♀♀永井荷風♀♀

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1国文
そろそろ荷風を語りますか・・・
2吾輩は名無しである:2001/01/12(金) 09:20
俺、墨東以外読んだことないんだけど
この人の代表作ってなんなの?
3吾輩は名無しである:2001/01/12(金) 13:21
フランス語を国語にしよう! の論文。
4吾輩は名無しである:2001/01/12(金) 14:48
墨東きたんはいいと思う。
映画にもなってたね。
墨田ユキと津川雅彦・・・・。なんてエロい面子。
5吾輩は名無しである:2001/01/12(金) 15:13
永井荷風はのっぽだったらしい。
のっぽのかふう。
6食いだおれさん:2001/01/12(金) 15:18
カツ丼が好きだったらしい。
7吾輩は名無しである:2001/01/12(金) 16:01
>>6
好きなんてモンじゃない
同じ定食屋で死ぬその日まで「毎日」食べていた
8吾輩は名無しである:2001/01/19(金) 20:46
>7
まじ?
9吾輩は名無しである:2001/01/19(金) 22:37
山本夏彦が好きだよね。
カツ丼じゃないよ、永井荷風。
美しければすべてよし。
10実習生さん:2001/01/24(水) 12:56
>>9
カツ丼だろ?
11吾輩は名無しである:2001/01/26(金) 01:18
この人死ぬまで全財産使い果たしてまで
遊びと創作に時間を費やしたんだろ。
なんてうらやましい境遇にいるんだろうか!!
12西方極楽:2001/01/26(金) 07:46

 独り者の「変人」だったからさ。

 もちろん金はたくさん蓄えていた。でも医者にかかるのも惜しんで,それで下宿部屋で孤独死。

 なにか,人間の頑固,執念というものの実際を見るような気がします。
13吾輩は名無しである:2001/01/26(金) 10:04
>>12
年が年だからね
入院とかしてもね・・・
14吾輩は名無しである:2001/01/26(金) 18:57
      
     敗荷落日
15顔写真:2001/01/27(土) 00:41
16吾輩は名無しである:2001/03/20(火) 23:13
age
17ixion:2001/03/20(火) 23:24
『壁の中』読むと偽地下室人と荷風先生の架空の対談が楽しめます。
ていうか、その対談ではひたすら偽地下室人が喋り捲って、荷風の
方は「おいおい、きみ…」ばかりなんだけど。

「荷風氏原稿制定のこと」なんて、あれマジで言ってるんなら最高だし、
洒落なら洒落でなかなかキッツくて面白い。聖人ぶって文壇から離れた
孤高の人やってるような奴は、かえってよほど信用できんからね。
「なんか出版関係の奴、来るんなら前もって金10円郵送な。したら
3ヶ月以内に日時決めて知らせっから。面談料は30分毎5円にしとくわ」
こっちの方がよほど人間くさい。
18吾輩は名無しである:2001/03/21(水) 00:11
荷風と高見順って親戚だったんですね。
あれ読むまで知らなかったよ。
19ixion:2001/03/21(水) 00:23
高見順、それまで2、3冊読んでたけど、『壁の中』読んで
あーそういう人だったのか、と洗脳されてしまった…>18さん
まぁ、文学団体にハクをつけたかったにせよ、親戚(まーメカケ
を通してだけど)どうしの繋がりを確認したかったにせよ、荷風
としてはウザイし一銭にもならん、てな感じだったんでしょうけど。

そういや高見順の文壇史、読もうと思って読んでないな。
なんか疲れそうなんだもん。
20吾輩は名無しである:2001/03/21(水) 00:59
>文学団体にハクをつけたかったにせよ

うーん、そうですねぇ。後藤氏の作品ではそういった扱いになってますが。
数年前のテレビにおける夫人の発言によると、
あの当時高見は特高の監視下にあり、事実上の軟禁状態だったそうです。
だとすれば高見のああいった行為も政治性が強く、
荷風の行為も「反」といった形での政治性を帯びるような気がします。
21ixion:2001/03/21(水) 02:39
へええ、夫人がそんな発言してたんですね、そいつぁ面白い。
「反」の形ってのは、社会主義や転向に対する距離ってことですか?
高見が軟禁状態の中わざわざ荷風に会いに行くってのは、じゃあ
官憲への目晦ましとしての政治性を帯びるということでしょうか?

谷崎の『春琴抄』が多喜二の死(「それ、も一度立たねか」)と同年
で昭和8年。で、『故旧忘れ得べき』は昭和10年。確かに時局は
満州事変からのプロレタリア弾圧、一方の谷崎、荷風、藤村らは
(あ、藤村『夜明け前』は結構不穏な作品だが)「時局」とは離れて
作品を発表する。こうしてみると、『墨東綺譚』は「反」政治の
荷風的スタンスとして発表されたとも取れますが…。

俺は、元来荷風は大逆事件にさほどの衝撃を受けてもしないし、
政治にあえて距離を置くほど関心を払ってもいなかったんだと思う
(言い過ぎかな?)。だからこそ、高見が政治的な意図をもって
接触したんなら、かえって「うっとうしい」だけだと。本来
毛ほどの関心ももっていない相手、親戚とは言っても何十年来知らぬ、
さらに政治のゴタゴタもあるらしい、で、面倒だ、と来るだけなん
じゃないか?「反」と言えるほどの関心は、荷風にはなかったのでは
ないだろうか…結論は出ないし、「架空の対話」はいくらでも交わせる
けどね。

そのテレビ、いつ頃のなんという番組か、ご記憶でしょうか?>20さん

2220:2001/03/21(水) 07:09
>そのテレビ、いつ頃のなんという番組か、ご記憶でしょうか?>20さん

NHKの「文士の妻たち」だったかな?(題名うろおぼえ)
だいたい、5,6年ぐらいまえだったと思います。

“目くらまし”というか“転向”を立証するために荷風を引き擦り込もうといった考え(要するに箔づけ)
があったのでは?
23吾輩は名無しである:2001/03/21(水) 10:35
ぼくとうきたん
24偶成:2001/03/22(木) 15:30
「あめりか物語」については、みなさんどのように評価されますか?
25吾輩は名無しである:2001/03/29(木) 16:10
あげ
26吾輩は名無しである:2001/03/31(土) 06:57
だれかいないのー
27吾輩は名無しである:2001/03/31(土) 23:28
ポイズン
28あげ:2001/04/05(木) 14:44
あげ
29荘吉:2001/04/05(木) 15:06
思返せば、日本を去つたのは四年前。アメリカは今、
わが第二の故郷となった。
30ixion:2001/04/05(木) 17:11
「自分は今、髯をはやし、洋服を着ている。電気鉄道に乗って、鉄で
出来た永代橋を渡るのだ。時代の激変をどうして感ぜずにいられよう」
(「深川の唄」)

近代〜現代の日本の文学史は、良くも悪くも「受容」の歴史であること
は否定しえない。特に紅露逍鴎の頃、一方に四迷・鴎外・透谷らの
「西洋」と向き合う(愛憎半ばする)眼差し、他方に硯友社の「日本」
的な世態人情へのこだわり(これも実は「西洋」をたぶんに意識した、
または下敷きにしたものであったが…)、いずれにせよ日ごろの世情の
中に別の位相が入り込んで来た時、その異物に対して何らかの「受容」
を迫られ、またそこから反動的に「創造/反復」を打ち出さざるを
えなかった文学の姿がある。過渡期の迷いでもあったろう。
ところが、その後「自然主義」という「用語」が幅を利かせるように
なった時、この受容と創造の分裂は奇妙な歪みを見せる。「自然」と
いう用語を誤解し、日本的な風土と日常、そこから生まれる「心情」
(つまり、自然に包まれた自己)を描くというゆるやかさこそ自然
主義であると考えた。ここに西洋と日本は、文学史的に完全に分離
することになる。
31ixion:2001/04/05(木) 17:11
 西洋の自然主義は、「主語」を扱うものが外側の客観的な現実を
「科学」によって切り取るものであった。必ず大文字の主体が存在
して、はじめて観察が成立する。ところが、日本語の特徴は、主語が
関係なしには確定できない(片岡義男はそれを、「”I”を訳すことが
できない」と述べたが)ことで、また仮定法という「外部の現実に
対立する内部の仮定」を示す法が存在しないことから言っても、
日本語は西洋的な意味での「科学」とは合わないと考えられる。
そこで「日本自然主義」が用語から独立して生み出された。心境小説
に近い、内/外が対立せず「関係」のうちに消化されるゆるやかな
内包こそ、日本の自然であるとされた。ルソーが納得しづらいと
すれば、それは個と神(=絶対の外部)という対立の視点を、日本
(語)が決して得られないからではないだろうか。
 と、ここで荷風が登場。引用した「深川の唄」が書かれたのは明治
42年、荷風帰朝後の『あめりか物語』『ふらんす物語』とほぼ
同時期、また自己の対象化を徹底しようとした藤村『破戒』、逆に
自己を平板な描写のうちに押し込めた花袋『蒲団』ともほぼ同時期。
「何処へも行く当てはない」デラシネとしての「自分」が、ただ
一個の眼差しに徹して焦点の合わぬ目をあちらこちらと走らせる。
この作品を「帰朝者の孤独感と懐旧」などと片付けるのは浅薄に
過ぎる。結部の数行を読むだけでも、これが西洋と日本のあわいに
「自分」を確定する、いわば2つの中心を持つ楕円の運動が、結局
何処に落ち着くのかを描こうとする作品であると考えられはしないか。
 荷風が単なる風俗作家のように貶められてはいけない。安易に日本の
自然を生み出して空疎な用語だけの「自然主義」心境小説を書くの
ではなく、荷風は「西洋自然主義」に対して受容/創造に迷い、その
末に世態風俗をまなざす小説へと向かったのだ。

「ああ、然し、自分は遂に帰らねばなるまい。それが自分の運命だ、
河を隔て掘割を超え坂を上がって遠く行く、大久保の森のかげ、自分の
書斎の机にはワグナアの画像の下にニイチェの詩ザラツストラの一巻が
開かれたままに自分を待っている……」(「深川の唄」)
32JPB:2001/04/05(木) 23:10
>それは個と神(=絶対の外部)という対立の視点を、日本
(語)が決して得られないからではないだろうか。

面白いす。荷風を読みたくなりました。引用部分さらなる期待アゲ。
33ixion:2001/04/06(金) 03:14
 自然と「個」については、別に荷風がそういう形而上の問題を何やら青瓢箪の
書生じみた顔で考えていたわけでは決してない。ただ、日本の自然主義文学と
荷風が一線を劃しているとすれば、荷風は自己に対しての距離がとれる、つまり
主語の問題を考えていたからではなかろうか。それは無論、今日のような
哲学の「用語」だけを借りた理論として構築されてはいないにしても。
 世態風俗を描く、というのは、自然に包まれた自己の「感覚」や「心情」
を頼りにスケッチ風に流してしまいがちである。そこに批評の距離感をバランス
よく取り入れられるか…荷風の場合は幾分叙情や感傷に過ぎるきらいもあり、
例えば「終の全きもの目出度いものに何一ツ真の生きたる夢が宿り得よう。
自分は全からぬ恋にやつれて死にたい」(「ローン河のほとり」『ふらんす物語』)
などと心情に流れることもあるが、その「観察」が感傷に引きずり倒される
ことはない。何処かに必ず「自分と風景は離れている」という距離がある。
 例えば、『墨東綺譚』は入れ子構造に(一応)なっており、『失踪』という小説
を書く「わたくし」がいる。「入れ子」は今や安易かつ陳腐なものとされがちでは
あるが、やはり自己や風景との距離を示すのに用いられる方法であろう。またこの
作品は、後藤明生の言うように「「わたくし」という自称老人作家が、ポルノグラ
フィー売人の「仮面」をつけて、玉の井のどぶ川沿いの私娼窟へ通う話」であって、
ジイドが『贋金つくり』という「小説と並行して六年間書き続けた『贋金づくりの
日記』との関係を意識した、荷風の実験でもあった」わけで、安易に「自然」に
拠って喪われた風俗世態に感傷を寄せている作品ではなかろう。
 ところで、ここで後藤が「仮面」としたのと似た言葉を用いて、西洋文学と日本
自然主義、私小説との差異を明かしたのが伊藤整『小説の方法』であり、そこでは
西洋文学の「個我の声」が「仮装による純粋化」を経たものであって、自己告白性
のみでも虚構性のみでもない、双方のバランスによって成り立つものであるのに
対し、外界とのあいまいな関係に拠った日本の自然主義文学などは「仮装を廃した
自己表白」に近づいているとして批判の対象となる。仮装による純粋化、とは
横光の「純粋小説論」にも近いが(どちらもジイド『贋金つくり』を意識している)、
内面(自己)をいったん外面に通すことで、逆に批評に必要な「距離」を得ること
とでも解すればいいだろう。この点では、横光の「第四人称」も大差はない。
いずれもある秩序(「自然=安らぎ」や「社会=位置」など、自己が何かに含まれ
ると思いこむことによる安定)から外に出なければ、自分自身を対象化できない
わけだ。
 ここまで論じてきて、荷風の『墨東綺譚』が純粋小説を目指しているという結論
に達するつもりは全くない。また荷風が西洋的な「個我の声」を作品にしていると
論じるつもりもない。ただ荷風が日本的な自然に包み込まれることにも、西洋的な
個我として屹立することにも関心がなかったであろう、何やら興味深い異質な存在
であること、そう考えること自体が荷風の「読み直し」を提唱するのではなかろう
か、そう「私」は言いたい。
34期待アゲ:2001/04/06(金) 12:35
期待アゲ
35吾輩は名無しである:2001/04/06(金) 12:36
最下層までルーラ♪
36吾輩は名無しである:2001/04/06(金) 15:30
この人、博識だよねえ。
結構、知られてる学者なんじゃないの?
37>>36:2001/04/06(金) 18:36
must be
38age:2001/04/07(土) 09:35
age
39吾輩は名無しである:2001/04/07(土) 09:59
×墨東綺譚
○?東綺譚
40吾輩は名無しである:2001/04/07(土) 10:02
×墨東綺譚
○?墨東綺譚
41age:2001/04/07(土) 11:19
age
42ixion:2001/04/07(土) 13:56
あの「ぼく」の字は出ません、あしからず
43ixion:2001/04/07(土) 13:57
やべぇ、下らんレスで上げちまった、すいません^^;
44名無しである:2001/04/07(土) 15:33
考えてみると「断腸亭日乗」って、
今で言えばネットヒッキーのカキコみたいなもんだよな。
45>>44:2001/04/07(土) 18:42
What do you mean?
46吾輩は名無しである:2001/04/07(土) 19:08
?東綺譚
47吾輩は名無しである:2001/04/07(土) 19:09
シ墨  ←ぼく
48吾輩は名無しである:2001/04/08(日) 01:41
荷風先生萌え〜。
「新橋夜話」大好き!
49345621:2001/04/08(日) 12:30
age
50age:2001/04/10(火) 14:16
定期あげ
51あげ:2001/04/10(火) 14:27
四畳半
52定期あげ:2001/04/14(土) 01:00
定期あげ
53定期あげ:2001/04/15(日) 19:22
定期あげ
54定期あげ:2001/04/16(月) 06:22
定期あげ
55あげ:2001/04/19(木) 10:55
あげ
56定期あげ:2001/04/21(土) 16:15
定期あげ
57定期あげ:2001/04/22(日) 13:14
定期あげ
58転倒:2001/04/22(日) 13:17
「つゆのあとさき」は絶品。
59日本@名無史さん:2001/04/23(月) 02:56
>58

激しく同意!
自分は「おかめ笹」も好きです。
「新橋夜話」もいいですね。
「墨東綺譚」も好きです。
60吾輩は名無しである:2001/04/23(月) 08:24
やはり「日和下駄」!
61吾輩は名無しである:2001/04/23(月) 09:24
洋傘age
62ixion:2001/04/23(月) 11:01
古山高麗雄(この人も後藤明生と同じで、面白い作品書いてるのに
あまり読まれない…『プレオー8の夜明け』の語り口とか好き)が
「私の『墨東綺譚』」って文を書いている。その中では玉の井の
歴史(王に点つきだから「キング・ポイント」と呼ばれてた、とか)
や、古山自身の玉の井の想い出などが綴られている。それを読んで
ちょいと考えた。

なぜ荷風が良いのか、と思った時、まぁ谷崎も同じような理由で好き
になったのかもしれんが、荷風にあるのは突き放しつつ慈しむことで、
つまり、偽善的な虚栄心などに付き合っていられない、例えば八紘
一宇、東洋平和なんてそらぞらしくも正当とされる言葉から離れる、
といった『墨東綺譚』の態度が一方にあり(軍部国家への反発、
なんて大言壮語じゃなしに、さらりと「私は関係ない」ってな感じ
かな)、また他方、ただ市井を観察することを美的な慈しみの形象
まで高める職人的なこだわりがある、だから良いのではないか。

無論「予は平生文壇の士を人間の屑なりとせり」で「文学の真髄
はつまる処虚偽と遊戯この二つより外はない。其れを卑しむならば、
むしろ文学に関与わらぬ方がよいのである」と言い切る荷風であって
みれば、離れることも見ることも「遊び」の内であり、真剣に論ずる
類のものでなし、とこちらが諌められかねない。ただ荷風の小説を
読んだ後は、「濃密な眼差し」に浸されたような感慨をなぜか抱いて
しまうのだ。
63定期あげ:2001/04/24(火) 18:59
定期あげ
64定期あげ :2001/04/25(水) 17:04
定期あげ
65定期あげ:2001/04/26(木) 15:25
定期あげ
66定期あげ:2001/04/27(金) 13:46
定期あげ
67定期あげ:2001/04/29(日) 12:06
定期あげ
68定期あげ:2001/05/01(火) 20:07
定期あげ
69吾輩は名無しである:2001/05/01(火) 20:22
荷風は永井家の家風に合わなかった。
永井家の人々にとっても荷風にとっても悲劇であった。
そして、日本文学において、このことは幸運であった。
70定期あげ:2001/05/03(木) 18:25
そして、定期あげ。
71吾輩は名無しである:2001/05/03(木) 18:50
定期あげ?
72定期あげ:2001/05/04(金) 09:43
定期あげ
73定期あげ:2001/05/12(土) 07:20
定期あげ
74吾輩は名無しである:2001/05/12(土) 07:41
あげるだけじゃなく何か思うところを述べてみたらどうかね?
語りたくても自分の言葉で書けないというのなら仕方がないが。
何も言う事がないのなら、あげる必要は無し。
75吾輩は名無しである:2001/05/13(日) 20:28
名無し君。君は2chの歌風に合わない。どこかよそをあたってみたら。
76名無し組:2001/05/13(日) 21:46
誰に言ってんの、あんた。
7734歳女:2001/05/13(日) 21:50
荷風のストイックなところが好きです。

いいかえれば「薄情」なんだけどね。
女の哀れさにひきずられずに
淡々と関わってゆくところなど。

墨東綺譚は何度読んでも泣ける。
78国文@1:2001/05/14(月) 10:02
>>77
でも、映画版のラストは老いていく男と過去の男をふっきり、したたかに生きていく女を
対照的に表現してたね。
7934歳女 :2001/05/14(月) 10:30
ほー。映画見てないんですよ。新藤監督でしたっけ?
墨田ユキはぴったりだけど荷風役の人がちょっと。。。

嶋田久作のほうが荷風にぴったりだと思う。
嶋田久作主演で断腸亭日乗を映画化してほしいなー
8083:2001/05/14(月) 14:57
ランボーの詩を訳してなかった?
81吾輩は名無しである:2001/05/15(火) 09:11
ボードレール
「秋の歌」
吾等たちまちに寒さの闇に陥らん
夢の間なりき強き光の夏よ さらば
82定期あげ:2001/05/15(火) 23:02
定期あげ
83あの感動を再び:2001/05/29(火) 21:48
腕くらべ
 とある劇場、七年ぶりに芸者再開の駒代と出会う吉岡。営業係長、便利の為に
二人の芸者を世話する身。上演後の空いた食堂で相棒と話す吉岡。
 待合で駒代を呼ぶ。
 田舎に嫁いで夫に先立たれた身の上、濃厚な濡れ場。
 盆の迎え火、芸者屋の呉山、元は講釈師、作家の倉山が訪ねる。息子の消息。
駒代の噂、「旦那が良い男で、役者でも色にすりゃ両手に花だ」
 吉岡と駒代、新橋の女将の別荘に泊まる。若き日の消息、出戻り歴があるので、
囲われるのを不承知。仕事で帰る吉岡。瀬川という女形に転ぶ駒代。
 義理で待合に呼ぶ瀬川、秘術の限りを尽くす。鼻高々の駒代。
 芸者屋のメンバー、駒代と張り合う菊千代。どっちつかずの花助、得意客と駒
代との仲を取り持ちたがっている。
 瀬川を中座、花助の取り持つ海坊主と濡れ場、九時から眼力鋭い吉岡の座。汚
しぬいた体、深夜に瀬川の下へ帰り泣き崩れる駒代。
 演芸会、駒代と瀬川の仲を小耳にはさむ吉岡。面当てに菊千代に近付く。
 菊千代の身請け、旦那はほうき屋さん。歌舞伎でエッチ、温泉でエッチとそん
な話ばかり。海坊主と瀬川の二股かける駒代。
 縞の股引き履いた薮蚊、老樹をいたわる寒肥に鼻を覆うかわり、大寒の頃は南
天薮柑子の実雪中に花より美しく、に始まる濃い名文。春夏秋冬はまことに俳か
いの歳時記一息に読み下すに異ならず、といった名調子に西鶴の影響あり。倉山
の庭。むかし女郎が病を養ったという隣の庭、実は瀬川の持ち物。
 電車道で瀬川と出喰わす出版人の山井、すべての登場人物に荷風の影がある。
ここまで来ると安っぽさしか感じない。ただ酒目当ての、共感を持ちにくい人物。
 呉山老人の次男、十代から女こまし。まだ厳しい父。
 入った茶屋で夢見勝ちな素人芸者に見初められる山井、知らぬ顔の瀬川。
 瀬川の舞台、楽屋を尋ねる山井と駒代、義母に嫌われている駒代。
 「姐さん、私もう岡惚れだけじゃ済まないわ」客席で双眼鏡を手に瀬川を見る、
妾上がりの君龍。前夫が遺した財産あり。
 初日の夜、瀬川を送り出す駒代。
 どんちょう幕から衣裳まで出す君龍。駒代の乱心という艶種、君龍の女が上が
るような噂を流す姉分。
 朝風呂の呉山、裸踊りする素人芸者の話。
 妻急逝、田舎へ引くという駒代。良い事あるもんか、店を任すという呉山。駒
代の涙。
84あの感動を:2001/05/30(水) 21:14
 さあ皆さん、「腕くらべ」について語ろうではありませんか。
85あの感動を:2001/05/31(木) 20:27
 荷風の道楽には、余裕が感じられるんですね。直哉、谷崎の道楽は、随分と背伸びして見えますよ。使った金額よりも、どこまで、どっぷり浸かっているかという事によるんじゃないでしょうか。直哉、谷崎は、あくまでも堅気でしょ。荷風はもう、堅気じゃないみたいですからねえ。
 冒頭の、劇場の食堂で会話をする場面、贅沢ですねえ。金払って、劇場に入って、芝居の上演中に、よそ向いて、飯喰うんですからね。まるでビスコンティ映画の一場面のような贅沢さ。
 近年、オペラ、オペラと騒いでいる人が多いですけど、これに比べたらまだまだ学生さんですね。オペラを見ず、飯を喰ってこそ通、すごい。真似しちゃいけませんよ。
 こういう金持ちの馬鹿息子が、モダニズムだ、デモクラシーだとかっこ付けていたんですから、十代から働かなきゃならない大衆がファシズムに走るのは当然の事ですよね。
86あの感動を:2001/06/01(金) 21:16
 駒代、いい女ですねえ。おミズの世界に首突っ込むと、どこにでもこういうのが、一人か、二人はいる。太った佐久間良子さんか、大空真弓さんにやらせたい役ですねえ。
87あの感動を:2001/06/02(土) 19:14
 構成が単純で良い。駒代が三人の男に関わり、一人ふり、二人ふり、するうち本命に逃げられる。この間、様々な人間像を見せて、最後には新しいタイプの女を登場させる。荷風の守備範囲の広さを感じさせますね。
88名無しさん@1周年:2001/06/03(日) 02:30
あめりか物語の悲惨な描写が好き。
一般的に、荷風の初期はあまり評価されない傾向があるが、これは自己を相対化
して描いている傑作だと思う。
89あの感動を:2001/06/03(日) 11:28
 うー、あめりかなあー。
 はしょってる奴でしか読んだ事ないからなー。
90名無しさん@1周年:2001/06/04(月) 02:28
>88
同意。
やっぱりふらんす物語よりも、あめりかだな。
たぶん、ふらんすの方が評判は良いと思うけどな。
91サザビー:2001/06/04(月) 18:21
 さあ、あめりか物語ありませんか、あめりか物語。
 なかったら、つぎ行きますよ。
92のら:2001/06/05(火) 18:06
 たしか女の名前が出てくるのら。
93のら:2001/06/05(火) 18:07
 いきなり狂犬病の犬が出てきてびっくりするのら。
 勇気ある弁護士役のグレゴリー・ペックが泣かせるのら。
 ピアノ独奏に始まる主題曲がまた良いのら。
94のら:2001/06/05(火) 18:08
 あちらの売春宿のシステムが勉強できるのら。
  (ミス・ジェシー、ミス・ホーガン、ミス・トマホーク、確かそんな名前)
 んでも、勉強しても何のたしにもならないのら。
95のら:2001/06/05(火) 18:08
 いまハワイ沖で沈んでいるのら。
  それは「ありぞな物語」
96あの感動を再び:2001/06/05(火) 18:11
おかめ笹
 周囲に芸者屋の増えた鵜崎の家、三流画家、妻は出歯の馬面。
 師匠の息子との付き合い。結婚を機に愛人に手切れ金を出す、その金を親から
くすねる算段。
 息子と芸者遊びする鵜崎、君勇と小花。酔い潰れる。
 団扇屋で賃金を貰ってそば屋で酒、庶民の楽しみ。骨董屋で自作に師匠海石の
印を発見。
 新築したばかりの師匠の家を訪問、取材で家族写真。
 出戻りの姉、師匠に話、別な骨董商の幸水堂の訪問。
 息子のスポーツ評、小花の姉が鵜崎の隣で愉快という待合いを営む。過日、雲
林堂の詫びで小花をあてがわれた鵜崎。今日で三度目、遊び馴れず、小心者で楽
しまぬ鵜崎の様子がおかしい。
 すぐに勘定を払う鵜崎、受け取らない女将、そこへまた雲林堂、さらに鵜崎に
詫び金を渡す。小花を捨てて帰宅するが、妙に人肌恋しい鵜崎。女房の顔も貧相
に見える。引っ越しを決意する鵜崎。
 寺町へ越す鵜崎、結婚準備で忙しい先生の家へ手伝いに行く。芸者からの手紙
を握り潰す。雲林堂の訪問、花嫁の実家の元知事の家で骨董の売り立てがある、
その見立ての依頼。
 箱根、息子の翰と蝶子、出版人の杉山と会う。人怯じしない嫁。
 実は私生児の蝶子、息子とはうまが合い連日夜遊び、支払いも蝶子。穏やかな
らぬ姉。負けていない蝶子、十六の時から継母といがみ合ってきた根性曲がり。
 私生児の映画を見て、同情を強要する蝶子、扱いかねる翰。
 展覧会で忙しい鵜崎、蝶子の乱心で離縁を相談する翰。また遊び癖が戻って、
ぼったくられる。
 深夜帰りの翰、喰らい付いて半狂乱の蝶子。翌日訪れる鵜崎、翰を追って愉快
へ。今は鵜崎の家に住んでいる小花、そして君勇、結局いつものように。濡れ場
は省略。刑事の踏み込み。
 ふたり釈放、新聞記事に。老母を預けたままの軍人の弟の訪問、外でやり過ご
す鵜崎。家出した蝶子と出会い、自宅に迎える。下にも置かぬ扱いで、我がまま
も言えぬ蝶子。
 面目をほどこす鵜崎、雲林堂の詫び、大須賀邸からの招待。ただただ恐縮する
鵜崎、若い後妻、蝶子のお目付け役を頼まれる。
 海石を訪問、蝶子の妊娠、翰の病気。
 将来を案じる小花と姉、通りかかった鵜崎と雲林堂を引きずり込む。大須賀の
つてで足利家の財宝鑑定に携わる鵜崎。加えて新画廊の入荷、どこへ行ってもあ
んころ餅で頬を叩かれるような話ばかり。鵜崎を送る小花、待合いの辺りで人力
車とぶつかる。その主は大須賀の若い後妻。
 大須賀家の元書生の訪問、大枚三百円を残す。身元を確かめる為に昨日の待合
いの場所を小花に訪ねる鵜崎。貧民出の小花、丸抱えとは言わないが心の拠り所
が欲しかった所への訪問を喜ぶ。
 再び店を出す小花と姉、持ち馴れぬ大金をくれてやった鵜崎。翰はアメリカへ、
蝶子は病死。
97あの感動を:2001/06/06(水) 19:43
 さあ皆さん、「あめりか物語」「おかめ笹」について語ろうではありませんか。
98あの感動を:2001/06/07(木) 19:29
 いますねえー、こーゆー女。ちょ、蝶子。自分は何もしないで、愛される事にのみ貪欲、っていうような。オードリー・ヘップバーンの対極に位置するような感じ。最近じゃ、地雷女っていうんでしょうかねえ。気を付けましょうねえ、皆さん。
99あの感動を:2001/06/08(金) 19:19
 出てくる人物が全部二流どころ、三流どころなんですね。主人公は三流画家だし、監督を任されてる馬鹿息子は、家督を傾ける以外なさそうだし、華族の大須賀も内に事情があって、心底尊敬できるタイプではない。そういう所が良い。利休は茶や生け花の世界で詫びさびを表現しましたが、荷風はこの作品で、人間の詫びさびを表現したかのようです。
100普段は多摩っこ:2001/06/09(土) 02:58
おかめ笹はホントに面白いですよね。
どこも美化していないところが又面白い。
101あの感動を:2001/06/09(土) 19:02
 そーでしょ、そーでしょ、人間の詫びさびでしょ。そして、大部分の人間っていうのは、そーゆーもんなんですよ。多摩の方にも判りますよね。
102あの感動を:2001/06/10(日) 13:09
 結末が「腕くらべ」と似てますよね。たいして義理がある訳でもない、年の離れた女に店を持たせてやる、それで感謝される。有閑階級が妾を囲えるほど裕福でなくなり、とりあえず店を持たせてやるから、後はてめえで勝手に世間の男をだましな、という大衆化が進む中の一瞬の、そういう時代だったんですね。
103あの感動を:2001/06/11(月) 19:34
 次はいよいよ。
104あの感動を再び:2001/06/12(火) 18:54
シ墨東綺譚
 活動は見ないが看板は見る。吉原へ行くと偽ってポン引きを断る。廓外の情味
溢れる古書店、為永などを買う。古着屋の訪問、表装に良いと、女物の長じゅば
んを求める。
 公園で荷物を改める所へ巡査、交番へ連れて行かれる。長じゅばんを怪しむ巡
査。風流趣味と、それを勘ぐる巡査、どうとでもしやがれという作者の態度が面
白い。
 にわか雨、傘をさして歩く所へ割り込む女。傘を貸して、家に引き込まれる。
有料。雨でどじょうの泳ぐどぶ板。
 近所のラジオを逃れる為に墨田を散策する毎日。
 いつも和装のお雪に昔の情味を求めて通い詰める作者。
 夏の一夜、作者を実際より若く見る雪。嫁に貰ってくれと思わぬ執心。
 残暑、久し振りに訪ねる。蚊を潰して貰うのが印象的。いわゆる窓の女、往来
の人と気持ちを通わせている。
 遠くから姿を見るだけの作者、やはり立ち寄って見る。寒くなって戸締まりも
良く、近所のラジオも苦にならなくなったので、籠り勝ちになる。雪、病。それっ
きり。
 昭和初期の風俗、謙虚さよりも競争勝ちになる人心。

105吾輩は名無しである:2001/06/12(火) 19:27
106あの感動を:2001/06/13(水) 18:29
 これ、はっきり言って出来損ないです。
107あの感動を:2001/06/14(木) 17:58
 出来損ない。
108あの感動を:2001/06/14(木) 17:59
 あっ、決して、105番様の書き込みで紹介されている「くぼうち」さんのサイトの事を言ってるんじゃないですよ。ここは何か、卑近なネタを、上品に面白く処理してるなーと思います。そうじゃなくって、木刀忌憚の事です。隠れファンも多い作品なのに、こんなこと言ってすみませんねえ。
109あの感動を:2001/06/15(金) 18:13
 出だしが良いんですねー、趣味的で。表装に使う女物の衣裳を巡査に見咎められて、どうとでもしやがれという作者の居直った態度が良い。年寄りの不良は取り締まりようがないという感じ。作者としてはそのままの調子で筆を進めたかったのでしょうね。ところが、永井荷風というのは、よっぽど魅力的な爺さんだったんでしょう。袖を引かれて立ち寄った店で出会った女から、嫁に貰ってくれなんて言われてしまう。本当いうと、店の隅っこに置いて貰うだけで良かったんですよ。安心できる、気の良い、ただ見てるだけの爺さんとしてね。そこへ女の彼氏が登場して焼き餅を嫉くんで、お前が留守にするから俺が入り込んだんじゃねーかと開き直る。そういう展開にしたかったんじゃないでしょうか。それを現実は許さなかった。
 荷風の人柄か、よほどの財産家と見込んだのか、女が惚れてしまう。惚れられると、荷風は引くんですよ。現実とクロスさせて作品を仕上げるという目論見は壊れてしまう。その代わり、未練が残る。女と、その周辺の風俗に対して、後ろ髪引かれる思いで叙情味たっぷりにまとめ上げる。夏の夕立ちの後、地面から立ち上る蒸気のような、情味豊かな世界が残された。かっちりした作品じゃなく、一個の有機物みたいですね。これは、志賀直哉にも為し得なかった快挙です。
 出だしの面白さだけなら、日本の近代文学百年の中で随一じゃないですか。表装とか、郭外の風俗が判るなら、世界文学の中でも群を抜いた面白さだと思いますよ。あの姿勢見習いたいけど、そうとう年季が入ってないと、あの設定は無理でしょうねえ。遊び馴れた人間が、小出しに見せる粋っていうもんですね。
110あの感動を:2001/06/16(土) 18:19
 女物の衣料品を、古本の表装に使うなんて最高。そんな粋な事をしたら、明治・大正の古書も随分と艶かしく見えますよ。今時の本は、そう、ブラジャーで表装してやれば良いんですよ。ていうか、それほどの値打ちもないか。
111あの感動を再び:2001/06/17(日) 12:26
つゆのあとさき
 女給の君江、占いに見て貰う。昨今不審な事続き。
 カフェ・ドンファンの詳細。会計の小松さん。馴染みの作家清岡と妻が雑誌に
載っている。
 送り狼、待合いへ。キザと思っていた客を憎からず思う君江。
 貸間へ清岡の訪問、誰とでも寝る君江に執着する清岡。君江の不審事はすべて
清岡が書生にさせた仕業。
 片田舎の清岡の実家、妻鶴子の訪問。所詮は江戸草子の焼き直し。
 編集と遊ぶ清岡、女給と芸者の違いについて。君江の貸間へ。
 舞踏家と約束、輸入商から誘い、そこへ清岡待つとの電話。トリプル・ブッキ
ングを馴染みの老紳士に相談する。面白がる六十紳士が知恵を付ける。
 さばけた舞踏家は許す。待ち呆けを喰わされた輸入商、邪魔してやろうとそれ
らしい待合いへ偵察に来る。清岡と間違えた女中、これを通す。
 翻訳で洋行する鶴子。泥酔する清岡、君江と鉢合わせする所を阻止する書生。
 深夜、タクシーを拾う君江、運転手はかつて抱かれた男。淫売め、と突き飛ば
される。
 風邪と偽って休む君江、書生から心のこもった手紙。散歩、かつて女給を身請
けした老人と出喰わす。使い込みがばれて実刑、いま出獄したばかり。貸間へ迎
える、酔い潰れて怪しげな雰囲気。
 老人の遺書、あの世からあなたを見守る。
112あの感動を:2001/06/18(月) 17:58
 さあ皆さん、「つゆのあとさき」について語ろうではありませんか。
113吾輩は名無しである:2001/06/18(月) 20:30
>老人の遺書、あの世からあなたを見守る。

泣かせるね。
114あの感動を:2001/06/18(月) 22:16
 そーでしょ、そーでしょ、泣かせるでしょ。何つーたって、ここでこのお話おわるなって判ってしまう所が泣かせるでしょ。でも、このお爺さん、最後には良い思いをしたんですよね。それにしても君江、相手選ばずだな。
115あの感動を:2001/06/19(火) 17:17
 ストーカー、トリプル・ブッキング、すごく耳新しい言葉なんですけど、当時からあったんですね。遊蕩三昧の日々を送ってりゃ、トラブルや刃傷沙汰のひとつふたつ、あって当然だったんでしょう。何か、詳しくは知らないけど、荷風に焦がれて生きるの死ぬのと言っていた芸者さんも居たんでしょ。罪作りな奴ですね。
116あの感動を:2001/06/20(水) 18:07
 これ、惜しい。後半がありますね、後半を書いてほしい。でも、あの世から見守っていたんじゃ事故は起こらない。導入部、推理小説仕立てになってますね。乱歩とか、意識したんでしょうか。どうなんですか、先生。
 カフエの詳細が良い。ここに出てくるのは、ほとんど、お触りバーでしょ。一番下等なカフエ。すべてを捨てて、とことん風俗に付き合うという姿勢が素晴らしい。取材とかじゃなくって、まるごと嵌ってる感じ。会計の小松さん、荷風じゃないかと思いましたよ。こういう所で働きたかったんじゃないでしょうかね。
117吾輩は名無しである:2001/06/21(木) 09:29
つゆ。
118あの感動を:2001/06/21(木) 17:34
 いくつかのスレッドが170以降に飛んじゃったみたいですねえ。えーと、「吐き気のするほど…」「文学青年・少女の…」「ボブ・ディランがそのうち…」 えーと、えーと、それから何だっけっかなあ。ああ、どっちにしろあんまり重要なスレッドじゃなかったような気がするなあ。われらが荷風スレッドも倉庫落ちしてたもんなあ。117様、拾い上げて下さって有り難うございます。
119あの感動を:2001/06/22(金) 18:05
 どうして後半が作れなかったんでしょうか。後半を作るには、清岡は余りにも魅力が足りませんね。今の文壇もつまらないけど、当時の文壇もろくなのが居なかったんでしょうね。それに対する、遠回しな批判。君江というのも、気が良いんだけど、節操がなさ過ぎる。どうやって落ちを付けたら良いのか、判らないですね。ガキでも産まない事には、ヒロインの男遍歴は終わらない。荷風の筆はそこまで及ばないから、ここで話を納めたんでしょうかね。永井荷風著「君江の息子」考えられないですよね。
120あの感動を再び:2001/06/23(土) 17:18
ひかげの花
 二階の貸間、物干しには別の女。牛乳を飲んで待合いへ行くお千代、残る重吉。
 同居の女給に頼まれ事、散歩すれば千代の友人に会う。ひもから足を洗った玉、
理解のある男なら良いと、気遣った発言。
 戦前の好景気で就職した重吉、未亡人に囲われる。失業してもずるずると、男
妾状態。衿持、良心を麻痺させる選択。未亡人が死んで派出婦の千代に手を付け
る重吉。
 震災後、仕事で忙しい重吉、幸せなふたり。銀行閉鎖、衣類を質に入れる。女
の歓心を得る為にどんな屈辱をも耐え忍ぶ男。
 買い物帰りに顔見知りに会う千代、誘われてふらふらと寄る。
 近所の待合いの老婆、上物を着ながら着古している千代に眼を付けて誘う。
 謄写の内職をする重吉、収入不足。お触りのカフェを一日で止める千代。老婆
の待合いで時間を潰すうちに深みへ。
 夜歩き、うち明けてくれれば何も悪く思わない、という重吉。堅気が偽善に、
かえって修飾なき人生。
 千代不明、玉とともに待合いを訪ねる重吉、老婆病死。千代は街娼と間違えら
れて遊んでいた。
 待合いに警察の手入れ、検挙者の載った新聞を読むふたり。田舎に残した私生
児たみの名を見付ける千代。こんな時でも客を取る。街娼と間違えて執心の禿頭、
俺の世話になれと迫る。
 家を探し、娘を探す重吉。在宅なら貸間に帰り、禿が来たら裏口から姿を消す
毎日。かつて同居の女給から娘の消息を知る重吉。千代の住所を教える。
 髪結いから妾、さらにその旦那へと渡る幼女たみ。幸い、回りは良い人。ダン
サーから女給になっていた。
 母娘の再会、ひと財産築いている千代夫婦、連れ込み茶屋でも開く予定。
121あの感動を:2001/06/24(日) 14:23
 さあ皆さん、「ひかげの花」について語ろうではありませんか。
122名無しさん@ヒッキー:2001/06/24(日) 14:30
さあ皆さん、『断腸亭日乗』について語ろうではありませんか。age
123あの感動を:2001/06/25(月) 17:29
 さあ皆さん、「ひかげの花」「断腸亭日乗」について語ろうではありませんか。
 って、そこ行く前に荷風から離れてしまったんですよー。今ここに載せてるのは半年くらい前に作った資料です。今現在は、ほかを探索中です。荷風に首まで浸かる前に、いろいろ当たるべきじゃないかと思いましてね。石坂とか、足穂とか。いまの日本で「断腸亭日乗」を読了している人が何人いるでしょうか。そこまで行ってこそ真の「荷風通」と言えるでしょう。何か、はしょってるやつはありませんかねえ?
124我輩は名無しである:2001/06/26(火) 01:45
『断腸亭日乗』もち全集版を指してます。
125あの感動を:2001/06/26(火) 18:01
「ひかげの花」評
 またしても新しい風俗、新しい舞台。棟割長屋の一軒で暮らす夫婦が、二階間を他人に貸して家賃を浮かすなんて事は常識だった時代がありました。都会で成功した人間が、沢山の弟、妹、甥、姪などを呼び寄せて一緒に暮らす、そういう時代ですね。障子ひとつ隔てた隣の部屋に、赤の他人の女が住んでいる。何という濃密な人間関係なんでしょう。ガラス戸一枚隔てて、何とセクシャルなシーンが、日常的に展開されているんでしょう。
126あの感動を:2001/06/27(水) 17:27
 だから、その、「断腸亭日乗」の、はしょってるやつはどこかに無いんでしょうか。んでなきゃあ、お持ちの全集の中の「断腸亭日乗」半年ほど貸して貰えませんか。当方、金欠状態なもので。
 「断腸亭」を読んでこそ、真の荷風通。まだそこまで行ってない自分は、荷風を語る資格なんてありませんよねえ。
127あの感動を:2001/06/28(木) 15:59
 んでも、語ってしまうもんね。

 「ひかげの花」評そのニ
 ひもの身分に甘んじる重吉を、まわりの商売女が女性に理解があると解釈して、何かと頼りにするんですね。何と羨ましい設定。そんなに若い女から、次から次へと相談事を持ち掛けられるんだったら、ひもでも構いませんよ。でも旦那が来たら裏口から出てゆくなんてのは、きついかな。ある種の感情が麻痺してるな、この男。下手すりゃ、「アパートの鍵貸します」で利かないくらいの哀愁だよな。ふたりして夜の街を歩く場面。ネオンサインを眺めているのが素人じゃないから、漂ってくる哀感みたいなものはありますよね。単に歓楽、誘惑の場として捉えるんじゃなく、酒や女にまつわる悲喜こもごもを、客観的に眺める事が可能なんですね。
128あの感動を:2001/06/29(金) 15:53
 その三
 待合のやり手婆の描写、作者は怖いくらいこの業界に明るいですね。まだ素人臭い千代を、専業の売春婦に仕立てようという企み、本当に鬼気迫るものがあります。
 街中で向こうから見つけて執着する禿。当時から「禿」というのはあったんですね。本当の禿じゃなくって、パトロンの事を禿という言い方。
 水商売でひと財産築くには、妾のひもになるか、奥さんを他人に解放してしまうしかないって事ですかね。同じ事なんですけどね。悲しい現実。だったら、女なんかいらねえー、っていうのが英米文学流の生き方でしょう。こういう暗い時代は、節操のない生き方を選ぶか、硬骨な生き方を選ぶか、選択を迫られます。今はみんな寿命が長いですから、辛抱に辛抱を重ねて、不正や矛盾や抑圧をひっくり返してやりましょう。そして、理想を実現するのです。
129あの感動を再び:2001/06/30(土) 18:13
妾宅
 好かぬ流行、命の洗濯をする必要。
 棟割り長屋の妾宅、自分ひとり。
 三味線、江戸音曲の運命、ひと思いに潔く殺されるのではなく、新時代のいろ
いろな野心家の汚い手にいじくり回され、散々慰められ辱められた拳句、なぶり
殺しにされてしまう痛ましい運命。
 さほど美しくもない妾の身の上。
 和服の妾、千変万化する浮世絵のよう。
 礼儀正しく食べる食事、前菜はこのわた、この珍妙な食べ物。
 滅ぼされゆく美意識、月に村雲、花に嵐。強き者の下賤にして野蛮なる事を証
明し、弱き者のいかほど上品で美麗であるかを証明するのみ。身に覚えなき罪科
に何の明かしを立てようもなく哀れ刑場の露と消え。
 一寸したおかしみ、俳句、便所の美学。
 生活に美意識を加える、輸入芸術は身に付かない。お妾が心づくしの手料理。
130あの感動を:2001/07/01(日) 17:50
 さあ皆さん、「妾宅」について語ろうではありませんか。
131あの感動を:2001/07/02(月) 21:10
 さすが荷風、奥さんも居ないのに妾を囲うとは。ビジネス特許もの。21世紀はこれです、みんなこれで行きましょうよ。
132あの感動を:2001/07/03(火) 20:18
 谷崎の「陰影礼讃」も、これの影響は否定しませんでしたね。大家は大家を知る。うん、素晴らしい。
133あの感動を:2001/07/04(水) 21:03
 最後に出てくる料理が良い。グルメ番組、グルメ漫画で知識ばかり詰め込んだ現代人も、これにはびっくり。豪華さと、詫びさびとが一体となった、感嘆あたわざる手料理。その料理とは、…おっと、これは言っちゃあいけない。
134あの感動を再び:2001/07/05(木) 20:56
日和下駄
 いたずらに覚醒と反抗の新空気に触れるに至らば、その時こそ真に下層社会の
悲惨な生活が開始せられるのだ。そして政治家と新聞記者とが十分に私欲を満た
す時が来るのだと信じている。いつの世にか弱い者の利を得た事があろう。弱い
者がみずからその弱い事を忘れ、軽々しく浮薄なる時代の声に誘惑されようとす
るのは、まことによその見る眼も痛ましい限りと言われねばならぬ。
 路地には、失敗と挫折と窮迫との最終の報酬なる、怠惰と無責任との楽境もあ
る。
135あの感動を:2001/07/06(金) 19:06
 現代に生きる作家が現代を撃つとは限らない。むしろ、大正・昭和と漂白の人生を生きた永井荷風こそが、真に現代を撃つ言葉を発している。フェミニズム、人権尊重、そしてIT革命、いちいち思い当たる事ばかりである。さらに二千年前の韓非子を紐とけば、現代社会の病巣を抉り取り、現代社会を真に批判できる言葉は、古典にしかないと理解できるだろう。
136あの感動を:2001/07/07(土) 19:49
 だから、目下のところは、怠惰と無責任の楽境ってとこですよ。
137あの感動を再び:2001/07/08(日) 18:27
浮沈
 未亡人のさだ子、夫の墓参り。銀座の女給から玉の輿、死別してすぐ叔兄に言
い寄られて実家へ。かつては町一番の美人、そこでも教師に縁談を申し込まれて
途方に暮れる。女給時代の友人、蝶子の喫茶店で働こうと決意するさだ子。たま
たま出会った教師の藤木を駅で待ち呆けさせるさだ子。出征、千人針など、戦時
風俗。
 喫茶店の二階、たかが教師のくせにと毒づき合うさだ子と蝶子。果報負けとい
う話。
 駅構内の藤木、何がしかの先生に会う。
 かつて金持ち息子について遊び歩いた藤木、赤いドレスの女の部屋に泊まる。
女宛の恋文を読む、あなたを信じる、あなたに感謝するという内容。教育を受け
た一般人の純情な気持ちが綴られている。いま始めて、荷風の視野に青年が入っ
た。
 外人クラブで働くさだ子、テレザという名前を頂く。オルゴールに聴き入って、
舅の家を懐かしむ。クリスチャンだった姑、洋皿を眺めるさだ子。マダムに趣味
の良さを褒められる。
 気楽な女給暮らし、将来を考えて裁縫を習う。身のたしなみに姑に会いに行け
ばちょうど葬式、女中と話す。
 藤木、男爵の下で報国列伝の編纂、仏門の叔父に相談してアパートを借りる。
さだ子と同じアパート。若い女がシミーズ一枚で廊下を歩く風俗。しばらくは名
乗りを上げない決意。外出する藤木、三人連れの奥様と出会い、遊ぶ。
 資産家の次男が藤木の悪友、その兄が蝶子の愛人という訳で、蝶子から藤木と
の縁談を進められるさだ子。喫茶店は暇、外人クラブも時間制限。
 叔父の世話で結婚、狭いアパート暮らし、愛のないのを心配する藤木。
 まわりは二号や女給、貧しいながら羨ましいほど仲の良い夫婦。ポーランド侵
攻。夫の帰りが遅くなる、薪、米が無くなる。
 実家から炭を運ぶさだ子、郷里の神社の境内でひと休み。
 未亡人との関係を続ける藤木、学生時代から他人の歓心を買う事が第一。上役
から重宝がられ、内に妻、外に情婦という身分。
 断水がち、蚊の多い夏、シミーズ一枚で過ごすさだ子。昔の写真と鏡の中の自
分とを比べる。昔の夫は若様、今の夫は運転手。
 嫌気がさして青山墓地へ墓参りに行くさだ子、外人クラブのマダム夫妻に会う。
郊外の洋館へ案内される。教養人の夫、かつて上客だった越智の訪問。
 外食する越智とさだ子、実家には妹ひとり、女中に使ってくれる約束で電話番
号を聞き出す。
 帰るなり、夫と同僚の妻の品評。落とすのに二年かかった、ホテル歩きくらい
してるだろうと大声で会話。物干しへ逃げる。越智が慕わしい。
 未亡人の所から朝帰りする藤木、さだ子の書き置き。
 越智宅に電話、妹が出て気が挫けるさだ子。行き暮れた喫茶店で幼馴染みの君
子に会う。
 君子の芸者屋で会計の手伝い、離婚手続きをしてくれる弁護士、相手に非があ
るのに高い料金を取られている。戦時中なのに繁盛している芸者屋、寝ている隙
に弁護士に抱かれる。
 朝まで泣き続けるさだ子、夫婦喧嘩かと嘘ぶく君子。悲惨な身の上話、妾にな
れと迫る弁護士。
 かれこれ一月。五十過ぎの女中との会話、そもそも弁護士の死んだ妾のやって
いた店で、君子と弁護士さえ男女の仲だと言う。嵌められたと悟るさだ子。
 蝶子の店を訪ねる。藤木は未亡人と再婚。その兄が軍需工場で儲けている。
 いかにも場末のカフェ、いまさら弁護士の玩具には戻れない。夜をさまよって
留置所入り。
 旧家に生まれて教養ありながら、時流に迎合する醜さを嫌い落伍者に共感を寄
せる越智。上野駅前でさだ子に会う。家族の出払った自宅に招く。まるで空き家
のような洋館、有り合わせの食事。まるでテス終章、逃飛行の雰囲気。夫に先立
たれたくないさだ子の気持ち、かつての婚約者を思う越智。
 乏しい食糧、妹と女中が帰って来る。トランプ占い。いったん家を出て、家族
に紹介する計画。
 越智の日記、妹の嫁ぎ先は政府次官。妾への取り締まり強化、芸者を交番の前
に立たせる風習。さだ子をアパートに匿うが、身内にばれて、二人して安アパー
ト住まい。これが越智=荷風趣味。二週間の病気、回復。洋館を売ってアパート
暮らしをする決意、女子の虚栄を憂慮する越智。
138あの感動を:2001/07/09(月) 19:50
 教師で何が不満なのでしょうか。こんな男には勿体ないと、良い縁談を先延ばしにする所は「エマ」、ヒロインの孤独な旅路は「テス」を連想させます。
139あの感動を:2001/07/10(火) 20:04
 「おかめ笹」と比べて、登場人物が高尚になってますね。憎まれ役の藤木でさえ、教師ですからね。途中から野心的な雑誌編纂に携わるけど、ずっと教師で通していたら、こんなに悪く書かれる事はなかったんじゃないですかね。
140あの感動を:2001/07/11(水) 20:10
 とことん新しい風俗、新しい女を求める荷風。ここに登場するアパートは、あの、例の、中庭をぐるっと囲ったやつでしょうかね。最近のマンション・ブームで取り壊されましたが、あれはあれで、昭和初期を代表する建築として評価したいですね。漫画のトキワ荘でも語り尽くされてるけど、台所や便所が共用だから、よそのお姉さんがシミーズ姿で廊下や台所をうろつき回るという嬉しい場面があったんです。そういうのは隠すべきではない。当然、荷風は嗅ぎ付けて来ます。この建築様式は、江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」でも使われてますよね。今はもう、こんな濃密な人間関係は望むべくもない。
141あの感動を :2001/07/12(木) 19:30
 後期のこの手の作品は、完成度という点は高いんだけど、今いちエネルギッシュじゃない。「腕くらべ」や「おかめ笹」の方がまだ良い。これらの作品には荷風の分身みたいな人間が多く登場しましたが、後期の作品にはそれが少ないのが原因じゃないでしょうか。荷風が高齢になって来て、世間が若くなっている分、人物を見下すようになっている。荷風の興味の対象は女だけなんですね。若かりし日の自分と同じ立場にいるような男に同情を寄せるとか、誠意と情熱に満ち溢れた若者を好感を持って眺めるという事はなかったんじゃないですか。まあ、あの時代、荷風と似たような若者なんて育ちようがなかったですけどね。一種の斜陽族ですから。ここら辺が荷風の限界。いみじくも、このスレッドを立てられた方が、荷風の名前の周りを♀マークで囲ってますけど、的を得てますねえ。まあ、女の子に対しては誠実な関心を寄せていたみたいだし、世の中の半分は女なんだから、それはそれで立派な業績ですけどね。
142あの感動を再び:2001/07/13(金) 17:52
踊子
 満州事変の好景気、浅草の楽士と踊り子の花枝。妹の上京、振り付け師に任す。
 狭い一間に三人暮らし、妹の千代美と密着してしまう山村。気まずい翌日、ス
カート姿の立ち居、ふとした弾みでまたの約束。
 中華屋での千代美との会話、振り付け師から妹の手癖の悪さについて聞かされ
る。物干しで千代美を問い詰めようとするが果たせぬ村山。
 体面を気遣う村山、振り付け師と二人で眼を光らせる事に。互いを善人と買い
かぶる。アパートのお妾が大きな指輪を無くす。妹のバッグからそれらしいのを
見つけ、善処する村山。
 夏の楽団、ほとんど裸で暮らす三人。千代美、妊娠。
 六区の情緒、振り付け師からの相談。金は出すから花枝の子という事に。
 姉が感づくまで言い出せぬ村山、自分が身を引くという花枝。出前の丼の蓋を
取って中身を替えた仲、そうは行かない。妹の子を引き取ると、自分から言い出
す花枝。
 腹の大きな妹を連れて夫婦で大みそかの外食、娘を芸者にしている脚本家に会
う。
 出産、預かり所で芸者と隣合い、芸者になりたいと言う千代美。
 早朝の感傷、千代美失踪。楽屋で子供を育てる夫婦、ミルク、毛布、子守歌と
親切な踊り子達。夫と連れ娘、舅と嫁など、あり勝ちな事。
 千代美の就職、親代わりに手続きする山村。帰りにラブホテルへ。
 日中戦争、ますます好景気。晩夏、たまらず夫婦で熱海へ。軍需商の愛人を見
つけた千代美、高齢でダンスも向かない花枝、引っ越して音楽教師になる村山。
楽師、学生、音楽隊の教授。
 村山、実家は郊外の寺、境内の幼稚園のピアノ教師となり夫婦共々田舎暮らし。
モーツァルトを引きながら堕落した半生を悔いる。
143吾輩は名無しである:2001/07/13(金) 18:13
今、荷風と吉原・玉の井について
レポート書こうと思ってます。
144あの感動を:2001/07/14(土) 19:36
 玉の井って何だあー、寿司の子かー。
145あの感動を:2001/07/15(日) 20:02
 さあ皆さん、「踊り子」と「玉の井」について語ろうではありませんか。
146あの感動を:2001/07/16(月) 19:33
 これも時代風俗が出てますね。先に都会へ出て成功した兄を頼って、その弟、妹、従兄弟達が上京してくる。六畳一間に家族八人が雑魚寝。押入れには末の弟が寝ている、といったプライバシーのない時代ですね。都会の地価が上がる訳ですねえ。上京してくるのが野郎どもばかりなら、飯作るのが大変なんだけど、嫁さんの妹ばかりが上京するっていうんなら、これは嬉しい話ですねえ。
147あの感動を:2001/07/17(火) 20:04
 なんか結末は、こんな奴らの人生なんてどうでも良いやという捨て鉢な気持ちになってますね。前半は、楽師や踊り子の風俗を、生き生きと興味深く描いているのに、残念ですね。もう少し共感の出来る、一途な愛を貫きたいとか、まともな手段で成功を納めたいとか、そういう人物を主人公にすれば、波瀾にとんだ長い展開が可能だったんじゃないでしょう。いつもみたいに、下半身にだらしのない人間を主人公に据えると、結末もだらしないものになりますね。こんな奴、どうなったって良いやあ、という気持ちが見え見えですね。
148あの感動を :2001/07/18(水) 01:02
あめりか物語
149江川達也:2001/07/18(水) 10:00
東京大学物語
150ニャース:2001/07/18(水) 19:52
 ↑何やってるだニャー。昨日のポケモン見たかニャー、ピジョンが大活躍だニャ。
151あの感動を:2001/07/18(水) 19:53
 持てて持てて仕方のなかった荷風。「シ墨東綺譚」では、最新の風俗を客観的に語ろうとしたが、それもかなわなかった荷風。この作品の取材では、当時珍しかったカメラなどを持ち込んで、踊り子たちから写真をせがまれていたようです。出入りの出前持ちと同じく、気の良いお爺ちゃんと見られていたようです。ようやっと、自分の居場所を見付けたって感じでしょうかね。
152小林信彦:2001/07/19(木) 05:08
ポスト荷風は私で決まりだな。フフフフフ…
153あの感動を再び:2001/07/19(木) 19:29
 わあ、ネタが切れた。借りて読んだ本だから、こういう事やってんだよなあ。買って読んだ本だったら、こういう事はしないよ。大事に思ってるけど、ほこり被ってそのまま。映画もおんなじだよ。
154あの感動を:2001/07/20(金) 18:33
皆さん、誠に申し訳ございませんが、ぽっぽcomを覗いてやって下さい。
   ↓こちらです。
 (って、いくら何でも永井荷風のスレッドで自分のホームページのアドレスを
アップできないよなー。そこまで良い神経してないよ。大人の鑑賞に耐えるもの
を遺してくれたっていう点で、荷風には感謝してるんですから)
155あの感動を:2001/07/21(土) 19:21
 ひろゆき様、このスレッドを立てられた方、また、今までこのスレッドを盛り立てて来られた方々に感謝します。ネタが尽きたので、私は退場します。もう来る事はありません。ここから先は、皆様の手で荷風を支えてやって下さい。願いします。(退場)
156吾輩は名無しである:2001/07/22(日) 19:48
 お掃除、お掃除。
157吾輩は名無しである:2001/07/23(月) 19:33
 お掃除、お掃除。
158吾輩:2001/08/08(水) 23:00
ここで一発『あめりか物語』
159ゆき:2001/08/15(水) 22:54
>126遅レスで寸間村。
『断腸亭日乗』の要約版、岩波文庫から出てます。上下2巻においしいとこがいっぱい詰まってます。
もしくは、古本屋か何かで全集を買ってみては?Yahooオークションとかにも出てたりします。
160吾輩は名無しである
Kahooオークション