小林秀雄 その五

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>この世の真実を陥穽(かんせい)を構えて捕えようとする習慣が身についてこの方、
この世はいずれしみったれた歌しか歌わなかった筈(はず)だったが、その歌は
いつも俺には見知らぬ甘い欲情を持ったものの様に聞こえた。
で、俺は後悔するのがいつも人より遅かった。と俺は嘗(かつ)て書いたことがある。
>習慣が身についてこの方と言うよりも、自分の弱点がはっきりしてこの方と言った方が
いいかも知れない。俺も人並みに自分の弱点から逃れようとはしなかった、逃れようとする
処(どころ)か、どうこいつを可愛がろうと心を砕いて来たに相違ないのだ。
>御蔭で(この御蔭でという言葉を忘れてくれるな)今の俺は所謂(いわゆる)余計者の言葉を
確実に所有した。君は解るか、余計者もこの世に断じて生きねばならぬ。
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