちゃーんと語ってみせてよ。
28 :
吾輩は名無しである:2001/04/13(金) 00:42
「言わなければ良かったのに日記」の文体には衝撃を受けました。
「桃仙人」っていう深沢七郎とかラブミー農場について書いた本有るらしいんですけど知ってます?
29 :
吾輩は名無しである:2001/04/13(金) 19:35
七郎は元より七生報国の徒に非ずして、身を低く生きた。しかれども、処世のために筆を曲げることを好まなかった。
30 :
吾輩は名無しである:2001/04/13(金) 19:48
>29 あのさぁ、処世のために筆を曲げることなどいかほどでもないところに
深沢的庶民の真骨頂があるんでないかい?
31 :
吾輩は名無しである:2001/04/13(金) 20:44
>28 「桃仙人」嵐山光三郎の著書です。彼と深沢の交流の変遷が書いてあります。
自分が一番深沢に気に入られていると思っていたのに、ついに絶交を言い渡されるところ
なんか結構ドキドキして読みました。
32 :
吾輩は名無しである:2001/04/15(日) 18:15
私も絶交を言い渡される口です。
33 :
吾輩は名無しである:2001/04/15(日) 18:29
筆を曲げずに世を渡ることは、例え2chであっても小人物の私には不可能なことであります。
34 :
吾輩は名無しである:2001/04/15(日) 19:14
右翼に追っかけられるのは怖いよね。
35 :
吾輩は名無しである:2001/04/15(日) 21:56
>34 それ以来随分おとなしくなったという節もあるしね。
まぁ周囲の人間に危害が及べばそうなるわな。
36 :
吾輩は名無しである:2001/04/17(火) 23:11
そういうわけで、やっぱり私も絶交されました。
37 :
吾輩は名無しである:2001/04/18(水) 00:30
38 :
吾輩は名無しである:2001/04/18(水) 13:18
澁澤龍彦が、著書の中で深沢さんのことを書いていたのですが、
この2人に何か交流はあったのでしょうか?
39 :
吾輩は名無しである:2001/04/19(木) 21:17
達彦の著書で七郎がどのように書かれていたのか興味あります。
全く似ていないような二人ですが、共通点も幾つかあるようです。
40 :
吾輩は名無しである:2001/04/19(木) 22:10
「快楽主義の哲学」を読み返した限りでは、澁澤さんが興味を持っていた
だけかもしれません。
ちなみに快楽主義者の現代的理想像として深沢さんの名前をあげています。
「―少なくとも私は、彼のやり方に喝采を送り、彼の生き方に敬意を表します。」
とも書いてあります。この2人が対談してたら面白そうだな。
41 :
吾輩は名無しである:2001/04/21(土) 01:49
今生きてたらいろんな作家が叩かれてそうだなァ。
42 :
名無しさん:2001/04/23(月) 20:41
「楢山節考」ってすごく切なくなる。
切ないけどおそろしい。一家が消えてもうこのことは口にしないようにって・・・
43 :
吾輩は名無しである:2001/04/23(月) 20:45
この世にはことばにならないことばある。
44 :
名無しさん:2001/04/24(火) 00:48
>>42 自分で歯を折ろうとしてるとことか切ないね。
45 :
吾輩は名無しである:2001/04/24(火) 05:16
絶好って子供じゃないんだから……
おまえなんか絶好だ!とか面と向かって言われるんですか?
目つきの鋭い老人にそんなこと言われたら、トラウマになりそ
>>36
46 :
吾輩は名無しである:2001/04/24(火) 05:17
絶交って子供じゃないんだから……
おまえなんか絶交だ!とか面と向かって言われるんですか?
目つきの鋭い老人にそんなこと言われたら、トラウマになりそ
>>36
47 :
吾輩は名無しである:2001/04/24(火) 21:15
漱石は胃病に死んだ。鴎外の真の死因は知らない。歯を追って死ぬ人の生涯は健康であったろう。
七郎の物語は過酷ではあってもユートピアを語っていたのかもしれない。
48 :
吾輩は名無しである:2001/04/24(火) 21:19
>>47 いやいや。歯が折れて死んだんではないよ。
49 :
吾輩は名無しである:2001/04/24(火) 21:38
「楢山節考」の歯を折る老人は、死の準備として歯を折る。
行為自体は不幸ではあるが、老人に至るまで健康な歯を保持できた人は健康であったろう。
そして、肉親の死に子供が全責任を持って関与する結末は人権概念では捕らえることができない極北の至福が存在するかに読みえた。
そういうわけで、深沢七郎の死因を論じようとしたわけではありません。
50 :
吾輩は名無しである:2001/04/24(火) 23:16
映画「楢山節考」(今村昌平の方)、歯を折る場面が分かってても目ぇそむけたくなった。
泥棒一家を埋めるシーン、淡々と、淡々と、土を掛け掛け。長く長くて怖かった。
本当に歯を折った田中絹代出てる方のは見つからない。
51 :
吾輩は名無しである:2001/04/24(火) 23:25
>>49 うんうん、そう言ってもらえるとすごよく分かる。
それにしても解説で日沼倫太郎が深沢を徹底した
アンチ・ヒューマニストと書いてたのは心外だったな。
52 :
吾輩は名無しである:2001/04/25(水) 22:17
>>51 何で心外なの?ごくごく当たり前のことじゃん。
53 :
:2001/04/25(水) 22:24
>>52 そう?なんかちょっと違うような気がするんだけどな。
>>49を見てよけいにそう思うんだけど。
54 :
吾輩は名無しである:2001/04/25(水) 23:47
えっと、一般に信仰されているヒューマニズムなんかには
総括されないという意味で、肯定的にアンチヒューマニズム
と言ってるんでしょ?読み違いならスマソ。
55 :
吾輩は名無しである:2001/04/26(木) 02:16
私の兄が、私の大学試験前に「楢山節考」を朗読して聞かせてくれたのには
ほとほとまいったなー、もう。
56 :
吾輩は名無しである:2001/04/26(木) 02:19
世界に通用する小説は、1960年代以前なら日本にはゴロゴロしている。
今はまったくだめではないですか。
57 :
吾輩は名無しである:2001/04/26(木) 02:20
56
ごめん、スレ間違えました。
58 :
吾輩は名無しである:2001/04/26(木) 20:04
スレ間違いも他生の縁。いつのまにか楢山も新緑の季節になった。
59 :
吾輩は名無しである:2001/04/27(金) 02:34
26はセンスあるなあ。
さすが2CHの文学版。
60 :
吾輩は名無しである:2001/04/27(金) 06:33
八郎は間が抜けて風通しが良い。
七は間がふさがっている。
けれども七郎は七つ良いところがある。
61 :
吾輩は名無しである:2001/04/27(金) 19:21
まず、七郎は男前ではない。これは作家として大変良いことです。
62 :
贋安吾:2001/05/09(水) 19:35
七郎はいい顔をしていた。
63 :
吾輩は名無しである:2001/05/09(水) 22:00
作家というより噺家の顔ですよね。
人情話とか得意そうな。
64 :
吾輩は名無しである:
あの人が今川焼き屋さんをしていたというのがなんだか信じられない。
ふつーに街中で商売していたのかな?
そのとき生まれてたら行ってみたかった〜。