【読まずに講演】川上未映子95【読まずに書評】

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305盗作屋悪霊朝日日経間宮緑
人形・・・人型の一種だな。死の世界から人間の魂を呼び戻し、語らせるための黒い魔法だ。南米の水晶の髑髏もそういうものだったのかな」
(略)「―そうだな、日本は既に、ハイチのジパングだよ。神道では穢れない人形が身代わりになってくれるはずだった。
だが、ハイチのブードゥーの術は、共感呪術であるから、人形やものに責任転嫁しても終わりでは無いんだ」
「米国の911事件の★日本の塔も、大きな人形だったの?」
(略)カーゴの物品や無料商品が欲しいから、原住民は形態模倣するのね」
「―そうだな。カーゴカルトのボリビアの人形も、元は白神の客人ビラコチャだからな。ケツァルコアトルに通じる」
「貴方はそこには行っていないわね」
「―行く直前に向こうの国に問題があって俺は入国できなくなった。
アイマラの人々が、"ビラコチャを縮めた人形"に持たせるという、
新年の贈り物や貨幣の縮小版を売る祭は起源としてはインカまで溯るそうだ。
その祭りも、太陽の門も、俺は見ていない。
チチカカの水は・・・ダンテの喜劇の・・・忘却のレテの水のようだな、★煉獄の頂上にあって・・・」
「・・・チチカカとビラコチャと洪水。知里でのエレベーションを待っている、あの三十三番目のボリビアの人は」
「―三十二と一緒に待っているだろう、穴ぐらから出る時をね。彼ら・・・上手くいくのかな?」
「・・・その新年の贈り物の、箱庭や縮小した小物を売る祭は、いつあるの・・・」
「―祭りは、毎年一月二十四日で、本来人形もその祭りの時のものらしい。
人形にされた神の模造品はいつでも、無限に、人々の願いと祈りの言語を背負わされているんだよ。
祈る時には、ビラコチャ人形に、週の特別な日に・・・ああ、煙草を吸わせるらしい。金曜と火曜だと書かれている。
まるで、"生まれた曜日と死んだ曜日"のようだが・・・、酋長もあの部屋に、煙草を持って来た。祈祷の煙なんだろうな」
No.53783 - 2010/10/04(Mon) 11:56:19