現代詩を語ろうぜ!!!!!

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936吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 00:06:08.99
夜よ、明けるな  友部正人

だが君は帰って来ない
夜道をぼくは帰ってきたのに
君の窓明かりは消えたままさ
月はあんなに明るいのに

町は居留守を使ってる
呼んでも君は答えない
疑問は頭から抜け出して
路上でぼくの影になる

翼もないのに飛ぶこと覚え
夜の物干し台にたたずんでいる
命がけで飛ぶつもりなら
夜よ明けるな君のために

女たちが笑ってる
胸をはだけた夏の夜
ぼくは静かにたたずんでいる
君がどこにもいないので

(続く)
937吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 00:06:37.02
ぼくが持ってる一番高価なものを
君の笑顔と取りかえたい
日々はぼくの大好きな君の笑顔を
波の彼方に置き忘れたようなのだ

だがやがて朝が来る
君が飛ばなかったことを知り
夜の列車には乗らなかったことを知り
ぼくの汽笛はこう繰り返す

悲しみを石に変えてくれ
海の底に沈めたいから
海の底で揺れる美しい藻は
いいかげんな言葉をまだ知らない

翼もないのに飛ぶこと覚え
夜の物干し台にたたずんでいる
命がけで飛ぶつもりなら
夜よ明けるな君のために
夜よ明けるな君のために
938吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 00:29:03.15
あわあ
939吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 00:49:29.45
>>935
山本太郎さんの、詩、いいよね^^
おれも、好きです。
たしか、誰だったかな?
山本さんと、誰か、詩人さんが、
論争したと、聞いた、記憶が、ある。
>>936
友部正人さんは、弾き語りを、されるよね^^
おれとしては、高田渡さん、なんかと、共通点があります。
都会的な、詩の、感じが、素敵だな^^
ブルーハーツの、真島さんも、影響を、受けられてる、みたい^^
940吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 01:03:27.47
「私のまえの世界」ピエール・ルヴェルディ

過ぎ去ったいくらかの時間
明るい夜
新しい太陽が昇った
翌日
跪いた一人の老人が手を差しのべていた
動物たちは道に沿って走っていた

私は腰をおろし
夢みた
窓が私の頭上で開く

中には誰もいない
一人の男が垣根のうしろを通り過ぎる

たった一羽の小鳥が歌っている野原
誰かがこわがる
すると人が面白がる
あそこでは二人の小さな子供たちの間に
喜び
君は私と向かい合って
雨が涙を消す

(続く)
941吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 01:08:21.41
>>940の続き)

狭い小道は歩けない
人は同じ方に戻って来る
だが障害物がある
何かが今落ちたのだ
あそこのうしろに

彼自身よりももっと大きな影が
地球を一まわりする
そしてこの私は思い切って眺めもせず坐ったままでいた
942吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 02:33:35.26
906です。

>907さんから 皆さんへ
私の拙い質問に、応えてくださり感謝しています。

お礼のご挨拶が遅れました。皆さん、本当にありがとうございます。

沢山の本を読み、感じながら 勉強をしていきたいと思いました。

943吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 12:37:02.67
>>942
なにも、長い人生、焦ることは、何も無いよ。
>>942さんは、若いんだからさ、
視野を、広く持って、のびのびと、
ゆっくり、のんびり、勉強したら、いいさね^^
944吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 13:25:54.96
京都の事故

44 名前:名無しさん@12周年[] 投稿日:2012/04/12(木) 20:06:17.25 ID:LKXz/REk0
かつてはてんかん患者の自動車免許取得は法的に制限されていたが、
2002年6月の道路交通法改正によって、発作が起きても意識障害を伴わない又は、
発作が就寝中に限るなどの患者は、公安委員会の検査や、医師の診断書を提出するなどの条件付で取得に道が開かれた。
日本てんかん協会の運動で、てんかんでも免許取得が可能になった。
その結果、案の定、2002年以降、てんかん患者のひきおこした重大な事故が急増

2011/04 栃木・鹿沼   6人死亡 (持病を隠蔽、過去に事故2件)
2011/04 島根・松江   1人死亡 (持病を隠蔽、薬飲まず)
2011/05 広島・福山   4人重軽傷 (過去に事故2件)
2011/07 愛知・岩倉   2人死亡 (通院歴なしで不起訴)
2011/10 鹿児島・姶良 1人死亡4人重軽傷 (過去に物損事故、薬飲まず)
2012/02 栃木・宇都宮 6人重軽傷 (昨年7月に事故、運転しないと誓約書)

すると2002年の法改正で可能になった、てんかん患者の自動車免許取得を既得権益とする
共産党が支援している日本てんかん協会は
「てんかん患者の権利を守れ」と法務大臣に要望書を提出
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1334225953/

その三日後にまたしても死亡事故発生
2012/04 京都・東山区 7人死亡9人重軽傷     (数日前に発作、姉と相談)

日本てんかん協会 (共産党の支援団体)
住所 東京都新宿区西早稲田2-2-8

>>権利を守れ
>>西早稲田2-2-8    差別利権で食ってる団体だな
945吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 13:27:48.90
 勧酒   干武陵            井伏鱒二訳

勸君金屈巵  君に勧む 金屈卮      コノサカヅキヲ受ケテクレ
滿酌不須辭  満酌 辞するを須いず    ドウゾナミナミツガシテオクレ
花發多風雨  花発いて 風雨多し     ハナニアラシノタトヘモアルゾ
人生足別離  人生 別離足る       「サヨナラ」ダケガ人生ダ
946吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 13:38:55.74
>>944
てんかんの、患者さんにも、道が、開けるのは、
いいことだね。
でも、せめて、決められた、薬は、責任を、持って、
飲んでもらいたい。
947吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 13:46:15.85
>>945
漢詩、かっこいいなー!!!
おれ、最初、この詩、寺山修司さんの、詩だと、思ってて、
次に、最近まで、井伏鱒二さんの、詩だと、思ってました。

>ハナニアラシノタトヘモアルゾ
>「サヨナラ」ダケガ人生ダ

っていう、盛り上がり、すごいよね^^
948吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 14:01:28.75
「幸福が遠すぎたら」寺山修司

       偶然のない人生もある……とドストエフスキーは言ったそうで
       す。でも、それは人生にこだわりすぎるからじゃありませんか
       ?

さよならだけが
人生ならば
 また来る春は何だろう
 はるかなはるかな地の果てに
 咲いてる野の百合(ゆり)何だろう

さよならだけが
人生ならば
 めぐりあう日は何だろう
 やさしいやさしい夕焼と
 ふたりの愛は何だろう

さよならだけが
人生ならば
 建てたわが家は何だろう
 さみしいさみしい平原に
 ともす灯(あか)りは何だろう

さよならだけが
人生ならば
人生なんか いりません
949吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 14:46:02.44
寺山らしい詩だね
950吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 19:38:14.01
>>949
寺山さん、自身は、
たぶん、さよならだけが、人生だ、
って、思ってたと、思う。
951吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 19:48:39.60
人生こそが競馬の比喩なんだよ
952吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 19:56:41.37
「七十五セントのブルース」ラングストン・ヒューズ

どっかへ 走っていく 汽車の
七十五セント ぶんの 切符を くだせい
ね どっかへ 走っていく 汽車の
七十五セント ぶんの 切符を くだせい ってんだ。

どこへいくか なんて 知っちゃあ いねえ
ただもう こっから はなれてくんだ。

いい子だな ちょい 好きになるってのを おくれ、
でも ながすぎねえように してくんな。
ちょい 好きになるっての、いい子だな、でも
ながすぎねえように してくんな。
ちょっとのま 甘えようにしてくんな、おめえの好きになんのはな、
それなら ごろごろ 乗ってけるんだ。

ごろごろ 乗ってかなきゃな?
953吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 20:07:44.74
>>951
寺山さんが、エッセイで、言ってた、
「競馬ファンは馬券を買わない。
 財布の底をはたいて「自分」を買っているのである。」
って。
954吾輩は名無しである:2012/04/28(土) 20:32:25.37
「郵便切手」ヨアヒム・リンゲルナッツ

男性の郵便切手が、はりつく前に
すばらしいことを体験した
彼はお姫様になめられた
そこで彼には恋が目覚めた

彼は接吻を返そうとしたが
そのとき旅立たねばならなかった
かくて甲斐なき恋であった
これは人生の悲劇である
955吾輩は名無しである:2012/04/29(日) 00:49:41.82
「石原吉郎」北村太郎

ベッドにひっくり返って
天刑のような一行を待っているわたくしと違って
あなたはいとも楽々と詩を書いた
いつも爽やかで
うつくしく
そのくせ変な不在感みたいなものが充実している詩を
アルコールが好きなのに
ほとんどまったく
酒について書いていないのは
なぜだろう
あなたはあくまで沈着端麗で
酔うなんていう醜さを自己に許せなかったのか
珍味佳肴を重んずるやつは
ワイセツで下品だと書いた小説家がいたが
あなたは
それ以上に
武士みたいなところがあったから
舌のしびれや薬物に近い物体による症候群なんて
単にうす気味わるい無意味だったのかも知れない
あなたは坊主頭だった
あなたが
それ以上の表情は許せないといった憂愁にみちた苦行僧の頭みたい
 だった

(続く)
956吾輩は名無しである:2012/04/29(日) 01:03:50.03
>>955の続き)

わたくしはしがない感覚主義者だから
たぶんあなたとはソリが合わなかったろう
それでもわたくしにとって
あなたの詩は無類にくるしく
しかも
このうえない魅惑なのだ
だいたい
あなたが「北條」と題する詩集を出したときに不吉な予感がしたの
 だ
すてきなタイトルではあるが
またあなたは伊豆生まれで
鎌倉にいさぎよいイメージを持つのは理解できるが
サンチョ・パンサの行くさきにしては淋しいなあと思ったのだった
だから
おとむらいの日
花神社の大久保氏からあなたの最後の詩集をいただいて
そのタイトルを見たとき
わたくしは
もうすこしで泣きそうになった
「北條」のつぎに「足利」
もうじき木枯らしが吹く
わたくしは
人生って臨時なのかとおもう
日の暮れが早いから
雨戸のあけ立てに忙しいこのごろだ

(続く)
957吾輩は名無しである:2012/04/29(日) 01:16:29.90
>>956の続き)

そして
澄め
くもの巣の光を
さかさに見るおれの目よ澄めとつぶやいたり
だれも来ない道って道だろうかとひとりごちたりして
釣瓶落としの空をすこし見る
もうあなたは死んでしまったのだ
「ドアの鋲のように」
どのような死を死んでも
死者の棲むところは大いなる境なのか
あなたは断言する
「重大なものが終わるとき
さらに重大なものが
はじまることに
私はほとんどうかつであった
生の終りがそのままに
死のはじまりであることに
死もまた持続する
過程であることに
死もまた
未来を持つことに」と
あなたのこの詩は
わたくしに絶望と安息とを与えようとする

(続き)
958吾輩は名無しである:2012/04/29(日) 01:20:32.29
>>957の続き)

しかし
ひとつの息が長く絶えてしまえば
のこるのは白骨だけではないとはなかなかいいにくい
すべての冬の木に時ならぬみどりがひろがるような
限りないやさしさ
断崖から飛び降りていつまでも地に激突しない恐ろしさ
その両方を
あなたはわたくしに与えようとする
959吾輩は名無しである:2012/04/29(日) 05:36:21.21
素晴らしい詩で本当に感動しました
960吾輩は名無しである:2012/04/29(日) 11:39:08.39
>>959
喜んでもらえて、良かった。
荒地派の、詩人さんが、石原吉郎さんの、追悼詩を、
書いておられました。
死という、難しい、概念を、北村太郎さんの、詩の才能で、
上手く、昇華されていると、感じます。
やっぱ、荒地派は、すごいよね。
961吾輩は名無しである:2012/04/29(日) 15:15:10.20
1 名無しさんにズームイン! [] Date:2012/03/28(水) 08:28:15.02 ?ID:NWYs/2ZP Be:
 やらなけゃいけない
 電○の各局への圧力が半端ないんです
 昨日、一昨日前田AKB卒業ネタやった情報番組全てが前田AKB卒業ネタ中の毎分で視聴率がダダ下がりしました。
 各局本音では毎分視聴率ダダ下がりするこのネタははやりたくなかったけど原子力村以上に電○からの圧力が凄いんです

ブーム捏造、枕営業、自社買い、サクラの動員そして
AKBの捏造ブームのために税金が大量に使われている証拠がこちら

やっと気付いた「AKBに電通が絡んでる」ではなく「AKBの正体が電通」な件 その127
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/mor●ningcoffee/1335468718/

AKBの宣伝に税金を使い、その税金が民主党に流れている
テレビの捏造に騙されるな
962吾輩は名無しである:2012/04/29(日) 22:08:21.39
誰かジョナス・メカスの詩集もってますか?
963吾輩は名無しである:2012/04/30(月) 00:26:38.03
>>962
ジョナス・メカスさん、
おれは、初めて、聞く、お名前です。
映画を、撮っておられるんだね。
ウォーホール、ダリ、ジョン・レノンと、
お友達だとか^^
おれは、メカスさんの、詩を、
読んだこと、無いんですけど、
メカスさんの、詩、貼ってみるよ^^
964吾輩は名無しである:2012/04/30(月) 00:32:21.06
「実存天文台から」ジョナス・メカス

心を澄ませて、歩みだそう。
耳を澄ませて、羽ばたこう。



地球のどこかで
一羽の蝶が羽ばたけば
世界は根源的に変るだろう。

中国のどこかで
小さな花にとまった蝶が
羽ばたけば
歴史は根源的に
変化することを
私は知っている

ニューヨークのどこかで
ほんの一瞬カメラが回れば
世界はそれだけで
まちがいなく変るのだ。
965吾輩は名無しである:2012/04/30(月) 00:39:24.84
「田村さん」谷川俊太郎

どんな血を吸って(或いは吸われて)
大塚のクーパーは
鎌倉のドラキュラに変身したのかな

ケイレンする高笑いは
人をおどかすためじゃない
浮世の苦労から自分を守るためなんだ

恐怖を研究しすぎたおかげで
世にもセンサイな臆病を発見して
ドラキュラは立つ ビール瓶と共に垂直に

言葉のない世界では
あらゆる深読みは意味を失い
ただニンニクだけがにおっているのさ
966吾輩は名無しである:2012/04/30(月) 15:34:55.69
西武園所感 ある日ぼくは多摩湖の遊園地に行った  田村隆一

詩は十月の午後
詩は一本の草 一つの石
みみっちく淋しい日本の資本主義
ぼくらに倒すべきグラン・ブルジョアがないものか
そうだとも ぼくらが戦うべきものは 独占である
生産手段の独占 私有生産手段である
独占には大も小もない すでに
西武は独占されているのだ
君がもし
詩を書きたいなら ペンキ塗りの西武園をたたきつぶしてから書きたまえ
詩で 家を建てようと思うな 子供に玩具を買ってやろうと思うな 
血統書づきのライカ犬を飼おうと思うな 
諸国の人心にやすらぎをあたえようと思うな 詩で人間造りができると思うな 
詩で 独占と戦おうと思うな
詩が防衛の手段であると思うな
詩が攻撃の武器であると思うな
なぜなら
詩は万人の私有
詩は万人の血と汗のもの 個人の血のリズム
万人が個人の労働で実現しようとしているもの
詩は十月の午後
詩は一本の草 一つの石
詩は家
詩は子供の玩具
詩は 表現を変えるなら 人間の魂 名づけがたい物質 必敗の歴史なのだ
いかなる条件
いかなる時と場合といえども
詩は手段とはならぬ
君 間違えるな
967吾輩は名無しである:2012/04/30(月) 17:25:15.77
「「雨」──26,8,1998 田村隆一、死す」飯島耕一

雨が じつによく降った 田村さん
あなたは知らないわけだが

鎌倉にも 滋賀航空隊のあとにも
じつによく降った あなたの死の直後から

地上には よく雨が降るんだよね
昔 二人で田舎道を歩いていて

(あなたが三十七歳
ぼくが三十の時だ)

一頭の赤牛に追いかけられた ことがある
そのときの あなたの逃げ足の早さったらなかった

そのことで のちのちまで
よくひやかしたり 笑ったりしたものだ

それなのに <死> からの逃げ足は
あまり早くなかった

八月の あなたの死の直後から
じつによく降った 田村さん

暗く 長い 根源的な
死に至る 戦後の「荒地」の雨だ

田村さん あなたは
<詩>というとき いつも<死>に近い発音をした
968吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 00:52:30.34
「手帖」アルベール・カミュ

青春の放棄。ぼくが存在や物事を放棄するのではない(ぼくには
そんなことはできないだろう)。
存在や物事の方でぼくを放棄するのだ。

ぼくの青春はぼくから逃れてゆく。
病気というのはそのことだ。
969吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 01:07:01.93
さてさて
970吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 01:12:48.19
>>969
寝る前に、一言^^
どうぞ^^
971吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 01:50:47.04
相変わらずここは良いスレですね

最近また入沢さんの詩を読み始めたので一つ

入沢康夫「磔刑場からのメッセージ」より

乞ふ われを責むるなかれ
われに「詩」を求むるなかれ
「詩」とはただ 読むおのおのの
こころの火 こころのほてり
972吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 01:56:20.88
詩とは詩人とは何であったのか
973吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 02:32:48.47
おやすm
974吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 05:33:31.89

その昔 詩人がいた
言葉を金で買う詩人がいた
買い集めた美しい言葉を
継ぎはぎしたり並べ変えたり
しているうちに
孤独をしのげる名声と
生きるに困らぬ富とを
手に入れた

ある日 詩人は
ひとりの村娘に出会った
その時自分を襲った
心臓のギャロップ
脳髄のトレモロ
それを娘に伝える言葉が欲しくて
詩人は手当りしだいに
買い漁ったが
ぴったりの言葉は
見つからなかった

富は尽き 人は遠のき
やがて詩人はさびしく死んだ
その晴れた朝
いくばくかの涙と
葬送曲は流れたが
弔いの言葉はきこえてこない

詩人がとっくに
買い占めていたから
975吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 13:36:39.98
>>966
血統書づきのライカ犬、
という表現、いいね^^
>>971
入沢さんは、不思議な、詩も、書かれますけど、
こういう、心が、温かくなる、詩、いいね^^
>>972
他人が、見たことのない、世界を、表現できる人、
それが、詩人。
それを、読むことに、よって、
自分の、人生の、立ち位置が、変るような、芸術、
それが、詩。
というような、気が、おれは、します^^
>>974
寺山さんの、詩?
みたいな、感じが、しました^^
976吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 13:52:25.47
「餓鬼図上演」黒田喜夫

餓鬼図を見た いつ誰が描いたのかわからぬ 数匹の亡者のいる墨
と朱は古いが むしろ描いた者の飢えをぎくりと想った

描きすてていった百年前の無名の旅絵師 五百年前の飢えの見者
誰が何を知っていたのか 這いずり汚物をむさぼる一群の傍に 別
な一人の男がうずくまっている うずくまり自分の腹を覗く男が描
かれている 覗いている貌は見えないが腹は深く切り裂かれ 切り
裂いた腹を男はじいっと覗いている

一体この男は何をしているんだと思う?懐疑しているんだねぼく
みたいに と過ぎた年代の帰郷運動から停滞している坊主の息子が
こともなく答えたが つづく声はでてこない 声がでないまま胡坐
がにじり<<餓鬼アリ カツエ底知レヌ不思議ニ 己ガ腹ヲ裂キテ見
ル 惑う也>>か おれも惑う
映像から壁をわって拡がる男の腹の裂け目に吸われるように おれ
の飢えの幻覚におちていった

(続く)
977吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 14:15:08.57
>>976の続き)

 *

粥を啜りおわった すると
コレヨリ本日ノ施餓鬼余興
餓鬼生人形ヲ演ジタテマツル
などと声があがり
群れる貌がいっせいにおれを振りむいてきた
おれはおびえ
後すさりに人のかげに隠れようとしたが
触れる肩が逃げる 摑もうとする手が消える
後すさりと逆に群れる貌の前によろめき佇(た)った
かえりみるまもなく
誰かに布子と草鞋を剥がれ
髪に白い亡者の印しをつけられ裸になった
裸になり 堕ちた堕ちた
なんて手を振っている
覚えない道化の身振りがきて
おれは群集の前によろめき佇った
それから湧くまばらな念仏におれは崩れおちた
不意に山門とひとびとを消す光暈のおくにいる餓鬼を見た いや
汚物に群れる裸像ではなく
崩れおちる意識の斜面にうずくまるひとりの男を見た
貌をたれ自分の腹を覗いている
たれた貌は見えないが腹は切り裂かれ
深くあいた腹の口を覗いているおれに似たひとりの男を見た
うずくまり呟いている男の声がきこえてくる
たれた貌ではなく切り裂いた腹のそこで
呟くような男の声がきこえてくる

(続く)
978吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 14:26:59.07
>>977の続き)

飢えるのはつらい それより
飢えを想うのは怖ろしい
だが餓鬼道のはてに革命がくる
餓鬼道のはてに反革命がくる
おれたちは正義のための革命はほしくはない
くぐもる声がおれの喪心に迫り
瞬時によみがえる山門の
ざわめきに収斂する奇妙な餓鬼の姿を見た
あれは誰だ あのおれに似た男は誰だと身悶えた
だがあの不可解な言葉は何だと幻に抗い
幻のおくに入っていった
そのときすでに道化の身振りはない
演技を忘れた亡者の背中に
堕ちた堕ちたという歓声を浴びる
投げられる汚物を浴びて倒れる
崩れおちる意識の斜面に消える餓鬼の映像を
おれは這いながら追っていった
979吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 17:54:58.35
>>974
王ドロボウJINGですな
980吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 18:34:49.82
知ってる人がいるとは
981吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 19:30:01.85
>>979
>>980
コミック・ボンボンかー^^
982吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 21:04:43.82
ボーカロイドの曲って歌詞が80年代の現代詩に似てると思うのはおれだけ?
983吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 21:45:01.75
>>982
今のロキノン系の歌詞があんなかんじだからねー
984吾輩は名無しである:2012/05/01(火) 22:22:52.63
>>983
ねえ、ボカロの歌詞、どう思う?

JUST BE ERIENDSなんて、最初聞いたとき「自己愛、自己矛盾」だの、凡そ
歌詞にそぐわないコトバが音符になってて、それがボーカロイドによって「歌」に昇華
されてるのを目の当たりにして、ちょっと驚いたんだが・・・・
985吾輩は名無しである
>>982
>>984
たしかに、たしかに^^
渡辺武信さん、チックな、感じ^^
戦後派、以降の、詩の、匂いがする。
都会の、ちょっと、気だるい、感じ。
はっぴーえんど、みたく、感じも、おれはする^^

「just be friends」の、歌詞は、
悲痛な、主人公の、心の、叫び、だけど、
救いの、未来が、おれには、見える。
そのあたり、grapevineの、曲、歌詞に、似てる^^