144 :
吾輩は名無しである:
瀬戸内訳は売れてるみたいだけど、訳はいいんですか。
>>144 素直で読みやすい訳だと思います。
今、藤裏葉を与謝野晶子訳と比べてみたけど、やはり現代の読者には
瀬戸内訳の方がはるかに意味をとりやすいようです。
内大臣が酔いにかこつけて、夕霧に雲居の雁との結婚を許すくだり、
翌日その事実を知った、アラフォー源氏の息子に対するアドバイス。
そこにでてくる長年の知己・内大臣についての辛口で鋭い人物評。
原文 さこそおいらかに大きなる心おきてと見ゆれど、下の心ばへ男々し
からず癖ありて、人見えにくきところつきたまへる人なり
与謝野訳 今度の態度は寛大であっても、大臣の性格は、生一本でなく
気むつかしい点があるのだからね
瀬戸内訳 内大臣はさも鷹揚な度量の広い人のように見えるけれど、本心
は男らしくなく、癖があるので、付き合いにくいところのある方なのだ
秋山虔他訳 内大臣はああしたおうようで度量の大きい気性とはみえるけれ
ども、内心は男らしくないし、率直でもなくて、付き合いにくいところをもって
おいでのお方なのだ
与謝野訳と違い、和歌の現代語訳もなされているのもメリットになるだろう。
>>144の続き
ただ、原文を読むのに比べ、味気なく感じることは否定できない。
いきなり秋山虔らの小学館版で原文と現代語訳と併行して読んでもいいように
思うけど、もちろん、現代語訳のみを読むのに比べて数倍時間がかかってしまう。
ある程度の読書スピードを確保しないと中途で挫折する危険が高くなるので、
まず、現代語訳で通読した方が多分いい。
自分も10代の頃、与謝野訳で「若菜」までは読んでいるし、その後、瀬戸内の女人
源氏物語や田辺聖子の新源氏物語も読んでいる。
林望、橋本治、円地文子などもこのスレですすめられていましたが(これらは
いずれもかなり特色があり単なる原文へのステップにとどまらなさそうなので、機会
があったら見てみたいと思っている)、瀬戸内訳で通読しても全然かまわないと思う。
秋山らの現代語訳でまず通読するのはどうか。自分がそうやって試したわけでないの
だが、いい訳だと思う。でも、どうしても原文や注に目がいってしまい、読書スピード
が鈍ることになり、挫折する危険は瀬戸内訳を読むのに比べて高くなるのではないか。
原文を声に出して読むのもいいぞ。
もともと源氏物語は音読して聴かせてたものだからな。
だから作者はそれを前提に、美しい語感とリズム感で、洗練された文章を書いた。
その努力をあじわうには音読だよ。
音読するなら、名文をピックアップしてる「千年の名文すらすら源氏物語」岩佐美代子がオヌヌメ。
148 :
吾輩は名無しである:2012/02/04(土) 20:30:27.66
144です。
>>145 >>146さん、すごく丁寧は返事ありがとうございます。
母が源氏物語が好きなんですが、瀬戸内訳ばかり読んでいます。
5回は通読しています。岩波の新日本古典文学大系の源氏物語も
全巻あるのですが、こちらは手にとろうともしません。でも
瀬戸内訳でも全然かまわないと伺い、僕も安心しました。
古い本ですが舟橋聖一による分厚い源氏物語もありますが
これも本棚の肥やしです。
>>147さん
元NHKアナウンサーの加賀美幸子さんが原文を朗読するCDもあります。
立派な読み手が読むと美しいですね。