なんで夏目漱石のスレッドがないの?

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932吾輩は名無しである:02/10/13 14:23
「先生」の奥さんが信頼していた「私」
と不倫していたことがわかってしまった
からです。前半に隠れた伏線がいくつも
あります。
933吾輩は名無しである:02/10/13 14:41
Kをなぜ頭文字よばわりするかの答えもそこにあります。
Kは先生の似姿です。
社会的な疎通性であるような自己の鏡像を打ち倒したため、
先生は理想を取り入れることができずに、
社会的には死んだままであり、父たる明治天皇に理想を同一視します。
明治天皇が崩御した上は、先生の事実上の死はほとんど論理的です。
934吾輩は名無しである:02/10/13 14:48
「私」は父=実の父親と先生を先に失い、
理想を先送りにして社会的な関係を営んでいきます。
先生は引き伸ばしにしていた死の意義を見出します。
それはもちろん「私」にあてた手紙であり、
優れた物語はその終局をなにものかの始まりにするのです。
935吾輩は名無しである:02/10/13 14:58
先生の示すのは、社会的関係におけるショートカットの欠如であり、
この後漱石は社会に実現した理想を描くことはなくなります。
936吾輩は名無しである:02/10/13 15:20
「こころ」は構成もめちゃくちゃだし、
とちゅうでおっぽりだした失敗作です。
937吾輩は名無しである:02/10/13 19:25
俺ってショートカットなひとはどうしますか。
938吾輩は名無しである:02/10/14 11:37
>>929の質問に対する答を解り易くまとめるとどうなります?
930〜935あたりの総合を、どなたかお願いします。
939吾輩は名無しである:02/10/14 11:44
はい、総合すると、「こころ」はみじめな失敗作です。
940吾輩は名無しである:02/10/14 13:02
やっぱり先生はKをアオり殺したってことになるんだろうね。
941吾輩は名無しである:02/10/14 13:08
外に立ったつもりが、そのつもりの故に取り込まれたときには、
デュパンもそうしたような表情くらいは出来るだろうか?
942吾輩は名無しである:02/10/14 15:14
なんのこっちゃ。
943ゾル:02/10/14 18:25
「先生」の自殺について、です(以下長いので数レスに分けます)

930さんの言うように、「私」に胸のうちを吐露できたから、
ようやく死ぬことができるということは説得力がありますよね。
ということは「私」に出逢わなければ「先生」は自殺することはなかった、ということです。
結果として「先生」を死に追いやった直接の原因は、他ならぬ「私」自身だったという罠。

「先生」が「K」を殺し、その「先生」は「私」に殺される。
言わば「先生」は自らすすんで「K」の立場をなぞることで贖罪の道を選んだのでしょう。
そして「先生」は自分の死刑の執行人に「私」を選んだということ。
「K」(殺される側)=「先生」(殺す側・殺される側)=「私」(殺す側)という
構図ができあがりました。
(↓つづく)
944ゾル:02/10/14 18:26
だから933さんの言う「Kは先生の似姿」という意見にも、ある意味賛成です。
ですが、明治天皇に理想を同一視していたというのは、表層的な理由付けだと思います。
何故なら崩御から自分の自殺へと移る心情が書かれているのは、ほんの数行しかなく、
しかも、当たり障りのない「明治の精神」という一般論で片づけられています。
これは、外との繋がりを持たない「先生」の気質や、今までの告白の流れから見ても、
あきらかに異質です。「先生」は嘘をついていると読むのが妥当だと思います。
漱石は「ここは嘘の告白ですよ、本当の理由は他にありますよ」というのを読者に伝えるために、
敢えて、あれほど不自然で、取って付けたような文章を記述したのが真意だと思いますが。
(↓つづく)
945ゾル:02/10/14 18:26
では何故「先生」は嘘の告白をしなければならなかったのかというと、
あの手紙を宛てた「私」に対して、自殺のきっかけを隠さなければならなかったからです。
そのきっかけというのは、もちろん「私」と出逢ったことです。

それまで「先生」は、自分への罪悪感や不信感から逃避して、外界と接触せずに生活していましたが、
とりあえず「静か過ぎる」ほど平穏に「奥さん」と二人で「幸せ」に暮らしていけるはずでした。
ですが、その危ういバランスの上に成り立つ生活が「私」の出現で狂いだしてしまいました。
「私」が「先生」の過去に踏み込もうとしたおかげで、今まで逃げていた現実の自分と
向かい合わなくてはいけない状況になってしまったのです。
だから自殺する決心をつけさせたのは「私」であり、
「先生」は「私」に自分の死を見届けて欲しかったのだろうと思います。
(↓つづく)
946ゾル:02/10/14 18:27
しかし、そのことを「私」が知ったら、「私」に暗い影を落としてしまうだろうと危惧し、
本当の理由を悟られないように、明治天皇などの件をもっともらしく書いたのだと思います。
それはもちろん「K」の遺書の書き方(「先生」の行いに対して何の怨みも書かない)を
なぞったものであることは言うまでもありません。
以上が僕が思った「先生」の自殺の真意です。

ところで、>>931 さん
「きょうだい」と「父」って一体誰のことを指しているんですか?
>>932 さん
何度読み返しても、書かれた時点では不倫関係があったように読めないのですが。
(もちろん「先生」の死後、そうなりそうな予感はありますが、あくまでも想像の域です)
932さんは、どの辺でそう感じましたか?
947吾輩は名無しである:02/10/14 19:22
>ゾルさん
Kの死と先生の死は非対称です。

実の父親の死の現実感のなさを埋め合わせるように、
先生の生々しい告白がなげこまれるのです。
先生は理念上の父です。
先生にとってそういうものを探せば明治天皇です。
これは心理学的でなくて、論理的なのです。
社会的な死から事実上の死という、
文学的空間でのみ長い期間をもてるような先生の生に最期をもたらすには、
心理学が必要なのではなく、意味ある一致が必要なのです。
明治の精神などの問題ではありません。
948吾輩は名無しである:02/10/14 19:28
それから二つの幕の間で、ひずみのない相同な状況を描くことは、
文学のするわざではありません。
「私」も誰か自分を殺す人間を待つようになるわけですか?
949ゾル:02/10/14 22:25
>>947
>>Kの死と先生の死は非対称です
非対称・・・? それぞれの死は呼応していないという意味ですか?
何故そのように思うのか理由を言ってもわらないと、反論のしようがないのですが・・・
では、本文の「下 先生と遺書」の五十三を見てください。
Kの自殺の死因を考えた先生が「Kが私のようにたった一人で淋しくって仕方がなかった結果」
死んだんじゃないかと思い、「私もKの歩いた道を、Kと同じようにたどっているのだという予覚」
にさいなまれていたのは確かです。
947さんが、先生がKの死をなぞる気がなかったと言うのなら、
その理由を本文に即して説明しないと、わからないですよ。

また、漱石が、ひずみのない相同な状況を描こうとした訳ではないのは分かります。
僕もそう思います。
ただ創作のベースに、「K」=「先生」=「私」という見えない構造を孕んでいると思うんです。
(こう思った理由は前レスの通りです)
そういう整合性も、文学の一側面じゃないでしょうか。

>>「私」も誰か自分を殺す人間を待つようになるわけですか?
その可能性もありますが、一概にはわかりません。
例えば、先生がKを死に追いやった場合と違い、「私」は「まじめに人生から教訓を受けたい」と願い、
先生はそれに応じて自ら死んでいったからです。
死ぬための決心と動機づけのために、先生は「私」を選んだと言った方が適切かもしれません。
Kの場合と比べて、構造こそたどっていますが、状況は全く違います。
ですから先の質問には、想像する以外に答えようがなく、本文を離れた想像は無益だと思いますので、
わからないとしか答えようがありません。歯切れが悪くてすみません。

950吾輩は名無しである:02/10/14 22:33
>>949
呼応していないはずはありません。
Kは先生のひとつの自我なのです。だから頭文字で呼ぶのです。
社会的であるために必要な自我の反映なんですよ。
だから先生はKの死の後、まったく社会的には死んでしまったのです。

非対称なのは、先生はKとともに死に、「私」は先生の死の故に生きるのです。
私は手元にテキストがありませんが、ごく自然にそう読んだ記憶があります。
そう読まなくて、どんな感動を「こころ」から得ているのか不思議です。
951横レススマン:02/10/14 22:35
武田泰淳の「海肌の匂い」だっけか、それとも中上健次の諸作とか、文学
のなかでは「ひずみのない相同性」が有り得ないのではなく、相似形の状況
のなかでのひずみを書くことの方が多いし、「こころ」においてもそのような
相似形の構図のなかのひずみが描かれていると考えるのが妥当ではないか。
952吾輩は名無しである:02/10/14 22:38
>>951
対位法と呼んでもいいかな、と答えておきますか?
953吾輩は名無しである:02/10/14 22:52
対位法はやめました。よく知らないことをいっちゃいました。
右足のつぎに右足を踏み出したら文学は歩かないのですね。
954ゾル:02/10/14 23:13
>>950
読み方って沢山あるものだと思います。
だから感動の仕方も沢山あると思いますが・・・。

理由を挙げずに「Kは先生の自我」だと押し切られては(まぁそれは否定しませんが)
答えようがないんですよ、ホントに。
勢いだけで、感動を否定される方の身にもなってくださいね。

>>951
「相似形の構図のなかのひずみ」ですか。
確かにそういう側面はあるかもしれませんね。
それはある種、構造からの逸脱みたいなものですか?
955吾輩は名無しである:02/10/14 23:15
>>954
私のレスに勢いがありましたか。
差し引いて内容を読まれて結構です。
どんな感動を否定されましたか?
956吾輩は名無しである:02/10/14 23:20
ドミノ倒しのようにばたばた人死にする感動とか?
957吾輩は名無しである:02/10/14 23:37
いいすぎました。
958吾輩は名無しである:02/10/15 02:41
>>950
>先生はKとともに死に、「私」は先生の死の故に生きるのです。

いい解釈ですね。こう考えると希望が持てます。
ところで「私」が実の父親を見捨てて先生の死に駆けつけたことについて
皆さんはどう考えますか?
959吾輩は名無しである:02/10/15 16:32
そろそろ、次のスレッド立てませんか?
タイトル募集中!
960吾輩は名無しである:02/10/15 19:45
夏目漱石スレのそれから… part2

スマソ
最近読んだばかりだったので
961吾輩は名無しである:02/10/15 22:37
>>960
なかなかどうして(・∀・)イイ!!スレタイではないか。
962吾輩は名無しである:02/10/16 23:10
保守点検! よーし。
963吾輩は名無しである:02/10/17 01:40
>958
先生も私も(Kも)同類の人間だってことなんじゃないの?
他者を信じられず、思想的な(?)自死の経験を経て、日常を送るのだが
結局は自分のこころの有りようを他の全てに優先して生き、死んでいく
先生と、身内を捨てて、こころの共鳴するままに先生のもとに急ぐ私は
二重写しになっていると思う。
964吾輩は名無しである:02/10/17 17:44
お嬢さんはKのことどう思ってたのよ
友人くらいか
965天之御名無主:02/10/17 17:47
友人くらいかも。或いは、恋人候補だったかもしれないけれど。
いずれにせよ、先に告白した方がお嬢さんをゲットできたと思われ。
だから、先生がお嬢さんをゲットした。
966吾輩は名無しである:02/10/17 18:04
そーかなー。
お嬢さんも先生の方が好きだったように読める。
967吾輩は名無しである:02/10/17 18:16
新スレ立ててよかですか?
968吾輩は名無しである:02/10/17 18:27
お嬢さんはKに先生の事好きなんだが、みたいなこと言ってたんだよ
969天之御名無主:02/10/17 18:29
じゃあ、お嬢さんはどっちにするか、悩んでいたのかな?
970吾輩は名無しである:02/10/17 18:31
>>967
もうちょっと待つですたい。
ちゃんと使いきったほうがよか。
971吾輩は名無しである:02/10/17 18:33
kを当て馬にして、金持ってた先生を追い込んだが真相。
別に悪いことでなく、現実なんてそんなもの。
972天之御名無主:02/10/17 18:37
すごく暗い話ですね。
973吾輩は名無しである:02/10/17 18:41
「暗い漱石」
974吾輩は名無しである:02/10/17 18:45
先生がお母さんに言ったら、すぐに話が決まったのも、そこらへん母娘で
話がついてたから。
娘が嫌がってる奴とか迷ってるようなら嫁にはやらない。
お嬢さんはお金含みで先生の事嫌いじゃなかった。

変なのは先生とKの方。
普通は死んだり、裏切ったと後悔して後追い自殺はしない。
975天之御名無主:02/10/17 18:53
たしかに、すぐに話がまとまったのは、
974さんの、説明通りかも。
976吾輩は名無しである:02/10/17 18:55
女性陣にしてみればよくある縁談話なのだが、先生、k、漱石にかかると
目茶目茶変な話になる。
977吾輩は名無しである:02/10/17 18:57
ふられたくらいで死ぬなよ(w
978吾輩は名無しである:02/10/17 19:01
ふられたから死んだんじゃないよ。
だけど宗教に背いた自分への戒めとしての自殺でもないんだよね。
謎‥
979吾輩は名無しである:02/10/17 19:03
お嬢さんとKが二人でどうこうっていう描写は漱石のハッタリなんですね
それらしくみせるための
980天之御名無主:02/10/17 19:13
つまり、お嬢さんとKはなんでもなかった、と言うこと?
981吾輩は名無しである
恋する男の疑念を描く漱石のうまいところ。