各論についてはどうでもいいんですけどね、
あなたの応答のスキームって「それも自己主張だよな」の一点張りですよね。
もう人間味を感じねえな、ロボットみてえだな、そう思ってたんですよ。
徹底的に「お前がそう思うんならそうなんだろう、ただしお前の中ではな」と突き放す。
そこでまあ自己投影してみたんですよ。
ええ、まあ一度通った道ですわ。
応答は要りませんよ。何度も言われたから返って来る言葉は判ってますからね。
ですから、「それも自己主張だよな」とか言わなくて結構です。ok?
あんた、その言葉に打ち克てなかったんでしょ?違いますか?
何かを伝えようと思ったときに上手いこと伝わらない事があまりに多過ぎて
「それもお前が勝手に思う自己主張じゃないの?」っていうどこからか聞こえてくる声、
そのたった一言を打ち破る理屈が持てなかったんでしょ。
そのうちに自分でその言葉を打ち破る元気を無くしちゃったわけだ。
だから他人にぶつける事にした。
「いつかこの言葉を打ち破ってくれる人が出て来るだろう」と期待することにした。
囚われのお姫様が白馬にまたがった勇者様を待つように
その声を粉砕してくれる何物かを自分ではない誰かに期待したわけだ。
無残な話ですね。太刀打ち出来ないまま色んな男が散っていったんでしょうね。
余りに多くの男が散っていったのであなたは他人に対する期待も持たなくなります。
いつの間にかあなたを排撃していた「それも自己主張だよな」の声は
自分を苛む不自由の檻から完全無欠の鎧へと変わります。
すると楽しくなるんだな。だって負けないんだから。
勝って嬉しい花いちもんめ。あなたの檻の外に亡骸の山が出来ます。
戦利品というわけだ。不満?あるわけないですよね。
字義通りですよ。どんどんどんどん満たされていくんだから。
自己嫌悪?そりゃ産まれるでしょう。それも戦利品ですよ。
ひとつやふたつなら大切にするけど山と積まれた自己嫌悪。
もう数えるもんだとも思ってないでしょ。それでいいんですよ。
積めば積むほど欝期の虚無感は大きくなるんだから。
ふとあなたは亡骸の山に目を向けます。
もとは男だったんでしょうね。見る影もないですが。
そいつが生きていた頃の記憶、無いんじゃないですか。
そいつの記憶はあなたの心の中にしか無いですよね。
目の前に写ってる亡骸に記憶なんてあるんでしょうか。
無いですよね?当たり前です。そいつは死んでるんだから。
刹那、あなたは次に来るであろう男の事を想像します。
「そいつも同じ様にこの完全無欠の鎧に為す術無くやられるのだろう」と。
まだ見ぬ男の中に亡骸を見ます。
それでは一体なんのために男に会う必要があるのでしょう。
そいつが亡骸になることは出会う前から予想が付いているのに。
あなたは未来に対してすら期待を抱かなくなります。
「自分は幻滅する為に男に対して会っているのだ」
楽しかった過程が褪せて幻滅が色めき立ちます。炎のように。
「それも自己主張だよな」
もう悲鳴にしか聞こえませんな。
<了>
こんなん口に合いますかね。
着想は「それも自己主張だよな」。
「いっちいっちいっちいっち当たり前の事を確認してどーーーーーーすんだよ
徳永英明かお前は。コミュ不全か馬鹿野郎。仕舞いに張り倒すぞコラ」
ってとこから。
あと林芙美子で泣いたとかいうから女のニュアンス詰め込んで
昼ドラ的なメロ要素・・・というか合成着色料みたいな型通りのドラマの影だけ突っ込んで
最後は投げた。理想の展開は”幻滅というスキーム”への幻滅・・・
ニーチェ的に言えばニヒリズムの超克を動機にして幻滅ブッ殺して年1回だけ墓参り、みたいな形。
うん、でもそれ描いたらダメかなって思って投げた。